【企業研究】ワークライフバランスを重視している企業例から、実際に見るべきポイントなど徹底解説

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柴田貴司
監修者

明治大学院卒業後、就活メディア運営|自社メディア「就活市場」「Digmedia」「ベンチャー就活ナビ」などの運営を軸に、年間10万人の就活生の内定獲得をサポート

この記事を読んでわかること
  • ワークライフバランスを重視している企業の見つけ方
  • ワークライフバランスが重要な理由
  • ワークライフバランスを重視している企業の代表例
この記事をおすすめしたい人
  • ワークライフバランスを優先して企業を探したい人
  • 働きやすい企業を探している人
  • ワークライフバランスを重視すべきか否か悩んでいる人

目次目次を全て表示する

はじめに

近年、ワークライフバランスの重要さが叫ばれているため、就活においてもワークライフバランスをしっかりと意識している企業を探している方は多いでしょう。

そこで今回はワークライフバランスを重視している企業例を挙げながら「就活では、どのような点を見れば企業選びに失敗しないか」などについて詳しく紹介します。

「絶対にブラック企業は避けたい」と思っている方はぜひ参考にしてみてください。

ワークライフバランスとは?

ワークライフバランスとは何なのか理解できている方がほとんどでしょうが、簡単に用語のおさらいをしておきましょう。

「仕事と私生活の調和」のことをワークライフバランスと呼びます。

これが取れていることで仕事と私生活の両方を充実させられ、相互に良い影響を与えるようなバランスが取れているのが「ワークライフバランスが整っている」と呼べる状態です。

厚生労働省の見解では「就業しているすべての人が、仕事上の責任を果たしつつ、個人や家庭の生活を両立できるような働き方を実現すること」とされています。

ワークライフバランスが重要な理由

とはいえ、ワークライフバランスがここまで重要と言われるようになっている理由は何なのでしょうか。

ワークライフバランスは以下のような理由から昨今、重要と言われるようになってきており、納得できる方は特にワークライフバランスを重視した就活を進めると良いでしょう。

重要な理由
  • 心身の健康を保つため
  • 仕事のパフォーマンス向上
  • 家事・育児・介護との両立
  • 多様な人材の活躍

心身の健康を保つため

ワークライフバランスを重視すべき理由の1つとして、働く人の心と体の健康を守ることが挙げられます。

長時間労働や休日返上が当たり前の職場では睡眠不足や運動不足が慢性化し、身体的な疲労が抜けにくくなってしまうことが多いです。

それに加えて、常に仕事を考えてしまう状態が続くと精神的な緊張や不安が蓄積し、うつ病や不安障害といったメンタル不調につながる可能性もあります。

一方、プライベートの時間がしっかり確保されている職場であれば、気持ちを切り替える時間が持てるため、仕事に対する意欲も維持しやすくなるでしょう。

体を休めたり、趣味や家族との時間を楽しんだりできれば、日常の中にも幸福感や安心感が生まれます。

その積み重ねが職場での集中力やコミュニケーションの質にも良い影響を与えるのです。

仕事のパフォーマンス向上

ワークライフバランスが整っている環境では仕事に対する集中力や作業効率が大きく向上します。

長時間働き続けて疲労がたまった状態では注意力が散漫になり、判断ミスが生じやすいです。

どれほど能力が高くても、疲れた状態では本来の力を発揮できないため、十分な休息と自由時間を確保できる生活が大切なのです。

精神的にも肉体的にも余裕を持って業務に取り組むことができ、パフォーマンスも高まるでしょう。

また、オンとオフをしっかり切り替えられる働き方は仕事に対するメリハリを生み、効率的な時間の使い方や優先順位の判断にも影響を与えます。

さらに余暇の中で新たな視点やアイデアが生まれることもあり、デザイナーなど、創造力が求められる職種では特にその効果が顕著に現れます。

家事・育児・介護との両立

ワークライフバランスの観点から特に重視されるのが、家事や育児、介護といった家庭内の役割と仕事の両立です。

多くの働く世代にとって、生活の中に占める家庭の責任は年々重くなってきています。

子どもの送り迎えや参観、病気の看病、親の通院付き添いなど、突発的な対応が必要になる場面は少なくありません。

こうした状況に柔軟に対応できる環境が整っていなければ、仕事と家庭のどちらかを犠牲にせざるを得なくなってしまいます。

特にご家族の介護などが必要な方や結婚・出産を控えている人にとっては、両立可能な職場かどうかが企業選びの大きな判断材料になります。

フレックスタイムや短時間勤務、在宅勤務制度などを利用できる環境であれば、家事・育児・介護との両立が可能です。

多様な人材の活躍

ワークライフバランスを重視する企業では年齢・性別・身体的特性・家庭状況といった個人の背景に関係なく、様々な人が自分らしく働ける環境が整っていることが多いです。

子育て中の社員や高齢の従業員、障害のある方にとって、時間や働き方の柔軟性は働き続けるための前提条件です。

画一的な働き方しか認められない企業ではその条件に合わない人材が活躍する機会を失ってしまいますが、多様な働き方が受け入れられている職場であれば、自分の実情に合わせて働くことが可能になり、職場における多様性も広がることでしょう。

また、その結果、様々な視点や価値観を持つ人々が集まり、組織全体としての発想や提案にも広がりが生まれ、チームとしての競争力も高まります。

ワークライフバランスを重視してもいい?

「ワークライフバランスが何よりも重要だ」と言う人もいれば「若いうちはワークライフバランスなんて気にせずに、馬車馬のように働くべき」だと言う人もいます。

後者のような意見を聞いてしまうと「ワークライフバランスを意識して就活するのは悪いことなのでは?」と思うこともあるでしょう。

しかし結論として、ワークライフバランスを重視しても全く問題ありません。

その理由は以下の4つであるため、ぜひ確認してみてください。

重視してもいい?
  • 自分の人生を豊かにするため
  • 働きすぎは逆効果になることも
  • 長く働き続けるには、持続可能性が必要
  • 企業もワークライフバランス重視を求めている

自分の人生を豊かにするため

ワークライフバランスを重視することは自分の人生を豊かにすることにもつながります。

働くことは生活の基盤であり、より大きな意味を持つ活動であることは間違いありません。

しかし、人生における価値観はそれだけで測れるものでもありません。

家族や友人との関係、趣味の時間、自分の成長のための勉強など、仕事以外にも大切な側面は数多く存在します。

仕事に偏った生活が続くと、それらの時間を失い、人生全体の満足度、つまりQOLが下がってしまうことでしょう。

一方、仕事とプライベートのバランスが取れていれば、自分の関心や興味に向き合う時間を確保できます。

その結果、仕事にも前向きな姿勢で取り組めるようになるのです。

働きすぎは逆効果になることも

一見、長時間働くことは成果につながるように思えるかもしれませんが、実際はそうとは限りません。

人間の集中力には限界があり、疲れた状態で無理に作業を続けても、ミスが増えたり判断を誤ったりするリスクが高いです。

特にクリエイティブな思考や迅速な対応が求められる業務においては、コンディションの良し悪しが成果に直結します。

一定の時間で効率良く仕事を終える意識がある人の方が、限られたリソースの中で高いパフォーマンスを発揮できる傾向にあるのです。

働きすぎが習慣化すると、心身の不調を引き起こし、休職や離職につながるケースも多いです。

「長く働くこと」を目的とするのではなく「成果につながる働き方をする」ことが、現在の社会において求められています。

長く働き続けるには持続可能性が必要

長い職業人生を考えた時に、無理な働き方はどこかで限界を迎えます。

確かに、20代や30代のうちは体力と気合いで乗り切れるかもしれません。

しかし、年齢を重ねるごとに無理が利かなくなり、心身への負担が積み重なっていきます。

どれだけ意欲が高くても、疲労やストレスを蓄積した状態では持続的なパフォーマンスは望めません。

だからこそ、若いうちから持続可能な働き方を意識することが求められるのです。

日々の生活の中で適切に休息を取り、健康を維持しながら働くことができる職場であれば、長きにわたって自分の力を発揮し続けられます。

また、家族構成や生活スタイルの変化にも柔軟に対応できる働き方であれば、育児休暇などを取ることもでき、キャリアの中断も避けられるでしょう。

企業もワークライフバランス重視を求めている

近年の働き方改革や人的資本経営の動きを受けて、多くの企業がワークライフバランスの重要性を再認識しました。

優秀な人材を確保し、長く定着してもらうためには柔軟な働き方を提供することが欠かせません。

すでに多くの企業が、労働時間の長さよりもその時間内でどれだけ成果を出せるかという点を重視する方向にシフトしつつあります。

この変化に伴い、フレックス制度や在宅勤務、副業制度などを導入する企業が増加しており、個々の事情や価値観に応じて働き方が選ばれるようになりました。

企業にとっても、無理なく働ける環境を整えることは従業員のモチベーション維持や業務性向上に直結するため、重視している企業が増えつつあるのです。

ライフ・ワーク・バランス認定企業とは?

「ライフ・ワーク・バランス認定企業」というものが日本には存在します。

これは厚生労働省などが制度化した複数の認定制度に該当している企業のことを指します。

大きく分けて以下の4つの認定があるため、簡単に確認しておき、あなたが目指している企業がいずれかの認定を受けているか確認してみると良いでしょう。

ワークライフバランス認定企業とは?
  • えるぼし認定(女性活躍推進企業)
  • くるみん認定(子育てサポート企業)
  • ユースエール認定
  • 地方自治体独自の認定制度

えるぼし認定(女性活躍推進企業)

えるぼし認定は厚生労働省が女性活躍推進法にもとづいて定めた制度で、企業が女性社員の採用・継続就業・管理職登用・働き方・キャリアの多様化などの項目で目標を達成すると認定されます。

認定基準は採用や継続就業など5項目で設定され、すべてを満たせば「3つ星(えるぼし3段階目)」となります。

基準の一部を満たしている場合でも、一定以上の取り組みが認められれば「1つ星」「2つ星」として認定される、というシステムです。

このマークは女性が働きやすい職場であることの証であるため、特にワークライフバランスを意識して就活をしている女性の方は参考にしてください。

くるみん認定(子育てサポート企業)

くるみん認定は厚生労働省が次世代育成支援対策推進法に基づき、子育て支援に積極的な企業を認定する制度です。

企業は自社の行動計画を策定し、計画に定めた目標を達成すると申請でき、認定を受けると厚生労働大臣から「くるみんマーク」の使用許可が与えられる、といった流れです。

くるみんマークの付いた企業は育児休業取得率の向上や短時間勤務制度の導入など、男性・女性ともに仕事と子育てを両立できる環境整備に取り組んでいます。

「将来は子沢山な家庭を築きたい」「知り合いが育休を取れなかったと聞いて、不安」という方はくるみん認定を受けている企業を選びましょう。

ユースエール認定

ユースエール認定は若手社員の採用と育成に熱心に取り組む中小企業を厚生労働大臣が評価・認定する制度です。

評価基準には新卒など若年者の離職率が低いこと(直近3年間で新卒離職率が20%以下など)、人材育成方針・教育訓練計画が整備されていること、前年度の残業が少なく働きやすい環境であることなどがあります。

よって、ユースエール認定を受けた企業は「若者に対して働きやすい環境づくりを進めている」と信頼して良いでしょう。

研修制度が充実しており、一つひとつ着実に専門的なスキルと、社会人としてのポータブルスキルを高めていきたい方におすすめです。

地方自治体独自の認定制度

地方自治体(都道府県や市区町村)も独自に働き方改革や女性活躍推進の制度を設けています。

東京と大阪の例を見てみましょう。

TOKYO働き方改革宣言企業(東京都)

東京都が独自に設けた制度で、長時間労働の削減や年次有給休暇取得促進などを目標とした「働き方改革宣言」を行う企業を認定します。

認定企業には専門家によるコンサルティング支援や助成金制度の案内などのメリットがあり、社員の働き方・休み方の改善に力を入れている証明でもあります。

男女いきいき・元気宣言(大阪府)

大阪府が実施する登録制度で「女性の能力活用」や「仕事と家庭の両立」など、男女がいきいきと働く取り組みを進める企業を登録します。

女性の採用・管理職登用、男性の育児参加支援、フレックスタイム制度の導入など、具体的な制度や計画を実践している企業が対象です。

したがって、男性の働きやすさも意識していますが、特に「旧態依然とした、女性が下に見られるような企業は絶対に嫌だ」という方はこちらに登録されている企業を選びましょう。

現状

続いて、ワークライフバランスの実施についての現状について理解を深めておきましょう。

「ワークライフバランスが重要だ」と言われる中で、企業がどのような取り組みをしており、どのような実施状況なのかについて理解しておいてください。

現状
  • 長時間労働の是正と取り組みの進展
  • 若年層を中心とした意識の変化

長時間労働の是正と取り組みの進展

近年、日本では長時間労働の是正に向けた取り組みが本格化しています。

背景にあるのは、政府が主導する働き方改革の推進です。

過労死や精神疾患の増加といった深刻な社会問題を受けて、労働時間の短縮や有給休暇の取得促進といった制度整備が進められてきているのです。

企業に対しても時間外労働の上限規制が法的に定められたことで、現場の働き方に具体的な変化が見られるようになりました。

厚生労働省の統計によると、2020年段階で週60時間以上働く労働者の割合は約5%まで減少しており、過去と比べて明らかな改善が見られます。

しかしながら、業種や職種によっては依然として長時間労働が常在化しているケースもあり、すべての労働者が均等に恩恵を受けているわけではないため、業界や企業選びは重要であると言えるでしょう。

若年層を中心とした意識の変化

働き方に対する意識は若年層を中心に大きく変化しています。

従来は「長時間働くことで、評価される」といった価値観が根強く存在していましたが、近年では仕事だけでなく、自分の時間や家族との関係、趣味や健康といったプライベートの充実を重視する風潮が広がってきました。

20代の労働者にとって、仕事はあくまで人生の1つの要素として捉える価値観が一般的になりつつあります。

実際、2000年には平均46.4時間働いていた20代男性も、2023年には38.1時間にまで労働時間を減少させており、データからもその変化は明確です。

キャリアの積み方が多様化する中で、若い世代は自分にとって無理のない働き方や自分らしい生き方を選ぶことに価値を見出しているのです。

課題

ワークライフバランスを実現するにあたっては、いくつか課題が存在します。

以下の課題を理解しておけば、あなたが受ける企業がこれらの課題をクリアできているかについて考えることができます。

隠れたブラック企業をあぶり出すためにも、ぜひ以下の3つは理解しておいてください。

課題
  • 企業文化と経営層の意識
  • 導入コストと制度整備の難しさ
  • 男女間の役割分担と育児支援の不足

企業文化と経営層の意識

ワークライフバランスを実現する上で最も根深い課題の1つとして、企業文化と経営層の意識が挙げられます。

多くの企業ではいまだに「長時間働くことが努力の証、やる気の現れ」とみなす風土が残っており、労働時間が短いことに対して罪悪感を抱くような空気も存在しています。

特に、管理職や経営層といった比較的年齢の高い人物がその価値観を維持し続けている場合、制度だけを導入しても現場には浸透せず、社員が安心して利用できないのです。

また、出社時間が評価対象となっている企業では、効率的に働くよりも長く会社にいることが評価される傾向が残り、ワークライフバランスとは完全に矛盾しています。

こうした会社では時短勤務やリモートワークといった制度を活用した社員が評価を下げられてしまう可能性もあるでしょう。

導入コストと制度整備の難しさ

ワークライフバランスを実現するためには制度そのものを整えることが必要不可欠ですが、その過程には多くの課題が伴います。

テレワークやフレックス制度を導入する場合、業務の進捗を可視化するためのITツールの導入、セキュリティ対策の強化、労務管理体制の見直しといった取り組みが求められます。

これらには相応の初期費用や運用コストが発生し、特に資金や人材に余裕のない中小企業では負担が大きく、制度整備が進みにくい状況にあります。

制度を有効に機能させるためには業務プロセス全体を見直したうえで、具体的な運用フローやトラブル時の対応ルールなどを明確化し、社内に周知徹底することが求められるからです。

男女間の役割分担と育児支援の不足

もう1つの大きな課題として、男女間の役割分担の偏りと育児支援体制の不十分さが挙げられます。

日本では「家事や育児は女性が担うべき」という意識がいまだに根強く、男性の育児休暇取得率は非常に低水準です。

たとえ制度が存在していたとしても、職場の雰囲気や上司の理解不足により、男性が育児のために休暇を取得することに心理的なハードルを感じているケースも多いです。

いざ育休を取ったとしても、嫌味を言われることもあるでしょう。

女性が出産や育児のタイミングでキャリアを中断せざるを得ないことが多く、キャリア形成を妨げる要因となっています。

したがって、男性も家庭に関わることが当たり前とされる社会的風土の醸成や、誰もが安心して仕事と家庭を両立できる制度設計が求められます。

ワークライフバランスを実践している企業例10選

ワークライフバランスを意識して実現できている企業にはどのようなものがあるのかについて、特に皆さんが知っているであろう大企業の中から紹介します。

以下の10社はほとんど皆さんも名前を聞いたことがあるでしょうが、どのような取り組みをしているかについてはまだ理解できていないはずです。

そこで、どのようなワークライフバランスに関する取り組みをしているのか、確認しておきましょう。

実施している企業例10選
  • トヨタ自動車

  • 日立製作所

  • 味の素

  • 資生堂

  • リクルートホールディングス

  • KDDI

  • Panasonic

  • NRI

  • 富士通

  • ユニリーバ・ジャパン

ワークライフバランス重視の企業に就職するメリット

ワークライフバランスを重視している企業に就職するとどのようなメリットが享受できるのかについても、理解を深めておきましょう。

メリットとデメリットを理解した上で、自分は特に意識していない企業に就職するのか、ワークライフバランスを重視している企業に就職するか、検討してみてください。

メリット
  • 心身の健康を保てる
  • 生産性が上がる
  • 離職率の低下・人材の定着

心身の健康を保てる

ワークライフバランスを重視している企業に就職する最大のメリットの1つは、心身の健康を維持しやすい環境で働けることです。

長時間労働を強いられる環境が常態化している職場では慢性的な疲労やストレスが蓄積し、体を壊すだけでなく、心の問題まで引き起こしてしまう可能性があります。

休息や私生活の時間を確保できれば、仕事以外の時間でリフレッシュし、家族や友人と過ごすこともできるため、精神的には安定した状態を保ちやすくなります。

健康的な生活リズムを維持することで、集中力や判断力も高まり、仕事への前向きな姿勢にもつながることでしょう。

また、企業によってはメンタルケアの専門窓口やカウンセリング制度などを整備している場合もあり、働く上での不安を抱え込まずに相談できる体制が整っているのも大きな魅力です。

生産性が上がる

ワークライフバランスを大切にする企業では長時間働くことが美徳とされておらず、限られた時間で成果を上げることが重視されています。

したがって、社員一人ひとりが時間の使い方に対して意欲的になり、より効率的に仕事を進めようとする姿勢が自然と生まれるのです。

だらだらと業務に時間をかけるのではなく、業務の優先順位を見極め、集中すべきポイントを明確にして働くことで、生産性の高い働き方が実現されます。

また、定時で帰ることが前提となっている環境では会議の時間を短縮したり、業務フローの無駄を削減したりする工夫を皆が行っているため、組織全体としても効率化が進みます。

離職率の低下・人材の定着

ワークライフバランスを重視する企業は社員が安心して働き続けられる環境が整っているため、離職率が低く、人材の定着率が高い傾向にあります。

働く環境に不満が少なく、自分の生活や価値観と仕事がうまく両立できていると感じられるならば、特に辞める理由がないからです。

反対に、負担が大きく、柔軟性がない職場では体調を崩したり、家庭との両立が難しくなったりするため、早期退職や転職を選択せざるを得ない人も少なくありません。

離職率が高い企業ではその都度人材の補充や教育にコストがかかり、組織の安定性にも悪影響を及ぼします。

その点、社員が長く定着する企業で長く働ければ、業務の引き継ぎやチームの連携もスムーズであり、職場全体に落ち着きと信頼関係が生まれることが多いです。

ワークライフバランス重視の企業に就職するデメリット

ワークライフバランス重視の企業に就職するにあたっては、当然ながらデメリットも存在します。

特に体力やメンタルの強さに自信があり「残業や休日出勤があっても、全く気にならない」という人は、以下のようなデメリットを感じる可能性が高いでしょう。

全ての人にワークライフバランス重視の企業が合致するわけではありませんから、ぜひ確認しておいてください。

デメリット
  • 業務量とのギャップが生じやすい
  • 評価の不公平感が生まれる可能性
  • 社内コミュニケーションが減ることも

業務量とのギャップが生じやすい

ワークライフバランスを重視する企業においては、定時退勤の徹底や残業削減といった時間的な制限が意識されやすくなります。

しかし、業務量が従来通り、あるいはそれ以上ある場合には、かえって負担が大きくなることもあります。

特に繁忙期などは「限られた時間内で全てを完了させなければならない」というプレッシャーが強まり、精神的な疲労感が増すケースも少なくありません。

また、ワークライフバランスを推進しているように見えたとしても、仕事の割り振りや体制が追いついていない企業では、社員がタイムカードを切るだけ切って職場に残ったり、昼休みを削って作業したりすることも少なくありません。

「表面上の労働時間は短いが、仕事の密度が高すぎる」と感じ、むしろ働きづらく感じる可能性もあるため、実情を把握することが大切です。

評価の不公平感が生まれる可能性

ワークライフバランスに配慮した制度がある企業では時短勤務やフレックスタイム、在宅勤務といった働き方を選択できる場合もあります。

しかし、勤務時間や働く場所が異なる社員同士で評価に対する不公平感が生じることがあります。

短時間勤務を選択している人が成果を上げていたとしても、同僚や上司からは「フルタイム勤務に比べてサボっている」とみなされ、正当に評価されないケースもあるのです。

また、物理的にオフィスにいないため、成果が見えづらく、アピールの機会が減ったりすることもあり、昇進や昇給のチャンスに不平等感が生まれやすくなります。

評価制度が成果主義だったとしても、目に見える働き方が重視されてしまう企業文化が残っている場合は昇進に響くこともあるでしょう。

社内コミュニケーションが減ることも

テレワークや時差勤務などの柔軟な働き方が普及しすぎてしまうと、社員同士の勤務時間や勤務場所が大きく異なるようになります。

その結果、これまで対面で行われていた会話や、チャットや電話をするほどではない雑談、相談といった非公式なコミュニケーションが減少し、職場での一体感や連携が弱まるという課題が浮上します。

特に新人や異動してきた社員にとっては既存メンバーとの信頼関係を築く機会が限られ、孤立感を覚えてしまう環境になってしまうことも多いです。

したがって、柔軟な働き方を実現しつつも、やり取りがしっかりと行われている企業かを確認することが大切です。

ワークライフバランスを重視するときに見るべきポイント6選

ワークライフバランスを重視する時に見るべきポイントについても、理解を深めておきましょう。

以下の6つを理解しておけば、あなたが就職を検討している企業が本当にワークライフバランスを重視できているかについて、判断しやすくなります。

ポイント6選
  • 労働時間・残業の実態
  • 有給休暇の取得率と取得しやすさ
  • 柔軟な働き方の導入
  • 育児・介護などライフイベントへの支援制度
  • 職場の価値観・カルチャー
  • 制度を使えている実績があるか

労働時間・残業の実態

ワークライフバランスを重視して企業を選ぶ際、まず注目すべきなのは実際の労働時間です。

「残業少なめ、月平均20時間以内」と記載されていたとしても、それが事実とは限りません。

繁忙期は非常に残業が多く、先輩より先に帰ると怒られるといったケースも依然として存在します。

したがって、ネットの情報だけで判断せず、実際に訪問したり、企業の口コミサイトを活用したりして、現場での声に耳を傾けましょう。

「募集要項に本当のことが書かれているか」「ノー残業デーが形骸化していないか」「休みの日や退勤後に平気で連絡をしてくる同僚・上司がいないか」などは、必ず確認しておいた方が良いです。

また、平均残業時間が20時間未満であれば、プライベートの時間も十分に確保できるとされているため、1つの目安として意識しておくと良いでしょう。

有給休暇の取得率と取得しやすさ

有給休暇が存在していたとしても、その取得率が低ければ何の意味もありません。

法律で定められた権利であるにもかかわらず、企業によっては取得できない雰囲気が残っている場合もあります。

取得することで嫌味を言われたり、結局業務のしわ寄せが発生したりするならば、それは存在しないも同然です。

理想は誰もが気兼ねなく休暇を取得でき、かつ周囲もそれを当然と受け止める文化が根付いている企業です。

上司が積極的に休暇を取っていたり、同僚が長期休暇を利用してリフレッシュしたりしている実績があるならば、その企業では制度が形だけでなく、実際に機能している可能性が高いと言えるでしょう。

柔軟な働き方の導入

働く場所や時間に制限されない柔軟な働き方が可能かどうかは、ワークライフバランスを意識した就活において最も重要な視点の1つです。

多くの企業がテレワーク、フレックスタイム制度、時差出勤制度などを導入していますが、大切なのは制度があるかどうかではなく、実際に使われているかどうかです。

制度が存在していても、現場での運用が進んでいなかったり、利用に対して無言のプレッシャーがあったりすれば、柔軟性は期待できません。

また、部署や職種によっては制度の適用範囲が異なるケースもあるため、自分が希望する業務内容に対して、柔軟な働き方が本当に適用可能かどうかを確認する必要があります。

企業説明会や面接時に具体的な活用事例や運用ルールを質問してみると、制度の定着度がわかるでしょう。

育児・介護などライフイベントへの支援制度

ワークライフバランスを重視する上で、将来的なライフイベントへの支援制度がどれだけ整っているかも重要な視点です。

育児休業や介護休業といった制度があることは前提として、その制度が機能しているか、社員が安心して利用できる雰囲気があるかも確認しましょう。

特に注目したいのが、男性社員の育児休業取得実績です。

制度としては整っていても、男性が取りづらい空気が残っている職場は「誰もが平等に家庭と向き合える環境」とは言えません。

これは女性が企業選びをする際にも重要な要素です。

直接的な関係はないかもしれませんが「育児休暇を取得している男性がいるか」は、その企業の実情を把握する大きな指針となり得ます。

職場の価値観・カルチャー

企業選びにおいて制度の整備状況と同様に重要なのが、職場に根付いている価値観や文化です。

制度が充実していても、職場でその制度が使われていなかったり、利用すれば評価が下がったりする風潮がある場合、それは働きやすい環境では全くありません。

「仕事最優先」「残業して当然」といった価値観が根強く残っている企業もあり、そのような風土ではワークライフバランスを実現することは、到底期待できません。

特に「社員がどのようにプライベートと向き合っているか」「自分の生活を大切にできているか」といった点は、OB訪問などで聞いてみると良いです。

少なくとも「土日も休みなく働いている」などと自信満々に言う社員がいる場合は、到底ワークライフバランスの取れた環境は期待できないでしょう。

制度を使えている実績があるか

制度が整っているかどうかを確認するだけでは、働きやすさを十分に見極めることは不可能です。

重要なのは制度が「実際に使われている実績があるか」です。

何度も言うように「制度があること」と「実際に使われているかどうか」は全く異なります。

使いにくい雰囲気がある場合は制度があっても名ばかりになってしまいますし、本当の意味でのワークライフバランスの実現は難しいです。

企業説明会やOB訪問などで「実際に何割の社員がその制度を利用しているか」「制度を使った後にどのような評価を受けているか」などを質問することを心がけましょう。

エージェントを利用しよう!

ここまでワークライフバランスを重視している企業の代表例や特徴などについて詳しく紹介しましたが、就職するまでは完全に判断するのが難しい場合も多いでしょう。

そこで、おすすめなのは就活エージェントを活用することです。

特に弊社は複数の企業とのパイプがあり、実際にどのような企業運営がされているのかについて情報を提供できることも少なくありません。

「ジョブコミット」というサービスに登録していただければ、面談で気になる企業についての情報も提供できます。

また、ES作成や面接練習など、企業別の対策も徹底的にお付き合いしますので、気になる方はぜひ以下のリンクから登録してみてください。

もちろん、完全無料で利用できます。

まとめ

今回はワークライフバランスを重視している企業の特徴や代表例、実際にワークライフバランスを意識できている企業を見分けるためのポイントなどについて詳しく紹介しました。

ワークライフバランスが叫ばれるようになっている昨今、極端なブラック企業は減少しつつあります。

しかし「絶滅した」というわけでもないため、この記事を参考に、あなたに合っている、働きやすい企業が何か探してみてください。

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