はじめに
就職活動中の面接で頻出する質問のひとつが「あなたの性格」です。
自分自身のことをよく知っているつもりでも、性格に関する質問への対策が不十分な状態では、いざ面接で質問された際に言葉が詰まってしまいます。
面接官は明確な意図を持ってあなたの性格を尋ねるため、面接官からよい印象を持たれるような回答を準備しましょう。
今回は、自分の性格を面接官に伝える際のポイントやおすすめの構成、好印象につながりやすい例文・NGな例文などをご紹介します。
【面接時に性格を聞かれた時の対処法】聞かれる理由
そもそも、面接官はなぜ就活生にあなたの性格に関する質問をするのでしょうか。
性格の質問をする意図としては、主に以下の3つを挙げられます。
<性格を聞かれる理由>
・人となりを知るため
・客観視できるか確認するため
・自社とマッチするか確認するため
まずは性格について尋ねられる理由から整理しておきましょう。
面接官による意図を汲み取ることにより、質問に対してどのように回答すると効果的で、採用に近付けるのかが見えてきます。
人となりを知るため
面接官は、就活生の人となりを知り「仕事熱心に働いてくれるのか」「一緒に働きたいと思えるような人間性を持っているのか」を確認するために、あなたの性格について質問することが多いです。
そもそも企業の採用活動は、自社で活躍できる人材を発掘し、採用することを目的に行っています。
たとえば「部活で全国大会に出場した経歴」が同じでも、リーダーとして牽引するタイプ・チームワークを重んじるタイプ・個人成績を重視するタイプなど性格はさまざまです。
なんらかの分野で優れたスキルを発揮できる人物だとしても「社風に合わない」「協力して働くことが難しい」と判断された場合は、不採用となる可能性が高いでしょう。
新卒採用はポテンシャル採用とも呼ばれており、就活生には実務経験がないため、自社で活躍できる人となりを持つかどうかが重視されます。
客観視できるか確認するため
自分のことを客観的に見て、自分自身の長所や欠点を正確に把握できているかどうかを確認するために、性格について質問することもあります。
みずからを冷静に客観視でき、周囲の状況把握や自己成長に活かせるような人材を重宝する企業は多く、そのような人材かどうかを見極めるために、性格に対する質問は極めて効果的なのです。
面接官に対して、自分自身の性格を具体的に伝えられることができれば、面接官はあなたが入社後に活躍するイメージを持ちやすくなります。
「仕事に活かせる長所を正しく認識できている」「課題と向き合って改善を目指す向上力がある」と見られると、会社に貢献する可能性が高いと判断され、内定に大きく近付けるでしょう。
自社とマッチするか確認するため
面接官は、就活生が持つ価値観を知ることにより「自社に入社した後に既存の従業員とうまくやっていけるのか」といったマッチ度合いを確認しています。
企業理念に合わない性格や考え方の就活生を採用した場合、ミスマッチにより早期離職となるリスクもあるため、企業側は就活生の性格を正しく見極めようとするのです。
自由な発想や行動を重視する企業と、何よりも規律を重んじる企業とでは、当然のことながら求める人材の特徴が異なります。
元気で明るいことが求められる体育会系の企業には内向的な性格の就活生はマッチせず、反対に落ち着いた雰囲気の企業にはムードメーカータイプの就活生はマッチしません。
就活生の気質を見極めるうえで、あなたの性格に関する質問は企業にとって重要な意味を持ちます。
【面接時に性格を聞かれた時の対処法】伝える際のポイント
面接時に性格を聞かれた時は、面接官に対してどのように伝えると効果的なのでしょうか。
基本的なポイントとして挙げられるのは、以下にピックアップした5点です。
<性格を伝える際のポイント>
・一貫性を持たせる
・再現性がある性格を選ぶ
・具体例を準備する
・伝えることは1つに絞る
・他人からの評価を加える
上記の5点を意識することにより、面接官は就活生の性格を理解しやすくなります。
ここからは、それぞれの項目を深掘りしながら解説します。
一貫性を持たせる
いくつもの性格を話すのではなく、面接官に伝える性格は1つに絞り込んで、話に一貫性を持たせることを意識しましょう。
一般的な企業の場合、一次面接・二次面接・最終面接など複数回にわたって面接を繰り返しますが、企業側はこれらの内容をすべて記録しています。
仮に一次面接と二次面接の2度にわたり正確に関する質問をされた場合、答えに一貫性がなければ信ぴょう性に欠け、面接官はどれが本当の性格なのかを把握できません。
1つの性格に絞り込んでおけば、その企業に対して以前の自分がどのように性格を説明したのかわからなくなり、混乱するリスクを避けられます。
自分の性格を細かく伝えたいという気持ちはわかりますが、一貫性を持たせることを最重視しましょう。
再現性がある性格を選ぶ
入社後に活躍するイメージを持たせられるような性格を伝えることにより、面接官は「自社に貢献する可能性が高い将来性のある人物」と判断します。
社会人として、その企業で自分の性格をどのように活かしたいのかを、具体的に話してみるのもおすすめです。
就活生の目的は「内定獲得」になりがちですが、その一歩先までを見据えていることが面接官に伝われば、その他大勢の就活生との差別化を図れます。
たとえば「私は負けず嫌いな性格です。
学生時代はライバルに勝つために常に自分の課題を探し、改善することで成長してきました。
」と話せば、成績が重視される職種や部署で重宝されるでしょう。
企業としては入社後の配属先もイメージしやすい回答となるため、選考を有利に進められる可能性が高まります。
具体例を準備する
その性格を活かしたことにより、どのような成果を得られたのかなど、具体的なエピソードを交えて話すと納得性が高まります。
仮に「ポジティブな性格」であることを伝える場合、ただそれだけを結論として伝えても、面接官はポジティブさをどのような場面で活かせる人物なのかを判断できません。
ここで「アルバイト中に多くの欠員が発生した際、はじめて経験する作業を多く任されましたが、成長する機会と捉えてやり切りました」と付け加えることにより、具体性が増します。
小さなエピソードだとしても、他の人にはない自分だけの独自性を持たせることが大切です。
口先だけの人物だと判断されないように、説明した性格が本当であることを、エピソードを通じてアピールしましょう。
伝えることは1つに絞る
先ほど「一貫性を持たせるために伝えることは1つに絞るべき」とお伝えしましたが、そのほかにも1点に絞って性格を説明するべき理由があります。
いくつもの性格を説明してしまうと、性格に矛盾が生じるリスクがあるほか、面接官は「結局、この人はどんな人なのだろう」と悩んでしまう可能性が高いです。
たとえば「私は協調性のある人間です。
負けず嫌いでもあり、常に努力を欠かしません。
」と回答した場合はどうでしょうか。
「協調性」と「負けず嫌い」は相反する言葉として認識されやすく、面接官はその就活生の本質が何なのか把握しきれません。
曖昧な印象を持たれないように、自分が1番イメージしたいことは何かを考えて、会社にメリットを与えられる性格を1つだけ伝えるように心がけましょう。
他人からの評価を加える
主観的ではなく、客観的な評価を交えることによって、あなたの性格についてより説得力のある説明ができます。
たとえば「私は計画性のある性格です。
」と伝えるよりも「家族や友人からは『計画性がある』と評価されることが多いです。
」と伝えると、より説得力が増します。
さらに「学園祭で飲食店の運営を担当した際は、前年度までのデータから仕入れに必要な数を計算し、食品ロスの削減に成功しました。
」などと具体的なエピソードを追加するとより効果的です。
反対に一切の根拠を示さずに「私は真面目な性格です。
」とだけ伝えても、一貫性がないなどの矛盾が見つかった場合は「自分の性格を誇張して伝えている」と判断されかねないため注意しましょう。
【面接時に性格を聞かれた際の対処法】おすすめの構成
面接時にあなたの性格について質問された際、どのように応えるのが基本なのかを把握できたら、それを明確に伝えるための構成にもこだわりましょう。
性格の説明中、面接官の興味を引くために効果的な構成は次の順番です。
<おすすめの構成>
・結論
・エピソード
・価値観
・今後への貢献
上記の構成で性格を伝えることにより、面接官はその就活生を採用後、自社でどのような活躍をするのかをイメージしやすくなります。
4つの構成の詳細を見ていきましょう。
結論
性格に関する回答に限った話ではなく、面接中の回答は結論ファーストで伝えることが基本です。
「私の性格は〇〇です。
」と結論から話すことにより、面接官はメモを取りやすく、その後の話を整理しやすくなります。
簡潔に自身の性格を伝えられると「要領がよく賢い」「社会人としてのマナーが身についている」といった好印象を与えやすいです。
とくに日本人は結論から話す習慣がないとされているため、結論から順序立ててわかりやすく回答することにより、その他の就活生との差別化を図ることもできます。
まずは自分自身の性格を簡潔にひとことで表現して、話の道筋を立ててから「エピソード」や「価値観」につなげることが、性格をわかりやすく伝えるコツです。
エピソード
自分自身の性格によって得られた経験について、具体的なエピソードを交えながらざっくりと話しましょう。
口先だけでは自分をよく見せることもできるため、結論ファーストで自分の性格をはっきり伝えたとしても、根拠としては不十分な状態です。
簡潔に表現したあなたの性格が本当であることを裏付けるために、自分にしかないオリジナルのエピソードを付け加えることがポイントとなります。
根拠に説得力を持たせるためには、具体的な数値なども織り交ぜながら、詳しく状況を説明できるように回答を準備しましょう。
たとえば「行動力を活かして5か国でボランティア活動を行いました。」「負けず嫌いな性格で、TOEICのスコアを半年で60点のばしました。」といった具合です。
価値観
性格をもとにしたエピソードに対してさらに肉付けをするために、エピソードによって色濃く出た自分の価値観に焦点を当てて話を続けます。
どのような価値観や信念をもとに行動したのかを付け加えることにより、エピソードがさらに具体化し、その他の就活生が持ち合わせていない、あなただけの魅力を伝えやすくなるのです。
たとえば「ボランティア活動」に言及した場合は、その活動を通じて自分自身の価値観にどのような変化が生じたのか、人生観にどんな影響が及んだのかなどについて触れるとよいでしょう。
「努力してTOEICの成績をのばした」のであれば、何をモチベーションにして勉強を続けたのか、挫折を乗り越える原動力は何だったのかなどを伝えると効果的です。
今後への貢献
自分自身の性格や、それによって得られた経験を今後どのようにして活かし、会社に貢献できると考えているのかを説明しましょう。
「私の性格は〇〇です。」と伝えるだけでは、仮にそれが本当で、いかに優れていたとしても、面接官は自社に対してどのように還元できるのかを判断できません。
面接で高い評価を受けるためには、自分の性格を伝えることに加えて「採用すれば活躍する可能性が高い」と期待感を抱かせるような回答をする必要があるのです。
たとえば「私の協調性を活かして、グループワークに一体感を持たせながら、すべてのスタッフのポテンシャルを引き出します。
」と話せば、企業側は採用するメリットを感じ、配属先もイメージしやすくなります。
【面接時に性格を聞かれた時の対処法】例文紹介
性格への質問に対する答え方の基本や構成を見てきましたが、具体的にはどのような流れで性格を説明するとよいのでしょうか。
性格のタイプはさまざまですが、今回はポジティブな印象を与えやすく、なおかつ自分自身のエピソードにもつなげやすい、4つの性格に絞って回答例をご紹介します。
<例文紹介>
・協調性
・行動力
・計画性
・負けず嫌い
これからご紹介する例文を参考に、自分自身の性格やエピソードに置き換えながら回答しましょう。
協調性
私は協調性が高い性格です。
高校時代は野球部に在籍していましたが、所属する人数が多く、それぞれが持つ目標もバラバラな状態でした。
私はチームを強くするために、全員が関わり合い、共通の意識を持つことが大切であると考えました。
2年次には上級生と積極的にコミュニケーションを取り、上級生の想いを下級生に伝える役割を心がけた結果、チームに少しずつ一体感が生まれたのです。
最終学年ではキャプテンを任され、目標である全国大会出場は叶いませんでしたが、その目標に向かってすべての部員が一丸となって戦えたことが、私にとって大きな財産になりました。
貴社に入社後は、私の経験や協調性を活かして、グループが一体となることにより、さらに優れたサービスを開発し、お客様に提供します。
行動力
私は行動的な性格の持ち主です。
大学時代、留学生との出会いをきっかけに海外の文化に興味を持ち、次の夏休みにはバック1つを持ってカンボジアへ出かけました。
その場で多くの恵まれない人を目の当たりにし、子どもから物乞いをされるなどの経験をして、世界の貧困をなくすための仕事に就きたいという夢を持つようになったのです。
その後は私の行動力を活かし、大学在学中だけで7か国を訪問し、それぞれの国でボランティア活動に従事してきました。
今では現地に友人も多く、彼らとより深くコミュニケーションを取るために、語学の習得にも励んでいます。
貴社に入社できた暁には、私の行動力や海外にある人脈を活かし、輸出入を通じて業績の向上や世界の発展に貢献します。
計画性
私は家族や友人から計画性のある人間と言われることが多いです。
私がIT関係の仕事に就きたいと考えたのは大学2年生の冬のことでした。
即戦力として活躍するためには何が必要なのかと考え、資格を取得しようと決断し、多くの関連資格の中から「基本情報技術者試験」への合格を目指すことに決めたのです。
この試験の合格率は25％と低く、友人からは「大学の勉強と並行するのは無謀だ」とも言われましたが、試験までの約1年間でどのような勉強をすれば合格に近付けるのかを考え、計画を立てました。
残りの日数から1週間あたりに必要な勉強量を決めて、割り振ることにより、単位を落とすことなく試験に合格することができました。
貴社への入社後は、計画性の高さを活かし、目標を確実に達成しながら着実に成長を重ねます。
負けず嫌い
私は人並み以上に負けず嫌いな性格です。
どれだけ困難な道だとしても、目標を達成するまでは決して投げ出さずに、努力を重ねられることが私の強みであると考えています。
幼少期は空手を習っていましたが、一緒に習いはじめた友人がみるみるうちに昇級したにもかかわらず、私は白帯のままでした。
とても悔しい思いをした私は、それから1回も欠かすことなく、誰よりも早く道場に足を運んで稽古を重ねました。
その結果、少しずつではありますが昇級試験をクリアできるようになり、その友人よりも早く黒帯を手にすることができたのです。
貴社は業界シェア率2位の企業ですが、私の負けず嫌いな性格と過去の成功体験を還元し、トップの座を奪えるよう尽力します。
【面接時に性格を聞かれた時の対処法】NG例の特徴
ここまでは、面接時に性格を聞かれた時に、面接官から好印象を持たれやすい回答の基本や例文をご紹介してきました。
そのうえで気になるのは、面接官にマイナスなイメージを持たれやすい回答のNG例ではないでしょうか。
以下のような回答をすると、あなたの性格に対して悪い印象を持たれる可能性があります。
・性格を説明しているだけ
・活かし方が書かれていない
・ネガティブ要素が強い
・仕事に全く関係のないこと
詳細を解説するので、反面教師として活かしましょう。
性格を説明しているだけ
「私は素直な性格です」「協調性が高いと言われます」というように、一般的な性格を説明しているだけでは、面接官からよい印象を持たれません。
このような答え方をしては、自分らしさを表現できず、面接官から見れば説得力や納得性にも欠けています。
あなたの性格が明確に伝わったとしても、その性格によってどのような経験を得られたのか、性格を活かして会社にどのような貢献ができるのかを説明する必要があります。
自分にしかないエピソードを付け加えながら、自分の性格を活かして過去に解決した課題を紹介するなどの工夫が必要です。
「私は真面目な性格です。
欠席日数が少ないことは先生からも褒められました。
忘れ物をしたこともありません。」というように、ただ性格を説明するだけの回答は避けましょう。
活かし方が書かれていない
自分自身の性格をどのように活かしてきたのか、また今度どうやって活かすつもりなのかも説明しましょう。
性格の扱い方を説明できなければ、面接官からは「この性格をどうしたいの？」「自分の性格を理解しきれていないせいで感情をコントロールできないのでは？」と悪印象を持たれる可能性があります。
一例として「私は努力家です。
絵画を基礎から地道に勉強して、コンテストで入賞するまでの力をつけました。
この経験から努力することの大切さを学びました。」と説明したとしましょう。
努力家である性格と、それによって得た成果は伝わりますが、その性格を今後どうやって活かすかについては言及されていません。
面接官は「入社後に性格を活かしてどんな成果を挙げられるのか」という意図を込めて質問しているため、肝心な回答が抜けた不十分な回答とみなされてしまいます。
ネガティブ要素が強い
ネガティブな要素が多い性格を示した場合「社会人として採用した後の扱いに困りそうだ」と判断される可能性があるため要注意です。
たとえば「我が強い」「神経質」といった言葉にはネガティブなイメージが強く、具体的なエピソードや今後の活かし方について言及できていたとしても、必ずしも効果的とは言えません。
面接官に「この就活生は自分の性格がネガティブであることを自覚していない」と受け止められた場合は、さらに苦しい立場に追い込まれてしまうでしょう。
ネガティブに見られかねない性格の場合は、ポジティブな言葉に言い換えることが大切です。
先述した「我が強い」は「向上心が強い」へ、「神経質」は「慎重」「几帳面」といった言葉に置き換えられます。
仕事に全く関係のないこと
仕事に関係のない性格も大事ではありますが、採用面接の場にふさわしいとは言えません。
社会人としての常識を備えていることをアピールするためにも、ビジネスの場でプラスに捉えられる性格を伝えることを心がけましょう。
たとえば「私は家庭的な性格です。
」と伝えた場合、性格的には魅力的な人物とみなされる可能性はありますが、仕事で活かせる性格とは考えにくいです。
「口の堅さには自信があります。
」といっても、秘密保持が重要な職場でない限り、会社側にメリットのある性格とはみなされない可能性が高いでしょう。
自分自身を端的に表現できる性格がいくつかある場合は、ビジネスで活かしやすい性格に絞り込み、仕事に関連付けて説明することが大切です。
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おわりに
面接時にあなたの性格を質問される理由は、就活生の人となりを知り、自社とマッチするかを確認するためです。
回答に一貫性を持たせることを心がけ、具体的なエピソードや今後の活かし方について言及すると、面接官の好印象を引き出しやすくなります。
この記事では、回答例も交えながら、性格に関する質問への効果的な回答方法をご紹介しました。
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