はじめに
2020年に移動通信システム「5G」が導入され、大容量通信を活用したvrコンテンツのニーズも徐々に高まってきました。
まだまだ新しい産業であるvrは就活生の注目も集めやすい存在ですが、そもそも日本のvrベンチャーがどのような事業を行っているか、あまり知らないという就活生も多いでしょう。
就職した場合、どのような事業分野でどのような仕事が待っているのか、今後注目されるvr業界について詳しく解説します。
【日本のVRベンチャーの実態】VRとは?
まず、VRがどんなものかまとめておきましょう。
VRは、コンピューターで生み出した仮想世界を、まるで現実のように体感させる技術を指します。
視野を遮断するディスプレイに仮想のデジタル空間を表示し、五感を使って仮想現実を体感するのがVRの特徴です。
実際の風景は完全に視界から消えるため、見えるものはすべてコンピューターが生成したデジタルデータとなります。
つまり、どこにいても一瞬で映像世界へ入り込む体験ができるため、ゲームなど娯楽産業でも多く取り入れられている技術です。
ARやMRとの違いは?
VRと似た言葉でARやARがありますが、それぞれはまったく違った意味を持ちます。
arは「拡張現実」といわれ、スマートフォンやパソコンでCGを現実世界に映し出す技術を指します。
つまり、現実の視野にさまざまなデジタル情報が重ね合わせて見えることになり、実際の風景の中に出力されたCG=実際に存在しないものが重なって表示されます。
MRは「複合現実」と言われ、専用ゴーグルを用いて仮想空間を作りだすものの、現実世界に実際にあるものも実際にはないものも重ねて表示されます。
見え方はARと同等ですが、現実にある空間をデジタル情報化し、架空のオブジェクトと自由に組み合わせられる点が大きく異なります。
現実と仮想がデジタルに融合する、相互に作用する点がvrともarとも異なる点です。
【日本のvrベンチャーの実態】vrベンチャーの仕事内容
vrベンチャーの仕事内容は、大きくわけると、エンジニア職とプロデューサー職の2つになります。
急速に市場が成長していますが、その中で具体的にどのような事業を行い、どのような仕事をしているかを知る人はあまり多くありません。
技術の最先端を行く新進気鋭のベンチャーに興味を持っている就活生は多いですが、実際自分がどのような仕事に携わりたいか、VR事業のどの部分を担いたいかによって働き方は大きく変わります。
もちろんベンチャーごとに職種も業務も変わりますが、ここで一般的にVRをビジネスと考えた場合の仕事内容をまとめてみましょう。
エンジニア
エンジニアは、プログラミング言語や3DCG技術を使い、実際にデジタルデータを制作し商品化していく仕事になります。
プログラムの専門知識が必須ですし、VRならではの技術が存在するためそのスキルを身につける必要があります。
独学でも不可能とはいいませんが、やはり専門的な勉強をしてきた人のほうがアドバンテージが高いです。
また、現在Unityなどのソフトウェアが開発で利用されていますが、今後こうしたソフトウェアや必要言語が変わってくる可能性は大いにあるでしょう。
決定した仕様を設計に落とし込み、実際にプログラミングでひとつひとつデジタルデータを構築し、テストして商品化するところまですべての開発を実行する職種です。
映像・番組制作プロデューサー
エンジニアは決まった仕様を元に実働しますので、そもそもどんな映像仕様にするのか、何をVRとして映し出していくのかを考える仕事が必要となります。
これが、映像・番組制作プロデューサーという職種の仕事です。
動画でもテレビでもすでにたくさんのvrコンテンツが存在していますが、それらを企画し、どうコンテンツとして表現するかは、誰かが最初に方針を決めなければなりません。
仮想現実で視聴者に何を体験してもらうのか、どのような体験を提供すれば多くの人の感動や共感を得られるのか、技術の先にあるものを探るのが主な仕事です。
企画力もマーケティング力も必要となりますし、商品として売れるアイディア力も必須ですので、トレンドキャッチ能力やクリエイティブセンスなども必要となります。
また、クライアントと交渉も必要ですので、コミュニケーション能力や折衝力も大切です。
【日本のvrベンチャーの実態】日本のvrベンチャーの特徴
数年前から注目が集まっている技術であるため、VRを手がけるベンチャーは、すでに世界中にたくさんあります。
現在諸外国に比べ、日本のvrベンチャーにはどのような特徴があるのでしょうか。
事業が小規模であることが多い
残念ながら諸外国に比較すると、日本は資金調達がしにくかった分、事業が小規模になってしまうことがあるのは否めません。
それでもたくさんのVRベンチャーがあり、技術力や企画力では魅力の光る企業が多いのは、評価できるポイントです。
また、近年になって市場が高い成長率を見せるようになったことから、多くの投資家がVR市場に注目するようになりました。
そのため、2019年以降はまとまった資金調達を行うベンチャーも増えはじめ、事業規模の拡大にも期待がかかっています。
活用分野が幅広い
VR技術が登場したての頃は、こうした技術はゲーム業界やエンターテインメント業界で利用されていましたが、2017年頃からは、介護や医療現場で注目される技術となり、求められる要素も変化してきました。
すでに医療の現場ではVR技術を用いて仮想の手術を行うなど、医療技術の発展に大きく貢献しています。
また、ショッピングモールや百貨店といった商業施設への展開を見据えた資金調達も活発化しており、近い将来新たな展開でvrが進化する土壌も見えはじめています。
観光などの分野でもVRの伸びしろはあるため、活用分野とともに、将来性も伸びている業界といえるでしょう。
事実、企画次第であらゆる業種業態に活かせる技術のため、未来は無限大といえます。
人材不足が進行している
市場が一気に伸びる半面、エンジニア不足により人材が足りないという企業が増えているのが、大きな課題です。
VRの需要は確実に高まっているため、技術力のあるエンジニアは、どのベンチャーでも非常に貴重な存在になりつつあります。
簡単なプログラミング仕事であれば初心者でもよいとするベンチャーが少なくありませんが、さすがにVRエンジニアとなると、初心者がすぐ現場で活躍することはできません。
スキルの専門性が求められる分、そもそもの人材が希少だといえます。
逆にいえば、大学で一定レベルの技術を習得し、VRベンチャーを目指す就活生であれば、かなり高いアドバンテージを持っていることになります。
狭き門といわれるベンチャー就職においても、競争に十分勝てる有利な武器だといえるでしょう。
【日本のvrベンチャーの実態】日本のvrベンチャーの事業例を紹介
それでは、今注目される日本のvrベンチャーの事業例を簡単に紹介します。
それぞれ独自の特色があり、得意とする分野がありますので、興味を惹かれるベンチャーがあれば、じっくり企業研究してみてください。
MESON
MESONは、VR/ARの開発、デザインからリリース後の分析まで担当しているベンチャーです。
長期的にプランニングを請け負い、クライアントと長くビジネスパートナーとして協働する姿勢を打ち出している点が特徴といえます。
多国籍チームであり、空間コンピューティング技術を用いてさまざまな研究開発を行い、クリエイティブスタジオ事業も展開しています。
InstaVR株式会社
InstaVR株式会社は、vrアプリ作成ツールを開発しているベンチャーです。
ウェブ、iOS/Androidアプリとして配信できるvrアプリを、旅行、教育、オフィス案内、360度動画メディアなどのジャンルで制作しています。
ファミリーマートの社員研修プログラムの実証実験を実施するなど、これまでにも大手企業と組んでさまざまな革新を行っています。
exiii
※2020年9月30日付で事業を終了・解散
exiiiは、VR世界で仮想物体に触った際の硬さや感触を再現できるデバイスの開発を2014年の創業から行い、2018年には8,000万円の資金調達、日産株式会社への導入実績もありました。
残念ながら6年で企業を閉めることとなりましたが、創業者の山浦 博志氏は解散後、遠隔操作ロボット開発を手がけるTelexistence Inc.に参画しています。
ナーブ株式会社
ナーブ株式会社は、ライフスタイル領域におけるVRプラットフォームを手がけるベンチャーです。
ニュースなどでも取り上げられましたが、不動産物件の内見に行かなくても物件のリアルな魅力を確認することができる「バーチャルツアー」などを展開し、業界でも話題になりました。
現在もVRを活用したオンライン商談、省コストで開設できるオンライン店舗など、さまざまなクラウドサービスの提供を進めています。
株式会社LiveLike
株式会社LiveLikeは、株式会社電通が運用する電通ベンチャーズも出資する、スポーツ観戦没入型ライブ中継サービスを提供するベンチャーです。
LiveLikeのストリーミングテクノロジーを活用したライブ配信アプリを使うことで、ユーザーは通常の試合をvrのVIP専用席から楽しむことができます。
同時にプレーヤーの統計情報を見たり、プレーをさまざまな角度から見たりすることも可能となり、スポーツ観戦に新しい付加価値を提供しています。
【日本のVRベンチャーの実態】まとめ
日本にもVRベンチャーが数多くあり、各社ともさまざまな視点でサービスを提供しています。
近年、投資家があらためてvr市場に注目するようになったため、アイディア次第では、まとまった資金調達による事業規模の拡大も期待できるでしょう。
どの企業もエンジニアの人材不足のため、一定の専門知識をもつ就活生なら、狙うベンチャーへの就職にも有利です。
これから大きな伸びしろのある市場ですので、将来性は大いに期待できるといえます。