はじめに
就職活動を意識する時期になり、ベンチャー企業に興味を持ち始めたという学生もいることでしょう。
ベンチャー企業という言葉はよく耳にするけれど、実はよく理解していないという学生は、今のうちからリサーチしておくことをおすすめします。
本記事で、ベンチャー企業の主な特徴、中小企業やスタートアップとの違いなどについて、解説していきます。
また、ベンチャー企業の具体例として、就活生たちの間で人気が高い企業もいくつかご紹介しますので、志望先選びの参考にしてみてください。
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【ベンチャー企業例】ベンチャー企業とは
最初に、ベンチャー企業がどんなものなのかについて、見ていきましょう。
ベンチャー企業というと、革新的なビジネスを展開する企業、起ち上げたばかりの企業だと思っている方も多いことでしょう。
中には、社長や経営陣たちが若い企業、少人数経営の企業などをイメージする方もいるかもしれません。
実は、ベンチャー企業には、「従業員数○○人、設立から○○年、資本金○○億円」といった明確な定義がないのです。
一般的には、これまでにないアイディア・革新的な技術などをもとにして、新しいビジネスモデルに取り組んでいる企業のことを、ベンチャー企業と呼んでいます。
成長過程にあり、大企業が取り組みにくい分野の事業を行っている企業も、ベンチャー企業に含まれるのです。
また、成長率が著しい企業に対して投資を行っているベンチャーキャピタル(venture capital)から資金援助を受けている企業のことを指す場合もあります。
ベンチャー企業の多くは、会社設立から5年程度の若い会社、中小企業がほとんどです。
ベンチャー企業の特徴
一口にベンチャー企業といっても、各企業によって特徴が大きく異なります。
少人数経営体制の企業もあれば、従業員を積極的に採用しているベンチャー企業もあるのです。
ベンチャー企業に共通する特徴としては、社長、役員、社員たちの年齢層が非常に若いことが挙げられます。
また、実力主義の会社が多いことや大手企業と比較して仕事の進め方が柔軟といった特徴もあります。
社員の年齢層が若い
ベンチャー企業では、大手企業のように「創業何十年」といった歴史ある企業はほとんどありません。
設立から5年程度の若い企業が多くを占めているのです。
そのため、ベンチャー企業の社長や役員たちの年齢層も若い人たちが多い傾向です。
20代、30代の社長や役員がいる企業も珍しくありません。
また、ベンチャー企業は、在籍している社員たちの年齢層も若いです。
社員の平均年齢が20代半ば~30代前半くらいの企業が非常に多いのです。
大卒の新入社員として就職する場合は、同世代の先輩や上司たちと一緒に仕事をする確率が高くなります。
年齢が近いので、人間関係が築きやすくなり、職場の雰囲気に馴染みやすいのではないでしょうか?
実力主義
ベンチャー企業は、実力主義の企業がほとんどです。
日系の大手企業のように、勤続年数や年齢など重視する年功序列制度を取り入れている企業はまずありません。
ベンチャー企業では、本当に実力がある人や成果を出した人のほうが評価が上がりやすく、どんどん昇給して、昇進しやすいのです。
社内でただ年齢を重ねていくだけでは出世や昇給は期待できないため、自分から積極的に仕事に取り組む姿勢が求められます。
そのため、能力を発揮して活躍できるチャンスが多いのが、ベンチャー企業の魅力となっています。
やりたい仕事があるという方、自分の実力を試してみたいと考えている方にとっては、ベンチャー企業は働きがいのある職場となることでしょう。
仕事の進め方が柔軟
仕事の進め方が柔軟であることも、ベンチャー企業ならではの特徴です。
たくさんの従業員を抱える大手企業では、仕事内容が細かく分担されている場合や各部署や担当ごとに詳細なマニュアルが用意されていることが多い傾向です。
そのため、自分の裁量で仕事を進めにくい面があります。
一方、ベンチャー企業では、従業員数が少ないことから、個人の裁量に任されている仕事が多いのです。
大手のように、業務マニュアルが用意されていることもほとんどないため、仕事に対して臨機応変に対応していくことが求められています。
仕事を自分で考えて取り組んでいきたいと考えている方にとっては、大手企業よりもベンチャー企業を選んだほうが、のびのびと働けることでしょう。
”ベンチャー”という言葉の由来
そもそも、ベンチャー企業の「ベンチャー」とは、いったいどういう意味なのだろうと気になっている方もいるかもしれません。
ベンチャー企業は、英語の「Venture」が由来となって、生まれた言葉です。
「Venture」は、「(危険を伴うような)冒険」、「冒険的な企て」、「投機」などを意味する単語となっています。
ある程度のリスクを覚悟しながらも、冒険心を持って、新しい技術やビジネスモデルを展開していくのがベンチャー企業なのです。
なお、ベンチャー企業が取り組んでいる事業のことは、ベンチャービジネスと呼ばれています。
ベンチャービジネスは、「Venture」と「 Business」を組み合わせ和製英語です。
「VB」と頭文字の省略形で呼ばれることもあります。
【ベンチャー企業例】ベンチャー企業と中小企業の違いとは
ベンチャー企業は少人数経営の企業が多いことから、中小企業との違いがわからないという方もいることでしょう。
中小企業は、製造業では資本金3億円以下、従業員数が300人以下と定義されています。
従業員の数が20人は、小規模事業者に分類されます。
つまり、ベンチャー企業は、中小企業に含まれているのです。
ベンチャー企業と中小企業の違いについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらのページを参考にしてみてください。
【ベンチャー企業例】ベンチャー企業とスタートアップの違いとは
スタートアップは、世の中に登場していない新しいビジネスモデルや技術に取り組む企業のことです。
ベンチャー企業とよく似ていますが、両者の間には「ゴール」設定が異なるという違いがあります。
スタートアップでは比較的短期間での目標達成を目指しますが、ベンチャー企業では長期的で安定的な成長を目指しているのです。
ベンチャー企業とスタートアップの違いについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらのページを参考にしてみてください。
【ベンチャー企業例】ベンチャー企業の具体例
日本国内には、たくさんのベンチャー企業が存在しています。
数ある企業の中から、就活生の間で人気の高いベンチャー企業をピックアップしてみました。
株式会社サイバーエージェント、株式会社リクルートホールディングス、楽天グループ株式会社など、誰もが一度は社名を聞いたことがある有名企業を6社ほどご紹介します。
これからベンチャー企業への就職を考えている方は、まずは各企業の特徴や事業内容などをよく調べたうえで、自分なりに会社研究をしてみると良いでしょう。
リクルート
株式会社リクルートホールディングスは、「SUUMO」、「じゃらん」、「HOT PEPPERグルメ」などを運営している会社です。
大学生向けの就職サイト「リクナビ」、アルバイト求人サイトの「fromAnavi」や「TOWNWORK」などを運営しているのも、リクルートグループの企業なのです。
グループ全体4万名以上の従業員が在籍しているメガベンチャー企業、東証一部上場企業として知られています。
人材派遣業、HRテクノロジー業、メディア&ソリューション事業など多くの事業を展開しています。
楽天
楽天グループ株式会社は、インターネットショッピングモール「楽天市場」、インターネット銀行の「楽天銀行」、フリマアプリ「ラクマ」などを運営している会社です。
代表取締役会長兼社長を務めているのは、創業者である三木谷浩史さんです。
Eコマース事業、デジタルコンテンツ事業、ECサイト事業、通信事業などインターネット関連事業のほかに、銀行や証券会社やクレジットカードなど金融関係の事業も手掛けているのが、楽天グループ株式会社の強みとなっています。
サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは、ブログサービスの「アメーバブログ」やインターネットテレビの「ABEMA」などを運営している会社です。
もともとはメディア事業やインターネット広告代理事業が主力でしたが、近年はゲーム事業にも力を入れるようになり、「グランブルーファンタジー」などソーシャルゲームにも取り組んでいます。
代表取締役社長兼代表執行役員社長を務めているのは、株式会社サイバーエージェントの設立者である藤田 晋さんです。
メルカリ
株式会社メルカリは、フリマアプリの「メルカリ」を運営している会社です。
設立時は株式会社コウゾウという名称でしたが、株式会社メルカリへと変更しています。
主な事業は、フリマアプリの運営ですが、運送会社と提携して「らくらくメルカリ便」などを取り入れることやアメリカ進出するなど、どんどん拡大を続けています。
また、2019年は、メルペイ事業にも取り組むようになり、非接触型決済サービスをスタートさせました。
ぐるなび
株式会社ぐるなびは、グルメ情報サイトの「ぐるなび」を運営している会社です。
1989年に交通広告代理店の子会社である「株式会社交通アド」として設立しました。
株式会社ぐるなびは、食べ物関係のサイト運営のほかに、旅行情報サイトの「ぐるたび」、結婚式場の情報サイト「ぐるなびWEDDING」、東京地下鉄と連携した「レッツエンジョイ東京 」など、さまざまなビジネスに取り組んでいます。
スマートニュース
スマートニュース株式会社は、スマートフォン用のニュースアプリ「SmartNews」を運営している会社です。
2012年6月15日に株式会社ゴクロという名称で設立しましたが、2013年10月にスマートニュース株式会社へと社名を変更しています。
代表取締役会長兼社長CEO(最高経営責任者)は、鈴木健さんです。
スマートフォンアプリケーションの開発や運営、インターネットサービスの開発や運営などが主な事業です。
Zホールディングス(旧Yahoo!)
Zホールディングス株式会社は、1996年に設立され、1997年に上場した多くの持株会社の親会社としてその運営を行なっているベンチャー企業です。
ソフトバンクグループの傘下についており、主な連携企業としてPayPay株式会社やLINE株式会社、出前館株式会社などがあります。
インターネット検索サービスが有名ですが、動画配信サービスや旅行予約サイトなどの運営も行なっています。
DeNA
株式会社DeNAは、1999年に設立され、2005年に上場したベンチャー企業です。
主にインターネット関連の事業を展開しています。
スマートフォン用ゲームの開発や配信を中心に、SNSの運用や電子商取引サービスを行なっています。
また、日本プロ野球の横浜DeNAベイスターズを運営していたり、日本プロバスケットボールの川崎ブレイブサンダースを運営していることで知名度が高くなっています。
LINE
LINE株式会社は、2000年に設立され、2016年に上場を果たしましたが、その後上場廃止を発表したベンチャー企業です。
日本最大級のコミュニケーションアプリ「LINE」を中心に幅広い分野に進出しています。
また、先ほど紹介したZホールディングス株式会社の傘下に所属する子会社でもあります。
日本だけでなく、台湾、タイ、インドネシアでシェアを持っており、世界展開をしています。
グリー
株式会社グリーは、2004年に設立され、2008年に上場を果たしたベンチャー企業です。
主にソーシャルネットワーキングサービスを中心に事業を行なっており、世界初のモバイルソーシャルゲームを開発したことでも有名です。
現在では、スマートフォン用のゲーム開発やSNS運用の他にもライブエンタメ事業やメディア事業など幅広く行なっています。
mixi
株式会社mixiは、1999年に設立され、2006年にマザーズ上場を果たし、その後2020年に一部上場を果たしたベンチャー企業です。
エンターテイメントやスポーツ、SNSなど様々な領域においてサービスを展開しています。
かつてはガラケー時代には欠かせないサービスであったが、ガラケーの使用率が低くなったことに伴って現在ではスマートフォン版のサービスを展開しています。
しかし、徐々にシェア率は低下しており、厳しい状況がつづいています。
GMOインターネット
GMOインターネットグループ株式会社は、1991年に設立し、2004年に上場を果たした企業です。
現在では、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業を展開しています。
世界20カ国以上でサービスを展開しており、インフラや広告、金融や暗号資産などの様々なサービスを多くの人に提供しています。
DMM.com
合同会社DMM.comは、1999年に設立され、動画配信サイトを中心に事業を拡大してきたベンチャー企業です。
特にECサイト「DMM.com」は多くの人から利用されている有名なサービスとなっています。
動画配信サービスだけでなく、金融や人材、ゲームやテーマパークなど幅広い領域に事業を拡大していることも特徴です。
また、業務提携やM&Aも積極的に行なっています。
まだ、上場はしていませんが今後の成長が予想されます。
【ベンチャー企業例】ベンチャー企業の評価額ランキングトップ20
2022年8月現在のベンチャー企業の評価額ランキング第1位から第20位までを紹介します。
1位 Preferred Networks 3539億円
2位 GVE 2245億円
3位 スマートニュース 2004億円
4位 SmartHR 1731億円
5位 TRIPLE-1 1641億円
6位 クリーンプラネット 1457億円
7位 Spider 1457億円
8位 TBM 1336億円
9位 Mobility Technologies 1244億円
10位 HIROTSUバイオサイエンス 1042億円
11位 アストロスケールホールディングス 987億円
12位 ヘイ 942億円
13位 ティアフォー883億円
14位 LegalForce 802億円
15位 アンドパッド 786億円
16位 ispace 757億円
17位 スリーダム 730億円
18位 HIKKY 649億円
19位 データX 639億円
20位 ビットキー 599億円
以上のようなランキングとなっています。
これらを参考にしてみてください。
【ベンチャー企業例】ベンチャー企業の資金調達額ランキングトップ20
2022年8月現在のベンチャー企業の評価額ランキング第1位から第20位までを紹介します。
1位 Spider 1205億円
2位 Mobility Technologies 470億円
3位 スマートニュース 442億円
4位 アストロスケールホールディングス 342億円
5位 TBM 327億円
6位 ティアフォー 296億円
7位 ヘイ 269億円
8位 SnartHR 243億円
9位 ispace 218億円
10位 LegalForce 198億円
11位 データX 183億円
12位 Preferred Networks 171億円
13位 ビットキー 156億円
14位 アンドパッド 122億円
15位 スリーダム 96億円
16位 HIKKY 70億円
17位 HIROTSUバイオサイエンス 56億円
18位 TRIPLE-1 39億円
19位 GVE 35億円
20位 クリーンプラネット 20億円
ぜひ最新の情報を参考に検討してみてください。
まとめ
ここまで、ベンチャー企業の主な特徴についてご紹介してきました。
ベンチャー企業は中小企業やスタートアップ企業と似ている部分もありますが、ゴール設定など異なる点もあります。
大手企業と違って、実力主義の傾向が強いため、主体的に仕事に取り組もうとする人ややる気のある人が求められています。
本記事でご紹介した株式会社サイバーエージェントや楽天グループ株式会社のようなメガベンチャー企業は、学生たちの間で人気が高いため、入社選考の競争率も高くなります。
しっかり対策をして臨むようにしたほうが良いでしょう。