はじめに
就職活動の選考の一環である面接では、さまざまな質問を企業側から投げかけられます。
どんな質問が来るかをあらかじめ考えておいて、ベストな回答ができるのが望ましいですが、中には自分自身のこと以外について問われるケースもあります。
その代表的な質問が、家族構成についてです。
家族構成について面接時に聞かれた経験のある就活生は少なくないため、自分がいきなり聞かれて困らないように対策をしておくと良いでしょう。
聞かれる理由や回答のポイントをまとめたので、面接準備の参考にしてください。
面接時に家族構成について聞かれる理由
そもそも、企業側が面接で家族構成を聞いてくる理由は何なのでしょうか。
自分について答える場が面接ですが、家族構成まで聞かれるとは思っていなかったと感じた就活生も実際に多いです。
企業が家族構成を聞いてくる理由は、主に以下の理由が挙げられます。
これら理由のどれかに当てはまる思いで企業側は訪ねてきているため、あらかじめその心理を読んだうえで答えを用意しておきましょう。
家族構成の答え方1つでも、企業側は採用の判断材料とする可能性があります。
アイスブレイクとして使うため
アイスブレイクとは、張り詰めた空気や参加者の緊張を氷のように溶かす目的で取られるコミュニケーションのことを指します。
就活では、面接やグループワークなどの場でよく耳にする言葉でもあります。
このアイスブレイクを目的として、家族構成を聞いてくる面接官も多いのです。
家族構成とは、いわばプライベートの中でも家族の部分に踏み込む深い部分になります。
しかし、家族構成を答えること自体についてはそこまで難しいこともありません。
そうした部分の質問をして就活生に答えてもらうことで、初対面で緊張しているであろう就活生を少しでも楽にしてあげようという面接官側の配慮で質問されることが多いです。
アイスブレイクとして、気軽に家族構成を聞かれるケースもあることは理解しておきましょう。
性格を知るため
すべてというわけではありませんが、家族構成から性格を知ろうという狙いで質問してくる面接官もいます。
家族構成によって、家族の影響でその人がどのような性格をしているのかがある程度見当をつけられる部分もあるのです。
たとえば兄弟の中でも長男なのであれば、面倒見がよく責任感を持っている人、末っ子なのであれば兄弟の振る舞いをお手本に物事の良し悪しを判断しながら育った人など、おおよその見当はつけられます。
もちろんその人や家庭の状況で変わりますが、就活生のことを何も知らない状態から性格を知る手段としては、効果的な質問であるともいえるのです。
家族構成を聞かれることは、性格を知るきっかけを掴むためであることも念頭においておきましょう。
早期退職の払拭
家族構成を聞くことで、その人が早期退職する可能性があるのかどうかも把握できます。
たとえば、父親が会社を経営している場合、ゆくゆくは実家の家業を継ぐために早期退職する可能性もゼロではありません。
入社時点で本人にその気がなくとも、将来的に家族から相談や提案をされて考えを改める可能性も出てきます。
もちろんこうした将来起こるかもしれないことを基準に判断していてはキリがない部分もありますが、企業としては長く会社で活躍できる人材が欲しいのも事実です。
家業を継ぐ可能性がなく、ずっと働き続けられる人材を雇う方がコスト的にも見合っているからです。
しかし新卒の時点では自身でも予想がつかないため、家族構成は正直に伝えたうえで、そのような予定はないと言い切ってしまっても良いでしょう。
同業者がいないか知るため
家族の中に同業者がいないかを知るためにも、家族構成を聞いてくる場合があります。
家族構成の質問では、具体的に親や兄弟がどんな仕事をしているかを聞いてくる面接官もいます。
これは、家族の中に同業者がいることで情報漏洩のリスクがないかを確認するためです。
もし家族の同業者が自社にとってのライバル企業に勤めていた場合、家庭で仕事の話をしてしまうと大切な情報をうっかりと漏らしてしまうかもしれません。
就活生側が家族同士でそういう会話をするつもりがないと考えていても、仕事外でどんなやり取りが交わされるのか企業側には見当もつかないものです。
情報漏洩のリスクをなるべく払拭するために、同業者が身近にいる就活生は把握しておきたいと考えています。
家族構成についての質問とは?
家族構成の質問はされるものの、その質問について就活生側はどのような気持ちで回答に臨めば良いのでしょうか。
正直に答えるべきではあるものの、中には仕事内容や大まかな世帯年収まで踏み込んで聞いてくる企業も実際にあります。
こうした場で回答するべきか否か、それが選考にも影響しないか不安に感じる方もいるでしょう。
就活生のやる気や気持ちを正しく見極められる良い企業であれば、以下の点を前提に安心してやり取りを進めてください。
本人の能力で評価される
家族構成を聞かれたところで、最終的には本人の能力で判断してくれる企業は多いです。
家族に同業他社で勤めている人がいる、裕福な家庭ではないなどといった就活生を取り巻く環境について何も問われることはありません。
親や兄弟の仕事内容などは参考程度に聞いてきますが、それだけで本人の評価を下すような企業はほとんどないため安心してください。
企業にとって大切なのは、その人自身がどれだけの能力を持っているかです。
会社で大いに活躍してくれる人材であるかどうか、それを見極めるために面接や書類選考で性格や価値観を見極めてきます。
もちろん、家族構成を話すことで性格や価値観の面でプラスに働くこともあるため、家族構成を絡めて何かアピールできる要素を作ってみるのもおすすめです。
就職に際して直接的に関係ない
前述したように、企業が判断するのは就活生の本人の能力です。
家族構成については完全にプライバシーな部分であるため、もし答えにくい場合は無理に答える必要はありません。
訳あって両親が別居中、兄弟がちょっとした問題を起こしてしまったなど、家庭によって口にしにくい事情もあります。
そうした事情まで正直に話してしまうのは、それを話す就活生自身にとっても良い気分ではありませんし、企業側も反応に困ってしまうかもしれません。
家族構成は面接の序盤で聞かれるケースが多いため、言いにくいことを話して微妙な雰囲気にしてしまうのももったいないです。
採用にほとんど関係しない要素であるため、答えにくいところは素直に断るか、やんわりと伝える程度にしておきましょう。
家族構成は配慮するべき事項の1つ
家族構成を尋ねる時は、企業側にとっても就活生に最大限の配慮が求められます。
もし尋ねられても、答えにくい場合は堂々と断っても問題ありません。
企業が面接の場で家族構成を質問することは、厚生労働省が定めている事項に抵触する恐れもあります。
良心的な企業であれば、採用担当は就活生に誠意ある対応を取ってくれるのが通常です。
具体的には以下のような理由もあって配慮すべきとされているため、あまりにしつこく迫ってくる面接官がいた場合は、就活生側もその点を指摘して良いでしょう。
就活差別の防止
厚生労働省は就職活動にあたって、応募者の適正や能力と関係ない事柄で採用可否を判断してはならないと述べており、採用選考の基本的な考え方を提唱しています。
それが「応募者の基本的人権の尊重」「応募者の適正と能力に基づいて判断すること」の2つです。
これらの考え方に基づけば、家族構成によって採用可否を判断するのは就活差別につながるものとされています。
家族の職業や収入、家庭環境に関する話は、就活において応募者の適正や能力をはかる材料にはならないのです。
不合理な理由で応募者の評価を下げることは、企業として絶対に行ってはいけません。
就活生側も答えにくい場合は無理に答える必要はないため、選考への影響は気にせずに回答をしましょう。
実は家族構成を面接の場で聞くことはNG
知っている人もいるかもしれませんが、面接の場で家族構成を聞くことは、厚生労働省が発表している公正な採用選考の基本というガイドラインに抵触しています。
つまり、本来であれば面接の場で家族構成を聞くこと自体がNGなのです。
しかし、このガイドラインについて把握しておらず、面接の開始段階でアイスブレイク、つまり場の雰囲気を和ませるために、ひとまず家族構成など、一見当たり障りがないと思われる質問をする面接官は意外と多いです。
よって、どうしても答えたくない方以外は、家族構成に関する質問の対策をしておきましょう。
面接時に家族構成について聞かれたときの答え方
実際に家族構成を聞かれた場合は、どのように答えるのが良いのでしょうか。
前述したとおり、家族構成の回答内容は就活生の評価を左右するものではなく、企業側も就活差別をしないために配慮して尋ねる必要があります。
性格や価値観を知るという面ではプラスになることもありますが、マイナスになることは決してないため安心してください。
以下のポイントを意識して回答することを心がけておけば、家族構成を問われても緊張せず気軽に回答できるようになるでしょう。
大まかに答える
家族構成を聞かれても、その内容は大まかに回答することを心がけましょう。
たとえば何人家族かを尋ねられた場合は、兄弟や両親について詳しく話すことはせず、素直に「何人家族です」とだけ回答します。
あまり深掘りせず、聞かれたことだけを簡潔に答えましょう。
その他の質問も、正確な情報を伝えることはせずに大まかに答えるのが無難でおすすめです。
大まかな回答を続けておけば、家族構成についてしつこく尋ねてくる企業であっても就活生側の気持ちを汲んで、それ以上踏み込んだ質問をしないようになるでしょう。
就活生側としても回答自体はしているため、断るよりも気持ち的には軽いです。
大まかな回答を続けたからといって、選考で不利に働くことはないため安心してください。
答えなくても良い
完全にプライバシーに関わる質問であるため、就活生側は当然答えなくても問題はありません。
企業側も家族構成を答えてもらうことについて決して強要はできず、就活差別と見做される場合もあるため質問自体を慎重に行います。
回答を断る場合は「プライバシーな部分でもあるため回答を控えさせてください。」
「家族構成についてはお答えできかねます。
申し訳ございません。」
といったように、やんわりと伝えられれば問題ありません。
断ったところで選考に悪影響もないため、答えにくいものには遠慮なく断りを入れることを心がけてください。
どうしても答えを断りにくい場合は、前述したように大まかな回答だけして質問を切り上げてもらうようにしましょう。
嘘はつかない
採用にほとんど響かない回答であっても、その答えが印象的であれば面接官側も記憶していますし、内容をメモされているケースもあります。
こうした時に問題となるのが、嘘の回答をしていることです。
面接時の嘘の回答は、採用後に高確率でバレてしまいます。
これは家族構成に限った話でもありませんが、少しでも採用に有利になろうとして、話を盛るどころか嘘をついてしまう就活生も少なくはありません。
入社してから嘘が発覚した場合、それまで培ってきた信頼関係にも影響が出かねないので注意が必要です。
回答では決して嘘をつかず、答えにくいものは素直に断る、話を盛るにしても実際に起こっていないことなどは答えないように気をつけましょう。
面接官に意図を質問してみる
家族構成についてあまり答えたくない場合は、面接官になぜその質問をしたのか意図を逆質問してみるのも選択肢の1つです。
面接官の意図を確認することで、改めて必要な質問であった場合は、答えるか答えないか考え直してみてください。
ただし、冷たい口調でかつ真顔で「なぜ家族構成について聞くのですか」と言ってしまうと、愛想が悪い印象を与えてしまうため、可能な限りにこやかにどのような意図で質問されたのか聞いてみましょう。
面接時に家族構成について聞かれた時に面接時に意識するべきポイント
面接で家族構成を聞かれた時に、意識するべきポイントを紹介します。
いくら回答内容を事前に準備していても、本番の面接で的確に回答ができなければ意味がありません。
家族構成に限らずどんな質問が来た場合でも、以下に挙げる項目を意識しておけば相手にも伝わりやすく、説得力のある回答ができます。
良い回答で内容もわかりやすい就活生は、仕事においてもコミュニケーションが取りやすいと判断されて、それだけで良い評価を得られます。
結論ファースト
回答では結論ファーストを意識して、初めに結論を相手に伝えることを心がけましょう。
結論を話の最初に持っていくことで、話す内容がより相手にも伝わりやすくなります。
家族構成はもちろん、自己PRや志望動機などの長い話や混みいった話は、話を聞く側も明確なゴールがなければ疲れてしまいます。
初めに結論を話すことで話の大筋がわかるため、以降のエピソード部分などについても話が入ってきやすいのです。
内容を伝えるのが上手な就活生は、仕事においても周囲と良好にコミュニケーションを取れる人材だと判断されやすく、それだけでも有利になります。
どんな質問であっても初めに結論を伝えることを意識して、自分の話をより伝わりやすくしておきましょう。
面接官の質問意図を汲み取る
面接官がなぜその質問を投げかけてきているのか、その意図を汲み取ることで、相手が欲しがっている情報を理解して回答を工夫できます。
質問に限らず、相手の行動意図を汲み取れる人材は社会に出てからも活躍できるため、面接時に意図を汲み取るのが上手であることをアピールできれば、それだけで高評価を与えられるでしょう。
社会に出たら、社内外でさまざまな人と関わる機会が出てきます。
その人たちとコミュニケーションを取る中で、悩みや要望といった相手の意図を自然と汲み取って行動ができれば、思いやりがあり自ら進んで行動できる人だと認識されます。
そういう人材は大きく評価されて、周りからも信頼されるようになるため出世も速いです。
質問の意図を汲み取った回答ができる人は、社会に出てからも活躍ができると見込める人材だと判断されます。
一貫性を持たせる
回答内容には一貫性を持たせることが重要です。
面接の中で先ほどと話している内容が違うといったことが起きてしまうと、話の信憑性や説得力も下がってしまい、面接官に納得してもらうのが非常に難しくなります。
面接では、面接官に自分の話を納得してもらわなければ良い印象を与えられません。
一貫性のない会話を続けてしまうと不採用につながってしまうため注意してください。
また、面接のみに限らず、エントリーシートや履歴書に記載した内容もそれぞれで異なっていないかを確認しましょう。
一貫性を持たせる話をするためには、嘘をつかず正直に話すことを心がけると良いです。
自分の思いやこれまでの出来事を正直に話せられれば、軸のぶれない説得力のある説明ができます。
面接官に悪印象を与えないようにする
家族構成など、プライバシーに関するセンシティブな質問は先ほども紹介しましたが、厚生労働省が発表しているガイドラインに抵触していますし、答えないという選択肢もあります。
しかし、答えない場合にも面接官に悪い印象を与えないような断り方をする必要があります。
ただ一言「それについては答えたくありません」と冷たく言い切るのではなく、「大変申し訳ありませんが、家族構成についてはあまり答えたくありませんので、回答をお控えさせていただいてもよろしいでしょうか」と言いましょう。
面接時に家族構成について聞かれた時の答え方によっては不採用になる?
家族構成の答え方によっては、自身の採用に不利益があるのではないかと不安になる人もいます。
しかし、家族構成の回答では不利益を被ることはないため安心してください。
前述したとおり、就活差別防止などの観点から、企業側も家族構成を質問することには最大限の配慮をしています。
その回答内容で就活生側の評価を下げることはありません。
また、答えにくい内容だからと回答を断った場合であってもこれは同じです。
そのため、詳しくではなく大まかに回答する、質問のされ方によっては回答を控えるといった選択肢を取っても問題はありません。
質問に対しての答え方については、面接官の質問意図もあわせて考えてみると良いです。
単にアイスブレイクとしての話題なのか、性格や価値観を見極めようとしているのかを判断して回答内容も工夫してみましょう。
自信を持って答えることが大切
結論として、家族構成に関する質問に対する答えだけで評価や合否が大きく左右されることはありません。
よって、内容ではなく自信を持って答えることが何よりも大切です。
質問に答えたくない場合は、答えたくないなりの毅然とした応対をすることを意識して、その後の重要な質問にも答えられる心構えを作っておきましょう。
志望動機や自己PRなどと比べて優先度が高い質問ではないため、そこまで気にしすぎず、「ただの1つの質問である」という程度で捉えることが重要です。
面接に自信がない場合はエージェントを利用しよう!
家族構成のベストな回答方法がわからないなど、面接に自信がない場合は就活エージェントを利用してみましょう。
業界に精通したエージェントが担当としてついてくれて、希望条件に応じた企業探しや選考のスケジューリング、面接や書類選考対策など幅広くサポートしてくれます。
企業の面接でよく投げかけられる質問についての模範解答なども教えてくれるため、家族構成をはじめ難しい質問はここで対策が可能です。
初めての就活では不安要素も多いため、一人で進める就活に限界を感じた場合は気軽に就活エージェントを利用してみると良いでしょう。
時間も効率よく利用して、有利に就活を進められます。
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おわりに
面接で家族構成を聞かれる理由や、おすすめの回答方法について紹介しました。
家族構成の質問は面接の中でもそこまで重要なものではなく、就活生の性格や価値観を企業側が把握する程度のものになります。
回答内容によって、その後の選考に悪影響を与えることはないため安心してください。
ただし、少しでも性格面や価値観について家族構成を通してアピールしたいのであれば、回答内容は工夫する必要があります。
事前に考えて準備するなり、就活エージェントを活用するなりしてベストな回答を用意しておきましょう。