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- 専門商社と総合商社の違い
- それぞれの商社の違い
- 専門商社の対策
- 商社を目指している人
- 商社について詳しく知りたい人
- 商社の選考の対策をしたい人
志望動機は、就職活動における重要なトピックのひとつです。
良い志望動機が作成できれば、業界研究の成果や就職への熱意をアピールできるので、選考を通過しやすくなります。
ただし、志望動機を作成するには、志望する業種の仕事内容や現状、今後の課題などについて深く知っておかなければいけません。
そこで今回は、専門商社にターゲットを絞り、おすすめの志望動機の書き方を解説します。
専門商社の特徴や課題、総合商社との違いにも触れるので、専門商社についてくわしく知りたい方もぜひ参考にしてください。
【専門商社の志望動機】専門商社と総合商社の違い
商社には大きく分けると、専門商社と総合商社の2種類があります。
この2つの商社の違いをしっかり把握することにより、専門商社に特化したふさわしい志望動機が書けるようになります。
専門商社のなかでの分類や傾向についても触れるので、自身が目指す専門商社のイメージを固めておくと良いでしょう。
総合商社
総合商社とは、多種多様かつ豊富な商材を取り扱い、巨大な流通網を駆使して多角的な事業を展開し、収益を上げていく企業のことです。
企業規模は専門商社と比べても大きく、海外支社や子会社、営業所などを世界各地に設置している企業が多く見られます。
かつては貿易や販売がメインの事業でしたが、それぞれの企業が独自に販売ルートを築くケースが増えたために、近年は事業投資も盛んにおこなわれるようになりました。
世界中に拠点があり、豊富な商材を扱っているので、広い情報網とネットワークを持っているのも総合商社の特徴です。
専門商社
専門商社は、食品や機械、ガスといった特定の業界・分野に特化した商材を扱っている企業です。
具体的には、特定の分野の商品による売り上げが、全体の50%以上を占めている商社が専門商社と呼ばれます。
専門商社は、その成り立ちや扱う商品の種類によって、以下の3つのタイプに大別されます。
総合商社系
総合商社系の専門商社は、総合商社の事業投資によって設立された子会社やグループ会社のことです。
総合商社では扱えないようなニッチな商材や小規模案件を中心に、専門的な知識を活かしたビジネスをおこなっています。
親会社の大きさに比例して子会社もかならず大きいわけではなく、その規模は大小さまざまです。
具体例としては、丸紅と伊藤忠商事の鉄鋼製品部門を統合して設立した伊藤忠丸紅鉄鋼、三菱商事と双日の鉄鋼製品事業部門を統合して生まれたメタルワンなどが挙げられます。
メーカー系
メーカー系の専門商社は、特定のメーカーの商材を専門に扱う商社です。
メーカーから直接商材を仕入れるので供給が安定しており、在庫管理に困ることも少ないのが特徴です。
また、メーカーの営業担当者や製品開発担当者、在庫管理部門担当者と緊密に連絡をとり、より良いマーケティング戦略を考える場合もあります。
具体例としては、JFEホールディングスの傘下として鉄鋼や化学品を取り扱うJFE商事、日産自動車の商品を販売する日産トレーディングなどが挙げられます。
独立系
独立系の専門商社は、上記2つのタイプとは異なり、どのグループにも属していない商社です。
親会社やグループ会社から制限を受けることがないので、仕入れ先や卸先を自由に決められます。
そのため、臨機応変に顧客の要望や市場のニーズに合った提案ができるのが強みです。
一方、後ろ盾の企業や緊密に連携できる仕入れ先がないので、総合商社系やメーカー系に比べると安定感に欠ける場合もあります。
具体例としては、事業分野の整理で専門商社となった兼松、繊維を専門に扱う豊島などが挙げられます。
【専門商社の志望動機】専門商社の特徴
企業としての立ち位置や事業内容の傾向がわかったところで、次は近年の専門商社が持つ特徴を見ていきましょう。
単なる数字やデータだけでなく、それらからどのような事実が読み取れるのかをしっかり把握しておくことにより、作成する志望動機にも説得力が生まれます。
動向と現状
専門商社全体の業績に目を向けると、この10年は横ばいから緩やかな上昇傾向が続いています。
2020年にはコロナウィルスの流行拡大の影響を受け、減少傾向となる企業も見られましたが、2021〜2022年には回復している事例も多く、全体的に安定しているといえるでしょう。
とくに、エネルギー・電子機器・半導体・機械・鉄鋼といったITや製造、テクノロジーなどの分野で高い伸長率が確認できています。
ただし、2022年以降はインフレや円安の影響を受けて、さまざまな商材の原材料価格が高騰しているので、商社も対策を考えなくてはいけません。
今後は、コストの値上げ分を取引価格に反映させる価格転嫁を、小売店に対してどのように進めていくかが重要なポイントになるでしょう。
課題
専門商社が抱える大きな課題として、その需要が減少傾向にあることが挙げられます。
商社は、メーカーと小売店を結びつけて商品を販売するのが主な仕事ですが、社会的な変化によりその重要性が薄れてきているのです。
扱う商材によっては、利益を上げること自体が困難になりつつあります。
商社不要論
現在の社会では、商社の存在は必要ないと考える「商社不要論」を主張する声も多く見られます。
そもそも商社は、メーカーと小売店のパイプ役となり、両者の間に立って中間マージンをもらうことによって、利益を出すビジネスモデルです。
しかし近年は、中間マージンのコストを削減するために、メーカーと小売店が直接コンタクトをとり、ダイレクトに買い付けをおこなうケースも増えました。
今後の商社は、単にパイプとして商品を横流しするだけでなく、何らかの付加価値を乗せて商社を仲介する利点をアピールしなくてはいけません。
少子高齢化
現在の日本は少子高齢化が進んでおり、今後もこの傾向は続くと考えられています。
積極的に商品を購入する年齢層が減少し、全体の人口も減っていくので、国内の市場規模は縮小していくと考えたほうが良いでしょう。
こういった状況で専門商社が生き残るためには、海外までビジネスの手を広げ、新しい卸先や販路を開拓しなくてはいけません。
多くの商社が同様の境遇に立たされているので、行動が遅れた場合は新たなビジネスチャンスを逃すことになり、需要や収益がどんどん先細りしていく可能性も考えられます。
原材料価格の高騰
先ほども触れたように、2022年以降から世界的なインフレによる資源高の状態が続いています。
さらに、円安や人手不足の影響もあり、多くの商材の原材料価格が高騰している状態です。
短期の高騰であれば、そのまま乗り切ることも可能ですが、今後も物価上昇は続くと考えられています。
そのため、専門商社も上昇した原材料価格や今後の展望を考慮したうえで、商材の価格を再検討しなければいけません。
顧客である小売店に対し、どのように価格転嫁を進めていくかが今後の重要な鍵となります。
ベンチャー商社の特徴
専門商社のなかでも、ベンチャー商社はほかと異なる独自の特徴を持っている場合があります。
ベンチャー商社とは、設立されてから日が浅く、未だ成長途中であるベンチャー企業の商社のことです。
ベンチャー商社は、軽いフットワークで新しいことに挑戦できるので自身の成長が実感しやすく、経営層の近くで働くことにより多くのノウハウが得られます。
ただし、大手の専門商社に比べると安定性は低く、福利厚生や会社のシステムが十分に整備されていない可能性がある点には、注意が必要です。
【専門商社の志望動機】専門商社の職種
専門商社に就職したあとで、実際に働くことになる職種は、大別すると「総合職」「一般職」の2種類です。
どちらの職種を目指すかによって、適性や志望動機の書き方は変わってくるので、早い段階で目指す職種を決めておくと良いでしょう。
それぞれの職種について深く知りたい場合は、OB訪問やインターンが役に立ちます。
総合職
専門商社における総合職は、基本的に営業職と考えておけば問題ありません。
取り扱う商材の仕入れや、取引先への卸売りなど、商品の流通に関わる直接的な仕事を担当します。
また、新たな販売ルートの開拓や、仕入れ先の確保なども総合職の業務です。
専門商社は、総合職に比べて扱う商材が限定的なので、苦手な分野に配属されてしまうようなリスクは高くありません。
ただし、必要に応じて各拠点に近くに引っ越す全国転勤の働き方が基本になるので、その点は意識しておきましょう。
一般職
一般職は、簡単にいえば営業事務として働く職種です。
総合職の営業サポートや取引先への対応、来客対応といった業務をおこないます。
総合職と違って転勤がないので、ワークライフバランスをとって自分らしく働けるのが特徴です。
コツコツと与えられたタスクをこなしていくような、ルーティンワーク的な業務が得意な方に向いているでしょう。
ただし就職する企業によっては、日本語以外を用いた来客対応や物流に関する緊急事態の対応など、専門的なスキルを活かした業務が必要になる場合もあります。
【専門商社の志望動機】志望動機の書き方
次は、採用担当者側がどういうポイントを知りたがっているのかを意識しながら、専門商社の志望動機の書き方を確認していきましょう。
より良い志望動機を作成するためには、ここまで解説してきたような専門商社業界に共通する知識、個別の企業に対する知識、そして自己分析の結果として得られる自身についての知識が必要です。
なぜ専門商社という業界なのか
志望動機のなかでまず述べなければいけないのは、自身が数ある業界のなかで専門商社を選んだ理由です。
この点をしっかり述べるためには、商社だけでなく、ほかの業界の知識もある程度備えておかなければいけません。
この際に重要なのは、「なぜ商社を選んだのか」ではなく「なぜ専門商社を選んだのか」を伝えることです。
商社といえば、総合商社のほうがメジャーな印象があり、就活生にとっても人気の高い業種です。
あえて専門商社を選択した説得力のある理由を伝えられれば、採用担当者に良い印象を持ってもらえるでしょう。
なぜその企業を志望しているのか
専門商社業界を志望する理由を述べたあとは、現在選考を受けている企業を志望している理由を述べていきます。
多数の競合他社のなかから、その企業を選んだ説得力のある理由を考えておきましょう。
競合他社との差別点を考える際には、その企業が持っている独自のノウハウや商材などに着目するのがおすすめです。
この点をしっかり伝えるためには、志望している企業とほかの企業を比較して、独自の強みを見つけ出さなくてはいけません。
企業選びの段階から、この点はしっかり意識しておきましょう。
自分の強みをどう活かせるのか
志望動機は選考の一部であり、自信を採用してもらうための重要な手段のひとつです。
志望動機を十分に活かすためには、自分がその業界や企業を志望した理由と関連させて、自身の強みをアピールしなくてはいけません。
きちんと説得力のある志望理由を述べたうえで、業務で活かせる強みをアピールできれば、採用する価値のある人材だと思ってもらえます。
専門商社でとくに活かしやすい強みは、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力などです。
しっかりと自己分析をおこない、自身の強みを把握してから志望動機を作成しましょう。
【専門商社の志望動機】例文
最後に、専門商社の志望動機の例文を3つご紹介します。
今回は、異なる3つの分野を取り扱う専門商社について、それぞれ異なる強みをアピールする志望動機を用意しました。
実際の志望動機を作成する際は、その企業の事業内容や強みについて、より具体的に述べることが大切です。
例文1
現在世界では、さまざまな地球環境に関する諸目標が掲げられていますが、私はそれらを達成するためには、個人の努力や意識改革だけでは不十分だと考えています。
本気で環境保護を推進するのであれば、エネルギーについて深い知識を持ったエキスパートが、環境負荷の少ない製品開発と利用方法をプロデュースし、それを人々に受け入れてもらうことが重要です。
ガスの専門商社として確かな実績を持つ貴社であれば、人々の生活に寄り添いつつ、新しいガスとの共存の形を提示できると考えています。
貴社に入社できた暁には、重要な販路のひとつである東南アジア諸国に留学していた経験と語学知識を活かし、新製品とサービスの提供に尽力いたします。
例文2
私は中学から高校まで、親の都合により海外で暮らしていたのですが、その際にとくに不便さを感じたのが食の問題です。
自分の滞在していた地域の日本人コミュニティでも、ふだん何気なく食べていた料理や食材に触れられないことが、少なからずパフォーマンスに悪影響を与えている事例が多く見られました。
貴社は、生活に密着した日常的な日本の食材を取り扱い、販路を堅実に拡大している専門商社です。
そのため、貴社であれば私がさまざまな国や地域で培ってきたコミュニケーション能力を活かし、現地の方にも受け入れてもらえる日本食の流通を実現できると考えています。
例文3
ITの専門商社として貴社が扱っている製品とサービスの数々は、社会的な変化をいち早くキャッチアップすることにより、高いシェア率を誇っています。
このようなフットワークの軽さは、企業全体で若い世代の育成、サポートをおこなっているからこそ実現できるものです。
先細りが懸念される専門商社のなかにあって、商材の取り扱いだけでなく、人材の育成にも力を入れている貴社の姿勢は今後のスタンダードとなり、多くのフォロワーを生むと確信しています。
貴社に入社できた際は、長い運動部経験で身につけたタフネスと挑戦心を活かし、誰よりも早く成長することで、企業の発展とシェアの拡大に貢献したい所存です。
まとめ
専門商社の志望動機を考える際は、総合商社との違いを明確に意識することが重要です。
総合商社系やメーカー系の専門商社の場合は、関連企業についての知識も必要になるでしょう。
また、社会情勢の変化を受けて、立ち位置や今後の展望が大きく変化しやすい業種なので、常にアンテナを広く張り情報を集めておくことも大切です。
業界研究と企業研究、そして自己分析をしっかりおこなったうえで、担当者に自身を採用したいと思わせるような、魅力的な志望動機を作成してみましょう。