【業界研究】通信建設業界はきついのか?理由や向いていない人の特徴を徹底解説!

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はじめに

皆さんは「通信建設業界」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?もしかしたら「よく知らない」「なんだかきつそう…」と感じている人もいるかもしれません。

確かに、私たちの生活に欠かせないインターネットやスマートフォンの「つながる」を支える重要な仕事ですが、その実態はあまり知られていないかもしれません。

この記事では、通信建設業界のリアルな姿と、「きつい」と言われる理由、そしてその魅力や将来性について、就活生の皆さんの目線で徹底的に解説していきます。

【通信建設業界はきついのか】通信建設業界はきつい?

「通信建設業界はきつい」という声を耳にすることがあるかもしれません。

実際のところ、体力的な負担や、天候に左右される屋外作業、そして社会インフラを守るという責任の重さから、楽な仕事と断言することは難しい側面もあります。

特に現場での作業は、夏は暑く冬は寒い中で行うこともあり、体力的なタフさが求められるのは事実です。

しかし、「きつい」と感じるポイントは人によって異なりますし、その分、大きなやりがいや社会貢献性を感じられる仕事でもあります。

まずは、そのイメージの背景にある具体的な仕事内容から見ていきましょう。

【通信建設業界はきついのか】通信建設業界の仕事内容

では、通信建設業界とは具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。

この業界のミッションは、ひとことで言えば「通信インフラを創り、守る」ことです。

皆さんが当たり前に使っているスマートフォンやインターネット、Wi-Fiなどは、すべてこの業界の人たちが設置・保守している設備によって支えられています。

例えば、携帯電話の電波を飛ばすための「基地局」を建てたり、高速インターネットに必要な「光ファイバー」のケーブルを地中や電柱に張り巡らせたりするのが主な仕事です。

社会全体のデジタル化が進む現代において、その基盤を支える「縁の下の力持ち」であり、なくてはならない存在と言えるでしょう。

仕事の規模が大きく、地図に残るようなプロジェクトに関わることも少なくありません。

ここでは、その代表的な仕事内容を4つに分けてご紹介します。

基地局(ベースステーション)関連工事

皆さんがスマートフォンを使うために不可欠なのが、電波を送受信する「基地局」です。

この基地局を新しく設置したり、古い設備を新しいものに交換したりするのが主な仕事です。

ビルやマンションの屋上、専用の鉄塔などにアンテナや関連機器を取り付け、正常に電波が飛ぶように調整します。

高所での作業や重量物の取り扱いも多く、安全管理が非常に重要になる仕事です。

また、5Gの普及に伴い、より多くの場所に高密度で基地局を設置する必要があるため、近年特に需要が高まっています。

作業は数名のチームで行うことが多く、メンバー間の連携とコミュニケーションがプロジェクトをスムーズに進める鍵となります。

自分が設置した基地局から電波が発信され、多くの人の「つながる」を支えていると実感できる、やりがいの大きな仕事です。

光ファイバー・メタルケーブル敷設工事

高速インターネットに欠かせない「光ファイバーケーブル」や、従来の電話回線などに使われる「メタルケーブル」を、電柱や地中の配管(管路)を通して目的地まで敷設する仕事です。

電柱に登ってケーブルを架けたり、マンホールに入って地中の管路にケーブルを通したりと、まさにインフラ構築の最前線と言えます。

電柱での作業は高所作業になるため、専門の技術と安全装備が必須です。

また、地中作業も閉鎖空間での作業となるため、酸欠防止などの安全対策が徹底されます。

最近では、古くなったメタルケーブルを光ファイバーに交換する作業や、企業のネットワーク構築、一般家庭への「光回線」引き込み工事などもこの分野に含まれます。

地道な作業の積み重ねですが、情報化社会の「道」を作る、社会貢献性の高い仕事です。

宅内・屋内配線工事

光ファイバーケーブルなどを建物の中まで引き込み、皆さんが実際にインターネットや電話を使えるように、最終的な配線や機器の接続を行う仕事です。

新築のオフィスビルやマンションはもちろん、既存の一般家庭での「ネット回線を開通させたい」といった要望にも応えます。

お客様と直接コミュニケーションを取る機会が最も多い仕事の一つであり、技術力だけでなく、丁寧な説明やビジネスマナーも求められます。

壁に穴を開けたり、配線を隠すために天井裏に入ったりすることもあります。

作業が完了し、お客様の目の前で無事に通信が開通した時の達成感は格別です。

最近では、Wi-Fiルーターの設置や設定、スマートホーム化に伴う配線など、対応する範囲も広がっています。

通信設備の保守・運用

すでに設置されている通信インフラが、24時間365日、安定して稼働し続けるように見守り、メンテナンスする仕事です。

「通信が途切れない」という当たり前を守る、非常に重要な役割を担っています。

具体的には、定期的に基地局や通信機器の点検を行ったり、システムを遠隔で監視し、異常がないかチェックしたりします。

もし台風や地震などの災害、あるいは機器の故障で通信障害が発生した場合は、いち早く現場に駆けつけて復旧作業にあたります。

昼夜を問わない緊急出動や夜間作業が発生することもあり、これが「きつい」と言われる理由の一つでもあります。

しかし、社会のライフラインを自らの手で守っているという強い使命感と誇りを持って働いている人が多いのが、この仕事の特徴です。

【通信建設業界はきついのか】通信建設業界の主な職種

通信建設業界と一口に言っても、そこには様々な役割を担う「職種」が存在します。

先ほど紹介したような多様な仕事内容は、専門性を持った人々の連携によって成り立っています。

現場で実際に手を動かして工事を行う技術者だけでなく、その工事全体を計画・管理する人、お客様に通信サービスを提案する人、最新の通信技術を研究開発する人など、活躍の場は多岐にわたります。

自分は技術を極めたいのか、それともプロジェクト全体を動かしたいのか、あるいは人と接するのが得意なのか。

皆さんの強みや興味を活かせる職種がきっとあるはずです。

ここでは、通信建設業界で活躍する代表的な5つの職種について、その役割や仕事内容を詳しく見ていきましょう。

施工管理

工事現場の「監督」役として、プロジェクト全体をマネジメントする職種です。

具体的には、工事が計画通りに、安全に、そして決められた予算・品質で行われるように、様々な管理業務を担当します。

スケジュール(工程管理)、現場で働く作業員の安全(安全管理)、出来上がりの品質(品質管理)、そして予算(原価管理)の4大管理が主な仕事です。

現場の職人さんたちと円滑にコミュニケーションを取り、多くの関係者をまとめ上げるリーダーシップや調整力が求められます。

天候や予期せぬトラブルで計画が変更になることも多く、臨機応変な対応力も必要です。

責任は重いですが、無事に工事が完了し、インフラが完成した時の達成感は、他の職種では味わえないほど大きいと言えるでしょう。

通信エンジニア(設計・構築)

通信ネットワークの「設計図」を描き、実際にシステムを構築する技術専門職です。

お客様の要望(「このビル全体でWi-Fiを使えるようにしたい」「新しい工場に高速なネットワークを引きたい」など)ヒアリングし、どのような機器を、どこに、どう配置すれば最適かを考え、設計図や仕様書を作成します。

最新の通信技術やITに関する幅広い知識が求められる、いわば「頭脳」の部分を担う仕事です。

設計後は、実際に機器の設定(コンフィグレーション)を行ったり、施工管理と連携して工事が設計通りに進んでいるかを確認したりします。

自分の設計したネットワークが無事に稼働し、人々が快適に通信を使えるようになった時に、大きなやりがいを感じられる職種です。

通信エンジニア(保守・運用)

先ほどの仕事内容でも触れた、既存の通信インフラが安定して動き続けるように「守る」専門職です。

ネットワーク監視センターなどで24時間体制でシステムを監視し、障害の予兆を検知したり、実際のアラートに対応したりします。

障害が発生した際は、原因を特定し、遠隔操作や現地での作業によって迅速な復旧を目指します。

社会のライフラインを支えているという強い責任感が求められる仕事です。

また、定期的なメンテナンス計画の立案・実行や、セキュリティ対策の強化なども担当します。

トラブルを未然に防いだり、迅速に解決したりすることに達成感を感じる人や、縁の下の力持ちとして社会に貢献したい人に適しています。

営業

通信建設業界の「窓口」として、お客様と自社をつなぐ役割を担います。

主に、通信キャリア(ドコモやau、ソフトバンクなど)や官公庁、一般企業に対して、自社の技術力やサービスを提案し、工事案件を受注することがミッションです。

単にモノを売るのではなく、お客様が抱える「通信に関する課題」をヒアリングし、技術部門と連携しながら最適な解決策(ソリューション)を提案する能力が求められます。

基地局の設置提案から、オフィスのネットワーク構築、大規模イベントの臨時回線まで、扱う案件は様々です。

プロジェクトの始まりから終わりまでお客様と伴走し、信頼関係を築いていくことが重要です。

大型案件を受注できた時の喜びは大きく、会社の売上に直接貢献できる職種です。

研究開発・企画

通信建設業界の「未来」を創る仕事です。

研究開発職は、5Gの次の世代である「6G」や、IoT、AIといった最新技術を、どのように通信インフラに応用できるかを研究します。

また、より効率的で安全な工事方法や、新しい通信機器の開発なども行います。

最先端の技術トレンドに常にアンテナを張る必要があります。

一方、企画職は、市場のニーズや会社の強みを分析し、新しい事業やサービスを立案します。

例えば、「ドローンを使った基地局点検サービス」や「スマートシティ構築に向けたソリューション」など、世の中の変化を捉えた新しい価値を生み出すことが求められます。

どちらも、業界や会社の将来を左右する、重要な役割を担う職種です。

【通信建設業界はきついのか】通信建設業界がきついとされる理由

さて、ここまで仕事内容や職種を見てきましたが、冒頭で触れた「きつい」というイメージは、具体的にどのような点から来ているのでしょうか。

華やかなIT業界のイメージとは異なり、建設業の一面も持つこの業界には、確かにタフさが求められる場面が少なくありません。

しかし、その「きつさ」の正体を具体的に知っておくことは、業界研究において非常に重要です。

なぜなら、それが自分にとって許容できる範囲のものなのか、それとも自分の価値観とは合わないものなのかを判断する材料になるからです。

ネガティブな情報から目をそらさず、フラットに理解することが、入社後のミスマッチを防ぐ第一歩になります。

ここでは、「きつい」とされる主な理由を6つに分けて、具体的に掘り下げていきます。

①体力的な負担が大きい

通信建設業界、特に現場での作業は、体力勝負の側面があります。

重い機材やケーブルを運んだり、高所での作業や、マンホールのような狭い場所での作業を行ったりすることが日常的に発生します。

特に施工管理や現場の技術者は、一日中現場を歩き回り、作業の指示や安全確認を行うため、デスクワーク中心の仕事と比べると体力的な負担は大きくなります。

また、工事車両の運転や、場合によっては土木作業的な業務(穴を掘る、コンクリートを流すなど)を伴うこともあります。

体を動かすことが好きな人にとっては適度な運動かもしれませんが、体力に全く自信がない人にとっては、厳しい環境と感じられる可能性が高いでしょう。

②天候に左右される屋外作業

通信建設工事の多くは屋外で行われます。

基地局の設置や電柱でのケーブル敷設などは、当然ながら屋根のない場所での作業です。

そのため、夏の厳しい暑さや冬の凍えるような寒さの中で、長時間作業を続けなければならない場面も多々あります。

また、雨や風、雪といった天候は、作業の安全性や効率に直結します。

悪天候が続けば工期(工事のスケジュール)が遅れるプレッシャーにもつながりますし、かといって無理に作業を進めれば事故のリスクが高まります。

施工管理者は、常に天候を予測しながら、安全と工期のはざまで難しい判断を迫られることになります。

こうした自然環境の厳しさが、「きつい」と感じる大きな要因の一つです。

③緊急対応や夜間・休日出勤

通信インフラは、私たちの生活や経済活動を支えるライフラインです。

そのため、ひとたび障害が発生すれば、社会に大きな影響を与えてしまいます。

台風や地震などの自然災害時や、予期せぬ機器の故障が起きた場合、保守・運用の担当者は昼夜を問わず、休日であっても緊急出動し、一刻も早い復旧作業にあたる必要があります。

また、ビルのネットワーク工事などは、利用者がいない夜間や休日にしか行えないケースも少なくありません。

こうした不規則な勤務形態は、プライベートとの両立を難しく感じさせたり、生活リズムを崩しやすくしたりする要因となり得ます。

「社会の当たり前を守る」という使命感と引き換えに、時間的な制約が発生しやすい点は覚悟が必要でしょう。

④覚えるべき技術・知識が多い

通信技術は、日進月歩で進化しています。

皆さんが実感している通り、4Gから5Gへ、そして今後は6Gへと、数年単位で新しい技術が登場します。

この業界で働き続けるには、常に新しい技術や規格、関連する法律(電波法など)を学び続ける姿勢が不可欠です。

入社後も、専門資格(「工事担任者」や「電気通信主任技術者」など)の取得を推奨されることが多く、業務と並行して勉強時間を確保する必要があります。

また、現場では通信技術だけでなく、電気や土木、建築に関する知識も求められる場面があります。

知的好奇心があり、学習意欲が高い人にとっては刺激的な環境ですが、勉強が苦手な人にとっては、この「学び続ける」プレッシャーが「きつい」と感じられるかもしれません。

⑤工期(納期)のプレッシャー

建設業界の一面を持つため、どの仕事にも「工期(納期)」、つまり「いつまでに完成させなければならない」という期限が厳格に定められています。

工期に間に合わせることは絶対であり、遅れればお客様や関係各所に多大な迷惑をかけることになります。

しかし、先述の通り、悪天候や予期せぬトラブル、資材の納入遅れなど、計画通りに進まない要因は常に存在します。

施工管理者は、こうした様々な障壁を乗り越え、限られた時間の中で品質と安全を確保しながら工事を完了させなければなりません。

工期が迫ってくると、残業時間が増えたり、休日出勤で対応したりすることも現実にはあり得ます。

この常に時間に追われる感覚と、間に合わせなければならないというプレッシャーは、精神的な「きつさ」につながります。

⑥重層的な下請け構造

建設業界全体に共通する課題ですが、通信建設業界も「重層下請け構造」になっています。

これは、発注者(通信キャリアなど)から仕事を受けた元請け企業が、その仕事の一部を二次下請け、三次下請けの企業に発注していくピラミッド型の構造のことです。

下層の企業になるほど、元請けの厳しい工期や予算の制約を受けやすく、利益率が低くなったり、労働条件が厳しくなったりする傾向があります。

また、現場では様々な会社の作業員が混在するため、施工管理者は複雑な指揮命令系統の中で、全体の連携や安全管理を行わなければならず、調整業務が煩雑になりがちです。

就職活動の際は、自分が応募しようとしている企業が、この構造の中でどのような立ち位置にあるのかを理解しておくことも重要です。

通信建設業界の現状・課題

「きつい」とされる側面を理解した上で、次は業界全体の「今」に目を向けてみましょう。

通信建設業界は、社会のデジタル化を最前線で支える極めて重要な産業です。

皆さんの生活がスマートフォンやインターネットなしでは成り立たないように、社会全体がこの業界の提供するインフラに依存しています。

特に、高速・大容量通信を実現する「5G」の普及や、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」の進展により、通信インフラの重要性はかつてないほど高まっています。

しかし、その旺盛な需要に反して、業界はいくつかの大きな課題にも直面しています。

ここでは、この業界の「現状」と「課題」について、3つの側面から解説します。

①5G・6G普及に伴う需要拡大

現在、日本全国で進められているのが「5G(第5世代移動通信システム)」の基地局整備です。

5Gは従来の4Gに比べ、「高速大容量」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」という特徴があり、自動運転や遠隔医療、スマート工場など、社会のあり方を大きく変える可能性を秘めています。

この5Gの恩恵を全国に届けるため、通信建設業界は基地局の設置や光ファイバー網の増強にフル稼働している状態です。

さらに、すでに「6G」に向けた研究開発も始まっており、今後も通信インフラへの投資は高水準で続くと予想されます。

業界にとっては非常に追い風であり、仕事がなくなる心配は当分ないと言えるでしょう。

②深刻な人手不足と技術者の高齢化

旺盛な需要とは裏腹に、業界が抱える最大の課題が「人手不足」です。

特に、現場で実際に作業を行う技術者や施工管理者の不足が深刻化しています。

これは、先ほど挙げた「きつい」というイメージや、少子化の影響で、若手の入職者が減少していることが大きな原因です。

さらに、現在業界を支えているベテラン技術者の多くが定年を迎えつつあり、「高齢化」も進んでいます。

このままでは、せっかくの需要に対応しきれないばかりか、長年培われてきた貴重な技術やノウハウが失われてしまう危険性があります。

いかにして若い世代にこの仕事の魅力を伝え、次世代の人材を育成していくかが、業界全体の喫緊の課題となっています。

③技術革新への対応とDXの遅れ

通信技術そのものは最先端ですが、工事の「やり方」に目を向けると、まだまだアナログな部分が多く残っているのが現状です。

例えば、施工管理の現場では、いまだに紙の図面や書類、電話やFAXを使ったやり取りが主流の企業も少なくありません。

これにより、情報共有に時間がかかったり、非効率な事務作業が発生したりしています。

また、人手不足を補うためにも、ドローンを使った点検、ICT(情報通信技術)を活用した施工管理システムの導入など、業界全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められています。

しかし、中小企業が多い業界構造や、高齢化によって新しい技術の導入に抵抗があるケースもあり、その進捗は十分とは言えません。

通信建設業界の今後の動向

現状と課題を踏まえ、通信建設業界は今後どのように変化していくのでしょうか。

課題は山積みですが、見方を変えれば、それは「変革の余地が大きい」ということでもあります。

5Gやその先の6Gが社会の隅々まで浸透していく中で、この業界の役割はさらに重要性を増していきます。

「きつい」とされる労働環境をいかに改善し、魅力ある産業へと生まれ変われるか

今、業界全体がその岐路に立たされていると言えます。

人手不足やDXの遅れといった課題を克服するために、今後は技術革新を積極的に取り入れた、新しい働き方が主流になっていくと考えられます。

ここでは、業界の未来を形作る3つの主要な動向について解説します。

①スマートシティ・IoT化によるインフラ需要

今後は、単に「スマートフォンが速くつながる」だけでなく、街全体がネットワークでつながる「スマートシティ」の構築が本格化していきます。

信号機や監視カメラ、ビルのエネルギー管理システム、自動運転車など、街中のあらゆるモノが通信機能を持ち、データをやり取りするようになります。

また、工場や農場、医療現場など、あらゆる産業でIoT化が進みます。

これらを実現するためには、これまで以上に高密度で信頼性の高い通信インフラが不可欠です。

通信建設業界は、こうした新しい社会インフラを構築する担い手として、その活躍のフィールドをさらに広げていくことになるでしょう。

②技術革新(自動化・ドローン活用)による働き方改革

深刻な人手不足を解消し、きついとされる作業環境を改善するために、先端技術の活用が急速に進むと予想されます。

例えば、高所や危険な場所での点検作業は、人間が行う代わりに「ドローン」が活用され始めています。

また、地中にケーブルを敷設する作業も、AIを搭載した自動掘削機などが開発されています。

施工管理の分野でも、BIM/CIM(3Dモデルを使った設計・施工管理)や、現場の状況をリアルタイムで共有できるクラウドシステムの導入が進んでいます。

こうした技術革新は、作業の安全性と効率性を劇的に向上させ、「きつい」イメージの払拭と働き方改革につながる切り札として、大きな期待が寄せられています。

③グリーンエネルギーと通信の融合

世界的に脱炭素化(カーボンニュートラル)への動きが加速する中、通信業界も例外ではありません。

多くの電力を消費する基地局やデータセンターの運営において、いかにエネルギー効率を高め、再生可能エネルギーを活用していくかが重要な経営課題となっています。

今後は、通信建設業界も、単にインフラを構築するだけでなく、太陽光パネルなどのグリーンエネルギー設備と通信設備をセットで提案・施工するような、環境に配慮したビジネスモデルが求められるようになります。

エネルギーマネジメントの知識も必要とされるなど、技術者の守備範囲はさらに広がっていく可能性があります。

【通信建設業界はきついのか】通信建設業界に向いている人

ここまで、通信建設業界の仕事内容、きついとされる理由、そして将来性について詳しく見てきました。

体力的なタフさや継続的な学習が求められる一方で、社会インフラを支える大きなやりがいと、将来にわたる安定的な需要がある業界だということがお分かりいただけたかと思います。

では、こうした特徴を持つ通信建設業界では、どのような人が活躍できるのでしょうか。

「きつい」側面を受け入れた上で、それを上回る魅力を感じられるかどうかがポイントです。

自分の個性や強みが、この業界で求められる人物像とマッチしているか、ぜひ照らし合わせながら読み進めてみてください。

①社会インフラを支えたいという使命感がある人

この業界の仕事は、人々の「当たり前の生活」を支える仕事です。

通信が止まれば、社会は混乱します。

そのため、「自分の仕事が社会の役に立っている」という強い使命感や責任感を持てる人が何よりも向いています。

特に、保守・運用や災害復旧の現場では、この使命感が困難な状況を乗り越える原動力になります。

「誰かのために頑張れる」「縁の下の力持ちとして貢献したい」という志向を持つ人にとって、これ以上ないやりがいを感じられる環境です。

華やかさよりも、社会貢献性を重視する人にとっては、まさに天職と言えるかもしれません。

②モノづくりや技術に興味がある人

通信建設は、形のない「通信」を、基地局やケーブルといった「モノ」として形にしていく仕事です。

自分の手で何かを創り上げることや、大きなプロジェクトを完成させることに喜びを感じる、「モノづくり」が好きな人にはぴったりです。

また、通信技術は日進月歩で進化しています。

5GやIoT、AIといった最先端の技術トレンドにワクワクする人、新しい知識やスキルを学ぶことに抵抗がない、知的好奇心が旺盛な人も活躍できます。

プラモデル作りや機械いじり、自作PCなどが好きな人は、その素養を大いに活かせるでしょう。

③体力に自信があり、体を動かすのが好きな人

やはり、現場での仕事が多い以上、体力的なタフさは重要な要素です。

デスクワークで一日中座っているよりも、外に出て体を動かしている方が好きだという人にとっては、むしろ快適な環境かもしれません。

重い機材を運んだり、高所に登ったり、天候に関わらず屋外で作業したりすることに抵抗がない、むしろ「どんとこい」と思えるくらいのバイタリティがある人が求められます。

学生時代に運動部で汗を流していた経験などは、この業界で大いに強みとなるでしょう。

④チームで協力して物事を進められる人

通信建設のプロジェクトは、一人で完結することは絶対にありません。

施工管理、設計、営業、そして現場の作業員さんなど、非常に多くの人が関わり、それぞれの役割を果たして初めて成り立ちます。

そのため、自分のことだけでなく、常に周囲の状況に気を配り、立場や年齢の違う人たちと円滑にコミュニケーションを取りながら、チーム全体の目標(=工期内に安全に完成させる)に向かって協力できる「協調性」が不可欠です。

体育会系のような、仲間意識や一体感を大切にする風土が合う人にも向いています。

⑤変化に対応し、臨機応変に行動できる人

工事現場では、予期せぬトラブルはつきものです。

天候の急変、機材の故障、図面通りにいかない現場の状況など、マニュアル通りに進まないことが日常茶飯事です。

そうした不測の事態に直面したとき、パニックにならず冷静に状況を分析し、関係者と相談しながら「じゃあ、どうしようか」と次善の策を考え、臨機応変に行動できる力が求められます。

決められたことを決められた通りにやるだけでなく、自ら考えて動ける柔軟性を持った人が、現場で頼りにされる存在になります。

【通信建設業界はきついのか】通信建設業界に向いていない人

一方で、通信建設業界の特徴が、どうしても自分の性格や価値観と合わないという人もいるでしょう。

入社してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、「向いていない人」の特徴を理解しておくことも、業界研究の重要なプロセスです。

もちろん、これらに当てはまるからといって、絶対に活躍できないと決まったわけではありません。

しかし、仕事選びで何を優先したいのか、自分の「軸」を再確認するきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。

自分にとっての「弱み」が、この業界ではミスマッチにつながる可能性があることを知っておきましょう。

①体力仕事や屋外作業が極端に苦手な人

これは最も分かりやすいミスマッチです。

もしあなたが、「夏や冬は絶対にエアコンの効いた快適な部屋で働きたい」「重い物を持つのは絶対に嫌だ」「汚れたり汗をかいたりする仕事は避けたい」と強く思っているのであれば、この業界の現場職や施工管理職は非常に厳しい環境に感じるでしょう。

もちろん、本社での企画職や管理部門など、内勤中心の職種もありますが、入社後すぐに希望通りの配属になるとは限りません

体力的な負担が、仕事を選ぶ上での「絶対に譲れない条件」になっている人は、慎重に考えた方がよいかもしれません。

②ルーティンワークだけを好む人

毎日決まった時間に、決まった場所で、決まった作業だけをコツコツとこなしたい、という安定志向の人にも、この業界はストレスを感じるかもしれません。

もちろん、保守・運用の監視業務などにはルーティン的な側面もありますが、多くの職種では日々状況が変わる現場に対応しなければなりません。

急なトラブル対応や、新しい技術の習得、複数のプロジェクトの同時進行など、常に変化と刺激に満ちています。

良くも悪くも「退屈しない」業界なので、変化を嫌い、安定したルーティンだけを求める人には不向きな側面があります。

③緊急対応や不規則な勤務が難しい人

先述の通り、通信インフラを守る仕事には、緊急出動や夜間・休日作業がつきものです。

「仕事とプライベートは完全に分けたい」「週末は絶対に休みたい」「夜はゆっくり寝たい」という価値観を最優先する人にとって、いつ呼び出されるか分からないというプレッシャーや、不規則な勤務体系は大きな負担になります。

もちろん、企業側も働き方改革を進めていますが、業界の特性として、ある程度の不規則性は受け入れざるを得ない部分があります。

自分のライフプランと照らし合わせて、許容できる範囲かを考える必要があります。

④コミュニケーションを取るのが苦手な人

「技術職だから、黙々と機械と向き合っていればいい」と思っているなら、それは大きな誤解です。

通信建設の仕事は、まさに「コミュニケーション」の連続です。

施工管理者はもちろん、現場の技術者も、お客様、元請け、下請け、チームの仲間など、多くの人と連携しなければなりません。

「報告・連絡・相談」が安全と品質の生命線です。

人と話すのが極端に苦手だったり、自分の考えを伝えたり相手の意見を聞いたりすることが億劫だったりすると、仕事を進める上で大きな困難に直面するでしょう。

⑤新しい技術の学習に意欲がない人

「大学で勉強するのはもう終わり。

仕事は言われたことだけやっていたい」という人にも、この業界は厳しいでしょう。

通信技術は、今この瞬間も進化し続けています

入社時に覚えた知識が、数年後には時代遅れになっている可能性も十分にあります。

会社から言われなくても、自ら新しい技術や資格の勉強を続けるような、向上心や学習意欲がなければ、すぐに現場で通用しなくなってしまいます。

「学ぶこと」が苦痛でしかない人にとっては、常に勉強を強いられる環境が「きつい」と感じられるはずです。

通信建設業界に行くためにすべきこと

ここまで読んで、通信建設業界の「きつい」部分も、そしてそれを上回る「やりがい」や「将来性」も理解した上で、「この業界に挑戦してみたい!」と感じた就活生の皆さんもいるかもしれません。

その熱意は非常に素晴らしいことです。

では、実際に選考を突破し、入社後に活躍するためには、学生のうちにどのような準備をしておけば良いのでしょうか。

業界特有の専門性があるからこそ、事前の準備が他の学生との大きな差につながります。

「自分はこれだけ本気でこの業界を目指している」という熱意を具体的な行動で示せるように、今からできることを始めてみましょう。

①関連資格の勉強(工事担任者など)

通信建設業界には、業務を行う上で必要となる国家資格がいくつかあります。

その中でも、特に学生のうちから挑戦しやすく、入社意欲のアピールに直結するのが「工事担任者」です。

これは、光回線や電話回線など、いわゆる「宅内工事」を行うために必要な資格です。

試験は年に2回あり、比較的難易度も高くないため、テキストで独学することも可能です。

学生時代にこの資格を取得していれば、面接で「入社への本気度」と「基礎知識の有無」を同時にアピールできる強力な武器になります。

他にも、興味があれば「電気通信主任技術者」の基礎を学んでみるのも良いでしょう。

②インターンシップへの参加

百聞は一見に如かず。

業界研究や企業研究でどれだけ情報を集めても、実際の「現場の空気感」は、行ってみなければ分かりません

多くの通信建設会社が、夏や冬にインターンシップを開催しています。

特に、施工管理の現場に同行させてもらえるようなプログラムがあれば、積極的に参加することをおすすめします。

「きつい」と言われる屋外作業や、現場の緊張感、そして何よりもインフラが完成していく過程を肌で感じることで、自分が本当にこの仕事に向いているのかを判断する絶好の機会になります。

また、そこで働く社員の方々と直接話すことで、リアルな働き方ややりがいを聞くことができるでしょう。

③なぜこの業界か、を明確にする志望動機

面接で必ず聞かれるのが「なぜ他の業界ではなく、通信建設業界なのか」という質問です。

この時、「社会インフラを支えたい」という理由だけでは、電力やガス、鉄道など他のインフラ業界との違いを説明できません。

「数あるインフラの中でも、なぜ『通信』なのか」を、自分の経験や価値観と結びつけて語る必要があります。

例えば、「スマートフォンのない生活が考えられないから」「5GやIoTといった技術の最前線に惹かれるから」など、あなた自身の言葉で「通信」へのこだわりを具体的に述べられるように、自己分析と業界研究を徹底的に深掘りしておきましょう。

適職診断ツールを用いる

ここまで通信建設業界について解説してきましたが、「自分にこの業界が向いているか、まだ自信が持てない」と感じている人もいるかもしれません。

特に「きつい」とされる側面が、自分にとって許容範囲なのかどうか、客観的に判断するのは難しいものです。

そんな時は、適職診断ツールを活用してみるのも一つの有効な手段です。

これらのツールは、いくつかの質問に答えるだけで、あなたの性格的な特徴や、どのような仕事・環境で力を発揮しやすいのかを、統計データに基づいて分析してくれます。

例えば、「チームワークを重視する」や「体を動かすことを好む」といった結果が出れば、この業界への適性があるかもしれません。

逆に「ルーティンワークを好む」「ストレス耐性が低い」といった結果が出た場合は、なぜそう診断されたのかを自己分析の材料にすることができます。

あくまで参考の一つですが、自分を客観視するきっかけとして利用価値は高いでしょう。

【通信建設業界はきついのか】適性がわからないときは

適職診断ツールを使ってみても、あるいは自己分析を重ねても、「本当に自分が通信建設業界に合うのか分からない」と悩んでしまうこともあるでしょう。

それは決して悪いことではなく、自分のキャリアに真剣に向き合っている証拠です。

そんな時は、一人で抱え込まず、様々な方法で判断材料を集めてみましょう。

例えば、就活市場が提供しているような、キャリアアドバイザーに相談してみるのも良い方法です。

プロの視点から、あなたの強みや経験が、通信建設業界でどのように活かせるか、あるいは他の業界の方がもっと輝けるかもしれないか、客観的なアドバイスをもらえるはずです。

また、自己分析をさらに深掘りするために、「なぜ」を5回繰り返してみる(例:「なぜインフラに興味があるのか?」「なぜ社会貢献したいのか?」)のも有効です。

自分の本質的な価値観が見えてくるかもしれません。

おわりに

皆さん、お疲れ様でした。

通信建設業界の「きつい」というイメージの裏にあるリアルな仕事内容、課題、そして未来への可能性について、理解を深めていただけたでしょうか。

確かに、体力的にタフな面や、社会インフラを背負う責任の重さもあります。

しかし、それ以上に、社会の「当たり前」を創り、守るという大きな誇りとやりがい、そして5GやIoTといった最先端技術に関われる面白さがある業界です。

イメージだけで判断せず、ぜひ説明会やインターンシップで自分の目で確かめてみてください

この記事が、皆さんの業界研究の一助となれば幸いです。

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