はじめに
就職活動の書類選考において、エントリーシート(ES)は非常に重要な役割を果たします。
この記事では、ESに書くべき内容とその重要なポイントを中心に、どのようにESを構成すべきかを具体的に解説します。
採用担当者に響くESを作成するためのポイントを押さえ、選考通過率を高めるための対策を紹介します。
【ESの対策】ESには何を書くべきか?
エントリーシート(ES)は、自己PRや志望動機を通じて応募者の強みや価値観をアピールする書類です。
面接前の第一印象を左右するため、内容の充実度が求められます。
ESに記載すべき主要な項目には、「志望動機」「自己PR」「学生時代に力を入れたこと」などが挙げられます。
これらを通して、企業が求める人物像やスキルに合致しているかを効果的に伝えることが必要です。
【ESの対策】ESを書く際の重要なポイント
ESを書く際には、応募者の魅力を採用担当者に伝えるために以下の3つのポイントに注意することが大切です。
これらのポイントを活用することで、内容が明確で読みやすいESを作成できます。
結論から述べる「結論ファースト」
まずは「結論ファースト」のスタイルで、自己PRや志望動機の冒頭で結論を簡潔に述べましょう。
採用担当者は短い時間で多数のESを確認するため、冒頭で要点を示すことで読み手に強い印象を与えられます。
具体的には、自分の強みや志望理由を最初に明示し、その後にエピソードや実績で補足すると効果的です。
エピソードはシンプルかつ明確に
ESのエピソード記述では、分かりやすさと簡潔さが重要です。
長い説明や背景情報は避け、具体的な行動や成果に焦点を当てましょう。
例として、具体的なアクションや達成した結果を簡潔に伝えることで、読み手に良い印象を与えます。
過去の経験をもとに、どのように問題を解決し、成果を出したかを端的に示しましょう。
数字を使って具体的に伝える方法
実績や経験を伝える際に数字を用いることで、具体性と信頼性が増します。
たとえば、「売上を20%向上させた」や「チームをまとめて10人を指導した」などの数値的な成果を示すと、インパクトが強くなります。
数字は客観的な評価を得やすく、採用担当者にとって分かりやすい自己PRになります。
履歴書との違いとESの特徴とは?
ESと履歴書はどちらも就職活動において重要な書類ですが、その役割や記載内容に違いがあります。
履歴書は基本的な個人情報や学歴、職歴などを網羅する一方、ESは応募先企業が特に知りたいテーマや応募者の価値観を深堀りするものです。
特に、企業のフォーマットや質問項目に合わせて内容を記述するため、応募する企業ごとに内容を変える必要があります。
【ESの対策】ESでよく聞かれるテーマと内容
エントリーシート(ES)では、企業が応募者に対して知りたいと思う定番のテーマがいくつかあります。
特に「志望動機」「自己PR」「学生時代に注力したこと(ガクチカ)」はほとんどの企業で聞かれる項目です。
これらを通じて応募者の個性や価値観、能力を把握し、企業に合った人材かどうかを見極めようとしています。
ここでは、それぞれのテーマで採用担当者に響くように効果的にアピールするポイントを解説します。
志望動機について
志望動機は、あなたがその企業を選んだ理由や、入社後に何を成し遂げたいかを伝えるための重要な項目です。
志望動機が企業の価値観やビジョンと合致していると、採用担当者に「この人は我が社に必要な人材だ」と思わせることができるでしょう。
ただ「興味がある」「憧れがある」などの漠然とした理由ではなく、以下のように具体性を持たせることが求められます。
志望動機を書く際には、まず企業の特徴や事業内容、社会への貢献度などをリサーチし、それがあなたの過去の経験や将来のキャリアにどのように結びつくのかを考えてみましょう。
たとえば、「地域社会への貢献を重視する御社のビジョンに共感し、大学でのボランティア経験を活かして、社会貢献活動に積極的に携わりたい」といった具体的な志望動機は説得力が増します。
自分の目指すキャリアパスと企業の方向性が重なる部分をアピールすることで、熱意と入社後のビジョンがより明確に伝わります。
自己PRの書き方
自己PRでは、自分の強みや得意分野を通じて、どのように企業に貢献できるかをアピールします。
自己PRは、採用担当者があなたの価値観や仕事に対する姿勢を知るための重要な指標となるため、単なるスキルの羅列ではなく、具体的なエピソードを盛り込み、自己PRの根拠を示すことがポイントです。
自己PRを書く際は、自分の強みを裏付けるエピソードを選び、その強みがどのように発揮されたかをわかりやすく説明しましょう。
例えば、「困難な状況でも粘り強く目標に取り組むことができる」という強みをアピールするなら、どのような困難があったか、それに対してどのような工夫や努力をしたか、そしてその結果何を達成したのかを具体的に記述します。
さらに、その強みが企業にとってどのように役立つかも伝えると、読み手にあなたが実際に入社後に活躍できるイメージを持ってもらいやすくなります。
学生時代に注力したこと(ガクチカ)
「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」は、あなたが過去にどのような経験を通じて成長し、どのような課題に挑んできたかを示す項目です。
企業はこの項目を通して、応募者がどのように問題を解決し、成果をあげてきたか、またその経験から何を学んだかを知りたいと考えています。
ガクチカを書く際には、単なる活動内容の説明ではなく、具体的な目標や行動、結果を交えながらアピールすることが重要です。
ガクチカを記述する際には、まず目標やきっかけを説明し、具体的にどのようなアプローチで取り組んだかを伝えましょう。
たとえば「サークルの会計を担当し、効率化のために新たな予算管理システムを導入し、年間の支出を20%削減した」というエピソードがあれば、そのプロセスと結果を示しながらアピールできます。
また、単に結果を述べるだけでなく、その経験を通じて得た学びや気づきも加えることで、あなたの成長意欲や学びに対する姿勢がより伝わりやすくなります。
【ESの対策】ES通過率を高める4つの対策
エントリーシート(ES)で選考を通過するためには、ただ情報を詰め込むだけではなく、企業側にとって読みやすく、内容が響くよう工夫することが必要です。
ここでは、ES通過率を上げるために欠かせない4つのポイントを解説します。
これらを意識することで、より強力で印象的なエントリーシートを作成することができます。
企業が求める人物像を理解する
まず、企業が求めている人物像を理解することが非常に大切です。
多くの企業は、業界で求められる能力や自社の企業文化に適合する人物を望んでいます。
そのため、応募先企業のホームページや採用ページをしっかりとチェックし、企業理念やビジョン、求めるスキルに目を通しましょう。
こうした企業研究を通じて、企業が重視している価値観や人材像を自分の言葉で理解できると、自分のアピール内容を企業にマッチさせやすくなります。
業界研究も並行して行うことで、他社と比較してその企業ならではの特徴が見えてくるため、さらに深い理解に結びつきます。
このようにして、自分の特性や強みを企業が求める人物像に沿ってアピールすることで、ESの内容が一層企業にとって価値のあるものになります。
エピソードを具体的に描写する
エピソードを通じて自分の強みや特徴を伝える際には、抽象的な言葉ではなく、実際の経験を具体的に描写することが大切です。
たとえば「リーダーシップを発揮した」という場合でも、具体的にどのような状況でどのように行動したのかを詳細に描くことで、その経験がよりリアルに伝わります。
たとえば、大学でサークル活動を通して集客を増加させた経験があれば、その結果を「前年に比べて50%増加」といった数値を用いて具体的に示すと、実績の規模や努力の成果が明確になります。
また、エピソードの描写には、どのような状況でどのように工夫したか、結果としてどのような成果を得られたかが分かると、採用担当者にとって理解しやすく、印象に残りやすいでしょう。
一貫性のある内容を心掛ける
ES全体を通じて、一貫性を保つことも重要です。
志望動機や自己PRなどの項目で異なる価値観や矛盾するエピソードを含むと、採用担当者に「本当はどのような人物か分からない」という印象を持たれる可能性があります。
たとえば、「積極性」と「リーダーシップ」をアピールする場合には、それぞれのエピソードが連携して伝わるように構成しましょう。
また、書く内容が他の項目と矛盾しないよう注意し、自分の強みを特定のテーマに絞ることが大切です。
これにより、あなたの人柄や価値観がより明確に伝わり、ES全体の説得力が高まります。
一貫性があることで、ES全体を通して一つの強いメッセージが浮かび上がり、印象に残りやすくなるのです。
個性を強調して差別化する
採用担当者が多くの応募者のESを読み進める中で、あなたが独自の個性を持っていることは大きな差別化要因になります。
似たような経験を持つ応募者が多い中で、あなた自身のユニークな経験や視点を活かし、他者との差別化を図りましょう。
特別な成果や成功体験がない場合でも、個性を出すことは可能です。
たとえば、自分にとって大きな気づきを得たエピソードや、自分らしい考え方を紹介するだけでも、個性が際立ちます。
また、協調性やリーダーシップといった強みをアピールする際には、ただ「チームワークが得意です」と述べるだけでなく、どのようにその強みを活かしてきたのか、具体的な行動や工夫を加えると、自分らしさが強調されます。
企業は「この人を採用することで何が得られるか」という視点で評価するため、個性のあるESは他の応募者と差をつけるための大きな武器になるでしょう。
【ESの対策】ES作成時に気をつけるべき点
エントリーシート(ES)は、応募者がどれだけその企業に真剣に取り組んでいるかを示す重要な書類です。
内容の構成や表現だけでなく、基本的なルールやマナーを守ることで、企業側に良い印象を与えることができます。
ここでは、ES作成時に特に注意すべきポイントについて説明します。
これらを意識することで、誠実さと配慮の伝わるESを作成しましょう。
誤字や敬語の間違いに注意
誤字や敬語の誤用は、ESの完成度を大きく損ね、ビジネスマナーに欠ける印象を与えてしまいます。
特に、敬語表現の誤りや誤字脱字があると、読み手に対して真剣さが不足しているように感じさせてしまうことがあるため、記載内容には細心の注意を払う必要があります。
提出前には必ず数回読み返し、余裕があれば他の人にもチェックしてもらうと良いでしょう。
時間がギリギリでの提出は、見直しが不足しがちになるため、余裕をもって準備を進めることが大切です。
文章の口調を統一する
ESの文面では、「ですます調」と「である調」の混在は避け、一貫性を持たせることが重要です。
口調が統一されていないと、文章にまとまりがなくなり、読み手にとって読みづらく感じさせてしまう可能性があります。
一般的には「ですます調」の使用が推奨されますが、企業や業界のスタイルに合わせることも考慮しましょう。
どちらの口調を選ぶ場合でも、一貫して使うことで、文章が整い、誠実で丁寧な印象を与えやすくなります。
独自性を持たせてありきたりな表現を避ける
採用担当者にとって印象に残るESを作成するためには、ありきたりな表現を避けて自分ならではの言葉を選ぶことが重要です。
たとえば、「協調性があります」「チャレンジ精神が強いです」といった表現は一般的すぎるため、あなた自身の経験を通じた具体的なエピソードを交えると効果的です。
「サークル活動でのチームワーク向上のために新しい役割分担を提案し、全体の効率を高めた経験を通して、協調性を発揮しました」といった具体的な説明は、あなたの独自性が伝わりやすくなります。
自分の個性や視点が表れるエピソードを活かし、他の応募者と差別化を図りましょう。
修正ペンやテープは使用しない
ESを作成する際に、修正ペンや修正テープを使用することは避けましょう。
提出する書類として、きれいで整った仕上がりを保つことはビジネスマナーの基本とされています。
修正が必要な場合には、記入し直すことが最善です。
やむを得ない場合でも、二重線を引いて訂正印を押す形が正式な方法です。
きれいに仕上げたESは、読み手に対して丁寧で真摯な姿勢を感じさせるため、基本的なビジネスマナーとして心がけましょう。
質問の意図に沿った回答を心掛ける
ESに記載する際には、設問の意図を理解し、それに適した内容で回答することが重要です。
例えば、「学生時代に力を入れたこと」について尋ねられた場合、活動内容を述べるだけでなく、そこから得た学びや成果を示し、具体的なエピソードを交えることが望まれます。
設問に対して意図から外れた回答をすると、読み手に十分な理解を与えられず、応募者の意図が不明瞭な印象を持たれることがあります。
質問内容にしっかり応えることで、担当者が読みやすく、説得力のあるESに仕上がります。
【ESの対策】参考にしたい志望動機の例文
志望動機は、企業があなたに興味を持つための重要な要素です。
ここでは、志望動機の具体例を挙げ、採用担当者に伝わりやすくするための表現や構成を紹介します。
志望動機を書く際には、自身の経験や価値観と企業の特性をうまく結びつけることがポイントです。
志望動機例①
大学時代には、地域の子どもたちに学習サポートを行うボランティア活動に参加し、教育格差の解消に関心を持ちました。
この活動を通じて、子どもたちが将来に希望を持って学ぶ姿を見たことが私の原動力となり、社会的な課題解決に貢献できる仕事に就きたいと強く感じました。
貴社は、教育支援や地域活動に積極的に取り組まれていますので、私も貴社の一員としてこれらの活動を広め、地域社会に貢献していきたいと考えております。
志望動機例②
大学のゼミでは、リーダーとしてメンバーと共にプロジェクトを進める中で、失敗を恐れずに挑戦することの大切さと、チームで成長していく喜びを学びました。
貴社では、社員一人ひとりが新たなスキルを身に着け、互いに切磋琢磨しながら成長できる環境が整っていると伺っております。
私もその一員として、継続的な学びと挑戦を通じて自らの成長に努め、チームと共に貴社の成長に貢献したいと考えています。
志望動機例③
大学ではマーケティングを学び、消費者の多様なニーズに応えるためには一つの解決方法に固執せず、多様なアプローチが必要であることを学びました。
貴社は、製品・サービスの提供を通じて新しい価値を創造し、社会にポジティブな影響を与える企業だと理解しています。
私も貴社で働くことで、マーケティングの知識を活かしながら多角的な視点を持って課題解決に挑み、新たな価値を創造する一員として活躍したいと考えています。
【ESの対策】参考にしたい自己PRの例文
自己PRは、自分の強みやスキルをアピールし、企業でどのように貢献できるかを示す重要な項目です。
採用担当者に対して、具体的なエピソードを交えながら自分の特長を伝えることで、より印象に残る自己PRが可能です。
以下に参考となる自己PRの例を紹介します。
自己PRの例①
大学時代、ゼミのプロジェクトでチームリーダーを務め、特定のデータが不足していたために調査が難航するという問題に直面しました。
諦めずに図書館や学外の資料を調査し、さらに教授にも協力を依頼することで、必要な情報を収集することに成功しました。
この粘り強い対応によって、プロジェクトは無事完了し、発表会では高評価を得ました。
困難な状況でも最後まで諦めない姿勢は、今後の仕事においても課題解決に役立つと考えております。
自己PRの例②
アルバイト先の飲食店で、新人スタッフの教育係を任された際に、初めはうまく指導できず困難を感じました。
しかし、相手の理解度に合わせて説明を工夫することで、指導の質を向上させることができました。
さらに、スタッフ同士の連携を強化するために定期的なミーティングを提案し、店舗全体のサービスレベルが向上しました。
周囲と協力しながら目標を達成する力を今後の職場でも活かし、チームの一員として貢献したいと考えています。
自己PRの例③
大学のサークルでイベントの責任者を務めた際、初めての大規模なイベント企画であったため、準備不足やスケジュールの不備が生じる可能性を懸念しました。
そこで、事前に詳細なタイムラインを作成し、メンバー全員に役割分担を明確にしました。
また、想定外の事態にも対応できるよう、複数のバックアッププランを準備しておきました。
その結果、イベントは大成功を収め、参加者からも高い評価を得ました。
計画的に準備を進める姿勢と確実に実行する力を、貴社のプロジェクトでも活かしたいと考えています。
まとめ
ES作成時には、誤字脱字や敬語の誤用、文章の口調などの細部に気を配り、マナーを守った整った文章に仕上げることが求められます。
企業の質問の意図に沿った内容で、独自性のある表現を心掛け、読み手にとって印象に残るESを完成させましょう。
この記事のポイントを意識し、準備を重ねあなたの魅力を最大限に伝えるESを作成しましょう。