ユニコーン企業ってどんな企業?ベンチャー企業と何が違う?定義や例を分かりやすく解説

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はじめに

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企業について情報を集めていると、「ユニコーン企業」という言葉を見かけることがあります。

ベンチャー企業に近いものだと知ってはいるものの、詳しいことは知らないという人も多いかもしれません。

ユニコーン企業は日本ではまだあまり多くないものの、今後の発展が予想され多くの期待を集めている企業形態です。

ユニコーン企業とはどんな企業のことなのか、具体的にどのような企業があるのか、日本におけるユニコーン企業の現状はどうなっているのかを順番に見ていきましょう。

【ベンチャーのなかでも期待を集めるユニコーン企業とは】ユニコーン企業とは

ユニコーン企業とは、特定の条件に当てはまる企業を指す用語としてビジネスの場で広く使われています。

その条件とは「企業が未上場であること」「創業から10年以内であること」「企業の評価額が10億ドル以上であること」の3つです。

これらの条件を満たしている企業は若い企業でありながら、高い業績をあげていると判断され、さらなる発展が期待できるほか、投資の対象としても重要な存在なのです。

起業する業界の性質上、多くのユニコーン企業はテクノロジーに関する事業を手掛けています。

しかし、これは必須条件ではなく、あくまで上記の3点からユニコーン企業かどうかが判断されます。

また、年数の経過や評価額の減少でもユニコーン企業の分類から外れる企業もあるのです。

それと同時に新しいユニコーン企業も誕生しているため、ユニコーン企業の総数は常に変動状態にあります。

また、ユニコーン企業から発展したものとして、企業評価額が100億ドルを超えたデカコーン企業、企業評価額が1,000億ドルを超えたヘクトコーン企業という用語も存在しています。

ベンチャー企業との違い

ベンチャー企業とは、新しい技術やアイデアを用いて、革新的なサービスを提供する成長途中の企業を指して使われることが多い用語で、明確な基準は存在しません。

ユニコーン企業もこの条件に当てはまるため、ユニコーン企業はベンチャー企業の分類の1つと考えていいでしょう。

若く未上場でありながら高い評価を受けているユニコーン企業は、ベンチャー企業として成功した形の1つです。

数あるベンチャー企業のなかでどこが有望なのかを判断する際は、ユニコーン企業かどうかに着目してみるのもおすすめです。

【ベンチャーのなかでも期待を集めるユニコーン企業とは】「ユニコーン」という名前の由来

ユニコーンとはギリシアやキリスト教圏の伝承に存在する、長い1本の角を持つ馬のような生物です。

その角には解毒作用を始めとする強い力が備わっており、出会うことも捕獲することも難しい生物として伝えられています。

ユニコーン企業は2013年にベンチャーキャピタリストのアイリーン・リーにより発案された用語です。

彼はベンチャー企業への資金提供やコンサルティングを行っており、「非上場」「創業10年以内」「評価額10億ドル」の3条件を満たすベンチャー企業が希少であることから神話生物のユニコーンになぞらえて命名しました。

実際、数多く起業されているベンチャー企業のなかで、ユニコーン企業の条件を満たすものはほんの一握りに留まっています。

なお、デカコーン企業は10倍の量を示す「deca」、ヘクトコーン企業は100倍の量を示す「hecto」とユニコーンを組み合わせた名前です。

これらはユニコーン企業のなかでも特に成功した企業なので、より希少性が高く出会うのは難しい存在といえるでしょう。

【ベンチャーのなかでも期待を集めるユニコーン企業とは】ユニコーン企業の例

ここからは希少なユニコーン企業の具体例を紹介していきましょう。

ユニコーン企業は若いベンチャー企業のなかに含まれる分類のため、起業文化や新興企業への投資が活発な地域ではより多く見られる企業形態です。

現在、アメリカでは約300社、中国では約150社など多くのユニコーン企業が存在しています。

一方、日本ではいまだユニコーン企業が少なく、その数は10社前後に留まると見られています。

海外と日本でどのような企業が急成長を果たしているのか見ていきましょう。

海外

まずは日本以外の国で創業したユニコーン企業を4つ紹介します。

海外では起業数そのものが多いアメリカの企業、急成長率が高い中国の企業がユニコーン企業の上位に多くランクインしているのです。

また、ヨーロッパや南米、インド、オーストラリアなどそのほかの地域でもさまざまなユニコーン企業が存在しており、それぞれが独自のサービスを提供して成長を続けています。

今回紹介する企業はすべてがユニコーン企業のトップ層であり、現在のユニコーン企業の情勢を知るうえでは重要な存在です。

Bytedance(バイトダンス)

「Bytedance」は中国の北京に存在する優れたAI技術をもつ企業です。

これまでにBytedanceは「TikTok」や「Toutiao」などの人気アプリを開発し、世に送り出しています。

その評価額は1,400億ドルにまで達し、現在世界で唯一のヘクトコーン企業です。

Stripe(ストライプ)

「Stripe」はアメリカのサンフランシスコに存在するフィンテック企業です。

フィンテックとはファイナンス(金融)とテクノロジー(技術)を組み合わせた造語であり、ユニコーン企業でも大きく成長している分野です。

Stripeは優れた決済処理ソフトウェアでシェアを伸ばし、評価額は950億ドルに上ります。

SpaceX(スペースエックス)

「SpaceX」はアメリカのホーソンに存在し宇宙事業を展開している企業です。

民間企業としてはじめて有人宇宙飛行を成功させた実績があり、ロケットや衛星通信技術の開発を行っています。

火星への移住実現を目的として設立されたSpaceXは現在評価額740億ドルのデカコーン企業です。

Instacart(インスタカート)

「Instacart」はアメリカのサンフランシスコに存在する物流企業です。

アプリを通して注文する食料の即日配達サービスを展開しており、消費者はさまざまな小売店から商品を選ぶことが可能です。

競合事業のない環境でシェアを大きく伸ばし、現在は390億ドルの評価を受けるまでに大きく成長しています。

日本

日本のユニコーン企業は世界に比べて多くはなく、10社前後が存在しています。

現在は少しずつ増加傾向にあると見られていますが、日本の経済規模を考えると依然として少ない状況が続いています。

日本のユニコーン企業を知ることで、どのような需要が拡大し、成長が期待できるのか知ることができるでしょう。

なお、メルカリのようにかつてユニコーン企業として分類されていたものの、上場によって分類から外れた企業も存在しています。

どの段階で上場し、どうやって企業価値を高めるかも会社にとって重用な判断なのです。

スマートニュース

「スマートニュース株式会社」は同名のニュースアプリを運営しているユニコーン企業です。

新聞など多数のメディアと提携し電波が通じない場所でもニュースを読める点が支持を集め、日本だけでなくアメリカでも多くの利用者が存在しています。

スマートニュースの評価額は1,916億円、1ドル110円換算で約17億ドルです。

Preferred Networks

「株式会社Preferred Networks」は機械学習の研究と実用化を行っている企業であり、深層学習フレームワークを用いてさまざまな組織と協業し、IoT分野で先進的な試みを進めています。

Preferred Networksの評価額は3,560億円(32億ドル)で日本のユニコーン企業ではトップクラスです。

Spiber

「Spider株式会社」は山形県に本社を置き、バイオ素材の開発を行っている企業です。

人工クモ糸「クモノス」や人工合成による構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン」の開発といった実績があります。

Spiderの評価額1,330円(12億ドル)は日本のバイオ系ユニコーン企業では最上位のものです。

SmartHR

「株式会社SmartHR」は「社会の非合理を、ハックする」という理念のもとに企業で活用されるサービスを開発している企業です。

現在は同名のSaas型クラウド人事労務ソフト、会議改善クラウドサービス、人材データベース運用サービスなどを提供しています。

SmartHRの評価額は1,731億円(15億ドル)です。

【ベンチャーのなかでも期待を集めるユニコーン企業とは】なぜ日本にユニコーン企業は少ないのか

ここまではユニコーン企業の概要と、海外と日本におけるユニコーン企業の具体例を紹介してきました。

上記で述べたとおり、日本におけるユニコーン企業の数はかなり少なく、その規模もアメリカや中国のユニコーン企業に比べると小規模なものに留まっています。

しかし日本の企業が、革新的なアイデアや優れた技術をもっていないというわけではありません。

日本のユニコーン企業が少ない背景には日本の制度やベンチャー企業に対する認識が大きく関わっています。

なぜ日本ではユニコーン企業が生まれづらいのかを確認してみましょう。

資金調達が難しい

起業して間もないベンチャー企業にとって、ベンチャーキャピタルから投資を受けることは資金調達において非常に重用です。

しかし、日本はアメリカや中国に比べるとベンチャーキャピタルの投資額が少なく、資金調達が難しくなっています。

そのため、大型の資金調達を行う際に株式上場を試みる企業が多く、ユニコーン企業の枠組みから外れてしまいます。

こういった状況のなかでユニコーン企業が生まれるためには、評価額が十分に上がるまで資金面を支えてくれる投資家の存在が重用です。

投資家に企業の将来性や成長戦略をアピールし、資金援助が受けられる体制を整える必要があるでしょう。

なお、日本政府が発表した「未来投資戦略2018」では、2023年までにユニコーン企業を20社創設するという目標のもとで、ベンチャー企業に対する支援が行われています。

起業が一般的でない

日本におけるユニコーン企業の少なさには、起業意識の差も影響しています。

アメリカや中国に比べ起業文化が一般的でない日本では、ユニコーン企業へと成長するベンチャーの起業自体が少ないのです。

日本は欧米諸国に比べ起業率や開業率が低く、起業に関して無関心な人の割合も高い状態が続いています。

大学を卒業したあとは、既存の会社に就職するのが一般的な日本は、起業のハードルが高い国といえるでしょう。

また、日本ではワークライフバランスの改善より安定性を求める傾向も強く、その場合は雇用主から独立して起業しようとする意識は低くなります。

ユニコーン企業を増やすためには、自己実現や社会貢献といった起業によるメリットの評価が低い状況を改善し、起業に対して肯定的な社会を作っていく必要があるでしょう。

まとめ

ユニコーン企業とは「非上場」「創業10年以内」「評価額10億ドル以上」の条件に当てはまる、若く有望なベンチャー企業のことです。

それぞれが独自技術や革新的なアイデアを用いて社会に新たな製品やサービスを提供しており、今後も社会において重用な存在となるでしょう。

日本は海外に比べてユニコーン企業の数が少なく、それにはベンチャー企業の資金調達の難しさや起業に対するハードルの高さが影響しています。

一方で現在は、政府によるユニコーン企業の促進政策も進行しているため、今後の動向が楽しみな企業形態といえるでしょう。

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