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・金融業界が稼ぎやすい理由
・特に稼げる職種
・金融業界に必要なスキル
・金融業界を検討している人
・金融業界の福利厚生や制度を知りたい人
・自分が金融業界に向いているか知りたい人
はじめに
就職活動を進める中で自身のキャリアプランを考える際、年収は重要な要素の1つでしょう。
特に金融業界は、高収入というイメージが先行し、多くの方が関心を寄せる業界です。
しかし、その実態については漠然としたイメージしか持てていない方も多いのではないでしょうか。
この記事では金融業界が本当に稼げるのか、そしてどのような職種で高い収入が期待できるのかを、仕事内容と共に掘り下げていきます。
業界の全体像から、求められるスキルまで詳しく解説するため、ぜひ企業研究や自己分析の参考にしてください。
【金融業界は稼げる?】金融業界は本当に稼げるのか?
金融業界に対して高収入というイメージを持つ方は多いですが、その実態は一体どうなのでしょうか。
世間一般のイメージだけでなく、客観的なデータと業界の構造から、金融業界の収入事情を紐解いていきましょう。
結論から言うと、金融業界は他の業界と比較して平均年収が高い傾向にあります。
もちろん、企業規模や職種によって差はありますが、業界全体として高い水準を維持していることは事実です。
これから、具体的なデータを見ながら、その理由について一緒に確認しましょう。
平均年収の比較
国税庁が発表している「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給与所得者の平均給与は460万円です。
これに対して「金融業・保険業」の平均年収は652万と全業界平均を大きく上回る結果が出ています。
このデータからも、金融業界が他の業界に比べて高い給与水準にあることは明らかです。
特に、外資系の投資銀行や一部の証券会社、アセットマネジメント会社などはこの平均をさらに押し上げる存在となっています。
【金融業界は稼げる?】高収入が実現しやすい理由
- 業種別トップ企業の年収が突出している
- 職種ごとに高収入水準(トレーダー・ディーラー等)
- インセンティブ・ボーナス制度の充実
- 優秀な人材を獲得するため
- 規制産業のため
金融業界の年収がなぜ高い水準にあるのか、その背景には業界特有のビジネスモデルと、人材に対する考え方が深く関わっています。
企業の利益が従業員に還元されやすい仕組みが高収入を実現する土壌となっているのです。
ここでは金融業界で高い収入が実現しやすい具体的な理由を、3つの側面から解説します。
①業種別トップ企業の年収が突出している
金融業界全体の平均年収が高い大きな理由として、業界を牽引するトップ企業の存在が挙げられます。
特に三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行といったメガバンクや野村證券、大和証券などの大手証券会社は国内でも屈指の給与水準を誇ります。
安定した顧客基盤と高い社会的信用を背景に、法人融資や資産運用、リテール営業など多岐にわたる事業で莫大な収益を上げているからです。
その潤沢な利益が従業員の給与として還元される仕組みです。
優秀な人材を獲得し、維持するための競争も激しく、それが高い給与水準に繋がっています。
②職種ごとに高収入水準(トレーダー・ディーラー等)
金融業界と一括りに言っても、その職種は多岐にわたります。
特に高い専門性が求められる職種では年収も際立って高くなる傾向があります。
代表的な例が自己の資金や顧客からの預かり資産を用いて金融商品の売買を行う、トレーダーやディーラーといったマーケット部門の専門職です。
彼らは経済指標や地政学リスクといった情報を分析し、市場のわずかな変動を捉えて利益を追求します。
その判断1つで会社の収益が大きく左右されるため、背負う責任は非常に重いものです。
このような高度な分析能力、迅速な判断力、そして強靭な精神力が求められる業務の対価として、他の職種とは一線を画す高い報酬が設定されています。
③インセンティブ・ボーナス制度の充実
金融業界、特に外資系投資銀行や証券会社の営業職、トレーダー職などでは年収に占めるインセンティブやボーナスの割合が非常に大きいという特徴があります。
これは個人の成果や会社全体の業績が直接的に給与へ反映される成果主義の考え方が強く浸透しているためです。
基本給に加え、個人の営業成績や取引で得た利益、チームの目標達成度など、明確な評価指標に基づいて算出された賞与が支給されます。
時にはこのボーナスが基本給を大きく上回ることも珍しくありません。
実力次第で青天井の収入を目指せるこの仕組みは、高い目標を持つ人材にとって大きな魅力です。
④ 優秀な人材を獲得するため
金融商品は極めて複雑であり、市場の動向や関連する法律に関する高い専門知識が不可欠となります。
また、「お金」という顧客にとって極めて重要な資産を取り扱うため、一つの判断ミスや事務処理の誤りが、会社や顧客に甚大な損失をもたらす可能性があります。
この責任の重さは他の業界と比較しても非常に重く、その責任の重さに見合う報酬水準を設定することで、マーケットにおいて優秀な人材を惹きつけ、その高い専門性と倫理観を確保する必要があるのです。
高い給与は、優秀な就活生やプロフェッショナルがこの金融業界を選び、顧客の信頼に応えるサービスを提供するための基盤となっていると言えます。
⑤ 規制産業のため
金融業界は、私たちの社会の経済活動の根幹を支える役割を担っているがゆえに、国や法律による厳格な規制のもとで運営されている規制産業です。
この厳格なルールを遵守しながら、なおかつ革新的な金融サービスを提供し、ビジネスとして成功を収めるためには、コンプライアンス意識が非常に高く、かつビジネスを推進できる非常に優秀で信頼できる人材が不可欠とされます。
例えば、アンチ・マネーロンダリング(AML)や個人情報保護など、規制に対応するための専門チームや法務・コンプライアンス部門の専門知識は、企業の存続に直結します。
これらの専門性を高水準で維持するため、金融業界では高い報酬をもって、その責任と能力を評価しているのです。
この特殊な環境が、金融の高い給与水準を支える一因となっています。
【金融業界は稼げる?】稼げる金融職種ランキング
- 1位:投資銀行家/IBDアナリスト
- 2位:トレーダー・ディーラー
- 3位:証券営業(大手証券)
- 4位:信託銀行営業/アセットマネジメント
- 5位:損害保険営業(メガ損保)
- 6位:金融分析/アナリスト
- 7位:ファイナンシャルアドバイザー/保険アドバイザー
金融業界には銀行の窓口業務から専門的な分析業務まで、実に多様な職種が存在します。
その中でも、特に高い専門性が求められ、成果が収入に直結しやすい職種は高年収を実現しやすいです。
ここからは具体的にどのような職種が「稼げる」のか、ランキング形式で紹介していきます。

1位:投資銀行家/IBDアナリスト
金融業界の年収ランキングで常に上位に位置するのが投資銀行のIBD部門で働く投資銀行家やアナリストです。
主な業務は企業のM&Aに関するアドバイスや、企業の資金調達のサポートです。
企業の経営戦略そのものに深く関与し、数千億円規模のディールを動かすことも少なくありません。
そのため、高度な財務分析能力、法務知識、そしてクライアント企業の経営層と渡り合うための交渉力が求められます。
業務は非常に多忙を極めますが、その分、成果に対する報酬は絶大です。
外資系の投資銀行では20代で年収数千万円に達するケースもあり、実力次第で大きな成功を掴める職種と言えるでしょう。
2位:トレーダー・ディーラー
次に高収入が期待できる職種として、トレーダーやディーラーが挙げられます。
銀行や証券会社の自己資金を元手に、株式、債券、為替といった金融商品を市場で売買し、利益を追求する専門職です。
世界中の経済ニュースや市場の動向を常に監視し、瞬時の判断で大規模な取引を実行します。
その判断1つで会社に莫大な利益をもたらすこともあれば、逆に大きな損失を生む可能性もある、非常にプレッシャーの大きい仕事です。
パフォーマンスが会社の収益に直接結びつくため、成果に応じたインセンティブが高く設定されており、トップクラスのトレーダーは億単位の年収を得ることもあります。
3位:証券営業(大手証券)
大手証券会社の営業職も、高収入を実現できる職種の1つです。
個人顧客を担当するリテール営業と法人顧客を担当するホールセール営業に分かれます。
どちらも顧客に対して株式や投資信託、債券といった金融商品を提案し、販売することが主な業務です。
顧客の大切な資産を預かり、その運用をサポートする役割を担うため、金融商品に関する深い知識はもちろん、コミュニケーション能力が重要になります。
特に富裕層や大企業を担当する場合、動かす金額も大きくなるため、成果に対する報酬も高くなります。
営業成績に応じてインセンティブが支給されるため、自身の努力と成果次第で収入を大きく伸ばせるのがこの職種の魅力です。
4位:信託銀行営業/アセットマネジメント
信託銀行の営業職やアセットマネジメント(資産運用)会社の専門職も、安定して高い収入が期待できる分野です。
信託銀行では個人の顧客に対して遺言信託や不動産、法人顧客に対して年金運用といった、通常の銀行業務よりも専門的で長期的な資産管理サービスを提供します。
一方、アセットマネジメント会社は投資家から集めた資金を元に専門家として資産運用を行い、その運用成果を還元します。
長期的な視点で顧客と向き合い、安定した収益を上げるビジネスモデルであるため、給与水準も高く、腰を据えてキャリアを築きたい方に向いているでしょう。
5位:損害保険営業(メガ損保)
損害保険業界、特に東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、損害保険ジャパンといった「メガ損保」と呼ばれる大手企業の営業職も、高収入が期待できる職種です。
損害保険は火災や自動車事故といった個人のリスクから、企業の事業活動に伴う様々なリスクまで幅広くカバーする商品を扱います。
特に法人営業では工場やプラント、船舶、航空機といった巨大な資産に対する保険や、企業の賠償責任保険など、扱う契約の規模が非常に大きくなります。
1つの契約で動く保険金額が数億円、数十億円にのぼることも珍しくありません。
そのため、契約を獲得した際の成果報酬も大きく、個人の成績が収入に直結しやすい環境です。
6位:金融分析/アナリスト
金融アナリストは株式市場や債券市場、個別企業や特定の産業について、専門的な調査・分析を行う職種です。
分析結果は投資家がどの企業に投資すべきかを判断するための重要な情報源となります。
アナリストは2種類あり、証券会社に所属し、外部の投資家向けにレポートを発行するのが「セルサイド・アナリスト」です。
「バイサイド・アナリスト」は資産運用会社などに所属し、自社のファンドマネージャーのために分析を行います。
どちらも、企業の財務状況や将来性を深く分析し、その価値を評価するという非常に高度な専門性が求められるため、高い報酬が支払われるのです。
7位:ファイナンシャルアドバイザー/保険アドバイザー
ファイナンシャルアドバイザーや生命保険会社のアドバイザーも、成果次第で高収入を目指せる職種です。
個人の顧客に対して、ライフプランをヒアリングし、その目標達成のために最適な金融商品や保険商品を提案します。
顧客の人生に深く寄り添い、長期的な視点で資産形成をサポートする、コンサルティング要素の強い仕事です。
扱う商品には投資信託や変額保険など、高額で複雑なものも多く含まれます。
そのため、販売した商品の手数料が収入に反映されることで高い報酬を得られます。
稼げる金融業界ランキング
ここからは、就活生の皆さんが特に気になる、金融業界の中でも特に稼げるとされている業界をランキング形式で詳しく解説していきます。
ただし、ここで示される平均年収はあくまで業界全体の傾向であり、個々の企業の規模や職種、個人の成果によって大きく異なることを理解しておきましょう。
このランキングは、あなたのキャリアプランを考える上での参考情報として活用してください。
- 1位 M&A業界
- 2位 証券業界(ホールディングス)
- 3位 信託銀行業界(HDふくむ)
- 4位 銀行業界(メガバンク)
- 5位 保険業界(生命・損保HD)
1位 M&A業界
M&A(企業の合併・買収)業界は、まさに成果連動型報酬の極致と言えます。
この業界の報酬体系は、会社の収益、すなわちM&Aの成立によって発生するフィー(手数料)が、案件を担当した個人コンサルタントのインセンティブ(成功報酬)に直結する実力主義の構造となっています。
数億円、数十億円といった大規模な案件を成功させた場合、その実績がダイレクトに個人の年収を押し上げる仕組みです。
そのため、M&Aの仲介や助言を行うブティックや投資銀行部門(IBD)では、高度な知識と交渉力を持つプロフェッショナルに対して、非常に高水準の報酬が支払われます。
高い野心と実績を追求したい就活生にとっては、最も魅力的な分野の一つでしょう。
- 1. M&A総合研究所:約2,800万円
- 2. M&Aキャピタルパートナーズ:約2,277万円
- 3. ストライク:約1,608万円
- 4.インテグループ:約1,400万円
- 5. 日本M&Aセンターホールディングス:約1,182万円
2位 証券業界(ホールディングス)
証券業界、特に大手証券会社のホールディングスは、その平均年収の高さから稼げる業界として知られています。
その背景には、IBD(投資銀行部門)やトレーダーといった、高度な専門性と極度のプレッシャーが求められる専門職の存在があります。
これらの職種では、金融工学や高度な分析力が必要とされ、大規模な資金を扱い、市場の変動に対する責任の重さが、そのまま高報酬に直結します。
また、グローバルな市場を相手に日々リスクを取って取引を行うため、その専門知識と判断力が非常に高く評価されます。
実力主義の側面が強く、若いうちから高収入を目指せる環境が整っているため、金融を志す就活生に人気があります。
- 1: 大和証券グループ本社 約1,626万円
- 2.野村ホールディングス 約1,376万円
- 3. 岡三証券グループ 約1,210万円
- 4. 三菱UFJ証券ホールディングス 約1,205万円
- 5.SBI証券 約998万円
3位 信託銀行(HD含む)業界
信託銀行(ホールディングス含む)業界は、その希少な専門知識と安定性によって、銀行の中でも高水準の報酬が支払われるのが特徴です。
信託銀行は、一般的な銀行業務に加え、法律、税務、不動産、金融といった多岐にわたる知識を横断的に駆使し、顧客の資産運用・管理を行う「信託のプロ」が求められます。
特に、富裕層向けの資産承継や、企業の年金管理など、業務の専門性が非常に高く、他業界では代替が効きにくいニッチなスキルが必要とされます。
この高い専門性と、長期にわたる顧客との信頼関係に基づく安定した収益構造が、金融業界の中でも特に安定した高水準の報酬を実現しています。
幅広く専門性を身につけたい就活生におすすめです。
- 三菱UFJ信託銀行
- みずほ信託銀行
- SMBC信託銀行
- 日本カストディ銀行
- 三井住友信託銀行
4位 銀行業界(メガバンク)
銀行業界、特にメガバンクはその給与体系に年功序列的な側面も残しつつも、平均年収が高い水準にあるため稼げる業界としてランクインします。
その要因は、数万人規模の巨大な組織内での競争を勝ち抜き、組織の頂点に立つ管理職層(企画・経営幹部)の給与水準が非常に高いことにあります。
これらの幹部層の高給与が、ホールディングス全体の平均年収を大きく引き上げているのです。
若手・中堅のうちは地道な昇進を重ねる必要がありますが、トップに立てば高額な報酬が保証されます。
また、法人融資やプロジェクトファイナンスなど、ダイナミックな金融サービスを通じて日本経済を支えるというやりがいも、この業界の大きな魅力と言えるでしょう。
- 1.あおぞら銀行: 906.8万円
- 2. 三井住友銀行: 891.6万円
- 3. 三菱UFJ銀行: 856.0万円
- 4. みずほ銀行: 822.7万円
- 5. りそな銀行: 約760万円台
5位 保険(生命・損保HD)
保険業界(生命保険・損害保険のホールディングス)も、グローバルなリスク管理能力が求められるため、高収入の業界として位置づけられます。
この業界では、国内外の大規模なリスク(自然災害、経済危機、パンデミックなど)に財務的に対応するための高度なリスク分析や数理的なスキルを持つアクチュアリーやリスクマネジメントの専門家が中心となって活躍します。
また、近年はグローバルな事業展開を進めている企業が多く、国際的なビジネスを遂行できる人材が高く評価されています。
保険という安定したビジネスモデルを持ちながら、高度な専門性とグローバルな視点を兼ね備えた人材に対して、高水準の報酬が支払われる構造となっています。
- 1.プルデンシャル生命保険株式会社:約1,102万円
- 2. 東京海上ホールディング:約1100万円
- 3. MS&ADインシュアランスグループホールディングス:約1050万円
- 4. SOMPOホールディングス:約1000万円
- 5. 三井住友海上火災保険株式会社:約950万円
【金融業界は稼げる?】高収入の背景にある仕事の特徴
- 高付加価値・専門スキル重視の業務
- 成果連動型の報酬モデル
- 国際性・交渉力が求められるプレッシャー環境
金融業界で高収入が実現できる背景にはその仕事内容にいくつかの共通した特徴があります。
扱う商品やサービスの性質、評価制度、そして求められる能力が結果として高い報酬水準に結びついているのです。
金融業界の仕事が持つ特徴を3つの観点から解説するため、一緒に理解を深めましょう。
高付加価値・専門スキル重視の業務
金融業界の業務はその多くが「知識集約型」の労働です。
つまり、モノやサービスを物理的に生産するのではなく、情報や知識といった無形の資産を基に価値を生み出します。
企業の将来性を分析して融資を判断したり、複雑な金融商品を設計したりと、その全てにおいて高度な専門知識と分析力が不可欠です。
誰にでもできる定型的な作業ではなく、専門的なスキルを持つ人材でなければ遂行できない業務だからこそ、その対価として高い報酬が支払われます。
成果連動型の報酬モデル
金融業界、特に投資銀行や証券会社、外資系企業では成果主義に基づいた報酬体系が広く採用されています。
これは個人のパフォーマンスが会社の収益に直接的な影響を与える業務が多いためです。
営業職であれば獲得した契約額や手数料、トレーダーであれば取引によって生み出した利益が明確な数字として評価されます。
そして、その成果に応じてインセンティブやボーナスが支給されるため、年齢や社歴に関係なく、実力のある人材が高い収入を得られる仕組みになっています。
国際性・交渉力が求められるプレッシャー環境
現代の金融市場はグローバルに繋がっています。
そのため、日々の業務においても国際的な視点が欠かせません。
海外の経済動向が日本の市場に影響を与えることは日常茶飯事ですし、海外企業とのM&Aや、外国籍の投資家との取引など、国際的な案件に携わる機会も豊富にあります。
このような環境で活躍するためには語学力、特に英語力は必須のスキルです。
それに加えて、文化や価値観の異なる相手と円滑に交渉を進め、信頼関係を築く高度なコミュニケーション能力も求められます。
大きな金額が動く交渉の場面では強いプレッシャーの中で最善の決断を下さなければなりません。
こうした厳しい環境で成果を出すことが、高い報酬という対価に繋がるのです。
【金融業界は稼げる?】金融業界の福利厚生・評価制度
- メガバンクの手厚い福利厚生(家賃補助・保険など)
- 外資系の成果重視・評価制度
- 総合商社や銀行グループの育成制度・育児支援
金融業界の魅力は高い給与水準だけではありません。
従業員が安心して長く働けるように、福利厚生やキャリア支援制度を充実させている企業が多いのも特徴です。
ただし、その内容は日系企業と外資系企業、あるいは企業グループによって特色が異なります。
ここでは金融業界の福利厚生や評価制度について、企業のタイプ別に解説します。
メガバンクの手厚い福利厚生(家賃補助・保険など)
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行に代表されるメガバンクは伝統的に手厚い福利厚生制度を整えていることで知られています。
特に、若手社員にとってうれしいのが、充実した家賃補助や独身寮・社宅制度です。
家賃の高い都心部に勤務する場合でも住居費の負担を大幅に軽減できるため、可処分所得を増やせます。
また、各種社会保険はもちろんのこと、独自の健康保険組合による手厚い医療費補助や、団体生命保険、財形貯蓄制度なども整備されています。
従業員の生活を安定させ、長期的な視点で安心して働ける環境を提供することに力を入れているのがメガバンクの大きな特徴と言えるでしょう。
外資系の成果重視・評価制度
一方で、ゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーといった外資系金融機関では日系企業とは異なる考え方が主流です。
福利厚生が全くないわけではありませんが、家賃補助などの生活支援よりも、成果に対する直接的な報酬を重視する傾向が強いです。
評価制度は非常に明確で個人の業績や目標達成度がダイレクトにボーナスや昇進に反映されます。
「Up or Out(昇進か、さもなくば退職か)」という言葉に象徴されるように、常に高いパフォーマンスを求められる厳しい環境です。
しかし、実力があれば若いうちから責任あるポジションと高い報酬を得られます。
総合商社や銀行グループの育成制度・育児支援
総合商社系のリース会社や、大手銀行グループに属する証券会社などではグループ全体で連携した人材育成制度や、多様な働き方を支援する制度が充実しています。
グループ内の異なる企業へ出向して多様な経験を積む機会や海外拠点での研修、MBA取得支援といったキャリア形成を後押しするプログラムが用意されています。
また、近年では女性の活躍推進にも力を入れている企業も多いです。
産前産後休暇や育児休業、復職後の時短勤務制度や企業内保育所の設置など、仕事と育児を両立しやすい環境整備が進んでいます。
【金融業界は稼げる?】必要なスキル・適性
- 財務分析力・会計知識
- 英語力・交渉力
- ストレス耐性・高い倫理観
金融業界で活躍し、高い収入を得るためには専門的なスキルとこの業界特有の環境に適応できる資質が求められます。
華やかなイメージの裏側で日々地道な分析や厳しいプレッシャーと向き合うのが金融の仕事です。
ここでは金融業界でキャリアを築く上で特に重要となるスキルや適性について解説するため、自分にその素養があるか、自己分析の材料として参考にしてください。
財務分析力・会計知識
金融業界で働く上で最も基礎的かつ重要なスキルが財務分析力と会計知識です。
企業の貸借対照表(B/S)、損益計算書(P/L)、キャッシュフロー計算書(C/F)といった財務三表を正確に読み解き、その企業の収益性や安全性、将来性を分析する能力はあらゆる職種で必須となります。
銀行が企業に融資をする際には、その企業が将来にわたって返済できるかを厳しく審査します。
また、投資銀行がM&Aのアドバイスをする際には買収対象の企業価値を算定しなければなりません。
これらの業務の根幹を支えるのが会計という共通言語の理解です。
簿記などの資格勉強を通じて基礎を固めておくと、大きな強みになるでしょう。
英語力・交渉力
グローバル化が進む現代の金融業界において、英語力はもはや特別なスキルではなく、必須のビジネスツールです。
海外のマーケット情報やニュースをリアルタイムで理解するためには高い読解力が求められます。
また、海外の投資家や企業とやり取りするため、流暢な会話力やEメールでの的確なコミュニケーション能力も不可欠です。
さらに、単に語学ができるだけでなく、それを土台とした「交渉力」も極めて重要です。
文化や商習慣の異なる相手に自社の主張を論理的に伝え、粘り強く交渉し、合意形成へと導く力が交渉の成否を分けます。
ストレス耐性・高い倫理観
金融業界は大きな金額を扱い、顧客の資産や企業の未来を左右する責任の重い仕事です。
市場は常に変動し、時には予測不能な事態も発生します。
そのような環境下で冷静な判断を保ち続けるためには強靭な精神力、すなわち高いストレス耐性が不可欠です。
プレッシャーのかかる場面でも安定したパフォーマンスを発揮できる力が求められます。
同時に、金融業界で働く者には極めて高い倫理観が要求されます。
顧客の利益を第一に考え、法令やルールを遵守し、誠実に行動することは信頼を基盤とするこの業界の根幹をなすものです。
目先の利益のために不正を働くようなことがあれば、自分はもちろん、会社全体の信用を失墜させることになりかねません。
金融業界に向いている人の特徴
金融業界への就職を目指す就活生のために、どのような資質や特徴を持った人がこの業界で成功しやすいのかを解説していきます。
高い報酬に見合うだけの能力と意欲が求められる金融業界ですが、あなたが持つ強みと照らし合わせながら、自己分析を深めるためのヒントとして活用してください。
- 論理的思考能力が高い人
- 学習意欲が高い人
- 高い正確性を有している人
論理的思考能力が高い人
金融業界においては、融資の可否、投資判断、リスクの評価など、大金が動く意思決定が日々行われます。
そのため、感情や感覚に頼るのではなく、客観的な根拠とデータに基づいた論理的な思考が不可欠となります。
特に、複雑な金融商品を設計するクオンツ(金融数学者)や、企業の価値を分析するアナリストには、この論理的思考能力が必須の能力です。
就活生の皆さんは、日頃から物事の因果関係を明確にし、筋道立てて考える習慣を身につけておくことが、選考を突破し、入社後に活躍するための鍵となります。
学習意欲が高い人
金融業界は、規制や市場環境の変化が非常に激しい業界です。
例えば、フィンテックの進化、国際的な法規制の変更、新たな金融危機のリスクなど、「昨日までの知識」が通用しないことも頻繁に発生します。
そのため、自己学習を怠らない、強い向上心が求められます。
就活生の皆さんが入社した後も、新しい金融商品の知識、経済学、プログラミングスキルなど、幅広い分野について継続的に学び続ける意欲がなければ、業界のスピードについていくことは困難です。
常に新しい情報を取り入れ、自己成長を目指せる人が、金融業界では長く活躍できます。
高い正確性を有している人
金融取引においては、1円のミスも許されないという極めて高い正確性が求められます。
特に、バックオフィス(事務管理)やミドルオフィス(リスク管理)といった部門では、この正確性こそが、巨大な金融システムを支えるリスク管理の生命線となります。
例えば、システム入力のミス一つが、決済の遅延や巨額の損失に繋がりかねません。
そのため、几帳面で細部にまで注意を払うことができる資質は、金融業界のあらゆる職種で不可欠とされます。
就活生の皆さんは、丁寧な作業やミスのない提出物を意識し、自身の高い正確性をアピールできるように準備しておきましょう。
【金融業界は稼げる?】向いていない人の特徴
- 長時間労働に耐えられない
- 数字への過度なプレッシャーに弱い
- 安定志向で裁量・成果評価が嫌い
高い専門性や成果主義といった特徴を持つ金融業界は全ての人にとって最適な環境とは限りません。
業界のカルチャーや働き方が自分の価値観や適性と合わない場合、大きなストレスを感じてしまう可能性もあります。
どのようなタイプの人が金融業界に「向いていない」傾向があるのか、その特徴を解説します。
ミスマッチを防ぎ、自分に合ったキャリアを選択するための参考にしてください。
長時間労働に耐えられない
金融業界、特に投資銀行のIBD部門やM&Aアドバイザリー、外資系企業などでは長時間労働が常態化しているケースも少なくありません。
大きなディールが動いている時期や、市場が大きく変動している局面では昼夜を問わず働くことも求められます。
もちろん、近年では働き方改革が進み、労働時間を管理する意識は高まっていますが、それでも他の業界に比べて労働時間は長くなる傾向があります。
プライベートの時間をきっちりと確保し、ワークライフバランスを最優先したいと考える人にとっては心身ともに厳しい環境に感じられるかもしれません。
数字への過度なプレッシャーに弱い
金融業界の仕事はその評価が「数字」という明確な形で表れるのが特徴です。
営業成績、取引の利益、分析の精度など、あらゆる業務が数値化され、それが評価に繋がります。
この分かりやすさは成果主義の魅力である一方、常に数字に追われるプレッシャーと隣り合わせであることも意味します。
目標を達成できなかった際の精神的な負担は大きく、数字に対する厳しい追求に耐えられない人には辛い環境です。
安定した環境で数字のプレッシャーを感じず、コツコツと仕事を進めたいと考える人には不向きな業界と言えるでしょう。
安定志向で裁量・成果評価が嫌い
日系の大手金融機関には安定したイメージもありますが、業界全体としては変化が激しく、成果主義の考え方が浸透しています。
若いうちから大きな裁量を与えられ、自分の判断で仕事を進めることが求められる場面も多くあります。
これは成長の機会が豊富である一方、常に自分で考えて行動し、その結果責任を負わなければならないということです。
決められた業務をマニュアル通りにこなすことを好み、大きな裁量や責任を持つことにストレスを感じる安定志向の強い人には、合わない可能性が高いです。
【金融業界は稼げる?】金融業界に入るには?
- インターンシップ・OB訪問を活用する
- 資格(証券外務員・CPA・MBAなど)を取得する
金融業界はその専門性と人気の高さから、就職活動においても競争が激しい業界の1つです。
しかし、しっかりと準備をすれば内定を勝ち取ることは決して不可能ではありません。
重要なのは業界や企業への深い理解と、そこで働くために必要なスキルのアピールです。
ここでは金融業界への就職を目指す上で具体的にどのようなアクションを取るべきかを紹介します。
戦略的なアプローチでライバルに差をつけましょう。
インターンシップ・OB訪問を活用する
金融業界への理解を深め、入社への熱意をアピールするために、インターンシップへの参加は非常に有効です。
特に投資銀行や証券会社が実施するサマーインターンは選考プロセスの一部として位置づけられていることも多く、優秀な成績を収めれば早期内定に繋がる可能性もあります。
また、OB・OG訪問も積極的に行いましょう。
現場で働く社員の生の声を聞くことでWebサイトや説明会だけでは得られないリアルな情報を収集できます。
仕事内容やキャリアパス、社風などについて質問し、企業研究を深めると同時に、自分の顔と名前を覚えてもらう良い機会にもなります。
資格(証券外務員・CPA・MBAなど)を取得する
金融業界で働く上で専門知識は不可欠です。
学生のうちに関連する資格を取得しておくことは自身の知識レベルと学習意欲を客観的に証明する上で大きなアピールになります。
証券会社で営業職を目指すのであれば、入社後に必須となる「証券外務員資格」の勉強を始めておくと良いでしょう。
また、より専門的なキャリアを目指すのであれば、公認会計士資格は財務分析のプロフェッショナルとして高く評価されます。
さらに、大学院でMBAを取得することも、特に投資銀行やアセットマネジメント業界へのキャリアチェンジやより上位のポジションを目指す上で強力な武器となります。
まとめ
この記事では金融業界が本当に稼げるのか、その理由や具体的な職種、求められるスキルについて詳しく解説しました。
金融業界は他の業界と比較して平均年収が高く、専門性の高い職種や成果主義が徹底されている企業では若いうちから高収入を実現できる可能性もあります。
しかし、高度な専門知識が求められ、厳しいプレッシャーにさらされるのも事実です。
仕事の厳しさや求められる適性を正しく理解した上で、自分のキャリアプランと照らし合わせることが重要です。
金融業界が自分に合っているか、記事を参考に入念に検討した上で、あなたが納得できるキャリアを歩めることを願っています。
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