はじめに
エンジニアになるために必須の資格はなく、実際に資格を持っていないエンジニアも多くいます。
しかし、資格を取得することで客観的な技能の証明になったり、転職や昇進などのキャリアアップに役立ったりするのです。
また、毎月の給与に資格手当が支給され、自身の給与アップにもつながります。
そのため、エンジニアの資格取得は将来のために非常に重要なステップになるのです。
そこで今回は、エンジニアにおすすめの資格を難易度別にご紹介します。
エンジニアに必須の資格はない
エンジニアは専門的な知識が必要だと思われがちですが、実はエンジニアになるために必須な資格はありません。
エンジニアの資格は免許ではないため、未経験で知識がない方でもエンジニアとして活躍できるチャンスはたくさんあります。
また、エンジニアの仕事は採用も昇給も実力主義のため、転職や昇進の際はその方が実際に何ができるのかが一番の評価点になります。
そのため、資格が必須となる場面はありません。
知識を詰め込んで資格を取得しても、実際に業務ができなければあまり意味がないのです。
つまりエンジニアにとって最も必要なのは、実務で使用しているスキルやそれまでの実績なので、エンジニアに必須の資格はないと言われています。
エンジニアになる上で資格を取る意味
エンジニアの仕事を行う上で必須の資格はないとお伝えしましたが、資格を取ることによって仕事が有利になります。
資格を取ると、客観的な技能の証明、キャリアアップ、給料アップなど多くのメリットが存在します。
さらに、エンジニアの仕事に興味のある方が事前に資格の勉強をすることで、その時点でエンジニアとしての適性を判断できる可能性もあるのです。
ここからは、エンジニアになる上で資格を取る意味について、具体的な内容を見ていきましょう。
客観的な技能の証明になる
エンジニアは技術があっても外に力を誇示するのが難しい職種です。
そのため、資格は客観的に見てあなたの技術を保証するものとして利用ができます。
就職活動や、将来的に転職活動を行う際、企業によっては資格を保有していることで有利になることもあります。
また、必須の資格を持っていなければそもそも応募できない企業もあるのです。
自分が行ってきた仕事を文章で伝えるだけでは、あなたのスキルを100%相手に理解してもらうことは難しいでしょう。
資格をアピールすることで、あなたのエンジニアとしての実力が客観的にわかりやすくなります。
そのため、仕事の選択肢を広げるためにも資格取得は意味のあるものです。
実際にエンジニアとして活躍している方は、資格保有者が多いという話も聞かれています。
キャリアアップに有利になる
エンジニアは、キャリアアップを目指す人が多いです。
エンジニアの世界は実力主義のため、キャリアアップのためにはスキルの向上が必要不可欠です。
あなたがチャレンジしたいことに対して、ときには自分が保有しているスキルや知識だけでは足りないことがあるかもしれません。
そのようなときに資格を取得し、新たな知識を身につけることで、仕事の幅を広げられるのです。
また、あなたが社内で昇進や、プロジェクトの立ち上げリーダーなど、今のポジションより高いステップを目指す場合、評価基準の1つとして資格を保有していることが求められることもあります。
そのため、高いレベルでの業務や、将来的に転職を目指す方にとっては資格の取得が有利になります。
給料に差が出る場合もある
企業によっては給料以外に資格手当などもあるため、資格を保有していると月額の給料が上がる場合もあります。
そのため、資格手当が基本給に上乗せされ、毎月安定的に収入を高められるのです。
希望の職種に関連した資格を取得すると、就職や転職の際に手取り額を上げられます。
また難易度の高い資格ほど、資格手当の額も上がる傾向にあります。
企業によっても差はありますが、資格手当の額は5,000〜10,000円程度の支給になることが多いです。
残業代など、毎月変動する手当で給料を上げるよりも、資格手当の支給によって給与を上げた方が毎月の収入が安定します。
そのため、資格取得によって給与を上げるのが良いでしょう。
エンジニアにオススメの資格(初級)
ITの知識がまったくない方や初心者の方は、ITパスポート、基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の3つの試験がおすすめです。
初心者でも比較的合格しやすく、ITパスポートは毎年50~60パーセントの方が合格しているのです。
ここでご紹介する資格は、IT業界の入門資格とも呼べる資格で、IT未経験者から大学生などITに関わる多くの初心者が受験しています。
ここからは、初級レベルのエンジニアにおすすめの資格をお伝えします。
ITパスポート
ITパスポートは、ITを利用するすべての方に向けて作られたものであり、基礎知識を固めるための国家資格です。
直接就職や転職に有利になる資格ではありませんが、IT業界で働く上での知識を身につけられます。
試験の内容は、インターネットの仕組みやIT用語など簡単なものであり、勉強すれば誰にでも取得可能です。
近年、ITの技術はどの業界でも必要な知識となるため、IT知識の向上を目的として社員に取得を推奨している企業もあります。
エンジニアにとって直接有利になるものではありませんが、基礎知識の習得につながります。
そのため、IT業界が未経験の方や知識がない方は、まずIT業界を知るという意味で、ITパスポートの取得がおすすめです。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、エンジニアの登竜門と言われている国家試験で、IT全般の基礎知識を持っていることを証明する国家資格です。
ITパスポートよりレベルが高い資格の立ち位置ですが、ITパスポートはITを利用するすべての方に向けたものであることに対して、基本情報技術者試験はIT業界で働いている方が対象になります。
ITパスポートは転職の際には役に立ちませんが、基本情報技術者試験はIT業界で働く上での基礎知識を持っていることの証明になるので、一定の評価を受けられることがあります。
エンジニアを対象にした試験で最初に獲得する人が多く、システムエンジニアを目指す学生が就活時に獲得する資格でもあるのです。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティマネジメント試験は、情報セキュリティに関する試験であり、サイバー攻撃などから継続的にシステムを守る力があるための基本的な力を図るための試験です。
試験の内容は、業務で個人情報を扱う人が身につけておくべき知識やスキルを問うものとなっています。
現代では、IT技術を使わない企業はほとんどないため、IT業界以外の企業で広く本資格の取得が推奨されています。
エンジニアの方だけではなく、企業における情報管理者や、外部委託先に情報セキュリティの確認や評価を行う方はとくに取得しておくべき資格です。
また、ITパスポートの上位資格の位置づけであるため、ITパスポートからさらにレベルアップしたい方にも向いています。
エンジニアにオススメの資格(中級)
初級編でご紹介した資格より、もう一歩レベルの高い資格に挑戦したい方は、応用情報技術者試験、E資格、G検定の3つの試験がおすすめです。
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験よりも一段階レベルの高い試験です。
またE資格、G検定は、近年発展がめざましいAIエンジニアに関する試験であり、資格を保有していると高い評価が得られるでしょう。
ここからは、中級レベルのエンジニアにおすすめの資格をお伝えします。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の一段階上になる難易度の試験です。
ITに関する知識が、ある程度身についていることを証明できるような高いレベルの資格です。
システム開発の応用的なスキルに加え、予算、工程、情報戦略なども問われます。
基本情報技術者の資格を取得している方は多いですが、応用情報技術者試験の資格取得者は少ないので、転職や就職の武器になる資格です。
ただし、試験内容はすでにIT業界で働いている方向けの高度なものなので、未経験の方がいきなりチャレンジしても挫折してしまうでしょう。
まずは基本情報技術者試験に合格して、IT業界に就職してスキルや知識が身についた後に、応用情報技術者試験を受けるという順番で受験することをおすすめします。
E資格
E資格はエンジニア向けの資格であり、合格率は60パーセントと高いですが、内容は難易度が高いです。
日本のAIを軸にした技術を高めるために「一般社団法人日本ディープラーニング協会」(JDLA)が創設した資格です。
E資格のような資格は日本以外には存在せず、世界初のAIエンジニアの資格となっています。
試験の内容は、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを問うもので、線形代数や方法論など幅広い分野が多いです。
E資格を取得すると、AIを使った開発をするための基礎的な情報技術、AIに関する知識、AIプログラミングに必要な知識を身につけている証明になります。
G検定
G検定の公式名は「ジェネラリスト検定」で、AIの基礎知識や機械学習の手法、ディープランニングの基礎知識を問うものです。
ディープラーニングは、AI分野の成長が予測される今後の世の中で非常に重要な知識として捉えられています。
現在、AIや機械学習のシステム開発に関する案件も増えており、その専門知識を持っているエンジニアは高く評価されているのです。
そのためG検定によってディープラーニングの知識を持っていることを証明できれば、就職や転職を有利に進められます。
キャリアアップや独立のきっかけにもなるので、AI分野の将来に興味がある方は、G検定の資格取得を検討することもおすすめです。
なお、試験は自宅で受講することも可能です。
エンジニアにオススメの資格(上級)
IT領域でプロフェッショナルを目指したい方は、ITストラテジスト試験、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験の3つの試験がおすすめです。
どの試験も難易度が高いですが、取得すると業務の幅も格段に広がり、転職の際にも有利になるでしょう。
また、キャリアアップや給料アップを希望している方にとっても有効な資格です。
ここからは、上級レベルのエンジニアにおすすめの資格をお伝えします。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験は、経営戦略に基づいてIT戦略を策定し、ビジネスを成功させるための技能を測る試験です。
主に経営に携わる情報技術者や技術責任者、ITコンサルタントに向けて実施されています。
IT系の国家試験の中でも最高レベルと言われる資格であり、試験の内容は技術面だけでなくビジネス・経営に関する知識・スキルも求められる内容です。
資格保有者の業務領域は単にエンジニアとしてだけではなく、経営者目線でビジネスの重要な部分に参加することが必要になるため、社内で下位の人間を指導する技能が身につけられます。
ITストラテジストは難易度が高く、合格が難しい資格としても知られており、近年の合格率は約15%と低いものになっています。
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験は、ネットワークシステムを企画・要件定義・設計・構築・運用・保守する業務に従事し、システム基盤のネットワークシステムを管理して下位者を指導するための資格です。
資格を取得することで、システムの企画や要件定義などの能力が高いネットワークエンジニアであることを証明できます。
ネットワーク関係の仕事を行っている方だけではなく、ネットワークの知識を保有しているネットワークエンジニア、インフラ系のエンジニアを目指している方にもおすすめの資格です。
合格率は10パーセント台と難しく、現役のネットワークエンジニアでも2~3ヵ月程度は真剣に勉強しないと合格できないレベルであり、難易度の高い試験です。
データベーススペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験は、データ資源を管理するための力を測る試験です。
データシステムに関する要求を分析する力が必要になるため、企業活動において膨大なデータを管理している方や、データ分析基盤を提供するデータ管理者が主な対象です。
試験では、IT関連の基礎知識だけでなく、論理的思考を読み解くために記述式で問われたり、プログラミング解析などの知識が問われたりします。
そのため、JavaやC++などの基本言語だけでなく、最もよく使用されているデータベース言語SQLなどの知識が必要となります。
また、試験は4つの分野に分かれており、それぞれに対策が必要となるため、合格率は10パーセント台と難易度の高い試験です。
エンジニアの資格を取るためには
エンジニアの資格を取るためには必ず勉強が必要ですが、どのように勉強すればいいかわからない方もいると思います。
おすすめの方法は、独学で勉強する、またはスクールに通うの2種類です。
ときにはお金がかかることもありますが、将来のキャリアアップのことを考えると、損をすることはないでしょう。
自分が最も効率よく勉強できる方法を選んだ上で資格取得を目指しましょう。
ここからは、エンジニアの資格を取るために具体的な勉強方法についてお伝えします。
独学で勉強する
一つ目は、参考書やネットの教材を使い、独学で勉強する方法です。
参考書は書店でも販売されているため、自分で勉強を進めながら資格取得を目指します。
また、インターネットでも過去問や参考教材が掲載されているため、お金をあまりかけられない方にとってはメリットが大きいでしょう。
しかし、当然ながら、難易度が高ければ高いほど、わからない内容も増えていきます。
そのため、エンジニアの経験が豊富な上級者以外はあまりおすすめしません。
スクールに通う
二つ目はスクールに通う方法です。
現在は、エンジニア資格向けのスクールも数多くあります。
スクールに通うことで、専門家から直接指導を受けられるのです。
わからないことはその場ですぐに質問ができるため、すぐに自分の知識として身につけられます。
通う時間が確保できない方は、オンラインで受講ができるスクールに入学することもおすすめです。
スクールに通う値段はかかってしまいますが、キャリアアップした際の給料の上昇を考えると惜しくはない金額になるでしょう。
まとめ
エンジニアになるために必須の資格はありませんが、資格を取得することで客観的な技能の証明になったり、転職や昇進などのキャリアアップに役立ったりします。
また、毎月の給与に資格手当が支給され、自身の給与アップにもつながります。
そのため、エンジニアを目指す方は資格の取得がおすすめです。
勉強方法は独学もしくはスクールに通う方法がありますが、自分が効率よく勉強できる手段を考えた上で、資格取得を目指しましょう。