ヘルスケアテックとは?取り組んでいるベンチャー企業10選も紹介

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はじめに

昨今ではデジタル技術の進歩にともない、AI化が急速に進みました。

日々さまざまなテクノロジーが生まれ、日常に根付き、多種多様な業務を効率化しています。

そして、それは医療や健康管理の部門においても例外ではありません。

高齢化や生活習慣病のリスクが問題視される中、ヘルスケアや医療の問題は今まで以上に重要視されているのです。

現在注目され大きく成長しているヘルスケアテックとは何か、どのような企業があるのかを解説していきましょう。

ヘルスケアテックとは

ヘルスケアテックとはヘルス(健康)とテクノロジー(技術)を合わせた造語です。

AIやウェアラブルデバイスなどを活用し、病気の予防や治療、診察後のアフターケアなどに取り組むことを指しています。

ヘルスケアテックを導入する一番のメリットは、時間的・物理的弊害をなくして、患者それぞれの健康状態をモニタリングすることなどが可能になることです。

通院の手間が省けるため、住まいを問わず希望する治療やケアを受けられるようになります。

国民の4人に1人が高齢者になる」と予想される2025年問題を目前とする今、ヘルスケアテックは重要な役割を担うといわれています。

そのため、多くの企業や医療従事者がさまざまなサービスの開発に取り組んでおり、驚くべき速度で成長を続けている市場でもあるのです。

ヘルスケアテックに向いている人

急速に成長し、今後ますます大きなシェアを誇るであろうヘルスケアテックで、新しいキャリアを始めようと考えている人は少なくないでしょう。

ヘルスケアテックは高齢者だけではなく、昨今では企業のストレスチェックが義務化されるなど、心身の健康にも関心が高まっているため、今後は若年層にも浸透していくと見られています。

また、コロナ渦で新しい生活様式が浸透した中、オンライン診療の需要も高まっており、追い風は留まることを知りません。

ヘルスケアテック部門で働くのに、適性はあるのでしょうか。

向いている人の要素を3つに分けて紹介しましょう。

技術と医療の両方に興味がある人

まず、テクノロジー面と医療、両方に高い関心があるという条件があげられます。

いくら最新のIT技術や知識をもっていても、医療の基本をわかっていなければ、ユーザーが満足するサービスは生み出せません。

そしてその逆も然りで、優れた医療の知識をもっていても、ITスキルがなければ、ヘルスケアテックには落とし込めないでしょう。

このように、技術面と医療面、どちらかに偏った関心や知識があるのではなく両方において、興味やスキルがないとヘルスケアテック部門で活躍するのは難しいでしょう。

もちろん両分野ともある程度の知識が必要なので、勉強のモチベーションとなるものが必要です。

目標とするサービスを生み出した企業の著書や、インタビュー記事に目を通してみると良いでしょう。

傾聴力がある人

ただ知識や技術に長けているだけではなく、ユーザーのニーズを拾える傾聴力があるかどうかも、ヘルスケアテックで働くためには重要な要素となります。

傾聴力とは相手について理解しようという誠意をもって、言葉の真意などを考えながら熱心に聞く姿勢に徹する能力を指します。

現在、市場のニーズは常日頃変化し続けているのです。

そして、製品やサービスはお客様の要望をもとに作っていかなければならないので、顧客の声に耳を傾けなければ良いモノは生まれません。

ただ聞く力があるだけではなく、話してから新しい話をどんどん引き出し、その中から客観的な視線で有力な情報をキャッチし、新しいサービスや製品の開発につなげられる応用力もビジネスにおいては求められます。

向上心が高い人

最後に、向上心があることもヘルスケアテック業界で働いていくためにはとても大切です。

先ほども述べたように、ヘルスケアテック業界は急速に成長を遂げている業界です。

技術は日々進化し続けており、新しいサービスや技術が日々生まれているため、目まぐるしく業界全体が変化を遂げています。

そのスピードについていくためには「進化に対応していこう」「無限にある患者の要望に可能な限り応えていこう」という向上心が必要不可欠なのです。

また、高い志をもつ達成意欲だけではなく、その目標に向かって努力し成果を成し遂げる活動意欲も同時に求められます。

常日頃から自分自身に足りないものや、目指したいものは何かを問いかけ、目標が決まったら達成のための手段を考えるように心がけておくと良いでしょう。

ヘルスケアテックで求められること

このように、ヘルスケアテック業界で活躍するためには医療と技術双方への深い関心と知識と、ユーザーのニーズに耳を傾ける傾聴力、そして日々進化を遂げる技術やサービスの先を行こうという向上心が求められます。

そして、人材だけでなくヘルスケアテック業界そのものにもまだ新しいジャンルであるために、今後求めるべき改善点は見受けられます。

特によく聞かれる3つに分けて、ヘルスケアテック業界に求められることを紹介しましょう。

利用者との信頼関係の構築

まずは何よりも、ユーザーとの信頼関係を築くことが大切です。

数百年もの間、医療行為やヘルスケアは、対面で医者や福祉士などの有資格者が行うものとして認識されてきました。

そのため、AIやテクノロジーに健康を委ねるのには不安や抵抗があるという人が、いまだに高齢者を中心として非常に多く見受けられるのが、ヘルスケアテック業界全体の課題点としてあげられます。

医療という人の健康や命がかかっている業界だからこそ、事業を展開する際には利用者に信頼してもらうことが第一です。

新しいシステムやサービスを始める際には安全性には充分すぎるほどに注力し、リスクを極限までなくし、人々に受け入れられるようなプラットフォームを構築していかなればなりません。

高い説明力

次に、複雑なシステムや利用する際の手続きを誰にでもわかるように説明しなければなりません。

ヘルスケアテックには最新の技術が用いられており、素人である利用者にはわからないことも当然多くなります。

特に市場で重要視される高齢者層はパソコンやスマートフォンに馴染みが薄く、テクノロジーを日常に迎え入れるためには一から十まで細かに説明しなければ難しいでしょう。

また、若年層も医療やヘルスケアに関心の薄い層には、日常的に健康管理をすることの重要性を説かなければ、いくら使いやすいアプリやシステムを開発しても関心はもたれません。

ユーザー層によって異なる課題に対する説明をいかにリーチするよう取り入れ、相手に製品のポイントを理解してもらうことは今後ますます大切になります。

技術・医療分野においての知識

最後に、技術と医療分野の深い知識はさらに求められていくでしょう。

製品開発のときにはもちろん、それだけではなく、顧客応対の際にもある程度の知識は必要です。

そして、新たなサービスがどんどん誕生している現在、ユーザーのニーズも多様化していくことが予想されます。

複雑になったユーザーのニーズにも応えていけるような医療の最先端の知識や、それらをユーザーに適切な形で届けられるテクノロジーもより高い水準で求められていくようになるでしょう。

そのため、ヘルスケアテック業界でも現在の情報に満足せず、知識や技術をアップデートしていき、より性能が良く安全な製品をユーザーに届けられるよう努力し続けることが求められます。

予防に関わるヘルスケアテック

このように、ヘルスケアテック業界にはユーザーとの信頼関係の構築や、製品をどんなユーザー層にでも理解させる高い説明力、さらに技術と医療の両面における最新の知識を求められています。

高いハードルの設けられているヘルスケアテック業界ですが、代表的な商品を生み出し、認知されている企業をいくつか紹介していきます。

まずは病気の予防のという観点のヘルスケアテック技術でユーザーをサポートしている、代表的な企業を4つあげていきましょう。

ユカシカド

株式会社ユカシカドは2013年に設立された企業で「国内外を問わず平等な環境と機会の創造に全力を尽くし、努力できる才能を持っている人が強くなれる世界をつくる。」を企業理念として掲げています。

ユカシカドの代表的な製品は、栄養状態を確認できる尿検査キットにもとづくパーソナライズサービスの「VitaNote FOR」です。

尿検査キットを定期購入し、検査完了企業に送れば、Web上で結果を確認でき、自分にどのような栄養素がどれくらい足りないのかを数値で確認できます。

さらにそれだけではなく、その結果にもとづき、オーダーメイドで製造したサプリを購入できるのが魅力です。

また、管理栄養士によるチャットを利用した相談サービスなどのシステムも充実しており、健康管理に意識の高いターゲットをメインにし成功をおさめています。

FiNC

株式会社FiNC Technologiesは予防ヘルスケア×AI(人工知能)に特化したヘルステックのベンチャー企業で、2012年に設立されました。

「Empower people to enjoy a healthy life with useful data」を企業理念としており、AIを活用しているヘルスケアアプリ「FiNC」を開発・提供しています。

特許を取得した最新のAIボットが、チャットを通して得たユーザーの運動・食事・睡眠状況にもとづいてアドバイスします。

さらに栄養士や料理研究家が監修した食事のレシピや、運動プログラムなどのコンテンツを提供しているのです。

また、目標歩数を達成するとポイントがたまり、美容・健康の商品と交換できるなどのゲーム性も備え、固定ユーザーの獲得に成功しています。

インフィック

インフィック株式会社は2002年に設立された、介護事業に特化したヘルスケアテック企業です。

超高齢社会を迎えた社会の課題解決を目標としています。

インフィックは高齢者見守りシステム「LASHIC(ラシク)」を提供していることで知られています。

部屋に設置したセンサーで温度・湿度・照度を計測し、またベッドに設置したセンサーでは呼吸や脈拍・姿勢を計測して異常があれば、介護者に通知が届くようになっているのが特徴です。

そしてそれらをシステムで解析すれば、離床の可能性も予想できるために介護士の業務を効率的にサポートします。

また、独居老人の見守りアプリの開発や、介護サービス事業にも力を入れており、2025年問題を目前にした現在さらなる成長が期待されている企業です。

キレオ・パワー・テクノロジー

株式会社キレオ・パワー・テクノロジーはジェネリック医療機器を販売している2011年に設立された企業で、日本国内だけでなく、発展途上国や新興国に向けたグローバルな視点での商品開発が特徴です。

主力商品は妊婦用超音波スキャナーで、発展途上国に向けに開発された、値段の安さと軽さが特徴として知られています。

また、電気の供給が不安的な場所でも利用できるようにPCからの充電も可能であり、スマートフォンやパソコンがあれば、自宅でも胎児の様子を確認できます。

それだけではなく、教育学習用の小型エコー開発や生活習慣病予防のための腹部エコーも開発しており、格差が問題視される国や地域にも、経済的な負担がなく安心を届けられるサービスの提供に定評がある企業です。

治療に関わるヘルスケアテック

このように健康維持や高齢者介護、さらに貧困地域の医療のためなどさまざまな目的で、予防医療のためのヘルスケアテックが発売され、多くの人の生活を支えています。

ヘルスケアテックは予防だけではなく、治療の面でも多くの躍進を遂げていることはご存じでしょうか。

病床の不足や孤立地域などが長らくの間、問題視され続けています。

しかし、治療のヘルスケアテックの開発は問題解決の糸口になるでしょう。

なかでも代表的な企業を3つ紹介します。

ナノエッグ

ナノエッグは2006年設立の、皮膚研究から独創的な治療法を生み出している企業です。

ナノエッグの代表的な事業は「NANOEGG(ナノエッグ)」と呼ぶナノカプセル技術です。

そしてその中核となる技術が DDS(ドラッグデリバリーシステム)と呼ばれるもので、必要な薬物を適切なタイミングで適切な場所に届けることを可能としました。

これらDDSを利用して、注射針を使わなくとも、皮膚から薬剤が吸収される技術を用いた製品の開発・提供で知られています。

これらの技術を使用することで副作用も軽減されるため、より多くの人に効果の高い薬品を届けられるようになりました。

また、ナノエッグはアトピー研究でも新しい発見やアプローチを生み出していることでも知られています。

最新の技術で医療だけでなく、エイジングケアなどの商品開発にも成功しています。

ネクストイノベーション

株式会社ネクストイノベーションは、2016年設立の遠隔医療サービスで知られるベンチャー企業です。

スマホのチャット機能を応用した遠隔診察サービス「スマ診」や、オンラインで診察しピルを提供できるアプリ「スマルナ」が代表的な製品です。

2015年に厚生労働省が遠隔医療の解釈について再定義したことをきっかけに「仕事や育児で忙しくて病院に行けない」「遠方にしか医療機関がない」または「婦人科に恥ずかしくて行けない」という悩みに応えるため開発されました。

症状などから受けたいクリニックをオンライン上で選び、AIで問診を受けられます。

それだけではなく、時間が合うときには医師の診断をチャット形式で受けられるのも安心感を与えています。

ワイズ

株式会社ワイズは2016年設立の、脳血管疾患に特化したリハビリセンターを運営している企業です。

従来のリハビリ制度や医療制度を補完する形で、専門家によるマンツーマンの2時間半にもおよぶオーダーメイドのリハビリプログラムを提供しています。

最大の特徴は、脳血管疾患後遺症リハビリを知り尽くしたスタッフが、症状の改善だけではなく、個人の目標に合わせてプログラムを組めるところです。

たとえば、多くのリハビリの目標はADLの改善ですが、「自電車に乗りたい」という希望があれば、そこをゴールにします。

短期から長期の目標・計画を設定し、改善状況に合わせて修正や再計画を手掛ける手厚いサービスで、多くの人から支持を得ています。

維持に関わるヘルスケアテック

このように、ヘルスケアテックは予防だけではなく治療の観点からも普及し始めているのです。

ライフスタイルが多様化する中で、医療においても選択肢が広まったのはヘルスケアテックの大きな功績です。

そして、予防や治療だけが医療ではありません。

健康状態を維持する管理も、介護のフィールドを中心に重要視されており、ヘルスケアテック業界でシェアを広げています。

維持に関するヘルスケアテックで知られる企業を3つピックアップしますので、ぜひご覧ください。

ユニバーサル・サウンドデザイン

ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社は2012年に設立された、難聴の方に向けたサービスで知られる企業です。

対話支援器「Comuoon(コミューン)」が企業を代表する製品として知られています。

この製品の特長は、従来難聴の支援は聴覚障がい者が補聴器をつけるなどして、通常の聴覚に合わせていた支援スタイルを、会話する方が歩み寄る形に変えたことです。

Comuoonは卓上型の会話支援機器で、高周波の音を聞こえやすく変換したり、スピーカーを卵形の設計にしたりすることで音がまっすぐ耳に届くのが特徴です。

また、音声に信号処理を行い、より高精細で自然な音声に変換もできます。

近年では感染症対策のマスクをするため、声が聞こえづらいというトラブルの解決にも役立っています。

eWeLL

株式会社eWeLL(イーウェル) は、2012年設立の訪問介護ステーションに向けた業務支援クラウドサービスを展開している企業です。

訪問介護専用の電子カルテシステム「iBow(アイボウ)」が看板商品です。

コロナ渦で在宅介護のニーズはさらに高まりましたが、事務コストや人件費の高騰がネックとなり、経営が困難であることはネックとなっていました。

iBowは情報の自動反映で大量の転記作業が不要になり、なおかつ業務の流れに沿って入力するだけの単純な操作方法で、企業のタスクの大幅な削減に成功しています。

その蓄積データは、経営分析サポートをする分析データとしても抽出できるため、フィードバックとしても役立ちます。

さらに事務処理代行サービスも稼働したために、多方面から訪問介護業界をサポートしているのです。

トリプル・ダブリュー・ジャパン

トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社は、2015年に設立された企業です。

排せつに関する悩みの解決に特化したソリューションで知られ、排せつ予測ウェアブルデバイス「DFree(ディー・フリー)」の開発・提供をしています。

どこにでも携帯可能なDFreeを、被介護者の下腹部に装着すると、超音波センサーで膀胱の動きを10段階に分けて読み取って、排尿前後のタイミングを予測・通知します。

介護者の排せつ介助の支援に役立つだけでなく、ケアの記録や排尿のタイミングの分析もできるため、介護業務の効率化につながったのです。

医療・介護施設ではもちろん、在宅介護のサポートや介護状態ではなくても、自分で尿意を感じられない人のトイレトレーニングにも役立っています。

おわりに

ヘルスケアテック業界の現在と、適性や市場の課題、代表的な企業を紹介しました。

高齢化にともなう介護問題や、医療費の高騰など日本は今後さまざまな医療問題により、深刻に直面していくと考えられます。

解決のためには今までの医療体制ではなく、テクノロジーの導入が不可欠と考えられているのです。

ヘルスケアテックはニーズの拡大を受け、今後より大きな成長が見込まれる業界です。

自分の知識や技術で世の中をより良い方向へ変えたいと考えている方は、ぜひ足を踏み入れてください。

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