はじめに
面接時には「将来の夢」や「将来の目標」について面接官から質問される可能性が高いです。
企業から高い評価を受けるためには、自分自身の夢と、就職先の仕事内容を上手に絡めて説明しなければなりません。
そこでこの記事では、将来の夢に関する回答例を、NG例と好例に分けてご紹介します。
また、そもそも将来の夢が決まっていない場合はどうするのかについても解説しています。
なぜ面接官が将来の夢を質問するのかなど、基本的なポイントから見ていきましょう。
【面接時に将来の夢を聞かれたときは】聞かれる理由
そもそも、就活生に対して、なぜ将来の夢を尋ねるのだろうかと疑問を抱いている方は多いかもしれません。
企業側の意図としては、以下の3点を挙げられます。
<将来の夢を聞かれる理由>
・キャリアが具体化されているか
・自社に合っているか
・志望動機と整合性が取れているか
上記の3点を確認するために、将来の夢を訪ねる場合が多いです。
この項目では、こちらの3点について、さらに深掘りしながら解説します。
どのように答えると効果的かを知る前に、夢を聞かれる理由から確認しておきましょう。
キャリアが具体化されているか
将来どのようなことがしたいのか、自分のキャリアビジョンを立てられるまでの自己分析ができている人材なのかを確認するために、将来の夢を質問しています。
夢を叶えるためには、夢を実現させるための具体的な道筋を立てられる能力が不可欠です。
たとえば「国際社会の中心として活躍できる人材になる」という夢を持っている場合、実務に関する能力だけではなく、外国語のスキルを高めなければなりません。
「国際社会で通用する→英語力が必要→3年以内にTOEFLで80点以上を獲得する」というように、キャリアを具体化できているかどうかがポイントです。
将来の夢が漠然としていたり、大きすぎたりしていたとしても、実現に向けた道筋が明確であれば高い評価を受けられます。
自社に合っているか
学生が抱いているキャリアビジョンを自社で達成できるのか、採用選考の時点で認識の齟齬を発見するために、将来の夢を質問することも多いです。
いくらインパクトがあり、他人を感動させられるような夢を持っていたとしても、その会社で実現できる内容でなければ意味がありません。
採用担当者は、学生が自社で達成できるキャリアビジョンなら「相性がよく互いに成長できる」と判断します。
一方で、自社の方針にキャリアビジョンが一致しないという結論に至った場合は「別の会社のほうが夢に近付きやすいのではないか?」と判断されやすいのです。
企業の事業内容や理念に沿った将来の夢やキャリアビジョンを提示できれば、採用に大きく近付けるはずです。
志望動機と整合性が取れているか
志望動機とキャリアビジョンが一致しており、整合性が取れているかどうかも確認されています。
たとえば不動産業界の企業を志望するとしましょう。
この場合は「お年寄りが暮らしやすい都市開発」を将来の夢に掲げ「区画整理による住みやすい街づくりに感銘を受けたこと」を志望動機とすると、整合性が取れていると判断されやすいです。
反対に志望動機との整合性が取れていない場合は「本音で志望動機を記述しているのだろうか」「適当な嘘を夢や目標に掲げているのではないか」と疑われる可能性があるため注意しましょう。
採用担当者に納得してもらうためには、夢に対する解答だけに集中するのではなく、夢と志望動機を一致させることが大切です。
【面接時に将来の夢を聞かれたときは】評価されやすい将来の夢の特徴
面接時に将来の夢を聞かれた場合、どのように回答すると採用担当者から高く評価されやすいのでしょうか。
面接においては、夢そのものの内容や大きさよりも、以下の3点がより重要視されます。
<評価されやすい夢の特徴>
・その企業で叶えられる夢
・その企業にメリットがある夢
・その企業の価値観と合っている夢
上記の3点を抑えたうえで自分自身の夢を説明すると、採用に向けて大きく前進できます。
それぞれを深掘りしながら解説しましょう。
その企業で叶えられる夢
その企業で叶えられる内容の夢を提示すれば、志望動機との整合性を取れるため、志望度の高さを伝えられます。
たとえば金融関連の企業の面接を受けている際に将来の夢を質問され「金融業界でのキャリアを活かして将来は大学教授になりたい」と回答したとしましょう。
本人の頑張り次第でその夢を実現できる可能性はありますが、採用担当者から見れば、少なくとも自社に在籍しながら達成できる夢ではありません。
「その夢を実現したいならば、うちに入社するよりも最初から大学職員を目指したほうがよいだろう」と判断されると、採用は遠のいてしまいます。
その企業に在籍しながら達成できる夢に絞り込んで説明すると、採用担当者から高い評価を受けやすいです。
その企業にメリットがある夢
応募している企業にとって、メリットを感じられる夢であるかどうかも重要なポイントです。
企業の方向性と異なっているキャリアビジョンでは、企業側にとって採用するメリットが見つけられなくなり、不採用となる可能性が高まります。
たとえば「リーダーシップを発揮して、優秀な後輩を育てたい」といった夢ならば、企業にとって「将来の発展をもたらす可能性のある人材」として高く評価されるでしょう。
一方で「仕事を通じて英語力を高めて、世界中の人と友達になりたい」といった利己的な夢は、企業にとってメリットのある夢とはいえません。
自分自身が夢を叶えることによって、企業にも利益を還元できるかどうかが、評価の良し悪しを分けるポイントです。
その企業の価値観と合っている夢
採用担当者は、就活生が考えている以上に、自社の企業理念などの価値観を大切にしています。
企業という組織のなかで協調性を発揮し、長年にわたり良好な関係を築けそうな人材を採用したいと思うのが普通です。
そのため、就活生が持つ夢が、その企業の価値観と合致しているかどうかも評価を分けるポイントになります。
「常にチャレンジする」「向上心を重んじる」といった内容の企業理念を掲げる企業の場合、変化を恐れずに果敢に行動できる就活生を優先的に採用したいと考えるものです。
仮にコンサルティング業界ならば「立ち止まらずに知識をアップデートし、どんな業種や時代にも対応できるコンサルタントになりたい」といった夢を掲げると、企業との価値観が合致すると判断されます。
【面接時に将来の夢について聞かれた時は】面接時に意識するべきポイント
面接時に夢を質問された際は、どのような点を意識して回答するとよいのでしょうか。
とくに重要なポイントとして挙げられるのは、以下の3点です。
<面接時に意識するべきポイント>
・結論ファースト
・面接官の質問意図を汲み取る
・一貫性を持たせる
この3つをベースにして回答することにより、採用担当者から好印象を引き出しやすくなるため、効果的です。
ここからは、上記の3項目について、さらに深掘りしながら解説していきます。
結論ファースト
面接官から夢を尋ねられた際は「私の夢は〇〇です」と結論ファーストで回答することが基本です。
結論を最初に持ってくることにより、初対面である面接官にも、自分の話をより伝えやすくなります。
結論ファーストで夢を語れる人は、話を簡潔にまとめられるため、面接官に最後まで集中して話を聞いてもらいやすいのです。
結論を後回しにすると、着地点が見つかりにくく、冗長な表現になる可能性が高いでしょう。
面接官から「話が長くてわかりにくい」と思われたり、興味を損なったりすると、強烈なインパクトを残すことはできません。
「5年後には絶対に叶えたい夢」「入社してすぐに叶えたい夢」というように具体的なスパンを付け加えて、曖昧になりやすい夢に具体性を伴わせることも、高い評価を受けるためのコツです。
面接官の質問意図を汲み取る
面接官が何を目的に質問しているのかを考えて、面接官の意図を汲み取りながら回答するように心がけましょう。
相手がどのような情報を欲しがっているのかを理解できれば、回答する夢の内容を工夫しやすくなります。
たとえば採用担当者が「夢を叶えることにより自社が得られるメリットはなにか」を知りたいと考えて、就活生に夢を質問したとしましょう。
そこで「3年以内に結婚して幸せな家庭を築きたいと思っています」と個人的な夢を答えてしまうと、企業が求めている情報との間にギャップが生まれてしまいます。
事前に用意した回答をそのまま提示するのではなく、採用担当者が何を意図して質問しているのかを考えて、臨機応変な回答ができるように準備しましょう。
一貫性を持たせる
面接中に行われるすべての質問への回答に一貫性を持たせるのも重要なポイントです。
「さっきと話していることが違う」「夢と目標の内容が異なっている」などの問題が起きてしまうと、面接官が納得する内容の面接にならず、不採用となる確率が上がります。
夢について回答する際、とくに一貫性を持たせることを意識すべきなのは「志望動機」です。
先ほども触れましたが、夢と志望動機が一致していなければ、面接官は「なぜ自社に応募したのだろう」と疑問や不信感を抱いてしまいます。
「自分の夢である〇〇を実現させるために、△△を強みとする貴社に魅力を感じた」というように、一貫性があって筋が通った回答をすることが、面接を成功させるためのポイントです。
【面接時に将来の夢を聞かれたときは】回答のNG例
ここまでは面接時に将来の夢を聞かれたときの回答の基本について解説しました。
それでは、面接官に対してどのような答え方をすると、よい印象を持たれにくいのでしょうか。
<回答のNG例>
・個人的すぎる内容
・早期離職を思わせる内容
上記のような夢を挙げるのは、どれだけ壮大な内容の夢だとしても、面接の場としてはふさわしくありません。
それぞれ具体的にご紹介するので、夢として答えるべきではない回答例を確認しておきましょう。
個人的すぎる内容
面接官は、就活生の夢が自社の理念や業務とどのように一致するのかを確認するために質問をしているため、個人的すぎる内容の夢を語るのはNGです。
ビジネスとは無関係な内容の夢を挙げるのは避けましょう。
たとえば「入社して3年以内に結婚したい」といった夢は、ビジネスとは直接的な関係を持ちません。
「稼いだお金で旅行に行きたい」「マイホームを購入したい」といった夢も、面接官による意図を汲み取れていない回答と受け止められるため、心証を損なう可能性があります。
個人的な夢を持つのは自由ですし、その夢が仕事を支える原動力となることは間違いないでしょう。
しかし選考の場で語る夢としてはふさわしくないため、面接官に対して公言するのは控えたほうがよいです。
早期離職を思わせる内容
早期離職を思わせるような内容の夢を語ると、面接官から大きなマイナスイメージを抱かれるため要注意です。
新卒採用はポテンシャル採用とも呼ばれており、学生が現在備えているスキルよりも、将来性を重視した採用活動を行っています。
企業としては、新卒採用後に時間とお金をかけて一人前の戦力に育てようと考えるため、早期離職をせずにできるだけ長く働いてくれる就活生の採用を目指しています。
採用したとしても、数年で離職しそうだと判断された場合は、不採用となる可能性が高いです。
たとえば「会社で得た経験を活かして独立したい」「数年以内に結婚して家庭に収まりたい」といった夢は、働くことに対して前向きではないとみなされ、不利な立場に追い込まれてしまいます。
【面接時に将来の夢を聞かれたときは】将来の夢がない場合は
面接に向けて自分自身の夢はなにかと考えた結果「叶えたい夢がない」「どうしても夢が思いつかない」と悩んでしまう方も多いかもしれません。
しかし面接において「思いつきません」「夢はありません」と回答してしまうと、面接官から「キャリアビジョンがなくて無計画」「面接に対して真剣ではない」といった印象を持たれてしまいます。
事実上の無回答となると、面接官に悪いイメージを与えてしまいますので、面接用になんらかの夢を用意して対策しましょう。
夢が思いつかない場合は、自分の好きなことや得意なことから連想して、夢に結び付けて回答するのがおすすめです。
OB訪問・OG訪問で先輩に夢を尋ねたり、憧れている人・目標にしている人の夢を調べたりして、ヒントにするのもよいでしょう。
【面接時に将来の夢を聞かれたときは】例文紹介
この項目では、面接時に将来の夢を聞かれた際、回答すると面接官に好印象を抱いてもらいやすい例文をご紹介します。
7つの業種ごとにそれぞれの理想的な例文を見ていきましょう。
<業種ごとの例文紹介>
・金融
・メーカー
・コンサルティング
・商社
・広告
・通信
・不動産
これからご紹介する例文をテンプレートにするのではなく、自分自身のエピソードに置き換えながら、独自性のある回答をすることが面接を成功させるためのポイントになります。
金融
私が目指すのはリスクコンサルタントのプロフェッショナルです。
学生時代に行った飲食店のアルバイトでは、新卒のスタッフが離職したことが原因の人材難により、経営が困難になる様子を目の当たりにしました。
その経験を通じて「リスクを回避するための準備の重要性」「確実な利益を生み出すための方法を探ることの大切さ」を学べたのです。
このようなリスクにさらされる前に回避する対策のほか、より効率的なリスクヘッジができる環境づくりに貢献したいと考え、貴社を志望するに至りました。
貴社への入社後は、私の強みである「客観的な判断力」を活かしながら経営者のチャレンジを支援し、安定した融資を行うことにより貴社に貢献したいと考えています。
メーカー
私の夢は、お客様のニーズを的確に汲み取り、自社のファンを増やせる商品を数多く開発することです。
私の実家では、祖父の代から貴社の自動車の乗り続けており、私自身も生まれたときから貴社の製品を身近に感じて生活してきました。
大学入学直後に運転免許を取得しようと強く決意したのも、自動車が私たちの生活を豊かにし、利便性を高めることを、貴社の製品を通じて理解していたためです。
私には交通事故により友人を失った過去があり、利便性の高さとは裏腹に、自動車には危険が付き物であることも痛感した経験があります。
貴社への入社後は、交通事故を撲滅することを目指し、貴社が力を注いでいる安全装置の発展や新技術の開発に尽力したいと考えています。
コンサルティング
私の夢は、誰もが使いやすいシステム開発を行い、システムを活用する人がより幸せになれる未来をつくることです。
これまでコンビニエンスストアでアルバイトを続けてきましたが、数か月のスパンでレジや検品などのシステムがリニューアルされました。
その度に感じたのが、従業員やお客様にとって便利なリニューアルと、むしろ不便なリニューアルのどちらかに分かれるということです。
それまでは必要のなかった確認作業を追加せざるを得ない仕様変更が発生した際は、開発者がエンドユーザーのニーズを把握しきれていない現実が見えてきました。
私が貴社に採用された暁には、エンドユーザーによるニーズを正確に把握し、現場が本当に必要とするシステムを提案できるコンサルタントになります。
商社
私の夢は、国境を越えた仕事を行い、人々の暮らしをより豊かにすることです。
大学時代に南アジアでボランティア活動をした際、食べ物に困り物乞いをする子どもたちを目の当たりにし、少しでも世の中に貢献したいと感じたことにより、この夢を抱きました。
貴社がフェアトレードにより、発展途上国の人々が豊かな生活を送れるよう公正・公平な取引を心がけていることを知り、感銘を受けました。
日本国内で商品を購入する人だけでなく、現地で生産する人々にも喜ばれる仕事に携わりたいと考えています。
貴社に入社後は、ボランティア経験により培ってきた献身性とタフさを活かしながら、常に社会貢献を心がけて挑戦し続けられる人材でありたいです。
広告
私の夢は、地域に密着した情報を届けることにより、地方創生に貢献することです。
大学のサークル活動では、地域の特産品を使用したスイーツを考案し、近隣の商店街や個人商店で販売を行いました。
その際にもっとも苦労したのが広告であり、情報を求めている人に必要な情報が届きにくいことにもどかしさを感じたのです。
この経験から、大手企業の広告に負けることのない、その土地特有の良さを伝えられる広告を作り、地域の人々に貢献したいと強く感じるようになりました。
貴社が自治体との関わりが強く、バスなどの地元とのつながりが深い機関への広告出稿に力を入れていることを知り、理念に共感し志望いたしました。
貴社への入社後は、企業が地方の人々に届ける想いを仲介できるよう尽力します。
通信
私の夢は、ネットワークを通じて、日本国内のみならず世界中に情報を発信する架け橋となることです。
私は地方都市で生まれ育ち、スマートフォンを購入できる環境にはありましたが、当時は通信環境が悪く、満足にインターネットを利用できませんでした。
大学進学を機に上京し、地方との通信環境の違いを目の当たりにし、地域格差を解消する必要性があると感じました。
また、学生時代は途上国を中心にバックパッカーとして旅行をする機会が多く、それらの国々でも日本との通信技術の格差を痛感したのです。
貴社に入社した後は、国内外でのセールス活動を通じて通信格差を無くすことに尽力し、世界中のどんな場所にも生きるために必要かつ便利な情報を届けます。
不動産
私の夢は、都市開発を通じて、地域の人々に今よりも便利な生活を届けることです。
私の実家は地方都市にあり、再開発によって大きく変貌しました。
公共交通機関が整備され、大型のスーパーマーケットが誕生し、それまではインターネットに頼らなければ購入できなかった日用品も気軽に購入できるようになったのです。
一方で大型店進出の煽りを受けて、私が子どもの頃からお世話になってきた個人商店が閉店に追い込まれる様子も見てきました。
私の強みは、再開発の対象となる地域に住むあらゆる人々の気持ちを理解できることです。
貴社に入社後はこの強みを活かして、その地域に住むすべての人々が納得し、笑顔で暮らせる街づくりを進めていきます。
【面接時に将来の夢を聞かれたときは】将来の夢を聞かれた時の対策が難しいと感じたら
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サービスを利用するための費用は一切かかりません。
就職エージェントは企業の採用コンサルタントとして活動しており、ご紹介に関する費用はすべて求人企業が負担しています。
求人企業数などの詳しい情報は、こちらのホームページをごらんください。
おわりに
面接の際に将来の夢を質問される理由は、就活生がキャリアを具体化できているか、自社に合った夢や目標を持っているかなどを確かめるためです。
その企業で叶えられ、その企業にメリットをもたらすことのできる夢を提示できれば、採用に向けて大きく前進できます。
この記事では、7つの業種に分けて例文をご紹介しているので、これを参考にしながら就職活動を進めてみてください。
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