はじめに
就職活動では、自分の性格を客観的に把握する作業が不可欠です。
自己分析では、長所だけでなく短所についてもありのままに把握できなければ、選考を突破することはできません。
しかし、短所の内容や伝え方によっては、実際よりも悪い印象を与えてしまうのではないかと不安を覚える方も多いのではないでしょうか。
特に、流されやすい性格だと自己分析している方の場合、希望するベンチャー企業では採用されにくいかもしれないと悩むケースは多いものです。
そこで今回は、流されやすいところが短所でも、ベンチャー企業の面接をうまく乗り切るコツを詳しく解説します。
面接官が短所を聞く理由
就活の採用面接では、「あなたの長所と短所は何ですか」といった質問が投げかけられることが多いでしょう。
実は、面接官が長所を聞く理由も短所を聞く理由も元をたどれば同じものです。
面接官は、あなたの長所と短所を把握して、自社にふさわしい人材かをさまざまな角度から評価します。
そのため、自分の短所を正確に把握して、面接の場にふさわしい形でそれを伝えなければなりません。
ここからは、「社風に合う人間性」「客観的な自己分析能力」「短所を述べる誠実さ」にフォーカスして、短所を聞かれる意味についてチェックしてみましょう。
人間性が社内の雰囲気と合っているか
面接官は、あなたの短所を聞いて、それが社内の雰囲気にマッチするかどうかを見極めます。
配属予定のチームで周りの仲間とうまく馴染めるか、業務上の妨げとなるリスクはないかといった複数の視点から、あなたの人間性と企業との相性がチェックされるでしょう。
一般的な短所として、流されやすい性格以外にも、優柔不断・心配性といったものがあります。
短所だからといって、企業によってはそれが大きなマイナスにはならず、プラス方向に働くケースもあるでしょう。
ベンチャー企業ならば、流されやすい性格は柔軟性とも言い換えられるため、アピールの仕方によってはプラスに転じるかもしれません。
反対に、消極的・マイペースな性格といったものは、伝え方にかかわらずベンチャー企業では敬遠される短所です。
ベンチャー企業では、ビジョンをしっかり持っている・積極性がある・スピード感のある対応ができるといった人材が求められます。
客観的に自分自身を見る力があるか
面接官は、客観的な自己分析の結果として、あなたが的確に短所を伝えているかどうかを評価します。
自分の短所を見つけるためには、客観的な自己分析が欠かせません。
そのため、短所の内容にかかわらず、まずは短所を分析できたこと自体に大きな評価がされるのです。
面接で短所を伝える際には、単に「自分は流されやすい性格です」といった説明だけでは足りません。
その根拠となる過去のエピソードで説得力を持って語れれば、説明能力と分析能力の高い冷静な人材として評価されるでしょう。
特に、ベンチャー企業では、市場拡大の中で自社製品やサービスを売り込む場面も想定されるため、マイナスをプラスに転じるような説明と分析ができる人材は高く評価されます。
応募するベンチャー企業がこれから飛躍を目指しているならば、こうした客観的な分析能力は大きな武器になるでしょう。
短所を打ち明ける誠実さがあるか
面接官は、あなたが短所をありのままに打ち明けられる誠実さを持ち合わせた人間か、その部分にも着目して評価します。
採用試験の面接の場では、できるだけ自分を良く見せたいものです。
その状況下で臆することなく短所を説明できるということは、志望する企業が不利益を被らないように自分の不安要素も打ち明ける誠実さの表れだと言えます。
これから成長していくベンチャー企業にとって、社運を託すパートナーには誠実さが不可欠です。
特に、販路の開拓や製品の売り込みといった営業に関わる部分では、誠実な人間性を持った人材は高く評価されるでしょう。
そのため、ベンチャー企業の採用面接では、面接官との間で信頼関係が築けるか、誠実な人間性をアピールできるかがカギとなるのです。
流されやすい性格を短所として伝える時のポイント
面接官に短所を聞かれたら、ありのままを誠実に伝える必要がありますが、ポジティブな印象を持ってもらえるように伝え方を工夫するのがおすすめです。
単に「流されやすい性格です」と言うだけでは、マイナスをプラスにするような工夫した伝え方ができない人材だとみなされます。
特に、ベンチャー企業では、積極的にビジネスチャンスを掴んでいく人材が歓迎されるため、短所を聞かれた時にうまくアピールできれば大きなアドバンテージになるでしょう。
ここからは、「言い換える」「過去のエピソードを交える」「改善の努力を伝える」といった自分の短所を伝える際のポイントについて詳しく解説します。
言い換えて伝える
短所は見方を変えれば長所でもあるという点をアピールすれば、面接官に良い印象を与えられます。
長所と短所は紙一重で、捉え方によってどちらにもなるものです。
ベンチャー企業で歓迎される長所であるリーダーシップは、我が強いという短所にも言い換えられます。
また、行動力があるという長所は、計画性がないという短所にも捉えられるでしょう。
「流されやすい」という短所であれば、周囲の意見を柔軟に取り入れる「協調性の高さ」という長所に言い換えられます。
このように、ベンチャー企業に刺さる言い換えを積極的に使えば、短所であっても長所と変わらないくらいプラスのアピールができるのです。
「相手の心情に共感しすぎてしまう」「相手の事情を察して助けたいと思ってしまう」といった流されやすさは、チームワークを重視するベンチャー企業では歓迎される人間性とも言えるでしょう。
過去の出来事を交えて伝える
より説得力と臨場感を持たせて説明するならば、過去のエピソードを交えて伝えるのが有効です。
対象となるエピソードは、研究・部活・アルバイトなどから考えてみましょう。
「アルバイト先で、より多くの時間にシフトに入ってもらえないかとの依頼があり、困っている現場を見過ごせずに勤務時間を増やした。感謝されたが、勉学が疎かになるといった弊害があったため優先順位やより良い解決方法を探す必要があったと痛感した」など、その状況をイメージできるようにするのがおすすめです。
こうしたエピソードがあれば、なぜ流されてしまったのかという理由やそこからどのような教訓を得たのかといった一連の流れが説明できます。
このような分析と振り返りは、ビジネスの現場でも大切なプロセスです。
こうしたスキルが身についているとアピールできれば、即戦力を求めるベンチャー企業の面接でも、ほかの候補者と差別化が図れるでしょう。
改善しようとしいる努力を伝える
面接官に短所を聞かれた際、「私の短所は流されやすいところです」「このようなエピソードがありました」だけでは、アピールになりません。
「自分の短所によってこのような悪影響があった。そのため、現在は改善すべく努力している」など、短所を克服する努力について述べることが大切です。
ベンチャー企業では、自分で問題解決できる人材が重宝されます。
特に、成長中で人手が不足しがちなベンチャー企業では、新卒であっても自発的に振り返って改善を重ねられる人材に大きな価値があると考えられるでしょう。
短所であってもこうした改善の姿勢を見せれば、向上心や成長志向の強い人間だと認められ、採用に一歩近づくかもしれません。
そのため、面接で短所を聞かれたら、成長可能な自分をアピールするために、短所を克服する努力もあわせて伝えてみてください。
流されやすい性格を改善するコツ
自分の短所を伝える際に、改善の努力を伝えたいならば、実際に改善に着手してみるのがおすすめです。
流されやすい性格になりやすい原因としては、自信のなさ・否定されるのが怖い・一人で決断できないといったものが考えられます。
こうしたものは、今までの経験や思い込みから形成される思考パターンのマインドセットから生まれるものであり、意識や考え方のシフトで少しずつ改善が可能です。
まずは、一歩ずつ目標を定めて、流されない性格へと変えるよう努力してみましょう。
ここからは、「気持ちを正直に伝える」「理想像を設定する」「自己肯定感を高める」といったそれぞれのプロセスを詳しく解説します。
自分の気持ちを正直に伝える
まずは、誰にも遠慮せず、自分が感じたままの気持ちを表に出すように心がけてみましょう。
流されやすい性格の持ち主は、自分の本当の気持ちを隠してしまう傾向が強いものです。
傷付くことをおそれるあまり本心が見えにくく、相手からすると捉えどころがなく親近感を抱きにくいかもしれません。
流されないためには、自分の気持ちをオープンにすることから始めてみてください。
流されないようになるだけでなく、親しみやすさや正直さに好印象を持たれるはずです。
ベンチャー企業では、職種にかかわらず自分の意見を求められる場面が多いでしょう。
あなたの気持ちは誰にも否定されることのない大切な意見です。
円滑な業務のためにも、自分の気持ちを表に出す訓練から始めてみてください。
なりたい自分の理想像を設定する
就業を希望するベンチャー企業に入社できたならば、どのようなビジネスパーソンになりたいかという理想像を設定するのも有効です。
理想となる人物像と今の自分を比較すれば、何が足りないのかがわかるでしょう。
「チームの中心として皆を引っ張っていきたい」「営業として顧客から信頼されたい」など、理想とする姿を思い浮かべてみてください。
皆を引っ張っていくには、強いリーダーシップが必要で、自分から意見を投げかけてほかの意見もまとめられる調整力も大切です。
顧客から信頼を得るためには、仕事を淡々とこなすだけでなく、高いコミュニケーション能力と巧みな交渉力も求められます。
自分のためだけでなく、会社のために、チームのために、顧客のためにという目的を見失わないように、自分の理想像を考えてみましょう。
自己肯定感を高める
流されやすい性格を改善するために欠かせないのが、自己肯定感を高める作業です。
自分が劣っていると考えがちな人は、どうしても自分の意見に自信が持てず他人の意見に流されてしまやすいでしょう。
しかし、ベンチャー企業に向いている人の特徴としては、負けず嫌いでハングリー精神の強さが挙げられます。
そのため、ベンチャー企業での仕事を楽しみたいならば、まずは自己肯定感を高めるよう訓練してみると良いでしょう。
自己肯定感を高めるためには、成功体験の積み重ねが大切です。
まずは、難しいと感じたことでもチャレンジしてみましょう。
万が一失敗したとしても、それを否定せず、チャレンジできた点を喜ぶことも大切です。
チャレンジしてみる習慣がついたら成功もそれだけ多くなり、自分に自信を持てるでしょう。
おわりに
面接官は、あなたが語る短所の話から、社風に合う人間性か、客観的に自己分析できるか、短所を打ち明ける誠実さがあるかといった部分を見極めます。
その際には、流されやすさを「協調性」と言い換えたり、過去のエピソードを交えてイメージしやすく語ったり、改善の努力も伝えたりするのがポイントです。
流されやすい性格を改善するには、普段から自分の気持ちを正直に伝えるよう心がけると良いでしょう。
また、自分の理想像を設定してそれに近づくように努力するのもおすすめです。
さらに、自己肯定感の低さを克服するためには、自信を持ってチャレンジを続け、成功体験を積み重ねると良いでしょう。
