はじめに
女性でベンチャー企業への就職・転職を考えているなら、管理職における女性比率は気になるところでしょう。
一般的に、ベンチャー企業やそれ以外の企業でも女性の管理職比率は低くなる傾向にあるのです。
この記事では、ベンチャー企業における女性管理職比率が低い理由について解説しています。
ベンチャー企業で働きたいと考えているなら、チェックしておくべき項目についても紹介します。
ベンチャー企業で働きたい、昇進を考えている女性はぜひ参考にしてください。
ベンチャー企業の女性管理職比率は低い傾向
日本にあるベンチャー企業における、女性管理職の比率は低い割合に留まっています。
たとえば、世界では企業における女性の管理職比率は27%を超えるといわれています。
しかし、日本全体のベンチャー企業では女性の管理職は少なく、12%に留まっているのが現状です。
たとえば、単純に社員の男女比率が半分の企業があったとします。
職務遂行に対する能力が、どの社員にも大きく差がない場合、順当にいけば管理職の男女比率も半分になるはずです。
しかし、実際に日本のベンチャー企業における女性の管理職は10人に1人の割合です。
女性は、結婚や出産といったライフイベントが仕事に影響をおよぼしやすい傾向にあります。
単純に自身のキャリアアップに専念しづらく、長く企業で働き続けるためには企業・家庭、両方の理解とサポートが欠かせません。
女性の管理職比率が高いベンチャーは存在する
お伝えしている通り、日本は女性の管理職比率が低い傾向にあります。
しかし、すべてのベンチャー企業において女性の管理職比率が低いというわけではありません。
実際に事業を営む会社の中には女性の管理職比率が高いベンチャーもあります。
まず、結論としてあらゆる企業を総括すると女性の管理職比率は高くありません。
ところが化粧品業界や保険業界などのように、もとから社員における男女比率が女性のほうが多い企業は別です。
企業の構成メンバーのほとんどが女性となるため、女性の管理職比率はいっきに上がります。
ベンチャー企業は、メイン事業や会社の風土に特色のある企業も少なくありません。
従業員が女性だけのベンチャー企業もあります。
つまり、ベンチャー企業によっては女性管理職のたくさんいる会社があるのです。
ベンチャー企業に勤めてしまうと、管理職になれないわけではありません。
大切なのは、女性の活躍できる環境が整っているかどうかです。
なぜ女性管理職は少ないのか
それではなぜ、女性管理職の割合は少なくなってしまうのでしょうか。
要因としては大きく2つ考えられます。
まず、1つ目に家庭内における女性が担う役割をあげられます。
2つ目は、社会における男女の格差です。
いずれも女性個人の能力というより、女性を取り巻く環境や昔からの女性と社会との関わり方が大きく影響をおよぼしています。
ベンチャー企業や一般企業にかかわらず、女性管理職が少なくなる背景・理由について見ていきましょう。
家庭内での役割が大きい
女性の、家庭内での役割はいまだ大きい傾向にあります。
家庭内での家事・育児は、共働き世帯の増加により分担が広がっています。
しかし、多くの家庭では、女性が家事や育児をメインで担当しているのです。
単身赴任世帯ともなれば、女性が1人で家事や育児をこなすいわゆる「ワンオペ」と呼ばれる状態も少なからず横行しているでしょう。
つまり、女性は家事や育児というタスクを背負った瞬間から、仕事に対する比率が軽くなってしまうのです。
育児と仕事の両立は難しく、なかなか仕事における成果が出せないことから昇進につながらないのが現状です。
管理職を目指すことについても、キャリアプランの選択肢から外してしまう女性がほとんどでしょう。
なりたいという目標を掲げるどころか、そもそも選択肢に入ってこないのです。
社会における男女の格差
さらに、女性の管理職が少なくなる理由については、社会における男女の格差も関係しています。
そもそも、女性の正社員は少ない傾向にあります。
母数が少なければ、管理職に昇進する女性が少ないことも納得です。
また、これまでの社会では「管理職は男性が就くものである」という共通認識が当たり前でした。
企業の中には、女性が管理職へ就くことに抵抗を感じる男性も一定数存在します。
このような事情を背景に、女性管理職の数は伸び悩んでいるのです。
女性が管理職を目指すならベンチャー企業がおすすめな理由
女性が管理職を目指すなら、ベンチャー企業で働くことをおすすめします。
お伝えした通り、ベンチャー企業ですが女性の管理職は多くありません。
ところが女性従業員の数が多い企業であれば、女性にも管理職へ昇進するチャンスが充分にあると言えるのです。
また、ベンチャー企業には若手社員が多く所属し、年配の社員はそこまでいません。
「管理職は男性がなるもの」といった固定観念をもった社員が少ないため、女性の昇進しやすい環境が整っていると言えます。
実力で評価される
ベンチャー企業の多くは、年功序列を採用せず、実力による人材評価を導入しています。
実力さえあれば女性でもきっちりと評価される社内風土ができあがっているのです。
昇進のチャンスについても、男女関係なく平等に機会が与えられています。
ベンチャー企業には、女性でも努力さえすれば管理職に就ける環境が整っています。
勤めるうえで、キャリアプランから管理職を外す必要もありません。
ベンチャー企業には、女性がのびのびと昇進に向けてチャレンジできる環境があるのです。
性差が生まれにくい
ベンチャー企業には、男女差別が生まれにくいという特徴もあります。
ベンチャー企業とは一般的に、設立から5年程度の若い会社を意味します。
従業員は若い社員も多く、年配の社員であっても今までの常識にとらわれず、柔軟な考えをもっている人も多いのが大きな特徴です。
つまり、ベンチャー企業では昇進について男女で扱いが異なるという場面は少ないのです。
女性に対する差別意識がなく、働く環境についても整備されている企業が多いので、女性でも管理職を目指して仕事にまい進できるでしょう。
ベンチャー企業の女性管理職増員の取り組み
ベンチャー企業には、女性管理職を増やそうと積極的に行動している会社が多く存在します。
まず、日本全体で見ても女性の管理職は少なく、ベンチャー企業でもその傾向は強く見られます。
しかし、そういった管理職に女性が登用されにくい環境を是正しようと、積極的に改革に取り組むベンチャー企業は多く存在するのです。
女性が働きやすい環境を整えることで、女性の管理職比率を上昇させると考えられています。
この章では、ベンチャー企業が行う女性の働きやすさ改善の具体的な取り組みを3つご紹介します。
・育休中の給与が100%
・ベビーシッター利用支援
・体調不良時の特別休暇
どの制度も、すべてのベンチャー企業が導入できているものではありません。
しかし、実際導入されている方法なので、ベンチャー企業を選ぶ際の参考にしましょう。
育休中の給与が100%保証
ベンチャー企業の中には、育休中の給与を100%保証する企業があります。
株式会社メルカリが実施している「merci box」はその代表的な取り組みの1つです。
merci boxは、非常に手厚い福利厚生を担っており、以下のようなサポートが受けられます。
・会社が産休・育休支援を行う(女性なら産前10週+産後約6ヶ月間の給与を100%保障)
・育児と介護における休暇は1年あたり5日間~最大で10日間を有償化
・妊活支援として保険適用の不妊治療は実質本人負担額を0円に
・保険適用外の不妊治療なら実質本人負担額が3割になる
・病児保育を利用した場合、1時間あたり1,500円の補助費を支援
・認可外保育園に入園する場合、差額の保育料を会社が負担
子育てと仕事を両立できるよう、費用を大きくサポートしてくれる制度です。
ベビーシッター利用支援
ベンチャー企業の中には、ベビーシッター利用を支援する制度が設けられている企業もあります。
LINE株式会社には、ベビーシッターの利用者を対象にした2つの制度があります。
1つ目は、国が発行する割引券を利用する制度です。
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を利用したら、1日あたり2,200円の割引を受けられます。
2つ目は、ベビーシッターを利用した場合の料金を割り引く補助制度です。
いずれの制度についても、利用や対象者には条件があります。
体調不良時の特別休暇
ベンチャー企業には、体調不良時の特別休暇制度を設ける企業もあります。
株式会社サイバーエージェントには、「女性活躍促進制度 macalonパッケージ」という取り組みの1つに「エフ休」という制度があります。
エフ休では、生理による不調(月経前症候群)がつらいと感じられる日に、月1日だけ休みを取得できる制度です。
生理痛をはじめとした不調は、一部の女性にしかないものです。
人によっては、そうした不調を感じず、普段通りに仕事がこなせる女性もいます。
しかし、こうした女性特有の不調をサポートする制度があれば、女性は自分自身の体調の変化にとらわれず仕事にはげめるでしょう。
また、子育て中のパパママを対象とした社内報や、子どもの行事の際に休暇を取れる「キッズデイ休暇」というものもあります。
管理職を目指す女性がベンチャー企業を選ぶ際のポイント
女性が管理職を目指すなら、ベンチャー企業を選ぶ際に以下の4つに着目してみてください。
・産休・育休制度をしっかりと取り入れているベンチャー企業
・業務内容がリモートワークに対応できるような業種である
・女性従業員の数が多い会社
・ワークライフバランスを重視している
以上の4つ条件がそろっていれば、女性でも働きやすいベンチャー企業と言えます。
企業研究や面接の際は、こちらの項目もしっかりと確認しておきましょう。
産休・育休制度がある
女性が、ベンチャー企業で管理職を目指すなら、産休・育児制度のある会社を選びましょう。
産休・育休制度があれば、子どもを産んでも退職せずに仕事を続けられます。
女性は、結婚はまだしも、出産すれば必ず一時的に職務を離れなければいけません。
産休は、産前・産後の2種類に分かれています。
産前休暇は、出産予定日の6週間前から取得できます。
産後休暇は、取得できるのが出産してから8週間までです。
その一方で、会社の方針にかかわらず、女性従業員の数が少ないために産休・育休の前例がないというベンチャー企業もあります。
こういったベンチャー企業については、面接時に社内制度がどのようになっているのか確かめる必要があります。
産休・育休の取得実績があるのかどうか、逆質問で企業の体制について理解を深めましょう。
リモートワークが可能
リモートワークのできるベンチャー企業なら、女性でも管理職を目指しやすい環境が整っていると言えるでしょう。
女性に限らず、管理職に就けば業務時間が長くなる傾向にあります。
リモートワークは、場所を選ばず職務に取り組める就業スタイルの1つです。
家事や育児をしていると、急な子どもの体調不良や家庭の事情で、突如家にいなければならない場面は多々あります。
リモートワークができれば、会社に身を置かずとも自宅で仕事ができるため、業務が溜まってしまうことを防げるでしょう。
つまり、子育てと仕事を両立しやすくなるのです。
女性従業員が多い
ベンチャー企業で管理職を目指すなら、女性従業員が多いかどうかもチェックしておきましょう。
女性従業員の多い企業には、女性のライフステージに合った制度の整っている傾向が強くあります。
なかには、すでに女性の管理職が複数いるベンチャー企業もあるのです。
実際にキャリアを積み、女性として素晴らしい働き方をする先輩社員や上司がたくさん所属しています。
自分1人で昇進に向けて頑張るのではなく、社内の仲間と一緒になって、キャリアについて努力しながら頑張れる環境が整っているのです。
ワークライフバランスを重視している
女性で管理職を目指すなら、ワークライフバランスを重視されているベンチャー企業が適しているでしょう。
ワークライフバランスとは、業務に割く時間が適正に保たれる取り組みです。
長時間労働や不必要な残業を禁止、制限しています。
こうした企業では、女性でも家事や育児と仕事を両立しやすいでしょう。
長時間業務に時間を割けないという事情を理解してもらえるうえに、労働時間が延びないように社内メンバーが協力し合って業務にあたります。
まとめ
ベンチャー企業で働く女性や、女性管理職比率について解説しました。
実際の企業では、まだ女性の管理職登用は進んでいません。
しかし、そうした現状を打破しようと、チャレンジする企業はたくさんあります。
社内制度を充実させたり、企業文化を設定したりして女性が働きやすい会社になろうとしているのです。
ベンチャー企業だからといって、一概に女性が働きづらいとは限りません。
女性が、ベンチャー企業で管理職を目指したいと考えているなら、ぜひとも社内制度の整った会社を選んでください。