はじめに
新卒採用で使用されるESにて、ガクチカが300字と指定されることは珍しくありません。
普段作成しているレポートの文字数に比べて少ないようですが、概要のみを簡単に書くと意外と枠が埋まらないものです。
かといって、細かいことを書き始めるとすぐに上限を超えてしまい、指定の文字数に収まらなくなります。
300字の制限を守りつつ、企業担当者の目を引くガクチカを書くのは案外難しく、作成にあたってコツが欠かせません。
今回は、300字の枠をできるだけ余らせずに魅力的なガクチカを書くコツや構成などを紹介します。
ガクチカとは
まず300字のガクチカの書き方の前に、そもそもガクチカとは何かを説明します。
ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」の略称です。
就活においてガクチカは履歴書やES、面接でも聞かれるような重要な項目です。
この学生時代に力を入れたこと、というのは、主に大学生の取り組みのことを指しているので、大学のエピソードを伝えるようにしましょう。
ガクチカと自己PRの違い
よく学生がわからなくなるのが、ガクチカと自己PRの違いです。
自己PRもガクチカ同様に重要な項目のため、違いがわからなくなったり、内容が被ってしまう人もいるかもしれません。
ガクチカは「取り組み」を中心に伝えることに対して、自己PRはあなたの「性格・強み」を伝える内容です。
別の質問項目なので、できればそれぞれ別のエピソードから伝えることができると、まんべんなくあなたの強みを面接官に伝えることができるでしょう。
300字のガクチカを求められる理由
それではここから、ガクチカを300文字で書くことについて説明をしていきます。
まずはそもそも300字で求められる理由をおさえましょう。
ガクチカを300字で聞く理由としては、300字で大方の取り組みを知ることができるからです。
字数制限に関しては企業によって様々ですが、300字前後は基本的な文字数です。
わかりやすく伝える力があるかどうか、その内容で目をひくものがあるかどうか、取り組み方が自社と合っているかどうかを判断しています。
このあとに実際に書き方のコツを説明していきます。
300字のガクチカを書く際の3つのコツ
300字のガクチカを書くにあたり、まずは押さえたい基本的なコツが3つあります。
どれもそれほど難しいものではないものの、ガクチカの作成にあたっては効果的です。
強く意識すると、学生時代の経験や活動が具体的に相手へと伝わりやすく、作成された文章を読む企業の担当者からも高評価を得やすいです。
コツを知らずに書いた時よりも質の良い文が早く書け、就職活動にも力を入れやすくなるでしょう。
具体的にどのような対応を取れば良いのか、以下で順に紹介していきます。
①文章全体の密度と情報量を増やす
採用担当者の心を掴む魅力的なガクチカには、相応の情報量が欠かせません。
回りくどい表現を用いたり、同じことを何度も繰り返したりして字数を埋めても、評価は高まらないのです。
それゆえに、中身のある話をしっかりまとめたいところですが、字数は300字と決まっているため、あれもこれもと情報を追加する書き方では枠に収まりません。
すっきりとしていながらも採用担当者の目に留まりやすいガクチカを書くには、情報密度への意識も欠かせないのです。
できるだけ端的に伝えることを意識し、限られた枠の中での情報密度を高めてください。
たとえば、単語はできるだけ漢字に置き換える、話の順番や表現を工夫するなどの方法が役立ちます。
「だ・である調」とよく言われる常体を用いるのも、字数短縮につながり情報密度が高まるのでおすすめです。
まず多めに書いて後から削っていく
情報密度の高い文章をいきなり書くのは難しいものであり、一度多めに書いて後から削るほうが書きやすいです。
300字のガクチカでは、最低でも350~370文字を目安に書いてみるのがおすすめです。
もちろんそれ以上に書いてみても構いません。
そのうえで、表現を工夫して短くする、不要な箇所は削るなどすると、良い文章が効率良く書けます。
この作業を繰り返すと、文章がより短く洗練されて情報の密度が自然と高まり、すっきりとしていながらも中身の濃いPR文が仕上がるのです。
なお、多めに書いた文をブラッシュアップする際、自分でも意味がわかりにくい箇所があればあわせて修正してください。
自分でも読みにくい文章は他人からすると一層わかりにくく、ストレスに感じるものです。
誤字脱字の確認などもあわせてできるので、ガクチカは一度多めに書いてから削る方式でぜひ作成してみてください。
わかりやすい表現を用いる
ガクチカをうまく作るためにはわかりやすい表現を用いることも重要であり、専門用語などの使用は避けたほうが良いです。
この点に気を付けたいのは、踏み込んだ話をするには300字の枠は少ないからです。
情報密度の高さをあわせて意識していると専門用語は便利であり、積極的に使いたくなるところでしょう。
しかし、どれほど中身のある話がすっきりとまとめられていても、ガクチカを読む相手が理解できないのでは元も子もありません。
一般的に理解できないような表現では印象があまり良くなく、書類審査で落とされるリスクもあります。
情報密度を上げることは大切ですが、一般の方が理解できる表現を選ぶことも同じく重要です。
ほかの人でも意味がわかりやすい文章かどうか自信がない時は、選んだテーマにあまり詳しくない人に一度読んでもらうと良いでしょう。
②結論ファーストで書く
ガクチカを書くにあたり、最も伝えたいことは冒頭に持ってきてください。
細かいことは冒頭の結論の後、順に述べていくと良いです。
文字数が300字と限られているため、言いたいことは冒頭に持ってきたほうが伝わりやすいからです。
起承転結にならって結論を最後に持ってくると、字数が足りなくなって尻切れトンボになりやすく、最も主張したい内容がいまひとつ相手に伝わりません。
それでは、どうしても高評価は得られにくいので、結論を出だしにおくことは強く意識しておきましょう。
なお、結論先行で話を組み立てるのは、ビジネスでは基本とされます。
ESを読む採用担当者からも結論は冒頭にあることが期待されやすく、最も伝えたい主張がどこにあるのかわかりにくいと、その時点で読むのを止められるおそれもあるのです。
その対策としても、結論から書くのが有効です。
③定量的な表現を盛り込む
ガクチカの中で伝えたい自身の取り組みや成果などは、できるだけ数値化してください。
限られた文字時数の中で端的かつ具体的に何かを伝えるには、数値化が有効だからです。
たとえば、「勉強に力を入れた」とだけ書くよりは、「1日5時間の自習を毎日続けた」と書いたほうが具体性や説得力が増します。
ESを読む担当者が相手の姿や行動を頭の中でイメージしやすくなり、印象に残る確率が上がります。
数値化して伝えるのは大事なコツなので、これまで意識していなかった方は当時の取り組みなどを振り返ってみてください。
数値目標を当時設けていなくとも、改めて振り返ると数値化できるポイントは見つかるものです。
PRに使えそうな基準や具体的な数値が思い浮かべば、積極的に活用してみてください。
300字のガクチカを書く時のベンチャー企業ウケする構成
担当者から高評価を得やすいガクチカを書くには、構成も重要です。
「結論→動機→目標・課題→施策→結果」が一般的なテンプレートなので、ぜひ活用してください。
先述した通り、結論は最初に持ってきて、そこから自身の取り組みに関する動機へと入ります。
目標・課題とは、自身の取り組みの中で設定した目標や当時の課題などです。
その目標や課題に向けて、具体的に何をしていたのかが施策にあたります。
最後に結果を書き、字数に余裕があれば施策の背景や学びも盛り込むと良いです。
この構成がおすすめなのは、端的でわかりやすく、それでいて学生の考え方や行動などをもれなく記載できるからです。
構成を意識せずに思いつくままに書くと話が飛び飛びになったり、抜け漏れが出たりして、何の話なのかがうまく伝わりません。
先の構成は優秀なテンプレートなので、ぜひ活用してください。
300字のガクチカの例文を紹介
ガクチカをうまく書くためには例文を見てみることも大切です。
学生がよく経験していることを、上記のコツや構文を踏まえてまとめるとどうなるのか、良い参考になります。
ここで紹介する例文のテーマは、サッカーサークル、家庭教師、ゼミの3つです。
サッカーサークルの例文の内容は、チームをまとめて地区優勝を果たしたものです。
同様の経験があり、ぜひガクチカに使いたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
家庭教師の例文はアルバイトに精を出したといったテーマであり、内容は担当していた高校生の成績改善です。
家庭教師もまた大学生にとっては定番のアルバイトであり、ガクチカへの活かし方は参考になることでしょう。
最後のゼミの例文は、研究活動に力を入れてゼミ内の主席になれたといった内容がまとめられています。
勉学は学生の本業であり、サークル活動やアルバイトと並んで選びやすいテーマです。
多くの大学生が経験している以上のようなテーマをガクチカにまとめるとどうなるのか、以下に例文を載せているのでぜひご覧ください。
例文①
私はサッカーサークルの活動に力を入れ、主将としてチームを地区大会優勝へと導きました。
優勝を目指そうと決意したのは、スポーツをしているものとして結果を残したいとの想いがやはりあったからです。
しかし、実際に優勝を目指すには、チームの改革は避けられませんでした。
当時は優勝を目指すほどの意欲的なチームではなく、遊び半分の部員もいました。
そこで私は本気で優勝を目指したいこと、そのために毎日最低でも4時間は練習したいことを32人の部員全員に1人ずつ伝えて回ったのです。
結果、サークルを辞めたメンバーが4人ほど出たものの、残りの28人からは賛同をもらい、チームを1つにまとめて地区優勝を勝ち取れました。
以上の経験から、私はチームワークにおいては全員の意思を事前にしっかりまとめることが大切だと学びました。
例文②
私は家庭教師に力を入れ、担当していた高校生のテストの点を40点台から90点台に改善できました。
家庭教師に力を入れたのは、私自身も高校時代に苦手な科目の勉強で苦労した経験があり、担当していた子の悩みや苦しみに共感したからです。
担当していた子はまじめで90分の授業も一生懸命に聞いていましたが、テストの点は40点台から変化はありませんでした。
そこで、私は中学レベルの数学力に問題があるのではと考え、中学1~3年用のテストを受けてもらったのです。
結果、中学2年の内容から躓いていたことが判明し、以来90分の授業のうち45分を中学の数学のおさらいに充てることで、点数が次第に改善されていきました。
この経験から、何か問題が起きている時は原因をまず特定することが大切だと私は学びました。
例文③
私は海外における食文化を研究するゼミに力を入れ、ゼミ内で主席になりました。
このゼミに注力したのは、私の興味と重なる分野だったからです。
それゆえに、当初はさまざまなテーマに関心が向き、ゼミメンバーの研究も手助けしていた結果、自身の研究があまり進みませんでした。
教授からの注意や友人からの助言もあり、以後、私は優先順位を間違えないように意識しました。
具体的には、平日は20~22時の2時間、土日は9~15時の6時間と、自身の研究のみに集中する時間を決めたのです。
結果、元から興味のある分野だったこともあって自身の研究が効率よく進み、最終的には主席にまでなれました。
この経験から、どれほど興味のある内容でも優先順位をつけて効率良く行動しないと結果は伴わないものだと学びました。
まとめ
以上、300字といった制限の中で魅力的なガクチカを書くコツや構成について紹介してきました。
書くことがいくらでもある方にとっても、あまり内容が浮かばない方にとっても、300字の制限は何かと悩ましいものです。
多すぎず、少なすぎもしない文字数であり、ガクチカの枠として設定されることはよくあります。
それゆえに、300字のガクチカを一度書けるようになるとほかの企業に応募する時にもよく役立ちます。
情報密度を高める、結論から書くなど、それぞれの内容はそれほど難しくないので、就職活動にあたってぜひマスターしてください。
最後に、他のガクチカ例文や文字数の違いについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。