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はじめに
企業の採用選考において、あなたの魅力や長所を伝えるために重要となるのが自己PRです。
エントリーシートや履歴書、面接においては、既定の文字数や時間に収まるボリュームでアピールすることを求められます。
要求される文量は企業によってさまざまですが、ベンチャー企業や外資系企業などでは、500字以内という長めの指定で自己PRを作成する場合があるようです。
当記事では長めの文章を書く際に気をつけることや、ベンチャー受けする自己PRの書き方について、詳しく解説します。
【ベンチャーウケする500字の自己PRを作るには】500字の自己PRを書く際の3つのコツ
500字以内で自己PRを書く場合、ポイントとなるのは2、3文で収まらないボリュームだという点です。
シンプルにまとめようとすると文字数が不足する一方で、事細かに記述しようとすると足りなくなります。
そのため、うまくまとめるのに苦労することもあるでしょう。
文字数以内に収めつつ、相手にわかりやすい文章を書くコツとしては、「アピールする強みを1つに絞る」「1文を簡潔にする」「まず多めに書いてから削る」の3つがあげられます。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
アピールする強みは1つに絞る
文字数が多いということで、アピールポイントを複数取り上げてボリュームを補おうと考える応募者もいますが、これはあまり良いやり方ではありません。
複数の強みを1つの自己PRで扱ってしまうと、採用担当者の視点では、どの強みが一番アピールしたいものなのかわかりにくくなってしまいます。
また、1つ目の長所を説明する文章に混ざるような形で、ほかの長所についての話が入ってきてしまうと、「順序立てて説明する能力がない応募者だ」と見なされ、評価を下げられてしまう要因にもなります。
たとえ文字数に余裕があっても、自己PRで取り扱うアピールは採用担当者に一番見てほしい強みのみに絞り、1つのことを説明した方が良いでしょう。
一文は簡潔に短くする
字数の制限が多い場合、内容を詳しく説明しようと考えるあまり、一文の文字数を長くしてしまう場合があります。
アピールするうえで細かく具体的な説明を盛り込むと、採用担当者にイメージをもってもらいやすくなります。
しかし句読点で適度に区切られていない長文が連続する文章は、読み手から見て判読がしづらくなり、全体の構成をつかみにくくなるため、あまり良いものとはいえません。
特にエピソードをふまえて話を広げる場合は、一連の行動が1つの文の中に並べられていると、逆に何があったのかわからなくなってしまいます。
言いたいことすべてを一文に収めようとせず、内容を簡潔に区切りながら、全体を見通しやすい文章となるよう調整しましょう。
まず多めに書いてあとから削る
文字数の多い文章を書く場合は、短めの文章に対して内容を追加していくよりも、まず多めに文章をまとめてから不要な個所を削っていく方が効果的です。
最初から言葉や内容を絞ってしまうと、そこに矛盾なく話を盛りつけていくことは難しくなります。
逆に具体的な内容を含めて文字数が多めの文章を書くと、その中で説明が不要な個所や、言い回しが回りくどい個所など、削れる部分を見つけやすくなります。
500字制限の場合であれば、最初に550字程度を目安の文字数として自己PRを書き、その内容をチェックしてみましょう。
優先して説明する必要のある項目に照準を合わせたり、遠回しになっている表現を改めたりすることで、制限範囲内まで文字数を削ることができます。
【ベンチャーウケする500字の自己PRを作るには】500字で自己PRを書く際のおすすめの構成
500字で自己PRを書く際に参考にしたいのが、内容を6段階に分割した段落構成です。
最初に自分の強みが何かを明確に示し、それが発揮できたエピソードと結果を順序立てて説明することで、採用担当者に伝わりやすい文章を書き上げられます。
各項目について、詳しく見ていきましょう。
強み
まず始めに、あなたのアピールしたい強みを簡潔に示しましょう。
最初に自己PRの結論を述べることで、採用担当者には「応募者が自己PRで何をアピールしようとしているのか」が一目でわかるようになります。
「私の強みは〇〇です」「私の長所は〇〇であることです」というように、長々と修飾や補足をつけずシンプルに書くと良いでしょう。
また、根拠やエピソードについては、この段落の時点では触れません。
あなた自身の魅力を明確に言い切りましょう。
発揮されたエピソードの概要
最初に述べた強みについて、具体的にどういったエピソードを通して発揮されたのかを示すのが、2番目の段落です。
「その強みは、〜した経験で発揮されました」というように、シンプルな文体で何があったのか書きましょう。
エピソードの概要としては、部活動で全国大会優勝を目指したことや、サークルで〇〇名の新入生獲得を目指したことなど、強みと直接結びつくできごとを書きましょう。
必ずしも学校内での経験のみに限定されるわけではありませんが、企業にアピールする内容として違和感のないものを選んだ方が良いです。
また、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)と違い、エピソードがメインとなる文章ではないので、内容は簡潔にまとめましょう。
課題・目標
先の段落で述べたエピソードについて、どのような課題や目標があったのかを書きましょう。
「そこには〜という課題がありました」「○○を目標に取り組みました」というように、自身の取り組む対象となったものを具体的に示す書き方がおすすめです。
課題にあげるものとして、「勝つ」「点数を取る」といったものを選ぶ方も時折いますが、これだけではどの程度の水準や基準を掲げて取り組んだのかが伝わりません。
試合や大会での勝利についてであれば、優勝や全国大会出場といった、具体的なゴールがあったことを示した方が良いでしょう。
また、研究における目標を示す場合には、数字や指標などを用いて、その状況が相手にわかりやすく伝わるような表現を意識しましょう。
行動
課題や目標に対して、あなたが取り組んだことを書く段落です。
時系列に沿った書き方で、順序立てて取り組みの過程を書きましょう。
200字や300字の自己PRでは文量が限られるため、かなり簡潔な内容となる項目です。
500字制限の場合は文字数に比較的余裕があるので、その行動をとった理由や取り組みの工夫について付け加えると良いでしょう。
どうしてその行動をとったのか補足できると、採用担当者に対してより論理的なアピールとなります。
また取り組みの一発目でうまくいかず、修正や改善を重ねて目標に近づけたエピソードを扱う場合には、途中の問題点と解決に用いた手段を簡潔に加えておくと、取り組んだことの具体性が増します。
結果
行動をふまえて「結果として〜を達成できました」というように、強みを発揮することで課題や目標を達成したというエピソードの結びを置きます。
繰り返しますが、自己PRのエピソードはガクチカではありません。
「結果として目標を達成できなかったが、頑張れた」という終わり方は避けましょう。
なんらかの成果や目標達成があったエピソードを前提として選んで書きましょう。
また、行動の内容に対して妥当性のある結果であるかどうかはとても重要です。
あまりにも飛躍した規模での成功や数値達成は、「嘘を言っているのではないか」と違和感をもたれる原因となってしまいます。
実際のエピソードとして経験し、達成した結果の通りに書きましょう。
仕事にどう活かすか
最後に、自分の強みを企業人や社会人としてどう活かしていくのかアピールし、全体の結論とします。
「この強みを、貴社の〜で活かしていきたいです」というように、一文または二文程度でまとめると良いでしょう。
志望先企業のどの仕事や分野でその強みが活かせるのかを示すことで、企業理解の深さのアピールにつなげられます。
この会社に入った場合、自分はどの部署でどのように働いているのかということをイメージしながら書きましょう。
【ベンチャーウケする500字の自己PRを作るには】500字の自己PRの例文3選
ここまで、自己PRを書くにあたって押さえるべきポイントや書き方のコツについて解説しました。
それでは、具体的にどのような文章を書けば、採用選考で魅力的だと受け取ってもらえるのでしょうか。
ベンチャー企業の場合、新しい企画や製品をみんなで0から手掛けていくのがメインとなります。
そのため、採用選考においてはチームを引っ張っていく「リーダーシップ」、根気強く取り組む「継続力」、メンバーとの連携を円滑に進め、プロジェクトを着実に進めていく「調整力」などで評価される傾向にあります。
これらについて、自己PRの例文を用意してみましたので、参考にしてください。
例文①
その強みは、サッカー部の主将として、関東地区大会の準決勝勝利を果たした経験で発揮されました。
私が部の主将を引き継ぐ前年まで、我が校のサッカー部では準々決勝の突破が長らく目標となっていました。
その壁となっていたのは、試合で萎縮し、思うようにフィールドを動けなくなってしまう臆病さです。
私は、チームメンバーが相手を怖がってしまう原因について、聞き取り調査をすることにしました。
そして、原因が対戦形式での練習経験の少なさから来る「相手の動きを想定できないという不安」にあることがわかったのです。
そこで、サッカー部の監督やコーチと相談し、練習メニューを対戦形式中心に変更するとともに、ブリーフィングを重ねて対策や連携についての認識を共有していきました。
同時に主将としてどう指示を出すかを常に考え、それをチームメンバーに納得してもらうことを心がけ対話し続けました。
結果として、我が校は準決勝を突破し、決勝の舞台に立つことができたのです。
私はこの強みを活かし、貴社の開発プロジェクトにおいてもチームを先導するリーダーシップを発揮していきたいと思います。
例文②
この強みを、学生時代に携わっていた倒立振子ロボットの開発研究で発揮しました。
私の所属する研究室では、数年前から二輪タイプの倒立振子ロボットの開発に取り組んでいます。
これまでの研究では、倒立を維持するのに必要な前後の移動距離が約0.5mと大きいものでした。
そのため、これを0.1m以内にして、ほぼ一ケ所で留まれるように改良する必要があったのです。
私はこの研究において、ロボットの移動と振子の安定を制御するプログラムの改良を担当していました。
これまで使っていたパラメータ式では、振子の傾きに対して、車輪が多く動いてしまう傾向にあったのです。
私は、動きのパラメータと実際の挙動とのずれを緩和するため、各パラメータに設定された補正値の調整とテスト走行を、連日にわたって行うことにしました。
そして、延べ200回以上の試行と調整を繰り返した結果、ロボットを目標以内の移動距離に制御できるようになったのです。
私はこの粘り強い継続力を貴社の開発部門でも活かし、困難なシステムアプリケーションの開発作業においても、モチベーションを継続し、精力的に業務へ取り組んでいきます。
例文③
その強みは、オンライン学生祭の実行委員会における活動で発揮されました。
オンライン学生祭の開催は、今年で2回目です。
そのため、実験的なイベントとなった前回よりも本格的に「お祭りらしさ」を感じられる内容とすることが課題でした。
私は実行委員会の会長として、計画会議の段階からメンバーのアイデアを積極的に拾い、話し合う空気作りに取り組みました。
特に意識していたのは、一方の言い分に迎合するのではなく、長所も短所も指摘したうえで選択したり、ほかの案と織り交ぜたりすることで両者の希望を満足することです。
たとえば、バンドでの音楽ライブを行いたいという意見に対しては、演奏参加者の感染対策や配信時間上の都合について、意見を交換しました。
結果、体育館での仕切り板設置や、事前のウイルス検査証明を実施する前提で、音楽ライブの配信枠を設けることができました。
最終的に、多くの学生の意見を取り入れる形で、学生祭を大いに盛り上げられたのです。
私はこの強みを貴社の企画部で活かし、プロジェクトにおいて社員各々の意見を大事にした企画策定を行っていきたいです。
まとめ
当記事ではベンチャーウケする自己PRについて、500字以内で書く場合のポイントや文章を構成するコツについて解説しました。
ベンチャー企業で独自に求められる強みや長所について、具体例をあげながらアピールするというのは、なかなか難しい印象があるかと思います。
しかし、書き方のコツを身につけていれば、理論立てて説明することはそこまで難しくありません。
また、ベンチャー以外の企業と異なる、何か特殊なエピソードを求められているわけでもありません。
落ち着いて自己PRに取り組み、採用選考に挑んでいきましょう。