はじめに
就職活動においては、面接での答え方が採用選考の結果を左右することは言うまでもありません。
ベンチャー企業は特に、会社理念を大切にしている場合が多く、面接の際に「会社理念についてどう思うか」を聞かれることも少なくありません。
そのような質問がない場合でも、企業の個性とも言える会社理念に共感したことを志望動機にあげる人は多く、会社理念について語る対策は必要不可欠と言えます。
ここでは、ベンチャー企業の面接で会社理念について聞かれた場合、採用につながる答え方を考えてみましょう。
ベンチャーが会社理念について聞く理由
・志望度を探るため
・価値観が合っているか確認するため
会社理念とは、その会社が何を大切にしているのか・なんのために存在しているのか・どのような価値観で事業を行っているのかを言語化したものです。
面接でその企業の会社理念についてどう思うかを聞かれた場合は、どのような答え方をすれば高く評価されるでしょうか。
それを考える際には、企業がどのような理由でその質問をするのかを知っておかなければなりません。
そこで、以下にベンチャー企業が自社の会社理念について聞く理由をあげてみました。
これらをうまくクリアできるような答え方ができるよう対策しましょう。
志望度を探るため
「自社の会社理念についてどう思うか」の質問に対する就活生の答え方から、企業はその企業への志望度がどれくらいのものかをはかっています。
特に成長前のベンチャー企業は「大手企業の滑り止めにされているのではないか」という意識をもっている場合が多いです。
そのため「実際に内定を出したとしても、第一志望の大手に内定が決まれば、辞退されてしまうのではないか」という不安を抱えています。
多くの応募があっても、実際の入社人数は採用予定を下回ってしまうベンチャー企業は少なくありません。
そのため、応募者の志望度合いを探るために会社理念について聞き、企業をどのくらい理解しようと努力したのか、熱意をはかっていると言って良いでしょう。
企業研究はしっかり行い、企業理念についても評価を得られる受け答えができるようにしておかないと、志望度が低いと判断されてしまいます。
価値観が合っているか確認するため
ベンチャー企業では、同じ目標に向かって一丸となって努力し貢献してくれる人材を求めています。
ミスマッチを防ぎたいのは、どこの企業でも同じです。
特にベンチャー企業では、大手企業に比べ離職率が高いため、価値観が合っているかどうかはその他の企業以上に重要視します。
起業間もないベンチャー企業や、成長期のベンチャーでは、事業に多くの資金を投入しなければならず、人手不足の状態である場合が多いです。
そのため、激務になる傾向がある一方、軌道に乗るまでは業績も安定しないこともあり、給料も思うように上がらないことも考えられます。
会社理念の下、会社の未来を信じていなければ仕事を続けることは難しいでしょう。
ベンチャー企業が会社理念について聞く理由の1つは、つらい状況になっても、同じ価値観をもって、辞めず一緒に頑張ってくれる人物かどうかを確認するためと言えるでしょう。
ベンチャーの会社理念について答えるための下準備
・会社理念を把握する
・社長のSNSをチェックする
ベンチャー企業が、面接で会社理念について聞く理由を把握できたら、それをふまえて高評価を得られる答え方ができるように下準備が必要です。
先の「ベンチャーが会社理念について聞く理由」をふまえて、以下の2点を企業へ伝えられるようにしなければなりません。
・価値観が合っていること
そのためには、当然ながら、何をおいても会社を深く知ることが第一です。
企業研究の一環として、特に以下の2点に注意してできるだけ多くの情報を集めましょう。
会社理念を把握する
企業のホームページなどでは、その会社理念が、広く公開されています。
まずは、ホームページなどでその企業の会社理念を確認しましょう。
注意しなければならないのは、ホームページはその企業を志望している就活生であればおそらく全員が目にするものであり、そこに書かれている文言を覚えるだけでは、会社理念を理解したことにはなりません。
その会社理念がどこから生まれたのか、どのような過程を経て、その企業の会社理念となったのかを知ることが必要なのです。
そのためには会社の歴史を調べ、成り立ちをしっかり把握することです。 会社理念には、経営陣がその企業を立ち上げた想いなどが込められています。
その込められたものを知ることで、企業が何に重きを置いているのか、どのような価値観で活動しているのかを把握でき、会社理念の意味を深く知れるのです。
社長のSNSをチェックする
特に立ち上げから間もない場合や、成長途中にあるベンチャー企業は多忙であることが多く、ホームページを作り込む時間がないため、ホームページだけでは知りたい情報を十分得られない場合があります。
その場合にはSNSをチェックしてみるのがおすすめです。
ベンチャー企業では、社長自らが会社に対しての想いや熱意を気軽にSNSで発信していることが多いです。
ベンチャー企業の会社理念は、社長が立てていることも多く、社長の会社に対する熱意や仕事に対する価値観を知ることで、会社理念についての理解を深めることにつなげられます。
また、どのような人材を求めているか・どのような方向に向かっていくのか、変化の流れが激しいベンチャー企業におけるその時点での生きた情報を得るためにも、SNSのチェックは有用です。
ベンチャーの会社理念について答える際の注意点
・ホームページの内容を引用しない
・共感する理由が薄い
会社理念に共感したことを志望動機としてあげる場合、また企業側から会社理念についての感想を聞かれた場合にも、会社理念について語るなら注意すべきことがあります。
以下に、ベンチャー企業の面接の場面で会社理念について語る際、注意すべきこともあげてみました。
ほかの一般的な企業と比べて、ベンチャー企業を志望する場合には、会社理念についての発言はより重要になってきます。
逆効果にならないよう、しっかりと注意して高評価を得られるようにしましょう。
ホームページの内容を引用しない
多くの就活生は、企業研究の際には、まず企業のホームページを確認するのが通常です。
それが志望企業の会社理念について知る方法としては、一番簡単な方法と言えるでしょう。
そのため、ホームページに書かれていることは、多くの就活生が言えてしまう内容となってしまいます。
その内容をそのまま安易に引用してしまうと、他の就活生と差別化できないだけでなく、誰にでも言える内容であるため、企業研究が不十分な印象を与えてしまう危険があります。
企業研究としてホームページを確認することは重要ですが、ホームページの内容をそのまま引用するのは避けたほうが良いでしょう。
ホームページの内容に触れるならば、どこの部分に企業の社風や理念があらわれていたか、それを見て自分がどのように思ったかを自分の言葉で伝えましょう。
共感する理由が薄い
ベンチャー企業は、それまでにない新しい技術やアイデアを活用し、大きく成長することを信じて、企業の成長のために一丸となって働く人達の集まりと言えます。
したがって、会社理念に共感することはもちろん、その理念の下で、自分もその集団の一員となって頑張る姿勢が求められます。
「会社理念に共感します」とは誰にでも言えることですが、共感する理由を聞かれてはっきり答えられなかったり、共感する理由が薄かったりすると、企業側から良い評価を得られません。
共感する理由を、熱意と説得力をもって面接官に伝える必要があるのです。
そのためには、その根拠となる自身の経験談を準備しておく必要があります。
実際に体験したエピソードを交えて語ることで、共感する理由に具体性をもたせられ、共感した理由に説得力が増すのです。
ベンチャーから高評価の会社理念についての答え方
①結論
②理由
③入社後のビジョン
ここまでで、会社理念について語る内容がまとまってきたのではないでしょうか。
せっかくまとめた内容が、うまく伝わらないのでは意味がありません。
そこで次は、会社理念について聞かれた場合にわかりやすく答える方法を紹介しましょう。
説得力をもって簡潔にわかりやすい文章を作るフレームワークとして「PREP法」というものがあります。
結論(Point)・理由(Reason)・具体例(Example)・結論(Point)の頭文字を取ったもので、この順序で話を展開することで、わかりやすく伝えられるとされています。
さっそく、このPREP法を用いた答え方について見てみましょう。
結論
「私は、御社の会社理念に深く共感します」と、最初に結論を簡潔に述べましょう。
わかりやすい受け答えの基本は、質問に対しての結論を冒頭で簡潔に答えることです。
聞かれたことに対して、理由やエピソードから話し始めてしまうと、聞き手側ではなんの話なのかわからないまま話を聞くことになってしまいます。
わかりにくい話は、多くの応募者を面接しなければならない面接官にとってはわずらわしく、真剣に聞いてもらえない可能性もあります。
はじめに結論を述べて話の道筋を示し、そのあとに続くエピソードをわかりやすくし、面接官に興味をもって聞いてもらえるようにしましょう。
また、面接では、緊張もあり、自分でも途中で何を話しているのかわからなくなってしまう場合もあるでしょう。
結論を先に述べておくことで、自分自身でも筋道を立てて話やすくなります。
理由
結論の次には、会社理念に共感する理由は、具体例を交えて述べます。
説得力をもたせて伝えるために、自分の具体的な経験をエピソードとして交えて語ることは重要なポイントです。
面接では、企業はその応募者の人柄を見ようとしていますが、実際の経験を語ることで、自分自身がどのような人物であるのかも企業に伝えられます。
ここで語るエピソードを探すためには、自己分析が役に立ちます。 自己分析は、就職活動では非常に重要な作業です。 すでに自己分析が終わっている場合は、理由の根拠となる具体例を簡単にあげられるはずです。 具体的なエピソードが見つからない場合は、自己分析が十分でないと考えられます。 ミスマッチの可能性もあるため、この機会にしっかりと自己分析をして臨みましょう。
入社後のビジョン
最後の結論として、入社後のビジョンを伝えましょう。
自分が会社理念を受けてどう思ったのかを延べ、入社後、自分がどのように働いていきたいのかを述べましょう。
企業は、価値観や考え方が一致していることに加え、企業に貢献してくれる人を求めています。
自分がどのように会社に貢献できるか、会社理念を自分のものとして、熱意をもって仕事に向かっていく気概を伝えると良いでしょう。
困難なことに直面しても、ベンチャー企業では特に、同じ目標へ向かって一丸となって頑張れるグリッド力のある人物が求められる傾向にあります。
その求心力となるものが、会社理念と言えるでしょう。
会社理念を絡めて、自分が会社の一員として貢献できる人材であることを伝えられるようアピールしましょう。
丸暗記しないようにしよう
最後に注意点をあげるとすれば、丸暗記をしないことです。 面接に備えて準備をすることはたしかに必要なことです。
しかし完璧にしようとするあまり、作った文章を丸暗記したり、丸暗記した文章を繰り返し練習したりすることは、逆効果になることもあるので避けたほうが良いでしょう。
面接ではコミュニケーション能力も評価されるため、自然な会話のやり取りができないと致命的です。
また、丸暗記してしまうと発言が棒読みになってしまったり、暗記した箇所を飛ばして、言い直したりすることになってしまいます。
そうなってしまえば、本心であるにもかかわらず、どこか嘘っぽい印象になってしまいがちです。
熱意が伝わらないばかりか、志望度を疑われてしまっては、せっかくの対策が台無しになってしまいます。
何を話すのか、軸となる要点だけをしっかり準備して、熱意が伝わるように話しましょう。
まとめ
会社理念について語れるようにしておくことは、ベンチャー企業を志望する場合では特に重要です。
面接で聞かれるだけでなく、会社理念に共感したことを志望動機としてもあげる就活生は多いでしょう。
しかし、ただ「共感します」と言うだけでは採用に結びつけられません。
採用につながるような評価を得るためには、企業研究や自己分析をはじめ、さまざまな準備が必要です。
会社理念を深く正しく把握し、後悔しない就職活動にしましょう。