【業界研究】リユース業界はきついのか?理由や向いていない人の特徴を徹底解説!

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柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

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はじめに

皆さんが就職活動を進める中で、「リユース業界」という選択肢を考えたことはありますか?最近、環境意識の高まりとともに注目されていますが、同時に「きつい」「大変」といった声も耳にするかもしれません。

この記事では、リユース業界の実際のところ、仕事内容から将来性、そして「きつい」と言われる理由まで、就活生の皆さんが知りたい情報を徹底的に解説していきます。

業界のリアルを知って、自分に合うかどうか見極めていきましょう。

【リユース業界はきついのか】リユース業界はきつい?

就活生の皆さんから「リユース業界って、実際きついんですか?」という質問をよく受けます。

確かに、インターネット上やOB訪問で、体力的な負担や覚えることの多さ、ノルマの大変さなどを理由に「きつい」という声が挙がるのは事実です。

しかし、それは業界の一側面でしかありません

成長している市場だからこその忙しさや、専門性を求められるからこその厳しさとも言えます。

大切なのは、その「きつさ」が具体的に何を指しているのか、そして自分にとってそれが乗り越えられない壁なのか、むしろやりがいと感じる要素なのかを見極めることです。

この記事で、その実態を紐解いていきましょう。

【リユース業界はきついのか】リユース業界の仕事内容

リユース業界と一口に言っても、その仕事内容は非常に多岐にわたります。

皆さんがイメージしやすい店舗での接客や買取だけでなく、買い取った商品を価値ある状態に戻す作業や、オンラインで販売するための戦略を練る仕事など、様々なプロフェッショナルが関わり合ってビジネスが成り立っています。

「モノ」が次の人へ渡るまでの全プロセスに関わるのが、この業界の面白さでもあります。

企業のビジネスモデル(総合リユースか、アパレルやブランド品などの専門店か)によっても業務の幅は変わってきますが、ここでは代表的な仕事内容を4つに分けて見ていきましょう。

自分のどの強みが活かせそうか考えながら読んでみてください。

買取・査定業務(バイヤー)

リユース業界の心臓部とも言えるのが、お客様から持ち込まれた品物を査定し、買い取る「買取・査定業務」です。

一般的に「バイヤー」や「鑑定士」と呼ばれるポジションがこれにあたります。

この仕事の難しさは、ただ品物の状態を見るだけでなく、ブランドの知識、現在の市場相場、流行、さらには真贋を見極める専門的な目利きが求められる点です。

お客様が大切にしてきた品物に対して適切な価格を提示し、納得して手放してもらうためのコミュニケーション能力も欠かせません。

査定額が低ければお客様は満足せず、高すぎれば会社の利益を損ないます。

まさに知識と経験、そして交渉力が試される、非常に専門性が高くやりがいのある仕事です。

企業によっては、入社後に厳しい研修や資格取得支援制度を設けて、プロのバイヤーを育成しています。

販売・接客業務(店舗スタッフ)

買い取った商品を、次に必要としているお客様へ届けるのが「販売・接客業務」です。

リユースショップの店頭に立ち、お客様のニーズをヒアリングしながら最適な商品を提案します。

リユース品は基本的に一点物であり、新品とは異なるコンディション(状態)が必ずあります。

そのため、商品の魅力だけでなく、傷や使用感といった情報も正確に伝える誠実さが求められます。

また、単に商品を売るだけでなく、魅力的な売り場作り(VMD)や、商品の品出し、レジ対応、在庫管理なども重要な業務です。

お客様との会話の中から「こんな商品を探している」というニーズを引き出し、それが買取業務にもフィードバックされることもあります。

お客様の「ありがとう」を直接聞けることが、この仕事の大きなモチベーションになるでしょう。

商品管理・メンテナンス

買い取った品物が、そのまま店頭やECサイトに出せるわけではありません。

特にアパレルやブランド品、家具、家電などは、「商品管理・メンテナンス」のプロセスが不可欠です。

この業務では、買い取った品物を一点一点チェックし、クリーニングや簡単な修理(リペア)を行います。

例えば、洋服のシミ抜きやボタンの付け直し、バッグの革の補色、電化製品の動作確認や清掃などです。

このひと手間が商品の価値を大きく左右し、販売価格にも直結します。

地道な作業に思えるかもしれませんが、モノを大切に扱い、価値を再生させるというリユースの醍醐味を最も感じられる仕事の一つです。

手先の器用さや、丁寧な作業をコツコツと続けられる忍耐力が求められます。

また、商品の状態を正確にデータ入力し、在庫を管理することも重要な役割です。

ECサイト運営・マーケティング

近年、リユース業界でも急速に重要性が高まっているのが「ECサイト運営・マーケティング」です。

店舗での販売と並行し、自社のECサイトや大手ECモール、あるいはフリマアプリなどで商品を販売します。

この業務では、買い取った商品をオンラインで魅力的に見せるための写真撮影(ささげ業務)や、商品の状態を正確に伝えるための原稿作成が基本となります。

さらに、どの商品をどのチャネル(販路)で売るのが最適かを分析し、戦略を立てることも求められます。

SEO対策やSNSを活用したプロモーション、Web広告の運用など、デジタルマーケティングの知識も活かせる分野です。

実店舗という制約を超えて、全国・全世界のお客様に商品を届けることができるのが、この仕事のダイナミズムと言えるでしょう。

【リユース業界はきついのか】リユース業界の主な職種

リユース業界には、先ほど紹介した「仕事内容」を遂行するために、様々な「職種」が存在します。

一つの会社の中でも、適性やキャリアプランに応じて多様な道が用意されているのが特徴です。

例えば、モノの価値を見極めるプロフェッショナルから、店舗全体をマネジメントする役割、さらにはインターネットを通じてビジネスを拡大する専門家まで、活躍の場は多彩です。

自分がどのような形で「モノの循環」に貢献したいのか、具体的な職種を知ることで、入社後のキャリアイメージがより鮮明になるはずです。

ここでは、リユース業界で中心となる5つの職種を紹介します。

それぞれの職種で求められるスキルやマインドにも注目してみてください。

バイヤー(鑑定士)

バイヤー(鑑定士)は、リユース業界の「目利き」として、買取業務を専門に担う職種です。

お客様が持ち込んだ品物や、出張買取で訪問した先にある品物の価値をその場で見極め、査定額を提示します。

この職種の核心は、膨大な商品知識とリアルタイムの相場観です。

ブランド品、貴金属、骨董品、アパレル、家電など、扱う商材に関する専門知識を日々アップデートし続けなければなりません。

また、真贋を見極めるスキルも不可欠です。

お客様との価格交渉も重要な役割であり、なぜその価格になるのかを論理的に説明し、納得していただく高いコミュニケーション能力が求められます。

企業の利益に直結する重要なポジションであり、成果がインセンティブとして給与に反映されやすい職種の一つでもあります。

店舗運営スタッフ

店舗運営スタッフは、リユースショップの「顔」として、店舗の運営全般に関わる職種です。

最も多くの新卒社員が最初に配属されることが多いポジションかもしれません。

主な業務は、接客、販売、レジ対応、商品の品出し、ディスプレイの変更など多岐にわたります。

単なる「店員」ではなく、どうすればお客様が快適に買い物を楽しめるか、どうすれば商品がより魅力的に見えるかを考え、実行する役割です。

買取業務を兼任する場合も多く、バイヤーとしてのスキルも徐々に身につけていきます。

経験を積むと、アルバイト・パートスタッフの教育、シフト管理、売上管理などを任されるようになり、最終的には店舗全体のマネジメントを行う店長を目指すキャリアパスが一般的です。

EC運営担当

EC運営担当は、実店舗ではなく、インターネット上での販売を専門に担う職種です。

リユース市場全体でEC化率が高まる中、その重要性はますます増しています。

主な仕事は、商品の写真撮影、採寸、状態の確認、紹介文の作成といった「出品作業(ささげ業務)」から始まります。

しかし、それだけではありません。

どのプラットフォーム(自社EC、モール、フリマアプリ)で売るのが最も効果的かを判断し、在庫管理や受注・発送業務を正確に行うことも重要です。

さらに、売上データを分析し、Web広告やSNSを活用した販促企画を立案・実行するなど、Webマーケティングの側面も持ち合わせています。

デジタルの知識とリユースの知識を融合させ、売上を最大化することがミッションです。

商品管理・リペア担当

商品管理・リペア担当は、買い取った商品を「商品」として再び命を吹き込む、いわば「裏方」の専門職です。

買取部門から回ってきた品物を、クリーニングしたり、必要な修理(リペア)を施したりします。

例えば、アパレルであればシミ抜きやアイロンがけ、ブランドバッグであれば革の補色やクリーニング、時計であれば電池交換やオーバーホール(分解掃除)など、商材によって求められる技術は様々です。

この工程を経ることで、商品の価値は格段に上がります。

モノに対する深い知識と愛情、そして高い技術力が求められる職種です。

企業によっては、専門のリペアセンターを設けている場合もあります。

地道な作業が多いですが、モノが蘇る瞬間に立ち会える、リユースならではのやりがいがあります。

本部スタッフ(企画・人事・バイヤー支援など)

店舗やECといった現場を後方から支えるのが、本部スタッフの役割です。

新卒でいきなり配属されるケースは稀で、多くは現場経験を積んだ後にキャリアチェンジする道として存在します。

例えば、全社の売上戦略や新規事業を考える「経営企画」、新しい店舗の開発を行う「店舗開発」、採用や教育を担当する「人事」、現場のバイヤーの査定を遠隔でサポートしたり、相場情報を発信する「バイヤー支援(SV)」など、企業活動を円滑に進めるために不可欠な機能が揃っています。

現場での経験があるからこそ、実態に即した施策を立案し、現場スタッフが働きやすい環境を整えることができます。

将来的に会社の経営中枢に関わりたいと考える人にとっては、目指すべきキャリアの一つとなるでしょう。

【リユース業界はきついのか】リユース業界がきついとされる理由

さて、ここからは就活生の皆さんが最も気になっているであろう、「リユース業界がきつい」と言われる具体的な理由について、深く掘り下げていきます。

どの業界にも、その業界特有の「大変さ」は必ず存在します。

リユース業界の場合、それは成長している市場であることの裏返しや、専門的なスキルが求められること、そして「モノ」と「ヒト」の両方と深く関わるビジネスであることに起因しています。

ネガティブな情報から目をそらすのではなく、その実態を正しく理解し、自分にとってそれは許容できる範囲なのか、それともミスマッチにつながりそうなのかを判断する材料にしてください。

入社後のギャップを減らすためにも、ここで挙げる6つのポイントをしっかり確認しておきましょう。

体力的な負担が大きい

リユース業界がきついと言われる最大の理由の一つが、体力的な負担です。

特に総合リユースショップや、家具・家電を扱う店舗では、重い商品を運搬する機会が日常的に発生します。

お客様が持ち込んだ大型の家具を車から降ろしたり、買い取った商品を倉庫に運んだり、売れた商品を配送のために梱包したりと、かなりの力仕事です。

また、出張買取では、お客様のお宅でタンスや冷蔵庫を運び出すこともあります。

店舗スタッフは基本的に立ち仕事であり、広い店内を歩き回ることも多いため、一日が終わる頃には足がパンパンになるという声も珍しくありません。

体力に自信がない人にとっては、この点が大きなハードルになる可能性があります。

ただし、企業によっては台車やリフトを整備したり、運搬専門のスタッフを配置したりと、負担軽減の工夫をしているところもあります。

買取・販売ノルマのプレッシャー

多くのリユース企業、特に営業色が強い会社では、個人や店舗単位での「ノルマ(目標)」が設定されている場合があります。

具体的には、「月間の買取金額」「買取点数」「販売金額」「粗利(売上から原価を引いた利益)」などです。

これらの数字を達成するために、日々プレッシャーを感じることが「きつい」と感じる要因になります。

特にバイヤーの場合、お客様との価格交渉において、「できるだけ安く買い取りたい」という会社の利益目標と、「少しでも高く売りたい」というお客様の期待との板挟みになることもあります。

目標達成への意欲がモチベーションになる人にとってはやりがいになりますが、数字に追われるのが苦手な人にとっては、大きな精神的ストレスとなるでしょう。

企業説明会などで、評価制度や目標設定の在り方について質問してみるのも良いかもしれません。

クレーム対応の精神的ストレス

お客様との距離が近いリユース業界では、クレーム対応も避けては通れない業務の一つです。

最も多いのが、買取査定額に関するものです。

「思ったより値段がつかなかった」「なぜこの金額なのか」といった不満や、「他店ではもっと高かった」というお言葉をいただくこともあります。

また、販売時にも「購入した商品がすぐに壊れた」「説明になかった傷がある」といったリユース品特有のトラブルが発生することもあります。

お客様の期待と現実のギャップが、クレームにつながりやすいのです。

こうしたお客様の不満や怒りに真正面から向き合い、誠実に対応する精神的なタフさが求められます。

もちろん、理不尽な要求に対しては毅然とした態度も必要ですが、感情的にならず冷静に対応し続けることは、想像以上にエネルギーを使います。

専門知識の習得が大変

リユース業界、特にバイヤーとして活躍するためには、膨大な専門知識の習得が不可欠です。

ブランド品の真贋(本物か偽物か)を見極める知識、商品の型番や年代、希少性、そして何より日々変動する中古市場の相場を把握し続けなければなりません。

新卒で入社した場合、まずはこれらの知識をゼロから猛勉強することになります。

企業側も研修制度を設けてはいますが、研修が終わればOKというわけではなく、現場に出てからも自主的に学び続ける姿勢が求められます。

新しいブランドの登場、流行の変化、相場の変動など、情報は常にアップデートされていくため、勉強に終わりがありません。

「モノが好き」というレベルを超えて、その背景にある知識を貪欲に吸収し続ける探究心がないと、「覚えることが多すぎてきつい」と感じてしまうでしょう。

給与水準が低いと感じる場合がある

これはリユース業界に限ったことではありませんが、小売・サービス業全体として、他業界(例えばITや金融、メーカーなど)と比較した場合、平均給与がやや低い傾向にあることは否めません。

新卒の初任給は他業界と大差なくても、その後の昇給カーブが緩やかだったり、インセンティブ(成果報酬)の割合が大きかったりする場合があります。

もちろん、バイヤーとしての査定スキルを磨き、高い成果を上げれば、インセンティブや役職手当によって高い給与を得ることも可能です。

しかし、誰もがそうなれるわけではなく、安定的に高い給与を望む人にとっては、物足りなさを感じる「きつさ」になるかもしれません。

企業の給与体系や評価制度、キャリアパスモデルを事前にしっかりと確認し、自分の求める働き方とマッチするかを検討する必要があります。

休日が不規則になりがち

リユースショップは、アパレルや飲食店と同様に、お客様が休みの日に来店される「BtoC」のビジネスです。

そのため、**土日祝日やゴールデンウィーク、お盆、年末年始といった世間一般の連休が、最も忙しい「かき入れ時」となります。

当然、そこで働くスタッフは、土日祝日に休みを取りにくくなります。

多くの企業がシフト制を採用しており、平日に休み(週休二日制は確保されている場合がほとんど)を取得する形になります。

「友達と休みが合わない」「カレンダー通りの生活がしたい」**と考える人にとっては、この勤務体系が「きつい」と感じる大きな要因です。

逆に、「平日の空いている時に出かけられるのが良い」とポジティブに捉えられる人であれば、問題ないかもしれません。

自分のライフプランと照らし合わせて考えることが重要です。

リユース業界の現状・課題

リユース業界は、就活生の皆さんにとっても非常に身近な存在になりつつあります。

フリマアプリの普及や、環境問題への意識の高まり(サステナビリティ)を背景に、中古品を売買することへの抵抗感は薄れ、むしろ「賢い選択」「環境に良いこと」としてポジティブに捉えられるようになりました。

市場規模は年々拡大を続けており、非常に勢いのある業界であることは間違いありません。

しかし、その一方で、急成長に伴う「ひずみ」や、新たな「課題」も生まれています。

業界の「きつさ」だけでなく、業界全体が今どのような状況にあり、何に直面しているのかを理解することは、皆さんが企業研究を進める上で非常に重要です。

ここでは、リユース業界の「今」を3つの側面から解説します。

市場規模の拡大と消費者の意識変化

リユース業界は現在、大きな追い風の中にあります。

最大の要因は、消費者の「サステナビリティ(持続可能性)」への意識の高まりです。

新品を大量生産・大量消費するのではなく、今あるモノを大切にし、長く使い続ける「循環型社会」への関心が、リユース品の需要を後押ししています。

また、フリマアプリの登場により、個人間での売買(CtoC)が日常化したことで、中古品への心理的なハードルが大きく下がりました。

「捨てる」のではなく「売る」という選択肢が当たり前になったことも、プロの事業者が介在するリユース市場(BtoC)にも良い影響を与え、良質な商品が集まりやすくなっています。

この「環境意識」と「節約・お得意識」の両輪が、リユース市場全体のパイを拡大させているのが現状です。

競争の激化と差別化の必要性

市場が拡大している一方で、リユース業界内の「競争」は非常に激しくなっています。

まず、最大のライバルとも言えるのが、メルカリなどに代表される「CtoC(個人間取引)市場」です。

消費者が手軽に、かつ(手数料は取られるものの)比較的高い金額で売買できるフリマアプリは、リユース企業にとって**「仕入れ(買取)」と「販売」の両面で競合**となります。

また、リユース企業同士の競争も激化しています。

総合リユースで全国展開する大手企業もあれば、ブランド品、アパレル、ホビー、家電など、特定のジャンルに特化して専門性を高めることで生き残りを図る企業も増えています。

このような環境下で、企業は「なぜウチで売る(買う)べきなのか」という明確な価値(価格、専門性、利便性、信頼性など)を提示し、差別化を図っていくことが急務となっています。

人材の確保と育成の難しさ

リユースビジネスの根幹を支えるのは、モノの価値を正確に見極める「人」の力、特にバイヤーのスキルです。

しかし、この専門的なスキルを持つ人材の確保と育成が、業界全体の大きな課題となっています。

前述の通り、バイヤー(鑑定士)になるには、真贋を見極める目や相場観、商品知識など、膨大な知識と経験が必要です。

一人前のバイヤーを育てるには時間がかかり、その途中で離職してしまうケースも少なくありません。

特に、フリマアプリの普及で偽物の流通も巧妙化しており、バイヤーに求められるスキルは年々高まっています。

市場の拡大に人材の育成が追いついていないのが実情であり、多くの企業がAI査定ツールの導入や、研修・教育制度の充実に力を入れていますが、依然として「属人的なスキル」に依存する部分が大きいのが課題です。

リユース業界の今後の動向

急成長を遂げ、同時に多くの課題にも直面しているリユース業界ですが、その将来性は非常に明るいとされています。

社会全体の「サステナビリティ」への流れは不可逆的であり、モノを「所有」することから「循環」させることへの価値観の変化は、今後もこの業界を力強く後押しするでしょう。

ただし、これまでと同じやり方を続けていれば安泰というわけではありません

フリマアプリとの競争や人材不足といった課題を乗り越え、持続的に成長していくために、業界全体で大きな「変革」が起ころうとしています。

ここでは、リユース業界がこれから向かう先、「今後の動向」を3つのキーワードで解説します。

皆さんが入社数年後に、どのような環境で働くことになるのかをイメージしてみてください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

リユース業界の「きつさ」として挙げた体力的な負担や、専門知識の習得の大変さを解決する鍵として、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が急速に進んでいます。

最も注目されているのが「AI査定」です。

過去の膨大な買取データや市場相場をAIに学習させ、スマホで写真を撮るだけでおおよその査定額がわかるようなシステムが開発されています。

これにより、バイヤーの経験や勘だけに頼っていた査定業務が標準化され、新人の早期戦力化や、査定ミス(損失)の防止につながることが期待されています。

また、店舗の在庫とECサイトの在庫を一元管理するシステムの導入や、顧客データを活用したマーケティング(CRM)の強化など、アナログな業務が多いとされてきたこの業界も、テクノロジーの力で大きく変わろうとしています。

海外市場への展開

国内市場が成熟しつつある中で、多くのリユース企業が新たな成長の場として注目しているのが「海外市場」です。

特に、日本で使われた中古品(ジャパンユーズド)は、品質の高さや管理状態の良さから、海外、特にアジア圏の富裕層や中間層から絶大な信頼を得ています。

ブランド品や高級時計、カメラ、アニメ関連グッズなどは、国内よりも海外の方が高値で取引されることも珍しくありません。

これまでは現地のバイヤーに卸す形が主流でしたが、近年は企業自らが海外に店舗を出店したり、越境ECサイトを構築したりする動きが活発になっています。

日本の「リユース」というビジネスモデル自体を、海外に輸出するフェーズに入っており、将来的に海外で活躍したいと考える人にとっても、大きなチャンスが広がっています。

「コト消費」との融合と専門性の追求

モノが溢れる時代において、リユース企業は単に「安い中古品を売る」だけでは、フリマアプリや他社との競争に勝てなくなっています。

そこで重要になるのが、「付加価値」です。

一つは、「コト消費」との融合。

例えば、買い取った品物をリペア(修理)する技術を活かし、お客様の大切な品物を修理するサービスを展開したり、リペア技術を学べるワークショップを開催したりする取り組みです。

もう一つは「専門性の追求」です。

アパレル、スニーカー、トレーディングカード、楽器など、特定のジャンルに特化し、他店には真似できない深い知識と品揃えで、マニアックな顧客の心を掴む戦略です。

これからのリユース業界は、単なる「モノの売買」を超え、お客様のライフスタイルに寄り添う多様なサービスを提供する場へと進化していくでしょう。

【リユース業界はきついのか】リユース業界に向いている人

ここまでリユース業界の仕事内容や「きつい」とされる理由、将来性について詳しく見てきました。

業界のリアルな姿が、だんだんと見えてきたのではないでしょうか。

では、それを踏まえた上で、一体どのような人がこの業界で活躍できるのでしょうか。

「きつい」と感じる側面も、人によっては「やりがい」や「面白さ」に変わるのが仕事の不思議なところです。

リユース業界で求められる資質は、他の業界とは少し異なるかもしれません。

ここでは、私が就活アドバイザーとして多くの学生を見てきた経験から、リユース業界に「向いている人」の5つの特徴を挙げたいと思います。

自分がこれらに当てはまるか、自己分析と照らし合わせながらチェックしてみてください。

モノ(商品)に対する探究心や愛情がある人

リユース業界で扱うのは、誰かが一度手にした「モノ」です。

そのモノが持つストーリーや価値を次につなげていくのが、この仕事の本質です。

そのため、大前提として「モノ」が好きであること、そしてその背景にあるブランドの歴史、製造方法、流行などを知りたいという強い探究心が求められます。

例えば、「なぜこのヴィンテージデニムはこんなに高いのか」「この時計のムーブメントのどこが凄いのか」といったことに興味を持てる人です。

この探究心こそが、バイヤーとして必要な膨大な知識を習得する上での最大のモチベーションになります。

「きつい」理由として挙げた「専門知識の習得」も、好きなことであれば「楽しい学び」に変わるはずです。

人とコミュニケーションを取るのが好きな人

リユース業界は「モノ」を扱いますが、ビジネスの相手は必ず「ヒト」です。

買取業務では、お客様が大切にしてきた品物を手放す瞬間に立ち会います。

その不安や期待に寄り添い、信頼関係を築くことができなければ、納得のいく取引はできません。

販売業務でも、お客様のニーズを丁寧にヒアリングし、リユース品ならではの特性(状態)を誠実に伝えた上で、最適な商品を提案する必要があります。

単に「話すのが得意」というだけでなく、相手の話をしっかりと聞き、意図を汲み取り、誠実に対応できる「対話力」が求められます。

人と深く関わり、喜んでもらうことにやりがいを感じる人に向いています。

流行や市場の動向に敏感な人

リユース品の「価値(相場)」は、株式市場のように日々変動しています。

テレビで芸能人が身につけていた、SNSで話題になった、というだけで、特定のアイテムの買取価格が急騰することもあります。

世の中のトレンドや流行に常にアンテナを張っている人、新しい情報を取り入れるのが好きな人は、この業界で大きな強みを発揮します。

相場観を養うことは、バイヤーにとって最も重要なスキルの一つです。

なぜ今これが流行っているのかを分析し、次のトレンドを予測するような、マーケティング的な視点も求められます。

普段から情報感度高く生活している人は、仕事においてもそのセンスを活かすことができるでしょう。

目標達成意欲が高い人

「きつい」理由として「ノルマのプレッシャー」を挙げましたが、裏を返せば、達成すべき目標が明確であるということです。

リユース業界、特にバイヤーや店舗運営職は、自分の仕事の成果が「買取額」や「売上」といった数字でダイレクトに表れます。

この数字(目標)を「プレッシャー」と捉えるか、「ゲームのクリア条件」のように捉えられるかが大きな分かれ道です。

目標達成のために「今月はあといくら必要か」「そのためには何をすべきか」を自分で考え、行動し、結果を出すことに喜びを感じられる人、つまり目標達成意欲が高い人は、この業界で大きく成長できます。

成果がインセンティブとして給与に直結する企業も多いため、実力主義の環境で稼ぎたい人にも向いています。

臨機応変な対応ができる人

リユース業界の仕事は、マニュアル通りには進まないことの連続です。

買取では、お客様が想像もしていなかったような珍しい品物を持ってこられることもありますし、査定額にご納得いただけず、粘り強い交渉が必要になる場面もあります。

販売でも、一点物であるがゆえの問い合わせや、予期せぬトラブルが発生することもあります。

日々異なる商品、異なるお客様と接する中で、常に「正解」が用意されているわけではありません。

その場その場で最適な判断を下し、柔軟に行動できる「臨機応変さ」や「対応力」が非常に重要になります。

ルーティンワークをこなすよりも、毎日新しい刺激や変化がある環境で働きたいという人には、最適な職場と言えるでしょう。

【リユース業界はきついのか】リユース業界に向いていない人

一方で、どのような仕事にも「向き・不向き」があるのは当然のことです。

リユース業界の特性が、ある人にとっては最高のやりがいでも、別の人にとっては耐え難い「きつさ」になることもあります。

大切なのは、自分の特性や価値観と、業界・仕事の特性との間に大きなズレがないかを、就職活動の段階で冷静に見極めることです。

ミスマッチな就職は、皆さんにとっても、企業にとっても不幸な結果を招いてしまいます。

ここでは、あえて「リユース業界に向いていない人」の特徴を5つ挙げます。

これらに強く当てはまると感じる場合は、本当にこの業界を選ぶべきか、もう一度立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。

体力に自信がない人

「きつい」理由の筆頭でも挙げましたが、リユース業界、特に店舗勤務の場合は、体力勝負の側面が非常に強いです。

重い商品の運搬、長時間の立ち仕事、広い店内での品出しや清掃など、日常的に体を動かします。

デスクワーク中心の仕事をイメージしていると、入社後に大きなギャップを感じるでしょう。

もちろん、働いているうちに体力がついてくる側面もありますが、元々体力に自信がなかったり、腰痛持ちであったりする場合、日々の業務が肉体的な苦痛になってしまう可能性があります。

特に家具・家電・総合リユースを扱う企業を志望する場合は、自分がその負荷に耐えられるかを真剣に考える必要があります。

数字(ノルマ)へのプレッシャーに弱い人

リユース業界の多くの職種では、売上や買取額などの「数字(目標)」が設定されます。

この数字に対するプレッシャーに極端に弱い人は、精神的に「きつい」と感じ続けることになるかもしれません。

「向いている人」で挙げたように、この数字をポジティブな目標として捉えられれば良いのですが、「達成できなかったらどうしよう」「上司に叱責されるのが怖い」といった不安が常に先行してしまうタイプの人には、過度なストレスがかかります。

自分のペースでコツコツと仕事を進めたい、数字で評価されるよりもプロセスを重視してほしい、と考える人にとっては、ミスマッチとなる可能性が高い業界です。

知識のアップデートが面倒な人

バイヤー(鑑定士)に限らず、リユース業界で働く上では、常に新しい知識を学び続ける姿勢が求められます。

新商品の情報、トレンドの変化、相場の変動、さらには法改正(古物営業法など)まで、キャッチアップすべき情報は無限にあります

学生時代の「勉強」は試験が終われば一段落でしたが、プロとして働く上での「勉強」に終わりはありません。

「モノが好き」であっても、「モノについて勉強し続ける」のが面倒だと感じてしまう人は、どこかで成長が止まってしまいます。

知識が古いままではお客様からの信頼を失い、会社に損害を与えてしまう可能性すらあるのです。

知的好奇心よりも、安定やルーティンを求める人には向いていません。

クレーム対応など精神的な負荷に耐えられない人

お客様と直接やり取りする仕事である以上、クレームや厳しいお言葉をいただくことは、残念ながらゼロにはできません。

特に買取業務では、お客様の「想い」と「査定額」が釣り合わないことも多く、感情的な対立が生まれやすい側面があります。

人の「怒り」や「不満」といったネガティブな感情に直接触れることが、極端に苦手な人もいるでしょう。

「お客様は神様だ」とは言いませんが、理不尽に感じる要求に対しても、一度は冷静に受け止めて対応する忍耐力が求められます。

仕事とプライベートをきっちり分け、嫌なことがあっても引きずらない「タフさ」がないと、精神的に疲弊してしまうかもしれません。

土日祝日やカレンダー通りに休みたい人

これはライフスタイルの問題ですが、非常に重要なポイントです。

リユース業界(特に店舗勤務)は、サービス業・小売業の典型であり、世間が休みの時が仕事です。

土日祝日はもちろん、お盆や年末年始も基本的には出勤となります(もちろん、交代で休暇は取れます)。

「友人と予定が合わない」「家族と週末を過ごせない」といった状況が、入社後数年経ってから「きつい」と感じるようになるケースは非常に多いです。

平日に休めるメリットもありますが、カレンダー通りの生活を重視する人にとっては、長期的にキャリアを築いていく上で大きな障害となる可能性があります。

自分の人生において、休日の過ごし方をどう位置づけているかを明確にしておく必要があります。

リユース業界に行くためにすべきこと

リユース業界の「きつさ」も「やりがい」も理解した上で、「それでも挑戦してみたい」と決意した皆さん。

その熱意は素晴らしいものです。

では、具体的に内定を勝ち取るために、今から何をすべきでしょうか。

リユース業界は、学歴や学部学科不問の「ポテンシャル採用」を行う企業が多い一方で、「なぜリユース業界なのか」「なぜウチの会社なのか」という志望動機の明確さは、他の業界以上にシビアに見られます。

「モノが好き」「サステナビリティに興味がある」といった表層的な理由だけでは不十分です。

ここでは、ライバルに差をつけるために、就活生が今すぐ取り組むべきことを3つのステップで解説します。

業界研究と企業研究の徹底

まず基本となるのが、業界研究と企業研究です。

「リユース業界」と一口に言っても、そのビジネスモデルは様々です。

例えば、「セカンドストリート」のように衣料品から家具家電まで幅広く扱う**「総合リユース」と、「コメ兵」や「大黒屋」のようにブランド品や貴金属に特化した「専門リユース」**では、求められる知識も客層も全く異なります。

また、「ブックオフ」のように特定のジャンルに強い企業もあります。

**各企業が「何を」「どこで(店舗かECか)」「どうやって(買取方法)」**ビジネスを展開しているのかを徹底的に比較分析してください。

特に、フリマアプリ(CtoC)と自社(BtoC)との違いや、他社と比べたその企業の「強み」と「弱み(課題)」を自分の言葉で説明できるようにしておくことが重要です。

アルバイトやインターンでの実務経験

リユース業界の「きつさ」や「リアル」を知る上で、最も効果的なのは、実際にその環境に飛び込んでみることです。

多くのリユース企業が、店舗でのアルバイトを募集しています。

もし可能であれば、志望する企業や、そのライバル企業でアルバイトを経験してみてください。

商品の品出しやレジ対応、お客様とのやり取り、そしてバックヤードでの商品管理など、「きつい」とされる体力仕事や、現場の雰囲気を肌で感じることができます。

「社員の〇〇さんのようなバイヤーになりたいと思った」といった具体的なエピソードは、志望動機に圧倒的な説得力を持たせます。

インターンシップを実施している企業があれば、積極的に参加し、社員と直接話す機会を持つことも非常に有益です。

志望動機の明確化:「なぜリユースか」を深掘り

面接で必ず聞かれるのが、「なぜリユース業界なのですか?」という質問です。

ここで多くの学生が「環境問題に貢献したい」「サステナビリティに興味がある」と答えますが、それだけでは不十分です。

なぜなら、環境に貢献できる仕事は他にも(例えばメーカーの環境部門や、NPOなど)たくさんあるからです。

「数ある選択肢の中で、なぜ『リユース』という手段でなければならないのか」を深掘りしてください。

例えば、「モノが持つ価値やストーリーを、自分の目利きで次世代に繋げたい」「フリマアプリにはない、プロの査定による『信頼』を提供したい」など、リユース業界ならではの価値と、自分の原体験や強みを結びつけることが重要です。

アルバイト経験などがあれば、そこでの気づきを盛り込むと、より具体的で説得力のある志望動機になります。

適職診断ツールを用いる

ここまで読んでみて、「リユース業界のことはわかったけれど、そもそも自分に『向いている人』『向いていない人』のどちらが当てはまるのか、よくわからない…」と不安に思っている人もいるかもしれません。

自己分析は就活の基本ですが、一人で考えていると客観的な視点を見失いがちです。

そんな時、一つの「きっかけ」として役立つのが「適職診断ツール」です。

これらのツールは、いくつかの簡単な質問に答えるだけで、あなたの性格的な傾向や、どのような仕事・環境で力を発揮しやすいかを統計的に示してくれます。

例えば、「人と接する仕事」や「専門知識を深める仕事」、「目標達成意欲」といったリユース業界で求められる要素が、自分の特性と合っているかどうかのヒントが得られるかもしれません。

【リユース業界はきついのか】適性がわからないときは

適職診断ツールはあくまで「ツール(道具)」であり、その結果が全てではありません。

診断結果を見て「自分にはリユース業界が向いていないかも」と早合点する必要はありませんし、逆に「向いている」と出たからといって、必ずしも活躍できるとは限りません。

大切なのは、「なぜ、その診断結果が出たのか」を自分自身で深掘りすることです。

例えば「体力を使う仕事」が向いていないと出たなら、「自分は本当に体力がないのか、それとも『きつい』というイメージだけで避けているのか」を自問自答してみてください。

適性がわからないと悩んだ時は、**ツールを「自己分析の材料」**として使いつつ、やはり最も確実なのは、アルバイトやインターンで「生」の現場を体験してみることです。

理屈(診断)と現実(体験)の両方から、自分とリユース業界との相性を見極めていきましょう。

おわりに

今回は、「リユース業界はきついのか?」という皆さんの素朴な疑問にお答えする形で、業界のリアルな仕事内容から課題、将来性までを解説してきました。

結論として、体力的な負担や覚えることの多さ、ノルマなど、「きつい」側面は確かに存在します。

しかし、それ以上に、モノの価値を見極める専門性や、地球環境に貢献できる実感、お客様から直接感謝される喜びといった、この業界ならではの大きなやりがいがあることも事実です。

大切なのは、情報を鵜呑みにせず、自分の目で確かめ、自分自身の価値観と照らし合わせること。

この記事が、皆さんの業界研究の一助となり、後悔のない選択ができることを心から応援しています。

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