・農業について
・自己PRについて
・農業系の企業におすすめの自己PR
・農業に興味がある就活生
・これから自己PRを作る人
・例文を見て参考にしたい人
はじめに
業界研究を行った結果、農業関係の仕事に進もうと考えている就活生の人も多いでしょう。
農業といってもさまざまな種類がありますが、農業関係の仕事に就くための自己PRはどのようにしたら良いのでしょうか。
自己PRは、自分の性質と業界や企業が求めている人材像が分かっていれば、ある程度作成しやすいです。
この記事では、農業に含まれている職種や農業に向いている人の特徴、農業関係の仕事に就くための自己PRの書き方や例文についてご紹介しています。
ぜひ農業関係の職種への就職活動の参考にしてください。
【農業の自己PR作成】農業とは
農業とは、土地特有の自然環境を利用して野菜や果物、肉などの農産物を生産し、出荷して報酬を得る産業のことです。
第一次産業に分類され、国内外のさまざまな人々の食べるものを生産するため、世の中になくてはならない職業のひとつになります。
家族や親族のみで業務を行っている農場もあれば、法人として組織化して外部の人材を雇い入れて業務を行っている農場も少なくありません。
また、農業そのものだけでなく、農業に関連する商品を生産する関連企業などもあります。
農業のビジネスモデル
農業のビジネスモデルは、種や苗、家畜などを仕入れて育成し、適切な時期に収穫・出荷して報酬を受け取ることです。
一般的にスーパーで売られている食品は、農業従事者である生産者が作った農作物や畜産物を農業協同組合をはじめとする出荷団体に送り、卸売市場で小売店に売却することで店頭に並びます。
一方で、自社農場を持っている企業は卸売市場を通さず、出荷団体から直接小売店で販売することも多いです。
個人の農家であってもスーパーの店舗ごとに契約し、少量の農産物を直接出荷することがあります。
スーパーだけでなく道の駅などで販売することもあり、農業体験やいちご狩りのような収穫体験を提供するなど、農業の観光資源化も進められているのが特徴です。
【農業の自己PR作成】農業の職種
ここからは、農業にどのような職種が含まれているのかを見ていきましょう。
農業は耕種農業、畜産農業、アグリビジネスに大別され、そこからさらに細かく職種が分かれています。
それぞれの職種によって何を育てているのか、どこで育てているのかなどが異なり、出荷先も変わる場合が多いです。
中には農産物を作るのではなく、農業をより効率的に進められるような機械類を作っている企業などもあります。
どのような農産物に関わりたいか、またどのように農業に関わりたいかによって職種を選ぶと良いでしょう。
耕種農業
農業といわれて多くの人がイメージするのは、耕種農業と呼ばれるタイプの職種です。
耕種農業とは、野菜や果物、穀物などを実際に栽培する事業を指します。
つまり、畑やビニールハウスなどで植物を育て、収穫して出荷するタイプの仕事のことです。
作物には、1年のうち収穫できる時期が決まっているものや、繰り返し何度も収穫できるものなどもあります。
また、1年限りで枯れてしまう植物もあれば、果樹のように年単位で残り続ける植物もあり、それぞれ異なる育成や手入れの手間があるのです。
食べられる作物だけでなく、飾って楽しむための観賞用の植物も、耕種農業での農産物に含まれます。
多くの人々の食事だけでなく、心も楽しませることができる職種です。
畑作
畑作は、畑で麦などの穀物やじゃがいもなどのイモ類、えんどう豆などの豆類、野菜などの農作物を栽培する仕事です。
一口に畑といっても、農作物の種類によって適した環境は異なります。
そのため、畑作に従事する人には農作物に合わせて畑の形状や土壌の養分を調整し、毎日管理する細やかさが必要です。
現在では農業機械の普及や進化に伴い、効率的でスケールの大きい作業が可能になりました。
農薬を用いて作物に虫を寄せ付けないようにしたり、肥料を使ってより作物に適した養分を土に与え病気を予防したりしています。
また、同じ作物をひとつの畑で作り続けていると、連作障害を起こす可能性があるため、同じ農場でも定期的に別の作物を作っている場合が多いです。
稲作
稲作は、お米を生産するための稲の栽培などを行う仕事です。
日本国内で生産されているお米の多くは水田で栽培する水田稲作ですが、中には畑で栽培する陸稲も存在します。
種籾を用いた苗づくりや水田の耕作、育った稲穂の管理など、季節や天候を加味した細かい配慮が必要です。
稲作を行っている農業従事者は家族経営の場合が多く、かつてはほとんどの作業を手作業で行っていました。
現在では耕作のためのトラクター、苗を植えるための田植機、農薬を撒くための防除機、稲刈りを行うコンバインなど、作業ごとにさまざまな機械が導入されており、かつてほどの重労働ではなくなりつつあります。
日本でメインの主食はお米であるため、国内のほとんどの人の食卓を支える仕事ともいえるでしょう。
果樹
果樹は、旬の果物を季節ごとに栽培して販売する仕事です。
農林水産省では、おおむね2年以上栽培する樹木で、果実を食用にするものを果樹と定義しています。
水分や肥料を種類ごとに細やかに調節し、寄ってくる害虫や害獣などから守る必要があるのです。
日当たりが良い、気温が高い、土壌の水はけが良いなど、地域の気候や環境に応じた果樹を選んで果樹園を形成し、適切な肥料管理で品質や収穫量を向上させます。
一度果樹を植えれば長期間収穫が見込めますが、収穫できるようになるまで時間がかかるほか、品質を維持するための管理が難しいです。
花が咲いた分がすべて収穫できるわけではなく、一つひとつの果実の品質を高めるために、ある程度間引きをしながら生産します。
観葉
農業では、観賞用の植物も生産しています。
これは、季節に合わせた草花を育成し、ピークに合わせて開花させて販売する仕事です。
花は繊細かつ品質によって価格が大きく変わるため、品質保持のために細心の注意を払う必要があります。
花や観葉植物など、観賞用の植物を生産する職業のことを「花き栽培者」と呼び、切花、鉢物、花壇用の苗、花木、球根、芝などの地被植物などを生産しているのが特徴です。
一部食用になる花も存在しますが、基本的には食べるための植物ではなく見るための植物を生産しており、消費者の心の栄養となる場合が多いでしょう。
既存の品種をそのまま栽培するだけでなく、新しい色や特徴を持った新品種を生み出すための育種に取り組んでいる場合もあります。
種苗
種苗とは、植物を増やし、農産物を生産するために必要になる植物の種や苗を生産し、出荷する職業です。
企業単位で生産を行っており、ただ種苗を生産するだけでなく、病気に強く栽培しやすい品種を作るための研究や開発業務などの役割も担っています。
卸売、ホームセンターや園芸店などの小売店を通じて、農家や一般家庭に種苗を販売・提供しているのが特徴です。
通常の企業同様、営業職や情報システム、経理や総務を担う事務系の職種と、種苗の育種や研究、種子生産、品質管理、これらのアシスタントや商品管理を行う専門的な技術職などがあります。
そのため、国内の農業を根元から支えたいと考えている方におすすめな職業です。
古い時代には自分の農地で育てる種は自分で育てていたものの、明治時代に優れた種や苗を生産した農家が種苗業として専業化しました。
施設野菜生産
野菜を育てる農家については、施設野菜生産と露地野菜生産に分かれています。
施設野菜生産は、ビニールハウスやガラス温室などの施設内で、作物の栽培を行う仕事です。
こうした施設では、内部の温度や光量などを農産物の育成に適したものに調整できます。
そのため、季節に関わらず年間を通して同じ作物を栽培でき、雨や日照りなどの天候や、害虫のリスクが低い点が特徴です。
通常の野菜は季節や環境に応じて生産できる時期が決まっていますが、気温や光量、土壌水分などの育成環境をコントロールすることで、一年中高品質な作物を消費者に届けることが可能になります。
近年では、きのこなどの農産物を生産している企業なども増えており、施設そのものの多様化も進んでいる職業です。
露地野菜生産
露地野菜生産では、施設野菜生産と異なり、ビニールハウスなどの設備を使用しません。
よく見かける野外の畑で野菜の栽培を行っているのが、露地野菜生産です。
設備内でさまざまな条件を管理しているビニールハウス栽培よりもコストが抑えられ、畑の規模を拡大することが比較的簡単なメリットがあります。
ただし、季節や環境によって栽培できる野菜が限られるほか、周囲から来る害虫や雨、日照りなど天候から受ける影響のリスクが大きいです。
そのため、その日その時の天候や状況に応じて、臨機応変かつ細やかな対応が求められます。
露地で栽培されている野菜などがすべて専業農家の畑なわけではなく、中には土地を個人の方に貸し出しているだけの場合もあります。
畜産農業
農業には、野菜などの植物を育てるものだけでなく、畜産農業も含まれます。
畜産農業とは、牛や豚、鶏などの家畜の飼育、肥育、ふ卵を行う事業です。
野菜の農家が水やりや肥料やりなどの管理を行うように、畜産農業では育てている動物に餌をやり、畜舎を清掃するなど適切な環境で育成して、ストレスの少ない環境で出荷まで飼育します。
農場で繁殖させた動物を飼育するだけでなく、他の農場で生まれた動物を出荷までに肥え太らせる肥育なども行っているのが特徴です。
また、地域ごとにブランド牛やブランド豚、ブランド鶏などが存在します。
現在日本で一般的なのは牛豚鶏ですが、馬や羊などを食用に育てている農家も存在しており、地域性のあるグルメとしても人気です。
国内だけでなく、国外にも競合が多い職種になります。
肉牛生産
肉牛生産は、農場で食肉用に牛を飼育する仕事です。
牛の繁殖、飼育、出荷を担っており、日本各地にさまざまなブランド牛が存在します。
画一的な世話をするだけでなく、それぞれの個体の体調や生育段階に沿った餌の配合が重要です。
そのため、細かなことにもよく気が付く人材に向いています。
牧草を飼料とする場合には、大型トラクターなどを使用した牧草の収穫も行うため、動物だけを育てているわけではありません。
牛の繁殖と肥育の両方を行う農家もありますが、それぞれを専業とする農家も存在します。
酪農とは異なるため、乳牛に対する毎日の搾乳はありません。
肉の生産がメインであるため、需要に対して理想的な肉質にするための世話が求められます。
養豚
養豚とは、食用となる肉豚や肉豚を生産するための種豚などを生産する仕事です。
種豚経営、繁殖豚経営、肥育豚経営の3種類の経営形態があります。
種豚経営は、豚を繁殖させたり、改良したりするための種豚を生産する仕事です。
繁殖豚経営は、豚を繁殖させるための繁殖豚の管理や、子どもにあたる素豚を別の農家に出荷する仕事になります。
肥育豚経営は、入荷した素豚を肥育して肉豚を育て、食用に出荷する仕事です。
近年では、こうした流れをすべてひとつの農家で行う一貫経営が主流となっています。
牛同様各地域にブランド豚があり、さまざまな品種を掛け合わせて、特色ある肉質の豚が生産されているのが特徴です。
健康な種豚は2年間という短期間で5回ほど出産し、一度に複数の仔豚を産むため安定した供給ができます。
養鶏
養鶏は、食用や繁殖用の卵の生産と、食肉用の鶏を飼育する仕事です。
卵を生産するための採卵用経営、鶏肉を目的とした食肉用経営に分けられます。
養鶏にもさまざまなタイプがありますが、国内での養鶏は数万から数十万羽の鶏をケージの中で飼育する方法が主流です。
地域によってブランド鶏を生産している場合もあり、広い農場でのびのび育てられたことや、特殊な餌を食べて育ったことなどを売り文句として掲載している場合もあります。
採卵用の鶏と食肉用の鶏は品種が異なりますが、採卵できなくなった廃鶏は食肉用に加工され、加工肉や冷凍肉などとして出荷される場合が多いです。
卵は市場に出荷されるほか、農場の近くで無人販売される場合もあります。
酪農
酪農は、牛やヤギなど乳を出す動物を飼育し、ミルクや乳製品を生産する仕事です。
牛乳やヤギ乳など、市場に出回る牛乳や乳製品の大元となるものを生産しています。
数十頭の牛を飼う小規模な個人牧場から、数千頭を管理する大規模な法人牧場まで、企業規模はさまざまです。
畜産の一種ではあるものの、肉牛の生産とは分け、乳製品の生産に特化しているものを酪農と呼び分けています。
酪農の「酪」とは、もともと牛乳などから生産した飲料のことです。
ある程度広い農場が必要になるため、国内で酪農が盛んな地域は限られており、国内の生産量の半分以上を北海道が占めています。
ほかにも岩手県や栃木県、千葉県、長野県、熊本県などで盛んに行われている事業です。
アグリビジネス
広義の「農業」には、アグリビジネスと呼ばれる事業も含まれます。
アグリビジネスとは、農業を指すアグリカルチャーと事業を指すビジネスという2つの言葉を掛け合わせた造語です。
農業に用いる機械類の生産など、農業関連ビジネス全般を指します。
近年では農業経営者と企業が提携して、地域の特産品を用いた地域ビジネスなどを提携している場合も多いです。
農産物を用いた食品の製造や流通、外食ビジネスなども含まれており、幅広いビジネスの形で農業に関わっています。
農業大学の中には、アグリビジネス学科を専門に設けているところもあり、持続できる農業を実現するための事業としても注目を集めている分野です。
このように、農業は実際に食品となる農産物を生産する方と、それを支える方によって成り立っています。
農業機械
アグリビジネスの中には、農業機械を取り扱う企業も入っています。
農業機械の製造は、手作業だと重労働になりがちな農業の作業を機械によって効率化させることが主な仕事です。
コンバインやトラクターなど、よく見かける従来型の農業機械以外にも、ドローンやIT機器を提供することも農業機械に該当します。
常に効率的な機械を製造するための研究や開発を続けており、新しい技術を取り入れているのもその一環です。
苗を育てるために種を蒔く種まき機、田畑を耕すためのトラクター、稲を植えるための田植え機、農薬や肥料を撒くための散布機、稲刈りや脱穀を行うためのコンバイン、収穫した作物を乾燥させるための乾燥機などを提供しています。
こうした機械の登場により、農業に従事しなければならない人数や1人あたりの身体的な負担が大きく減りました。
農業資材
アグリビジネスには、農業資材を扱う事業も含まれます。
農業資材は、農業生産に必要な資材を扱う事業であれば、何でも分類される職種です。
農業のための道具や資材、田畑に撒く農薬や肥料などを提供・販売する仕事になります。
種苗を生産して販売するのも、広義では農業資材に含まれています。
多くの資材を製造して農業従事者に届けるため、個人ではなくメーカーや商社などの法人格が一般的です。
ジョウロやプランター、鉢、各種シートやネット、フィルム、防虫・防鳥・防獣用品など、実にさまざまな資材が販売されています。
農業の生産効率を上げるため、病害虫を防ぐためのグッズや薬なども積極的に研究・開発されている業界です。
そのため、間接的に農業を支えたい方におすすめな業界となっています。
【農業の自己PR作成】自己PRの目的
農業に就職するための自己PRを作成するためには、まず自己PRにどのような目的があるのかについて知っておく必要があります。
企業に対して自己PRを行うのは、企業とのマッチ性をアピールする、人柄を判断してもらう、スキルや適性を伝えるといった目的が大きいです。
農業関係の企業などに応募する場合もそれは変わらず、自分が志望先との相性が良い人材であること、農業に適した人材であることなどをアピールします。
これらの目的について、企業側の目線から詳しく見ていきましょう。
自社とのマッチ性を知る
就活での自己PRでは、自社の雰囲気と合うかどうかを見られています。
農業の場合は、自社農場や現場との相性が良いか、自社が農産物を生産している理由や目的と考え方がマッチしているかを見られている場合が多いです。
マッチ度は、アピールしている強みなどが農業に必要なものか、自社が求めている人材像に合っているかなどから判断されます。
また、自社や農業についてどれだけ理解しているかをもとに、志望者自身の「この業界や企業とマッチしているはず」という判断の信ぴょう性を確認している場合も多いです。
そのため、自分の良さをアピールするだけでなく、それがしっかり農業や志望先の企業とマッチしたものであることを伝える必要があります。
人柄を判断する
企業や農場では、志望者がどのような人なのかを知りたいと考えています。
そのため、自己PRを通して志望者の人柄を理解しようとしているのです。
就職活動における面接では、相手について完全に理解するにはごく短い時間しか用意されていません。
その短時間の中で、少しでも志望者について理解するためには、自己PRが重要です。
自己PRの中で自分の良さや考え方、人柄について農場側の方に知ってもらうことで、自分を採用するメリットがあると考えてもらう必要があります。
「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえれば採用の可能性がありますが、逆に「この人とは働きたくない」と思われると採用の道が途絶えてしまうため、アピール内容が適切かどうかはしっかり確認しておきましょう。
スキルや適性を見る
自己PRでは、志望者が持っているスキルや適性も見られています。
農業は誰にでもできる仕事ではなく、十分な体力や精神面でのさまざまな適性が必要です。
そこで、農場側では志望者の強みを聞き出し、自社で活かせるようなスキルを持っているか、活躍できそうかを見ています。
自宅で家庭菜園やガーデニングを行うのとは比べものにならないような量の仕事があり、時間も多くかかるため、そういった状況に対して音を上げるような人材でないかなどを見られる場合が多いです。
「この人は農業についていけそうにないな」と判断されると面接に落とされてしまう可能性があるため、農業従事者の立場に立って、どのような人材なら欲しいかを考えながらアピール内容を決めましょう。
【農業の自己PR作成】農業系の企業におすすめのPRポイント
続いて、農業系の企業への就職を目指す上でおすすめな自己PRの強みについてご紹介します。
農業系の仕事で求められる資質にはさまざまなものがありますが、とくにものづくりが好き、試行錯誤ができる、忍耐力がある、コミュニケーション能力が高いなどの強みが求められる現場が多いです。
これ以外にも、消費者の方が実際に口にするものを生産するため安全への配慮ができ、責任感のある人材が求められています。
それぞれの強みについて、詳しく見ていきましょう。
ものづくりが好き
農業系の仕事に向いているのは、ものづくりが好きな人です。
顧客と直接やり取りしながら商品を販売する業種ではないため、接客業中心のサービス業よりも何かを作ることが好きという人に適した仕事といえます。
農業は未経験であっても、農業に用いる機械や農産物を使用した食品の工場などの製造業では、ものづくりの経験が高く評価される職場も多いです。
そのため、自己PRとしてもものづくりが好きなこと、熱中して取り組めることなどをアピールするのがおすすめです。
これは生産という行為に対する責任感を示すチャンスでもあり、作ったものに最後まで責任を持つプライドなどもアピールできると良いでしょう。
逆に、ものづくりが好きではなく、作ったものも作りっぱなしでどうなっても良いと考えている方には向きません。
試行錯誤できる
農業系の仕事には、自力で試行錯誤できる方も向いています。
単純作業だけが農業ではないため、指示されたことに淡々と従うだけでなく、自分なりに試行錯誤して改善策を考えることが大切です。
生体を扱う仕事であるため、場合によっては病気で育てていたものが全滅したり、収穫量や品質が落ちたりするなど、失敗することもあります。
その失敗から何がいけなかったのか、どのような改善策が取れそうかを学び、次の収穫までに品質や収穫量を改善して向上させなければならない仕事です。
したがって、一度や二度の失敗で自棄を起こしてしまうようでは、農業の仕事は続けられません。
何度失敗しても、その度にめげずに改善策を考えられる人材であれば、多くの農場が欲しいと考えます。
忍耐力がある
農業に向いているのは、忍耐力がある方です。
農業は、取り掛かってすぐに結果が出るような仕事ではありません。
扱うのが植物にしろ動物にしろ、年単位で育成に取り組む必要があり、結果が出るのが1年後や数年後になることも多いです。
そのため、短期間で結果が出る他業界に比べて、経験を積むのに時間がかかります。
農業で結果を出すためには、コツコツと地道な努力を続けることが必要です。
その上でどうしても短期間で経験値を上げたい人は、1年間に何作も回せる次世代施設園芸や、年間通して同じ商品を出荷ができる畜産業の方が向いています。
時間をかけてじっくり成果を出すことに向き合うのが苦にならないのであれば、忍耐力をアピールすると良いでしょう。
コミュニケーション能力が高い
農業の現場では、高いコミュニケーション能力が求められます。
接客業ほどではないものの、農業も1人で黙々と作業する仕事ではなく、さまざまな人と関わりあいながら進めていく仕事です。
熟練の農場長や若手の社員、バイトから外国人の実習生まで、年齢や性別だけでなく背景事情も問わず、幅広い層の人が働いています。
そのため、相手との相性の良し悪しに関わらず、綿密に連絡を取り合って仕事を進めなければなりません。
どのような人とも意思疎通をして、スムーズに仕事を進めるためには、柔軟なコミュニケーションが必要です。
こうしたコミュニケーション能力はどのタイプの農業でも求められるため、コミュニケーションに自信がある場合は強みとして選ぶと良いでしょう。
【農業の自己PR作成】自己PRの構成
続いて、農業の関連企業を目指すための自己PRにおける適切な構成について見ていきましょう。
自己PRでは、強み、強みを発揮したエピソードの概要、その時の課題や状況、打破するための行動、得られた成果、仕事でどう活かすつもりなのかの順で文章を作成します。
構成を守って文章を作れば、情報が伝わりやすくなりますが、これをバラバラにしてしまうとどこに何の情報があるのか分かりにくくなってしまうため注意が必要です。
ここでは、それぞれのパートについて、詳しくご紹介します。
強み
自己PRで真っ先に持ってくるべきなのは結論、すなわち自分自身の強みです。
選考における自己PRに限らず、ビジネスでは常に文章の最初は結論を端的に述べます。
読み進めていかないと結論や何を伝えたいのかといった主軸を読み手が判断できない文章は、ビジネスにおいては良い文章とはいえません。
時には、結論だけ聞いて瞬時に判断しなければならない場合もあるため、まず結論から述べる癖をつけておく必要があります。
また、文章を書いている自分自身にとっても、結論から書き始めた方が文章の指針ができて書きやすいです。
相手にとって分かりやすい文章を作成するため、自分で内容をブレさせないためにも、まずは結論から書くことが大切になります。
発揮したエピソードの概要
次に、結論として挙げた強みの証拠として、実際にそれが発揮された出来事の概要を述べます。
いかに素晴らしい強みや農業向きの資質があっても、自己PRの中でそれを証明できなければ、採用担当者に伝わることはありません。
「私は農業に向いています」という文言だけでは企業側は信用できないため、そのまま採用につなげるのは難しいでしょう。
強みを証明するためには、どんな取り組みの中でそれが役立ったのかなど、強みがあることへの裏付けとなるエピソードが必要です。
あとから詳細を記載していくため、この部分ではまだ簡潔な記述で構いません。
詳細を描写しすぎると読みにくくなるため、どんな出来事だったのか概要を把握できる程度の文章に留めて、簡単に伝えるようにしましょう。
課題・状況
続いて、強みを発揮したエピソードの中で直面した課題や、その時の状況について詳細な描写をします。
エピソードや自分の心情について、詳しい描写が始まるのはこのパートからです。
実際に強みが発揮されたのはどのような状況だったのか、また当時の取り組みへの課題として何が挙げられるのかをよく分析して書きましょう。
農場や企業の方から「もっとこの志望者の話を聞いてみたい」と思ってもらうために、状況の困難さが伝わるような書き方を意識するのがおすすめです。
こうしたエピソードの詳細な描写は、面接での深掘りにもつながります。
強みを発揮する前段として、どのような課題や解決すべき問題があったのか、誰にでも分かりやすい言葉で描写しましょう。
行動
次に、強みを発揮して自分が取った行動について説明します。
その時の状況や解決しなければならなかった課題に対して、強みを活かしてどのようなアプローチをしたのかを描写します。
それがオリジナリティの強い行動であれば、さらに周りのライバルに差をつけられるでしょう。
特段オリジナリティが強いわけでなくても、その行動にいたるまでに何を考えていたのかを描写すると差別化しやすいです。
「私は持ち前の○○という性質を活かして、こういった行動をしました」「私は○○と考え、これに対してこのような行動を取りました」といったように、自分が何をしたのか、そしてそれがどのような原理に基づくものであったのかを具体的に説明しましょう。
成果
次に、行動の結果どのような成果が出たのかについて描写します。
課題に対して何かを考えて行動したとしても、そこに成果が伴っていなければ何の影響も与えられていないことになり、強みとしては弱いです。
そのため、強み、課題、行動を挙げたのであればその結果、とくに得られた成果についても描写しておく必要があります。
その際は数字の変化やデータ、自分以外の他人の評価などがあれば、より説得力が増すでしょう。
誰にでも分かりやすくどのような成果だったかを伝えるためには、そういった具体的なデータを用いるのがおすすめです。
具体的な数字を出すのが難しい場合でも、なるべく曖昧な表現は避けて、明確にこれが成果といえるものを描写すると伝わりやすくなります。
仕事でどう活かすか
最後に、その強みを農業の仕事でどう活かせるのかについて述べます。
せっかく強みを活かした体験があったとしても、その強みや体験が農業で活かせるものでなければ、単なる自慢話になってしまいます。
企業や農場としては、自己PRで述べられた強みが仕事でどう活きるのかを見たいのです。
強みを活かした学生時代の成功体験が、農業へ従事してからも仕事に応用できることをアピールする必要があります。
また、仕事でどう活かせるかを十分に説明できれば、農業そのものや農場での業務内容をよく理解していることのアピールにもなるでしょう。
これは、企業とのマッチ度のアピールにもなるため、自己PRの末尾には必ずどう仕事で強みを活かすのかについて書く必要があります。
【農業の自己PR作成】農業の自己PR例文
ここからは、農業関係の企業や農場を目指す上での自己PR例文についてご紹介します。
志望先が企業である場合、文章中では「御社」ではなく「貴社」を用いるようにしましょう。
御社は面接での呼び方であるため、文章にはふさわしくありません。
また、志望先が農場である場合は、その名称に合わせて「貴ファーム」「貴園」「貴所」「貴農場」などと表記するようにしましょう。
個人経営の農場であれば、「○○様の農場」といった個人名を用いても構いません。
例文1: ものづくりが好き
学生時代、私はゼミでWebアプリの開発を行っており、現在使用されている広告解析アプリをもとに、より良いアプリづくりに取り組んだことがあります。
そのアプリには専門的な機能が多く実装されていたものの、そのままではどこに何の機能があるのか分かりにくいといった課題を抱えていました。
そこで、私は誰が見ても使いやすいアプリケーションの実現を目標に、ユーザーインターフェースの改善や機能の向上に努めました。
実際のアプリを、企業の方にテスト使用していただいたところ、80%の企業様に以前より使いやすくなったとご回答いただきました。
この経験を活かし、貴社への入社後は、農業の効率化のためのアプリ開発に取り組みたいと考えております。
例文2: 試行錯誤できる
この強みは、学生時代の研究で発揮されました。
私は学生時代、ゼミでの研究の一環として、トマトの温室栽培に取り組んでいました。
そのトマトは大学で開発され、まだ世に出回っていない品種で栽培方法が確立されておらず、安定した収穫量が見込めない状況が続いていました。
私は列ごとに肥料や水の量を変えたり、日照時間を工夫したりなど、何度も条件を変えて栽培の実験を続けました。
その結果、その品種の安定した栽培方法のノウハウを確立させることができたのです。
この経験を活かし、貴農場でも試行錯誤しながら、作物の栽培を成功させられるよう努力を続けたいと考えております。
例文3: 忍耐力がある
この強みは、スーパーマーケットでのアルバイトで発揮されました。
私が勤めていたスーパーマーケットでは、毎日売り場の野菜や果物の産地表示が本来の産地と合致しているかをチェックして、表に書き込む作業がありました。
担当した従業員によっては、項目が多いため適当に書いてしまうことも少なくありませんでしたが、私はこれを産地偽装にならないために重要な取り組みだと考え、毎日一つひとつの項目を丁寧にチェックして、間違っているところがあれば素早く訂正しました。
これにより、私が働いている間は産地偽装にあてはまる状態に一度もならず、お客様からの信頼を勝ち取ることができました。
この経験を活かし、貴園での業務でもなぜその作業が必要なのかをしっかり考え、最後まで実行したいと考えております。
例文4: コミュニケーション能力が高い
この強みを培ったのは、サークル活動です。
学生時代、私は囲碁サークルに所属しており、地域の囲碁団体の方々と交流する機会も多くありました。
学生ばかりの囲碁サークルとは異なり、囲碁団体には小さな子どもからご年配の方まで幅広い年代の方が所属しており、職業もさまざまな属性の方と交流することになりました。
その中でまず私は挨拶を重視し、毎回参加者の方に声をかけて回るうちに少しずつ話をしてもらえる機会が増え、最終的にサークルの学生の中で一番話しやすいとまで言っていただくことができました。
この経験をもとに、貴ファームでもまずは挨拶から始め、一緒に働く方々と積極的にコミュニケーションを取っていきたいと考えております。
【農業の自己PR作成】自己PRが完成したら
ここからは、自己PRの文章が完成したらするべきことについてご紹介します。
農業の関連企業向けの自己PRが完成しても、すぐそのまま提出するのは得策ではありません。
できたばかりの文章には、誤字脱字が発生している可能性があり、自分で思っている以上に他人からは分かりにくい文章になっている可能性も残っています。
そのため、自己PRが作成できたら、提出するまでに二重三重のチェックが必要です。
どのようなチェック体制を敷いたら良いのか、詳しく見ていきましょう。
声に出して読んでみる
自己PRの文章を作成したら、選考書類に清書する前に、声に出して読んでみましょう。
音読してみると、目で追いかけるだけよりも入念に文章をチェックでき、誤字脱字チェックや内容に矛盾がないかのチェックができます。
目で見るだけでは、間違っている部分も脳内で補完してしまうことが多く、そこにあるはずのミスに気づくことができません。
声に出すというプロセスを挟めば、曖昧な認識になっている部分をはっきりさせるために文章をしっかり読み直すことができるため、間違いにも気づきやすいです。
また、自己PRを音読する際はそれを面接で話すことも想定し、話し方にも注意してみると良いでしょう。
内容を録音したり、話しているところを録画したりして、再生しながら改善点を探すのもおすすめです。
他の人に読んでもらう
自分で自己PRのチェックを行ったら、次は自分以外の方にも文章を読んでもらいましょう。
親兄弟などの家族や友人、就活を経験した先輩などに、自分の自己PRを読んでもらいます。
直しきれていなかった誤字や脱字、より客観的な意見や自分では思いつかないPRのアイディアが得られるチャンスです。
自分に近しい方だけでは、違和感なく文章を読めてしまい、自分のことをよく知らない人物にとっては分かりにくい部分を見落とす可能性があります。
そのため、大学の指導教員やキャリアセンターの職員など、あまり普段自分と密接に関わっていない相手にもお願いして、文章を読んでもらうと良いでしょう。
注意点として、文章を読んだ相手からもらったアドバイスや指摘に対して不機嫌な態度を表に出さず、しっかりお礼を言うようにする必要があります。
就活エージェントを利用する
どうしても農業向けの自己PRを自力で作成するのが難しい場合は、就活のプロである就活エージェントにサポートしてもらうのがおすすめです。
就活エージェントでは、自己PRはもちろん、志望動機やガクチカなど、農業関連企業向けの選考書類づくりに対する企業目線でのアドバイスなどが受けられます。
選考書類の用意だけでなく、相性の良い職場の紹介や面接対策など、就活に関すること全体を手厚くサポートしてくれるはずです。
また、内定獲得後の入社準備についても支援を受けられ、二人三脚でプロのアドバイザーが就活に取り組んでくれます。
自己PRの作成をはじめ、就活に関係することで悩みがある場合は、就活エージェントを頼ってみるのも良いでしょう。
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まとめ
農業関連の企業や農場でも、通常の企業同様に自己PRが必要です。
自己PRでは、自分がいかに農業やその志望先に向いている人材なのか、根拠となるエピソードとともに説明する必要があります。
農業に求められる資質は接客業などとは異なりますが、製造業とは近い部分も多いです。
とはいえ、農業にもさまざまな職種があるため、自分がどのように農業に携わりたいかを考えなければなりません。
就活エージェントなどのプロの力も借りながら、農業向けに適した自己PRを考え、自分の強みをアピールしましょう。