はじめに
就活における大手企業至上主義の時代から、学生のキャリアプランも多様化し、ベンチャー希望を志望する者も増えました。
ベンチャー企業は未開拓の分野に挑戦する、個人の裁量に任せられる業務が多い、などやりがいを求める学生とマッチするでしょう。
ベンチャー企業の面接について話していきましょう。
【新卒採用の面接対策】ベンチャー企業の面接の特徴
固定観念にとらわれず、就業規則や服装規定なども独自のカラーを見せるケースの多いベンチャー企業ですが、面接においても同様であり、大手企業の新卒の採用形式とは大きく異なります。
そのために、一般的な就活の集団面接や1対1の面接の自己PRや、志望理由について語るスタイルを想像して準備して面接に臨んでしまうと、戸惑って本領を発揮できないかもしれません。
ベンチャー企業に見受けられる面接の特徴を3つピックアップしたのでご覧ください。
カジュアルな面談形式が多い
ベンチャー企業は大手企業よりも、ラフな面談形式を取る場合が多く見受けられます。
また一次面接から、グループ面接よりも1対1の個別形式を採用し、質疑応答ではなく対話形式で進行する場合が多いのも特徴です。
また、面接の場所も社内の面接室ではなく、カフェやレストランなどリラックスした場所を指定されるケースが多く見受けられます。
しかし、ラフでカジュアルな雰囲気だからといって、友人と対話するかのように砕けていいわけではありません。
あくまで採用面接の場なのですから、最低限のビジネス的会話やマナーは必要です。
「リラックスしてください」と言われても、手は膝に置き、足は組まず相手の目を見て、程よい緊張感をもって面接に臨んでください。
服装について
面接の服装もリクルートスーツの一択ではありません。
多くの場合「自由な服装でお越しください」の一文があり、私服自由または選択できる場合が多いのも特徴の1つです。
しかし、自由だからといって、ジーンズにTシャツなどのビジネスに適さない服装はマナー違反でしょう。
どのような服装が適しているか判断しかねる場合は、リクルートスーツで臨めば礼節に欠ける心配もなく無難です。
もちろん、スーツでなく私服でも問題ありませんが、TPOをわきまえ社会人として恥ずかしくないような、最低限の清潔感・身だしなみは必要です。
オフィスカジュアルとしてきれい目で落ち着いたカラーの服を選び、衣類のシワを伸ばし、靴は磨き、糸のほつれが出ていないかなども確認してください。
小粋にジャケットやシャツを着こなしていれば、センスがあると一目置かれるかもしれません。
人間性を見られている
ベンチャー企業の面接では、何よりも人間性を重視しています。
ベンチャー企業は人数も少なく、人間性を重視しなければ、社内に歪みが生まれてしまう可能性もあるからです。
また、資金も大手企業ほど潤沢でなく、一人前にするためのコストの負担も高いため、早期離職されては企業にとっての損失が非常に大きくなります。
そのため、採用担当者は保有資格やスキルよりも、長期にわたり良好な関係が築ける人間性を重視して、面接を進行するケースが多いのです。
そのなかで生い立ちや学生時代について深掘りをされますが、何よりも第一印象がキーポイントとなります。
しゃべる内容だけではなく、姿勢や表情や声のトーン、喋り方などにも気を配り「一緒に働きたい」と思われるような明るい印象を与えましょう。
【新卒採用の面接対策】ベンチャー企業が面接で見ているポイント・求めている人
このようにベンチャー企業の面接は、服装から面接の形式や質問内容まで、一般的な就活の面接とは大きく異なるため、独自の対策が必要になります。
ベンチャー企業は個々の企業のカラーが色濃く出ます。
しかし、新卒に求める人物像はどのような企業でもある程度一貫性があるのも特徴です。
日々成長に向けて躍進を続けるベンチャー企業が、どのような学生を欲していて、面接でどこをチェックして判断しようとしているのかを3つに分けてまとめました。
成長の定義・チャレンジ精神
採用担当者は、学生にとって成長がどのようなものか、またチャレンジ精神をもっているかを面接で判断しようと思っています。
ベンチャー企業は、新しいサービスや商品の開発に挑むために、日々挑戦を続ける成長志向の業界です。
困難な壁に直面しても、打破しようと試行錯誤できるタフな精神と、試行錯誤する臨機応変さを求められるのです。
成長しようという意欲のない学生は、企業のスピード感についていけないと判断され採用されないでしょう。
そのため、就活生にとっての成長の定義や将来像、事業に関してのチャレンジ意欲などは特に重要視して見られていると意識してください。
自己成長や課題を解決するためなら、どんな努力も惜しまない学生は好意的に見られるでしょう。
自発的に動けるか・働く意欲
課題に対して自発的に動けるか、働きたいというモチベーションがあるかも重要視される項目です。
ベンチャー企業では大手企業のように、与えられたポジションで決まった業務をこなしていくというスタイルではありません。
社員1人の裁量が多く、マニュアルがなくとも自ら考えながら仕事を進め、周りを巻き込んでいくマルチプレイヤーとしての能力が期待されます。
また、ときには自ら動いて、新しい案件を取りにいくケースも珍しくありません。
このようにハードワークでも成長のためにバリバリ働くことをいとわない、熱意をもって現場の士気をあげてくれる人材が欲しいのです。
そのために、主体性をもって自発的に動ける人材か、仕事に対する意欲、積極性があるかの判断をポイントとして面接の対談は進行します。
【新卒採用の面接対策】どんなことを聞かれるか?
このように、ベンチャー企業では成長への意欲やチャレンジ精神のある、能動的に物事に取り組める学生を求める傾向があります。
決められたことをコツコツできる人材よりは「まずはやってみよう」と、どんどん道を切り開けるような前向きな人間性が重視されるのです。
成長について
ベンチャー企業では、とにかく成長性を重要視されます。
自分の成長についての意欲、企業の成長に対してどう貢献するかなど、成長に関する質問をされるケースが非常に多く見受けられます。
そのため、自分の中の「成長の定義」は明確にしておく必要があるのです。
仕事で成果を出すこと・後輩に教えられるようになること。自分の仕事のスタイルを確立することなど、何をもって成長とするかは人それぞれであり、自由です。
正直、どの学生も単純に「成長」という言葉で志望動機や自己PRを語るため、パターン化した成長のエピソードを面接官も聞き飽きてしまっています。
自分の言葉で論理的に成長の定義を語れるようにしておけば、ほかの就活生と差別化をはかれるでしょう。
自分の過去の頑張り
人間性を重視するベンチャー企業では、学生の過去の頑張ったエピソードを聞く傾向があります。
過去に頑張ってきたことや今も頑張っていること、また挫折した体験があれば書き出してください。
そして、そこからどう成長したか・何を学んだかなどを深掘りして聞かれるため、整理しておくと良いでしょう。
なぜなら、困難を乗り越えようとする姿勢やトラブルや壁に当たったときの対処法から、仕事に真摯に向き合えるか、ハードワークが続いてもモチベーションが保てるかを読み取ろうとしているのです。
また、継続して物事に取り組めるということは、飽きずにやりがいや目標を立て続け物事に取り組めるということなので、好印象を与えます。
アピールできるエピソードを2・3個用意しておきましょう。
逆質問
面接の最後に「何か聞きたいことはありますか?」と面接官から逆に質問されるケースも多く見受けられます。
この場合、当然のことながら質問はなんでも良いわけではありません。
面接官は論理的思考やコミュニケーション能力などをはかろうとして、逆質問を投げかけているのです。
そのため、論理的に考えられた意図のある質問をすると良いでしょう。
また、その際に「特に質問はありません」と回答すると、熱意に欠ける印象を与えるので注意してください。
逆に、企業や業界を研究したうえでの深い質問をすれば、志望度が高いと好印象を与えます。
逆質問は、学生にとって自由に自分がどのような思考か、どれほど志望度が高いかを自由にアピールできるチャンスです。
無駄にしないように、質問をいくつか用意して面接に臨みましょう。
逆質問の例
逆質問は自分なりの考えを交えて質問をすると好印象になることが多いです。
例えば、「自分は○○と思っていますが、実際現場で働いている方はどう考えているのでしょうか」といったように質問すると良い印象となるかもしれません。
さらに具体的な例だと、「自分は入社後、○○の業務に携わりたいと考えています。○○の業務に関わる社員はどのような点に注目して、選定していますか。」といったように、人事の方が答えやすいような質問を意識しましょう。
また、面接内で話した内容の深堀をした質問をすることも効果的です。
【新卒採用の面接対策】よくある質問例
ベンチャー企業はこのように、成長についての意識や困難を乗り越えるモチベーションの高さを問いかける傾向があります。
具体的に、どのような質問が用意されるのでしょうか。
定番の質問を4つ具体例としてあげるので参考にしてください。
なぜこの企業なのか?
「どうしてこの企業を志望したのか?」はよく聞かれる質問です。
この質問に対して企業研究をおこたって回答すると、当たり障りない無難な受け答えとなり、熱意に欠けるととらえられるおそれがあります。
同業他社との差別化や、企業の近年力を入れている分野などをホームページだけでなく、業界全体の勉強をしなければ、印象に残る回答はできません。
企業についてきちんと理解したうえで熱意や明確な理由を含み回答して、志望度の高さをアピールしましょう。
学生時代に頑張ったことは何か?
学生時代に頑張ったこと、いわゆるガクチカについての質問は、学生のリアルな人間性を知るために面接で多用されます。
物事に取り組む過程から、仕事に対する姿勢を読み取ろうとしているのです。
また、企業自体が成長途中のベンチャー企業において、過去に頑張って困難が乗り越えられた経験を聞くことによって、企業にマッチして共に成長を支えられる人間かをはかる意図もあります。
そのため具体的なエピソードだけでなく、その経験から学んだことをどう企業に活かせるかを答えなければなりません。
将来のビジョンは?
将来のビジョンや今後のキャリアプランについても、よく質問されるので準備しておきましょう。
未来を見据えて成長途中であるベンチャー企業では、将来の自分の成長をふまえた、キャリアのビジョンを聞かれる機会が多く見受けられます。
「企業に就職してから◯年後には△をやっていて」など具体的な将来像を伝えると自己分析がしっかりできていて、やりたいことが明確であるとポジティブな印象を面接官に与えられるでしょう。
また、そのために必要なスキルに向けて今努力していることをアピールすると、より好意的に受け取られます。
企業の理念についてどう思うか?
ベンチャー企業では、一緒に働ける人材であるかという人間性を最も重視していると上記で述べました。
よって、社員が同じ方向を向いて一緒に成長をしていきたいと願っています。
ベンチャー企業では、社員に向けた企業理念を掲げていることが多いため、企安定志向な発言は控えましょう業理念に賛同することが重要となってきます。
そのため、企業理念の内容や社長の言葉などを事前に調べ、その理念に賛同する理由や根拠を考えておきましょう。
【新卒採用の面接対策】質問に答える際の注意点
ベンチャー企業の面接では、他の会社とはまた違った注意点があります。
質問の受け答えを別の企業と同じ様にしてしまうと、不採用となってしまう可能性があるため、注意しましょう。
今回は大きく3つにわけて説明します。
「安定志向」と思われないようにする
ベンチャー企業は大企業と比べて、不安定なところが多くあります。
全てのベンチャー企業が安定していないことはありませんが、「安定性を求めるならなぜベンチャー企業に?」と人事の方に思われてしまうため、安定志向な発言は控えましょう。
反対に、自己成長やチャレンジ精神などの言葉はベンチャー企業と合っているため、積極的に使って良いでしょう。
堅苦しい態度にならないようにする
ベンチャー企業でも規律性を尊重するところはもちろんありますが、典型的な受け答えをしてしまうと、悪い印象となってしまう事があります。
それはなぜかというと、典型的な受け答えだと就活生の内面が見えてこないためです。
ベンチャー企業は、人数が少ないため、良くも悪くも働いている人との距離がとても近いです。
よって、相手の本心が見えないと「一緒に働くことができないかもしれない」と思われてしまう可能性があります。
ベンチャー企業の面接では、テンプレートのような回答は避けて、自分なりの考えや主張を述べることが重要です。
消極的な回答をしない
ベンチャー企業では、中小企業や大企業よりも1人に求められる業務が多くなることがあります。
よって、面接の際に「自社の働き方についてこられるか」といった意図の質問をされる可能性があります。
この質問をされた際に、「必要があればやる」や「そこまではできない」といった様な消極的な回答をしてしまうと不採用となる可能性が高くなります。
もちろん、労働基準法を超えた内容であった場合は、すぐさま否定して良いですが、そうではない場合は、「はい、可能です」や「もちろんです」と嫌な顔をせずすぐに返答しましょう。
考える素振りや曖昧な返答をしてしまうと、人事の方からのイメージは良くないものとなってしまいます。
【新卒採用の面接対策】どんな人が面接を突破するか
ベンチャー企業では、「リスク」が大きいと言われているベンチャー企業を選んだ理由を明確に示せる人材を求めていることが多いです。
自分の意見を述べられるということも重要な要素ですが、その中でもなぜベンチャー企業を志望したのか、というのは人事の方からすると、とても重要な判断材料となります。
働きたい理由がただ成長したいというだけでは、別の企業でも良いのではないかと思われるため、ベンチャー企業である理由というのを熱意を持って伝えると面接を突破できるでしょう。
【新卒採用の面接対策】面接前にしておくべき対策
このように、ベンチャー企業の面接ではリラックスした雰囲気で、学生の成長性や積極性を重視したスキルより、ポテンシャル重視の質疑応答がされます。
そのために、やる気がないと判断されれば、どんなに学歴や経歴が優れていても採用を見送られるケースがあるのです。
企業の成長スピードに合わせて、自分自身も成長していける人材であるとアピールをするために、どのような対策が必要となるのでしょうか。
4つに分けて説明しましょう。
自己分析
圧倒的に自己分析が大切です。
ベンチャー企業は人間性や価値観などを重視している傾向にあるため、自分の強みや弱み、過去の成功体験や頑張ってきたことなどを明確にし、自分を最大限にアピールする必要があります。
そのためには、自己分析をしっかり行わなければなりません。
自己分析の方法はさまざまですが、過去の経験で悔しかったこと・うれしかったことをあげ、なぜそう思ったか・そのあとどう行動したか・どのような変化があったかなどを、深掘りして書き出す方法が一般的です。
そうしていくと、自分の強みや弱みだけでなく、何にモチベーションを感じるかが明確になり、おのずと将来のビジョンや仕事の適性も見えてきます。
自己分析のできが就活の可否を左右すると言っても過言ではありません。
なるべく早く取り組んでください。
企業研究
自己分析と同様に、企業の研究もとても大切です。
「なぜこの企業なのか」「なぜこの業界なのか」はもちろん、「なぜ安定している大手企業でなく、ベンチャー企業を志望するのか」と聞かれるケースもあります。
業界を理解するためには、どのような分野があるかや企業のIRなどの基本的な情報だけではなく、最新トレンドを追うことが必要不可欠です。
たとえば、IT業界ではAIや5Gがトレンドのため、力を入れている企業が非常に多く見受けられます。
その分野に自分が興味をもっており、志望する企業がそこで他社にはない強みがあるいることを志望理由にすると、業界への理解が深いと印象づけられるでしょう。
日々業界の情報をキャッチアップして、最新の情報にアップデートしておきましょう。
スキルアップ
ベンチャー企業は、少数精鋭である事が多いです。よって、ある程度のスキルは求められるでしょう。
プログラミングスキルや営業経験のある就活生は、自分の強みを最大限アピールできるように何か成績や結果を残すと良いかもしれません。
また、成績がなくても自分がどのようなスキルを持っているのかをアピールできる文章を考えておくと良いでしょう。
面接練習
自己分析・企業研究ができたら、家族や知人、就活エージェントなどにお願いをして模擬面接を行うと良いでしょう。
可能であれば、録音や録画を行いましょう。
自分がどのような受け答えをしているのかを客観的に可視化できるようになります。
そうすることで、質問に沿った回答をできているか、はっきりと話せているかを自分の目で確かめることができます。
このような工夫をしていくことで、改善を重ねていき、本番の面接で自分を最大限アピールすることができるでしょう。
【新卒採用の面接対策】就活エージェントに相談する
就活を1人で全て行う事は、とても大変です。
就活エージェントは、ES添削や企業紹介、面接練習など様々な就活サポートをしてくれます。
面接練習では、企業の人事目線に立って、自分の面接をフィードバックしてくれるため、より就活を有利に進めることができます。
就活に関して少しでも悩みがある方は気軽に相談してみましょう。
まとめ
ベンチャー企業の面接についてまとめました、
日々新しいことにチャレンジしていくベンチャー企業では、大企業以上に成果のため、アグレッシブに動ける人材が好まれます。
また、積極性だけではなくコミュニケーション力があり、多方面と有効な関係を築ける人間であることも重視されます。
新しいことに挑戦したい、仕事にやりがいを感じたい、自分もスキルアップして可能性を広げたいという学生は非常に適性があるといえるでしょう。
対策をしっかりとして、ベストな状態で面接に臨んでください。