Legal Techとは?注目されている背景や市場規模は?法律×ITを用いて業務効率化に貢献しているサービスの事例を紹介

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はじめに

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革新的なアイデアと技術で社会に新たな価値を創造するベンチャー企業は、仕事への意欲あふれる就活生に人気の高い職場です。

インターネットやITに関連したビジネス展開を特徴とするベンチャー企業の中には、起業した人のおおよそ9割を士業出身者が占める、リーガルテックベンチャーという企業分野があります。

2000年初頭の司法改革によって弁護士が増加し、法律の知識を活かした新しいビジネスの開発を志す若手弁護士があらわれたことで、急成長した分野です。

若手弁護士たちのキャリアビジョンに描かれた、新ビジネスの中心にあるのがリーガルテックといえるでしょう。

それではリーガルテックとは一体どのようなもので、どういった将来性を秘めているのでしょうか。

以下より詳しく見ていきましょう。

【Legal Techとは】リーガルテックとは?

リーガルテックとは
リーガルテックとは「法律(リーガル)」と「技術(テクノロジー)」を、組み合わせてつくられた造語です。

ITの活用で既存産業に新たな価値や仕組みを提供する、X-Tech(クロステック)の1分野として位置づけられています。

法的サービスの利便性を高めるために、開発されたIT製品・サービスをあらわすものです。

リーガルテックは紙文化の歴史が根づいた法曹界に、新風を巻き起こすテクノロジーとして注目を集めています。

訴訟大国アメリカを発祥の地として、2010年ごろに大きく発展しました。

日本で本格的に普及し始めたのは、2015年以降になります。

煩雑な法律業務の効率アップのみならず、法的な諸問題をスムーズに解消できるとあって、企業や個人を対象にさまざまなサービス開発が進められています。

なぜ注目されているのか?

リーガルテックが注目される大きな理由として、日本政府の推進している「働き方改革」があげられるでしょう。

残業時間の規制をはじめ、副業解禁や、リモートワークの推奨などあらゆる角度から働き方が見直されています。

その中で我が国は、少子高齢化による労働人口の減少という問題も抱えています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響下にあることも、生産性の低下に拍車をかける一因となっているのです。

限られた労働力で生産性を高めるためには、コストの削減と効率生の向上はこれまで以上に求められることになります。

「書類にハンコを押さなければいけない」「契約書の作成・郵送作業がある」などの理由で、テレワークを徹底しきれない状況があるでしょう。

そこで電子ハンコや電子契約書の導入で、諸問題を回避できるといわれているのです。 リーガルテックへの期待は、いっそう高まっています。

リーガルテックの市場規模

弁護士以外による法律事務の取り扱いが弁護士法で禁じられている日本は、海外に比べて普及スピードが遅いといわれています。

しかしリーガルテックの国内市場規模は、確実なひろがりを見せているのです。

矢野経済研究所は、2018年リーガルテック国内市場規模を事業者売上高ベースで算出した推計結果が、前年比115.2%の228億円であると公表しました。

働き方改革をはじめデジタル化、ペーパーレス化により必要性が高まったことも要因でしょう。

リーガルテックサービスの認知度が上昇したことなどが要因となって、ユーザー企業が増加し市場が順調に成長したものと見ています。

また同研究所は2016年から2023年までの、年平均成長率を9.8%と推計したうえで、2023年には国内市場規模が353億円にまで拡大すると予測しているのです。

リーガルテックの普及は、今後さらに加速していくという将来展望を明らかにしています。

【Legal Techとは】日本におけるリーガルテックサービスの例

リーガルテックサービスにはさまざまな種類があり、それぞれ得意とする機能は異なります。

日本で提供されているリーガルテックの中でも、豊富なラインナップを有する種類に分類されるのが電子契約サービスです。

国内市場においても、特に大きな規模拡大を見せるまさに注目株です。

書面上での作成・管理されていた契約書をクラウド上で利用し、電子署名を用いれば、対面せずに契約締結が可能になる電子契約サービスは、幅広い業種で需要が高まっています。

「契約書」に関連するリーガルテック以外にも「サーチ系」や、また「審査・登録」「紛争・訴訟」といった分野を得意とするサービスもあります。

ここからはそれぞれの分野の特徴的な機能と、代表格なサービスの概要についてご紹介していきましょう。

契約書

業種を問わず契約書は、作成の際に条文をチェックするだけでも多くの時間と人手を必要としていました。

しかし近年、契約書の作成・管理にAIやクラウド技術によるリーガルテックサービスが誕生し、大幅な効率化が可能になっています。

法的効力のある文章作成をサポートする契約書レビュー、契約締結の際のコストを下げる電子契約など、契約にまつわる課題を解決するためのサービスは数多く存在しています。

契約書関連のリーガルテックに期待できる主な効果として、脱ハンコ・作業コストの削減・リスク回避などもあげられるでしょう。

以下よりまずご紹介するのは、わずか数分間で、契約締結を完了できる電子契約サービスです。

クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)

「クラウドサイン」は弁護士が監修する、国内標準の電子契約サービスです。

提供しているのは法学部出身者が取締役に名を連ねる、弁護士ドットコム株式会社となっています。

契約に必須の書類とハンコをクラウドに置き換えることで、契約書の印刷・製本・郵送作業や押印するための出社は不要となります。

そして金銭的・人的コストを大幅カットできるのが、クラウドサインの強みです。

またクラウドサインは契約締結のスピードアップを実現できるだけでなく、クラウド上で契約書の一元管理も可能になり、業務の透明性が向上します。

そして原本保全の確実性を高めるなど、コンプライアンス強化にもつながっているのです。

人事・売買・賃貸借をはじめとした、あらゆる契約書の電子化に対応しています。

さらに外部サービスとの連携により、導入や操作がスムーズで使いやすいことなどを理由に、国内大手企業の多くが利用しているのです。

サーチ系

法律実務における情報収集や判例調査は、専門性と信頼性の高さが求められることから検索が容易ではなく、多大な時間と労力を費やすのが通例となっていました。

しかし現在では法律専門書や論文といった紙媒体から、クラウド上へと検索方法も進化しつつあります。

人工知能の力を最大限に発揮し、法律に関するさまざまな資料の閲覧を可能にしているのは、サーチ系のリーガルテックサービスです。

膨大な情報の中から必要な文献や文章にたどり着くスピードを上げれば、効率アップを実現できます。

サーチ系サービスには法律書籍検索・判例検索・サイト、デューデリジェンス・翻訳といった機能をもつものがあります。

中には法律専門家が愛用するサービスもあるのです。

LEGAL LIBRARY(株式会社Legal Technology)

リサーチ業務の非効率性を改善するリーガルテックサービスが、株式会社Legal Technologyを運営会社とする「LEGAL LIBRARY」です。

書籍検索のサーチ系サービスとして、法律専門書や官公庁等が作成する各種資料を10万ページ以上データベース化しています。

まさに法律図書館と呼ぶに相応しいサービスです。

信頼性の高い法律書籍のみが掲載され、横断的な検索・閲覧を可能としています。

さらに使うほどにリサーチ効率が上がる便利機能も搭載されています。

ハイレベルな検索機能はもちろんですが、必要なページのクリップ保存や範囲指定もできるのです。

そして閲覧している書式やひな形などを、一瞬でWordに出力できるため手打ち作業は不要になります。

運営会社が設立されたのは2018年ですが、2021年5月10日時点ですでに3,000名を超える法律家が活用しているリーガルテックです。

審査・登録

会社設立時の法人登記や商標登録、著作権侵害の調査および削除申請などの手続きは、法律の知識がなければ自力で行うのは困難な作業です。

専門家に依頼するには、大きなコストがかかるという問題がありました。

しかしオンラインシステムの活用により、時間的金銭的コストをかけずに登録や、申請できるようになっています。

オンラインで、会社設立登記などの法人登記や商標登録、著作権侵害の調査・削除申請といった手続きも可能となったのです。

リーガルテックの中には、出願や登録申請など行政手続きの効率化をはかる審査・登録系のサービスがあります。

「登記」「知財」「商標」「ビザ」という、4つの領域でそれぞれの機能を発揮しているのです。

LegalScript(株式会社リーガルスクリプト)

株式会社リーガルスクリプトが提供する「LegalScript」は、入力した会社情報から、法人登記に必要な書類を自動で作成する登記支援サービスです。

LegalScriptは『「登記」をもっとシンプルに、もっとスマートに』を、コンセプトに開発されました。

その特徴は登記手続きの専門書類を、ガイドにしたがって簡単入力するだけでスピーディかつ、リーズナブルに作成できることです。

作成した書類は株式会社設立登記を除き、90日間変更可能で作成ミスを防げます。 さらにスマホやタブレットで、時間や場所を選ばずに書類作成を進められるため、ビジネスの加速化も期待できるでしょう。

役員変更や代表取締役の住所変更などあらゆる法人登記に対応し、利用社数は1,000社以上となっています。

紛争・訴訟

思わぬ事件やトラブルに巻き込まれ、訴訟など法的手段での解決をはかる場合、訴訟費用と活動資金が必要になります。

訴訟手数料をはじめ印紙代や切手代、裁判所に出廷するための旅費・交通費、さらに弁護士費用も加わるでしょう。

解決までの時間が長引けば長引くほど、多額の活動資金が要になります。

資金不足のため訴訟を取り下げる、もしくは勝訴の見込みはあっても、提訴そのものを諦めざるをえないケースも多々あるでしょう。

そこで登場したのは、資金不足や弁護士への依頼というハードルをクリアできるオンラインサービスです。

クラウドファンディングなどのオンラインサービスの登場により、訴訟へのハードルは低くなりました。

訴訟や揉め事の対処を効率化させ、提訴のサポートをするサービスは、訴訟大陸アメリカを発祥とするリーガルテックにとって得意分野といえます。

リーガルファンディング(一般社団法人リーガルファンディング)

最後にご紹介する「リーガルファンディング」は、日本初の訴訟特化型クラウドファンディングです。

2名の弁護士が理事を務める、一般社団法人リーガルファンディングが運営しています。

事件を担当する弁護士が窓口となりプロジェクトを立ち上げ、事件解決のための活動資金をインターネット上で集めることが、唯一の目的となるリーガルテックサービスです。

募金プロジェクトを立ち上げられるのは、身分証明済み、かつ弁護士のみです。

扱うのは審査委員会において公益性・合法性・妥当性、および実現性が認められたプロジェクトのみと高い信頼性を誇っています。

目の前の問題を解決するための行動が、やがては生きやすい社会をつくることにつながるという、メッセージ性が込められたリーガルテックです。

まとめ

リーガルテックは法的サービスの利便性を高めるために開発された、IT活用の製品・サービスをあらわします。

また煩雑な法律業務の効率化を実現する、最新技術として注目されています。

電子契約サービスをはじめ電子書籍検索・登記支援、訴訟特化型クラウドファンディングなどさまざまなサービスがあるのです。

それぞれコスト削減やリスク回避といった機能を発揮しています。

リーガルテックサービスを提供する運営会社の多くは、設立してから短い期間で急速に業績を伸ばした、リーガルテックベンチャーと呼ばれる企業です。

幹部には弁護士や法学部出身者が名を連ねています。

働き方改革に対する意識の高まりとともに、国内での市場規模は今後拡大が加速すると予測されております。

リーガルテックビジネスには、未知なる可能性が秘められているといえるでしょう。

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