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はじめに
就活ではESでも面接でも必ず自己PRを求められます。
それまでの人生で、相手に自分を売り込むような経験はしたことのない人のほうが大半ですから、いきなりでは頭の中も真っ白になってしまうでしょう。
評価してもらえるだけの実績やスキルがないと悩む就活生はとても多いですが、大事なのは書き方であって、実は題材はありふれたものでまったく構いません。
ここでは忍耐力やそれに類する人間性を相手企業の求める人材にマッチさせ、採用担当者に響く自己PRの作り方や注意点などを紹介します。
【自己PRで忍耐力をアピールするには】企業が評価する「忍耐力」とは
まず、忍耐力を魅力的なアピールポイントに仕立てるための施策を考えてみましょう。
特に、企業が「忍耐力」と聞いた時にどのように評価するかはとても重要です。
もちろん相手企業の求める人物像によっても異なりますが、「ただ耐え忍ぶだけの力」だと捉えられると、単に受け身の指示待ち人間だとネガティブな印象を与えかねません。
たとえば、ベンチャーなどを目指す場合、何も言われなくても自分から課題を見つけて自走できる力が求められるため、指示待ち人間は必要ないとあっさり切られてしまうおそれがあります。
とはいえ、自分の長所が忍耐力なら、やはりそれを強みにするのが一番です。
そのためには、忍耐力を言い換え、ほかの表現でより魅力的に忍耐力があることをアピールする戦略が必要となります。
忍耐力があることがベースになるとしても、言葉の表現によって相手の第一印象や人物像の捉え方は大きく変わります。
相手企業が求めている人物像を把握したうえで、そのイメージに近づける工夫を施すことが重要です。
忍耐力を別の言葉で言い換えた際の例
忍耐力を別の言葉に置き換えるのは、さほど難しいことではありません。
ただ、自分の忍耐力がどのようなもので、どのような時に発揮されるかちょっと考えてみましょう。
どんな時にどんなことができるから忍耐力があると言えるのか、自分の行動を振り返りながらほかの言葉を探してみてください。
たとえば、なんとなく始めたスポーツが想像以上に辛かったとします。
それでも耐えて続ければ、「継続力」になります。
なんらかのゴールまで耐えてやり遂げれば、「目標に向けて最後までやり抜く力」です。
うまくいかなくても耐えてチャレンジすれば、「困難な状況でもあきらめない粘り強さ」になるでしょう。
このように、単に忍耐力を忍耐力と言ってしまうのではなく、「耐える力+α」が伝わる表現にするのがテクニックです。
【自己PRで忍耐力をアピールするには】忍耐力をアピールする際の2つの注意点
忍耐力はとても大切な力であり強みではありますが、それをアピールするには2つの注意点があります。
性質上、なかなか具体的に相手に伝わりにくい部分があり、本人はしっかり表現したつもりでも真意が届かないおそれがあることを頭に入れておきましょう。
自己PRする時にどこに力を入れて強調すれば良いか知っておくことで、間違いなく相手に伝えられるアピールにすることができます。
それぞれの注意点を解説します。
どのくらい困難な状況かを人事がわかりやすくイメージできるように伝える
最も避けなければならないのは、相手と自分の間に温度差ができてしまわないようにすることです。
自分にとっては大変なことで、耐えられないことを必死で耐えた経験であっても、それがどのような状況なのか客観的に表現できていないとまったく伝わらない場合があります。
自己PRにはエピソードを盛り込んでアピールするのが基本中の基本ですが、その状況がどれほど困難なものか度合いがわからないと、人事にも響きにくい内容になってしまいます。
一番間違いがないのは、具体的な数字を用いて困難さをわかりやすく表現することです。
たとえば「10」という結果を得る時に、「0」からのスタートと「マイナス100」からのスタートでは困難さが段違いになることが理解できるでしょう。
すべてを数字で表現するのは難しいですが、なるべく客観的な物差しを見つける工夫が必要です。
状況を変えるために積極的に動いたことも忘れずに伝える
「忍耐」という言葉を聞いた時に、多くの人がどうしても「受け身」な印象を抱いてしまうことは理解しておく必要があります。
苦しくてもじっと動かず、ただただ黙って耐えるというのは確かに強さではあるものの、ビジネスシーンや業務において、いつでもそうして耐え忍ぶだけが良しとされるわけではありません。
耐えながらも状況を変えるために積極的に動くことができる人材こそ、あらゆる企業が求める魅力的な人物像となります。
耐えなければならないことは日々ありますが、耐えながらも状況を打破するためにどのような行動を取ったのか、それがわかるエピソードを盛り込むよう意識してください。
たとえば、陸上でタイムが伸びず選抜に漏れてしまう辛い状況に耐えながらも、フォーム改良と筋力トレーニングを何年も続けたという努力があって初めて、耐える力が魅力的な強みに変わります。
ちなみに、その結果選抜に選ばれなくても、選ばれたのに何の成績も残せなくても、そこはまったく関係ありません。
【自己PRで忍耐力をアピールするには】自己PRの書き方を紹介
自己PRの構成には一定のセオリーがありますので、それに沿って文章を構築すれば誰でも簡単に自己PR文が作れます。
もちろん、内容は自分の実体験でなければなりませんし、嘘偽りない自分の人となりを表現する必要があります。
まずは以下のフレームワークを理解しておきましょう。
フレームは全部で6つあります。
②発揮したエピソード
③課題
④解決策
⑤結果
⑥会社にどう貢献できるか
まず、ビジネス文書ですので結論から述べます。
ここでは質問に対する答えが結論になりますので、最初にアピールすべき自分の強みを述べてください。
次にその強みがどう発揮されたかわかるエピソードに移ります。
そもそも、自分にその強みがあると気付いたなんらかの出来事はあるはずですので、それを提示してください。
焦点がボケてしまわないように、エピソードは1つだけに絞ります。
エピソードの内容は3部構成になっており、③~⑤はエピソードの解説です。
課題と自分が起こした行動、その結果を述べた後、最後にその強みで相手企業にどう貢献するかを書いてまとめます。
【自己PRで忍耐力をアピールするには】3つの例文を紹介
それでは自己PRで忍耐力をアピールする例文を3つ紹介します。
ここで挙げる例文はあくまで構成に従った例ですので、これを参考に自分のエピソードに当てはめ、文章を構築してください。
また、ここでは忍耐力という直接的な言葉は使わない形で事例を挙げています。
相手企業が求める人物像として、「負けず嫌い」「目標に向かって頑張れる」といった人物像が提示されているような場合に、忍耐力をベースとした自己PRは有効に働くでしょう。
例文①
「私は、厳しいノルマでもプレッシャーに負けず、最後までやり遂げることができることです。
私は黙々と細かい手先の作業を継続することが得意なため、大学時代は手づくりアクセサリーを製作するアルバイトをしていました。
大学1年の時、そのアルバイトの依頼元が急に人員が辞めてしまったということで、突然通常の3倍もの量の製作が依頼されたことがありました。
私も当時講義やゼミが立て込んでいて対応が厳しい状況でしたが、依頼元が非常に困っていたため、なんとかして協力したいと考えたのです。
そこで学業に支障が出ない範囲でスケジュールを調整し、登校前の時間を使うため早朝に起床し、なんとか納品日に間に合わせることができました。
結果的に売上目標も達成できましたし、依頼元からも大変感謝されたため、アルバイトという立場に逃げず、きちんとやり遂げたことは大きな糧になりました。
企業に勤めてからも、常にこうしたイレギュラーな事態は発生すると考えます。
貴社に入社した折も、このように厳しい状況からも逃げることなく、強みを活かして業績に貢献したいと思っております。」
忍耐力を、イレギュラーな事態でも仕事を最後までやり遂げる力として表現しています。
厳しい状況が発生して通常より重いノルマが課せられても、プレッシャーに耐えて工夫し、きちんと対応できる能力が理解できる文章です。
例文②
「私はお客様を第一に考え、喜んでいただくためには困難な状況でも最善を尽くすことができます。
大学時代はショッピングモールの雑貨店でアルバイトをしておりましたが、ある時配布を予定していた販促品のパッケージに誤記があることがわかり、急遽訂正作業を行ったことがあります。
発覚したのは配布の前日で、サンプルの数は5,000個でした。
店頭に訂正文を掲示するという案も出ましたが、お客様一人ひとりのことを考えるとそれは最善ではありません。
そこで私は訂正ラベルを上から貼ることを提案し、採用されました。
私はモールでラベルシートを購入し、事務所のパソコンで訂正シールを作成して貼り付け作業に移ったのです。
通常業務と並行だったため困難を極めましたが、手の空いたスタッフも作業にあたり、その日のうちに完了させることができました。
当日、販促品を手に嬉しそうなお客様の笑顔を見て、困難な状況でも最善を尽くすことの大切さをあらためて実感しました。
御社はお客様ファーストを理念に掲げられ、常にきめ細かなサービスを実施しておられます。
御社の一員となり、この強みを発揮して貢献したいと考えております。」
忍耐力を、困難な状況で最善を尽くせる力としてアピールしています。
また、相手企業の求める人物像も把握し、顧客第一の姿勢も同時にアピールできるエピソードを選択しているのが良い点です。
単に耐えるだけでなく、自分から積極的に打開策を打ち出す行動も評価ポイントです。
例文③
「私には、うまく行かなくてもあきらめずに最後まで努力できる力があります。
中学・高校とバスケットボール部に所属しキャプテンを務めておりましたが、大学でも入部したところレベルがあまりに高く、一度もレギュラーに選ばれることがなくなってしまいました。
ショックで挫折しそうになりながらも気持ちを奮い立たせ、毎日の早朝練習と夜間のランニングを継続しましたが、結局大学の4年間でスターティングメンバーに選ばれることはありませんでした。
その代わり、独自の練習メニューで効果のあったものをチームで共有するなどしたことで、それまでなかった「トレーナー」という新しい役職に任命されたことは私の誇りです。
社会人になっても、自分が望む通りの結果が得られないことは多々あると考えます。
それでもこうした経験と自分の特性を活かし、何事もあきらめずに積極的に取り組むことで、組織の成長に貢献することができると考えています。」
忍耐力を、あきらめずに最後まで取り組む力として表現しています。
受け身ではなく、自分の積極的な努力で新しい地位を勝ち取った経験が語られていますので、企業においても十分活躍が期待できると評価できます。
まとめ
自己PRで忍耐力をアピールする場合は、単に受け身な人物像とネガティブに捉えられないよう、積極性を盛り込むことが重要です。
また忍耐という特性上、困難に置かれたことで忍耐力が発揮するエピソードが多くなりますが、その困難の具体性が初めて聞く第三者にもわかるように心がけましょう。
忍耐力をそのままの言葉ではなく、プラスαとして理解できる言葉に言い換えることで、より魅力度がアップします。
相手企業の求める人物像も踏まえたうえでアピールできれば、魅力的な自己PRになるでしょう。