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- AIに奪われるリスクの高い仕事
- AIに奪われにくい仕事
- AIに仕事を奪われないための対策
- AIによる雇用機会の減少を危惧している人
- AIに奪われない仕事を知りたい人
- 将来性の高い仕事を知りたい人
はじめに
AIの進化が加速し「自分の仕事は将来なくなるのでは」という不安を抱く学生の方も多いでしょう。
しかし、AIの登場は単に仕事を奪うだけの黒船ではありません。
それは私たちの働き方を根本から見直し、より創造的で人間らしい仕事に集中する機会を与えてくれる、大きな転換点なのです。
本記事ではAIの得意・不得意を正しく理解し、これからの時代で本当に価値ある人材として生き残るための具体的な対策を、分かりやすく解説します。
【AIに奪われる仕事】AIによって仕事が奪われる理由
なぜ、AIは人間の仕事を代替できるのでしょうか。
その背景にはAIが持つ人間にはない「強み」と、企業がAIを導入する「経済的な合理性」が存在します。
この根本的な理由を理解することはAI時代のキャリア戦略を立てる上での第一歩です。
ここではAIが人間の仕事を置き換える主な3つの理由を掘り下げて解説します。
敵を知ることから、対策は始まります。
情報処理の精度とスピードが圧倒的に高い
AIは人間が一生かかっても処理しきれないほどの膨大な情報を、一瞬でかつ正確に処理する能力を持っています。
過去数十年分の判例データを数秒で分析したり、数千枚のレントゲン写真から病気の兆候を見つけ出したりすることが可能です。
この圧倒的な情報処理能力の前では、人間は記憶力や計算速度で太刀打ちできません。
しかし、これは悲観すべきことではありません。
AIがデータの整理や分析という「大変な作業」を肩代わりしてくれることで人間はその分析結果から「どのような新しい価値を生み出すか」という、より高度で創造的な思考に時間を使えるようになるのです。
ルーティン化された仕事は置き換えやすい
毎日同じ手順を、同じように繰り返す。
このような「手順書に書ける仕事」はAIやロボットが最も得意とする領域です。
工場のライン作業や、定型的な書類作成、決まったルールのデータ入力などは人間よりもAIの方がミスなく、高速に、文句も言わずに実行できます。
少しでも「繰り返し」の要素がある業務は将来的に自動化される可能性が高いと考えてよいでしょう。
しかし、どんな仕事にも、マニュアル通りにはいかない「想定外の事態」は発生します。
そのイレギュラーに対応し、前例のない判断を下すことこそ、人間に残された重要な役割です。
ルーティンをAIに任せ、人間は「例外処理の専門家」になる必要があります。
人件費を削減できる
企業がAI導入を進める大きな動機は経済的な合理性、特に人件費の削減にあります。
人間を雇用すれば給与だけでなく、社会保険料や福利厚生費、教育研修費など、様々なコストが発生します。
AIやロボットは一度導入すれば24時間365日稼働でき、そのコストは長期的には人間よりはるかに低く抑えることが可能です。
しかし、これは単に「人を減らす」という話ではありません。
企業はAIによって定型業務から解放された人材を、より付加価値の高い、企画開発や顧客との関係構築といった「人間にしかできない仕事」に再配置しようとしています。
コスト削減で生まれた利益を、新たな事業への投資に回すことで企業全体の成長を目指しているのです。
【AIに奪われる仕事】AIによって奪われてしまう仕事の種類
AIが仕事を奪う理由に続き、ここではどのような「仕事の種類」がAIに代替されやすいのか、その共通する特徴を見ていきましょう。
あなたの興味がある仕事や将来就きたいと考えている職業が、これらの特徴に当てはまらないかを確認してみてください。
もし当てはまる部分があったとしても、悲観する必要はありません。
それはキャリアを考える上で重要なヒントになるはずです。
ルーティン化された仕事
毎日決まった時間に、決まった場所で決まった作業を繰り返す。
このような変化の少ないルーティンワークは、AIによる自動化の最も分かりやすいターゲットです。
工場の組み立てラインでの部品の取り付けや、毎日同じ内容のデータをシステムに入力する作業などがこれにあたります。
これらの仕事は人間が行うと集中力の低下によるミスや、体調によるパフォーマンスの波が避けられません。
AIはそうした人間的な揺らぎとは無縁です。
そのため、正確性と効率性を求める企業にとって、自動化は非常に魅力的な選択肢となります。
この種の仕事で価値を出し続けるにはそのルーティンを改善する提案力や、管理能力を身につける必要があります。
創造性や発想力を必要としない仕事
過去のデータやルールに基づいて、1つの「正解」を導き出す作業はAIが非常に得意とする分野です。
膨大な判例データから関連性の高いものを探し出す、あるいは決められた計算式に沿って数値を処理するといった業務が該当します。
ここに、人間の独自の発想や、ゼロから何かを生み出す創造性が入り込む余地はほとんどありません。
AIは定められたルールの中では完璧なパフォーマンスを発揮します。
逆に言えば前例のないアイデアを出したり、全く新しいコンセプトを考えたりすることは苦手です。
したがって、仕事の価値が「いかに早く正確に正解にたどり着くか」で測られる場合、その仕事はAIに置き換えられる可能性が高いでしょう。
人とのコミュニケーションを必要としない仕事
PCの画面とだけ向き合い、黙々と1人で完結できる仕事も、AIに代替されやすい特徴を持っています。
プログラミングのコードを書いたり、文章の誤字脱字をチェックしたりする作業の一部はAIが人間をサポート、あるいは代替することが可能です。
これらの業務には相手の表情を読み取ったり、言葉の裏にある感情を汲み取ったりする必要がありません。
AIは論理的な処理は得意ですが、人の心を動かしたり、信頼関係を築いたりはできません。
そのため、仕事の成果が、他者との円滑な意思疎通や、チームとしての協力体制に大きく依存しない場合、AIに置き換えられる可能性が高まります。
【AIに奪われる仕事】AIによって無くなる仕事ランキング15選
AIの進化は具体的にどのような仕事に影響を与えるのでしょうか。
ここではAIによる自動化の影響を特に受けやすいと考えられる15の職種を、ランキング形式で紹介します。
ただし、これは職種そのものが完全に消滅することを意味するわけではありません。
多くの場合、仕事の中の「定型的な部分」がAIに置き換わり、人間にはより高度な判断や創造性が求められるようになります。
それぞれの仕事がどう変化するのか、そして、その中で価値を発揮し続けるためのヒントもあわせて解説します。
1.データ入力
紙の書類や音声データを、決められたフォーマットのデジタルデータに変換する。
このようなデータ入力作業はAIが代替する仕事の筆頭に挙げられます。
AI-OCR(光学的文字認識)技術の進化により、手書きの文字でさえも高速かつ高い精度で読み取り、自動で入力することが可能になりました。
人間が行うよりも圧倒的に速く、ミスも少ないため、企業がAIに置き換えるメリットは絶大です。
データ入力の仕事で生き残るには、入力されたデータが正しいかどうかの最終的な監査を行ったり、そのデータの意味を解釈して、ビジネスに活かすための示唆を見つけ出す、一段上のスキルを身につける必要があります。
2.事務・受付・秘書
企業の日常業務を支える事務、受付、秘書の仕事も、その多くがAIの影響を受けます。
会議室の予約やスケジュール調整、出張時の交通・宿泊手配、定型的な社内外文書の作成といった業務はAIアシスタントや専用のソフトウェアによって、ほぼ自動で完結できるようになります。
来客対応も、無人受付システムやアバターがその役割を担うようになるでしょう。
しかし、イレギュラーな来客への機転を利かせた対応や、複数の部署にまたがる複雑な調整、そして上司や同僚の気持ちを汲み取った細やかなサポートは人間にしかできません。
定型業務をAIに任せ、人間は「組織の潤滑油」としての役割に特化していくことが求められます。
3.総務・経理・人事
総務、経理、人事といった管理部門の仕事も、定型業務の宝庫であり、AI化が進みやすい領域です。
社員の勤怠データの集計や給与計算、交通費や出張費の精算、年末調整といった経理・人事業務はRPA(Robotic Process Automation)ツールの導入でその多くが自動化されています。
備品管理や社内規定に関する問い合わせ対応といった総務の仕事も、AIチャットボットが代行するようになるでしょう。
生き残るためには、自動化されたプロセスを管理・改善する能力や、算出されたデータを元に経営陣に戦略的な提言を行う分析力が必要です。
そして、社員のエンゲージメントを高めるための制度を企画するといった、より創造的で戦略的な役割を担う必要があります。
4.会計監査員
企業の財務諸表が正しく作成されているかをチェックする会計監査の仕事も、AIの導入で大きく変わります。
AIは膨大な取引データの中から、異常なパターンや不正の兆候を、人間には不可能な精度とスピードで検出することができます。
全ての伝票を1枚1枚確認するような作業は、もはや人間の仕事ではなくなるでしょう。
AIが提示した「疑わしい取引」のリストアップを受け、なぜその取引が行われたのか、その背景にある意図は何かをヒアリングし、最終的な判断を下すのが、人間の会計士に求められる役割になります。
つまり、監査業務はAIとの協業が前提となるのです。
AIを使いこなし、高度な倫理観と判断力を発揮することが不可欠です。
5.翻訳・文章構成
近年の機械翻訳の精度向上は目を見張るものがあります。
日常的な会話や、一般的なビジネス文書の翻訳であればAIは瞬時に、かつ自然な文章を生成できるようになりました。
また、文章の構成や校正作業も、AIは得意とするところです。
しかし、AIが生み出すのはあくまで過去の膨大なデータに基づいた「平均的で無難な」文章です。
文学作品の持つ独特のニュアンスや、企業のブランドイメージを伝えるための繊細な言葉選び、そして、読者の心を揺さぶるようなキャッチーな表現を生み出すことは依然として人間の創造性に委ねられています。
翻訳やライティングの分野ではAIをアシスタントとして使いこなしつつ、独自の感性を付加価値として提供できる人材が求められます。
6.カスタマーサポート
製品の使い方やサービスに関する簡単な問い合わせ対応はAIチャットボットやボイスボットが24時間体制で担うようになります。
よくある質問(FAQ)への回答や、一次的なトラブルシューティングはAIの方が人間よりも迅速かつ正確に対応できる場面も多いでしょう。
これにより、企業は顧客対応の効率を大幅に向上させられます。
しかし、顧客が本当に困っている時、特に強い不満や怒りといった感情を抱えている場合、AIの機械的な対応では火に油を注ぎかねません。
顧客の感情に寄り添い、共感を示しながら、例外的な事態に柔軟に対応して問題を解決に導く。
このような高度な顧客対応こそ、人間に残された重要な役割であり、企業の評判を左右する最後の砦となるのです。
7.オペレーター
電話やオンラインでの注文受付、タクシーの配車、各種サービスの予約といったオペレーター業務も、AIによる自動化が進む代表的な職種です。
音声認識AIと対話システムを組み合わせることで人間を介さずに多くの手続きが完了するようになります。
特に、聞くべき項目が決まっている定型的なやり取りはAIにとって最も得意な分野です。
しかし、顧客の要望が複雑でマニュアルにない対応を求められたり、システムトラブルが発生したりした際には、やはり人間の判断と対応力が必要になります。
また、高齢者など、デジタル機器の操作に不慣れな人々にとっては依然として人間のオペレーターによる温かみのある対応が重要です。
8.チェック・検査作業
工場の製品ラインにおける品質チェックや、医療現場での画像診断の補助など、目視による検査作業はAIの画像認識技術に置き換えられつつあります。
AIは人間の目では見逃してしまうような微細な傷や、ごく僅かな色の違い、あるいはレントゲン写真に写った病変の初期兆候などを、高い精度で安定して検出し続けることができます。
人間のように、疲労や集中力の低下によってパフォーマンスが落ちることもありません。
この分野で人間が価値を発揮するにはAI検査システムそのものを設計・管理する側に回るか、AIが「異常の可能性あり」と判断した項目について、最終的な確認と判断を下す、より専門的な役割を担うことが考えられます。
AIの「目」を監督する、より高度な専門知識が不可欠です。
9.工場の製造ライン作業員
工場の製造ラインにおける組み立て、溶接、塗装といった作業は産業用ロボットの導入によって、古くから自動化が進められてきた領域です。
AI技術の進化はこの流れをさらに加速させています。
AIを搭載したロボットはより複雑で繊細な作業をこなせるようになり、人間との協働も可能になってきました。
単純な繰り返し作業は、ほぼ完全にロボットに代替されると考えてよいでしょう。
これにより、工場は24時間無人での稼働も視野に入ります。
こうした環境で求められる人材はもはや手を動かす作業員ではありません。
ロボットアームの動きをプログラミングしたり、生産ライン全体を効率的に管理したりする、高度な技術知識を持ったエンジニアや管理者の需要が高まるでしょう。
10.物流・倉庫作業員
広大な物流倉庫でのピッキング(商品の取り出し)、仕分け、梱包、搬送といった作業も、自動化の波が押し寄せています。
自律走行する搬送ロボットが商品棚ごと作業員の元へ移動したり、高速で荷物を仕分けるソーターが導入されたりすることで、倉庫内の人間の移動は最小限に抑えられます。
これにより、作業効率は飛躍的に向上し、労働環境の安全性も高までしょう。
しかし、倉庫全体の物流システムを最適に設計したり、予期せぬトラブルでシステムが停止した際に復旧作業を行ったりするのは、依然として人間の仕事です。
現場作業から、より高度な管理・分析業務へと役割がシフトしていくでしょう。
11.配達員
オンラインショッピングの拡大に伴い需要が増している配達員の仕事ですが、これも一部が自動化の対象となります。
特に、ドローンや自動配送ロボットによる「ラストワンマイル」の配送が、都市部や特定地域で実用化されつつあります。
決まったルートを移動し、荷物を届けるというタスクはAIにとって比較的実行しやすいものです。
しかし、天候の急変や、配送先の複雑な地理的条件、オートロックマンションの入館方法など、予期せぬ障害への対応は依然として課題です。
また、荷物を手渡す際の丁寧なコミュニケーションや、再配達時の柔軟な対応は顧客満足度を左右する重要な要素であり、人間ならではの価値と言えるでしょう。
地方や過疎地域など、ロボットの導入が難しいエリアでの需要は当面続くと考えられます。
12.電車・タクシー・路線バス運転手
自動運転技術の進化は交通インフラを支える運転手の仕事に大きな影響を与えます。
タクシーや路線バスも特定の条件下での自動運転の実証実験が進んでおり、将来的には運転操作の大部分をAIが担うことになるでしょう。
これにより、ヒューマンエラーによる事故の削減や、運行の効率化が期待されます。
ただし、システム異常や事故発生時といった緊急事態における最終的な判断と対応は人間の運転手に委ねられます。
また、乗客の安全確認や、乗り降りの介助、観光案内といったホスピタリティの提供も、人間に残された重要な役割です。
運転技術だけでなく、高度な安全管理能力とサービス精神が求められるようになります。
13.警備員
施設やイベント会場の安全を守る警備員の仕事も、AI技術によって大きく変容します。
AIを搭載した監視カメラは24時間365日、休むことなく膨大な映像を監視し、侵入者や不審な行動、喧嘩の兆候などを自動で検知して通報できます。
人間が見逃しがちな些細な変化にも気づけるため、監視業務の精度は飛躍的に向上するでしょう。
これにより、定点監視を行う警備員の需要は減少する可能性があります。
しかし、AIが異常を検知した後に、現場に駆けつけて状況を判断し、実際に不審者を取り押さえたり、避難誘導を行ったりするのは人間の警備員にしかできません。
AIの「目」と人間の「足」が連携する、新しい警備の形が主流になっていくと考えられます。
14.通関士
輸出入の際に必要な税関手続きを代行する通関士の仕事も、AI化の影響を受けます。
輸出入申告書の作成や、関税率の計算、膨大な量の関連法規のチェックといった定型的な書類業務はAIが得意とする分野です。
過去の申告データと最新の法規制を照合し、最適な申告内容を提案することも可能になるでしょう。
これにより、手続きのスピードと正確性は大きく向上します。
一方で、新しい商品で過去に判例がないケースや複数の法規制が絡み合う複雑な案件、そして税関当局との折衝や交渉といった業務には通関士の専門的な知識と経験に基づく高度な判断力が不可欠です。
15.接客業
スーパーやコンビニエンスストアでのセルフレジの普及や、無人店舗の登場は接客業の未来を象徴しています。
商品の会計や、簡単な案内といったマニュアル化できる接客は今後ますます機械に代替されていくでしょう。
しかし、これは全ての接客業がなくなることを意味しません。
むしろ、人間による接客の価値が、より一層問われる時代になると言えます。
顧客一人ひとりの好みや状況を瞬時に察知し、最適な商品を提案するアパレル店員や、客との何気ない会話から店のファンを作る飲食店員など、マニュアルを超えた付加価値を提供できる人材の需要は決してなくなりません。
記憶に残る、温かみのある体験を提供することが、AI時代の接客業で生き残るための鍵です。
【AIに奪われる仕事】AI化により業務の一部が影響を受ける可能性がある国家資格職
「資格さえあれば安泰」という時代は終わりを告げようとしています。
AIの進化はこれまで人間の独壇場とされてきた、高度な専門知識を要する国家資格職の領域にまで及んでいます。
ここでは特にAI化の影響を受ける可能性が高い7つの資格職について、その変化の内実を解説します。
税理士
税理士の業務のうち、領収書や請求書に基づく記帳代行や、定型的な法人税・所得税の申告書作成といった作業は会計ソフトとAIの連携によって、その多くが自動化されます。
AIは過去のデータから最適な勘定科目を提案したり、計算ミスや入力漏れを自動でチェックしたりすることで作業時間を大幅に短縮します。
しかし、AIができるのはあくまで過去のデータに基づいた処理です。
顧客である企業の経営状況を深く理解し、将来を見据えた上で最適な節税対策や経営戦略を提案する、といったコンサルティング業務は人間にしかできません。
複雑な税法を解釈し、顧客に寄り添ったアドバイスを提供する、戦略的パートナーとしての価値が、これまで以上に問われることになるでしょう。
行政書士
数千種類にも及ぶと言われる行政手続きの書類作成は行政書士の主要な業務ですが、この定型的な部分はAIによる代替が進むと考えられます。
会社の設立や、営業許可の申請など、記載すべき項目がある程度決まっている書類は、AIが顧客からのヒアリング内容を元に、自動でドラフトを作成できるようになります。
これにより、行政書士は煩雑な書類仕事から解放されるでしょう。
人間が注力すべきは前例の少ない複雑な許認可の取得支援や、顧客が本当に実現したいことは何かを深くヒアリングし、最適な手続きを提案する、といった上流工程の業務になります。
事務作業の代行者から、法務・経営コンサルタントへの進化が求められます。
司法書士
不動産の登記申請や、会社の役員変更登記、定型的な契約書の作成といった司法書士の業務も、AI化と無縁ではありません。
法務局の登記情報や過去の事例を学習したAIが必要書類を自動で生成し、申請手続きをサポートするようになるでしょう。
特に、パターン化された業務の効率は飛躍的に向上します。
しかし、権利関係が複雑に絡み合う相続案件での当事者間の利害調整や、M&A(企業の合併・買収)における契約交渉など、法律の知識だけでなく、相手の意図を汲み取り、最適な落としどころを探るような業務はAIには困難です。
また、本人の意思確認が極めて重要な場面での、対面での丁寧な対応も人間の役割です。
法律家としての高度な判断力と交渉力が、より一層重要になります。
薬剤師
調剤薬局における薬剤師の仕事も、AIとロボットの導入によって大きく変わります。
処方箋のデータを元にした医薬品のピッキングや過去の投薬履歴との重複・禁忌チェックといった「対物業務」はその多くが自動化の対象です。
調剤過誤のリスクを減らし、業務を効率化するために、これらの技術導入は今後さらに進むでしょう。
その結果、薬剤師は機械やPCの相手をする時間から解放され、本来注力すべき「対人業務」に多くの時間を割けるようになります。
患者一人ひとりの生活習慣や悩みに耳を傾け、薬の飲み方を丁寧に指導したり、副作用の不安に寄り添ったりすること。
それが、AI時代における薬剤師の、かけがえのない価値となるのです。
臨床検査技師
血液や尿などの検体を分析する臨床検査の分野でも、AIの活用が進んでいます。
最新の検査機器はAIによる画像解析機能を搭載し、血液中の細胞の分類や、病理組織の異常パターンの検出などを自動で行えます。
これにより、検査の精度とスピードは向上し、技師の負担は軽減されるでしょう。
しかし、検査機器が正常に作動しているかを管理したり、得られた検査データが本当に正しいものか、他の情報と照らし合わせて総合的に判断したりするのは熟練した技師の役割です。
また、検査結果を医師に正確に報告し、時には緊急性の高い情報を伝達するといった、医療チーム内での円滑なコミュニケーションも不可欠です。
放射線技師
レントゲンやCT、MRIといった画像診断を担う放射線技師の仕事も、AIによる支援が強力に進む領域です。
AIは撮影された膨大な画像の中から、腫瘍や骨折といった異常の可能性がある箇所を瞬時に検出し、医師の読影をサポートします。
これにより、診断の精度は向上し、重大な病変の見逃しリスクを低減できます。
しかし、患者が不安を感じないように優しく声をかけたり、正確な画像を撮影するために最適な体の位置を調整したり、といった細やかな配慮は人間にしかできません。
また、AIが示した異常候補が本当に問題なのかを最終的に判断し、医師と連携するのも重要な役割です。
患者に寄り添うホスピタリティと、AIの診断を補助・検証する専門性が、今後の価値の源泉となります。
鉄道運転士
多くの人々の命を預かる鉄道運転士の仕事は安全性の追求のために、古くから自動化技術が導入されてきました。
自動列車運転装置の普及により、加速や減速、停車といった基本的な運転操作はすでに多くの路線でシステムが担っています。
今後はさらにAIの活用が進み、平常時の運転はほぼ完全な自動化が実現するでしょう。
しかし、だからといって運転士が不要になるわけではありません。
大雨や地震といった自然災害の発生時や急病人の発生など、予測不能な緊急事態に際して、乗客の安全を最優先した最善の判断を下すのは人間の運転士に課せられた最も重い責務です。
システムの監視者、そして最後の砦としての役割は今後も変わることはありません。
【AIに奪われる仕事】AIに奪われない仕事の特徴
AIの進化はめざましいですが、決して万能ではありません。
AIにも明確な「苦手分野」が存在します。
これからの時代を生き抜くためにはAIが苦手とすることを深く理解し、人間ならではの価値を発揮できる領域で勝負することが重要になります。
AIに代替されにくい仕事にはいくつかの共通した特徴があります。
ここではその代表的な3つの特徴を解説します。
1.対人コミュニケーションが必要な仕事
AIは言葉のパターンを学習し、人間のような自然な対話も可能です。
しかし、その対話には「心」がありません。
相手の些細な表情の変化や声のトーンから言葉の裏に隠された本心や感情を汲み取り、深く共感することはAIには極めて困難です。
部下を励ましてモチベーションを高めたり、初対面の顧客と雑談を交わしながら信頼関係を築いたり、利害が対立する相手と粘り強く交渉したりする。
このような、複雑で感情的な要素が絡み合う高度な対人コミュニケーションは人間が最も価値を発揮できる領域です。
人の心を動かす力はAIにはない、人間だけの強みなのです。
2.柔軟な対応力・判断力が求められる仕事
AIは過去の膨大なデータに基づいて、最適なパターンを見つけ出すことは得意です。
しかし、それはあくまで「過去に前例がある」場合に限られます。
全く新しい状況や、マニュアルにない想定外のトラブルに直面した時、AIは思考停止に陥ってしまいます。
医療現場で前例のない症状の患者に対応したり、災害発生時に刻一刻と変わる状況の中で最善の避難経路を判断したり、といった業務です。
このような、唯一の正解が存在しない状況で断片的な情報を元に、倫理観や大局観を持って意思決定する能力は人間にしか備わっていません。
予測不能な事態への対応力こそが、人間の価値を際立たせるのです。
3.クリエイティブ思考が必要な仕事
AIは美しい絵画を描き、流暢な文章を書き、素晴らしい音楽を作曲することさえできます。
しかし、AIの創造性は既存のデータの「組み合わせ」や「模倣」の延長線上にあります。
AIは「ゴッホ風の絵を描いて」という指示には応えられますが「今までにない、全く新しい芸術の概念を創造して」という問いには答えられません。
ゼロから新たな価値を構想したり、社会がまだ気づいていない課題を発見したり、あるいは何が本当に美しいのかという美的センスを発揮したりすること。
このような、真の意味での創造的思考は人間の独壇場です。
AIに「何を作らせるか」を考える、その根源的な問いこそが、人間の仕事になるのです。
【AIに奪われる仕事】AIに奪われない仕事ランキング10選
それではこれまでに解説した「AIに奪われない仕事の3つの特徴」を踏まえ、具体的にどのような職種が今後も価値を発揮し続けるのかを見ていきましょう。
ここで紹介する10の仕事は対人コミュニケーション能力、柔軟な判断力、そしてクリエイティブ思考といった、人間ならではのスキルが中核をなすものばかりです。
もちろん、これらの仕事でもAIは強力なツールとして活用されます。
しかし、仕事の根幹をAIが代替することは極めて困難です。
1.カウンセラー
心理カウンセラーやキャリアカウンセラーといった職種はAIによる代替が最も難しい仕事の代表格です。
その中核はクライアントの言葉にならない悩みや、表情の裏にある苦しみを深く理解し、心に寄り添うことにあります。
AIは過去のデータから「こう言われたら、こう返す」というパターンを学習することはできますが、一人ひとり全く異なる人生を歩んできたクライアントに対して、真の共感を示すことはできません。
信頼関係を時間をかけて築き、対話を通じてクライアント自身が答えを見つける手助けをすることは、人間だけができることです。
2.クリエイター
デザイナー、作曲家、作家、映像監督といったクリエイターの仕事はその名の通り、創造性を核としています。
AIもコンテンツを生成できますが、それは既存の作品の「再生産」に近いものです。
一方、人間のクリエイターは自身の人生経験や独自の美意識、そして社会への問題意識を元に、今までにない全く新しい価値をゼロから生み出します。
時代を象徴するようなコンセプトを打ち立てたり、人々の心を揺さぶり、行動を促すような作品を創造したりすることはAIには不可能です。
AIを、アイデアを形にするための便利な「筆」や「楽器」として使いこなしつつ、作品に魂を吹き込む、その根源的な役割は永遠に人間のものです。
3.コンサルタント
経営コンサルタントやITコンサルタントはAI時代の花形職種の1つとなるでしょう。
AIは市場データの分析や、競合の動向調査といった情報収集のフェーズで強力な武器となります。
しかし、その分析結果を元に、顧客企業が抱える、言語化されていない本質的な課題は何かを見抜き、前例のない大胆な解決策を提案するのはコンサルタントの創造性そのものです。
さらに、企業の役員や現場の社員といった、様々な立場の人々と信頼関係を築き、時には反対意見を乗り越えて変革を推進していく、高度な対人能力も不可欠です。
コンサルタントはAIを使いこなし、論理と感情の両面から企業を導く、まさに人間ならではの仕事と言えます。
4.教師
教師や教育関係者の仕事も、AIには代替できません。
AIドリルを使えば生徒一人ひとりの習熟度に合わせた問題を提供し、学習効率を高めることは可能です。
しかし、教育の本質は勉強を教えることだけではありません。
生徒が何に悩み、何に情熱を感じているのかを理解し、その成長を信じて励まし、時には厳しく指導する、人格的な関わりを通じて、生徒の知的好奇心や学ぶ意欲を引き出すことは人間にしかできないことです。
また、クラスという集団の中で起きる、予測不能な問題に臨機応変に対応する力も求められます。
AIは知識を教える「ティーチャー」にはなれても、生徒の人生を導く「メンター」にはなれないのです。
5.法曹
弁護士、検察官、裁判官といった法曹の仕事は高度な倫理観と判断力が求められるため、AIによる代替は困難です。
AIは膨大な判例を検索し、法律に基づいて論理的な結論を提示することはできるでしょう。
しかし、法律の条文だけでは割り切れない、人間社会の複雑な事情を汲み取り、何が「正義」なのかを判断することはできません。
依頼人の利益を最大化するために、相手方と戦略的な交渉を行ったり、証人の嘘を見抜いたり、あるいは被告人の更生の可能性まで考慮して判決を下したりする。
このような、人間の感情や社会通念が複雑に絡み合う領域での意思決定はAIには委ねられない、人間の重い責務であり続けます。
6.医療・福祉・保育
医師、看護師、介護福祉士、保育士といった職種は人の命や生活、そして成長に直接関わる、極めて人間的な仕事です。
AIは診断の補助や事務作業の効率化で医療や福祉の現場を支えることはできます。
しかし、患者の痛みに共感したり、利用者の不安な気持ちに寄り添ったり、子どもたちの小さな成長を心から喜んだりすることはできません。
人の体に触れ、温もりを伝えながらケアを行う、その行為自体が、AIには代替不可能な価値を持っています。
また、予測不能な子どもの行動や、利用者の急な体調変化に、瞬時に対応する柔軟な判断力も不可欠です。
人の「生」に深く関わるこれらの仕事はAI時代において、ますますその重要性を増していくでしょう。
7.警察・消防士
市民の安全と生命を守る警察官や消防士の仕事は、極めて予測不能な状況下での迅速な判断と行動が求められます。
AIは犯罪発生予測や、火災の延焼シミュレーションなどで活躍するでしょう。
しかし、実際に事件現場に駆けつけて犯人と対峙したり、燃え盛る建物の中に飛び込んで人命救助を行ったりするのは、人間にしかできません。
一瞬の判断が生死を分ける緊迫した状況で仲間と連携し、最善の行動を取る、倫理観と自己犠牲の精神が求められる仕事はAIが計算で導き出せる領域を遥かに超えています。
社会の安全を守る最後の砦として、その役割は揺るぎません。
8.データサイエンティスト
データサイエンティストはAIに仕事を奪われるどころか、AIを「使う側」の代表的な職種です。
彼らの仕事の本質は単にデータを分析することではありません。
ビジネス上の課題は何かを定義し、その課題を解決するためには「どのようなデータが必要でどう分析すべきか」という問いを立てる、その上流工程にあります。
AIは与えられた問いに答えることはできますが、ビジネスの成功に繋がる「正しい問い」そのものを発見することは苦手です。
分析結果から誰もが思いつかないような新しいビジネスの洞察を導き出し、それを経営陣に分かりやすく説明する能力も求められます。
データサイエンティストは創造性とビジネス理解力を兼ね備えた、AI時代の探求者と言えるでしょう。
9.美容サービス業
美容師、ネイリスト、エステティシャンといった美容サービス業は高度な手先の技術と、顧客との密なコミュニケーションが不可欠な仕事です。
AIが顧客の髪質や骨格を分析して、似合う髪型を提案することは可能になるかもしれません。
しかし、その提案を元に、顧客の細かな要望や、言葉にならない「なりたいイメージ」を汲み取りながら、ハサミや指先でミリ単位の調整を加えていく、その職人技はAIには真似できません。
施術中の何気ない会話を通じて、顧客との信頼関係を築き、リラックスした時間を提供する、その体験自体が付加価値となります。
人の美意識や感性に直接働きかけるこの仕事はAIが入り込む余地の少ない領域です。
10.研究・開発職
新しい技術や製品、医薬品などを生み出す研究・開発職は人間の知的好奇心と創造性の最前線です。
AIは膨大な論文データを解析して研究のヒントを与えたり、シミュレーションによって実験の回数を減らしたりと、研究開発のプロセスを加速させる強力なツールとなります。
しかし、まだ誰も解明していない未知の領域に対して「もしかしたら、こうではないか?」という大胆な仮説を立て、それを証明するために粘り強く試行錯誤を繰り返す、その探求は人間にしかできません。
常識を疑い、失敗を恐れずに新たな挑戦を続ける情熱と独創性こそが、科学技術を進歩させてきました。
この根源的なイノベーションの担い手はいつの時代も人間なのです。
【AIに奪われる仕事】今からできるAIに仕事を奪われないための3つの対策
AIの脅威と可能性を理解した上で最後に、私たち人間がこれから何をすべきか、具体的な対策について考えていきましょう。
AI時代を生き抜くために必要なのはAIと競うことではなく、AIにはない価値を提供すること、そしてAIを使いこなすことです。
これからのキャリアを考える上でスキルの習得には明確な方向性を持つ必要があります。
ここでは全ての学生が今から意識して取り組むべき、最も重要な3つの対策を紹介します。
創造性や独創性が必要なスキルを身につける
AIが「正解」を出すのが得意なら、人間は「問い」を立てる力を磨くべきです。
創造性とは、単なる思いつきではありません。
それは既存の知識や経験を、これまで誰も思いつかなかった形で結びつける能力です。
そのためには自分の専門分野だけでなく、一見無関係に見える歴史や芸術、哲学といった幅広い教養を身につけることが重要になります。
多様な知識の点と点が、ある日、あなただけの独創的な線として繋がるのです。
また、常識を疑い「なぜこうなっているのだろう?」と物事の本質を問う癖をつけましょう。
AIに指示を出す、その「問い」の質こそが、これからの時代における、あなたの最も重要な価値の1つとなります。
対人コミュニケーション力を磨く
AIには心がなく、人間には心があるという決定的な違いを、あなたの強みに変えましょう。
対人コミュニケーション力とは、ただ話がうまいことではありません。
相手の言葉の裏にある、不安や期待といった感情を敏感に察知する「受信力」と、自分の考えを、相手の心に響く言葉で伝える「発信力」の両方を磨くことが重要です。
サークル活動やアルバイトなどで意見の異なる相手と粘り強く対話し、落とし所を見つけた経験がある人も多いでしょう。
そうした、人の心を動かした経験こそが、AIには決して真似のできない、あなただけの強力な武器になるのです。
AIを利用するスキルを身につける
AIを恐れるのではなく、自分の能力を拡張するためのツールとして捉え、積極的に使いこなす姿勢が不可欠です。
これからの時代、AIを全く使えない人材はかつてパソコンが使えなかった人材と同じように、活躍の場が限られていくでしょう。
重要なのはプログラミングのような専門技術だけではありません。
自分の目的を達成するために、AIにどのような指示(プロンプト)を与えれば最適な答えを引き出せるのか。
その対話の技術こそが、あらゆる職種で求められるようになります。
様々なAIツールに触れ、その癖や能力を体感として理解しておくことが、AIに仕事を奪われるのではなく、AIを「使う側」に回るための、最も確実な一歩です。
【AIに奪われる仕事】AIを活用する側の仕事12選
AIは仕事を「奪う」だけの存在ではありません。
蒸気機関が工場労働者という新しい職を生み、インターネットがWebデザイナーを生んだように、AIもまた、これまで想像もできなかったような、新しい専門職を次々と生み出しています。
AIを「使う側」「育てる側」「作る側」に回ることで、あなたは時代の変化を牽引する主役になれます。
ここではAI時代に需要が急増すると予想される12の新しい職種を紹介します。
これらの仕事を知ることはあなたの未来のキャリアパスを、より豊かで可能性に満ちたものにするでしょう。
どんな仕事に心が躍るか、想像しながら読んでみてください。
1.プロンプトエンジニア
プロンプトエンジニアはAIとの「対話の専門家」であり、その性能を最大限に引き出す司令塔です。
AIの能力は人間が与える「指示(プロンプト)」の質に大きく依存します。
単に「猫の絵を描いて」と指示するのではなく「夕暮れの光が差し込む窓辺で毛玉で遊んでいる、ふわふわの三毛猫の写実的な絵を、温かみのあるタッチで描いて」と具体的に指示することでAIは全く違うレベルの成果物を生み出します。
プロンプトエンジニアはこのような最適な指示を設計・検証する専門職です。
AIの技術的な特性への深い理解に加え、人間の曖昧な意図を的確に言語化する能力、そして、望む結果を得るための論理的思考力が求められる、まさにAIと人間を繋ぐ、新しい時代の翻訳家のような存在です。
2.AIオフィサー
AIオフィサーは企業のAI戦略全体を統括する、経営陣の1人です。
彼らの仕事は単に新しい技術を導入することではありません。
自社のビジネスモデルや企業文化を踏まえ「どの業務をAIで自動化し、どの部分に人間の創造性を集中させるか」「AI活用によって得たデータを、どう新たな事業やサービスに結びつけるか」といった、経営の根幹に関わる意思決定を下します。
そのため、AI技術の知識だけでなく、経営学、法務、そしてAI倫理に関する幅広い知見が不可欠です。
AIを業務効率化ツールとしてではなく、企業の未来を創るための「戦略的資産」として位置づけ、その活用に責任を持つ、極めて重要なポジションと言えるでしょう。
3.AIトレーナー
AIは質の高い「教師データ」を学習することで初めて賢くなります。
AIトレーナーはこのAIの「先生」や「コーチ」役を担う仕事です。
医療診断AIに、正常なレントゲン写真と、癌の兆候がある写真を何万枚も見せ、その違いを教え込んだり、自動運転AIが交通標識や歩行者を正しく認識できるように、様々な状況の映像データで訓練したりします。
AIの回答や生成物が、社会の倫理観や法律から逸脱していないかをチェックし、偏った判断をしないように「しつけ」を行うことも重要な役割です。
AIが社会の信頼できるパートナーとして成長するために、その基盤を作る、まさに縁の下の力持ちと言える存在です。
4.データサイエンティスト
AI時代において、データサイエンティストの価値はAIに代替されるどころか、むしろ飛躍的に高まります。
彼らはAIを自らの思考を拡張する「相棒」として駆使します。
AIに膨大な顧客データの初期分析を任せ、その結果から人間でなければ気づけないような、ビジネスの核心を突く仮説を立てます。
そして、その仮説を検証するために、再びAIを用いて、より高度な予測モデルを構築するのです。
このように、AIと対話し、協働しながら、データという砂漠から、ビジネスの価値という石油を掘り当てるのが仕事です。
AIという名の超高性能な顕微鏡を自在に操り、ビジネスの真実を探求する、知的な冒険家のような職業と言えるでしょう。
5.AIインストラクショナルデザイナー
AIインストラクショナルデザイナーはAI技術を活用して、最も効果的な教育・学習プログラムを設計する専門家です。
学習者一人ひとりの理解度や進捗状況をAIがリアルタイムで分析し、その人に最適な学習コンテンツや課題を自動で提供する「アダプティブラーニング」の仕組みを構築します。
ある生徒が特定の数学の概念でつまずいていることをAIが検知すると、その生徒にだけその概念を解説する補足ビデオや、基礎的な練習問題を提供する、といったシステムを設計するといった具合です。
教育学や心理学の知見とAI技術への理解を融合させ、学習効果を最大化することがミッションです。
個別最適化された、未来の教育をデザインする仕事と言えるでしょう。
6.AIエンジニア・プログラマー
AIエンジニアやプログラマーはAIという概念を実際に動くシステムやアプリケーションとして形にする「作り手」です。
機械学習のアルゴリズムを実装したり、AIモデルを運用するためのプラットフォームを構築したり、あるいは既存のサービスにAI機能を組み込んだりします。
画像認識AIをスマートフォンアプリに搭載したり、自然言語処理AIを用いて、賢いチャットボットを開発するのも仕事の1つです。
Pythonなどのプログラミング言語や、TensorFlow、PyTorchといった専門的なフレームワークに関する深い知識が求められます。
AI社会の根幹を支える、極めて需要の高い技術専門職であり、その活躍の場はあらゆる産業に広がっています。
7.AI研究者
AIエンジニアが「今ある技術」を使ってシステムを作るのに対し、AI研究者は「まだ世の中にない、未来の技術」そのものを生み出す仕事です。
大学や企業の研究所でより賢く、より効率的な、全く新しいAIのアルゴリズムを考案します。
人間の脳の仕組みを模倣した、新しいニューラルネットワークの構造を提案したり、AIがより少ないデータで学習できるようにするための、新しい理論を構築したりします。
最先端の数学やコンピューターサイエンスの知識を駆使し、人類の知のフロンティアを押し広げることが、彼らのミッションです。
今日のAI技術の発展も、過去の研究者たちの地道な努力の賜物なのです。
AI研究者はAIの進化そのものを担う、根源的な役割と言えます。
8.AIコンサルタント
AIコンサルタントはAI導入を検討している企業に対して、専門的な助言を行う仕事です。
「AIで何かしたいが、何から手をつければ良いか分からない」という企業に対し、そのビジネス課題を深くヒアリングし、最適なAIソリューションを提案・導入支援します。
小売業の顧客データ分析基盤の構築を支援したり、製造業の工場に最適な画像検査AIの選定を手伝ったりします。
AI技術の知識だけでなく、特定の業界に関する深い業務知識と、プロジェクトを円滑に進めるためのマネジメント能力が不可欠です。
企業のAI活用を成功に導き、そのビジネス変革をパートナーとして支える、非常にやりがいのある仕事です。
AIとビジネスの橋渡し役と言えるでしょう。
9.AIプランナー
AIプランナーはAI技術を「何に使うか」という、具体的な事業やサービスのアイデアを企画・立案する仕事です。
彼らは世の中のトレンドや、人々が抱える潜在的なニーズを敏感に察知し「この課題はAIを使えば解決できるのではないか」という新しいビジネスの種を見つけ出します。
「AIを活用した、高齢者向けの見守りサービス」や「個人の学習履歴に基づき、最適なキャリアプランを提案するAIアプリ」などを企画します。
技術的な実現可能性を探りつつ、そのサービスがビジネスとして成立するための収益モデルを設計し、社内のエンジニアやデザイナーを巻き込みながら、プロジェクトを推進していく役割です。
新しい市場を創造する、アイデアと実行力を兼ね備えた人材が求められます。
10.セールスエンジニア
セールスエンジニアはAI関連の製品やサービスを企業に販売する際に、営業担当者と同行し、技術的な側面から顧客をサポートする専門職です。
一般的な営業担当者が顧客との関係構築や価格交渉を担うのに対し、セールスエンジニアは製品の技術的な仕様や、導入のメリットについて、専門的な知見から詳しく説明します。
顧客が抱える技術的な疑問に答えたり、顧客の既存システムと自社のAI製品をどう連携させるか、といった具体的な導入プランを提示したりします。
高度な技術知識と、顧客の課題を理解し、分かりやすく説明するコミュニケーション能力の両方が不可欠です。
AIという複雑な商品を、顧客に安心して導入してもらうための、信頼の架け橋となる仕事です。
11.マーケター
AI時代のマーケターはもはや経験や勘だけに頼って戦略を立てることはありません。
AIを駆使して、膨大な市場データや顧客の行動履歴を分析し、極めて精度の高いマーケティング戦略を立案・実行します。
AIを用いて、将来ヒットする可能性のある商品の特徴を予測したり、顧客一人ひとりに対して、最も心に響く広告メッセージを最適なタイミングで自動的に配信したりすることが仕事です。
また、SNS上の口コミ情報をAIで分析し、自社製品の評判や、新たな顧客ニーズの兆候をいち早く掴むことも可能です。
データ分析能力と、AIツールを使いこなす技術、そして、分析結果から人々の心を動かすためのクリエイティブな発想力を融合させることが、これからのマーケターには求められます。
12.Webデザイナー・ライター
Webデザイナーやライターといったクリエイティブ職も、AIを「相棒」として活用する時代に突入しています。
Webデザイナーはサイトの基本的なレイアウト案や配色パターンをAIに複数提案させ、その中から最も優れたものを選び、自身の独創性を加えて洗練させていきます。
ライターは情報収集や誤字脱字チェックはAIに任せ、自身は独自の視点に基づいた考察、そして読者の感情に訴えかける表現を磨くことに集中できるようになってきました。
AIに単純作業や下準備を任せることで人間はより付加価値の高い、創造的な工程に多くの時間を割けるようになるのです。
Webデザイナー・ライターとAIを使いこなすことで生産性を飛躍的に高め、自身の創造性をさらに拡張できる、新しい時代のクリエイター像です。
まとめ
本記事ではAIによって変化する仕事と、これからの時代に求められるスキルについて、多角的に解説してきました。
AIの台頭を、いたずらに恐れる必要はありません。
AIは人間から仕事を奪う敵ではなく、私たちを面倒な作業から解放し、より創造的で人間らしい仕事に集中させてくれる、強力なパートナーなのです。
重要なのはAIの特性を正しく理解し、AIには真似のできない、あなただけの強みは何かを見極めることです。
ぜひこの記事を参考に、AIを「使う側」の人材として、就活を成功させてください。
