はじめに
転職先を選ぶ際、福利厚生も重要なポイントです。
中でも、どのくらい休みが取れるかが気にかかるという方も多いでしょう。
しかし、企業の年間休日は、労働基準法に抵触していない限り何日でも良いことになっているので、個々の企業によってまちまちです。
今回は、ベンチャー企業の年間休日事情について説明します。
夏や年末年始の長期休暇の有無や長さも、その会社によって違いがあるので、転職する時は年間休日数にも注目して家探しをしましょう。
【ベンチャーの年間休日数事情とは】なぜ年間休日数を気にするべきなのか?
ベンチャー企業への転職を考える時は、年間休日数にも注目したほうが良いでしょう。
なぜなら、大手企業とベンチャー企業だと、休日に対するイメージが異なり、ギャップを感じてしまうおそれがあるからです。
一般的に、企業の規模が大きければ大きいほど、年間休日数が多い傾向にあります。
大手と言われるであれば年間休日は約120日、またはそれ以上あるところが多いです。
一方、規模が小さいベンチャー企業では、必ずしも年間休日が120日以上用意されているとは限りません。
ワーク・ライフ・バランスを考えた柔軟な働き方が可能であるベンチャー企業も増えていますが、年間休日数が少なく、なかなか休めないところもいまだに存在します。
大手企業の休日のイメージに慣れてしまっている方の中には、ベンチャー企業に入社した後、休日に対してのイメージが異なることに驚く方もいらっしゃいます。
そして、あまりに大きな感覚のズレを感じ、転職を後悔することにもなりかねないのです。
【ベンチャーの年間休日数事情とは】そもそも年間休日数とは
年間休日数とは、会社において1年間に与えられる休日数の合計です。
労働基準法においては、105日が年間休日数の最低基準であり、会社は必ずこれ以上の日数の休日を設定しなければなりません。
しかし、この最低基準を超えていれば、実際に取得できる日数に関しては経営者が自由に判断して決めて良いことになっています。
これが、それぞれの会社や事業所によって、年間休日数が異なっている理由です。
そして、就業規則で夏季休暇・年末年始休暇・祝日などが休日として定められている場合は、これらの日数も年間休日数に含まれます。
なお、有給休暇の日数は、個人によって取得可能日数や取得できるタイミングが異なるため、年間休日数に含まれません。
それぞれの会社が独自に設定している「バースデー休暇」や「「結婚休暇」も、同じ理由で年間休日には含めないことになっています。
有給休暇の日数については、年間5日以上は取得できるように労働基準法で定められています。
【ベンチャーの年間休日数事情とは】企業規模ごとの平均年間休日数
年間休日数を企業の規模ごとに比較すると、従業員数が多く規模が大きいところほど年間休日数が多いことがわかります。
1,000人以上の従業員を抱えている大企業では、平均年間休日数が115.5日です。
そして、従業員数が300人から999人の企業になると年間休日数は113.7日、100人から299人の規模の企業だと111.1人と、規模が小さくなるにつれて平均年間休日数が少なくなっていきます。
さらに、99人以下の規模が小さい企業だと、107.5日と最低基準に近い値なのです。
人員が多ければ、休んでいる社員の業務を誰かがカバーすることは、そこまで難しくないでしょう。
しかし、元から少ない人数で仕事を回している会社では誰かが休んだ穴を埋められないことが、休みが少ない原因であると考えられます。
【ベンチャーの年間休日数事情とは】日数ごとの生活イメージ
年間休日数によって、1年間の生活はどう変わってくるのでしょうか。
年間休日数を見ても、その生活イメージが掴みにくいと感じている方もいらっしゃるはずです。
たとえば、「忙しかった」などの実感はあれど、去年は何日の休日を取得したかを覚えている方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。
ここでは、年間休日数ごとに、その生活イメージをご紹介します。
たった数日の違いでも、長期休暇や祝日の扱いなど、その生活は大きく変わってくるのです。
年間休日数125日
年間休日数が125日くらいあれば、毎週土曜日と日曜日がお休みの完全週休2日制となり、祝日も全部休みになります。
そして、夏季休暇や年末年始休暇もしっかりと用意されている場合が多いでしょう。
これくらいの休日があれば、平日は忙しくても休日にしっかりと休めるので、1年を通してずっと疲れているということはあまりないはずです。
家族と過ごすことや趣味に没頭する時間も十分取れます。
長期休暇もあり、お盆や年末年始の帰省なども問題なくできるでしょう。
このご時世では難しいかもしれませんが、日数的には海外旅行なども気軽に行けます。
大企業ではこれがポピュラーな勤務体系となりますが、社会全体で考えれば恵まれた労働環境と言えるでしょう。
年間休日数120日
年間休日数が120日だと、やはり毎週土日と祝日が休みになることが多いです。
それでは年間休日数125日の違いはどこにあるのかというと、夏季休暇や年末年始休暇の長さにあります。
年間に125日休めるところと比べると、長期休暇が数日分短くなってしまうのです。
帰省や旅行を考えている方にとっては、少し慌ただしいものとなるかもしれません。
もっと長く休みたい時には、もともと用意されている長期休暇の前後に有給休暇をくっつけて長い休みにする方もいらっしゃいます。
ただ、普段の土日と祝日はしっかり休めるため、休日の少なさが気になることもあまりないでしょう。
周囲と比べても、自分だけ忙しくて家族や友人と予定が合わないといったことは少ないはずです。
年間休日数110日
年間休日数110日だと、これまで休日数の多い大企業で働いてきた方だと、休日数の少なさがひしひしと感じられるかもしれません。
このパターンですと、毎週土日の休みの(52周×2日=104日)のほかは、祝日・年末年始・夏季休暇を合わせて6日分の休みがある場合などが考えられます。
国民の祝日は年間で16日ですので、祝日がかなり削られ、出勤しなければならない時もたくさんあるということです。
これまでに、祝日はすべて休みだった方にとってはギャップを感じてしまうのではないでしょうか。
祝日に出勤することがあると、家族や友人と予定が合わないことも出てきます。
お子さんがいる方は、学校がお休みでも出勤しなければならないので、お子さんの預け先などの心配が出てくることもあるでしょう。
年間休日数105日
ここまで年間休日数が少なくなると、法律で定められた最低基準は満たしてはいますが、休みがなくて忙しいというイメージはどうしても否めません。
たいていの会社は、年末年始は営業していません。
それを考えると、毎週しっかり土日休みを取るのは難しく、土日のどちらかは出勤となることが増えてきます。
世の中は完全週休2日制の会社が多いので、周囲と比べると休日に関してはどうしても不満を感じることも多いでしょう。
帰省や旅行なども年末年始に慌ただしく済ませることになり、1年を通してのんびりできることが少なくなってしまうかもしれません。
周囲との予定が合わない場合やお子さんの行事に参加するのが難しくなるという問題点もあります。
ワーク・ライフ・バランスを充実させることは難しく、勤務条件としては決して良いとは言えないでしょう。
いくら仕事にやりがいを感じていても、もし体を壊してしまうようなことがあったら、ご自分やご家族が辛い思いをするだけです。
【ベンチャーの年間休日数事情とは】年間休日数を見る際の注意点
ベンチャー企業への転職を考える時、年間休日数は大切な項目です。
基本的に、休日が少ないところほど労働時間も長く忙しくなると考えたほうが良いでしょう。
規模の小さいベンチャー企業では、入社すればすぐに責任のある重大なプロジェクトを任せてくれるかもしれません。
しかし、それはご自分の貴重な時間を削ることにもなりかねないのです。
ご自分や家族との時間も大切にしたいのであれば、年間休日数が少ないところは避けたほうが良いでしょう。
【ベンチャーの年間休日数事情とは】年間休日数だけでなく実態も確認しよう
ベンチャー企業においては、年間休日数はどれくらい休めるかの指標にはなりますが、本当に大切なのはその実態です。
特にベンチャー企業は慢性的な人手不足に陥っているところも多く、休みたくても年間休日数通りに休めない場合もあります。
社風によっては、休みを申し出ること自体躊躇してしまうようなところもあるのです。
ですから、転職で失敗しないためには、実際にそこで働いている社員に聞くことや口コミサイトなどで休みの実態を知ろうとすることが大切です。
そういった実態は求人票には記載されていないので、自分で動いて情報を集めるしかありません。
入社してから実態に気付いて不満を抱えながら働くよりは、転職する前にできるだけ情報を集めて実態を知っておくことをおすすめします。
まとめ
年間休日数は、転職先を決める際の重要な条件です。
休みの日の多さは、転職後の暮らしにも大きく影響します。
特に、家族との時間などプライベートを大切にしたい方は年間休日数にも着目して転職先を探しましょう。
ただし、求人票に書かれている通りに休みが取れるかというと、実はその通りに休めないこともたくさんあります。
実際に働いている社員に聞くことや口コミサイトを調べるなどして実態を知ろうとすることも、転職を成功させるには大切なことです。