はじめに
若い人がベンチャーを志望する理由には、いろいろあるかと思いますが、成長環境に身を置きたい場合や若いうちに挑戦したい、というような理由の人が大半ではないでしょうか。
単純に安定した企業に就職したいのならば、こうした企業よりも大企業のほうがおすすめなのです。
しかし、ベンチャー企業という括りでは、星の数ほど対象がありますので、見始めると切りがありません。
一つひとつをじっくり見てしまうと、最悪、就活の時期に間に合わなかったという事態が発生してしまう可能性がありますので、注意してください。
そこで、こちらから提案するのがまずはメガベンチャーから確認してみてはいかがでしょうかというものです。
メガベンチャーというのは、大企業のような性質を持ち、ベンチャーの性質を持っているという矛盾した存在ですが、その力は非常に強力です。
【メガベンチャー】そもそもメガベンチャーって何?
メガベンチャーの特徴や具体例について知る前に、そもそもベンチャーやメガベンチャーとはどういった企業のことを指すのか確認しておきましょう。
実は、ベンチャーやメガベンチャーと呼ばれる企業には明確な定義が存在しません。
一般的には、既存のビジネスモデルをベースにしたうえで、最先端の技術や独自性の高いメソッドを使って新しいサービスやビジネスを提供している企業をベンチャー企業と呼びます。
そして、業績を挙げて成長し、大企業並みに規模が大きくなったベンチャー企業を指す名称がメガベンチャーです。
ただし、そもそも大企業という用語にはそもそも明確な定義が存在しません。
そのためメガベンチャーについても、個人によって判断する基準が異なるケースは多く見られるでしょう。
【メガベンチャー】ベンチャー企業は他の企業とどう違うのか
次は、メガベンチャーが他の企業とどのように異なるのかについて解説します。
具体的な違いがわかれば、志望する企業を決める際も自身に合ったものが選びやすくなるでしょう。
今回は、大企業・中小企業、ユニコーン企業、スタートアップ企業について違いを解説します。
大企業・中小企業
中小企業とは、一般的に資本金が5,000万円から3億円以内であり、従業員数が50人から300人以内の企業のことを指します。
ただし、一般的な中小企業の定義と、中小企業基本法における中小企業者の定義、各種法律や支援制度の対象となる中小企業の定義はそれぞれ異なっている場合があります。
多くのベンチャー企業は成長途中であり規模がそこまで大きくないので、分類上は中小企業とみなさるケースが多いでしょう。
一方、大企業には、中小企業のような法律的な定義は存在しません。
厚生労働省の基準では制度上の便宜的な分類として常用労働者数が1,000人以上の企業と区別していますが、現実的には社員数が500人程度を超えた時点で大企業とみなしているケースも多く見られます。
ユニコーン企業
ユニコーン企業とは、設立して間もないベンチャー企業であり、かつ企業価値が高いとみなされている企業を指す言葉です。
単に企業価値が高いだけでなく、未上場の企業を指すケースが多く、その希少さからユニコーンの名称が付けられています。
明確な定義は存在しませんが、設立10年以内で評価額が10億ドル以上の企業を指すケースが多いでしょう。
また、とくにテクノロジー関連の企業を指すケースが多く見られます。
なお、企業価値が100億ドル以上の場合はデカコーン、1,000億ドル以上の場合はヘクトコーン企業とも呼ばれます。
ユニコーン企業と呼ばれる企業は基本的にメガベンチャーの定義も満たしているので、ユニコーン企業がメガベンチャーの部分集合であるとみなすこともできるでしょう。
スタートアップ企業
スタートアップ企業はしばしばベンチャー企業と混同されますが、この2つはビジネスモデルが異なります。
ベンチャー企業は革新的なサービスや製品を提供していますが、それらはあくまで既存のビジネスモデルをベースにして収益性の向上や規模の拡大を実現したものです。
一方、スタートアップ企業は、まったく新しいビジネスモデルを構築する企業のことを指します。
成長のスピード感もスタートアップ企業のほうがさらに速く、ベンチャー企業が創業から5〜10年で新規上場を目標にしているのに対し、スタートアップ企業は3〜7年で上場を目指すケースも見られます。
資金調達ではベンチャーキャピタルや投資家から資金を集めること、事業を成長させる際には出口戦略を意識することもスタートアップ企業ならではの特徴です。
【メガベンチャー】メガベンチャーに就職するメリット
まずはメガベンチャーに就職するメリットを把握しておきましょう。
メリットがなければ、そういった企業に就職する意味はなくなってしまいます。
裁量権が大きい・成長できる機会である
ベンチャー企業に共通する特徴として、個人の裁量権が大きいことが挙げられます。
これは従業員数が少ない規模の小さなベンチャー企業で顕著ですが、メガベンチャーの場合でも古い体質の企業に比べると1人が幅広い多様な業務を任されるケースは少なくありません。
新入社員であっても、プロジェクトの方向性を決める重要な決断を任されたり、リーダーとしてチームを引っ張っていくポジションに任命されたりする場合もあるでしょう。
こういった裁量権の大きい職場で働くことは、プレッシャーなどの負担が大きい一方で、重要な成長の機会となります。
社会情勢の変化により雇用制度や年功序列といった考え方が壊れつつある現代では、積極的に成長の機会を獲得し、自身の能力を伸ばしてそれを売り込んでいくことは重要です。
働き方が多様的になった
近年はネットワーク技術の発達やコロナ禍の影響もあり、リモートワークなどの多様な働き方が浸透してきました。
とくにメガベンチャーは扱うサービスのほとんどがインターネット・WEB上のものなので、一般的な大企業に比べるとリモートワークの導入に積極的です。
企業によっては業務フローもリモートワーク向けに最適化されているので、なるべく出社せずに在宅で働きたい方はメガベンチャーが向いているでしょう。
また、メガベンチャーは生まれたばかりのベンチャー企業や規模の小さなベンチャー企業に比べると企業としての枠組みが整っているので、福利厚生面もある程度充実しているケースが多く見られます。
そのため、新しい働き方への挑戦と安定性をある程度両立したい方にもおすすめです。
成果が報酬に現れる
メガベンチャーの大きな特徴として、年功序列主義ではなく成果主義を採用している企業が多いことが挙げられます。
成果主義の職場では、実力次第で給与やインセンティブが変化するので、しっかり成果を上げれば20代の新入社員であっても高収入が実現できる可能性があります。
会社の規模自体が大きく社員も多いので、小規模なベンチャーに比べると高収入もイメージしやすいでしょう。
そのため、若いうちから稼ぎたい方や、自身の実力を収入につなげたい方にはメガベンチャーが向いています。
また、先述したように裁量権の大きいメガベンチャー企業は成長しやすい環境が整っているので、自己成長のモチベーションとなっている方にとっては、収入と自己実現を両立できる理想的な職場といえるでしょう。
【メガベンチャー】メガベンチャーに就職するデメリット
今度はメガベンチャーのデメリットについて確認してみましょう。
ぱっと想像してみても、なかなかデメリットを思い浮かべることができないかもしれません。
自分から行動できない人には厳しい
このデメリットは、本人の適正による部分が多いです。
メガベンチャーは大企業とはいっても、待っているだけではキャリアも収入も手に入れることができません。
そのため、自分から周囲を巻き込んでいくような行動力が必要になってくるでしょう。
そうしなければ、いつまでもうだつのあがらない社員を演じることになるかもしれません。
仕事量が多い
メガベンチャーは、とにかく仕事量が多いです。
もしかするとベンチャー以上に仕事が多い可能性も多く、さらに通常のベンチャーと違って、仕事の密度が濃いので、責任の重大なものも多くなります。
しかし、これは裁量権が大きいことの裏返しなので、メリットとデメリットは表裏一体なのです。
ここについては、20代は修行の期間と割り切って、覚悟する必要があるのではないでしょうか。
定年まで働けない
メガベンチャーは激務なので、辞めていく人が多いです。
実際に平均勤続年数を確認してみると一目瞭然で、突出して離職率が高いことがわかります。
つまり、激務に耐えられるだけの体力と精神力を持って、仕事に臨むことによって、ようやく生き残れる世界なのです。
ここについては、ベンチャーの悪い部分が出たとも言えるでしょう。
スタートアップに比べると自由度がない
メガベンチャーがいくら、ベンチャーの気質を持った大企業であっても、所詮は大企業と言える部分もあります。
それがスタートアップ企業のような存在に比べると、自分のアイディアが浸透しにくいというものです。
ベンチャーの性質をすべて受け継いでいるわけではないので、人によっては少し物足りなさを感じるかもしれません。
自分のアイディアが浸透することこそ、ベンチャーの強みと考えている人には特にそう感じる可能性があります。
【メガベンチャー】こんな人が向いている!4つの特徴
通常のベンチャーや大企業と同じように、メガベンチャーには適正があります。
志望者や社員の性格面での特徴といったものを解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
自分で考えて行動できる人
まず自分で考えて行動できる人は向いています。
これはベンチャーに重要とされる資質になっていて、メガベンチャーであってももちろん重視されます。
自分で考えて行動できなければ、この手の企業のメリットを受けにくいので、必須となってくるでしょう。
逆に消極的な人がこの手の企業に就職してしまうと、かなりつらい思いをすることになるかもしれません。
成長意欲のある人
成長意欲のある人は、メガベンチャーにピッタリです。
自分でスキルを高めたいという意欲が、このような業界で生き残るためには必要不可欠だからです。
逆に自分の成長やスキル向上に、あまり興味のない人は、このような業界には向いていません。
適応力のある人
メガベンチャーは、大企業ですが、かなり貪欲に物事を取り入れる性質があります。
そのため、変化のスピードが速い環境に適応していく力が求められます。
この部分はかなり従来のベンチャーに似ていると言えるでしょう。
将来起業を考えている人
将来起業を考えているような人にもピッタリです。
若いうちから大きな仕事であっても、裁量権を持たせられますので、これは企業の上層部に求められるような資質でもあります。
ここで学ぶことができる判断力や度胸といった部分については、起業してからかなり役立つはずです。
そのような意味では、メガベンチャーはこれから起業したい人のためにあるステップとも捉えることができるでしょう。
【メガベンチャー】メガベンチャー15社を業界別に紹介!
ここではメガベンチャーを15社一挙に紹介します。
まず勘違いしたくないのがメガベンチャーは業界ではないという点です。
幅広い事業を手がけているせいなのか、何を軸に見ていいかわからないという人が多いのです。
だからこそ業界別に事業内容を紹介していくことは重要で、あわせてベンチャーの選考対策も把握しておきたいところです。
ベンチャー気質を持っているということは、ベンチャーに通用する手が通用する可能性があるということです。
株式会社リクルートホールディングス
楽天グループ株式会社
主力事業はEコマースの楽天市場、旅行関連の楽天トラベルなど、幅広いインターネット関連サービスを提供しています。
株式会社サイバーエージェント
主力事業としては、メディア技業、インターネット広告事業、ゲーム事業、投資育成事業の4つを取り扱っています。
株式会社メルカリ
主力事業はフリマアプリ「メルカリ」の企画・開発・運営であり、非接触型決済サービスの「メルペイ」、事業者向けのECサービス「メルカリShop」なども提供しています。
株式会社カカクコム
主力事業としては「価格.com」や「食べログ」などを運営するインターネット・メディア事業と、カカクコム・インシュアランスによるファイナンス事業を展開します。
LINEヤフー株式会社
主力事業としては、検索エンジンサービスやメッセージアプリの提供、インターネット広告事業、Eコマース事業などを展開しています。
エムスリー株式会社
主力事業として医師を対象に最新の医学・医療情報を提供するサイトを運営しているほか、メディカルプラットパフォーマーとしてさまざまな医療関係のサービスを提供しています。
GMOインターネットグループ株式会社
主力事業としては、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業などを展開しています。
株式会社ディー・エヌ・エー
主力事業としては、自社でのゲーム開発、他社との協業タイトルの開発やパートナー企業による多様なゲームの配信などをおこなっています。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
主力事業としては、スマートフォンゲーム、コンソールゲーム、PCオンラインゲームなどの運営をおこなっています。
ビジョナル株式会社
主力事業としては、産業のデジタルトランスフォーメーションに関する事業に取り組んでおり、ハイクラス転職サイトのビズリーチなどを子会社としています。
グリー株式会社
主力事業としてはゲーム・アニメ事業、メタバース事業、DX事業、コマース事業、漫画事業、投資事業などを展開しています。
freee株式会社
主力事業としては、自動会計クラウドシステムや人事労務を効率化するシステムなどを法人・個人事業主向けに提供しています。
UTグループ株式会社
主力事業は製造・設計・開発・建設分野等の無期雇用派遣事業であり、工程一括型請負を主体として正社員や契約社員を派遣しています。
株式会社エス・エム・エス
主力事業としては、介護、医療、ヘルスケア、シニアライフの4つの領域で合計40以上のサービスを開発・運営しています。
エン・ジャパン株式会社
主力事業はインターネットを活用した求人求職情報サービス、人材紹介、人事研修、人事コンサルティング・適性テストの4つです。
株式会社LITALICO
主力事業としては、障害者の就職を支援する就労移行支援、および就労継続支援のサービスを提供する事業所を運営しています。
株式会社アカツキ
主力事業はゲーム事業とコミック事業であり、主要関連会社に株式会社アカツキゲームス、株式会社Akatsuki Venturesなどがあります。
株式会社マネーフォワード
主力事業としては、家計簿や資産管理を補助するツール「マネーフォワード」、クラウド型会計サービス「マネーフォワード確定申告」などのサービスを提供しています。
株式会社コロプラ
主力事業はエンターテインメント事業であり、スマートフォンゲームやコンシューマーゲーム、XR・メタバースサービスなどを提供しています。
株式会社ベクトル
主力事業として戦略PR事業を展開しており、PR業務代行事業やブランディング支援、マーケティング支援などでアジア最大の規模を誇っています。
サイボウズ株式会社
主力事業は主力事業はグループウェア事業と研究開発であり、「kintone」をはじめとするサービスの提供、サービスの基盤となる技術の開発をおこなっています。
株式会社MIXI
主力事業はデジタルエンターテインメント事業であり、ほかにもスポーツ事業やライフスタイル事業、投資事業などを展開しています。
株式会社じげん
主力事業はライフイベント領域を中心としたライフプラットフォーム事業であり、求人や人材紹介、航空券の比較サイトなどを運営しています。
ラクスル株式会社
主力事業は印刷シェアリングプラットフォームの構築であり、現在は印刷と集客を支援するプラットフォームとして多様な印刷関連サービスを提供しています。
【メガベンチャー業界研究】メガベンチャーの就活スケジュール
メガベンチャーに限らずベンチャー企業は従来の就活スケジュールより早期から選考を行う傾向が強いです。
通年採用を導入し始める企業もあるため、スケジュールも含めてきちんと選考対策をしましょう。
ベンチャーの就活スケジュールについて詳細に紹介していますので、そちらについてもご覧ください。
まとめ
この記事を読むまでは、メガベンチャーという存在がいまいちわからなかったという人がいるかもしれません。
ベンチャー気質を持った大企業とのことなのですが、なぜそういった存在になるかというと、その大半がかつてベンチャー企業と言われもてはやされたからです。
そして、実際にメガベンチャーの詳細を確認してみると、私たちのほとんどが知っているような企業が多いのではないでしょうか。
IT企業を中心にさまざまな分野にあるのがメガベンチャーで今もその数は増えていると言えます。
特に新型コロナウイルスはメガベンチャーの成長を促した要因にもなっているのです。