はじめに
新卒採用の際に、多くの企業が選考の一環としてwebテストを実施しています。
この記事を読んでいる方の中には、「webテストってどんな内容のテストなんだろう?」「たくさん種類があるけれど、どんな違いがあるんだろう?」と疑問を持っている方も少なくないでしょう。
そこで、この記事ではwebテストの内容や種類、対策方法、難易度や合格ラインについて解説していきます。
これから就活を始めようと考えている方や、就活に苦戦しているという方はぜひ参考にしてみてください。
【webテストの種類は?】webテストとは?
webテストは、就活生の能力や性格、考え方などが企業に適しているかどうかを測るための適性検査のことです。
企業がwebテストを導入する理由としては、採用活動の効率化が挙げられます。
特に大企業は就活生からの人気も高く、毎年応募者が殺到するため、その中から企業に適した人材を選び抜く人事担当者の負担は相当のものでしょう。
その負担を少しでも軽減し、優秀な人材を確保しやすくするための方法としてwebテストが採用されているのです。
テストの内容は言語問題・非言語問題・英語問題が出題される能力検査と性格検査で構成されています。
それぞれの詳しい出題内容や難易度、webテストの種類についてはのちほど詳しく説明します。
能力検査・性格検査について
webテストの基本的な内容は、能力検査と性格検査の2つです。
能力検査は主に就活生の学力を測定するテストで、言語分野と非言語分野に加え、外資系企業などでは英語問題が出題されます。
一方で性格検査は、就活生の性格を見るためのテストです。
webテストに苦戦する就活生の多くは能力検査の方でつまずいています。
どの分野も中学校~高校レベルの問題が出題されますが、語彙力や読解力、計算スピードなどを鍛えておかなければ、高得点を得るのは難しいでしょう。
webテストは、難易度が低い分短時間でたくさんの問題を解く必要があり、問題に慣れていないと半分も解答できずに終わってしまうことも珍しくありません。
そのため、学力に自信がある人もきちんと対策する必要があります。
【webテストの種類は?】webテストの種類について
ここからは、数あるwebテストの中から多くの企業が採用している5種類の主要テストについて詳しく解説していきます。
企業によって採用しているテストはそれぞれ異なるため、多くの就活生は複数のテストに取り組まなければなりません。
そのため、それぞれの頻出分野や対策方法について把握しておくと、他の就活生に差をつけることができます。
志望する企業がどのwebテストを採用していても対応できるように、それぞれの内容を確認しておきましょう。
SPI
SPIは、全国の企業が積極的に採用しているwebテストです。
対策本がたくさん売られているので、名前を知っている人も多いでしょう。
内容は基礎能力検査と性格検査の2つに分かれていて、基礎能力検査は言語分野と非言語分野を合わせて約35分、性格検査は約30分の制限時間が設定されています。
テスト時間は受検方式によって異なるため、あくまで目安として覚えておいてください。
また、受検方式については、自宅のパソコンで受検するwebテスティング方式・テストセンター方式・企業で受検するペーパーテスト方式などさまざまな種類があります。
基礎能力検査に出題される問題はいずれも中学校~高校レベルですが、制限時間に対して問題数が多いため、慣れていなければ高得点を取るのは難しいでしょう。
玉手箱
玉手箱も、SPIと同様に多くの企業が採用しているwebテストです。
基礎能力検査と性格検査の2つで構成されており、基礎能力検査はいくつかの問題形式の中から企業ごとに異なった組み合わせの問題が出題されます。
また、玉手箱の出題方法には大きな特徴があります。
それは、同じ問題形式では1種類の問題が出続けるというものです。
たとえば言語分野の論理的読解問題では、長文を呼んで設問分の論理的な正誤を判断する問題のみが出題され続けます。
つまり、出題範囲と問題の傾向を掴むことができれば対策しやすいテストということです。
また、他の形式と比べて短時間で解く必要があるため、1問につき10~30秒ほどで解く練習をしておきましょう。
GAB
GABは、玉手箱と同じ日本エス・エイチ・エル社が提供している総合適正テストです。
こちらも能力検査とパーソナリティ検査の2つで構成されています。
営業職やマネジメント職、研究職など、多種多様な職種の適性を判断することができるのが特徴です。
主に商社や証券会社の選考で採用されることが多いため、そういった業界を目指す人は念入りに対策しておきましょう。
テストの内容は計算・言語・英語の3分野で構成されていて、長文読解や図表の読み取りが多く出題される傾向にあり、SPIや玉手箱と比べると時間のかかる問題が多い印象です。
計算分野ではデータを読み取る力や素早い計算力、言語分野では読解力、英語分野では速読力や読解力を測ることを目的としています。
CAB
CABも玉手箱やGABと同様、日本エス・エイチ・エル社が提供している総合適正テストのひとつです。
他のwebテストと同様に、能力検査と性格検査の2つで構成されています。
システムエンジニアやプログラマーといった専門職の適性を診断できる内容となっており、主にIT企業で採用されることが多いです。
テストの内容は暗算・法則性・命令表・暗号の4科目で構成されており、論理的思考力や短時間で情報を処理する能力を問う問題が多く出題されます。
短時間で多くの問題を解く必要があり、問題の内容も他のwebテストと比べると専門性の高いものであるため、IT業界を目指す人は念入りに対策しておきましょう。
なお、テストは基本的にwebテスト方式とペーパーテスト方式のどちらかになります。
TG-WEB
TG-WEBとは、ヒューマネージという人事コンサルティング会社が提供している適性検査です。
こちらも他のテストと同じく能力検査と性格検査の2つで構成されています。
知的能力と企業への性格適性を測ることができ、大手金融企業や外資系コンサルティング会社などで採用されることが多いテストです。
テストの内容は言語・計数・英語の3分野に分かれていて、他のwebテストと比べると難易度が高く設定されています。
さらに、問題形式も「従来型」と「新型」の2種類があり、難易度や問題分野が異なっているので、十分に準備したうえで本番に臨みましょう。
また受検方法については、自宅で受検するwebテスティング方式が主流ですが、テストセンターでも実施されています。
【webテストの種類は?】具体的な出題内容について
ここからは、能力検査で出題される言語問題・非言語問題・英語問題、そして性格検査について、詳しい内容を紹介していきます。
各分野の出題範囲や対策方法について説明しますので、これから対策を始める人はぜひ参考にしてみてください。
ただし、webテストの種類によって出題の傾向が異なっており、特にCABでは独自の問題が多く出題されるので注意が必要です。
ここでは最も主流なテストであるSPIを基準に解説しますので、それを念頭に置いて読んでください。
言語問題
言語問題は国語にあたる分野です。
主に二語の関係・語句の意味や用法・文の並び替え・空欄補充・文節の並び替え・長文読解といった内容が出題され、言語能力・語彙力・読解力を測ることを目的としています。
難易度は中学校~高校レベルと比較的低いですが、制限時間が短いため、テスト全体の時間配分を考えてスピーディーに解答する力を養ってから本番に臨みましょう。
ちなみに制限時間は言語と非言語分野を合わせて30~40分程度なので、言語分野は15~20分ほどで解けるようになっておくと良いです。
具体的な対策方法としておすすめなのは参考書を繰り返し解くことですが、他にも本や新聞などの活字に日常的に目を通し、長文に慣れる訓練をするのも効果的でしょう。
非言語問題
非言語問題は数学にあたる分野です。
主な出題内容は推論・順列・組み合わせ・割合と比・損益算・料金割引・仕事算・代金精算・速度算・集合となっており、数的処理能力、図やグラフを読み解く力を測ることを目的としています。
難易度は言語分野と同様に中学校~高校レベルですが、やはり短時間でたくさんの問題を解かなければならないため、問題演習をして数学に慣れておきましょう。
制限時間については先ほど説明したとおりなので、こちらも15~20分程度で素早く解けるようになっておいてください。
対策方法についても、言語分野と同じく参考書を繰り返し解くのが有効でしょう。
とにかく時間との勝負なので、四則演算と基礎的な公式をきちんと復習しておいてください。
英語問題
これまで紹介した言語問題と非言語問題はどの企業でも出される問題ですが、英語検査は英語能力を優先する企業で実施されるものになります。
近年はグローバル化が進んでいることもあり、外資系企業などでは英語の成績によって合否を大きく左右することもあるので、そういった企業を目指す場合は事前に対策しましょう。
難易度は高校~大学レベルで、制限時間は20分程度に設定されています。
英語に慣れていない人は時間内に解き終えるのが難しいので、まずは英単語の暗記から始めるのがおすすめです。
語彙力がついてきたら、長文読解を対策するために接続詞・助詞・助動詞や英文法なども勉強すると良いでしょう。
他の分野と同じくスピード勝負なので、参考書での問題演習も十分に行ってください。
性格検査
性格検査は得点などが出る検査ではないので、特に対策をする必要はありません。
SPIでの問題数は約300問で、webテスティング方式・テストセンター方式では30分、ペーパーテストでは40分の制限時間が設定されています。
就活生の考え方や行動の指針、業務への適性などを見ることを目的としており、どういった要素が重視されているのかは企業によってそれぞれ異なります。
あくまで企業が入社後の姿をイメージするために検査を行っているので、採用担当者からの評価を気にして意図的に回答内容を偏らせるのはあまりおすすめしません。
もしそれで次の選考フローへ進んだとしても、実際に面接で話をする中で矛盾点が見つかってしまったら相当なマイナスになってしまうので、性格検査は時間をかけずに直感で答えましょう。
【webテストの種類は?】難易度について
ここまでwebテストの全体像について詳しく解説しました。
もちろんすべてのテストを対策する必要はないので、企業からの連絡や募集要項をチェックして、対策すべきテストに絞った準備を進めましょう。
webテストの難易度は基本的に中学校~高校レベルであるためそれほど難しくはありませんが、素早く解くためには問題に慣れておかなければなりません。
勉強に自信があっても油断せず、しっかりと対策をして本番に臨んでください。
【webテストの種類は?】ボーダーラインについて
テストと聞くと、「合格のボーダーラインが何点なのか」はどうしても気になる事柄だと思います。
結論から言うと、基本的なボーダーラインは7~8割とされていて、外資系企業に関しては8~9割と高い傾向にあります。
もちろんこれはあくまで目安であり、企業によってラインは異なっているので、基本的には少しでも高得点を狙って勉強しましょう。
先ほどご紹介した出題分野の説明の中で、おすすめの勉強法として参考書を繰り返し解くというやり方を紹介しましたが、参考書の中には模擬テストが収録されているものも多いので、それを活用して本番前に自分の実力を測っておけば勉強の目安になります。
また、マイナビやリクナビといった就活サイトでも模擬テストが受けられるので、そちらもチェックしてみてください。
【webテストの種類は?】webテストの留意点
ここからは、本番で自分の実力を遺憾なく発揮するために注意すべきポイントを紹介していきます。
ただし、今回ご紹介するのは自宅受験のwebテストにおける留意点なので、テストセンター受験やペーパーテストとは都合が異なる場合があります。
そのため、以下の情報だけにとらわれず、本番前は企業からの連絡事項を十分に確認したうえで臨んでください。
せっかく時間をかけて対策した努力が無駄にならないよう、以下の内容は一通り目を通しておくようにしましょう。
電卓を用意しておくこと
自宅受験のwebテストに限っては、非言語分野に出題される問題の多くは電卓の使用を前提に作られています。
電卓がないと大幅な時間のロスにつながってしまうため、電卓は必ず準備しましょう。
また、本番までに電卓に慣れておくことも重要です。
繰り返しにはなりますが、webテストは基本的にスピード勝負であるため、電卓の操作でのもたつきが重なると、最終的には大きなロスになりかねません。
そのため、普段勉強をするときから電卓を使用し、時間があれば模擬テストに取り組みながら素早く電卓を使う練習をしておいてください。
なお、ペーパーテストとテストセンターでは電卓の使用が認められていないので、持ち込まないように気をつけましょう。
メモを用意しておくこと
webテストはパソコンで問題を解くテストであるため、ペーパーテストのように問題用紙の隙間を使って計算をすることができません。
そのため、手の届く範囲に筆記用具とメモ用紙を置いておくようにしましょう。
webテストには多くの種類がありますが、長文問題やデータを読み取る問題が多くの形式で出題されるので、メモを使って情報を素早く整理することは高得点につながります。
また、問題を解く合間にスムーズにメモを取る練習をしておくと、わずかではありますが時間を短縮することができ、周りにいるライバルに差をつけられます。
ちなみにテストセンター受験では、試験当日にメモ用紙と筆記用具が貸し出されるので、特に準備する必要はありません。
受検環境を整えておくこと
自宅で受検する場合、その環境は各就活生に委ねられます。
万が一電波状況に不備があってテストのページがダウンしてしまった場合、始めからやり直さなければなりません。
新型コロナウイルスの影響でオンライン化が進んだこともあり、自宅のネット環境を見直した人も多くいると思いますが、余計な手間を省くためにも本番までに再度通信環境をチェックしてみてください。
また、webテストの推奨環境はWindowsである場合が多いので、この点も忘れずに準備しておくようにしましょう。
さらには、WindowsであってもOSが古い場合はうまく動作しないこともあるので、少なくてもWindows7より新しいものを搭載したパソコンを使用するようにしてください。
【webテストの種類は?】具体的な対策時期について
人によって異なるものの、おおよそ本番の1~2ヶ月前までには準備を始めるのがベストです。
多くの企業では3月に本選考がスタートするので、遅くとも12月末から1月上旬にかけて対策を始めるのが妥当です。
ただし、インターン選考に適性検査を導入している企業も珍しくないので、少しでも就活を有利に進めたいのであれば、大学3年生の春ごろから準備を始めても早すぎるということはないでしょう。
就活は本格化するにつれてやることが増えていくため、忙しくなる前からコツコツと準備するのがおすすめです。
ベンチャー企業におけるwebテストの有無について
一般的に、ベンチャー企業ではwebテストをあまり実施しない傾向にあります。
しかし、DMMやサイバーエージェントといったメガベンチャーと呼ばれる企業においては、選考段階でwebテストなどの適性検査を実施している可能性があるため、そういった企業を視野に入れている学生は対策する必要があります。
webテストの種類は企業によってそれぞれ異なりますが、次の選考である面接に進むためにもしっかりと準備をして臨んでください。
まとめ
今回は、多くの企業で実施されているwebテストの種類について詳しく解説しました。
今後は自分の志望する業界・企業と照らし合わせて、自分が対策すべきwebテストを明確にし、実際に対策を始めてください。
webテストは対策しなければ苦戦を強いられますが、適切な準備さえできていれば決して難しいテストではありません。
油断は禁物ですが、今回ご紹介した内容を参考に準備を行い、自信を持って本番に臨むようにしてください。