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・「価値提供」を就活の軸にする際のコツ
・面接で話す際の構成
・就活の軸を話すときの注意点
・「価値を提供したい」という思いがある人
・就活の軸がなかなか決まらない人
・「価値提供」をうまく言語化できない人
はじめに
「価値提供」を軸に就活を進めたいと思っている人は多いはずです。
しかし、この「価値提供」という言葉は少し定義が曖昧なため、しっかり対策しないとうまく答えられないこともあります。
そこで今回は「価値提供」を軸に据えている方のために、どのように答えれば良い印象を与えられるか、どのような点に注意すれば良いかについて詳しく紹介します。
価値提供を就活の軸にするのはあり?
結論として、全く問題ありません。
自分の力を誰かの役に立てたいという視点はどの業界・職種でも共通して評価される考え方です。
企業は利益や成果を生み出す存在である以上、どのような価値を提供できるかを考えることは、働くうえで欠かせません。
しかし、面接やエントリーシート上で伝える際には「誰かの役に立ちたい」「貢献したい」といった抽象的な表現だけでは不十分です。
そうした気持ちを抱いた背景や、今後はどのように価値を生み出していきたいのかを具体的に語れれば、むしろ好印象を与えられるでしょう。
就活の軸とは?
就職活動における「軸」とは、自分が企業を選ぶうえで重視する基準のことを指します。
働く環境や仕事内容、将来の成長性など、選考の判断材料となる考え方のことです。
ただの希望や願望ではなく、自分がどのように働きたいのか、どのような環境や考え方のもとで力を発揮できるかといった、深い自己理解に基づく判断基準と言えます。
日本には企業が無数に存在するため、自分に合う企業を見つけ出すためには、このような軸を設けておくことが非常に大切なのです。
2個から4個程度設けておくと、就活がスムーズに進みつつ、選択肢を狭めすぎることもないでしょう。
就活の軸はなぜ必要?
軸が重要だと何となく分かっていても、その理由がはっきりしていない方も多いでしょう。
納得できなければ定める気にもならないでしょうから、まずは軸がなぜ必要かについて一緒に考えてみましょう。
企業を絞るための基準になる
最大のメリットの1つとして、数ある企業の中から自分に「合わない選択肢」を早い段階で除外できることが挙げられます。
就活では多種多様な企業情報に触れるため「年収が高いから」「周囲が受けているから」といった曖昧な理由で企業を選んでしまいがちです。
しかし、軸があれば表面的な情報に惑わされず、自分に本当に合っている企業だけを選べるようになります。
その結果、選考準備の時間やエネルギーを、自分が本当に魅力を感じる企業だけに集中させられるでしょう。
将来のビジョンを立てられる
軸を考えることは、自分が将来どのような社会人になりたいのかを明確にするきっかけにもなります。
日々の業務に向き合うためには、自分がなぜその職種を選んだのか、何をして、誰の役に立ちたいのかといった、柱になる考え方が必要です。
「なんとなく就職を目指す」だけでは目の前の選考を通過することばかりに意識が向き、長期的なキャリアについてまでは考えが及ばないまま終わってしまうこともあります。
そこで、軸を設けて、目指す姿に近づくために今何をすれば良いのか、どのように努力すべきかが明確にしましょう。
そして自分が理想とする働き方がわかるので、企業選びや業界選びにおいても最適な判断がしやすくなり、その実現に向けた筋道を描けるようになるのです。
ESや面接などの選考対策になる
軸が明確であれば、ESや面接での回答に一貫性と説得力が加わります。
志望動機や自己PRを記述する場面では「なぜその企業なのか」「自分は何を実現したいのか」を論理的かつ具体的に伝えなければなりません。
その際、軸をもとに話を組み立てることで、自分の考えに軸が生まれ、面接官にも納得してもらいやすくなります。
企業の採用担当者は自社の方針や働き方と合致する人物かどうかを見極める際に「その軸がどれだけ企業と結びついているか」を重視する傾向があるため、企業との共通点を強調しましょう。
価値提供を使った就活の軸の構成
続いて、就活の軸について聞かれた際にどのように回答すれば良いかについて詳しく紹介します。
この構成はどのような軸を定める場合でも、どのような企業を受ける際にも汎用的に活用できるものです。
企業に応じて話の主題を変えようと思っている方も、ぜひ覚えておいてください。
どんな価値を提供したいのか
まずは自分が提供したい価値を具体的に言語化することが重要です。
「役に立ちたい」などの曖昧な表現ではなく、どのようなニーズにどう応えられるかを、自分の経験と照らし合わせながら整理しましょう。
部活やアルバイトなどの経験を振り返り、自分が意識してきたことや周囲から感謝されたことなどを思い出してください。
大切なのは、なぜその価値を提供したいのか、その背景にある思いや考えを掘り下げることです。
価値観や人との関わり方と結びつけて語ることで、あなたの軸に深みが生まれ、面接でも本質的な魅力が伝わるはずです。
その価値をどのように提供したいのか
提供したい価値を明確にしたら、次はどのような方法で提供していくかを具体的に描くことが欠かせません。
同じ価値であっても、それを実現するための手段や働き方は人によって異なります。
「人を支えること」1つをとっても、現場で直接関わりたい人もいれば、商品や仕組みを通じて間接的に貢献したい人もいるはずです。
どの立場で、どのような行動をして役に立ちたいのか、自分の言葉で整理してみましょう。
そのうえで、自分の強みや経験がその手段にどう結びつくかを意識すると、より現実的なイメージが描けます。
特に、実体験に裏打ちされた方法であれば面接でも説得力が増し、企業側もあなたが働く姿を具体的に思い描きやすくなります。
提供した価値の対価に何を得たいのか
最後に、自分がどのような対価を得たいのかを考えることも、就活の軸を語るうえで欠かせません。
ここでいう「対価」とは給与や待遇といったわかりやすいものだけでなく、成長実感や達成感、人とのつながりといった内面的な報酬も含まれます。
就活では「何を得たいか」を口にすることをためらう人もいますが、健全なモチベーションを保つうえでは、対価意識を持つことも大切です。
自分がどう報われたいのか、どのような経験を通じて成長したいのかを素直に言葉にすることで、入社後の姿を企業にも具体的にイメージしてもらいやすくなります。
価値提供を就活の軸にする際のポイント
続いて、価値を提供することを軸に据える際のポイントについて詳しく紹介します。
以下の5点を意識できている人と、そうでない人とでは面接における印象が大きく異なってきます。
ぜひ、面接官に良い印象を与えるためにも、以下の5点を意識して本番に臨んでください。
「誰に」価値を届けたいか明確にする
役に立つ対象がぼやけたままだと話全体が抽象的になり、選考での印象は非常に弱くなってしまいます。
自分がどのような相手に貢献したいのかをはっきりさせることで、一貫性のある企業選びができます。
顧客なのか、患者なのか、企業の中で働く従業員なのか。
対象によって求められる能力や姿勢が大きく異なり、それに応じた絞り込みやビジョンが求められます。
また、届けたい相手を具体化することで、企業との共通点を見つけやすくなります。
面接でも「この企業はこういう人々を支えている。
だから自分に合っている」という説得力のある説明ができるようになるでしょう。
「何を」価値として提供できるか自己分析する
自分が何提供できるのかを把握することも非常に重要です。
ここでの「価値」は特定のスキルや資格だけでなく、自分の姿勢や考え方、周囲とどう関わってきたかといった広い意味での強みも含まれます。
自己分析を通じて、自分が周囲からどのように評価されてきたのか、どのような場面で強みを発揮してきたのかを振り返ってみましょう。
そのうえで、自分が何を提供できるかを言語化できれば「このような貢献ができる」と精度の高い説明ができます。
価値提供とは、自分が持つ能力や資源を、相手のニーズに応じて形にして届ける行動を指します。
ただ「持っている」だけでなく「それをどう活かすか」が問われる概念です。
その「変換」をスムーズに行うためには、自分自身を深く理解しておくことが欠かせません。
企業の事業内容と提供価値を結び付ける
自分が提供したい価値が明確になったら、次に必要なのは、企業の事業内容と提供価値を結び付けることです。
この際に評価されるのは自分の思いと企業の方向性との間に共通点や一貫性があるかどうかという点です。
自分が届けたい価値が、企業のどの事業やサービスでどう実現できるか、どの対象にどう役立つのかを考えるようにしましょう。
企業理念をただなんとなく読むだけでなく、実際の事業の中身や関わる対象者、提供しているサービスの特性まで丁寧に調べましょう。
こうすることで内容に厚みが生まれて、企業側にとっても自社との相性を判断しやすくなります。
経験を根拠にする
なぜそのような価値を自分が提供できると思うのか、経験をもとに語ることが大切です。
「貢献したい」「支えたい」「頑張りたい」といった言葉だけでは具体性がないため、過去に成功した場面を振り返り、それが今後も再現可能な強みであることを示さなければなりません。
一度限りの偶然の成功ではなく、意識して行動し、継続的に発揮してきた力であることを伝えましょう。
また、その経験を通じて自分が何を感じたのか、どのような考えを持つようになったのかも言語化しておくことで、回答に説得力が生まれます。
自分のエピソードを元に、価値の方向性や提供方法まで話せるようにしておくと、面接官に納得してもらえるでしょう。
入社後の貢献イメージを具体的に示す
最後に、自分が提供できる価値を入社後の業務とどのように結びつけていきたいかを明確に示すことも欠かせません。
これは「働きたい理由」ではなく「どう働くか」を具体的に伝えるということです。
どのような場所、立場で、誰に向けて、何を実現したいのかを言語化しなければなりません。
入社後のビジョンを描けていないと、企業はあなたが自社で活躍できるかを判断しづらくなってしまいます。
一方で、価値の届け方や届け先が具体的であれば「この人がうちで働いたら、このように活躍してくれるだろうな」と想像しやすくなります。
入社後の未来について「自分の言葉で」具体的な説明をしましょう。
就活の軸に価値提供を使うときの注意点
続いて、就活の軸に価値提供を使うときに意識しなければならないポイントについて紹介します。
以下の4点を全く意識せずに面接に臨んでしまうと、気づかぬうちにマイナスな印象を与えてしまう可能性があります。
面接は総合点で判断されるものですから、悪い印象を与えないよう、以下の4点を意識して面接に臨んでください。
上から目線に聞こえないようにする
この軸は伝え方を誤ると、上から目線であると受け取られてしまう可能性が高いです。
特に学生の立場で「自分はこうやって貢献できる」と強く主張しすぎると、社会経験がないにも関わらず、自分を過信していると受け取られるおそれがあります。
大事なのは自信の強さではなく、素直さや柔軟性、そして成長していく姿勢です。
これまでの経験をもとに「企業でさらに学び、価値を届けられるようになりたい」という前向きな姿勢を意識する必要があります。
「1年目でいきなり、社内の誰よりも活躍する」など大袈裟な言い方をすると「この人はうちのことを舐めているのか?」と怒らせてしまう可能性すらあるため、気をつけましょう。
抽象的な表現だけでなく具体性を持たせる
価値提供という言葉は魅力的ですが、抽象的に聞こえやすいという側面に注意が必要です。
「誰かの役に立ちたい」「社会に貢献したい」という言葉だけでは具体的にどんな価値を届けたいのかが全くわからず、採用担当者の印象には残りにくいでしょう。
重要なのは、自分の経験と価値提供の内容を結びつけて語れるかどうかです。
どのような経験からそのような思いを持つようになったのか、誰にどのように貢献してきたのか、その経験を今後どう活かしていきたいのかを自分の言葉で説明できるよう、準備しておくことが求められます。
また、抽象的な表現を避けて、経験に根ざして話を展開しましょう。
強みを強調するタイプの軸ですから、特に強い根拠が必要です。
独りよがりな価値にならないようにする
自分が届けたいと思っている価値が企業の方向性や社会のニーズとあまりにも乖離していると、それはただの独りよがりだと思われてしまいます。
自分がやりたいことだけでなく、企業が求めていることに目を向けることが欠かせません。
企業研究を丁寧に行い、ビジネスモデルや現在の課題、提供しているサービスの方向性などを理解しておきましょう。
そのうえで、自分の持っている経験や強みがどのように活かせるのかを考えることで、現実的かつ実践的な話ができます。
「自分はこうしたい」だけでなく「企業にとって何が必要で、その中で自分が何を担えるか」という視点を持つことで、共感性と実行力の両方が伝わる表現になるでしょう。
成長したい意欲も併せて示す
「どんな価値を提供できるか」だけでなく「仕事を通じて何を得たいか」「どう成長したいか」も併せて伝えることで、より現実的で信頼感のある姿勢を示すことが大切です。
企業は今のスキルだけでなく、入社後にどのように成長し、継続的に貢献できる人物かを見ています。
そのため「どんな経験を積みたいか」「どのようなスキルを磨きたいか」を言葉にすることが大切です。
また、仕事を通じて得たい達成感や人とのつながりも含めて語れば「価値提供と自己成長の両立」を意識していることが伝わります。
一方的に何かを得たいという姿勢ではなく「価値を届け、そして自分も成長したい」という意欲を示すことで、企業とともに成長していける人材だと思ってもらえるでしょう。
価値提供を使った就活の軸の例文
ここまで紹介してきた内容を踏まえたうえで作成した、3つの例文を紹介します。
いずれも価値提供をすることを軸に据えた回答の例文であり、この記事のおさらいとしても活用できます。
この記事で学んだことを思い出しながら読んでみてください。
例文①
大学で地元の個人商店と連携し、商店街の集客イベントを学生主体で企画・運営しました。店舗ごとのニーズを把握するため1軒1軒を訪ね、現状の悩みや顧客層をヒアリングした結果、共通の課題は「若年層への認知拡大」だとわかりました。そこで、学生とのコラボによるSNSキャンペーンを提案し、運営と集客に奔走しました。その結果、イベント当日は通常の2倍以上の来客があり、参加店舗からも感謝の声をいただきました。
貴社は顧客の課題を丁寧に分析し、ソリューションとして形にすることを重視しています。
入社後は提案力と実行力を磨き、信頼関係を築きながら、課題解決を通じて多くのクライアントに貢献する所存です。
例文②
ゼミで地域経済の活性化に関する研究を行い、複数の自治体の統計データをもとに商圏の変化と人口動態の関係を分析しました。分析した情報をもとに提案を組み立てることにやりがいを感じ、数字から価値を生み出す働き方に魅力を感じるようになりました。
貴社はデータを活用した意思決定支援に力を入れており、部門横断でのデータ活用体制が整っている点に惹かれました。
入社後は定量的なデータに基づいた市場分析や業績改善の提案を通じて、組織の意思決定を支える存在になる所存です。
例文③
大学で地域の中小企業と連携したビジネスコンテストに参加し、SNSを活用した集客戦略の提案を行いました。トレンドや顧客ニーズを捉え、仮説を立てて検証し、改善を繰り返す中で、新しい価値を模索する姿勢が身につきました。提案後、企業が実際に施策の一部を採用してくださったことが、自分にとって大きな自信となりました。
貴社は業界内でも革新性に定評があり、新規事業やサービス開発に積極的な文化がある点に惹かれました。
入社後は、若手のうちから挑戦の機会を活かし、組織に刺激を与える存在として活躍する所存です。
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ここまで就活の軸を定めるコツや注意点などについて詳しく紹介したものの、記事を読んだだけでそんなに簡単に物事が運ぶならば、就活で悩む人はここまで多くないでしょう。
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まとめ
今回は就活の軸を「価値提供」にしたいと考えている方に向けて、どのような点を意識し、どのような点に注意すべきかを詳しく紹介しました。
価値を提供したいという思いは就活において評価されやすいものですが、同じようなことを話す就活生が多いのも事実です。
ぜひこの記事を参考に、他の就活生と差別化できる質の高い回答を準備して、内定を勝ち取ってください。
