はじめに
当然ですが、面接を受けたすべての企業から内定をもらえることはほぼありません。
不合格を知らせるメールは、文末に就活生の今後の健闘を祈る一文が添えられていることから「お祈りメール」と呼ばれています。
お祈りメールが届くとやはり落ち込んでしまうものですが、これと同時にお祈りメールに返信するかどうか迷う方も多いでしょう。
今回は、お祈りメールの「返信」に焦点を当てて説明していきますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
【お祈りメールに返信は必要?】お祈りメールに返信は必要?
就職活動をしていると、社会人としてのマナーを問われる場面が多くあります。
電話の受け答えやメールの書き方、返信の仕方などの細かい行動・所作が、企業にとって就活生を判断するための材料になっているからです。
「企業からのメールにはなるべく早く返信した方が良い」というのは鉄則ですが、お祈りメールの場合も同様なのでしょうか。
たしかに企業から届いたメールではあるものの、その内容は不採用の通知です。
また、仮に返信をするとしたら、いったいどのような内容にすれば良いのでしょうか。
以下で詳しく見ていきましょう。
基本的には必要ない
「お祈りメールに返信は必要か?」という問いに対して、答えを述べると返信は基本的に必要ありません。
企業側としては、採用しない学生への時間が最小限に抑えたいと考えています。
そんな中返信が来てしまったら、今度はそれに対する返信を行わなければなりません。
たくさんの就活生を抱えている中で、不採用の学生から返信が届くたびに対応していたら、多くの時間を要してしまうことになるでしょう。
また、仮にお祈りメールに返信をしたとしても、企業から返信がないというケースも考えられます。
お祈りメールを受け取るのは非常にショックなことではありますが、メールを受け取ったら自分の中で折り合いをつけ、次のステップに進む準備をした方が得策と言えます。
稀に返信をした方が良い場合もある
先ほど「お祈りメールには基本的に返信が必要ない」という旨をお伝えしましたが、すべてのケースにおいて返信の必要がないというわけではありません。
お祈りメールの内容によっては、返信をした方が良いケースも存在します。
ただし、返信をした方が良いかどうかの見極めは非常に難しく、場合によっては時間を無駄にするだけになってしまう可能性もあります。
また、これから紹介するいくつかのパターンの場合、比較的返信が必要なケースが多いですが、「必ず送らないといけない」というルールは存在しません。
そして、不採用であるという事実も変わらないので、過度な期待をするのも好ましくありません。
しかし、今後の就職活動に活かせることもありますので、返信が必要だと判断した場合は送ってみると良いでしょう。
個人的なメッセージが記載されていた
返信をした方が良いとされるケースの1つ目は、定型文だけでなく個人的なメッセージが書かれていた場合です。
基本的にお祈りメールは、不採用者全員に定型文の文章を送ることが多く、個人へ宛てたメッセージやコメントが書いてあることは稀です。
「不採用に変わりはないものの何か伝えたいことがある」「もし何か機会があれば一緒に働きたい」など、前向きなメッセージであるならなおさら返信をしておくことを推奨します。
また、なかには丁寧に改善点を伝えてくれる企業も存在します。
ポジティブなメッセージでもネガティブなメッセージでも、個人へ向けたメッセージを記入してくれたということに感謝の意を表すために、返信をするのは非常に良いことだと言えるでしょう。
再応募を考えている
「今回は落ちてしまったけれど再応募を考えている」という場合、次へつなげるために感謝のメールを送っておきましょう。
仮に企業から返信がなかったとしても、あなたがメールを送ったことに変わりありません。
単純に、「メールを送った」という事実と記録が残ります。
「丁寧な人」「まめな人」という印象を与えられる可能性がありますので、次回の選考の際に何か役に立つかもしれません。
また、メールの返信をすることで、採用担当に名前を覚えてもらえる可能性が高まります。
さらに、次回の面接の際に顔と名前がすぐに一致するなど、何らかの形で印象付けることができる可能性もあります。
再応募を考えているのであれば、メールの返信をした方が印象は良くなりますので、なるべく返信するようにしましょう。
不採用理由を聞きたい
お祈りメールを受け取ったときに気になるのが、「なぜ不採用になってしまったのか?」という理由です。
当然ながら、企業は不採用の学生にはできるだけ時間を割きたくないと考えています。
そのため、不採用の理由までは教えてくれないことがほとんどです。
しかし、自分が不採用だった理由を知ることで、それ以降の面接の対策ができたりこれまでのやり方を改善したりと、今後の就職活動に活かすことができることは間違いありません。
回答が得られるかどうかは別として、不採用の理由を企業に聞いて、改善策を考えるのは、就職活動を成功させるうえで非常に有効なアクションです。
ただし、不採用になった理由を聞いたところで不採用の事実は変わらないので、「もしかしたらもう一度チャンスをもらえるかも?」といった期待は持たない方が良いでしょう。
最終選考まで進んだ
お祈りメールを受け取ったのが最終選考の面接結果だった場合、これまで関わってきた社員の方へお礼を伝えるのも有効です。
企業は貴重な時間を学生のために割いてくれていたわけですし、最終面接まで進んでいたのならば、その時間はより多くなっているはずです。
たとえご縁がなくて不採用になってしまったとしても、これまで関わってくれたことへの感謝の気持ちを述べるのは、社会人として必要なマナーのひとつでもあります。
不採用になってしまったことは受け入れにくいかもしれませんが、切り替えて次に進むためにも、返信メールにお礼の旨を記載しましょう。
今後社会人になったときに、その企業の方と何らかのやり取りが生まれるということもまったくないわけではありません。
メールの返信をしていれば、そのようなときに会話のきっかけになるかもしれません。
【お祈りメールに返信は必要?】お祈りメールに返信するときのポイント
ここまで、どのようなケースならお祈りメールに返信しても良いかを解説しました。
次は、お祈りメールに対する返信のポイントを説明します。
送られてきた内容は、あくまでもあなたの不採用を伝えるネガティブなものです。
そんな内容に対する返信ですので、言葉のニュアンスや選び方を間違えてしまうと、相手に悪い印象を与える可能性もあります。
以下のポイントをしっかりと押さえたうえで、お祈りメールに返信をするようにしましょう。
割いてもらった時間に対する感謝を述べる
お祈りメールの返信に対するポイントの1つ目は、感謝の気持ちを記すということです。
企業は採用活動を行うにあたって、普段の業務と並行しながら忙しい時間を割いて面接などを行ってくれています。
決して高慢な態度や高圧的な態度を取らずに、時間を割いてくれたことへの感謝の気持ちを丁寧に伝えましょう。
これは、第一志望であってもそうでなくても、どこの企業であっても同じです。
不採用になった事実はなかなか受け止められないものですが、その悔しさをいちいち態度に表していては、今後の就職活動がうまく進まなくなってしまいます。
たった1通のメールで自分の印象を下げてしまうのは、非常にもったいないです。
感謝の気持ちを伝え、自分の中で折り合いをつけるように努めましょう。
今後の就職活動への抱負を述べる
お祈りメールに返信する際のポイント2つ目は、今後の就職活動の抱負を述べるということです。
お祈りメールを受け取った直後は、どんなに強いメンタルを持った就活生であっても落ち込んでしまうものです。
そんなときもクヨクヨせずに、この結果を受けて自分が今後どのように就職活動を行っていきたいのかを伝えましょう。
事実を真摯に捉えて、次に進むことのできる人物であることが伝われば、返信の確率も上がります。
また、不採用になった理由を聞きたい場合は、「次に活かしたいので、不採用の理由を教えてください」など前向きな姿勢を伝えるようにしてください。
これにより、企業も不採用の理由を記しやすくなります。
心では落ち込んでいるかもしれませんが、メールを送る際には少し気持ちを切り替えて前向きなメールを送信しましょう。
【お祈りメールに返信は必要?】お祈りメールに返信するときの構成
では、実際にお祈りメールに対する返信をする際、具体的にどのような構成のメールを送れば良いのでしょうか。
企業は毎日何百、何千通といったメールを受け取っています。
その中に埋もれないようなメールにするには、細かい工夫・配慮が欠かせません。
ここでは、お祈りメールを送る際の構成のポイントを紹介していきます。
基本的なことかもしれませんが、意外に抜けがちなポイントでもあるので、ぜひ押さえておくようにしてください。
件名は基本的には「Re:お祈りメールの件名」で返信
先ほども説明しましたが、企業には毎日数多くメールが送られてきます。
残念なことに、その1通1通の隅々にまで目を通している企業は少ないでしょう。
そのため、どのメールに対する返信なのかをひと目見てわかるような件名にする必要があります。
たとえば、「Re:お祈りメールの件名」という件名はシンプルで非常にわかりやすいです。
必要であれば自分の名前を入れたり、「【】」で括ったりして目立たせても良いかもしれません。
宛名は誤字脱字がないか要確認
これは基本中の基本ですが、宛名に誤字脱字がないかをよく確認しましょう。
メール作成にあたって意外に多いミスが、宛名の間違いです。
たとえば「株式会社○○」と書くところを「○○株式会社」と書いてしまったら、それは非常に大きなミスになります。
ほかにも、珍しい漢字や旧字体を用いている方だと、宛名を間違えやすいです。
名前を間違えるというのは大変失礼な行為であり、場合によっては相手の機嫌を損ねてしまう可能性があるので、ミスがないかをきちんと確認しましょう。
初めに挨拶文と大学名、名前を述べる
文章の冒頭には必ず「お世話になっております」などの挨拶文と、所属している大学、自分の名前を記載しましょう。
これは、企業と何度かメールをしたことがあれば、すでにわかっていることかもしれません。
しかし、近年ではメールの文化がなく短文でコミュニケーションを取れるチャット文化が主流であるため、意識をしないと忘れてしまうという学生も多くいます。
「必ず自分の所属と名前を記載したうえで用件を伝える」ということを徹底してください。
感謝を述べる
不採用通知を受け取った立場であるにもかかわらず、真っ先に用件を伝えるのは少々乱暴なイメージを与えてしまいます。
まずは、これまでの選考に携わってくれたお礼の言葉を述べましょう。
このとき、お礼だけでなく面接を通して学んだことや、結果を受けて自分がどう感じたかといった感想を述べることも効果的です。
繰り返しになりますが、企業は就活生のために貴重な時間を割いてくれています。
面接に対する感謝の気持ちを伝えることは、最低限のマナーです。
不採用通知を受け取った感想と今後への活かし方を述べる
不採用通知を受け取ったことに対するあなた自身の感想を素直に伝えましょう。
たいていの人は、不採用になって「悔しい」「残念」といった感情を抱いているはずですので、恥ずかしがらずに正直に伝えても企業は驚きません。
大切なのは、「不採用の結果を受けた後、具体的にどのように行動していくか」ということです。
不採用という結果を踏まえて、今後の就職活動にどのように活かしていくのかを端的に記しましょう。
ここではできるだけポジティブな印象を与えることが大切ですので、なるべく前向きなワードを選ぶようにしてください。
結び
ビジネスメールを送るときに欠かせないのが、結びの挨拶です。
自分の言いたいことだけを一方的に伝えて、メールを終わらせるというのは自己中心的なイメージを与えてしまいます。
文末は「未筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます」といったような結びの言葉で締め括りましょう。
これは、お祈りメールの返信に限った話ではありません。
どのような場面においても結びの挨拶は使いますので、正しく使えるようにしておきましょう。
【お祈りメールに返信は必要?】返信を行う際の例文
お世話になっております。
○○大学○○学部の○○です。
先日はお忙しい中、選考のためにお時間をいただき誠にありがとうございました。
選考結果につきましては、誠に残念ではありますが、貴社での面接を通じ改めて自分自身と向き合うことができました。
特に最終面接では、自分が大学時代に力を入れてきたことを評価していただき、自信にもつながりました。
この結果を受け止め、今後も就職活動に励んでまいりたいと思います。
未筆ながら、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
【お祈りメールに返信は必要?】気持ちの切り替えが大事
お祈りメールが届いたとき、何よりも大切なことは、気持ちを切り替えるということです。
不採用という通知に目を背けたくなる気持ちは痛いほどわかります。
しかし、冷静に考えれば、お祈りメールが届かない人の方が少ないです。
「この会社とは縁がなかった」と気持ちを切り替えて、次の面接や選考に進む準備に力を入れることを忘れないでください。
では、お祈りメールが届いたときに実践したい気持ちの切り替え方について、以下で詳しく解説していきます。
内定への通過点
不採用というのは誰もが経験することであり、長期間落ち込むのは好ましくありません。
だからといって、反省せずに開き直った態度を取るのも良くありません。
大事なのは、結果を真摯に受け止めて前に進むことです。
「お祈りメールを受け取ることは内定獲得までに誰もが通る道である」と認識しておけば、少しは気が楽になるかもしれません。
場合によっては次の選考に影響が出てしまうおそれもあるので、重く受け止めずに前に進みましょう。
また、お祈りメールをもらったのはあなただけではありません。
何十人、何百人という就活生がお祈りメールを開いているはずです。
受け止め方はさまざまありますが、自分の感情をきちんとコントロールして次へ進みましょう。
誰でも相性の合わない企業はある
「不採用だったのは実力がそもそもなかったからなのではないか?」と思いがちですが、そうでない理由で落ちるケースも多々あります。
どれだけ優秀な学生であっても、企業は最終的に「自分の会社に合うかどうか」という軸で就活生を判断します。
実力がないというわけではなく、ただ単に相性が合わないといったケースも珍しくありません。
不採用という文字を見ると、まるで自分が否定されたような気にもなりますが、必要以上に自分を責めないでください。
「企業の風土と自分の性質が合わずに、入社後につらい思いをしていたかもしれない…」と考えれば、むしろ不採用でよかったと考え方を変えることもできます。
すべての企業と相性が良いという人は存在しませんので、あまり気にせずに次の企業を探しましょう。
経験はのちに必ず生きる
不採用のお祈りメールをもらったという事実は、その事実だけを一時的に切り取れば、悔しいことや恥ずかしいことであるかもしれません。
しかし長い目で見たときに、悔しい思いをした経験や努力した経験は、自分の中で大切な財産となります。
悔しいと思えるくらい頑張ることは、誰でもできるものではありません。
それでも不採用であったのなら、なおさらあなたの努力は無駄にはならないはずです。
就職活動を通じて頑張った経験を思い浮かべながら、今後の就職活動の自信に変えていきましょう。
また面接官は、目の前にいる就活生が就職活動に向けてどのくらい準備を重ねてきたのかを見抜くことができます。
あなたが行った努力は必ずどこかで評価されますので、めげずに選考を受け続けましょう。
【お祈りメールに返信は必要?】お祈りメールに関するよくある質問
最後に、お祈りメールに関するよくある質問とその回答を紹介します。
たとえば、「なかなか連絡が来ない場合はどうすればいい?」という疑問があります。
このような場合、直接企業に問い合わせてみても良いかもしれません。
しかし、事前に企業が「○週間後に通知を出します」などと説明している可能性もあるので、手元にあるメモ帳などを見返すと良いでしょう。
また、面接の合否の出し方は企業によって少々異なっているので、その点も事前に知っておくと混乱しないで済みます。
なかなか連絡が来ない場合はどうすれば良い?
企業の面接を受けた際は、通常面接の最後に「○日までに合否を連絡します」と言われることが多いです。
事前に告知があった際には、指定された期限まで回答を待ちましょう。
1~2週間ほど経っても連絡が来ていない場合は、こちらから企業に連絡するのもひとつの手です。
また、不合格の就活生には通知を出さない企業もあります。
これは、「サイレントお祈り」と呼ばれています。
基本的に、指定された期限以内に連絡がなければ不採用だったと思って次の準備を進めるのが得策と言えるでしょう。
また、一般的に採用の場合は電話で連絡が来ることが多く、不採用の場合はメールでの連絡が多いとされています。
ですので指定された期間中は、知らない番号からでも電話を取ることを心がけてください。
メール以外で不採用通知が来ることはある?
先ほども軽く触れましたが、基本的に不採用の通知はメールでくることがほとんどです。
ですが、電話で不採用の旨を知らせる企業も一定数存在します。
多くの企業は、基本的に採用しない学生には労力を割きたくないというのが本音なので、不採用の連絡も定型文で作られたメールでの通知がほとんどです。
電話で不採用を伝えるのは、不採用を伝える側にとっても心身ともに負担になりますので、非常にレアなケースと言えます。
また、こちらも先ほど少し説明しましたが、「サイレントお祈り」のケースも多く、メールすら送られてこないことも多々あります。
いずれにせよ、合否の伝え方や期限は面接時に伝えられていることがほとんどですので、忘れずにメモに残しておくことが大事と言えるでしょう。
おわりに
お祈りメールを受け取るのは非常にショックな出来事ではありますが、就職活動にお祈りメールはつきものです。
誰しも一度や二度悔しい思いをしたうえで、自分に合う企業、理想とする企業と出会っているものです。
あまり深く考えすぎずに、次の選考に進むための準備をしたり気持ちを切り替えたりすることの方が、限られた就職活動の期間の中では重要と言えます。
悔しいと思えるほど努力した自分をしっかり褒め、別の企業の選考に臨みましょう。