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履歴書の特技欄はなぜ必要?|新卒・転職での役割の違いも解説
履歴書の特技欄は、自己PRや志望動機ほど注目されないように見えるかもしれませんが、実は応募者の人物像や適性を見極めるうえで採用担当者が意外と重視するポイントです。
書き方次第で、他の応募者との差別化や、面接時の会話のきっかけとして効果を発揮します。
新卒にとっては経験の少なさを補う“人柄の伝達手段”となり、転職者にとっては職務経歴書では伝えきれない“人間性”や“柔軟性”を示す補足的な役割を果たします。
この欄を丁寧に書くことは、書類全体の完成度を高めることにもつながり、採用担当者の記憶に残る応募者になるための大きなチャンスとなります。
履歴書の特技が評価される理由とは?
企業が履歴書の特技欄を見る理由は、単なる趣味の紹介にとどまりません。
特技には、その人がどのようなことに興味を持ち、どのように努力を続けてきたかといった行動パターンや価値観が表れます。
たとえば、語学や楽器などの習い事を長く続けている人には、粘り強さや計画性を感じ取ることができますし、スポーツをしている人からは協調性やリーダーシップを期待することができます。
つまり、特技は職務経験以外から応募者の特性や強みを読み取るための“もうひとつの評価材料”なのです。
また、履歴書の中で唯一、比較的自由に個性を表現できるパートでもあり、他の応募者と差をつけるうえで非常に有効です。
新卒の場合は「人柄アピール」、転職では「即戦力アピール」
新卒の特技欄は、主に「人柄のアピール」を目的として使われます。
社会人経験がない新卒にとって、部活動、サークル活動、趣味やボランティア経験などを通じて得たスキルや性格を伝える貴重な手段です。
どんな特技でも、そこに至る過程や努力の背景が伝われば、採用担当者はその人の考え方や姿勢を感じ取ることができます。
一方、転職者にとっての特技欄は、業務にどう活かせるかという「即戦力としての視点」が加わります。
たとえば、「タイピングが早い」「Excel関数の活用が得意」「PowerPoint資料を効率よく作れる」など、実務に直結するスキルを特技として示すことで、職務経験と合わせて評価されるポイントになります。
立場によって特技欄の位置づけが異なることを理解したうえで、内容を調整することが大切です。
空欄やありきたりな記述が与える印象
履歴書の特技欄が空欄だったり、「読書」「映画鑑賞」といった誰にでも当てはまりそうな内容だけが書かれていたりすると、採用担当者にとっては「個性が感じられない」「志望度が低いのでは」といったマイナスの印象を与えてしまいます。
特に新卒の場合は、社会経験がないぶん、こうした小さな欄の記述から自己理解の深さや伝える力が問われます。
転職者であっても、空欄にしてしまうと「何も工夫せずに出した書類」と見なされかねません。
どんなに小さなことでも、自分なりに掘り下げて具体性を持たせて書けば、担当者の目に留まりやすくなります。
特技欄は“空白にしていい余白”ではなく、“自分を補足するスペース”だと捉えて、丁寧に書くことが大切です。
履歴書に書く特技の選び方と書き方の基本
履歴書の特技欄は、単なる趣味の羅列ではなく、選考において“人柄・能力・職場適応力”を示す大事なアピールポイントです。
だからこそ、どんな特技を書くか、どう表現するかが非常に重要になります。
新卒と転職では見られている観点が異なるため、それぞれの立場に応じた特技の選び方と書き方を意識する必要があります。
さらに、内容をただ並べるのではなく、応募者自身の強みが伝わるように“伝え方”まで工夫することで、短い欄でも説得力のある印象を与えることができます。
新卒におすすめの特技例とその伝え方
新卒の場合、実務経験がない分、特技を通じて人柄や日頃の取り組み姿勢を伝えることが重要です。
たとえば、継続して取り組んでいる趣味や学生時代の活動など、地道な努力や協調性が感じられる内容は好印象につながります。
「ピアノ歴10年」「週1回のボランティア活動」など、具体的な期間や頻度を添えて書くことで、計画性や責任感も伝えることができます。
また、アルバイト経験から得たスキルを「接客を通じた気配り力」や「多様な年齢層との会話が得意」といった形で特技に変換するのも効果的です。
大切なのは、その特技がどのように自分の性格や行動につながっているかを一言でも示すことです。
転職者にふさわしい特技の選び方と理由
転職者の場合、特技が業務にどう活かせるかという実務との関連性がより重視されます。
履歴書に書く特技は、趣味的な要素よりも、これまでの経験やスキルと結びついているかが評価のポイントとなります。
たとえば、「タイピング速度の速さ」や「マクロを使った業務効率化」などは、事務職やIT系職種で即戦力として期待されるスキルにつながります。
また、過去の職場での取り組みを通じて身につけたスキルを特技として書くことで、実績に裏打ちされた説得力を持たせることができます。
趣味として始めたことでも、業務に活かせるようになった経験があれば、それを積極的に盛り込むことで、特技欄が実力の証明につながるのです。
「得意なだけ」で終わらせない具体的な書き方のコツ
特技を「○○が得意です」とだけ書いてしまうと、どうしてそれが得意なのか、どんな強みに結びついているのかが伝わらず、採用担当者の印象に残りません。
特技を評価されるためには、背景やエピソードを簡潔に添えることが大切です。
たとえば「料理が得意です」ではなく、「週末に3品以上作る習慣があり、段取り力や工夫する力が身につきました」といった具体性を持たせると、応募者の特性や行動力が伝わりやすくなります。
さらに、仕事との関連性を示せればより効果的です。
「タイピングが得意」なら「毎分〇〇文字を正確に入力でき、資料作成の正確性とスピードに活かしています」のように、実務との接点を意識した表現にすると、特技が単なる趣味ではなく“武器”としての価値を持ちます。
履歴書の特技欄の書き方のコツ|共通で意識すべき3ポイント
新卒・転職を問わず、履歴書の特技欄を有効活用するには、ただ思いついたことを書くだけでは足りません。
重要なのは「読み手に伝わる内容」に仕上げることです。
企業の採用担当者は、応募者の特技から人柄や価値観、そして実務との親和性を探ろうとしています。
そのため、どんな内容であっても「伝え方」を工夫することで、印象が大きく変わります。
ここでは、新卒・社会人問わず共通して意識すべき、履歴書の特技欄の書き方の3つの基本ポイントを解説します。
具体性と頻度を加えて説得力アップ
「○○が得意です」という一文だけでは、説得力や印象に欠けてしまいます。
なぜその特技が得意だと言えるのか、どのくらいの期間・頻度で取り組んできたのかを明示することで、読み手に伝わる情報量が格段に増します。
たとえば「ランニングが得意です」と書くよりも、「週3回5kmのランニングを3年間継続しており、目標に向けて努力を続ける力があります」と記載すれば、継続力や意志の強さといった性格面も伝えられます。
数字や期間といった具体的な要素を加えるだけで、同じ内容でも説得力に大きな差が生まれます。
箇条書き or 短文で読みやすくまとめる
特技欄は履歴書の限られたスペースの中に収まる情報でありながら、採用担当者の興味を引く必要があります。
そのため、簡潔で見やすい表現が求められます。
1文が長くなりすぎると読みづらくなり、伝えたい内容がぼやけてしまうため、短文でまとめるか、箇条書き形式を選ぶのが効果的です。
たとえば「特技:プレゼンテーション。
大学でのゼミ発表で毎回資料作成から発表まで担当」など、1~2行にまとめながら、具体性を含んだ表現を意識しましょう。
簡潔さと情報の濃さのバランスが、特技欄では特に重要です。
面接で会話が広がるネタを意識する
特技欄は、面接の場でアイスブレイクや話題展開のきっかけとしても使われやすい項目です。
そのため、面接官が思わず「詳しく聞いてみたい」と思うような、ちょっとした工夫を盛り込むことがポイントです。
たとえば「海外旅行が趣味」と書くだけではなく、「これまでに10ヵ国を訪れ、現地の文化に触れるのが楽しみです」といったひと言を加えることで、相手の関心を引く材料になります。
また、深掘りされたときに具体的なエピソードを話せる特技を選ぶことで、面接全体の印象もぐっと良くなります。
ただの履歴書の一欄としてではなく、会話を生み出す“仕掛け”として特技欄を活用する意識が大切です。
履歴書の特技欄に書ける例文集【新卒・転職別】
履歴書の特技欄は、限られたスペースで自分の強みや個性を表現できる貴重なパートです。
ただし、「何を書けばいいのか分からない」「印象に残る書き方ができない」と悩む人も多いのが実情です。
そこで、新卒・転職それぞれの立場に合った特技の例文と、面接官の印象に残りやすいユニークな特技の表現方法について紹介します。
例文を参考に、自分自身の経験や背景に合った内容へ落とし込むことで、他の応募者と差をつける特技欄が完成します。
新卒向け|学生生活や趣味を活かした特技例
新卒の履歴書における特技欄では、学業・部活動・アルバイト・趣味などの経験をもとに、継続力や協調性、主体性などが感じられるような表現が好まれます。
たとえば、「ピアノを10年以上続けており、集中力と継続力には自信があります」といったように、取り組みの年数や成果を具体的に示すことで信頼性が高まります。
サークル活動やボランティアも、単に所属していたことだけでなく、「年間5回のイベント企画を主導し、相手の意見を取り入れながら形にする力を養いました」といったように、自分が果たしてきた役割と得られた力を伝えることで、特技が自己PRへとつながる内容になります。
転職者向け|職務経験やビジネススキルに基づく特技例
転職者の場合、履歴書の特技欄には、これまでの職務経験の中で培ったスキルや成果を踏まえた内容を書くと効果的です。
たとえば、「Excelの関数やマクロを活用した業務効率化が得意で、月次報告の作成時間を50%削減しました」のように、数値や具体的な改善事例を添えると説得力が増します。
また、「商談において初対面の相手との関係構築が得意で、継続受注率の向上に貢献しました」といったように、職務での強みを特技として打ち出すことで、即戦力としての期待感を高めることができます。
実務スキルを“特技”として位置づける意識を持つことで、採用担当者からの信頼につながります。
共通|面接官の印象に残るユニークな特技例
新卒・転職どちらの場合でも、他の応募者と差をつけるためには、少しユニークで人柄が伝わる特技を選ぶのも有効です。
たとえば、「特技は手書きの地図を描くことです。
旅行先ではガイドマップを自作して記録を残しています」のように、日常の中の創意工夫や楽しみ方を盛り込むと、自然な会話のきっかけにもなります。
また、「即興でプレゼンを組み立てるのが得意です。
ゼミで“お題プレゼン大会”を主催した経験があります」など、本人の個性と努力が感じられる内容であれば、採用担当者の記憶にも残りやすくなります。
重要なのは、奇をてらうことではなく、自分らしさを活かしつつ、仕事との接点が想像できるように伝えることです。
履歴書の特技欄に書かないほうがいいNG例と注意点
履歴書の特技欄は、自分の強みや人柄を自然に伝えるチャンスですが、内容によってはかえって印象を下げてしまうこともあります。
特に「何を書いても自由」と捉えて、深く考えずに記入してしまうと、面接で突っ込まれた際に困ったり、書類選考で落とされる原因になったりすることもあります。
ここでは、特技欄に書く際に避けたほうがよいNGパターンとその理由、さらに注意すべき表現や考え方を解説します。
意図せず評価を下げないためにも、正しく伝える視点を持つことが大切です。
「特になし」「書くことがない」はNG
履歴書の特技欄を空白のままにしたり、「特になし」と記載したりするのは避けるべきです。
たとえ本人に悪気がなかったとしても、採用担当者から見ると「やる気がない」「自己分析が浅い」「応募書類を雑に扱っている」といったネガティブな印象につながる可能性があります。
特技欄は、学歴や職務経歴では見えにくい人物像や魅力を伝える場でもあり、特に新卒の場合は、実績に乏しいぶん“自分らしさ”をアピールできる貴重な欄です。
自信がないからといって空欄にせず、少しでも続けていることや自分が大切にしている習慣などを掘り下げて表現する姿勢が求められます。
マイナス印象を与える特技とは?
特技欄に記入する内容のなかには、採用担当者に悪印象を与えてしまうものも存在します。
たとえば「ギャンブル」「過度なゲーム」「お酒の飲み比べ」など、社会的な責任感や信頼性と結びつきにくい内容は避けるべきです。
また、攻撃的な表現や他人を否定するような内容も、企業文化とのミスマッチを招く可能性があります。
仮にそれが本当に得意なことであっても、履歴書という公的な書類にふさわしい表現であるかどうかを考える視点が必要です。
企業は「一緒に働きたいか」「職場の雰囲気に合うか」といった観点でも応募者を見ているため、不快感や不安を与えかねない特技は書かないようにしましょう。
面接で答えに詰まるような曖昧な特技は避ける
「旅行が好き」「人と話すことが得意」などの曖昧な特技は、表面的には無難に見えても、面接で深掘りされた際にうまく答えられないと評価が下がるリスクがあります。
特技として書く以上は、「なぜそれが得意と言えるのか」「どんな行動や工夫をしてきたか」を自分の言葉で説明できる必要があります。
浅い理解のまま特技欄を埋めると、面接で説得力を欠き、逆に「見せかけだけ」と受け取られることもあります。
採用担当者は書かれている内容以上に、それについてどう語れるか、どれだけ自分の言葉で伝えられるかを重視しています。
そのため、どんな特技であっても、裏付けとなる経験やエピソードを持ち、それを自信をもって語れるかどうかを意識して書くことが大切です。
履歴書の特技欄に迷ったときの対処法
履歴書を書いていると、「特技といえるようなことが思い浮かばない」「これを特技として書いていいのかわからない」と手が止まってしまう人も少なくありません。
特に、就活や転職活動が初めての人にとっては、自分の強みを文章に落とし込むこと自体が難しく感じられるものです。
しかし、特技欄は自己アピールの入り口として活用できる場所であり、工夫次第で十分に内容のある欄に仕上げることができます。
ここでは、履歴書の特技欄に迷ったときの具体的な対処法について解説します。
自己分析ツールやガクチカを活用する
特技が思い浮かばないときは、まず自分を深く知ることから始めるのが効果的です。
就活生であれば、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を振り返る中で、自分が得意としていた行動やスキルが見えてくることがあります。
例えば、サークルでの企画立案、アルバイトでの接客対応、ゼミでのプレゼンなど、そこで培われた力を特技として捉え直すことで、書ける内容の幅が広がります。
また、キャリア支援サイトや就活アプリにある自己分析ツールを使えば、自分の強みや適性を客観的に知ることができ、それをヒントに特技欄のネタを見つけやすくなります。
感覚ではなくデータや経験から特技を導く視点が、納得感ある自己表現につながります。
第三者にヒントをもらう
自分ひとりで考えてもピンとこない場合は、身近な人に「私の得意なことって何だと思う?」と聞いてみるのも有効です。
友人、家族、同僚、指導教員など、普段の自分をよく知っている人からの意見は、思いがけない視点や気づきを与えてくれることがあります。
たとえば、自分では「普通のこと」と思っていた行動が、他人にとっては「それってすごいことだよ」と評価されるケースもあります。
自分では当たり前すぎて見落としていた強みが、実は立派な特技として履歴書に書ける可能性があるのです。
他者の視点を取り入れることは、自分の価値を広く捉え直すきっかけにもなります。
職種や業界に合わせて調整する柔軟性も大切
特技欄に書く内容は、自分の本質を表すものであると同時に、応募先の業種や職種に合わせて調整することも重要です。
たとえば、IT業界に応募するなら「プログラミング」や「PCスキル」に関する特技を優先して書くのが自然ですし、接客や営業職を志望する場合は「人とのコミュニケーション」「場の空気を読む力」など、人間関係に関わる特技が好印象につながる可能性があります。
履歴書は自分を伝えるツールであると同時に、相手に“どう見せるか”を考えるプレゼン資料でもあります。
応募先のニーズを意識したうえで、表現や言葉選びを少し工夫するだけでも、特技欄の印象は大きく変わります。
内容を固定せず、相手目線で調整できる柔軟性を持つことが、納得感と通過率を両立させる鍵になります。
まとめ|履歴書の特技欄は、新卒も転職者も“自分らしさ”を伝えるチャンス
履歴書の特技欄は、限られたスペースながらも、応募者の個性や強みを伝える貴重な項目です。
新卒であれば実績の代わりに人柄やポテンシャルを表現する場として、転職者であれば実務経験には表れにくい“人間的な魅力”や“仕事への姿勢”を補足する役割として活用できます。
特技そのものの珍しさよりも、そこにどんな背景があり、どんな価値観や行動力があるのかを伝えることが大切です。
また、企業側もこの欄を通して、履歴書からだけでは読み取れない“人となり”や“職場との相性”を見極めようとしています。
だからこそ、空欄にせず、自分なりの言葉で丁寧に書くことが、信頼感や誠実さを伝える第一歩になります。
特技欄は単なるオマケではなく、採用担当者との距離を縮める大きなチャンスです。
自信がない人も、自分の過去を丁寧に見つめ直すことで、きっと書ける内容が見えてきます。
自分らしさを武器に変える視点で、ぜひ活用してみてください。