はじめに
就職活動の選考フローでは、必ず面接が行われます。
書類選考や筆記試験・Webテストなどを通過して面接に進んだら、いよいよ内定に直結する重要な局面へ入ったと言えるでしょう。
面接では、質問に対する受け答えの内容だけではなくマナーもチェックされます。
本番で緊張して失敗しないためには、正しいマナーを学ぶことはもちろん、面接の流れを頭に入れておくことも大切です。
そこで、この記事では、面接時の入退室マナーと面接の流れを解説していきます。
【知っておきたいノックに関する面接マナー】回数でノックは意味が変わる
面接は、採用担当者が待っている部屋に入室するところから始まります。
第一印象を左右する重要な瞬間です。
入室時にはドアをノックしますが、まず何回ノックするのが正解なのかを悩む方も少なくないでしょう。
実はノックの回数にもマナーがあり、回数によって意味が異なっています。
世界的に採用されているプロトコール・マナーによると、2回はトイレの確認、3回は友人・家族・恋人など親しい人への入室確認で、ビジネスなどオフィシャルな場での入室確認は4回が望ましいとされています。
プロトコール・マナーは世界共通のマナー・エチケットとして、国際的な会談や行事で遵守されてきました。
近年はさらに広く普及してきたため、教養として学んでおくと良いかもしれません。
【知っておきたいノックに関する面接マナー】面接で入室する際のノックの回数は何回が正しい?
世界共通のプロトコール・マナーにおける3回ノックは親しい人(友人・家族・恋人など)への入室確認とされていますが、日本の就職活動における入室時のノックは3回が一般的です。
日本人の感覚からすると4回では多いと感じることもあり、3回ノックが定着しているのでしょう。
一方で、外資系企業の場合は事情が異なり、プロトコール・マナーがビジネスシーンの正式な作法としている4回ノックが一般的になっています。
日本の企業と外資系企業の両方を受ける場合は混乱してしまいそうですが、ノックの回数はマナーの1つであり、面接結果のすべてを決定するものではありません。
最低限のマナーとして、トイレの確認を意味する2回ノックはNGという認識をもっておくと良いでしょう。
ノック後の入室までの流れ
面接のときにはノックの回数だけではなく、ほかにも守るべきマナーがたくさんあります。
ここからは面接の流れに沿って、シーンごとのマナーをご紹介していきます。
多くの就活生が面接に備えてマナーの勉強をしていると思いますが、流れに沿って学んだほうがイメージしやすく、本番で力を発揮しやすいです。
そして、一通りの流れとマナーを学んだら、ぜひ実践練習に取り組んでみてください。
せっかく学んだことが緊張で抜け落ちてしまわないよう、体に染み込ませましょう。
面接官の返事を待ってドアを開け入室する
ノックを3回もしくは4回したあとは、いきなりドアを開けるのではなく、面接官の「どうぞ」という返事を待ってから入室してください。
返事があったら、ハキハキとした大きな声で「失礼します」と言い、ドアを開けて入室します。
集団面接で前の人がいる場合は、ノックをしたりドアを開けたりする必要はありません。
前の人に続き、元気な声で「失礼します」と言って入室しましょう。
ここで大きな声を出しておくと面接官に好印象を与えられ、さらには面接前の発声練習としても有効です。
緊張すると声も小さくなりがちですが、入室のときから大きな声で挨拶すれば、そのあとの質疑応答でも声のトーンを維持しやすくなります。
また、ドアを開けて入室をするときには、面接官と目を合わせて明るい表情で入室することも大切です。
声や表情は第一印象を左右する重要な要素であるため、ぜひ意識して実行してみてください。
イレギュラーのケースとして、ベンチャー企業などのフランクな雰囲気の面接では、ドアを開けたタイミングで面接官のほうから「こんにちは」などと挨拶をしてくることがあります。
そのときは焦らず臨機応変に、まずは笑顔で挨拶を返しましょう。
挨拶をしたあとで、マナー通りに「失礼します」と言って入室すれば良いのです。
扉を閉める
ノックのあとに「失礼します」と言って入室したら、扉を閉めます。
後ろ手で閉めるのではなく、きちんと扉のほうを向いて閉めますが、このとき面接官に対して完全にお尻を向けると失礼にあたります。
半身もしくは斜めの方向を向いて閉めるようにしてください。
この動作は面接における入退室のマナーの中でも少し難しい部類に入り、緊張したときにミスが起こりやすいため、何度も練習しておくことをおすすめします。
身近な人に確認してもらったり、動画を撮って自分の姿を客観的に見たりしながら、正しい動作を身につけましょう。
また、扉を閉めるときはバタンと音が鳴らないように、静かにそっと閉めてください。
なお、集団面接で後ろの人がいるときには、扉を閉める必要はありません。
扉の前で礼・挨拶をする
入室して扉を閉めたら、すぐに席に向かうのではなく、礼・挨拶をするのが正しいマナーです。
面接官のほうを向き、きちんと目を見ながら「本日はよろしくお願いします」と言って、礼をしましょう。
このとき、話しながら頭を下げるのではなく、挨拶を終えてから、礼をしてください。
話しながらの礼は好ましくないという認識は、広く浸透しています。
ここの場面に限らず、面接中は話すことと礼の動作を別々に行うことが鉄則です。
社会人として働き始めてからも必須のマナーなので、就職活動の時点でしっかりと身につけておきましょう。
また、このときのお辞儀は30度の角度で、男性は両手を体の横に沿わせ、女性は体の前で右手の上に左手を重ねるのが基本とされています。
椅子の横に立ち面接官の指示を待つ
面接が行われる部屋の中は、はじめてその企業を訪れる就活生にとって未知の世界です。
席の配置なども企業によって異なるため、どの席に着けば良いのか、荷物はどこに置けば良いのかはケースバイケースになります。
荷物に関しては、一般的に着席と同時に椅子の横の床に置きますが、荷物置き場を別途用意してくれている企業もあります。
基本的には面接官が指示を出してくれるので、それに従えば問題ありません。
会場まで案内してくれる社員が、事前に立ち位置や席を教えてくれることもありますが、その場合も入室したあとは一旦椅子の横に立って、面接官の指示を待ちましょう。
特に、自分の席がわかっているからといって、面接官からの声かけを待たずに着席するのはNGです。
着席する
椅子の横に立って待ち、面接官から着席するように指示されたら「失礼いたします」と言い、軽くお辞儀をして着席します。
なお、着席の前に簡単な自己紹介を促された場合は、学校名と氏名を述べ「よろしくお願いいたします」と一礼したうえで「失礼いたします」と言って座ります。
椅子には深く座らず、背もたれに背中がつかないようにしてください。
男性は手を軽く握り、両太ももから膝の上に置いて座りましょう
女性は膝の上に手を重ねて置きますが、このとき左手を上にするのが良いとされています。
つま先は前に向けて、男性は軽く足を開き、女性はかかとが浮かないようにして足を閉じます。
面接官は面接中の姿勢もチェックしているため、そわそわせず背筋を伸ばし、美しい姿勢を保ちましょう。
扉がない場合は?
最近は開放的なオフィスが増えていることや感染症対策の観点から、面接会場に扉がない・開放されているケースも考えられます。
その場合は入り口で「失礼します」と言い、面接官からの返事を待って入室しましょう。
「扉がないこともある」という想定をしていないと本番で焦ってしまうため、知識として学んでおいてください。
また、カフェなどで行われるカジュアル面接については「おはようございます(こんにちは)、本日はよろしくお願いします」という挨拶から始めて「失礼します」と言って席に座ります。
ノックをしても返事がない場合は?
ノックをしても返事がないときは、まだ面接官の準備が整っていないことも考えられるため、入室せずにその場で待機してください。
ノックが聞こえていれば、あなたが来ていることは伝わっているので、指示が来るまで待ちましょう。
ただし、そもそもノックの音が聞こえていないケースもあり得ます。
30秒程度待っても返事がない場合は、再度ノックをしてみてください。
最初より強めにノックしても良いですが、急かしているような印象を与えないように、少し音を大きめにする程度に留めたほうが無難です。
それでも返事がない場合は、ドアを開けずに「失礼します」と声をかけてから、ゆっくり扉を開けます。
ただし勝手に入室はせず、面接官に「入室してよろしいでしょうか」と確認してから入りましょう。
退室時の流れ
最後に、退室するときの流れとマナーについて解説します。
質疑応答が終わったあとは、緊張がゆるんでマナーが抜け落ちてしまいやすいタイミングです。
面接は退室するまで、さらに言えばオフィスから出るまでが本番なので、最後まで気をゆるめないでください。
ここでしっかりとマナーを守り、元気で感じの良い振る舞いができれば、面接官の印象にも残りやすいです。
退室時に与える印象は、入室時の第一印象と同じくらい重要なものだと考えて臨みましょう。
椅子から立ってお礼
質疑応答が終わると、面接官から「これで本日の面接は終了です」などの合図があります。
合図を聞いたら椅子から立ち上がり「本日はお忙しい中ありがとうございました」と言って、お辞儀をしましょう。
椅子に座ったまま感謝の気持ちを述べ、その後に立ち上がってお辞儀をするという順番でもNGではないようですが、きちんと立って伝えたほうが礼儀正しく見えます。
面接終了の合図から立ち上がるまでの間が心配なときは、一度「はい」と返事を挟むと良いでしょう。
ドアの前でお礼をし、退室
面接終了後のお礼とお辞儀が終わったら、静かに歩いてドアのほうに向かいます。
ドアの前に着いたらもう一度面接官のほうを向き、しっかりと目を合わせて「失礼いたします」と述べ、お辞儀をしましょう。
それから静かにドアを開けて退室しますが、このときも入室時と同じように、面接官にお尻を向けないことがマナーです。
半身もしくは斜めの方向を向いて、退室するようにしてください。
また、ドアを閉めるときは音を立てず、静かにそっと閉めてください。
もし緊張でマナーを度忘れしたら?
どんなに勉強や練習をしていても、面接では緊張でマナーが抜け落ちてしまうこともあります。
そんなときは、以下の3点を徹底するように意識してみてください。
(2)語先後礼(言葉が先で礼があと)、動作は分けて行う。
(3)着席時は背筋を伸ばして姿勢良く座る。
この3点さえ意識しておけば、たとえ細かいマナーでミスをしたとしても、面接の評価に大きく響くことはありません。
また、失敗したときに無理にリカバリーしようとして、おどおどするのは逆効果だと言えます。
失敗したとしても、堂々と元気良く振る舞うことが大切です。
特にベンチャー企業の場合は、そこまでマナーを重視していないという傾向もあるため、あまり気にしすぎず上記の3点を徹底しましょう。
おわりに
面接ではマナーも重要なチェックポイントです。
小さなミスが原因で落とされることは考えにくいですが、あまりにもミスが多いと社会人としての適性を疑われてしまいます。
正しいマナーを知って練習を重ねれば身につくものなので、ぜひ取り組んでみてください。
ノックの回数などは失敗しても大きくは響かない部類のマナーと言えますが、少なくとも2回はNGという知識は、持っておいて損はありません。
就職活動のマナーは社会人になってからも役に立つため、前向きに学びましょう。