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大切な価値観で「人との繋がり」はありきたり? 差がつくアピールのための第一歩
エントリーシート(ES)の頻出設問、「あなたが大切にしている価値観は何ですか?」。
この問いに対し、自らのコアとなる価値観として「人との繋がり」を伝えたいけれど、どう書けば魅力が伝わるのか悩んでいませんか?この価値観は協調性を示す上で有効ですが、多くの学生が掲げるため、ありきたりな印象を与えかねません。
この記事では、「人との繋がり」という価値観を、採用担当者の心に響くあなただけの強みとしてESに落とし込むための具体的な方法を徹底解説します。
自らの価値観の源泉となるエピソードの発掘から、論理的な文章構成、例文、面接対策まで網羅しますので、ぜひ最後までご覧ください。
たった20の設問であなたの価値観がわかる!
オリジナルの「大切にしている価値観診断」を使って、自分の強みと適性を発見しよう。
20の質問に答えるだけで、あなたの特性を深く掘り下げ、仕事・企業選びの軸となる価値観を徹底分析。
自分を知り自分の「ものさし」を知る第一歩を踏み出しましょう。
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ESで問われる「人との繋がり」という価値観の本質
ESで「人との繋がり」を自身の価値観として書く前に、まず企業がこの価値観から何を見極めようとしているのか、その本質を理解することが不可欠です。
採用担当者は、学生の社交性を見ているわけではありません。
彼らが本当に知りたいのは、その価値観に基づき、組織の一員として周囲と協力し、より大きな成果を生み出せるポテンシャルです。
仕事は多様な人々との連携の上に成り立っています。
この章では、ビジネスシーンで評価される「人との繋がり」という価値観の具体的な意味合いと、あなたの価値観を企業が求める人物像に結びつけるための視点について掘り下げていきます。
単なる「仲良し」ではない、仕事における「繋がり」とは
価値観として語るべき仕事上の「人との繋がり」とは、プライベートの友人関係のような、居心地の良さを求める「仲の良さ」とは明確に一線を画します。
ビジネスの世界における人間関係の根底には、常に「企業の目標達成」という共通の目的が存在します。
そのため、ここで求められる「繋がり」とは、目的達成のための機能的な信頼関係と言えるでしょう。
例えば、たとえ性格が合わないと感じる相手であっても、プロジェクトの成功のために相手の専門性をリスペクトし、円滑に情報交換を行う。
意見が対立した際には、感情的にならず、データや事実に基づいて建設的な議論を交わし、より良い解決策を導き出す。
あるいは、自分の業務範囲外であっても、チームが困難に直面していれば、積極的に手を差し伸べサポートする。
こうした行動の根底にある信念こそが、ここで語るべき価値観です。
ESでは、馴れ合いの関係ではなく、目的達成のために主体的に周囲と関わり、ポジティブな影響を与えた経験を具体的にアピールすることが、あなたの価値観がビジネスの場で通用する本物であることの力強い証明になります。
なぜ今、多くの企業がこの価値観を重視するのか
現代のビジネス環境は、市場や技術、価値観が目まぐるしく変化し、将来の予測が極めて困難な「VUCAの時代」と呼ばれています。
このような状況下では、過去の成功体験や一人の天才的なアイデアだけでは乗り越えられない複雑な課題が次々と生まれます。
企業が持続的に成長し、新たなイノベーションを創出するためには、多様な専門性や異なる視点を持つ人材が、それぞれの強みを活かして協力し合う「コラボレーション」が不可欠です。
単一部署で完結する仕事は減り、部門の垣根を越えたプロジェクトが日常的に行われています。
だからこそ、多くの企業は、個人の能力の高さと同じくらい、周囲と円滑な人間関係を築き、チーム全体のパフォーマンスを最大化できる人材を強く求めているのです。
「人との繋がり」を大切にする価値観は、まさにこの協調性やチームワークへの貢献意欲を示すものであり、組織への適応力や入社後の活躍を期待させる重要な指標と見なされているのです。
あなたの価値観が、現代企業が直面する課題を解決する上で、いかに重要な資質であるかを理解し、アピールすることが大切です。
あなたの「人との繋がり」はどのタイプ?
「人との繋がり」を価値観として掲げる人の中でも、その強みの発揮の仕方は様々です。
ESで他の学生との差別化を図り、あなたならではの魅力を伝えるためには、「自分はどのタイプか」を具体的に言語化することが極めて重要です。
「私は人との繋がりを大切にします」だけでは、人物像がぼやけてしまいます。
例えば、明確なビジョンを示し、周囲を巻き込みながらチームを力強く牽引していく「リーダーシップタイプ」でしょうか。
あるいは、メンバー一人ひとりの意見を丁寧に聞き、対立する意見の間に立って合意形成を粘り強く促す「調整役タイプ」でしょうか。
もしくは、目立つ存在ではなくとも、常に周囲に気を配り、困っている仲間がいればそっと手を差し伸べる「サポートタイプ」かもしれません。
過去の経験を振り返り、自分がチームの中で自然とどのような役割を担い、どのような行動で貢献することで自身の価値観を体現してきたかを深く分析してみましょう。
自分のタイプを明確にすることで、ESに記述するエピソードに一貫性が生まれ、あなたが組織の中でどのように輝ける人物なのかを採用担当者に鮮明にイメージさせることができます。
「就活の軸」と「大切にしている価値観」の違い
「人との繋がりを大切にしている」という価値観と、「就活の軸」を混同してしまう人もいますが、この2つは似ているようで異なります。
- 大切にしている価値観(例:人との繋がり)
あなたの行動や判断の根本にある「在り方」や「信念」です。 - 就活の軸
価値観を実現するために、企業を選ぶ際の「具体的な物差し」や「条件」です。
例えば、「人との繋がりを大切にする」という価値観があるからこそ、「チームで協力し合う社風であること」や「顧客と深く長期的に関われる仕事であること」といった就活の軸が生まれます。
ESで「人との繋がり」について書く際は、これがあなたの「価値観」であり、その価値観をどう「就活の軸」に反映させて企業を選んだのかを意識すると、より一貫性のあるアピールができます。
ESの説得力を倍増させる自己分析とエピソードの探し方
「人との繋がりが私の価値観です」という主張を、単なる言葉で終わらせないためには、その価値観が形成された具体的なエピソードが不可欠です。
採用担当者は、あなたの価値観がどのような経験から生まれ、実際の行動にどう結びついているのかを知りたがっています。
ここでは、ありきたりで終わらない、あなただけのオリジナルなエピソードを見つけ出し、ESの説得力を倍増させる自己分析の方法を紹介します。
行動の裏にある「動機」を深く掘り下げ、価値観の源泉を探ることで、あなたのESは採用担当者の記憶に残るものになるでしょう。
アルバイト・サークル・ゼミ…経験の棚卸しでネタを発掘
あなたの価値観を裏付ける説得力のあるエピソードは、海外留学や起業といった特別な経験である必要は全くありません。
むしろ、日常の学生生活の中にこそ、あなたらしさが光る原石は眠っています。
まずは、大学生活の年表やマインドマップを作成するなどして、これまでの経験を客観的に洗い出してみましょう。
アルバイト、サークル活動、ゼミ、学園祭の運営、ボランティアなど、チームや組織の一員として誰かと関わった経験をすべて書き出します。
その中で、「チームの目標達成に貢献した経験」「意見が対立するメンバーの架け橋となった経験」「後輩や新人のサポートをした経験」「顧客や仲間から感謝された経験」など、自身の価値観がポジティブな形で表れた場面をピックアップします。
大切なのは、その時の「状況」「自分の課題や役割」「価値観に基づいた具体的な行動」「行動による結果や周囲の変化」をセットで、できるだけ詳細に思い出すことです。
この地道な作業を通じて、漠然としていたあなたの価値観が、リアリティのあるエピソードとして確かな輪郭を現してくるはずです。
「なぜそう行動したのか?」動機の深掘りでオリジナリティを出す
魅力的なエピソードの候補を見つけたら、次に行うべきは「なぜ?」の深掘り、いわゆる「なぜなぜ分析」です。
この作業が、あなたのESに他者にはないオリジナリティと深みを与える上で最も重要なプロセスとなります。
例えば、「サークルで対立するメンバーの仲裁をした」という経験に対して、「なぜ仲裁しようと思ったのか?」と自問します。
答えが「チームの雰囲気を良くしたかったから」であれば、さらに「なぜ雰囲気を良くしたかったのか?」と問いを重ねます。
「雰囲気が悪いと個々の能力が発揮できないから」→「なぜ個々の能力を発揮してほしかったのか?」→「全員が納得して進む方が、一人で頑張るよりずっと大きな成果が出ると信じているから」。
このように、最低でも5回は「なぜ?」を繰り返してみてください。
この深掘りの果てにたどり着いた答えこそが、あなたの行動の源泉にある揺るぎない信念、すなわち「価値観の源泉」です。
この源泉を明確にすることで、あなたの行動に一貫したストーリーが生まれ、ESに人間味と強い説得力をもたらします。
企業の求める人物像から逆算してエピソードを選ぶ
自己分析によって複数の強力なエピソード候補が見つかったら、最後に、どのエピソードをESに書くべきかを選ぶ作業が必要です。
その最終的な判断基準となるのが、応募する企業の「求める人物像」や企業理念(バリュー)です。
どんなに素晴らしいエピソードでも、企業が求める方向性とズレていては魅力が半減してしまいます。
企業の採用サイトにある「社員紹介」や「プロジェクトストーリー」、IR情報の中期経営計画などを徹底的に読み込み、その企業がどのような人材を求め、どのような価値観を大切にしているのかをリサーチしましょう。
可能であればOB/OG訪問で、現場の社員がどのような働き方をしているかヒアリングするのも有効です。
「若手のうちから周囲を巻き込み、変革をリードする人材」を求める企業であればリーダーシップを発揮したエピソードを、「顧客一人ひとりと誠実に向き合い、長期的な関係を築く人材」を求める企業であれば、相手に寄り添いサポートしたエピソードを選ぶのが効果的です。
自分の価値観と企業が求める価値観の接点を見つけ出し、そこに合致するエピソードを戦略的に提示することで、採用担当者に「この学生は、まさに私たちが探していた人材だ」と強く印象付けることができるのです。
採用担当者の目に留まる!ESの基本構成(PREP法)
どんなに素晴らしい価値観とエピソードも、伝わらなければ意味がありません。
多忙な採用担当者にとって、「分かりやすさ」は非常に重要な評価ポイントです。
そこでおすすめしたいのが、結論から話す文章の型「PREP法」です。
この構成を用いることで、あなたの価値観が瞬時に相手に伝わり、説得力のあるESを作成することができます。
この章では、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(具体例)」「Point(結論)」の4つのステップに沿って、価値観を効果的に伝えるESの組み立て方を解説します。
この型は、ESだけでなく面接での受け答えにも応用できるスキルです。
【Point】結論ファースト:私の価値観は「〇〇な人との繋がり」です
ESの書き出しは、何よりもまず結論から始めます。
設問に対して、「私が最も大切にしている価値観は、多様な背景を持つ人々と協力し、一つの目標を成し遂げることです」というように、最も伝えたい自分の価値観を、明確かつ簡潔な一文で冒頭に提示しましょう。
なぜ結論ファーストが重要なのでしょうか。
それは、読み手である採用担当者の負担を劇的に軽減できるからです。
先に話のゴールを示すことで、読み手は「この学生はこれからこの価値観について、その根拠を話すのだな」と頭の準備ができ、その後の文章が驚くほど理解しやすくなります。
ここでのポイントは、「人との繋がり」という言葉に「どのような」というあなただけの修飾語を加えること。
「課題解決のための繋がり」「多様性を尊重し、新たな価値を生む繋がり」など、自分なりの定義を添えることで、ありきたりな表現に終わらず、冒頭からあなたの価値観の独自性を強く印象付けることができます。
この最初の一文が、これから続く文章全体の質を決定づけると言っても過言ではありません。
【Reason/Example】具体例:説得力の核となるエピソードを記述
冒頭で提示した自らの価値観を、なぜ大切にするようになったのか。
その理由と根拠を、具体的なエピソードを交えて詳細に説明します。
ここがESの大部分を占める、あなたの人間性を伝える最も重要なパートです。
エピソードを効果的に記述するためには、「STARメソッド」というフレームワークを意識すると非常に分かりやすくなります。
まずS (Situation):いつ、どこで、誰と、どのような状況だったのか。
読み手が背景を理解できるよう簡潔に説明します。
次にT (Task):その状況で、どのような課題や困難、あるいは目指すべき高い目標があったのか。
課題の困難さを客観的な数値などで示すと、より説得力が増します。
そして最も重要なA (Action):その課題に対し、自身の価値観に基づき、具体的にどう考え、どう行動したのか。
ここには、あなたの思考プロセスや創意工夫を盛り込みましょう。
「ただ頑張った」ではなく、「〇〇という問題点があると考え、△△という解決策を提案し、周りを巻き込んだ」というように、主体的な行動を描写します。
最後にR (Result):あなたの行動の結果、どのような変化や成果があったのか。
売上向上といった定量的な成果だけでなく、チームの結束が強まった、仲間から感謝されたといった定性的な成果も、あなたの価値観を裏付ける力強い証拠となります。
【Point】結論(貢献):入社後にどう活かせるかをアピール
エピソードで価値観の説得力を高めたら、最後にもう一度、結論で締めくくります。
ただし、冒頭の結論をただ繰り返すだけでは不十分です。
ここでは、これまで述べてきた「人との繋がり」という価値観と、それを裏付ける経験を、入社後どのように活かして企業に貢献できるのか、という未来に向けた具体的なビジョンを示すことが極めて重要です。
「この経験で培った力を活かして貢献したいです」という漠然とした意気込みでは、採用担当者の心には響きません。
企業研究で得た知識を総動員し、「この経験で培った、多様な意見を調整しチームをまとめる力を、貴社の主力事業である〇〇の海外展開において、文化の異なる現地スタッフとの信頼関係を構築する上で必ず活かせると確信しております」のように、企業の事業内容や職種と具体的に結びつけて語りましょう。
これにより、あなたの価値観が単なる学生時代の思い出ではなく、入社後も再現性のある強みであることを論理的にアピールでき、採用担当者に「この学生は自社で活躍してくれそうだ」という確信を抱かせることができます。
すぐに使える!「人との繋がり」を伝えるES例文
自己分析でエピソードを掘り起こし、PREP法という構成の型を理解しても、いざ白紙のESを前にすると、どのように言葉を紡いでいけば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。
優れた文章の書き方を学ぶ一番の近道は、質の高い見本に数多く触れることです。
ただし、ここで紹介する例文は、あくまであなたの思考を刺激し、表現の引き出しを増やすための「参考書」です。
これをそのまま書き写しても、あなたの魅力は伝わりません。
大切なのは、これらの例文の構造や言葉選びのエッセンスを吸収し、あなた自身の経験というオリジナルの素材と掛け合わせることです。
この章では、多くの学生が経験するであろう「部活動・サークル」「アルバイト」「学業・ゼミ」という3つのシーンに分け、それぞれの状況で「人との繋がり」という価値観を効果的にアピールするためのポイントを解説していきます。
【例文】部活動・サークル活動編
所属していたバスケットボール部では、個々のスキルは高いものの、勝利への意識の違いから一体感に欠けていました。
私は副部長としてこの状況を打開するため、全部員と個別面談を行いました。
スターティングメンバーだけでなく控え選手やマネージャーからも本音を丁寧にヒアリングし、練習メニューへの要望やチームへの想いを引き出しました。
そして、吸い上げた多様な意見を主将や監督と共有し、具体的な練習メニューに反映させました。
この取り組みにより、部員一人ひとりに「自分もチームの一員だ」という当事者意識が芽生え、チームの結束力は飛躍的に向上。
結果として、地区大会で創部以来のベスト4を達成することができました。
この経験から、対話を通じて信頼の「繋がり」を築くことがチームの成果を最大化させると確信しています。
貴社でもこの価値観を活かし、多様なメンバーと強固な信頼関係を築き、プロジェクトの成功に貢献したいです。
【例文】アルバイト編
カフェのアルバイトで、リピーターのお客様に付加価値を提供し、長期的な関係を築くことに力を入れました。
そのために、お客様の顔や注文メニューを覚え、「〇〇様、いつものブレンドでよろしいですか?」といった個別のお声がけを徹底しました。
さらに、この取り組みを店舗全体に広げるため、お客様情報を共有するノートを作成。
これにより、どのスタッフでも質の高い接客ができるようになり、チームとしてお客様と向き合う文化を醸成しました。
結果として、お客様から「いつ来ても気持ちが良いね」とお褒めの言葉を頂く機会が増え、店舗の売上も前年比110%を達成することができました。
この経験から、相手を深く理解しようと努める姿勢が、信頼という強固な「繋がり」を生むことを学びました。
貴社においても、お客様や仲間の期待を超える行動を積み重ねることで、長期的な信頼関係を築き、事業の成長に貢献したいです。
【例文】学業・ゼミ活動編
経済学ゼミの共同論文執筆で、「地域経済の活性化」というテーマのアプローチを巡り意見が対立し、議論が停滞しました。
私はこの状況を打開するため、まず各主張の根拠を全員で共有し、議論を可視化するためにホワイトボードに両案の長所・短所・共通目的を整理しました。
そして、その共通目的である「雇用の創出」を軸に、両案を融合させた「観光業をIT技術でアップデートする」という新たな第3の視点を提示しました。
この提案によって全員が納得できる共通のゴールが生まれ、ゼミの一体感が復活。
その後は各自の得意分野を活かして協働し、質の高い論文を完成させることができました。
この経験から、意見対立を恐れず対話を重ねることで、より高次元の結論に到達できると学びました。
貴社でも多様な意見を持つメンバーと臆せず議論を交わし、チームとして最適な解を導き出すことで、新たな価値創造に貢献したいです。
これは避けたい!評価を下げかねないESの注意点と面接対策
「人との繋がり」は多くの学生がアピールする大切にしている価値観だからこそ、伝え方を少し間違えるだけで他の学生の中に埋もれてしまったり、かえってマイナスの印象を与えてしまったりする危険性も孕んでいます。
ESの最終チェック段階で、自分の文章が独りよがりになっていないか、企業の視点から見て魅力的に映るかを客観的に見直すことが重要です。
この章では、せっかくの自己分析やエピソードを台無しにしないために、ES作成時に特に注意すべきポイントを解説します。
また、無事に書類選考を通過した後に待っている面接で、ESの内容をさらに深掘りされた際に、自信を持って応答するための準備についても触れていきます。
大切にしている価値観のESの最後の仕上げとして、ぜひ参考にしてください。
【ESの注意点】抽象的な言葉や精神論で終わらせない
ESで最も避けたい失敗が、「コミュニケーション能力を活かして、チームの輪を大切にしました」や「皆と協力することを頑張りました」といった、具体的行動が見えない抽象的な表現で終始してしまうことです。
なぜこれがNGかというと、採用担当者が評価のしようがなく、他の学生との比較ができないからです。
彼らが知りたいのは、あなたの能力そのものではなく、その能力をどのように発揮して成果を出したのか、という再現性のある事実です。
例えば、「コミュニケーション能力」と書く代わりに、「意見が対立していたAさんとBさんの間に立ち、双方の意見を個別にヒアリングした上で、両者の妥協点を探る話し合いの場を設けた」というように、誰が読んでも行動をイメージできるレベルまで具体的に記述しましょう。
「頑張った」「努力した」といった精神論ではなく、事実に基づいた客観的な行動を描写することが、あなたの価値観に説得力を持たせるための絶対条件です。
【ESの注意点】「依存心」や「受け身」な印象を与えない
「人との繋がり」という価値観をアピールする際、陥りがちなのが「周りの人に助けてもらい、困難を乗り越えられました。この経験から人との繋がりの大切さを学びました」という受け身な表現で終わってしまうことです。
もちろん、他者への感謝の気持ちは美徳ですが、ESはあなたの主体性をアピールする場です。
「感謝」と「依存」は全く異なります。
この場合、「周囲の助けに深く感謝すると同時に、自分もチームに貢献したいと考え、議事録の作成や資料準備など、皆が面倒がる役割を率先して引き受けた」というように、助けられた経験から何を学び、次にどのような主体的・能動的な行動を起こしたのかを必ず付け加えましょう。
「繋がり」を大切にするからこそ、一方的に助けを待つのではなく、自分から積極的に働きかけ、ギブアンドテイクの関係を築ける人物であることを示すことが、自立した社会人候補として評価されるための重要なポイントです。
【面接対策】「他に大切にしている価値観は?」と聞かれたら
ESは、それ自体がゴールなのではなく、面接という「対話」への招待状です。
面接官はESに書かれた内容を元に、「その時、一番大変だったことは?」「なぜその行動を取ろうと思ったのですか?」といった形で、あなたの価値観をさらに深く探ってきます。
特に、「人との繋がり以外に大切にしている価値観はありますか?」という質問は、あなたの思考の幅や一貫性を見るための頻出質問です。
この時、全く別の価値観を唐突に話すのではなく、「人との繋がりを大切にするからこそ、個々の『成長』も重要だと考えています。
なぜなら、一人ひとりが成長することが、結果的にチームへの最大の貢献になり、より質の高い繋がりに繋がるからです」というように、軸となる価値観と有機的に関連付けて話せると、あなたという人間の考え方に深みと一貫性があることを示せます。
「挑戦」「誠実」「成長」など、他の価値観との繋がりを事前に整理し、どんな角度から質問されても、自分の価値観を軸に語れるように準備しておきましょう。
大切な価値観の「人との繋がり」はあなたのキャリアの軸になる
ESで「人との繋がり」という大切にしている価値観を効果的にアピールするための方法を、様々な角度から解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
大事なのは、借り物の言葉ではなく、あなた自身の経験に基づいた、あなただけの言葉で語ることです。
この記事で紹介した自己分析や構成のポイントは、そのための土台作りに過ぎません。
ぜひ時間をかけて自分と向き合い、あなたらしい魅力が詰まったESを完成させてください。
そして、そのESは単なる選考書類ではなく、面接であなた自身を語るための最高のシナリオにもなります。
自信を持って作成したESは、他の大切にしている価値観を効果的に伝え、きっと背中を押し次のステップへと導いてくれるはずです。
あなたの就職活動が実りあるものになることを、心から応援しています。