はじめに
コロナ禍の影響もあり、就活においてオンライン面接を活用する企業も増えました。
とはいえ、対面での面接がなくなったわけではありません。
コロナが第5類に引き下げられた今、面接のために企業へ足を運ぶ機会が増えていくことも予想されます。
そこで今回は、対面面接へ挑む前に知っておきたい面接の基本的なマナーや流れをご紹介します。
事前に全体像を把握しておくことで、対面面接への不安をひとつでも多く潰しておきましょう。
対面面接の流れ
対面面接において、多くの時間を割いて対策をするのは面接の受け答えの部分ですが、それ以外の部分でも評価される場合があります。
会社を訪れてから去るまでの一連の流れと、そこで求められるマナーを押さえておくことで、面接に合格する確率をグッと上げられるでしょう。
会社を訪れてから帰るまでには、おおまかに「受付→待機室→入室→面接→退室」の流れがあります。
ここからは、それぞれの段階において気をつけたいマナーを紹介します。
すべて完璧にこなさなければと思い、過度に緊張する必要はありません。
最低限守りたい立ち振る舞いを確認して、自信をもって対面面接へ挑めるよう心構えをしましょう。
受付
会社のエントランスへ入ったら、まずは受付をします。
ここでは、大学名・氏名・会社を訪れた目的(一次面接、最終面接、説明会など)・約束の時間などを伝えるのが一般的です。
受付に人がいる場合は直接会話することになりますが、企業によってはエントランスに置いてある電話機を使って、社内の担当部署へ連絡をする場合もあります。
どちらの場合も、ハキハキとした声で用件をしっかり伝えるようにしましょう。
また、面接会場である会社には、約束の時間の10分前に到着するようにします。
30分前など早すぎる到着だと、先に面接している人がまだ終わっていないかもしれません。
あまりにギリギリだと、時間にルーズな印象を与えてしまうため、社会人としての不信感につながってしまいます。
待機室
受付を済ませたら、直接面接を行う部屋へ案内されることもありますが、待機室が用意されていて、そこで順番を待つ場合もあります。
ここでの姿勢も評価につながる可能性があるので、机に突っ伏したり、過度にだらしのない座り方をしたりしないように気をつけましょう。
面接までの流れをスムーズにするためにも、このタイミングでお手洗いには立たないよう、事前に済ませておくのが基本です。
また、スマホに触るのもあまり良い印象を与えないので、避けておきたいところです。
他の就活生と同室になった場合、会釈程度を交わすにとどめて会話はせず、静かに待ちましょう。
業界分析や自己分析した内容を思い出しながら、緊張をほぐすための時間に充てるのがおすすめです。
入室
面接室へ入室するときは、初めは緊張するかもしれませんが次第に慣れるので、あまり気負わずていねいに行いましょう。
まず、3回ノックして入室の許可を得ます。
「お入りください」などの返事を聞いてからドアを開け、そのままドア付近で「失礼いたします」と一礼しましょう。
その後、用意されている椅子の隣へ立ち、大学名と氏名を伝え「よろしくお願いいたします」と再度一礼します。
ここで多くの面接官が「どうぞおかけください」と声をかけてくれるので、そのまま着席してください。
椅子にはしっかりと腰をかけ、背筋を伸ばしつつも、面接の間につらくなってしまわないようリラックスした姿勢を取ります。
ここまでが、入室時に心がけたいポイントです。
面接
いよいよ面接ですが、マナーや言葉遣いに気を取られすぎて、十分に力を発揮できなくてはもったいないです。
面接中は、最低限のマナーだけを心がけて、これまで時間をかけて準備してきた成果を発揮することに専念しましょう。
ここで気をつけるべきマナーは、面接官の目を見てハキハキと話すことです。
ずっと目を見ていると緊張してしまう場合は、面接官の鼻や額周辺を見ておくのがおすすめです。
よそ見をしたり、キョロキョロと視線をさまよわせたりするのは、相手に不信感を与えてしまうので控えましょう。
また、話す声のトーンもいつもより明るく、ゆっくりと話せると好印象につながります。
これまでに対策してきたことを誠実に伝え、聞き取りやすい話し方を心がけるのがコツです。
退室
面接が終わったあとも、すぐに気を抜かないようにしましょう。
面接官から終了の案内があったら「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」とお礼を述べて席を立ちます。
そして、ドアを開ける前にも再度お礼を言い「失礼いたします」と言って退室すると、ていねいな印象を与えられます。
もちろんドアはていねいに閉め、大きな音を立てないようにするのを忘れないようにしましょう。
この退室時のマナーは、社会人になってからも使えるので、しっかり覚えておくと便利です。
また、会社のエントランスを出てからも油断してはいけません。
社員の方とすれ違う可能性もあるため、電車やバスに乗るまでは少し緊張感を保っておくようにしましょう。
面接の身だしなみマナー
面接のときは、身だしなみを整えることも大切なマナーのひとつです。
街中を歩いていると、パッと見で就活をしていることがわかる場合もあるでしょう。
身だしなみは、人の第一印象を左右する重要なポイントだからこそ、社会人として信頼がおける人物かどうかの判断にまで影響してきます。
ここでは、服装・髪型・持ち物の3つに分けて、対面面接の際に気をつけたいポイントを説明します。
どれも事前に準備できることなので、早めに整えておき、自信をもって面接へ臨めるようにしましょう。
服装
就職面接といえばリクルートスーツが思い浮かびますが、必ずしもスーツが正解というわけではありません。
業界によっては、自分を表現できる服装で来社することが求められる場合もあります。
面接の案内メールなどに、服装の指定が書かれている場合が多いので、基本的には企業ごとの指示に従うようにしましょう。
特に指示がない場合は、スーツで行くのが無難です。
ただし、どんな服装でも共通でいえるのは、清潔感がある格好をすることです。
このことを念頭に置いて、準備しましょう。
スーツの場合
リクルートスーツは、清潔感や誠実さが伝わりやすい服装です。
就活イベントで着るものに迷ったら、スーツを着ておけば基本的に間違いありません。
就活中はたびたび着ることになるので、面接の前には必ず、ほつれやヨレがないか確認するようにしましょう。
面接前日には、シワや折り目の入り方をチェックして、必要に応じてアイロンをかけるなどをして整えておきます。
色は、面接官の印象に残ろうと変わったものを選ぶ必要はなく、無難な黒または紺を用意します。
女性の場合、スカートでなければいけないかと悩むかもしれませんが、パンツスーツでも選考結果には影響しません。
自分らしくいられる方や、なりたいイメージに合わせて選ぶといいでしょう。
男性の場合は、ネクタイの色や柄にも気をつけて準備する必要があります。
派手すぎず地味すぎない、誠実さやフレッシュさが伝わるものを選ぶと好印象です。
私服の場合
面接の案内メールに「私服でお越しください」と書かれていた場合、何を着ればいいのか悩むかもしれません。
Tシャツにジーンズではラフすぎますし、少しだらしないイメージを与えてしまいます。
基本的にはオフィスカジュアルやビジネスカジュアルの範囲で、コーディネートを選んでおけば間違いありません。
女性であれば、トップスはシンプルなブラウスを選び、膝丈のスカートや張り感のあるストレートパンツなどを合わせるのがおすすめです。
カラーはオーソドックスなものを選び、真面目な印象を与えるようにしましょう。
ヒールは3〜7cmのものを選ぶのが基本です。
男性の場合、ボトムスにはシンプルなスラックスやチノパンを用意し、肌着が透けないようなシャツやカットソーをトップスに合わせましょう。
柄物を入れるなら1アイテムまでに絞り、全体で見たときに落ち着いた印象を残せるようなコーディネートにするのがおすすめです。
男女ともにジャケット着用が望ましいですが、気候や全体のバランスを考慮して、着用しなくても大丈夫です。
髪型
次に、面接時の身だしなみとして忘れてはいけない髪型において、注意すべきポイントについて見てみましょう。
初めて顔を合わせた瞬間から面接中まで、顔まわりは常に視界に入り、その人のイメージを作り上げます。
あまりにも髪が乱れていたり、普段のヘアスタイルが遊んでいるイメージを与える髪型だったりした場合、そのまま面接に臨むのは控えたいところです。
就活生として、企業側から好印象を持ってもらえる髪型を確認して、前もって準備しておきましょう。
男性
男性の場合、髪色は基本的には黒が好ましいです。
こう聞くと地毛が明るい色の人は、黒染めしなくてはいけないのかと悩むかもしれません。
本来その必要はないのですが、面接官から明るい色に染めていると誤解されたくない場合は、暗い色に染めておいた方がいいでしょう。
髪の長さは、耳や首が出るくらい短くカットしておくのがおすすめです。
清潔感と誠実さがもっとも伝わりやすく、フレッシュな印象にもつながります。
面接のときには必ず整髪料をつけ、歩いたりお辞儀をしたりする中で髪型が乱れないように整えておきます。
ただし、整髪料はあくまで清潔感を出すために使用し、ワックスをつけすぎないように注意しましょう。
またオールバックのような、強い印象や威圧感を与える髪型は避けるのが無難です。
謙虚さや真面目な雰囲気を作ることで、好印象につなげられます。
女性
女性の場合でも、髪色は黒が基本ですが、暗い茶髪でも問題ありません。
また長さもショートからロングまで、特に決まりなどはないので、自分に合った髪の長さで臨みましょう。
ミディアムロング以上の長さがある場合、基本的には結ぶことがマナーです。
ハーフアップまたは低い位置のポニーテールが無難で、清楚さや真面目な印象につながります。
どんな長さの髪であっても、面接の際には耳と眉が見える髪型にするのがおすすめです。
前髪が顔にかからないことで、明るく意欲的なイメージにつながり、爽やかさと前向きなイメージを与えられます。
また、お辞儀をしたときに髪型が崩れないかどうかについても気をつけましょう。
お辞儀をしたり、着席・起立した際に毎度頭を振ったり手で押さえつけたりして髪型を直すのは見苦しいため、できれば避けたいところです。
面接時の持ち物のマナー
続いて、面接時の身だしなみとして、持ち物についてのマナーも見ていきましょう。
面接当日に忘れ物をしてしまった場合、あせった気持ちのまま普段の力を発揮するのは難しいため、必要なものを鞄に入れるのは前日までに済ませておくのが好ましいです。
各小物の準備も、気候や天気なども考慮に入れて事前に備えておくことで、心にゆとりをもって面接に臨めます。
就活のときにどんなアイテムを使うのかをここで確認し、足りないものがあれば早めに用意しておきましょう。
鞄
就活用の鞄は、基本的には持ち合わせは避けて、新調するのが望ましいです。
カッチリとしたデザインの、就職活動用のものを選べば間違いありません。
シンプルなデザインで、A4サイズのクリアファイルがすっぽり収まるものだと、資料を持ち帰ったり履歴書を持って行ったりする際に困らないので、鞄選びの際の基準にしてみてください。
また自立可能な鞄だと、足元に置いた際にスマートに見えるのでおすすめです。
カラーは、面接で主に着ることになるスーツに合わせれば失敗しないでしょう。
傷や汚れがついた場合は、早めにメンテナンスしておき、いつでも持ち出せる状態にしておくと安心です。
念のため面接前日には、鞄がきれいかどうか確認しておくのも忘れないようにしましょう。
腕時計
時間の管理も求められる就活において、腕時計は身につけておきたい大切なアイテムです。
入社後も使えるような、シンプルなデザインのものを選ぶといいでしょう。
安価なものの中には、すぐにベルトがボロボロになってしまったり、時間がずれてしまいやすかったりするものもあるので、注意して購入してください。
少しいいものを買って、就活のモチベーションにつなげるのもおすすめです。
ベルトの部分は、革のものか金属のものを選びましょう。
樹脂製のものなどは、スタイリッシュな印象を与えられるように思えますが、就活用としてはカジュアルすぎるため普段使いにとどめておきます。
金属なら、男女ともにシルバーを選んでおくのが無難です。
女性の場合、ひかえめなゴールドであれば上品な印象を与えられるのではないかと思うかもしれませんが、就活においては積極的に選ぶカラーではないので注意しましょう。
傘
就活中、あいにくの雨に見舞われることもあるでしょう。
面接へ向かう際に使用する傘は、普通の大きな傘ではなく、折り畳み傘をチョイスするのがおすすめです。
面接会場に到着したら、建物を濡らさないようすぐに鞄にしまいましょう。
最近では、傘をしまう用の吸水ケースにもさまざまなものがありますし、特に持っていなければビニール袋に入れておけば、鞄の中や他の書類などを濡らさずに済みます。
傘の骨が折れていたり、壊れているところがあったりするものは、まだ使えるとしても面接には持って行かないようにしましょう。
道中で壊れてしまった場合は仕方ありませんが、身だしなみのひとつとして事前に確認しておけると安心です。
また、雨の日はタオルなどを持参し、濡れてしまった足元やジャケットを拭いてから受付へ向かえると好印象です。
防寒具
就活の時期によっては、防寒対策が必要なこともあるでしょう。
誰もが着用するものとして、コートはフォーマルでシンプルなデザインのものを用意します。
カラーは黒や紺、ベージュなど入社後も使えるものを選択すると、長く使えます。
コート類は建物へ入る前に脱ぎ、軽く整えてから受付へ向かうのがマナーです。
鞄にしまう必要はないので、落とさないようしっかりと腕にかけて、建物内へ入りましょう。
手先が冷えやすい人は、会場についてから手先を使うような場面があるかもしれないので、手袋の用意があると安心です。
女性でスカートを履いている場合、ストッキングだけでは寒いと思いますが、黒タイツなどを合わせるのは控えておきましょう。
寒い日に着ていけるパンツを用意する、移動の間だけブーツを履くなど、他の工夫で寒さ対策を行ってください。
面接時の言葉遣いのマナー
最後に面接時のマナーとして、言葉遣いで注意したいポイントをまとめます。
正しい言葉遣いが身についているかどうかは、就活面接においてよく見られるポイントのひとつです。
社会人として必要なマナーでもあるので、今のうちから気をつけておいて損はありません。
特に営業職や接客業の場合、面接での評価も厳しくなりやすいです。
完璧にしようと緊張しすぎる必要はありませんが、多くの人が陥りがちな誤りを事前にチェックしておき、実際の面接に備えましょう。
敬語の使い分け
敬語には、大きく分けて尊敬語・謙譲語・丁寧語の3つの種類があります。
それぞれを正しく使えるように、場面を想像しながら使用例を見てみましょう。
尊敬語は相手を敬う表現で、目上の人には必ず使うようにします。
・「言う」→「おっしゃる」
・「来る」→「おいでになる」「いらっしゃる」
・「食べる」→「召し上がる」
謙譲語は、自分を下げることで相手に敬意を示す表現です。
・「言う」→「申し上げる」
・「行く」→「伺う」「参る」
・「見る」→「拝見する」
丁寧語は、言葉をていねいにする表現で、立場の違いなど関係なく親しくない間柄の人同士で使われる表現です。
・「〜です」「〜ます」
・「お料理」「ご祝儀」
丁寧語は常に使う表現なので、あまり意識せずとも使えるかもしれませんが、どんなときに尊敬語・謙譲語を使うべきか、日常会話の中でイメージしておくといい対策になります。
二重敬語
ていねいな言葉遣いをしようとして陥りがちな間違いが、二重敬語です。
無意識のうちに使ってしまっていることもあるので、正しい敬語の使い方を事前にあらためて確認しておくと、面接にも自信をもって臨めるでしょう。
知らず知らずのうちに使ってしまいがちな二重敬語の代表として、「お〜なる」と「〜なさる」を重ねて使ってしまう表現には要注意です。
たとえば「(企業の偉い方など)がお話になられた〜」などが二重敬語です。
落ち着いて考えれば「お話しになった」「話された」だとわかるのですが、面接など緊張する場面ではそこまで気づかないかもしれません。
普段から確認しておき、正しく敬語を使えるようシミュレーションしてみるのもおすすめです。
面接がうまくいかないときは
ここまで、対面面接で身につけておきたいマナーについて一通りまとめました。
しかし、マナーが守れているからといって面接に通過できるわけではありませんし、言葉遣いや入退室のマナーなどは普段やる機会がないために、うまくできないという人は多いでしょう。
少しでも不安に思ったら、就活のプロに相談するのが成功への近道です。
就活エージェントと面接練習をすることも可能なだけではなく、プロの立場からアドバイスももらえるので、本番前に自信をつけられます。
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おわりに
卒業後の自分を左右する就活の面接では、気をつけるべきことが多く、面倒に感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、ここで紹介したマナーはすべて、社会人になる前に身につけておきたいものばかりです。
身だしなみや立ち居振る舞いで悩んだら、新卒らしいフレッシュさや謙虚さ、意欲などが伝わることを意識してみると、自ずとどうすべきかも見えてくるでしょう。
この記事の内容の他にも、友達や家族をうまく活用してマナーや立ち振る舞いを身につけ、納得のいく結果を勝ち取りましょう。
就活に自信のない人は、就活エージェントサービスを利用し、プロ目線のアドバイスをもらうのがおすすめです。
この記事が、あなたの就活の一助となれば幸いです。