はじめに
「旅行業界のベンチャー企業ってどんなことするの?」と疑問をもつ方も多いでしょう。
旅行ベンチャーの業務は、宿泊の手配だけでなく、食のプロデュースや旅行のプランニング、通訳など多岐にわたります。
どちらかというと、旅行全体よりも一部の事業を担当することが多く、その道の専門家がいることも強みです。
旅行ベンチャーはコロナ禍の影響を大きく受けました。
しかしそんな非常事態の中で、この状況を逆にチャンスと捉えて注目を浴びている分野です。
コロナ禍の中でも伸びている企業はあるので、今回ご紹介しましょう。
ぜひ、旅行ベンチャーの業務内容を知り、就職活動や事業立ち上げ、そしてご自身の旅行にも役立ててみてください。
【旅行ベンチャーって何するの?】旅行ベンチャーの実態
日本の旅行ベンチャーは、以下のサービスに分けられます。
・日本食のプロデュース
・レジャー施設のあっせん
・交通機関の検討
・旅行のプランニング
・通訳サービス
日本を訪れる観光客は増加する傾向にあり、背景には東南アジアの経済発展があります。
「観光立国」を戦略とする日本では、旅行ベンチャーの果たす役割は大きいといえるでしょう。
旅行全体よりも旅行の一部の事業を担当することが多い
旅行ベンチャーでは、旅行中における悩みを解決する事業がメインです。
全体を担うのではなく、悩みの一部を解決する位置づけです。
たとえば、旅行ベンチャーのサービス内容は、旅行プランのパッケージを作ること、宿泊施設の仲介がメインとなります。
ただこれらのサービスにはほかの業務も必要です。
具体的にはカウンター業務や企画(ツアープランナーの業務、仕入れやコンダクタ―の手配、ITエンジニア業務)などがあります。
旅行プランの企画をするのがツアープランナーの仕事であり、宿泊施設や交通機関を手配するのが仕入れ担当者です。
顧客の悩みによって担当者が違うのも特徴の1つでしょう。
また、インターネット販売も盛んになっている昨今では、ITエンジニアの業務が重要視されてきています。
【旅行ベンチャーって何するの?】コロナ期間の旅行ベンチャーについて
日本では帰省ラッシュになるゴールデンウィークなどの大型連休でも、コロナの影響で旅行者が大幅に減少しました。
緊急事態宣言の影響や、施設の使用停止や休業要請、外出自粛の協力要請などがあり、旅行ベンチャーも大打撃を受けます。
不要不急の外出を避けるために、多くの人が巣ごもりを余儀なくされたのが一番の原因でしょう。
現在は売り上げの減少している旅行ベンチャーですが、どれくらいの被害を受けたのかなど、以下で解説します。
現在は売り上げが減少している
旅行ベンチャーは、コロナの影響もあり、売り上げが減少している企業は多くあります。
政府の家計調査によれば、2020年は宿泊費(ホテルなど)の支出が97.6%も減少し、パック旅行費なども95.4%減少したとの結果が明らかになりました。
ゴールデンウィークの利用も9割ほど落ち込み、新幹線などの交通機関の利用者も同じように9割ほどの落ち込みが見られます。
結果、旅行サービスを実施しているベンチャー企業の中には、一時的に存続の危機に陥る業者もありました。
「Go To トラベルキャンペーン」の影響で一時的に復旧しましたが、現在はまた売り上げが減少しています。
旅行ベンチャーには将来性がある !
コロナにより大打撃を受けたベンチャー企業ですが、コロナ後に旅行できていない人たちの需要が高まれば将来性もあります。
コロナ禍では海外旅行に規制が入り、国内旅行の需要は高まったからです。
たとえば、海外旅行では交通費や宿泊費に数十万かかるケースは少なくありません。
海外旅行を計画していた人が日本国内で旅行するとなれば、数十万の経費をかける分、滞在時間は長くなる傾向にあります。
もしくは、短い期間でもグレードの高いホテルや飲食店を利用する可能性は高まるでしょう。
中には「日本の名建築をめぐる旅」や「日本の歴史を学ぶ旅」などを企画し、コロナ禍でも楽しめるツアーを打ち出す企業もあります。
以前は注目されていなかったニーズに目をつけられれば、ベンチャー企業の将来も明るくなるでしょう。
【旅行ベンチャーって何するの?】旅行ベンチャーは6つに分けられる !
日本のベンチャー企業の事業内容は、大別すると以下の6種類になります。
・日本の食関連
・レジャー関連
・交通機関関連
・旅行のプランニング
・ネットを利用した通訳サービス
それぞれの特徴や具体的な業務内容を、以下に見ていきます。
宿泊
宿泊の手配やホテル増設などをするのもベンチャー企業の業務内容の1つです。
ベンチャー企業の中では、空き家や歴史的建造物など今は使われなくなった建物をホテルなどに再利用するサービスもあります。
主に関西圏で多いサービスですが、国の有形文化財や県の重要有形文化財がある地域での需要が高まっています。
これらの建物は、レストランや婚礼・宴会場、宿泊施設などして再利用が可能で、多くの客を集めた事例の1つです。
「Great Place to Work」で5年連続のベストカンパニー選出を果たした企業もあり、コロナ禍でも楽しめる場所を提供しています。
食
ベンチャー企業には、海外向けに日本の食をプロデュースする業務もあります。
たとえば、インバウンド観光客向けに予約や決済をオンライン上で扱うサービスは、人気が出ている分野でしょう。
オンライン上でのサービスは、主に外国人観光客の集客に使われています。
特に、中国のサーチエンジン「百度」からの利用は増えています。
今後は「ぐるなび」や「食べログ」などのサイトとの連携も必要になってくるでしょう。
食に関してのサービス提携は、企業にとって重要な課題でもあります。
レジャー
レジャーの施設や活動のあっせんも、ベンチャー企業には重要な業務です。
レジャーと一口に言っても、以下のように業務は多岐にわたります。
・レジャー施設向けに予約をする業務
・チケット販売管理システムを使った業務
・メディアに広告を出す業務
業績を伸ばした例として「asoview!」アプリがあります。
全国各地の380種類の遊びを、4200施設、かつ15000プランも紹介したのは斬新な試みでした。
地域創生のためにも観光協会などと連携し、事業展開をする必要もあるでしょう。
交通機関
交通機関ごとの比較や検討もベンチャー企業の業務の1つです。
たとえば、旅行比較ができる「トラベルコ」や伝統工芸作品サイトとして有名な「GALLERY JAPAN」では、最安値のサイトを簡単に比較できます。
またサイトを利用すればホテルだけでなく、航空券やツアーを旅行先もしくはプランから詳細に検索することもできます。
顧客にとって、最安値を比較できるサイトの存在は大きいでしょう。
交通機関によって旅費も差が出るため、企業は比較や検討を顧客の代わりにするのも業務の1つです。
プランニング
ベンチャー企業では、旅行全体におけるプランニングやデータ蓄積の業務もあります。
たとえば、成功事例としてワンダーラストの「Compathy」は有名でしょう。
旅先での写真に位置情報を付属し、現地の体験や感じたことなどを記録して投稿やシェアが可能となりました。
SNSでの投稿が多くなっている昨今では、このサービスは非常に魅力的に映るでしょう。
また、実際に行った人の声や体験をもとにして、旅行プランを考える、体験者に質問をして確かめるなども効果的といえます。
個人のプランを考えるうえでも、参考になるサービスでしょう。
通訳サービス
ベンチャー企業の業務の中には、ネットを用いた通訳サービスやアプリの提供もあります。
訪日外国人向けのアプリ「Payke」では、アプリを使って商品のバーコードをスキャンするだけの手軽さが人気になりました。
バーコードだけで自分のわかる言語で商品の解説や情報を読めれば、通訳を別に雇う必要もありません。
またアプリを活用した分の商品データも蓄積されるのは大きいメリットです。
企業が採用すれば、物販のコンサルティングにも活用できるでしょう。
【旅行ベンチャーって何するの?】旅行ベンチャーの特徴
旅行ベンチャーのメリットは、最新のIT技術を取り入れやすい流動性と市場に対して柔軟な対処ができる点などです。
ただ、一方で資金調達の課題もあります。
資金調達に成功している企業は少なく、背景に「楽天トラベル」や「じゃらん」などの大手サイトが独占しているのも影響しているでしょう。
最新のIT技術を取り入れやすい
ベンチャー企業には流動性があり、ITなどの最新技術を導入しやすいのは大きなメリットでしょう。
またベンチャー企業では、スタートアップエコシステムなどで流動性は欠かせない要素です。
流動性が発揮できれば、資金調達や再投資のスピードアップ、スタートアップ構築のスピード化もはかれるからです。
昨今では、インターネットの普及の影響で、ネット予約も拡大傾向にあります。
オンライン市場の規模は、9兆7033億円と推定され、オンライン販売比率も39.4%と高水準です。
今では、インターネットを通じて個人が直接情報を入手できるようになり、個人間の手配も可能となりました。
IT技術を取り入れるのが得意なベンチャー企業には、追い風となってくれるでしょう。
市場に対して柔軟に対応できる!
ベンチャー企業は世の中の需要に素早く対応し、サービスを提供できるのが強みです。
多くの企業が売り上げを減少している中、コロナ危機で爆発的に伸びたベンチャー企業もあります。
昨今では個人のニーズも多様化しており、その影響は日本にも及んでいます。
たとえば、アニメ好きな観光客向けの「聖地巡礼」や、今は使われなくなった建物や場所を歩く「廃墟めぐり」などが与える影響は大きいでしょう。
従来は温泉や美食などがメイン市場ですた。
しかし、これからは個人のニーズに応えたサービスが重要になります。
ベンチャー企業は、フットワークが軽く柔軟に対応できるため、これらのニーズに合致した対策を取れるのがメリットです。
サービスの多様性に合わせて、旅行ベンチャーの将来も考える必要があるでしょう。
資金調達の課題もある
メリットも多いベンチャー企業ですが、資金調達がしにくいという面において課題が残っています。
資金調達に成功している企業は数少ないですが、成功例としては「オープンドア」や「ワンダーラスト」「アソビュー」などの企業があります。
また、資金調達に大きくのしかかるのは、「楽天トラベル」や「じゃらん」などの大手サイトとの競合です。
中には、Voyaginのように楽天トラベルに買収された企業もありますが、この例はむしろ少数派でしょう。
フットワークが軽く柔軟とはいえ、やはり資金面では大手サイトに及ばないところも多々あります。
今後ベンチャー企業が伸びていくためには、資金調達は大きな課題でしょう。
【旅行ベンチャーって何するの?】旅行ベンチャーの事業例
コロナ禍で旅行者は激減している一方で、実は日本の観光業界は大きな成長を見せています。
特に、好調なインバウンドの影響を受けて、日本でも続々と旅行ベンチャー企業が台頭してきました。
以下に、旅行ベンチャーの事業例を3選してご紹介します。
MagicPrice
「MagicPrice」の強みは、航空券やホテルのチケット販売において、事業者の利益が最大になるサービスを提供している点です。
有限なリソースやアセットを最大限に活かすことで、収益力の向上を目的にしているベンチャー企業です。
プライシングをコアに置き、企業やビジネスのダイナミック化を応援しており、戦略レイヤーなどからの変革支援もしています。
代表商材には「ダイナミックプライシング運用クラウド」があり、タイムリーで柔軟なプライシングを可能にしました。
Hotspring
「Hotspring」では、LINEの質問に答えるだけで旅行プランが立てられるオンラインサービスを取り扱っていました。
オンラインチャットサービスで有名な「ズボラ旅byこころから」を聞いたことがある方も多いでしょう。
いまだに旅行代理店カウンターに行く人も多いですが、待ち時間がネックです。
その点、プランの提案もオンライン上で完結でき、整理券や順番を待つ時間もいらないのは画期的なサービスといえるでしょう。
そのため、「ズボラ旅byこころから」は旅行代理店にとって代わるサービスとして注目されていました。
※「ズボラ旅byこころから」は2020年12月にサービスを終了しています。
クラウド通訳
クラウド通訳は、登録することでオペレーターがビデオチャットで翻訳してくれるサービスです。
英語・中国語・韓国語・タイ語・ベトナム語・ポルトガル語など6か国の言語に対応しており、機械翻訳では補えない部分もサポートしてくれます。
クラウド通訳であれば、カタコトの英語でも、バイリンガルの通訳がサポートしてくれるのは魅力でしょう。
また操作方法も簡単です。 スマートフォンに慣れていない高齢者の方でも簡単に利用できます。
月額2,000円からサービスを開始できるので、外国に旅行するなら、クラウド通訳を登録しておけば安心でしょう。
【旅行ベンチャーって何するの?】まとめ
旅行ベンチャーの事業内容や将来性、メリット、ベンチャー企業の種類などご紹介してみました。
旅行ベンチャーは、旅行のサポートをしてくれますが、業務内容は多岐にわたります。
コロナの影響もあり、一時期存続も危ぶまれましたが、乗り越えた企業や実績を伸ばしている企業もあり、将来性も見込めるでしょう。
旅行ベンチャーでは、時代のニーズに合わせたサービスをしており、これからも伸びていく企業といえます。 ぜひ、旅行ベンチャーを利用して快適な旅にしてください。