はじめに
就活で志望する企業を探す際、収入や勤務体系などが「安定」しているかどうかを軸にする方も多いでしょう。
安定した企業に入社すれば、将来的にも仕事を続けやすい環境である期待感も高まります。
しかし、志望動機を作成するのに「安定を理由に企業を選んだ」といって良いのか悩む方が多くいます。
とくに企業にネガティブな印象を与えてしまわないかは気になる点です。
そこで今回は、安定を軸に志望動機を作成するのは良いのか、また、志望動機の構成やポイントについて解説します。
安定を軸に就活をおこなっている方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
【安定を志望動機にしたい】安定が志望動機なのはありか
安定を軸に志望動機を作成するのはありかの答えは「あり」です。
安定は言い換えれば「市場シェアの大きさ」や「将来性」など企業の強みともいえる要素です。
そのため、安定への魅力は決してネガティブな印象を与えるものではありません。
一方、安定のみを前面に打ち出してしまわないよう注意が必要です。
たとえば「自分が長く安定した企業で働きたい」と伝えるだけでは、自分本位な印象を与え、企業へ貢献する意欲が伝わりません。
安定を軸に志望動機を作成する場合は、安定を別の言葉に言い換えたり具体的な仕事のイメージに置き換えたりと工夫が必要となります。
安定が志望動機の軸なのはありですが、企業が採用したいと思うような志望動機に仕上げる工夫を忘れずおこないましょう。
【安定を志望動機にしたい】面接官が受ける印象
安定を軸に志望動機を作成する際に注意したいのが、面接官がどのような印象を受けるかです。
面接官が「採用したい」と思うような志望動機であれば、安定が軸の志望動機であってもまったく問題ありません。
一方で面接官に響かない志望動機を作成してしまうと、安定の記載有無に関わらず評価が下がってしまう恐れがあります。
そこでまずは安定が軸の志望動機にした場合に、面接官がどのような印象を受けるのかを押さえておきましょう。
その上で、より高評価が期待できる志望動機にブラッシュアップしていく方法がおすすめです。
自社でなくていいのでは
安定を軸に志望動機を作成した場合に面接官が受ける印象として「自社でなくていいのでは」があります。
安定だけが理由では、自社に入社せずとも他の業界や競合他社でいいのではないかと判断される可能性があるのです。
企業は、自社に入社し意欲を持って働き続けられる人材を採用したいと考えるのが一般的です。
せっかく採用したにもかかわらず、入社後に意欲的に働いてもらえない事態は避けたいと考えます。
そのため、ただ単に安定だけを理由に志望するだけでは高評価は期待できません。
たとえば「安定した企業で、定年までしっかりと働き続けたい」と志望動機で伝えるだけでは、その企業でなければならない理由がわかりません。
「自社でなくても安定している企業であればどこでもいいのでは」と思われてしまうような志望動機は避けましょう。
仕事熱心ではないのでは
安定を軸に志望動機を作成した場合、企業に「仕事熱心でないのでは」と印象を持たれる可能性があります。
「安定して働き続けたい」だけを伝えると、仕事をする目的が明確に伝わりません。
しかし、企業では採用するかどうかを判断するにあたり、仕事への熱意や目的の有無は大切な要素です。
熱意が強いほど入社後に活躍するイメージや長く働き続けるイメージが湧きやすく、高評価が期待できます。
一方で熱意がなければ、入社後に向上心を持って働き続けるのは難しいと判断されてしまいます。
安定を軸に志望動機を作成する場合は、仕事への熱心さを忘れずに伝えましょう。
そのためには、入社後に成し遂げたい目標やどのように企業に貢献したいのかを伝える工夫が大切です。
安定で無くなったら離職してしまうのでは
安定を軸にした志望動機であると「安定で無くなったら離職してしまうのでは」と企業に思われてしまうリスクがあります。
企業としては、入社後に活躍してくれる人材を採用したいと考えるのが一般的です。
せっかくコストをかけて採用したにもかかわらず、すぐに離職されてしまうのは避けたいと考えます。
志望動機でインパクトのあるアピールポイントがあっても、安定で無くなったら辞めてしまいそうな人材は積極的に採用したいと思えなくなります。
つまり、安定を全面的に志望動機で伝えると「企業のためにならない人材」と判断され採用される可能性が低くなるリスクがあるのです。
安定を軸に志望動機を検討する場合は、離職のリスクの低さもあわせて伝えると良いでしょう。
【安定を志望動機にしたい】おすすめの構成
安定を軸に志望動機を作成すると決めたら、おすすめの構成に沿って内容を検討していきましょう。
いくら立派な志望動機を思いついたとしても、相手に伝わる文章でなければ高評価につながりにくくなります。
基本的な構成は志望した理由を簡潔に伝えてから、理由やその背景を詳しく説明し、最後に入社後の貢献について伝える流れです。
ここでは、各段階におけるポイントを詳しく解説します。
伝わりやすい構成をもとに志望動機を考え、面接官により好印象を残しましょう。
冒頭
志望動機の冒頭は、志望動機で一番伝えたい点をアピールするパートです。
なぜその企業を志望するのか、理由を冒頭で端的に伝えましょう。
志望動機でもっとも重要な理由を最初に述べると、企業側もその後に続く背景などを理解しやすくなります。
冒頭は「業界内でトップシェアを誇る貴社の環境で〇〇をしたいと考え、志望いたします」など、伝えたい内容をシンプルにまとめるのがおすすめです。
「なぜその業界・企業を志望するのか」「その業界・企業で何を成し遂げたいのか」などを切り口に、自分らしいアピールポイントを検討しましょう。
注意点としては安定だけに重きを置くと「自社でなくていいのでは」などネガティブな印象を企業に持たれるリスクがある点です。
安定だけではなく、その企業や業界でなければならない理由を伝える工夫が必要になります。
詳細な理由
冒頭に続いて、冒頭で伝えたポイントを裏付ける詳細な理由を伝えます。
企業にとって、なぜ志望するに至ったのかの理由の詳細は気になる要素です。
また、冒頭だけで自分らしさをアピールするのには限界があります。
とくに応募者の多い企業であればあるほど、他の就活生と差別化された志望動機は目を惹きます。
詳細な理由を伝えるパートでオリジナリティや説得力を出して、企業にアピールをしましょう。
理由を考える際には「その企業・業界でなくてはならない理由は何か」「なぜ競合他社ではなくその企業なのか」などを深掘りしていくのがおすすめです。
他の就活生と差別化するためにも、その企業や業界でなければならない理由をしっかりと伝えましょう。
背景
冒頭と詳細な理由に続いて、より説得力を高めるための理由の背景やエピソードを詳しく伝えます。
理由に至った背景や理由を補強するエピソードを伝えると、企業の担当者も「志望度が高そうだ」「自社への入社意欲が高いようだ」など良いイメージが掴みやすくなるのです。
たとえば「大学時代に取り組んだアルバイトでの経験から、〇〇と考えるようになった」など、志望動機につながった背景やエピソードを説明しましょう。
可能な限り具体的に、そして独自性や完成度が高ければ高いほど、他の就活生との差別化を図れます。
また、背景をしっかり伝えれば企業側も納得感が増し、高評価が期待できます。
伝える背景やエピソードを検討するにあたっては、自己分析が欠かせません。
自分のこれまでの経験や考えを振り返りながら、伝える内容を決めましょう。
入社後の貢献
最後は、志望動機の締めくくりとして「入社後にどのような貢献をしたいのか」を伝えましょう。
企業は志望動機から、入社後に自社で活躍できる人材であるかをチェックしています。
自社への貢献度が高いと判断できる就活生ほど、高評価の可能性が高まります。
そのため最後に「入社後に貢献できることや実現したいこと」を中心にまとめていくのがおすすめです。
内容としては、自分の強みを活かしてどのように貢献したいかの視点だと書きやすくなります。
企業や業界分析をしっかりとおこない、自分の強みと掛け合わせて内容を検討できると良いです。
また、ネガティブな印象にならないよう言い切りの形にしたり、他の就活生と差別化するために自分らしさを加えたりしましょう。
【安定を志望動機にしたい】意識するべきポイント
安定を軸に志望動機を作成する際、意識するべきポイントがいくつかあります。
おすすめの構成に沿って志望動機を考えたとしても、内容に難があると面接官の評価が下がってしまう恐れもあるためです。
とくに安定は伝え方を間違えれば、ネガティブなイメージにもつながりかねない要素です。
安定が面接官に与える印象を踏まえて、より説得力のある志望動機に仕上げましょう。
ここでは、安定を志望動機にしたい場合に意識するべきポイントを2点ご紹介します。
具体的に伝える
安定を軸に志望動機を作成する際「いかに具体的に伝えるか」は意識するべきポイントです。
抽象的に安定だけを前面に打ち出してしまうと、企業にネガティブな印象を与えかねません。
たとえば「自分が長く安定した企業で働きたい」と伝えるだけでは、自分本位な印象になり、企業へ貢献する意欲が伝わらない恐れがあります。
安定を軸に志望動機を作成する場合は、具体的な理由や背景を伝えたり、安定をより具体的な別の言葉に言い換えたりと工夫が必要となります。
安定といっても、その内容はさまざまです。
ワークライフバランスが充実した企業方針に惹かれたのか、経営の安定さに惹かれたのかによって、企業に与える印象は変わります。
より具体的な言葉や理由とともに安定を軸にした志望動機を検討しましょう。
安定性だけを志望動機にしない
「安定性だけを前面に押し出した志望動機にしないこと」は、安定を軸に志望動機を作成する際に意識するべきポイントです。
「安定性に惹かれた」と言い切ってしまうと、その企業・業界でなければならない理由がなかなか伝わりません。
たとえば「安定で無くなったら離職してしまうのでは」と企業に判断されてしまう可能性などがあります。
安定だけではなく、安定した企業で自分が挑戦したい目標を掲げたり、自分の成し遂げたい目標が安定した企業で実現しやすいと伝えたりと工夫が必要です。
志望動機の書き方に悩んだ場合は、安定と他の理由を掛け合わせてみるのがおすすめです。
安定を軸にした志望動機を、より説得力のある内容にできるようにしましょう。
【安定を志望動機にしたい】例文紹介
面接官に好印象を残し、他の就活生と差別化するために志望動機は重要な質問です。
しかし、実際に安定を軸に志望動機を作成しようと考えても、具体的にどのような文章にすれば良いか悩む学生も多いでしょう。
「安定を軸にした具体的な志望動機のイメージが湧かない」「言葉を言い換える方法がわからない」と悩む方も多いはずです。
そこでここでは、面接官により好印象を残すための例文を4つご紹介します。
業種ごとにご紹介しますので、自分が志望する業界に近い例文を参考にしてみてください。
公務員
私が御省を志望した理由は、どのような社会情勢でもサービスを通じて国民の生活を支えられる仕事に就きたいと考えたためです。
近年新型コロナウイルス感染症が大流行した際、自分や周りも不自由な生活を強いられました。
私も大学3年生で一人暮らしをしていた状況で感染し、大変不安を覚えました。
しかし、問い合わせ窓口で丁寧に対応してもらえたり、物資を自宅まで届けていただけたりと手厚いサポートに助けられ、非常に感謝しています。
この経験から、より安定して多くの方にインパクトを与えられる国の仕事に大変興味を持ちました。
大変な思いをする多くの国民を国の立場から助けられるのは、御省だからこそです。
御省に入省し、少しでも多くの国民の快適で幸せな生活をサポートできるよう貢献していきたいです。
インフラ業界
貴社を志望した理由は、安定した資金力で海外での新規事業を展開している点に魅力を感じたからです。
私は大学時代インターンシップで、カンボジアを訪れました。
カンボジアではインフラ設備が不十分ななかで、一生懸命子どもたちが勉強する姿を見て、日本との暮らしの差に大きな衝撃を覚えました。
そこで発展途上国においても、インフラを整備し子どもたちの明るい未来につなげたいと考えるようになったのです。
安定した資金力で海外事業を展開する貴社であれば、その目標により近づけるはずです。
貴社に入社できた際には、海外事業部への配属を目指したいと考えています。
そして、より多くの発展途上国の子どもたちにインフラを提供できるよう貢献していきたいです。
IT業界
私が貴社を志望した理由は大きく2点あります。
まず1点目は、ITサービスで社会課題の解決に貢献したいと考えたためです。
私の父は小さな町工場を営んでいますが、父自身も従業員も高齢化が進みこれまでのように業務を遂行するのが難しい状況です。
しかしIT技術を活用すれば、もっと改善できる点があるのではと感じています。
貴社のITサービスを通じて、高齢化を含めた世の中の社会課題解決に貢献したいと考えています。
2点目は、業界トップのシェアを誇る貴社であれば、より多くの利用者の課題解決に寄与できると考えたためです。
自分の好奇心の強さも活かして、既存サービスに加えて新しい事業開発にも積極的に関わり、需要を広げていきたいと考えています。
貴社でより多くの利用者にサービスを届け、ITで社会課題解決に貢献できるよう努めていきたいです。
食品メーカー
私は貴社でお客様の暮らしを豊かにできるような商品の開発に努めたいと考え、志望いたしました。
食品業界に興味を持ったのは、幼少期の祖父母との思い出がきっかけです。
幼い頃、祖父母に会うといつも貴社の主力商品を買いに近くの商店に連れて行ってくれました。
今でも貴社の商品を見ると祖父母との楽しかった記憶が思い出されます。
このような経験から、商品を通じてお客様の豊かな暮らしに貢献できるのではと考えるようになりました。
また、貴社には業界シェアトップの商品が多く、利益率も高い点に特徴があります。
新商品や新規事業の開発にも力を入れていると伺ったため、自分自身が積極的に挑戦をおこなう場としても魅力を感じました。
自分の強みであるチャレンジ精神も活かし、貴社の営業活動や商品開発に貢献していきたいです。
【安定を志望動機にしたい】添削してもらおう
安定を軸にした志望動機を仕上げたら、第三者に添削してもらうことをおすすめします。
添削は、自分本位な内容でなく、企業側により納得してもらいやすい志望動機を仕上げるために、もっとも効果的なプロセスです。
身近な先輩にお願いするのも良いですし、思い切って就活のプロであるエージェントに頼るのも手です。
ここでは、志望動機の添削を依頼するのに良い相手を解説しますので、第三者への依頼を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
先輩
すでに就職している先輩は、就活を突破して企業への内定を勝ち取ったため、志望動機の添削におすすめの相手です。
大学の先輩やアルバイト先の先輩など身近な先輩を探してみると良いでしょう。
とくに自分が志望する業界の内定をもらっている先輩であれば「内定を得るために効果的な志望動機はどのようなものか」についてヒントを知っているかもしれません。
そんな先輩に志望動機の添削を頼んでみると、就活全般のアドバイスを含めたさまざまな意見がもらえるでしょう。
また、近年のうちに就活をしていた先輩であれば、経験者だからこそ知る就活事情を教えてくれるケースがあります。
志望動機の添削はもちろん、就活における不安や疑問点など、あわせて質問してみるのもおすすめです。
学校のキャリアセンター
自分が通う大学内にあるキャリアセンターでは、気軽に志望動機を添削してもらえる場合も多いです。
もし開いているのであれば、積極的に添削の依頼先として活用することをおすすめします。
先輩など知り合いへの相談が難しい場合にも活用しやすい方法です。
キャリアセンターでは広く就活への知識が蓄積されているので、志望動機に加え有意義な就活情報を知る機会にもなります。
また、学生の属性や就活の傾向について把握できるケースも多く、企業研究や業界研究の場としてもおすすめです。
志望する企業で効果的な志望動機の傾向など、ぜひ相談してみてください。
キャリアセンターは予約が事前に必要な場合もあるため、利用方法をチェックしておくとスムーズに利用できます。
就活エージェント
就活エージェントは、より客観的なアドバイスをもらいたい方におすすめの方法です。
安定を軸にした志望動機を作成しても、はたして選考を突破できるか不安に感じる方も多いかもしれません。
そんな時に就活エージェントを活用すれば、専属のアドバイザーから面接対策や自分に合った業界・企業の紹介を受けられます。
加えて、自己PRの添削や自己分析方法のサポート、優良企業の紹介、入社準備など就活に関わる一連の流れをサポートしてくれます。
就活エージェントは、さまざまな大学生の情報を持っているため、自分の立ち位置を客観的に分析してもらえたり、今すべきことのアドバイスをもらえたりするのもメリットです。
就活エージェントの詳細についてはこちらからどうぞ。
https://shukatsu-venture.com/lp/6
おわりに
多くの就活生が「安定している企業で働きたい」と考えても、それをどのように志望動機とすれば良いのか悩んでいます。
志望動機で安定をアピールするのは決して悪いことではありませんが、伝え方によっては企業にネガティブな印象を与える可能性もあるため注意しましょう。
安定を軸にした志望動機が企業に与える印象をもとに、企業への貢献意欲などを伝え、高評価が期待できる志望動機を作成していくのがおすすめです。
また、志望動機を作成したら第三者への添削も忘れずにおこないましょう。
今回ご紹介した構成やポイントを参考に、安定した企業への内定を勝ち取れる志望動機を作成してください。