はじめに
就職活動において、面接対策は重要です。
どのような質問を受けるかは企業、状況によりさまざまであるため対策も簡単ではありません。
採用面接については、さまざまな質問を想定し対策を進めます。
得意なことやこれまでの経験など、適性・職務要件に関する質問が多く想定され、あなたの仕事へのスタンスや現状スキルに加え「会社にマッチする人材か」について確認されます。
応募者が仕事をどのように捉えているかを評価するため、やりたくない仕事について質問されることも少なくないので、対策が必要です。
面接で「やりたくない仕事」を聞かれたら答えるべき?
「仕事なのでどのような仕事もやります!」という回答は、入社意欲は評価される可能性はありますが、実務のうえで上司の指示を遂行するだけの受け身な人材と受け取られる恐れもあります。
積極的に仕事に関わらない人材というネガティブな印象とならないよう、やりたくない仕事が実際にある場合には、適切な理由を述べながら適切な表現を使用し回答することを意識することが大切です。
答えるべき場合
どうしてもやりたくない仕事がある場合は、自己分析を踏まえながらしっかりと理由を説明することを意識することが大切です。
入社後の配属先、仕事内容とのミスマッチを防ぎ、適性のある部署で活躍することが企業側にとっても望ましいため、事前に正確に伝えることは重要です。
単に「やりたくない」という表現を用いるのではなく「苦手な分野」「苦手意識がある」など違った表現に置き換えて説明してみてください。
そのうえで、苦手な分野ではあるがそのような業務に関しても「精一杯対応する」という内容を加えることで仕事に対する姿勢を示せます。
また、これまで苦手な分野を克服するために努力してきた経験にも触れると説得力も増し、さらなる好印象につなげられます。
答えなくて良い場合
新卒の場合、実務経験が少ないため、実際に入社後どのような業務があるか、イメージが湧かないこともあります。
やりたくない仕事のイメージが湧かない場合、無理をして答える必要はありません。
ただし「やりたくない仕事はない」「どのような仕事も指示されたことに従う」といった回答は避けたいものです。
会社の方針に従うと答えるだけでは、受け身な人材であると受け取られる可能性があるため、自分の意思を持ちながら会社方針に従うと伝える方法があります。
ただ単純に従っているだけではなく「本当にやりたいことに対する情熱は最後まで捨てない」という言い回しができるようシミュレーションすることが望ましいです。
会社の方針に沿いつつ、自身の情熱は持ち続ける考え方を示すことで、成長意欲のアピールにもなります。
面接で「やりたくない仕事」を聞かれる理由
面接において、やりたい仕事ではなくやりたくない仕事について聞かれる理由としては、自社への入社意欲を判断する目的や、配属適性を知りミスマッチを防ぐ目的があります。
やりたくない仕事をすることで、社員の生産性が悪くなることや早期離職につながりやすくなります。
このような事態となるミスマッチ選考は採用にかけるコストや時間など負担を増やしかねません。
企業側としてはこのミスマッチを防がなければならないため、さまざまな場面でやりたくない仕事についての質問が聞かれます。
自社への志望度を知るため
志望者が事前に企業理解を深め、業務についての理解ができたうえで志望しているかを知ることで入社意欲をはかる目的もあります。
企業理念をどのように捉え、業界や業務について理解しているか、自社で活躍できる分野を考慮して志望しているかを判断しているのです。
企業分析によってどのような業務が必要であるかを捉え、自己分析から自身の得意不得意を理解したうえで不得意な分野を説明できれば、説得力のある説明になります。
また、入社後やりたくない仕事に直面しても克服できるよう努力できる人材であるかが評価されます。
これまで苦手を克服してきた経験や、乗り越える熱意を示し、入社意欲の高さを印象付けるようポジティブな言い回しを意識してみましょう。
学生の配属適性を見極めるため
やりたくない仕事をしていることで、成果を出せない状態になりかねません。
適性のない仕事を続けることで、パフォーマンスが下がり、スキルアップも望めません。
場合によっては退職にもつながり、適性のない配属は企業にとってもリスクが高いため、適性を見極めることは採用面接において大変重要な項目であると言えます。
志望者の強み、専門性、関心を考慮し適切な配属先を決めるためにはやりたくない仕事についての回答も重要な情報です。
少しでも苦手意識があったり、なかなか成果を出せなかったりするものをリストアップし、具体的に説明できるよう準備します。
苦手分野ではなく得意分野で業務にあたることで、会社に貢献できる内容を具体的に述べます。
自己理解ができているかを知るため
面接において、自身の強みのアピールだけではなく、弱みを説明できることは自己理解ができているという好印象につながります。
強みも弱みも理解していることで、より高いパフォーマンスを発揮できると言えます。
やりたくない仕事に関する回答から、自身の弱みを理解しているか、そのうえで業務内容との適性を考慮し自ら適性のある業務を判断できているかを判断可能です。
企業分析に加え、自己分析ができていることは入社後の業務においても重要な項目であり、適性が正しく判断できることで長く活躍できる人材であると判断されます。
苦手分野をしっかりと示すこと、得意分野で貢献できることを説明し、自己理解がしっかりとできていることをアピールすることが重要です。
面接で「やりたくない仕事」に回答する際のポイント
企業側がさまざまな目的を持ってやりたくない仕事についての質問をしていることがわかりました。
質問の意図をしっかりと意識しながら回答することで、面接者が知りたいことを伝えられます。
答えにくい質問ではありますが、適切に回答することで企業の求める人材としての評価につなげることが可能です。
ここからは、やりたくない仕事について回答するポイントを見ていきましょう。
納得できる理由を述べる
まずはやりたくない仕事はどういったものであるか、具体的な業種を伝えましょう。
なんとなく嫌い、漠然とした苦手意識といった理由であれば説得力のない利己的な主張となってしまいかねません。
利己的な主張になってしまわないよう、具体的な原体験を用いて客観的に判断できる内容にします。
これまでの経験をもとに、失敗しやすかったこと、克服しようと努力しても繰り返し失敗してしまったこと、成果が出にくかった内容を実体験から説明すると良いです。
納得できる理由があれば、不向きな業種へ配属することを避け、活躍が期待できる部署への採用人事へつながります。
自身の苦手分野について、具体的に説明したうえで、弱みをカバーする強みをしっかりと付け加えることを意識します。
苦手分野を説明するだけで終わってしまっては印象が落ちてしまう恐れがあるため注意が必要です。
ポジティブな表現を使用する
自身がやりたくない仕事であっても、その仕事は組織運営に必要な仕事です。
職務内容自体に対する否定的な意見でやりたくない理由を説明することは避けたほうが無難です。
自身の強みや興味のある分野への熱意を示すことで、ポジティブな言い回しで苦手分野を伝えられます。
たとえば「私は単純作業よりも複雑な問題に対処することにやりがいを感じます」というように得意分野と比較する形で苦手分野を表現することが可能です。
反対に単純作業でコツコツとミスなく進められ、評価されてきた経験など具体例がある場合は、複雑な問題にスピード感を持って対応する必要のある業種よりも、単純作業を得意とすることをポジティブな表現で説明するよう意識すると良いでしょう。
向上心を同時に伝える
やりたくない仕事を伝えたうえで、たとえやりたくない仕事が出てきた場合には、向上心を持って積極的に取り組む姿勢を伝えることが重要です。
苦手だからできない、やらない人材といった印象になってしまうと、企業の求める人物像と合致することは難しくなります。
経験値が少ないことから、現時点では苦手であり避けたい分野ではあるが、今後も新しい知識とスキルを得て成長し続けることで苦手分野も克服していきたい姿勢を示すと良いです。
自信がないことにも積極的に挑戦し、成長意欲のある人材は多くの部署で必要とされ、高い評価につながります。
苦手分野をしっかりと伝えながらも、同時に向上心を印象付けることのできる機会でもあります。
入社後も常に自己成長を意識し、向上心を持って業務にあたる姿勢を強調するようにしましょう。
見栄を張らない
できないことをできると言ってしまうことは、大きなトラブルにつながるため避けたほうが良いです。
入社後企業にとって貢献できる人材を育成するうえで素直さは重要な資質であり、歓迎されます。
自身が苦手なことについて、率直に答えることのできる姿勢は素直な人材と判断されるため、好印象につながります。
企業の採用人事においてミスマッチを防ぐことが大切であり、面接で見栄を張ることは効果的ではありません。
見栄を張り、自身の印象をよくすることは後々良い結果を出せなくなってしまうため、素直に苦手分野を示すようにします。
好印象につなげるために、見栄ではなく苦手分野をカバーできる得意分野をセットで示し、ポジティブな表現で説明できるよう準備することが望ましいです。
面接で聞かれる「やりたくない仕事」への回答例
「私は資料入力の仕事など、単純作業を苦手としています。
在学中、サークル幹部の経験から、繰り返しの単純作業よりも組織運営に関しての課題解決など複雑な問題に取り組むことにより大きな達成感を得られました。
しかし、私はあらゆる業務に対して柔軟に対応しながら成果を出すことを目指しておりますので、たとえ、単純作業の多い業務にあたる場合も、向上心を持って取り組みます。
どのような業務においても積極的に挑戦し新たなやりがいを見出し、効率化や改善の方法を探求できると考えております。
」
面接で聞かれる「やりたくない仕事」へのNG回答例
志望動機などと違い、面接で必ずしもやりたくない仕事について聞かれるとは限りません。
しかし、あらゆる質問に備えておくことは面接対応においてとても大切です。
やりたくない仕事についての質問も想定しながら、具体的な回答を準備しておきましょう。
適切に対応することで、ネガティブな印象とならないよう回答できます。
具体的な内容を準備すれば、苦手分野の説明においても根拠と自信を持って企業の求める情報を伝えられます。
回答例として避けるべき以下の内容を確認し、対策しましょう。
受け身すぎる回答
「やりたくない仕事はありません。
仕事であるからには、どんな仕事もやります。
」
「今までも置かれた場所で指示を全うしてきたため、貴社が決めた仕事にはなんでも従います。
」
「どんな仕事も自分のためになると思っています。
」
これらは良い印象を与えると考えることもできるかも知れませんが、受け身すぎる回答であり、面接官にとっては印象の良いものではありません。
フィードバックコメント
このような回答は入社意欲や熱意を高く示せると考えがちですが、過度に受け身であり避けるべきと言えます。
指示されたことに従うだけの消極的な人材である印象となり、自己主導性や熱意が不足しているように捉えられる可能性があります。
自身の考えを持ってしっかりと根拠のある内容であれば、やりたくない仕事があること自体は問題ありません。
単にやりたくない仕事はないという回答では、自己分析も企業分析もできていない印象につながります。
否定的すぎる回答
「私は数学が非常に苦手なので、計算を必要とする業務は極力避けたいと思っています。」
「私は同じことを繰り返すだけの単純作業はやりがいを感じられず、向いていないと思っています。」
「私はコミュニケーションをとることが苦手なため営業職はできません。」
「私は発想力がないため、企画開発職はできないと考えています。」
フィードバックコメント
やりたくない仕事を正直に伝えることは大切ですが「できません」「やりません」といった否定的すぎる回答では仕事に対する意識が低く印象が悪くなります。
入社後好きな仕事だけに取り組めるわけではなく、苦手意識のある業務がまわってくることもあります。
「できない」「やりたくない」という回答だけでは、苦手分野の仕事に関して消極的で意欲の低い人物像となってしまうでしょう。
苦手分野の仕事であっても、向き合う姿勢と苦手なことを克服しながら挑戦する成長意欲を示す必要があります。
面接における「やりたくない仕事」に関する深掘り質問とその回答例
企業は人材のミスマッチを防ぐためにやりたくない仕事を聞いているだけではなく、仕事にどのように向き合える人材であるかも評価しています。
もしやりたくない仕事に直面したらどう対応するのかなど、さらに深掘り質問される場合もあります。
苦手分野も克服しながら 1つひとつの仕事としっかり向き合う姿勢を示すよう意識することが大切です。
その仕事を避けたいと感じる具体的な理由は何ですか?
苦手分野があること自体は問題ではありません。
苦手なことに関する適切な理由があるかどうかを知るために、その仕事を避けたい具体的な理由を質問されることがあります。
実際にあった過去の事例を用いるなど、ただ単に主観的に苦手と感じているだけではなく、明確に避けるべき理由を示すと良いです。
改善しようとしてもミスを繰り返してしまった過去や、周囲から客観的に受けた評価など具体例を挙げ、納得感のある回答を準備しましょう。
回答例
私は複雑な問題に取り組む際に創造することや挑戦することに多くのやりがいを感じる性格であり、単純作業にはこうした自身のやりがいを比較的感じづらいと考えているからです。
過去にデータ入力の作業をしていた際には、スピード感を持って作業することができ、10名中1番早く作業を終えることができましたが、平均以上の入力ミスがありました。
3か月で10回程度、同様のデータ入力作業を担当し精一杯向き合いましたが、入力ミスを0にすることはできず、達成感を得られませんでした。
過去にやりたくない仕事に直面した経験はありますか?どのような結果になりましたか?
組織の一員となり業務にあたる際、苦手分野の業務に直面する場面は当然避けては通れないものです。
明確に理由があり避けたい業務であっても、自身が対応する必要がある際には積極的に対応する姿勢を示さなくてはなりません。
企業はやりたくない仕事に対しても、諦めずに取り組むことができる人材を求めています。
具体的なエピソードを用いて、苦手な分野も克服していく姿勢と成長意欲があることを説明することで、説得力があり好印象につながります。
回答例
「私は学生時代に塾のアルバイトで学生情報をひたすら入力する事務業務を経験しました。
単純作業であったため、コツコツと進めることはできましたが、効率が悪いと感じてしまう部分もありやりがいを感じられず苦手意識がありました。
そこで、反復業務を効率化するためデータ入力のプロセスを見直し、より迅速かつ正確に作業を完了できる方法を考案したのです。
具体的にはショートカットキーの使用やデータ入力のテンプレートを作成することで、手作業の量を減らし、時間を節約しました。」
やりたくない仕事をどのように対応しますか?
入社後にやりたくない仕事に直面した際に、十分な対応力がある人材かどうかを確認するための質問も考えられます。
苦手分野であることは認識したうえで、どのように対処していくか、どう向き合うかを示します。
仕事をするにあたって、苦手分野と直面した場合でもしっかりと対処し期待される成果を出すことは重要です。
得意な分野で成果を出しやすいことは当然であり、その他の状況においても臨機応変に対応できる人材は高く評価されると言えます。
回答例
「もし避けたい仕事を担当することになった場合、私は自己成長の機会として捉え、必要なスキルや知識を身につけるために努力していきたいと考えています。
苦手分野に関しても積極的に取り組むことで、その後の業務においてのパフォーマンスを向上させることのできる機会であると考えます。
苦手であることを認識したうえで、より積極的に同僚や上司からのフィードバックを求めるよう意識し、効率的に取り組むための方法を模索したいと思います。」
自分にマッチした企業に就職しよう
自分がやりたい仕事、適性がある仕事を事前に見極められれば、やりたくない仕事にも熱意を持って取り組めます。
自信を持って面接に臨めるよう、自己分析でしっかりと自己理解を深めたうえで適性がある仕事を見極めてみてください。
就職活動では面接対策以外にも多くの準備が必要になるため、1つひとつの対策に充分な時間をかけられないことも多くあります。
とくに情報収集や分析には時間がかかるため、優先順位を意識して効率よく対策を進めなければなりません。
もし、自分に合った企業を知りたい方は、就活エージェントの利用をおすすめします。
ジョブコミットであれば、無料で選考対策からあなたに合ったおすすめの企業を紹介してもらえます。
まとめ
やりたくない仕事について、回答するべき理由と回答内容のポイントをご紹介しました。
必ず聞かれる質問ではないものの、企業にとって重要度の高い質問であるため、適切に対策することで好印象を与えられる項目でもあります。
苦手なことについての質問は無意識にネガティブな表現となってしまうかもしれません。
ポジティブな言い回しで具体的に回答することを意識することで、苦手分野を伝えると同時に多くのアピールポイントを示せます。
回答例を参考に対策を進めましょう。