就職活動を始めると、ESや履歴書を作成することになります。
その際に、自己分析をしてみようとしても、やり方がわからないかもしれません。
そこでこの記事では、そのようなお悩みを抱える方に向けて、自己分析の目的・やり方・注意点・書き方・例などを解説します。
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【自己分析がわからない】自己分析は何のためにやるの?
そもそも自己分析とは、どのような目的で行うものなのでしょうか。
就活において、自分自身を正しく知っているというのは大切なポイントです。
これから、自己分析が必要な理由を解説します。
理由がわかれば、応募書類や面接で求められている答えが見えてくるはずです。
自分の強みを客観的に理解するため
就活では、自己PRの項目が設けられていたり、長所や強みを問われたり、自分自身をアピールする機会が必ず訪れます。
ところが、自分自身のことをわかっていなければ、企業に自分の強みを上手にアピールできません。
わかっているつもりでも、自己分析を行っていないと、主観的な考え方になってしまいがちです。
自分が評価しているものが、必ずしも企業に評価されるとは限りません。
企業から求められているのは、主観的な強みではなく客観的な強みです。
客観的な強みを知るためには、過去の経験を掘り下げる必要があります。
自分の経験したことを整理していくと、自分像が具体的なものになるでしょう。
これまでの出来事をふり返り、先入観をなくして、自分自身を捉えてみましょう。
企業選びの軸を明確にするため
自己分析を行うことによって、何が得意で何が苦手かを把握できます。
これは、企業選びの「軸」とも合致します。
企業選びの軸とは、企業を選ぶための判断基準になるものです。
自分のなりたい姿や価値観に基づいて、志望する企業を選びましょう。
軸は、一つに絞る必要はありません。
自分の中でゆずれない基準を大切にすると、入社後のミスマッチを防げます。
軸は強みを知ることで、決められていきます。
したがって、自己分析が一石二鳥の役割を果たすと言えるでしょう。
志望する企業が自分にとって働きやすい環境であるのか、やりがいを感じることのできる仕事内容なのかは、企業選びの基準として重視する人が多いポイントです。
それらを知るために、ぜひ自己分析を行ってください。
【自己分析がわからない】自己分析のやり方
なぜ自己分析が必要なのかを、説明してきました。
次に、自己分析のやり方を紹介します。
@ 自分史の作成
A 熱中した経験を書き出す
B 共通点を見つけ出す
また、自己分析にはほかにもやり方があるので、自分に合うものを探してみてください。
@自分史の作成
まず、自分史を作ります。
小学校1年生から現在まで、一年単位ごとにどんな出来事があったのかを記述していきましょう。
注意点として、一枚の大きな紙に書くようにしてください。
そうすることにより、一つひとつの出来事を見比べられるからです。
比較しながら、自己アピールにつながるような出来事を探しましょう。
そして、その出来事に対して何を感じたのか、あるいは学んだのかを思い出します。
共通している考え方や行動を見つけられたら、そこから自分の価値観を明らかにできます。
自分史を作ると、自分が好きなものや嫌いなもの、得意なことや苦手なことを区別できるため、自分の強みを知る手助けになるでしょう。
自分が何に興味を持ちやすいのかもわかるので、仕事を選ぶ際に役立つはずです。
A熱中した経験を書き出す
次に、@の中の出来事で「熱中してきた経験」を書いていきます。
加えて「なぜ、熱中していたのか?」を、同時に書いておくのをおすすめします。
思いついたままに@で出来事を書き出した後は、整理していかなければなりません。
「楽しかったから」といった簡単な理由でも、自分が何に興味を持つ人間なのかを確かめられるので、自分に合う仕事を探せるようになります。
また「熱中していたこと」は、面接などで聞かれることもあるでしょう。
企業は、応募者がどのようなことに興味関心を抱く人物なのかを知ることによって、人柄や価値観を把握しようとしているからです。
自分が熱中していたことが仕事内容につながるようなものだと入社後に活かせるので、なお良いです。
B共通点を見つけ出す
Aで書き出した「熱中した経験」の中から、共通点を見つけ出します。
共通点は、どのような環境だったのか、自分はどんな気持ちになったのかなど、出来事そのものだけではなく、あらゆる視点から探してみましょう。
熱中したということは、興味を持った後も継続して取り組んだはずです。
そこから発展させて、将来自分のなりたい人物像をイメージしてみてください。
自分はこういった状況のときに頑張ることができ、やりがいを感じるのだと知ることで、社会に出て何をしていきたいのかが考えられます。
熱中した経験は、自分が力を入れて取り組んだ出来事です。
それを明らかにすることは、学生時代に何に力を入れたのかを問う、いわゆる「ガクチカ」という就活における定番の質問の対策にもなります。
【自己分析がわからない】自己分析での注意点
自己分析のやり方を紹介しましたが、自己分析には注意するべきポイントがあります。
・主観的に強みを選んでしまうこと
・志望企業に合わせてしまう
・自己分析の結果を過剰に意識してしまう
では、例として挙げた注意点を、一つひとつ詳しく見ていきましょう。
主観的に強みを選んでしまうこと
たとえば「私は長い間、陸上を続けていたから、持久力は絶対にある」とだけ考えていると、面接で深掘りをされた際に、答えられなくなってしまうかもしれません。
持久力があることを、長所のひとつとして含めていても構いません。
しかし、そこから企業に向けてどのようなアピールができるのかを想像し、それが自己PRに発展させることは難しいのならば、違う強みを選んでください。
また、主観的に選んだ強みよりも、評価される強みを持っている可能性もあります。
自己分析では、特定の立場にとらわれて物事を判断するのではなく、誰が見ても納得できるような考え方をする必要があります。
自分一人で自己分析を行うと、主観的な結果になってしまう人は、他の人の意見を聞くこともおすすめです。
志望企業に合わせてしまう
企業に好印象を与えるため、志望企業が求めている人物像に合った結果になるように自己分析をしてしまうことは避けたほうが良いです。
「この業界には向上心が求められるから、向上心を持ち備えているようにしよう」など、本当とは逆の考え方で選んでしまうと、的確な結果は出ません。
加えて、企業に入社できたとしても、ミスマッチにつながりやすくなってしまいます。
企業研究は、就活をするうえで欠かせないものです。
しかし、研究によって手に入れた情報に左右されることは珍しくありません。
企業研究をする前に自己分析を行い、正しい結果を出せるようにしましょう。
その結果を踏まえてから、明確になった価値観と企業の特徴を照らし合わせ、志望する企業を決めていくと良いでしょう。
自己分析の結果を過剰に意識してしまう
自己分析の結果を、過剰に頼ってしまうのは危険です。
自己分析は、自分自身の性格や価値観、強みや傾向などを把握するために行います。
企業にどこをアピールするべきかがわかるので、ESや面接の場で、具体的に自己PRをできるようになります。
ところが、自己分析の結果はやり方や行ったタイミングによって、異なることもあるでしょう。
就活を続けるうちに、ゆずれないポイントが変わる可能性も考えられます。
さらに、自己分析の結果を信用しすぎると、志望する業界を絞ってしまいます。
向いている業界がほかに存在していても、視野が狭くなったことで致命的な失敗を招くかもしれません。
自己分析は一度きりではなく、くり返し行います。
そして、結果は意識しすぎないように気をつけてください。
【自己分析がわからない】ツールを使うのがおすすめ
過去から現在までの出来事をふり返ったり、連想ゲームのようにキーワードから想像できる言葉を書き出したりなど、自己分析にはさまざまな方法があります。
ただ、それらを自分でやるのは難しい人もいるでしょう。
そのような場合は、ぜひ自己分析ツールを使ってみてください。
ツールは適性検査として、能力検査と性格検査の2つに分かれています。
20問から30問で分析が完了する適性検査もあるので、時間があまりない就活生にもおすすめです。
【自己分析がわからない】自己分析の活用方法
自己分析が就活において重要であるとはいえ、その結果は実際にどのように使えば良いのでしょうか。
次に、活用する方法について述べていきます。
・自己PR編
・業界分析編
・ガクチカ編
自己分析の結果は、大きく3つに分けて取り入れられます。
自己PR編
自己分析は、自己PRの際に役に立ちます。
まず、自己PRを作成するには、基本となる書き方があります。
@ 結論
A 具体的なエピソード
B 企業に貢献したいこと
では、これから書き方を紹介するので、参考にしてみてください。
@結論
自己PRは「結論ファースト」で書くようにしましょう。
人事に「この文章は何が言いたいのか?」と思われてしまうと、魅力的な自己PRにはなりません。
はじめに明確に結論を書くことによって、読みやすい文章につながります。
何について述べようとしているのかがわかる文章であれば、次に続く内容も頭に入りやすいでしょう。
企業の印象に残るためには、自分が伝えたいことを最初に提示してください。
この結論ファーストは、さまざまな場面で効果的に使えます。
自己PRの場合、結論にあたるのは自分の長所です。
どの長所をアピールするべきか迷ったときは、もともとの素質よりも、努力したり学んだりしたことで得たものを優先して選ぶと良いでしょう。
A具体的なエピソード
結論を提示した後は、具体的なエピソードを書いてください。
そうすることにより、自己PRに説得性が増すからです。
使用するエピソードは、長所を裏づけられるような経験から探しましょう。
また、ここで失敗から乗り越えた経験を書くと、成長が伝えられます。
問題が起こったときにどのように解決しようとしたのかを述べることで、人事は応募者の仕事の取り組み方がイメージしやすくなります。
働いていくうえで、一度も失敗や問題に直面しない人は存在しないでしょう。
大切なのは、そういった場面でどのような行動をとれるのかという点です。
結果よりも過程を重視してください。
エピソードを用いて、一緒に働いていきたい人物だと思われるようにアピールしていきましょう。
B企業に貢献したいこと
自己PRの最後には、企業に貢献したいことを書きます。
結論の@で明らかにした強みを、企業に入った際にどのように活かせるのかを述べてください。
長所と合わせて、努力してきた過程を書き、最後に入社後の自分について述べることにより、筋の通った自己PRを目指せます。
したがって、貢献したいこととして書く内容は、長所や自己PRに使用したエピソードと関係のあるものにしましょう。
最後に書いたものが、これまでに述べてきた内容とつながっていなければ、まとまりのない文章になってしまいます。
入社後について書くためには、企業のことを把握していなければいけません。
それを述べられるということは、企業研究をしっかり行った意欲的な人物だと評価されると言えます。
ゼミでの自己PR例
私は大学のゼミの論文大会で、優勝することができました。
論文大会では、取り上げるテーマを自分で決め、問いを明確に記述します。
そのうえで、問いに対する結論の根拠となる文献を活用して論じていきます。
文献を揃えるために、さまざまな論文を読んで比較しました。
決めたテーマを専門としない人にも納得できるように論じる必要があるので、優勝するという目標を掲げて、何度も調査を続けました。
その件数は10件です。
そして努力を評価してもらい、優勝しました。論文は苦手でしたが、授業時間の合間や通学時間を友好的に活用し、疑問に思った点は解決できるように、普段の学習も見直していきました。
目標に向かって諦めずに継続していく力は私の習慣になり、日頃から運動や読書などにも活かされています。
今の自分の力になっているので、これからも根気よく努力を継続したいと思います。
貴社に入社した際には、持ち前の継続力で貪欲に行動をしていきたいです。
アルバイトでの自己PR例
しかし、アルバイトを始めた頃のライブハウスは、集客が見込めずに赤字でした。
チラシを配ってみても失敗してしまい、集客するのに苦労していました。ライブハウスには、まず興味を持ってもらわなければ、人は来てくれません。
そこで、ほかのライブハウスの状況を参考にしたり、クーポンなどをつけたりすることを提案し、自分なりに解決法を模索しました。
また、私は音楽が好きなので、ライブやフェスに行く機会を増やし、イベントを支える側として見ることも意識しました。
その結果、今では集客を目標の2倍達成することができています。
このような実績により、ライブハウスでイベントを開催する際には、意見を求められるようになりました。
私は問題が起こっているときは、原因を分析することが大切だと実感しています。
貴社に入社した際には、課題を発見して解決し、目標達成ができるよう精進していきます。
サークルでの自己PR例
私はバレーのサークルに所属しており、合宿の担当をしました。
サークルの合宿では、チームワークを向上するために、お揃いのTシャツを制作することになっています。
しかし、どのようなデザインにするのかが決まらず、とくに男女の間で対立が起こってしまいました。
さまざまなデザインの提案があったので、私はそれらを整理し、似ている要素をまとめたり、過去のデザインを調べたりして、自分たちで決めたデザインに満足してもらえることを目指しました。デザインの要望は、男女の間で大きく2つに分かれています。
したがって、私は担当として、積極的にサークルのメンバーと関わって意見を聞いていき、それぞれのゆずれないポイントを把握しました。
両者の意見を取り入れられるように、2つのデザインを融合した結果、完成したTシャツを喜んでもらえました。
貴社に入社したら「お客様ファースト」を心がけ、お客様の願いを100%反映し、満足や信頼につなげていきたいです。
業界分析編
自己分析の結果は、自己PR以外にも活用可能です。
業界を分析する際にも、結果を業界研究に活かしていけます。
これから、そのやり方について解説します。
自己分析が終わったら、業界研究を行い、その後で企業研究に進みましょう。
自己分析により、自分が何に興味を持っており、何を仕事にしたいと考えているのかが見えてきます。
その結果をもとに、自分がしたいことができる業界について調べてください。
業界研究が進むと、志望する企業の選択肢が広がります。
まずは、業界の知識を身につけていきましょう。
そして、興味深い企業を見つけられたら、その企業を研究します。
業界を分析する際の考え方や注意点については、以下の記事を参考にしてください。
仕事内容の理解を行う
業界を研究する際には、どのような仕事が向いているのかを見極めなければいけません。
ここでは、自己分析で知ることができた自分の強みを見ながら選ぶと良いです。
あらゆる業界から志望する企業を決めようとすると、時間がかかります。
また、業界研究をせずに企業研究から始めるのも、遠回りでしょう。
自分に合った仕事ができる企業を知るためには、業界の知識がなければ難しいです。
ある程度、候補を絞ってから企業研究に進み、仕事内容の理解を深めてください。
業界について見る
業界ごとに、そこで働いている人の雰囲気は違います。
チャレンジ精神を大切にするのか、コミュニケーションを大切にするのかなど、社風を知ることが、自分にとって働きやすい環境を選ぶ基準になるでしょう。
加えて、単独であるのか、チーム業務であるのかといった点も、調べておくことをおすすめします。
自己分析の結果から、どのような働き方が自分に向いているのかを知っているはずなので、仕事内容だけではなく、企業の体制も確認してみましょう。
ガクチカ編
自己分析の結果は、ガクチカに活かすこともできます。
ガクチカは自己PRとよく似ている項目なので、最初は混同されやすいでしょう。
自己PRでは、自分の長所をアピールします。
一方、ガクチカでは、学生時代に力を入れたことに重きをおいて質問されています。
自己分析によって整理された出来事の中から、目標に向かって取り組んできた過程を述べられるエピソードを選びましょう。
何に力を入れたのかを知ることで、モチベーションの源泉となるものがわかり、企業は入社後もその努力が活かされるかどうかを判断します。
ガクチカを作成する際には、自己分析でわかった強みを冒頭文として書きましょう。
それから、努力してきた過程について述べてください。
ガクチカの中心となるものは過程です。
まとめ
この記事では自己分析のやり方や注意点について取り上げました。
ほかにも、自己PRの例をいくつか挙げました。
自己分析の結果は、あらゆる場面で活用できます。
ぜひ紹介した自己分析のやり方を実践し、実際に自己PRを書いてみてください。