はじめに
就活の履歴書はさまざまな情報を書く必要があり、書かれた情報をもとに面接などの選考が行われます。
多くは就活生の基本的なプロフィールになりますが、中には自己PRを書くよう指定されるケースも少なくありません。
就活で初めて本格的な履歴書を書く場合、自己PRをどう書いたら良いのか分からないと考えている就活生は多いでしょう。
この記事では、履歴書における自己PRの役割や書き方、書く内容の探し方などについて解説しています。
履歴書の自己PRに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
【履歴書での自己prの書き方】自己prとは
自己PRを書く際は、まず自己PRがどのような項目なのかを知っておく必要があります。
自己PRにおいて重要なのは、自分が持っている強みと企業側のニーズがマッチングしていると強調することです。
誰でも持っている性格やスキルにおける強みが、企業が求めるものとマッチしていることをアピールします。
エピソードという形でこれまでの人生経験を紹介し、その中で得た、あるいは発揮した強みを記載します。
その強みが、企業の求める人物像に対して当てはまっているのが好ましいです。
【履歴書での自己prの書き方】自己紹介・長所・ガクチカとは何が違う?
履歴書には自己PR以外にも、さまざまな項目を書かなければならない場合があります。
とくに記載を求められるのは自己紹介や長所、ガクチカなどの項目です。
これらは、自己PR同様自分の経験や内面に触れて企業側に自分を採用するメリットをアピールする項目になります。
しかし、自己PRとまったく同じ内容、まったく同じアプローチをすれば良いわけではありません。
各項目によって聞かれていることや企業が知りたいことは異なるため、それぞれに合った内容を個別に考える必要があります。
自己紹介との違い
履歴書には、自分に関する自己紹介を書く場合があります。
自己紹介とは初対面の面接官に対し、自分がどのような人物なのかを大まかに説明するためのものです。
自己紹介の目的は「自分を知ってもらうこと」であり、選考の入口として自分がどういった個性を持っているのか、概要を伝える項目になっています。
一方、自己PRの目的は強みやスキルなどから「自分を売り込むこと」です。
そのため、自己紹介では軽く自分の個性について触れるだけでも構いませんが、自己PRではより詳細に描写して「自分にはこんなに良いところがありますよ」「貴社との相性が良いですよ」「入社したらお役に立てますよ」というのをアピールする必要があります。
自己紹介の場合は、自分の個性だけでなくキャッチフレーズを用いるのも効果的です。
自己紹介と自己PRの違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
長所との違い
履歴書における長所は、自分の良いと感じるポイントや、他者から高く評価されているところなどを紹介する項目です。
自己PRと長所はよく似ており、どちらも基本的に自分の良いところを企業にアピールする項目ですが、アプローチの仕方が異なります。
企業に対して、強みという観点から自分を採用するべき理由を押し出すのが自己PRです。
対して、自分から見た自分の良いところそのものを強くアピールするのが長所になります。
自己PRではエピソードに力を入れて具体的な描写を心掛ける必要がありますが、長所ではエピソードよりも自分の美点がどこなのか、企業の欲しい人材にどれだけ近いかを描写すると良いでしょう。
また、長所は短所とセットになっているものであり、履歴書で短所についても各項目が設けられている場合があります。
長所と自己PRとの違いは、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
ガクチカとの違い
履歴書には、学生時代に力を入れた経験について書く項目が設けられている場合があります。
このような項目を通称「ガクチカ」と呼び、自分の考え方や価値観を示すものとして企業側からも情報の需要が高いです。
ガクチカで用いるエピソードは、取り組んだことの中で自分がどのような課題にぶつかり、どのように解決しようとし、どのような結果を達成したのかを表明するものになります。
ガクチカと自己PRの大きな違いは、自己PRは自分の強みを全面的にアピールするものであるのに対し、ガクチカは具体的な経験やエピソードに基づいて自分の考え方を述べるものであることです。
ガクチカでもその経験がどう役立てられるのかを書く必要はありますが、どちらかと言えば自己PRよりエピソード重視の項目と言えます。
ガクチカと自己PRの違いについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
【履歴書での自己prの書き方】自己prの目的
続いて、自己PRを書くために知っておくべき自己PRの目的を見ていきましょう。
自己PRを成功させるためには、企業がどうして自己PRを聞きたがるのかを知る必要があります。
言い換えれば「自分は何のために自己PRをしようとしているのか」ということです。
具体的な目的は、自分の人柄・人間性を判断してもらうこと、志望先とのマッチ度・相性を知ってもらうこと、スキル・適性を評価してもらうことになります。
それぞれの目的について、企業側の意図を詳しく見ていきましょう。
人柄を判断する
自己PRで見てもらうべきなのは、自分自身の強みから連想される人柄です。
企業の採用担当者は、自社を志望してきた就活生であるあなたがどのような人物なのかを知りたいと考えています。
しかし、就活生について理解するために時間を無限に使えるわけではなく、多くの場合は書類選考と何回かの面接で判断しなければなりません。
とくに面接は一度の時間が短く、その短い時間の中で就活生について理解するためには自己PRの内容が重要なのです。
履歴書に書く自己PRはその前段階にあるものであり、担当者は履歴書に書いた内容から面接でさらなる深掘りをします。
そのため、そもそも履歴書に書かれた自己PRが魅力的に映らなければその先の機会はありません。
自社とのマッチ性を知る
自己PRのメインとも言えるのが、自分と企業との相性です。
企業側としても、就活生の人柄や考え方、価値観などの情報を集めて自社の雰囲気と合うかどうか、入社後も向上心を持って働いてくれそうかなど見ています。
企業が就活生と自社の相性を重視するのは、相性が良くない人物を採用してしまうと現場や企業全体の士気に影響する他、早期退職につながる可能性があるためです。
多くの方にとって、自分と考え方や価値観が大きく異なり、同じ目標を目指せない相手と一緒に働くのは大きなストレスになります。
多少の差異であればすり合わせや許容も可能ですが、齟齬が大きいほど企業全体の士気を下げる結果になるのです。
また、入社した本人が企業の社風が合わないと感じてすぐに退職してしまうと、企業側は採用や教育にかけたコストを失うことになります。
スキルや適性を見る
企業は、自己PRで就活生が選んだ自分の強みから、本人が備えているスキルや適性を見ようとしています。
本人が自覚している、あるいは他者から高く評価されたという強みを聞くことで、自社の業務で活かせるような強みを持っているか、入社してから活躍できそうかを見ているのです。
そのため、自己PRで選ぶ強みはしっかり根拠をもって主張できるものでなければならず、採用担当者が客観的に見て納得できるものである必要があります。
客観性の担保として効果的なのは、他者から褒められた強み、感謝された行動など自分以外の方から高い評価を得た強みです。
そして、その強みがしっかり自社での業務に活用でき、売上や業績の向上に貢献できるものであって欲しいと考えています。
【履歴書での自己prの書き方】履歴書と面接で内容は変えたほうがいい?
履歴書にも自己PRは書きますが、面接の際も自己PRを改めて聞かれます。
中には、人としての魅力や引き出しは多ければ多い方が良いと考え、履歴書と面接で自己PRの強みやエピソードを変えようとする就活生も少なからずいるようです。
実際のところ、同じ企業に提出する履歴書と面接の自己PRの内容は変えた方が良いのでしょうか。
ここからは、書類と対面での回答を変更するとどのような影響が出るのか、詳しく見ていきましょう。
結論: 変えない方が良い
結論から言えば、履歴書と面接における自己PRの内容は変えるべきではありません。
面接の担当者は、提出された履歴書の内容をもとに質問や深掘りをしていきます。
そのため、両方で異なる内容を回答されると、とてもやりにくいのです。
履歴書とは明らかに異なる内容の自己PRを応募者が伝えた場合「言っていることが違うじゃないか」と面接官に不信感を抱かせてしまう可能性があります。
また、同じ人物から複数の自己PRを一度に提供されると、応募者のイメージをひとつに絞れません。
とくに困るのが、履歴書と面接で正反対の強みを提示された場合です。
その点、両者の内容が同じであれば整合性が取れるため、面接官に疑問を抱かせることなく自分をアピールすることができます。
【履歴書での自己prの書き方】prポイントの見つけ方
続いて、自己PRで用いるためのPRポイントの探し方、見つけ方を見ていきましょう。
自己PRで使える強みを探すためには自己分析をする必要がありますが、自己分析にもさまざまなやり方があります。
また、企業との相性を考える場合は、企業研究も欠かせません。
失敗経験を洗い出す、企業が求める人物像を参考にする、採用担当者の目線になってみる、就活エージェントを頼ってみるなど、複数の方法を組み合わせて候補を挙げていくのがおすすめです。
失敗経験を洗い出す
強みを探す方法のひとつは、自己分析による失敗経験の洗い出しになります。
自己PRで書ける内容を見つけるために、過去の経験における失敗談を書き出すのがおすすめです。
多くの場合、人の強みが発揮されるのは、課題や失敗に直面した際の対応になります。
失敗から立ち上がる強さや困難に立ち向かう姿勢が、「タフネス」「粘り強い」「諦めない」などの姿勢として、企業の求める人物像にマッチすることも少なくありません。
そのため、失敗談のほうが有力なアピールポイントとなることもあるのです。
ただ失敗したというエピソードを話すのではなく、失敗談から学んだことや気をつけていること、現在努力していることを自己PRに組み込むと、より好印象な自己PRが作れます。
企業が求める人物像を参考にする
自己PRの強みを探す際は、業界研究や企業研究によって企業が求める人物像をチェックし、それを参考にするのがおすすめです。
先述した通り、自己PRは志望先の企業に向けて「自分はどれだけ採用する価値のある人材なのか」をアピールする機会になります。
そのため、企業のホームページや求人情報に掲載されている「本社が求める人物像」や「求めている人材」を確認し、自分と重なる部分を見つけて自己PRに組み込むのです。
企業が求める人物像は、企業が属する業界や業種、企業、職種によって異なります。
したがって、業界研究で全体的な傾向をつかむのもおすすめです。
とは言え、企業の望む姿に寄せすぎてしまい、自分の本来の強みではないものを選ばないように気をつけましょう。
業界研究については、こちらでも詳しく解説しています。
採用担当の目線になってみる
自己PRの強みを選ぶ際は、志望する企業の採用担当者の目線になってみるのも効果があります。
採用担当者が自己PRを見るときにチェックするのは、強みとして主張されている性質が適切なものかどうかです。
そのためどれだけ貴重で特異な体験をしてきたのかではなく、どれだけ自分という人間を理解して就活に臨んでいるかが大事になります。
そこで、これから面接を受ける企業がどうして求人を出しているのかを考えなければなりません。
今後拡大していく事業のための人材確保、店舗での労働力確保など、新卒採用の現場であっても企業は惰性で求人を出しているのではなく目的があるのです。
企業が現在どのような人材を求めているか考えればおのずとアピールすべき気質が分かり、企業とのマッチングも高まるでしょう。
就活エージェントに相談してみる
自己PRの内容がどうしても見つからない場合は、就活エージェントに相談してみるのがおすすめです。
就活のプロである就活エージェントなら、自己PRの強みを探すための自己分析や、企業に合わせた強み選びの相談に乗ってもらえます。
自分のことをよく知らない相手だからこそ、客観的な視点から自分では気付けなかった強みを教えてもらえる場合もあるでしょう。
また、長く就活に携わってきたからこそ、企業目線での「この就活生なら採用したい」と思える履歴書の書き方に関するアドバイスが受けられます。
自己PRだけでなく、志望動機やガクチカの作成といった選考書類作り、面接対策まで、就活生の活動を幅広くサポートしてくれる心強い存在です。
就活エージェントへの登録は、こちらからどうぞ。
【履歴書での自己prの書き方】prポイントが見つからない原因
自分で自己分析や企業研究を行ったり、プロのエージェントに頼ったりしても、自己PRの強みがなかなか見つからないこともあるでしょう。
強みが見つからないと感じる場合、自分の考え方や強みの探し方を変えてみる必要があります。
よくある強みが見つからない原因は「自分には適したエピソードがないと思い込んでいる」「自分の強みや長所など良いところが思い浮かばない」「強みはあってもアピールとして不十分だと感じている」などです。
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
エピソードがないと思い込んでいる
強みが見つからないと悩んでいる就活生の多くは、「自分にはアピールできるようなエピソードがない」と考えています。
しかし、実際には自分の日常生活の中にアピールに使えるようなエピソードが転がっている可能性があるのです。
就活前から就活中まで毎日を過ごす学生生活と言えば、自己PRに関するエピソードの宝庫になります。
学生なら誰もが打ち込める学業、人生経験を広げてくれるアルバイト、サークルや部活動、趣味で携わったイベントなど、すべての経験を自己PRのネタとして使って良いのです。
自己PRは経歴の素晴らしさをアピールするようなものではないため、選んだエピソードが華やかである必要は決してありません。
過去の経験の中で自分を見つめ直すきっかけさえ見つかれば、自己PRのエピソードは作れます。
自分の強みや長所が思い浮かばない
そもそも、自己PRを考えようとしても「自分が持っている強みや長所など、良いところや強みが思い浮かばない」と考えている就活生もいるでしょう。
しかし、強みも良いところも何もないという人物は基本的にいません。
これから社会に出ていき、成長していくような就活生の方であればなおさらです。
現時点で自分自身のアピールポイントとなる強みや長所が思い浮かばないのであれば、人生のターニングポイントを振り返ってみると良いでしょう。
中学校や高校にどうして進学したのか、どうして今の大学に入ったのかなど、小学生くらいの頃までさかのぼり、自分の人生を一度振り返ります。
そして、自分が今までの人生においてやってきたこと、そのときにした判断を軸に振り返ってみましょう。
強みがアピールとして不十分だと感じている
就活生によっては「これが自分の強みだとは思っているものの、就活のアピールとしては不十分な気がする」と考えている場合があります。
しかし、よほど世間的に印象が悪い飲酒・喫煙・ギャンブルなどのエピソードに基づくような強みでない限り、就活のアピールに使えない強みはありません。
企業との相性次第ではあるものの、アピールの仕方で充分自己PRとして輝く可能性があります。
強みがアピールとして不十分だと感じる場合は、自分で考えた自己PRを親や友人など第三者に聞いてもらうと良いでしょう。
誰かから自分の自己PRや強みを肯定してもらえるだけで、大きな自信になります。
もし客観的な視点から違う長所や強みを相手が思い浮かべていたのであれば、その内容を参考にすることもできるでしょう。
他者の意見をうまく取り入れつつ、自分を納得させることも必要です。
【履歴書での自己prの書き方】自己prのおすすめの構成
続いて、履歴書に自己PRを書く際におすすめな構成についてご紹介します。
自己PRをはじめ、履歴書の各項目に文章を書く際は構成を守って書くことが大切です。
構成がバラバラになっていると、読み終わったときに結局何が言いたかったのか分からなくなってしまいます。
自己PRの構成は、強み、発揮したエピソードの概要、エピソード内での課題や状況、それに対する行動、成果、発揮した強みをどう活かすかの順で書くのがおすすめです。
それぞれのパートについて、詳しく見ていきましょう。
強み
自己PRの冒頭に持ってくるべきなのは、自分が備えている強み、良いところ、美点です。
文章の最初は、結論を端的に述べると伝わりやすくなります。
読み進めていかないと読み手が何を伝えたいのか理解できないような文章は、良い文章とは言えません。
とくに、社会では時間を有効に使うために、効率的な情報伝達が求められています。
最初に結論を言わずに違うパートから始め、何を言っているか分からない場合は「適切な形で情報を伝える能力がない」として選考に落とされる可能性もあるのです。
また、書き手である自分にとっても、結論から書き始めた方が文章の指針ができて書きやすいでしょう。
あちこちに話が飛びにくくなるため、文章の骨子をはっきりさせるためにも結論から始めるのがおすすめです。
発揮したエピソードの概要
次に、強みを発揮したエピソードの概要を述べましょう。
実際にその強みが発揮された出来事の概要を述べ、これからどのようなことについて話すのか、大まかにつかんでもらいます。
冒頭で挙げた強みを証明するためには、どのような取り組みの中で役立ったのかなど、裏付けとなるエピソードが必要です。
根拠がなければ「その人が勝手に主張しているだけ」ととらえられる可能性が高く、本当にその強みがあると納得してもらえない場合があります。
とは言え、いきなり細かい描写でエピソードを書いてしまうと読んでいる側も書いている側も混乱してしまう可能性が高いです。
そこで、エピソードの概要を簡単に述べ、ある程度このような話をします、というのを宣言しておくと分かりやすくなります。
課題・状況
その次に、エピソードの中でぶつかった課題や状況について説明します。
多くの場合、強みが発揮されるのは課題や失敗に立ち向かったときです。
そのため、説得力を持たせるために強みが発揮されたときはどのような状況だったのか、またそのときの課題として何が挙げられるのかを説明します。
採用担当者から興味を持ってもらい「この人の話をもっと聞いてみたい」「この先を読み進めたい」と思ってもらうために、状況の困難さが伝わるような書き方を意識すると良いでしょう。
どのような状況を課題や困難と感じるかは人によりますが、一般的にあまりにも「それは課題とは言えないのではないか」と思われるような簡単なつまずきや当然のことを挙げてしまうと、かえって逆効果になる可能性があるため注意しましょう。
行動
次に、挙げた課題や困難に対してどのような行動を取ったのかを述べましょう。
そのときの状況や解決しなければならなかった課題に対して、何を考えてどのようなアプローチをしたのかを描写します。
行動自体がオリジナリティあふれるものであれば、さらに周りのライバル就活生に差をつけられるでしょう。
オリジナリティのある行動でなくても、なぜそのアプローチにいたったのか、考え方や理由を具体的に述べれば他者と違う自己PRを作成できます。
企業側としても、その「どのように考えて行動を選択したのか」を知りたいと考えており、華やかな経歴などよりも重視される傾向が強いです。
なるべく具体的に、かつ考えと行動に整合性が生まれるような文章を作成しましょう。
成果
次に、一連の行動による成果を述べましょう。
エピソードの中でどのような課題にぶつかり、それに対してどのような行動を起こし、結果的にどのような成果が出たのかを描写します。
これは、実際にその強みや行動がどのように周囲に作用するかをイメージしてもらうために重要なパートです。
また、取った行動は正しかったのか、自分の活動に適切なフィードバックができているかを見られる場合もあります。
数字やデータ、他人の評価など客観的かつ具体的な情報があれば説得力が増すため、積極的に用いると良いでしょう。
結果が伴わなかった場合でも、次に似たような状況になったときにどうすべきかをしっかり反省して考えられているのであれば自己PRとして成立します。
仕事でどう活かすか
最後に、エピソードの中で発揮した強みを、入社後の仕事でどう活かすかを述べましょう。
これまでの説明で述べた自分の強みが、志望先の企業に入社したあとも応用できるものであることをアピールします。
企業は自己PRで、就活生の思い出話や自慢話を聞いているわけではなく、そのエピソードや強みを持った人物が、自社にどのような影響を与えるのかを見定めようとしているのです。
そのため、文章の最後に入社後にどのように活かすかを入れ、その企業に良い影響を与えられる人材だと伝える必要があります。
また、強みを仕事でどう活かせるかを説明できるということは、企業内での業務内容をよく理解していることのアピールにもなるでしょう。
企業への理解度はそのまま志望度につながるため、熱心な就活生だと思ってもらえるメリットがあります。
【履歴書での自己prの書き方】自己pr作成時に気をつけたいポイント
続いて、自己PRの文章を作成する際に気をつけたいポイントについてご紹介します。
自己PRを作成する際、文章を作成するのは提出する就活生その人自身であり、表現の中にも個性が表れるものです。
しかし、表現の仕方や構成によっては文章が分かりにくくなってしまい、あまり効果的な自己PRではなくなってしまう場合があります。
とくに気をつけたいのは、最初に結論を述べること、エピソードの描写自体に重きを置かないこと、抽象的な表現を避けること、実際にどう貢献できるかを述べることです。
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
最初に結論を述べる
自己PRを書く際は、最初に結論を述べることが大切です。
結論から述べることで相手に言いたいことが伝わりやすく、インパクトを与えることが可能になります。
それもできるだけ簡潔にまとめた方が、具体的な強みは何なのかが相手に伝わりやすいです。
しかし、強み以外のエピソードや企業に入社してから何がしたいかなどから始めてしまうと、強みがどの部分に書いてあるのか分かりにくくなってしまいます。
分かりにくい文章は忙しい人事部の方に最後まで読んでもらえない可能性があり、途中で読むのをやめられてしまう可能性すらあるのです。
自分が書いた自己PRを最後まで読んでもらい、最大限の効果を発揮させるためにもまずは結論から述べるようにしましょう。
エピソード自体に重きを置かない
自己PRを書く場合、大切にするべきは持っている強みがどう発揮されたか、どれだけ企業と相性が良いかです。
そのため、エピソード自体の説明に重きを置きすぎた自己PRは趣旨がズレてしまうのでNGとなります。
先述の通り、企業が知りたいのは就活生の思い出話や自慢話ではありません。
そのため採用担当者は就活生が挙げるエピソード自体にはそれほど興味はなく、エピソードを通して読み取れる能力や人間性に注目しています。
したがって、そのエピソードの中で自分がどう考えどう動いたのか、どんな能力を活かしたのか、何を学び身につけたのか、どんな成果が得られたのかを示すことが重要なのです。
自己PRに使える文字数は限られているため、なるべく本当に伝えたいところに文字数を割く必要があるでしょう。
抽象的な表現は避ける
自己PRを書く際は、抽象的な表現は避けた方が良いでしょう。
抽象的な表現は、前提条件を細かく共有できている人同士でしか通じないものです。
そのため自己PRに抽象的な表現を用いてしまうと、お互いのことをよく知らない、そのジャンルについてよく知らない相手には言いたいことがうまく伝わりません。
就活における文章はすべて誰が読んでも分かりやすい文章にする必要があります。
そこで、具体的な経験談を用いたり、なぜそう言えるのかについて段階を踏んだ説明をしたりするのがおすすめです。
自分の強みを発揮して得られた成果や実績を数字で定量的に書くと、さらに説得力が増します。
できるだけ具体的で、かつ専門用語の少ない文章にすることを心掛けましょう。
どう貢献できるかを述べる
自己PRを書く際は、その強みを活かして企業にどう貢献できるかをしっかり明記しておきましょう。
企業との相性を示す重要な部分であるため、自分の強みを入社後にどう活かせるのか、具体的に書く必要があります。
就活でアピールするような強みはただ主張するだけでなく現場で活かすことができてこそ、意味あるものになるのです。
そのため、自分の強みや過去の経験は入社後の仕事に対して連続性のあるものであること、企業の役に立つものであることを伝える必要があります。
また、入社後の目標や具体的なビジョンにつなげることで、しっかりその企業でできることを把握できているとの印象を与えることができ、企業研究をしていることもアピールできるのです。
【履歴書での自己prの書き方】自己prの例文
ここからは、履歴書に書く自己PRの例文についてご紹介します。
今回ご紹介するのは、「責任感がある」「継続力がある」「コミュニケーション能力がある」「臨機応変に対応できる」「論理的思考力がある」の5つの強みに基づく例文です。
例文をチェックすれば、具体的にどのように文章を組み立てたら良いかを把握できます。
ただし、実際に文章を作成する際は自分の言葉で自分の強みを描写する必要があるでしょう。
嘘を書くとすぐにバレてしまうため、正直に自分の言葉で自己PRを書いてください。
例文1: 「責任感がある」
この強みが発揮されたのは、学生時代の塾講師のアルバイトの際です。
学生時代に所属していた塾では数学を教えていたのですが、たまたま受け持った生徒の中に1人、授業にほとんど集中できていない子がいました。たまたま巡り合わせで受け持っただけとは言え、受け持ったからには私が責任を持って教える必要があると考え、個人的にその生徒と話して事情を聞いたところ、分からないところが分からないため集中できないとのことでした。
そこで、数学より前の段階である算数から個別にレッスンを行い、つまずくたびに丁寧にアドバイスをしたところ、同じ教室の誰よりも数学が得意になってくれました。
この強みを活かして、貴社への入社後も縁があっていただいた仕事の一つひとつを大切にし、責任を持って取り組みたいと考えております。
例文2: 「継続力がある」
この強みは、中学生のときから始めたギターの練習で培いました。
私は中学1年生のときから現在まで、アコースティックギターの練習を続けています。
毎日最低1時間は練習しており、はじめのうちは順調に上達していたのですが、コンクールに出るようになったあたりから、思ったように弾けなくなることがありました。
ときには「もうやめてしまおうか」と思ったこともありましたが、あと少しだけ続けてみよう、と練習を続けるのを繰り返し、今ではそれを乗り越えてコンクールでいくつか賞をいただけるまでになりました。
貴社への入社後も、この継続力を活かしてコツコツ努力を積み重ね、成果につなげたいと考えております。
例文3: 「コミュニケーション能力がある」
この強みは、学生時代の外出先で発揮されました。
大学2年生のときに友人とテーマパークに遊びに行った際、幼稚園児くらいの子どもが周りをキョロキョロしながらあっちへ行き、こっちへ行きと1人で繰り返している現場に遭遇しました。
そのままではトラブルに巻き込まれるかもしれないと考え、同行した友人にスタッフの方を呼びに行ってもらっている間にその子どもに話しかけ、スタッフが到着するまで子どもの話を聞いて、その場に引き留めていました。
結果的にスタッフさんとその子どもを探していた保護者の方が駆けつけてくださり、無事にその子どもを引き渡すことができました。
この強みを活かして、貴社への入社後も店舗で困っているお客様に積極的にお声がけしたいと考えております。
例文4: 「臨機応変に対応できる」
この強みは、学生時代のアルバイトで培われました。
私は学生時代は飲食店のホールスタッフとしてアルバイトをしており、いわゆる「ワンオペ」で店を任されたこともありました。
忙しいときなどはトラブル続きで、スタッフが1人しかいない場合は自分でなんとかするしかなく、普段先輩がどのように対処していたかを思い出しながら対処をしていました。
その結果、トラブルが起きた状況に合わせて柔軟な対応ができるようになり、他の従業員の方から相談されるようにもなりました。この強みを活かして、貴社への入社後も柔軟に仕事に取り組み、トラブルにも臨機応変に対応していきたいと考えております。
例文5: 「論理的思考力がある」
この強みは、学生時代のゼミでの研究で発揮しました。
ゼミでは機械を用いた研究を主に行っていたのですが、しばしば機械が動かなくなり実験を中断しなければならない状況に陥っていました。
電源には問題がなく、古い機械でもなかったため、稼働条件に問題があるのかもしれないと考え、どのような状況で利用していたか記録をつけながら、機械が動かなくなる原因について調査を行いました。
その結果、連続で12時間以上稼働させたあとに充分な休息期間を設けずに再度稼働しようとすると短時間で動かなくなることを突き止めることができ、ゼミの中でのルール作りに寄与できました。
この強みを活かして、貴社への入社後もトラブルが「なぜ起きるのか」を論理的に分析し、解決に貢献したいと考えております。
まとめ
自己PRは「私にはこのような強みがあります」「強みをこう活用できるため、貴社との相性が良い人材です」とアピールするための項目です。
履歴書に書いた内容は、面接で深掘りされる材料になるため、整合性を持たせるために同じ内容にしておく必要があります。
自己PRの文章を作成する際は、構成を守って結論から始めると要点が伝わりやすくおすすめです。
強みが見つからない場合は、自分の過去の振り返り方を変えてみると良いでしょう。
自己分析や企業研究を行い、自分の言葉で自己PRを作成してみてください。