はじめに
就職先を決めるにあたって、ボーナスの有無も一つの要素になるのではないでしょうか。
子供の頃、親にボーナスが出ると高級レストランに連れて行ってもらえた、ボーナスで海外旅行に行った、欲しいものを買ってもらえたなど、魅力的な思い出があるかもしれません。
大手企業であれば、ボーナス年2回、3回といった採用概要が示されていることが多いですが、ベンチャー企業はどうなのでしょうか。
ベンチャー企業とボーナスについて見ていきましょう。
【ベンチャー企業のボーナス事情】ボーナスとは何か
ベンチャー企業のボーナス事情について見ていく前に、そもそもボーナスとは何かについて確認しておきましょう。
ボーナスは固定給が支払われている労働者に対し、定期給与とは別に支給する給与のことです。
毎月支給される固定給は労働の対価として約束されているものですが、ボーナスは必ず支給されるとは限らず、金額も決まっていないのが一般的です。
企業の募集要項には、1回のボーナスは月給の2ヶ月分相当とか3ヶ月分相当などと案内されていることもありますが、確約ではありません。
ボーナスは企業の業績や、本人の成績や人事評価などにも左右されるためです。
たとえば、企業業績が悪ければ、日々の労働の対価である月給は払われても、ボーナスが全額カットされることや減額されることもあります。
【ベンチャー企業のボーナス事情】ベンチャーにボーナスはあるのか
では、ベンチャー企業でボーナス制度がある場合やボーナス制度があったとしても支給されるかというと、正直、ボーナスの支給がないケースが多いです。
なぜなら、ボーナスは業績が良く、企業に資金の余裕が出たときに、業績アップに貢献した従業員に対して労いや今後への期待を含めて与える報奨金のような性質を持ちます。
ベンチャー企業の多くはまだ資金的体力が少なく、多くの従業員への手当は希薄なのです。
【ベンチャー企業のボーナス事情】ボーナス以外の金銭的報酬
ベンチャー企業では大手企業や安定した中小企業のようにボーナスが出せない分、定期給与やボーナス以外の金銭的な報酬を用意するケースが増えています。
日本ではボーナスの支給時期はだいたい決まっており、6月か7月の夏と12月の冬の年2回が一般的です。
世間がボーナス、ボーナスと騒いでいる時期に、何も貰えないとモチベーションが低下するリスクもあり、ボーナスが貰える企業への転職を考える人もいるかもしれません。
人材を引き留めるためにも、ベンチャー企業ならではの独自の金銭的報酬を設けるケースが見られます。
定期給与だけでは物足りないと感じると感じる方は、どのように金銭的報酬が貰えるかを理解するのは重要ではないでしょうか。
インセンティブ
ベンチャー企業でよくある、ボーナスにも似た存在の金銭的報酬といえばインセンティブです。
月給の一部が基本給+インセンティブとなっているケースのほか、固定給の月給とは別に一定の成果を上げると、給与に上乗せされる場合や臨時ボーナス的に支払われるケースなどがあります。
インセンティブは奨励や報奨という意味があり、組織の中で決められた目標を達成することで通常以上の給与を貰える仕組みです。
ベンチャー企業でなくても、営業職の給与制度として用いられている方式です。
インセンティブ給は営業職に限らず、デスクワークなどの場合でも適用ができます。
一定の目標などを定め、それをクリアできた場合や一定の評価を得れば支給されるといった方式です。
出来高制
出来高制とは、仕事の出来高で評価をして、それに対応した給与を出す制度です。
自分の仕事の出来に応じて給与を増やすことができるなら、やりがいもあるとモチベーションが高まる方もいるかもしれません。
ただし、出来高制を取り入れている企業は基本給が少ない傾向にあるので注意が必要です。
仕事が思うようにいかないときや受注などができないと給与額が大きく減ってしまい、生活に困ることもあるからです。
営業職をはじめ、Web制作やシステム開発、コンサルティング職などさまざまな職種や仕事に当てはめることができます。
学生時代にアルバイトをしていて、自分のほうが仕事も速いし出来が良いのに同じ時給は納得がいかないという方は出来高制に魅力を感じる方もいますが、給与額が安定しない点は留意しましょう。
【ベンチャー企業のボーナス事情】お金以外の報酬
ベンチャー企業は業績によって増減はあっても、ボーナスがゼロになるケースは少ない大手企業やほぼ確実に年3回ボーナスが支給される公務員とは異なり、ボーナスを支給できない企業がほとんどです。
それが原因で就職希望者が減ることや転職者が増えないよう、つなぎとめるべき独自の魅力的な報酬制度を用意するケースも増えてきました。
金銭だけでない報酬とはどのようなものなのか、代表的な例をご紹介します。
報奨旅行
報奨旅行は資金的に少しずつ余裕が出てきたベンチャー企業や有能な人材を集めたい成長力の高いベンチャー企業などで、よくある金銭以外の報酬制度です。
報酬がお金ではなく、旅行を提供するというものです。
会社の業績が良いと社員全員や家族も含めて、毎回違う場所へと旅行に連れて行ってくれるケース、一定の目標をクリアした場合や成果を出した社員だけに特別な旅行をプレゼントするケースなどがあります。
社員全員が対象の場合は福利厚生費として処理されるケースも多いですが、特定の社員だけの場合、現物給与となり、ボーナスと同様に課税対象となる点は注意が必要です。
旅行好きな方にとっては、仕事のモチベーションアップにつながる制度です。
ほかにもその会社ならではの報酬を用意している場合もあります。
【ベンチャー企業のボーナス事情】そもそも本当にボーナスは必要か
会社選びの方法としてボーナスを見る人もいますが、本当にボーナスがあるべき会社へ行くべきでしょうか。
年2回のボーナスを当然の条件としている企業の中には、月給が抑えられているケースもあります。
また、ボーナスをあてにしていたのに、会社の業績が悪化するなどして減額や支給されないとなれば、資金計画も狂ってしまいます。
それならば、自分の働きや成果に応じて、しっかりと給与が貰えるベンチャー企業のほうが魅力的と感じる方もいるかもしれません。
あなたが一番したいことは何か
就職して仕事をするということは、生活の糧を得ることも目的の一つではありますが、ボーナスを貰うことだけが目的ではないはずです。
やりたい仕事に精力的に取り組み、毎日が充実している、仕事をして楽しいと思えることも重要ではないでしょうか。
ボーナスが貰えるからと、自分に合わない職場ややりたくない仕事にしがみついているより、自分がしたい仕事で毎日が達成感あるほうが、精神的には充実するかもしれません。
人によって精神面重視か、経済面重視かは異なりますし、業界や業種によってできることは大きく変わります。
自分がやりたい仕事は何なのか、仕事に何を求めるのか、最も就職したい会社はどこなのかを検討し、あなたが一番したいことは何かを明確にすることが大切です。
企業を見極める軸を深掘ろう
やりたいことが決まったら、自分の中で会社選びをするときに何を重要視するのかを明確にすることも大切になります。
大手企業、中小企業、ベンチャー企業といった分類から、業界、業種の別、競合他社でも社風や文化、仕事のスタイルなどまったく異なっています。
特にベンチャー企業は個性的な会社も多いので、自分に合う、合わないが大きく影響する企業です。
まだ従業員数も少ないケースが多く、経営者との距離も近く、一人ひとりの個性や能力が重視されることや一人ひとりの働きぶりが目立つ分、経営者の理念や職場環境にマッチするかで、自分の能力を発揮できるかも左右されます。
自分なりの企業を見極める軸をしっかり考え、それをもとに自分の能力を発揮できる失敗のない企業選びをしましょう。
【ベンチャー企業のボーナス事情】まとめ
ベンチャー企業はまだ経営体力が十分でないなどの理由で、ボーナスが支給されないケースがほとんどです。
ボーナスが貰えないからつまらないではなく、仕事をしていくうえでの充実度や達成感、モチベーションが維持できるかも、よく考える必要があります。
ベンチャー企業はボーナス制度がない分、ほかの金銭的報酬や金銭以外の報酬制度を用意しているケースも少なくありません。
ボーナスは会社を選定する一つの理由にもなりますが、企業選びの軸を明確にしたうえで、本当に自分がしたいことができる会社を選びましょう。