はじめに
実際に社会に出て働き始めると、学生の時には気付くことのできなかった自分自身の適性に気付くことがあります。
また、さまざまな職種の人たちと関わることで、新たな職種に魅力を感じることもあるでしょう。
カスタマーサポートのお世話になり、問題の解決に向けて丁寧にサポートしてもらった経験から、自分もカスタマーサポート職として誰かの役に立ちたいと思うこともあるでしょう。
ここでは特にカスタマーサポート職に転職したい人に向けて自己PR文の書き方について紹介します。
カスタマーサポートとは
カスタマーサポートの仕事は、主に、顧客からかかってきた電話を受け、顧客が製品を正しく快適に使用することができるように支援を行うことです。
トレーニング、トラブルシューティング、メンテナンス、アップグレードや破棄の支援など、具体的な業務範囲については、企業や製品により異なりますが、いずれにしても顧客にとっては、企業の窓口としての役割を果たします。
カスタマーサポートの対応によって顧客の企業に対するイメージが左右されることになり、いわば、「企業の顔」となる職種です。
顧客満足度を上げ、企業のブランドイメージ向上のために欠かせない仕事です。
顧客とのやりとりは、主に電話で行われることが多いですが、チャットやメールで対応する場合もあります。
カスタマーサポートで求められる能力
効果的に自己PRを書くうえでは、カスタマーサポートの仕事に求められる能力はどのようなものなのかを押さえておく必要があります。
求められる能力を、自分のアピールできる能力として企業に伝えることが自己PRの基本です。
ここでは、カスタマーサポート職で必要とされる能力として一般的なものを挙げてみました。
自己分析の結果、以下のような能力が自分の強みであると把握できた場合には、その能力を自己PR文で企業にアピールしましょう。
対応力
カスタマーサポートの仕事は、さまざまな人物からのお問い合わせに対応しなければなりません。
しかも、かかってきた電話を受ける仕事であることから、どのような人からの問い合わせであるかは、事前に知ることはできませんし、もちろんこちらから顧客を選ぶことはできません。
また、製品に対してどの程度の知識を持っているのかも、千差万別であり、どのようなサポートをしたら良いかは人によって大きく違います。
一人ひとり問い合わせに至るまでの状況も違いますので、問い合わせ内容や問い合わせ元にかかわらず、相手一人ひとりに合わせた対応が必要となってきます。
マニュアル一辺倒でなく、臨機応変に顧客に合わせた対応ができる力は、カスタマーサポートに求められる能力です。
コミュニケーション能力
問い合わせをする顧客は、その製品に対する専門知識を持っていないため、何が問題であるのか根本的な原因を把握できないまま問い合わせしていることも考えられます。
また、顧客側の思い込みで話している可能性もあります。
課題解決のための第一歩は、正確な現状を知ることがですが、カスタマーサポートは顔が見えない顧客との会話の中から、相手の状況を探らなければなりません。
会話だけで、相手の必要としていることを明確に捉えるためには、高度なコミュニケーション能力が必要になります。
良好なコミュニケーションを築き、相手から必要な情報を引き出すことができなければ、カスタマーサポートの仕事は務まらないのです。
相手の立場を想像してスムーズな意思疎通を図れるコミュニケーション能力の高い人は、カスタマーサポートに向いています。
課題解決に向けた高い姿勢
カスタマーサポートの仕事は、お客様の課題を解決することです。
課題解決に向けて全力でサポートする姿勢がなければなりません。
顧客が完全に課題が解決できたと納得していないまま対応を終えたり、早々に電話を切り上げられたりされると、顧客の不満は直接製品や企業に向けられます。
カスタマーサポートの対応一つで、企業や製品への信頼に関わる事態になってしまうのです。
カスタマーサポートの職に就いた場合には、途中で放置したり、いい加減な対応をしたりすることはできません。
普段から課題解決に向けて積極的に取り組もうとする姿勢である人、また解決するまでは諦めない姿勢の人物でないと、カスタマーサポートの仕事は務まらないでしょう。
自己PRのおすすめ構成
自己PRを書く時には、その内容が読む人に伝わりやすく書くことが重要です。
そのためには、文章の構成にも注意しなければなりません。
企業側では、自己PRの文章の読みやすさや伝わりやすさも評価の対象になります。
わかりにくい伝わりにくい文章になってしまうと、PRしたい自分自身の人物像が伝わらないだけでなく、企業の担当者に最後まで読んでもらえない場合もあります。
わかりやすい自己PRは、
・具体的なエピソード
・企業で活かせること
の順で書くことが基本です。
結論
尋ねられていることについては、文章であっても口頭であってもまず結論から述べることが鉄則です。
「私のアピールポイントは〇〇です。」とはじめに言い切ることで、論点を最初に相手に明確に示すことができ、その後に続く話が伝わりやすくなります。
結論を後回しにして話し始めると、結局この人物のアピールしたいことは何なのかと手探りの状態で読み進めることになり、結論までのエピソードについて印象が薄れてしまいます。
結論を裏付けるエピソードの印象が弱いと、結局は、一番伝えたい結論についても強く印象付けることができません。
また、応募者が多い企業などで、多くの応募書類に目を通さなければならない場合など忙しい場合は、冒頭で結論がないわかりにくい内容は、読み飛ばされてしまう危険もあります。
具体的なエピソード
次に、結論で書いた自分のアピールポイントを裏付ける具体的なエピソードを書きましょう。
具体的なエピソードを交えることで、内容が独自性を持ったものになり、自分自身の人物像が伝わりやすく、説得力が増します。
エピソードは、可能な限り具体的な数値を使って説明するなど、相手がイメージしやすいように伝えることを心がけましょう。
新卒の就職活動の時に行ったように、転職においても改めて自己分析を行うことは重要です。
前職での経験も加えた自己分析で、自分の仕事に対する強みや弱み、価値観など自分自身の傾向を知ることができます。
その作業で把握した自分の強みが、カスタマーサポートの仕事をするうえで必要な能力であることを強調できるエピソードを選んで自己PRに交えるようにしましょう。
企業で活かせること
最後に、自分の強みが入社後どのように仕事に活かせるかを書いて締めましょう。
これは、自己PRを書くうえで一番重要なポイントです。
自己PRは、企業が採用したい人物像と、自己PRから想像する応募者の人物像が一致しているように書くことが重要です。
その意味では、入社後企業で自分の能力をどのように活かそうと考えているかを書くことは、その人物が企業に貢献する姿をより想像しやすくするため、企業に採用したいと思わせるための自己PRには必須と言えます。
また、応募者自身でも客観的な自分の未来像を描けていることが伝わり、仕事への熱意や意欲も伝わりやすくなります。
具体的な仕事への活かし方は、面接で深掘りされた時に適切に答えられるように企業研究はしっかり行っておきましょう。
自己PRを書く時のポイント
構成に従って、実際に自己PRを書き始める前に、採用につなげるためのポイントを押さえておきましょう。
どんなにアピールに値する素晴らしい能力を持っていたとしても、それが企業に伝わらなければ意味がありません。
自己PRは、まず企業の担当者に最後まで読んでもらえるものであること、そして、それを通して実際に応募者に会ってみたいと興味を持ってもらえるものであることが必要です。
ここでは、企業に興味を持ってもらえる魅力的な自己PRを書くために押さえておくべきポイントを紹介します。
企業で求められていることを知る
企業が応募者に興味を持つためには、応募書類に書かれた内容から伝わるその人物が企業の求める人物像となっているかどうかが重要です。
ある企業では有利に働くアピールポイントは、ある企業では逆効果となってしまうこともあります。
企業によって求められる人物像は異なるので、それを知らなければ企業の興味を惹く自己PRを作ることはできません。
企業の求めることを知ることで、強調すべきアピールポイントもわかるようになるのです。
採用HPや説明会で情報収集を行うなど、企業研究をしっかり行い、企業の採用したい人物像を掴みましょう。
それを踏まえて、自己分析で把握した自身の強みを、どのような伝え方をすれば、企業の求める人物像に近い印象を与えられるかを考えて自己PRを書きましょう。
エピソードは1つに絞る
自己PRに交えるエピソードを、企業に効果的に響きそうなもの一つに絞ることも、わかりやすい自己PRを書くためのポイントです。
自己PRは、記入欄が設けられていたり、字数制限があったりするのが一般的です。
企業に伝えたいエピソードがいくつもある場合でも、すべてを書き込むことは難しいでしょう。
また、複数のエピソードを書いてしまうと、せっかくのエピソードも、インパクトが薄くなってしまい逆効果です。
エピソードが複数ある場合には、企業の求める人物像を調べたうえで、それに近い人物像のイメージがより強く伝わるものを厳選しましょう。
できるだけ、数値化して説明できる内容であるなど具体的で、客観的に伝わりやすいエピソードを選ぶことも重要です。
指定文字数の7割は埋める
自己PR文は文字数が指定されていることがあります。
その場合には最低7割の字数は使って書くようにしましょう。
文字数があまりにも少ないとアピールする姿勢を疑問視されてしまいますし、熱意が感じられず、入社意欲が低い印象を持たれてしまう危険があります。
文字数の指定がなく、自己PR欄が設けられている場合も、文字の大きさにも配慮しながら隙間なく埋めるように書き、書きたいことが少ない印象を与えないようにしましょう。
また、自己PRについては、書類選考後の面接の際、必ず口頭で求められたり、質問の対象となったりするものです。
企業の興味を惹きそうなものを簡潔にまとめて書いたうえで、詳細に内容を質問されたり、エピソードを深掘りされたりした場合には、付け足して膨らませて話せるように準備をしておきましょう。
カスタマーサポートの自己PR例文
以下にカスタマーサポートを志望する人の自己PRの例文を紹介します。
カスタマーサポートという職種では、どのような人からの問い合わせであるか、またどのような内容であるかは、事前にはわからないため、その場その場の顧客に合わせた対応力が必要とされます。
また、顧客の求めていることを会話のみで的確に掴むための、高度なコミュニケーション能力も必要となる職種です。
はじめの例文では、前職での対応力についてアピールした例文、次の例文ではコミュニケーション能力をアピールした例文になっています。
対応力をアピール
そこで、なるべく一人ひとりのお客様の価値観に合わせた対応ができるように、できる限り年齢層や性別、職業などで先入観を持たないよう心がけました。
年齢や性別などでひとくくりにして対応を決めるのではなく、まずお客様の話に丁寧に耳を傾けることにより、そのお客様がどのような価値観を持っているのかを把握するようにしたのです。
一人ひとりのお客様に合わせ、常にお客様第一の営業を心がけた結果、所属支店で3ヶ月連続受注数一位を継続させることができました。
カスタマーサポート職でも営業職で培った柔軟な対応力を活かし、顧客ファーストで心地よいサービスを提供できると思っています。
コミュニケーション能力をアピール
前職は飲食店の接客係として、お客様の様子を見ながら適切な声がけを心がけていました。
最近は若い人たちの来店が増え、夏はどうしてもエアコンを強めにすることが多くなっていたため、年配のお客様が寒そうにしていることが多く、それまで常連だったお客様の来店頻度が減っていることに気付きました。
そこで、比較的年配のお客様は、直接エアコンの風が当たらない席に案内したり、様子を見て寒くないかこまめに声がけしたりを心がけたのです。
最終的には、最近来店が減っていた年配の常連のお客様から「〇〇さんがいるからきたよ」といっていただけ、以前のように頻繁に来てくださるようになりました。
このようなお客様な様子を見たうえでの適切な声がけ、コミュニケーション能力は御社の業務でも活かすことができると考えています。
おわりに
自己PRの基本は、企業の採用したい人物像を調べ、その人物像が自分の人物像と一致するように書くことです。
職種に対する適性があるかどうかは企業がまず知りたいポイントでしょう。
カスタマーサポート職であれば、コミュニケーション能力、臨機応変な対応力、課題解決能力などの適性がある人物であることを企業に伝わるように書くことが重要です。
具体的なエピソードを交えて自己PRすることで、自身の人物像がより伝わりやすくなり、説得力を増します。
自己分析と企業研究をしっかり行い、採用につながる自己PRを書きましょう。