はじめに
早いうちから就職活動を意識していた大学生であれば、ガクチカを作らなければならないことは以前から知っているでしょう。
しかし、就活がそろそろはじまるという段階になると、書くべきことが思いつかずに困惑し、筆が止まってしまう学生も大勢います。
ガクチカを作成するときに大切なことは、ご自分が志望している業界や企業で求められているものを知ることです。
そこで今回は、就活をスタートさせたばかりの学生に向けて、ガクチカの流れについて解説します。
就活を進めるうえで、ぜひ参考にしてみてください。
【ガクチカの流れを徹底解説】ガクチカとは?
ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」の略称であり、就活における企業からの質問の中で、大きなウェイトを占める項目です。
文言自体は少しずつ異なっているかもしれませんが、どの企業のエントリーシートでも記載が必要とされ、面接でもこの類の質問に多くの時間が割かれるでしょう。
自己PRとの違いがわからなくて困っている方もいるかもしれませんが、使うエピソードは同一のものでも構いません。
その代わり、ガクチカでは「なぜその活動に取り組み、具体的にどのように行動したのか」を自分の言葉でわかりやすく話せるようにしておく必要があります。
また、そのときの自分を動かしたモチベーションは何であったのかについても、述べられるようにしておいてください。
【ガクチカの流れを徹底解説】ガクチカに求められること
ガクチカは自分のためではなく、選考を受けている企業のために書くものです。
そのため学生時代に書いた感想文のように、ご自分が書きたいことを書けば良いわけではなく、目的に合わせて作成しなければなりません。
企業がなぜ就活生に学生時代について質問するのか、まずはその理由を理解してから作成に入るべきです。
以下では、就活の最前線でどういった内容が求められているのか、就活生にガクチカを課している企業側の思惑を解説します。
応募者の内面を知りたい
学生時代といっても、経歴については別の項目で記載させられることが多く、ガクチカで聞かれるのはどこの大学出身かではありません。
企業がガクチカを通して知りたいのは、経歴だけからは見えてこない応募者の内面です。
企業でチームの一員として働いていくうえでは、その人の人間性が重要となります。
しかしその人の人間性は、学歴だけからでは判断できないものです。
応募者の人間性を判断する材料の1つとして、学生時代に注力してきた内容が大切になります。
企業が求める人材と合うか
就活生が自分に合いそうな企業を見極めるのと同様に、企業側にもこういった人間性の持ち主を採用したいというイメージがあります。
そして、そのイメージどおりの人物であるかどうかを見極めるため、一人ひとりの記載内容にしっかり目を通しているのです。
合わない人材を採用してしまうと、内定辞退や早期退職の原因となり、企業と応募者の双方にとってダメージになりかねません。
そういったことを防ぐためにも、ガクチカの採用選考における位置づけは大きいといえます。
【ガクチカの流れを徹底解説】ガクチカのネタはどう探す?
ガクチカはネタ探しからはじまりますが、この時点ですでに頭を抱えてしまっている方も多いのではないでしょうか。
サークル・アルバイト・学業などさまざまな場面で活躍してきたとしても、大会で優秀な成績を残すなどの大きな出来事を全員が経験しているわけではありません。
むしろ特筆すべきことは何もなかったという方の方が多いでしょう。
とくに現在はコロナ禍であり、行動が制限された学生時代を送ってきた方もたくさんいるはずです。
しかし、スケールの大きな経験があるからといって優遇されるわけではなく、自分が打ち込んだことであれば企業側の興味を引く内容にできるので安心してください。
よくあるネタはライバルと被ることも多いですが、内容で差をつけましょう。
【ガクチカの流れを徹底解説】ベンチャー企業で使えるガクチカのネタ
ベンチャー企業と大手企業で社風が大きく異なるように、ガクチカを見るポイントも違います。
一般的な企業では、新卒の学生は会社で育てるものという認識がありますが、まだ成長段階のベンチャー企業だとそうはいきません。
新人教育に使う費用や人材などのリソースが不足しており、教育期間を最小限に抑えたいという狙いから、新卒採用でも即戦力になりそうな人材を探している傾向があります。
以下に挙げるのは、とくにベンチャー企業のガクチカで使えそうなネタです。
インパクトのある経験
ベンチャー企業はその道のプロフェッショナルの集まりであり、たとえ新卒採用であっても同じように何かの道を極めている人物を探しています。
ですから、大会で優秀な成績を残したなどのインパクトのある経験は企業側の目に留まりやすいです。
部活やサークルで全国大会に出場して優勝したなどの実績があれば、その道を極めたことの証明となります。
何かを極め、強いインパクトを与えそうな結果を残しているのであれば、優先的にネタとして使いましょう。
向上心の高さがうかがえる経験
ベンチャー企業では一人ひとりの裁量が大きい分、社員全員が高い目標意識を持ち、その達成のために社員が一丸となって動かなければなりません。
大企業と違って結果が出るまで待つ余裕がなく、新しく立ち上げたプロジェクトもすぐに成果を出すことが求められます。
そのため、高い目標に向かってガツガツ進んでいける人材でないと、ベンチャー企業に居場所はありません。
向上心の高さがうかがえるような経験は、ベンチャー企業のガクチカではとくに有効です。
就職後に活かせる経験
就職後に活かせる経験であることも、ベンチャー企業には喜ばれます。
必ずしも就職後に活かせる経験を選ぶ必要はありませんが、もし該当のベンチャー企業での職務に活かせるものであれば、それだけ印象が良くなるでしょう。
なぜなら即戦力として期待できるだけでなく、学生時代からその業界や企業が手掛けているビジネスの内容に興味があり、造詣が深いことがわかるからです。
ベンチャー企業に限らず、どこへ行っても志望度の高さを認めてもらえると考えられます。
【ガクチカの流れを徹底解説】ガクチカの書き方
ガクチカにはSTAR法が使えるので、ぜひこの方法を使って書いてみましょう。
これは、Situation(状況)・Target&Task(目標や課題)・Action(行動)・Result(結果)の順番に合わせて具体的に説明する方法です。
この順番で論旨を展開することで、内容に具体例が含まれてわかりやすくなり論理性も上がるため、ロジカルな文章を書かなければならないガクチカに向いています。
実際に就職した後もこの方法は使えるので、今のうちに習得しておくことをおすすめします。
Situation(状況)
STAR法では、最初にSituation(状況)を説明します。
なぜ力を入れることになったのか、そして当時はどのような問題があったのかが企業側にきちんと伝わるように、数字を駆使するなど具体的な説明を心がけましょう。
ここで伝えるべきなのは、エピソードの大まかな内容です。
例えばスポーツの場合、担当ポジション名などに留めるべきです。
門外漢がついていけないような専門的な内容は興味を持ってもらえず、あまりに詳細な状況説明も必要ないことに注意してください。
文章の最初でこれから説明したい内容を端的に述べると、文章全体を通して伝えたい内容がはっきり浮かび上がってきます。
ご自分が一番伝えたいことは何かしっかりと考え、それを最優先させた文章にしましょう。
Target&Task(目標や課題)
Situation(状況)の次はTarget&Task(目標や課題)であり、そのときに立てた目標や発見した課題について述べてください。
ここでも具体的な数値目標を立てて、状況を良く分析したうえで課題を発見していると、企業からの評価は高くなります。
なぜなら、企業で働くうえでも目標を立てて行動する力や課題解決能力は必須であるからです。
企業側は、自分で具体的な目標を立てられ、課題解決能力がある人材を求めています。
そのため、Target&Task(目標や課題)は、念入りに聞いておきたい部分であるといえるでしょう。
Target&Task(目標や課題)の内容について深掘りした質問が返ってきても、しっかり回答できるようにご自分でもしっかり深掘りしておく必要があります。
Action(行動)
Action(行動)で述べるのは、Target&Task(目標や課題)で挙げた内容に対して、実際にどのような行動を起こしたのかです。
なお、この際はお一人で何かを成し遂げた経験よりも、他者との関わりの中で成し遂げた経験を書くことをおすすめします。
なぜなら、企業で働く際は人との協力も大切であり、協調性のアピールも重要であるからです。
しかし、周囲に流されて自分の意思で行動していない印象をもたれても、選考で不利になってしまいます。
それを防ぐためには、自分が協力したことだけでなく、どう他者に働きかけたのかを書くと良いでしょう。
そうすれば、自分から積極的に協力を頼み、周囲を巻き込んでいく力があることの訴えかけにもつながるからです。
Result(結果)
最後のResult(結果)には、ご自分がどのような結果を残したのかを書きます。
ただ、どういった結果を収めたのかを羅列するのではなく、成功の要因などを分析して書くと良いでしょう。
ただ成功した事実だけを述べても説得力に欠けますが、なぜ成功したのかをロジカルに分析してあれば、受け取り手の高感度も高くなります。
成功の原因が論理的に証明されていれば再現性も期待できますが、きちんとした裏付けがなければまぐれだと思われても仕方がありません。
その一方、再現性を持つ成功であれば、学生生活から企業に舞台が変わっても成功が期待できます。
成功の再現性をご自身で証明できれば、企業からも自社に貢献できる有能な人材であると期待してもらえるでしょう。
【ガクチカの流れを徹底解説】例文
ここからは、実際のガクチカの例文をご紹介します。
上記のSTAR法を使った例文を、アルバイトとサークルの2パターンを用意しました。
どちらもバイトリーダーや役職など書ける方に限りがある内容ではなく、普通の取り組み方をしてきた方にも当てはまるようにしてあります。
初めてのガクチカには、STAR法のSに当てはまるのはどこかというように、項目ごとに色分けして線を引くなどの工夫をすると書きやすくなるでしょう。
自然と論理的な構成になり、企業から好感をもたれるガクチカを作れるはずです。
就活が現実味を帯びてくると、語れるようなことをしてこなかったと嘆き始める方もいらっしゃいますが、ご自分の学生生活やその中で学び得たことに自信を持ってください。
アルバイトの例文
最初はリピーターになってくれるお客様が少なく、自分の接客方法を変えることや、年配のお客様が多かったのでメニューを見やすくすることが必要だと感じました。
そこで私が行ったのは、初めてのお客様でも快適に過ごせる接客はどういったものか、店長も交えたバイト仲間との話し合いや、文字を大きくしたメニューの刷新です。
その結果、リピーターのお客様が増え、お客様の視点に立った工夫や接客の大切さを実感しました。
サークルの例文
入部したころは、部員も試合に出られる人数がぎりぎりなうえに士気も低下したままでした。
その際に、勝てないことが士気を下げる原因だと考えたのが、サークル活動に集中するようになったきっかけです。
そこでメンバーと話し合いの場を持ち、練習時間を増やす代わりに、メンバー同士で楽しく交流する機会もそれまで以上に増やしました。
その結果、少しずつ勝率が上がっていき、積極的に練習に参加するメンバーが増えました。
【ガクチカの流れを徹底解説】ガクチカのポイント
ガクチカには、注意すべきポイントがあります。
書類選考や面接を突破するためには、要所を意識して内容を固めていかなければなりません。
決して難しい注意点ではありませんが、そこを押さえきれずに就活を突破できない就活生も見受けられます。
就職した後は、今まで以上に文書を作成して自社内や顧客に見てもらう機会が増えますが、そのときにも役立つ内容なので今から身につけておいて損はありません。
ここからは、その押さえておきたいポイントについてご説明します。
企業の求める人物像に合わせる
就活の際は企業分析を行いますが、これは面接だけでなくエントリーシートでガクチカを書くときにも役に立ちます。
その企業の採用HPなどから、企業が求めている人物像を分析してください。
企業によってそれぞれカラーがあり、どのような人材を理想としているかも異なっているはずです。
前述したように、企業は自社が求めている人物像に、応募者のキャラクターがなじんでいるかどうかを確認する目的のもとで、ガクチカについて質問しています。
そのため、あらかじめ求められている人物像を調べておき、それに見合った経験を話した方が選考で有利になります。
企業側に、こういう人に入社して欲しいと思ってもらえるような内容にすることを常に心がけてください。
結論から話す
ガクチカに限らず、エントリーシートや面接の受け答えはすべて結論から話します。
なぜなら、結論から先に述べないと相手に要点が伝わりにくいからです。
結論の前に例を挙げてそこから入ってしまうと、相手にとっては何を伝えようとしているのかがわからず、置いてけぼりになってしまいます。
そうすると、何度も聞き直す必要が出てきたり、挙句の果てにはイライラさせてしまったりすることもあります。
これは就活に限らず、実際に仕事をはじめたときにも同じことがいえるでしょう。
こういった話し方をしてしまう方は、今のうちに直すことをおすすめします。
商談などでも結論から話さないと顧客をイライラさせてしまい、うまくまとまる話もまとまらなくなってしまうかもしれません。
【ガクチカの流れを徹底解説】就活が不安な時は
とくに就活をはじめたばかりの方は、ガクチカに限らずさまざまなことについて疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。
そういったときは、一人で悩んでも答えは出ません。
必ず誰かに相談して疑問を1つも残さないようにすれば、おのずと不安も解消されていくはずです。
また、周囲に相談できるような人がない、相談しにくい悩みがあるという方は、就職エージェントを利用してみてはいかがでしょうか。
あなた専属のアドバイザーがつき、二人三脚で就活を成功に導き、その先のキャリアについての相談にも乗ってもらえます。
面接に不安がある方に対しては、選考に通過するまで何度でも面接対策を実施してもらえるのも嬉しいポイントです。
利用料なども一切かからず、どなたでも安心してご利用いただけます。
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まとめ
ガクチカは、就活をしていれば必ず聞かれる質問です。
だからこそ、ライバルとの差別化を図り、企業側に自分への関心を持ってもらう必要があります。
しかし、必ずしもスケールの大きなネタが必要になるわけではありません。
STAR法を使えば、具体的かつ論理的な構成の文章が作れるので、ガクチカを作成する際はぜひ導入してください。
求められている人物像に合わせたエピソードを選び、結論から述べ始めることも肝心です。
就活に対する不安は就活エージェントで解消しましょう。