はじめに
就職活動が進む中で、面接以外にもグループディスカッションを課される場合があります。
面接の対策をしてきても、複数人での課題であるグループディスカッションへの対策は、不十分に感じている人もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、はじめてグループディスカッションに臨む方へ向けて、選考における流れや、対策へのヒントなどをご紹介します。
グループディスカッションにおけるコツを理解し、不安を軽減して本番へ臨むため、参考にしてみてください。
グループディスカッションとは
グループディスカッションとは、4~6人ほどのグループで、1つの課題に対して答えを出すという選考です。
選考フローの序盤で多く実施されることが多く、面接などよりも人柄が出やすいといわれています。
最近ではWeb面接などと同じように、オンライン上でのグループディスカッション選考も増加しきました。
対面に比べて相手の雰囲気をつかむことが難しいため、進行に苦手意識を感じる方も多いかもしれません。
どちらにせよ、1対1で行われることが多い個別面接に比べ対策が難しく、準備が足りないまま臨む方も少なくありません。
はじめて臨む方は、グループディスカッションがどのような流れで行われるのか把握しておくだけでも、当日の負担が減ります、
これから解説していくので参考にしてみてください。
グループディスカッションの流れ
それではグループディスカッションの流れを解説していきます。
時間制限がある中で、意外にも多くの段階を踏むため、しっかり把握しておきましょう。
大まかには、企業側からの説明→役割決め→テーマの掘り下げ→アイデア出し→結論発表という流れです。
これらのタスクを、多くは30~45分程度の時間内に行います。
「はじめてだから、様子を見ていよう」と思わず、できそうなことは進んで協力すると良いでしょう。
次から、フローの各項目をくわしく解説していきます。
自己紹介
企業からテーマやルールなどを伝えられたら、それぞれ自己紹介をします。
時間配分としては、序盤をなるべく短く収めることがコツです。
名前や大学名、趣味などを簡潔に話し、手短に済ませましょう。
またこのタイミングで、各々が得意だと思っていることを共有すると、そのあとの進行がスムーズになります。
話すことが得意・計算が速い・チームをまとめた経験があるなど、テーマに合わせた得意分野について話しましょう。
また、くわしい自己紹介は本番の時間内で行うべきですが、選考が始まるまでの待機時間に、ほかのメンバーと軽く会話をしても問題ありません。
なるべく早く打ち解けておくと、ディスカッションも円滑に進みやすくなるでしょう。
役割を決める
自己紹介が終わったら、ディスカッションにおける役割を決定していきます。
集団で決められた時間内に討論を行い、結論を出す必要があるため、各々が自由に発言していては、いつまでも結論に到達しません。
少人数の場合でも、しっかり役割分担を行いましょう。
この場面も、討論の前段階のため、なるべく手短に行うことが理想です。
自分にとって不本意な役割や、苦手だと感じる役割が回ってきても、よほどのことがない限りは、決定した役割に異議を唱えることはやめましょう。
できるなら、自分が得意とする役割に自ら名乗り出るようにすると、発言する姿勢・自らの適正への理解、場合によっては場の空気を読む能力などを企業側にアピールできます。
反対に、ほかの人に無理やり役割を押し付けるような発言はNGです。
細かい役割の内容については以下でそれぞれ解説していきます。
ファシリテーター
ファシリテーターは議論を前に進めるリーダー的存在です。
積極的に発言できる人や、議論の方向性を把握できている人が適しています。
しかし、やみくもに発言し、ただ場を仕切るだけでは、ファシリテーターとしては不十分です。
参加者の発言を平等に引き出し、それぞれの意見をうまく課題に沿わせ、結論を導く材料として扱わなければなりません。
あくまで、メンバーが発言しやすい空気を作ることが目的です。
自らの意見を述べるよりは、周囲に気を配り、意見を言いよどんでいる人が発言しやすくなるような状況を作る必要があります。
制限時間に対してもっともシビアな感覚が求められる位置のため、焦って無理に結論を出さないように気をつけましょう。
書記
書記は、主に議事録を取る係です。
対面の場合はノートなどに、オンラインの場合はGoogle Docsを画面共有することで、議論を可視化します。
オンラインの場合、タイピングしながらの議論になるため、ブラインドタッチやマルチタスクができる人におすすめです。
意見が多く出ると、それをすべて記憶してまとめ上げることは難しくなっていきます。
書記による記録を都度確認し、どのような流れでどのような意見が出たのかを把握することで、結論への道筋がわかりやすくなります。
メンバーの人数が多い場合は、1人だと困難なため、2人ほど担当すると良いでしょう。
グループディスカッションに苦手意識がある場合は、書記を担当することで、議論に貢献できます。
書くことに集中しすぎて発言が減ってしまうこともあるため、その点には注意してください。
タイムキーパー
時間制限があるグループディスカッションにおいて非常に重要なのが、タイムキーパーです。
議論が白熱し、意見交換が活発に行われるほど、時間への意識は下がっていく傾向があります。
「気がついたら制限時間オーバーになっていた」という場合も少なくありません。
タイムキーパーは、意見の発表や、結論に向けて意見をまとめる時間などを区切り、進行の補助を行います。
自分も発言しながら、ファシリテーターに時間を知らせ、制限時間内までの議論にメリハリをつけましょう。
こちらの役割も、グループディスカッションに苦手意識にある方が選ぶのに良いポジションです。
発言が積極的にできなくとも、タイムキープによって議論に大きく貢献できるでしょう。
もちろん、役割についているからといって、それだけで評価されるということはありません。
求められている、残り時間と進捗への意識が足りなければ、マイナスの印象になることもあるので気をつけましょう。
発表者
はじめてグループディスカッションに臨む方の中には「役割につかないと面接官の印象に残らない」と思っている方もいるのではないでしょうか。
実際に、そんなことはありません。
むしろ討論を作り上げていくのは、役割に就いていない発表者です。
結論を導くためには活発な意見交換が求められるため、積極的に発言していきましょう。
しかし、自分の意見を押し通そうとしたり、他社を批判したりすることはNGです。
ほかのメンバーに迷惑をかける行為は、実際に企業で働く際にも問題行動と見なされます。
いわゆるクラッシャー行為は決してやってはいけません。
また、グループ内にクラッシャーがいる場合、ほかのメンバーも放置せずに、あらためて議論の本筋に戻る空気を作りましょう。
この際も過度な否定や、あからさまに強引な流れを作るのではなく、全員が気持ちよく発言できる状況を目指すことが重要です。
お題の定義確認
あらためて、ディスカッションの流れについての紹介に戻ります。
役割が決まったら、いよいよディスカッションのスタートです。
企業側から提示されたお題について、メンバー内で認識の食い違いが発生しないように、どういった意味なのかを全員で確認します。
ここで食い違いをきちんとなくしておかないと、そのあとの意見交換において難易度が上がってしまうため、丁寧に行いましょう。
基本的にファシリテーターの発言から始めると、意見しやすい空気になります。
抽象的なテーマを扱う際は、このフェーズは少し多めに時間を割くと良いかもしれません。
目安として、全体の1/3ほどに収めると、進行に大きな影響が出ないでしょう。
この時点でお題に対しての知見がない場合、知ったかぶりでやり過ごさず、正直に申し出ましょう。
知識の有無で合否が決まることはほとんどありません。
むしろ議論への建設的な姿勢は評価されるため、無理に話そうとせず、周りの意見をふまえて自分の意見を考えましょう。
現状分析
次に、定義した項目に沿って、現在の売り上げはいくつかなど、状況分析を行いましょう。
広義ではこれもお題の定義確認などと同じフェーズに含まれます。
建設的な会議のために、下ごしらえをする時間と言っても良いでしょう。
グループディスカッションのお題には、以下5つの頻出テーマがあります。
・抽象的なものに対して議論する:抽象テーマ型
・賛成派と反対派に分かれて議論する:討論型
・与えられた課題の解決方法について議論する:課題解決型
・商品や企業の売り上げアップのアイデアを考える:売り上げアップ型
・新規事業についての議論をする:新規事業型
現状分析は特に後半のタイプにおいて必要な段取りです。
企業側から資料を与えられていることもあるため、それを読み込み、データをふまえた話し合いが求められます。
課題把握
ここで、このディスカッションにおいて求められる課題について共有します。
具体的な議論の終着点と決定することにより、意見が出やすく、結論までの道のりがコンパクトになるでしょう。
この過程で、課題解決の意味をくみ取り理解できているかをチェックされます。
ゴールを正確に設定するには、課題への的確な分析と知識が必要です。
また、自分がどうしてその分析に至ったのかをメンバーに伝えるためには、論理的思考とそれを説明できる発言力が求められます。
考えを整理し、相手にうまく伝えられれば、面接官には好印象を与えられるでしょう。
ここまでで、ディスカッションの下ごしらえは終了です。
ここから、アイデアを出し合い、課題把握の時点で決まったゴールに向けて話し合いを進めていきます。
施策立案
その課題に対して何をするべきか、アイデアを出し合います。
制限時間内でうまく話し合いを進めるには、基本的に複数のアイデアを出して、その中から優先順位をつけて絞っていく、という流れが有効です。
お題によっては、必ずしも定義確認~課題把握までのすべての過程を行う必要はないため、時間は20分程度残っているはずです。
ここから、課題把握の時点で決まったゴールに向けて、話し合いを進めていきます。
コミュニケーションがもっとも重要な場面です。
当然面接官もコミュニケーション能力を重点的に見ています。
メンバー全員が主体性をもって、議論に参加しているかどうか、メンバーを思いやる協調性があるかなど、全体意識を見られていると思って臨みましょう。
発表
意見が出そろったら、課題把握で設定したゴールに沿って結論を導き出します。
ディスカッションが終了したら、最後に行うのは、発表者による発表です。
議論中に作成したパワーポイントや資料をもとに説明する場合や、書記が作成した議事録を参考に、言葉だけで説明する場合もあるでしょう。
決まった1人発表するのではなく、複数人でプレゼン形式の発表を行う場合もあります。
また、発表する結論は、伝わりやすいよう簡潔にまとめる必要があります。
時間の目安としては1分~1分半程度です。
どのような場合でも、代表者に責任を押し付けるようなことはせず、発表者が困っているようだったら、すぐにサポートに入れるよう準備をしておきましょう。
面接官は非発表者のサポートも注目しています。
常に自分が参加者であるというと意識した行動を心がけましょう。
グループディスカッションにおいて見られているポイント
グループディスカッションの流れについて、理解できたかと思います。
それでは、面接官はグループディスカッションで、どのような点に注目しているのでしょうか。
先程までの流れの説明でも少し触れましたが、これからさらにくわしく解説していきます。
大まかに説明すると、グループディスカッションで見られているのは、チームで仕事をするうえでの対人能力です。
誰かと一緒に同一の目標に向かって物事を進めていく、社会人にとって必須のスキルと言えます。
具体的なポイントについても以下で解説していくので、ぜひ覚えておいてください。
積極性
まず企業が重要視しているポイントは、積極性です。
これは、グループディスカッションにおいては発言量などで評価されます。
入社後や、インターン参加後の業務に対して、どれほどコミットできるのかを議論への積極性で判断しているのです。
必ずしも、ファシリテーターを担当することや、たくさんアイデアを出すことが積極性の評価につながるわけではありません。
外のメンバーの話をしっかり聞いたり、前のめりに話し合いに参加したりと、とにかく「自分はこの議論に参加している」という当事者意識をもっていることが重要なのです。
発言量を増やせば良いと思って空回りしている人よりも、人の意見や課題に対しての理解を示したり、ディスカッション自体を俯瞰して「ちょっとここに時間をかけすぎているかもしれません」などの意見を出したりすることでも、積極性はアピールできます。
論理性
次に重要視されるのが論理性です。
議論のお題や論点にあった発言ができているかが問われます。
つまり、やみくもな意見を出しても、そこに論理的な理由付けがなければ、評価がマイナスになることがあります。
深く考えずにたくさん発言するのは、積極性の観点から見ても低評価につながる可能性があるため避けましょう。
発言した内容について、明確な理由付けがされているかどうかを、面接官は見ています。
仕事をしていくうえで、自分で課題を見つけ、改善・解決のために筋道を立てて考えられる力は重要です。
与えられた課題をどのように分析し、考えたのか評価する企業は多いでしょう。
「なぜそう思うのか」を明確にして発言することを意識していけば、少しずつ論理性のある意見を提示できるようになります。
コミュニケーション能力
また、施策立案の項目でも解説した通り、コミュニケーション能力は、グループディスカッションでもっとも注目されているポイントです。
話すばかりではなく、人の話を深く聞く傾聴力や発言ができていない人に話を振るなど、グループでの行動がどれだけできているかは企業にとって重要なスキルのため、当然注目度は上がります。
意見をまとめる、自分の意見の発表、疑問点について質問するなど、参加者であれば可能なアクションが多くあります。
「自分から意見を言うのは苦手」という場合でも、人の意見を聞いて質問したり、相づちを声に出したりといった行動で、コミュニケーション能力をアピールできるでしょう。
自分が議論に貢献するためにできることは何かを探す姿勢で、グループディスカッションに臨むと良いかもしれません。
グループディスカッションに向けた対策を紹介!
それでは、グループディスカッション選考には、具体的にどのような対策を行えば良いのでしょうか。
もちろん、大学などで人数を集めることができるのであれば、4~6人で実際にテーマについて話し合い、第三者にフィードバックしてもらうことが理想です。
実践が最も効果的なため、そういった方法が可能であれば積極的に行いましょう。
しかし、そうした環境がない方も多いはずです。
実践練習を行うことのが難しい場合は、次に説明する対策を行ってみてください。
YouTubeなどでディスカッションの様子を見ておく
現在、動画投稿サイトのYouTubeには、グループディスカッションの様子などが数多くアップロードされています。
就活サイトなどが企画しているものや、個人の方が情報発信を行っているものまでさまざまですが、どれもグループディスカッションがどのように進んでいくのかを知るのには十分です。
はじめてグループディスカッションに参加する方は、どのような選考なのかがイメージしづらく、不安に感じることが多いようです。
動画では、注意するべきポイントなどを解説しながら、当日どのような流れで行われるのか予習できます。
文字だけで見るよりもよりわかりやすいため、不安が解消されやすいでしょう。
実際に使えるワードや、提案内容なども多くあるので、ぜひ参考にしてみてください。
ニュースを見ておく
グループディスカッションのお題は当日まで明らかにされません。
社会問題などがお題として取り上げられることも多いため、ニュースは常にチェックしておきましょう。
知識の有無が合否に直接関係することはないと述べましたが、建設的な意見を出すには、ある程度お題に対して知見のあるほうが有利です。
また、社会問題は面接や適性試験などでも用いられることが多いトピックのため、就活を優位に進めたいなら、常に確認しておきましょう。
また余力があるなら、ニュースで見た内容について自分なりに調べておくことも重要です。
数字やデータを頭に入れておくと、意見を出す際に、論理的な証拠として提示できます。
最近ではアプリなどで新聞やニュース記事を手軽に読めるので、通勤・通学時間や休み時間などに確認する習慣をつけてみてはいかがでしょうか。
簡単なフレームワークを知っておく
フレームワークとは、論理的思考をしやすくする、思考の枠組みのことを指します。
意思決定や問題解決、分析など、考えをまとめなければならないときにフレームワークを用いると、すっきりと論理的な意見にまとまります。
グループディスカッションにおいて、論理的思考は重要です。
さらに、グループディスカッションは制限時間が短く、考える時間をあまり長くは取れません。
短い時間で簡潔に考えをまとめるために、フレームワークを覚えて使ってみましょう。
自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)の3つの関係性から現状を考えるために用いる3C分析や、強みと弱みを内部的要因と外部的要因の二方向から分析するSWOT分析などは、覚えておくだけで課題や意見を可視化しやすくなります。
ディスカッション中に使える、視点や考え方の枠組みを知っておくと、自分の意見もスムーズに出せるでしょう。
おわりに
はじめてのグループディスカッションに不安を覚える方は大勢います。
また、大学のゼミやサークルなどで、話し合いや議論に慣れている方でも、落ちてしまう方は一定数いるものです。
しかしその多くは、対策の立て方がわからず自己流で臨んでしまい、求められているスキルをアピールできなかった可能性があります。
言い換えれば対策を考えておくだけでも、その他大勢から抜け出し、次の選考に進める可能性があります。
この記事でご紹介した対策などで、気になるものがあればぜひ試してみてください。