就職活動や転職において、興味のある業界を詳しく調べる業界研究は、必須のプロセスです。
業界について広く調べていく中で、通信業界について興味を持った人もいるでしょう。
この記事で紹介しているのは、通信業界の詳細な情報です。
業界研究で調べておくべき事項として、通信業界とは何か、どんな企業や仕事があるか、現状や課題は何か、将来性はどうかなどについて紹介します。
現時点で通信業界に興味がある人や、これから就職や転職を考えている人は、ぜひ読んで参考にしてみてください。
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- 通信業界について
- 通信業界の魅力
- 通信業界のこれからの展望
- 通信業界を目指している人
- 通信業界に興味がある人
- 通信業界の業界研究をしている人
【通信業界の業界研究】通信業界の概要
まずは、通信業界がどのようなところなのか、その概要を見ていきましょう。
こちらでは、通信業界とは何か、通信インフラにはどのようなものがあるか、通信業界に勤める人の職種は何があるかについて紹介します。
就職先を決める際は、まず志望先の企業がどのような業界に属し、何の事業を手掛けているのかを知っておくことが大切です。
同じ業界の中でも、事業が違えば仕事の内容も異なります。
そこからさらに細分化された職種を調べ、実際に自分がどのように通信業界に関わっていきたいかをイメージしましょう。
通信業界とは
通信業界とは、国内外に向けて、一般的な消費者や企業などが行う通信のインフラを提供する業界のことを指します。
電話やメール、インターネットなど、有線、無線、その他の電磁的方式により、情報を伝達するための手段の設置、運用を行う業界です。
通信業界では、通話に使用する電話回線や、パソコンなどの端末からアクセスできるインターネットなどの環境を整備しています。
また、携帯電話・スマートフォンなどの物理的な通信機器の端末を開発・販売し、関連するサービスを展開している企業も多いです。
電話回線を利用しなくとも、高速でインターネットに接続できるWi-Fiなど、通信が便利に行えるようなサービスも提供しています。
現代の国民生活や経済活動に欠かせない、重要な役割を果たしています。
通信インフラについて
続いて、通信業界が取り扱う通信インフラについて見ていきましょう。
インフラとは、インフラストラクチャーの略語で、生活に必要な基盤のことを指します。
電気やガスなど、今日ではさまざまなインフラサービスが提供されています。
遠く離れた場所にいる人と、国境を越えてやりとりできる通信事業も、立派なインフラの1つです。
現在の通信業界には、固定回線、無線回線、海底ケーブル・衛星通信という3種類の通信インフラがあります。
これらの通信インフラがどのような事業を指すのか、詳しく見ていきましょう。
固定回線
固定回線とは、有線を使用して、物理的にインターネットや電話などの通信サービスにアクセスする回線です。
電柱などを通して建物内にケーブルを引き込むため、導入には工事が必要になります。
現在では、光回線やCATV回線、ADSL回線などが主に使用されており、各家庭や企業にインターネットサービスを提供している状態です。
無線による通信より安定しており、高速で通信が行える特徴を持っています。
固定電話や固定回線でのインターネットを提供し、その利用料を徴収する形で利益を得ている事業です。
無線回線
無線回線とは、ケーブルなどの有線ではなく、電波によって通信を行う回線のことです。
無線LANやWi-Fiなど、物理的に機器に接続しなくとも、使用できる通信回線を指します。
携帯電話やスマートフォンの回線も、無線回線の一種です。
国内ではさまざまな事業者が独自の回線を提供しており、サービスの内容や料金プランなども多種多様なものが存在します。
消費者はそれらの中から好きなものを選べて、競争率の高い事業と言えるでしょう。
海底ケーブル・衛星通信
通信業界では、海底ケーブルや衛生通信などの通信インフラ事業も手掛けています。
海底ケーブルとは、海底に埋設された電力や通信を送るためのケーブルのことです。
国際通信を安定させ、地球規模の交信を可能にするために設置されており、日本からも世界各地にケーブルが伸ばされています。
衛星通信とは、静止軌道上に打ち上げられた人工衛星を介して行われる、無線通信です。
地上には地球局と呼ばれる専用のアンテナが設置されており、人工衛星と電波を送受信しています。
職種について
通信業界で仕事を選ぶのであれば、どのような職種があるのかも知っておかなければなりません。
通信業界で働く職種には、営業、企画、提案、設計、施工管理、技術開発、研究開発などがあります。
通信業界の営業には、一般消費者向けと企業向けの2種類があり、通信機器やサービスを売り込む仕事がメインです。
企画や提案では、顧客が求めるサービスを把握し、自社製品やサービス、ブランド戦略の立案を担当しています。
設計や施工管理は、通信の拠点になる電波塔や有線ケーブルを通す電柱の設置、建物にケーブルを通すための工事などの計画や実施がメインの仕事です。
技術開発や研究開発では、インターネットや通信に関するさまざまな技術や、端末そのものの開発を行っています。
【通信業界の業界研究】通信業界に向いている人
続いて、通信業界での仕事に向いているのは、どのような人なのかを見ていきましょう。
通信業界に向いているのは、以下のような特徴がある人です。
まず学習意欲が高く、常に最新の技術やトレンドに敏感である人は、通信業界に向いています。
通信業界は注目されている業界であり、利便性を高めるために常に技術開発が進んでいます。
すぐに新技術が登場し、主流が塗り変わることも少なくありません。
そのため、変化する状況に対応できる柔軟性や創造性を持つ人も、通信業界に向いていると言えます。
さらに、顧客を獲得するため主体的に行動できるバイタリティや、チャレンジ精神を持つ人も向いているでしょう。
成果主義や実力主義の環境が好きで、自分の能力を試したい人にとっても良い環境です。
【通信業界の業界研究】通信業界で働くメリットや魅力
通信業界で働くことには、以下のようなメリットがあります。
通信事業は、今や社会に欠かせないインフラの1つであるため、社会的に重要な役割を担っているというやりがいや責任を感じられます。
また、技術開発や端末、サービスの提供などの事業を通して、さまざまな分野や業界と連携して仕事ができるプロジェクトが多いです。
そのため、1つの業界だけではなかなか得られない刺激や発見があり、学習意欲の高いタイプにとっては楽しい業界と言えます。
さらに、仕事に打ち込むほど、通信事業に関する高度な技術や知識を身につけられるので、スキルアップの機会が多いです。
生活していくうえでも、他の業界より平均年収が高く、福利厚生も充実しているという経済的な安定感があります。
【通信業界の業界研究】通信業界の現状
次は、通信業界が置かれている現状について見ていきましょう。
通信業界の業界規模、動向、競争環境や収益性は、自分が働く業界を選ぶうえで重要なポイントになります。
それぞれの項目について、詳しく確認していきましょう。
業界規模
通信業界の市場規模は現在約20兆円で、日本経済における約4%を占めています。
市場全体のIT化がはじまって以降、通信業界の生産額は上昇したり下降したりを繰り返しており、2013年以降は上昇傾向が続いている状態です。
電話やインターネットなど従来の通信技術に加え、家電をより便利に活用するためのIoTなどの技術も生まれており、今後も通信業界の規模は拡大していくと見られます。
すでに社会基盤の1つに数えられているため、通信業界が必要とされなくなる可能性は低いです。
通信業界の動向
通信業界の動向は、社会情勢や技術の進歩などに影響されやすいです。
近年は通信速度が速くなり、最大同時接続数が増えた新規格「5G」や、インターネットと家電などを結びつけて生活を便利にする「IoT」など、最新トレンドが注目されています。
通信が便利になる一方、スマートフォンなど個人が利用する端末や家電が、サイバー攻撃に晒される危険性も高まっています。
個人情報などを保護するためのセキュリティ強化も、急務です。
現在行われている通信業界の主要なプロジェクトや事例には、東京オリンピックとパラリンピックのための5G普及や、スマートフォン決済サービスの拡大などがあります。
キャッシュレス化のために、携帯端末での支払いを選ぶ消費者が増えており、さまざまな事業者がサービスの開発や提供に乗り出しているのが現状です。
通信業界の競争環境と収益性
続いて、通信業界の競争環境と収益性を見ていきましょう。
通信業界の競争環境は、国内と海外とで異なる様子を見せています。
国内では、NTTグループ、KDDIグループ、ソフトバンクグループ、楽天グループが優位に立ち、固定回線と無線回線の両者でトップ規模のシェアを誇っている状態です。
海外展開では、中国や韓国などの企業と激しく争っており、これらの企業は国内の通信市場にも参入しています。
通信業界の収益性は、通信インフラの設置や設備の維持に多額の費用がかかることや、激化する価格競争および消費者を保護するための規制の影響で、低下しているのが現状です。
平均営業利益率は、約10%と低水準となっています。
通信がインフラとなったからこそ、すでに多くの消費者が1つの事業者と契約しており、新規顧客の獲得や乗り換えの促進が難しくなっているのです。
【通信業界の業界研究】通信業界の抱える問題や課題
次は、通信業界が抱える問題や課題について見ていきましょう。
技術的には、5GやIoTの導入・普及に関して、いくつかの問題が発生しています。
また、事業の展開や競争においては、海外展開やM&Aにおける課題があるのが現状です。
新事業の創出も求められており、長期的な観点からの改善や開発が求められています。
5GやIoTの導入
通信業界が現在力を入れているのは、5GやIoTなどの新技術です。
5Gは、これまでの通信規格よりも高速で、大容量の通信を可能にする技術であり、通信の利便性向上に一役買っています。
その反面、電波の中継拠点など、通信インフラの整備や運用に高いコストや技術力が必要です。
IoTは家電をインターネットにつなげ、生活の質を向上させるための技術になります。
冷蔵庫であれば中身の把握や料理レシピの提供、洗濯機であれば洗剤・柔軟剤の在庫管理や調整、照明や空調などをスマートフォンで操作できます。
このような、インターネットやAI技術を活用した製品の開発に力を入れている状態です。
しかし、これらのサービスは、サイバー攻撃の標的になる可能性があり、セキュリティやプライバシーの保護が重要な課題となっています。
海外展開やM&A
通信業界における国内企業は、現在海外展開に力を入れつつあります。
すでに多くの消費者が回線を契約している、国内市場が飽和する中、まだ通信事業が普及しきっていない海外市場における需要は、拡大しているのが現状です。
そのため、海外展開やM&Aを強化することが重要視されています。
しかし、国内企業がこれまで通信事業を担ってきたのは、あくまでも日本の法律の下での環境です。
そのため、海外市場では現地法規との兼ね合いが難しく、頭を抱える企業が少なくありません。
またそのような環境には、現地の企業をはじめ、諸外国から参入した競合企業が多く、各社への対抗などの課題があります。
M&Aでは、国内企業が海外資本の企業に取り込まれる事例もあるため、国内企業が優位に立てる環境作りが求められるでしょう。
新規事業の創出
通信業界に限らず、既存事業に頼った経営戦略は、先細りしていくばかりで将来性が望めません。
そのため、新規事業の産出は多くの業界にとっての命題の1つです。
通信業界では、基幹事業である通信サービスだけでなく、AIやクラウドといった新技術を活用した新規事業の創出にも取り組んでいます。
しかし、誕生したばかりの新規事業は、技術も知名度も発展途上にあり、まだ収益性が低い傾向にあります。
したがって、すでに一定以上の売上を上げており、今後も安定して経営できる既存事業とのバランスを取ることが課題です。
既存事業もすでにインフラになったと言えども、何もせず顧客が増えるわけではないため、新規事業の開発と既存事業の改善の両方にリソースを割かなければなりません。
【通信業界の業界研究】通信業界の将来展望
続いて、通信業界における将来的な展望を見ていきましょう。
通信業界の企業による今後の見通しや可能性には、以下のようなものがあります。
まずは、現在開発が進められている新しい通信規格「6G」やAIの活用です。
5Gよりもさらに高速で、大容量の通信を実現する6Gや、人工知能を活用した自動化や最適化などのサービスは、通信業界に新たなビジネスチャンスを提供します。
また、スマートシティやデジタルトランスフォーメーションも重要です。
ICTやIoTを活用したスマートシティは、エネルギーの供給・消費や交通などの都市機能を制御して効率的に運用でき、通信業界に新たな需要を生み出します。
デジタルトランスフォーメーションは、通信業界やIT業界のみならず、さまざまな産業においてデジタル技術を導入することで、ビジネスモデルを変革することを意味する単語です。
通信業界は、変革を進めるための基盤として、重要な役割を果たすことを期待されています。
【通信業界の業界研究】就活のプロに相談
少しでも通信業界に興味を持ったのならば、今度は自分に合った企業を探してみると良いでしょう。
しかし、自分に合った企業を探すにあたり、自分一人だけであれこれ見て回るのは効率が悪いです。
就活は限られた時間の中で、いかに無駄なものを省いて進めるかが重要であるため、就活のプロに相談することも考えてみましょう。
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【通信業界の業界研究】まとめ
通信業界は、1つの社会的なインフラである通信事業を提供しつつ、生活の利便性を高めるようなさまざまな新事業にも手を広げている業界です。
現状では市場規模を拡大できているものの、すでに多くの消費者が回線の契約を済ませているため、海外への事業展開など新しい市場の開拓が望まれています。
単なる通信環境の提供だけでなく、インターネットやAIを活用したさまざまな技術の開発にも着手しており、今後も新しい価値観やサービスを生み出していくでしょう。
通信業界に興味を持ったのならば、ぜひ企業や職種を絞って就活を進めてみてください。