新卒の「幹部候補採用」とは?将来の企業を担う幹部候補生の特徴を解説します

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はじめに

近年、新卒で「幹部候補採用」という求人が増えていることをご存知でしょうか。

「新卒なのに幹部候補になれるの?」と驚かれる方もいれば、かつてからエリートコースや出世コースと呼ばれる総合職などの採用があるから、それと同じではないかと考える方もいるかもしれません。

総合職採用は新卒として一括採用して競争をさせていき、次第に役職が上がる仕組みですが、新卒の「幹部候補採用」はそれとは異なります。

最初から少数精鋭で募集され、給与面などの待遇も大きく異なり、幹部候補として育成するためのキャリアプランも用意されているのがよく見られる特徴です。

新卒の「幹部候補採用」とは?将来の企業を担う幹部候補生の特徴を解説していきます。

【幹部候補生】幹部候補とは

「幹部候補」とは、代表取締役社長や常務や専務取締役といった企業経営者や事業経営者などの経営幹部候補をはじめ、子会社の社長やエリアマネージャーや部門長、支配人、店長といった上位管理職や職能部門トップになるための人材を意味します。

企業における重要なポジションに就き、成果を上げることを期待されている人材を指す言葉であり、近年、新卒で幹部候補を採用する企業が増えているのです。

【幹部候補生】新卒で幹部候補として採用される人ってどんな人材?

幹部候補生は将来、その企業を背負って立つ人材です。

そのため、その企業における一般的な新卒採用とは異なる視点から、人材を求めていることがほとんどです。

企業が新卒の幹部候補生を採用するにあたって、どんな人材が求められているのでしょうか。

企業の業界や業種、置かれている環境などによっても異なりますが、主に、アントレプレナーシップとも呼ばれる起業家精神がある人材や、デジタル分野や技術研究開発などの分野で専門知識がある人材です。

起業家精神がある人材

起業家精神があることを「アントレプレナーシップ」とも呼びます。

自分でゼロから事業を起こそうとする精神を持つ人や、将来的に起業したいと考えている人のことをアントレプレナーシップを持つ人と表現します。

一般的な新卒に求められることは、基本的には組織の論理に従い、指示通りに業務を遂行することや、企業が求める業績目標を達成するために成果を出していくことです。

これに対して、幹部候補生は将来、会社の運命を担い、マネジメントをしていく存在なので、会社に就職しながらも、起業家精神が求められます。

自ら会社を起ち上げたかのように、その企業が成長をし続け、生き残っていけるようかじ取りができる人材が求められており、現状維持は衰退と考える人が向いています。

アントレプレナーシップとは

アントレプレナーシップとは日本語では起業家精神と呼ばれ、自らの夢や理想の実現のために起業して目的や目標を達成していこうとする人や、企業を大きく成長させていきたいと考える人を指します。

広い意味では起業したい人に限定せず、チャレンジ精神が旺盛な人、新たなことに果敢に取り組み成果を上げようとする人も含みます。

詳しくは、「アントレプレナーシップ」(未作成)も参考にしてください。

 

専門知識がある人材

幹部候補生としては、専門知識がある人材を求める企業も目立ちます。

なぜかというと、これからの時代に企業の生き残りをかけ、持続的な成長を遂げていくうえで専門性が重要になってきているからです。

時代は目まぐるしく変遷し、特にIT分野の進化は日進月歩でスピードも速いです。

企業のIT化はもちろん、DXの推進が求められる中、デジタル分野に強い人材が会社を率いることが期待されています。

生き残りをかけるうえで新たな技術を開発するなど、研究開発に長けている人材にも期待が高まっているからです。

デジタル分野

これからの時代はますます高度なIT化が求められるようになります。

IT企業に限ったものではなく、あらゆる業界でIT化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められ、デジタル分野に強い人材が会社を引っ張っていくことの重要性が高まっています。

経営陣がITに精通していなくても、部下や担当社員ができればいい時代ではありません。

自らがすべてを理解してDXをマネジメントしていける、幹部候補としての専門人材が求められています。

たとえば、三菱UFJ銀行では、デジタル人材を対象に、能力に応じて最大1,000万円を支払うという求人を出しました。

フィンテックやデジタルトランスフォーメーションの分野を強化したい狙いがあるためです。

研究職

時代がどんどん変化し、人々や社会が求めるニーズが多様化していく時代にあっては、従来の事業を維持するだけでは生き残っていけません。

IT化やDXに対応できないビジネスでは、衰退や倒産の道に追い込まれます。

そこで、企業が生き残りをかけ、持続的に成長していけるよう、新たな技術や製品、サービスを開発してマネジメントしていける、研究職にもニーズが高まっています。

DXで印鑑文化が廃止されたら生き残れないと嘆くのではなく、デジタル印鑑の開発で新たな市場開拓をしていけるような人材が求められます。

IT・電機大手のNECは研究職での新卒採用を対象に、幹部候補生としての採用の仕組みを2019年10月から導入しました。

GAFAなどの外資系企業に対抗するためです。

【幹部候補生】新卒採用における幹部候補生の事例

新卒採用における幹部候補生を実際に募集している企業の事例をご紹介します。

なぜ、新卒で幹部候補生を募集するに至ったのか、その背景や理由に着目することで、どのような人材が求められているのか、どのようなキャリアプランが用意されているかが見えてきます。

勤続年数が長い既存の社員や、経験を積んできた中途採用の人材を幹部候補生にするのではなく、あえて新卒を募集する理由を考えながら見ていきましょう。

くら寿司

くら寿司では、2020年春入社の新卒採用において、年収1,000万円の幹部候補生を募集しました。

一般的な新卒の1年目の年収は270万円~360万円前後ですから、圧倒的な高収入待遇であることがわかります。

くら寿司は、日本だけでなくアメリカや台湾でも回転寿司店を展開しているため、同社のグローバル事業で活躍できる有能な人材を集めることが狙いと見られています。

グローバルなステージで活躍していくためには、英語はもちろん、現地の言葉にも精通していることやすぐに学んで習得できるような語学力の高さが求められます。

現地でお店を運営するためや現地の人を雇用するには、語学力だけではダメで、マネジメント力やコミュニケーション力、コスト管理力や計画遂行力も必要であり、有能な人材を集めたいのです。

UTグループ

UTグループでは、「入社4年目で、経営に近いポジションで活躍できる人材を採用・育成していく」という3か年育成計画を基準にした目標を掲げ、2019年春入社から幹部候補1期生の採用を始めました。

若手を短期間で経営者の右腕となる人材に育てることが目的です。

UTグループは人材派遣や、企業と求職者との正社員マッチング、企業の働き方改革などを支援している企業です。

従来の枠に囚われず、柔軟な思考力で新たな発想ができ、新たな取り組みをマネジメントしていける若い人材の育成が急務となっていると判断したのでしょう。

次世代を担う人材を、新卒の頭の柔軟な段階から採用し、自社培養するのが狙いです。

まとめ

企業が新卒に高収入、好待遇な条件を出してまで幹部候補採用を行うには、時代の大きな変化の流れが影響しています。

IT化やDXの推進、ビジネスのグローバル化や消費者ニーズの多様化、情報のスピード化など変化が激しい時代にあって、企業が生き残り、持続的成長を遂げていくには、これまでの枠に囚われない、若く柔軟な思考や行動力が求められます。

そのため、新卒の「幹部候補採用」ではアントレプレナーシップとも呼ばれる起業家精神のある人や専門性の高い人材が求められているのです。

また、日本は少子高齢化が進み、人出不足が起きており、中途採用でも優秀な人材は求めづらくなっています。

各社ともに青田買いで有能な人材を抑えておきたいことも、新卒の「幹部候補採用」が増えている背景です。

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