【企業例20選】実力主義とは？導入の背景やメリット・デメリットを徹底解説！

実力主義の​定義

実力主義は、年齢や学歴、勤続年数といった要素ではなく、個人の能力や仕事の成果を最も重要な評価基準とする考え方です。

このシステムでは、社員は明確な目標を達成したり、革新的なアイデアを出したり、組織に貢献したりした度合いに応じて報酬や昇進の機会を得ます。

そのため、社員は自身のスキルを磨き、高いパフォーマンスを発揮することで、より良いキャリアを築くことが可能です。

会社側にとっては、優秀な人材が評価されやすくなり、組織全体の生産性や競争力の向上につながるメリットがあります。

一方で、常に高い成果を求められるため、社員間に過度な競争を生んだり、チームワークを損なう可能性もはらんでいます。

実力主義と​その​他の​制度の​違い

実力主義と意味が似た言葉が、多く存在します。

ここでは、実力主義と​その​他の​制度の​違いを詳しく解説します。

年功序列

年功序列は、年齢や勤続年数に応じて昇進や給与が決まる制度です。

実力主義が個人の成果や能力を最優先するのに対し、年功序列は会社への貢献期間や経験を重んじます。

この制度では、長く会社に勤めるほど待遇が良くなるため、社員の定着率が高くなりやすいです。

しかし、優秀な若手社員のモチベーションが低下したり、能力の低いベテラン社員が不当に高い報酬を得る可能性がある点が実力主義との大きな違いです。

結果主義

結果主義は、最終的な成果や数値目標の達成度のみを評価する制度です。

実力主義が能力そのものを評価するのに対し、結果主義はプロセスや努力をほとんど考慮しません。

例えば、高い営業成績を上げた社員は高く評価されますが、その過程でどれだけ工夫したか、どれだけ努力したかは評価の対象外となることが多いです。

そのため、結果が全てという厳しい側面があり、成果を出しにくい部署や職種では評価が難しくなるという課題があります。

職務主義

職務主義は、個々の職務内容や責任範囲の難易度に基づいて評価する制度です。

実力主義が個人の能力や成果を評価するのに対し、職務主義は「どのような仕事をするか」を評価の基準とします。

同じ役職でも、より責任が重い、あるいは専門性が高い職務を担当している人の方が、高い給与や等級が与えられます。

これにより、担当する仕事が明確になり、公平性を保ちやすい一方、仕事の枠を超えた貢献やチームワークが評価されにくいという特徴があります。

実力主義が​導入された背景

実力主義は、社会や経済の変化に対応するため、多くの企業で導入されてきました。

従来の制度では対応しきれない課題を解決する目的があります。

コスト削減の必要性

実力主義が導入された背景の一つに、人件費を効率化したいという企業の思惑があります。

高度経済成長期に主流だった年功序列制度は、社員の年齢や勤続年数に応じて給与が自動的に上昇するため、人件費が膨らむ傾向がありました。

バブル崩壊後の経済停滞期には、企業は成長が鈍化する中で、高騰する人件費を抑える必要に迫られました。

そこで、個人の成果に応じた給与体系である実力主義を導入することで、生産性の低い社員への支払いを抑制し、組織全体のコストを最適化しようとしました。

働き方の多様化

終身雇用制度が前提ではない働き方が広まったことも、実力主義が導入された大きな要因です。

正社員として同じ会社に定年まで勤め続けるという考え方が薄れ、転職が一般化しました。

また、フリーランスや副業など、一つの会社に縛られない働き方も増えています。

こうした変化の中で、企業は社員を単なる「労働力」としてではなく、高度な専門スキルや能力を持つ「プロフェッショナル」として捉える必要が出てきました。

そのため、個々の能力や成果を正当に評価できる実力主義が、こうした多様な働き方に対応する仕組みとして有効だと考えられました。

グローバル化

国際競争の激化も、実力主義が導入された重要な背景です。

日本の企業は、グローバル市場で戦う際、欧米の企業と競争することになりますが、欧米では成果を重視する文化が根付いています。

日本企業が国際的な市場で競争力を維持・向上させるためには、社員のモチベーションやパフォーマンスを最大限に引き出す必要がありました。

そこで、年功序列のような画一的な評価制度から脱却し、個人の能力や成果がダイレクトに評価される実力主義を導入することで、組織全体の競争力を強化しようとしました。

実力主義が強いといわれる企業20選

実力主義が強いといわれる企業として、どのような企業が挙げられるでしょうか。

ここでは、実力主義が強いといわれる有名企業20社を紹介します。

プルデンシャル生命保険

プルデンシャル生命保険は、個人が成果を出すことを徹底的に追求する文化で知られています。

特にライフプランナーと呼ばれる営業職では、年齢や入社時期に関係なく、契約獲得数や成績が直接的に報酬や昇進に反映されます。

社員は、自身の営業力や顧客開拓能力を磨き、高い成果を上げれば上げるほど、高収入を得ることが可能です。

この成果主義の姿勢は、社員一人ひとりが自律的に高い目標に向かう強い動機付けとなり、組織全体の競争力を高めています。

リクルート

リクルートは、年次や経験にかかわらず、個人の成果や能力を重視する風土が根付いています。

特に「圧倒的当事者意識」という考え方が浸透しており、社員は自ら目標を設定し、その達成に向けて主体的に動くことが求められます。

新規事業の提案や挑戦的なプロジェクトへの参加機会も多く、そこで成果を出せば若手でも重要なポジションを任されることが珍しくありません。

このような評価制度が、社員の成長を促し、新しい価値を生み出し続ける原動力となっています。

キーエンス

キーエンスは、徹底した成果主義と透明性の高い評価制度で知られています。

社員の給与は、個人の営業成績や会社全体の業績に連動して決まるため、成果を出せば出すほど高い報酬を得ることができます。

また、社員のパフォーマンスは細かく数値化され、誰もが公正に評価される仕組みになっています。

このような実力主義の制度が、社員一人ひとりの生産性を最大限に引き出し、企業の高い利益率を支えています。

日本M&Aセンター

日本M&Aセンターは、成果に直結するインセンティブ制度を導入しており、実力主義が色濃く反映されています。

M&Aの成約件数や金額に応じて、社員に高額な報酬が支払われる仕組みです。

個人の能力や実績が明確に評価されるため、社員のモチベーションは非常に高く保たれています。

この厳しい競争環境が、社員の専門性を高め、会社の急成長を支える大きな要因となっています。

外資系コンサルティング会社

外資系コンサルティング会社は、成果や能力がすべてを左右する究極の実力主義の世界です。

プロジェクトごとに厳しいパフォーマンス評価が行われ、結果を出せない社員は昇進が難しくなるだけでなく、退職を促されることもあります。

一方で、高い専門性と成果を出せば、若手でも短期間でマネージャーやパートナーといった重要なポジションに就くことが可能です。

この文化は、常に高いレベルのプロフェッショナルが求められるコンサルティング業界の特性を反映しています。

外資系金融機関

外資系金融機関では、個人の成果が給与やボーナスに直接的に反映される制度が一般的です。

特に投資銀行部門やトレーディング部門などでは、担当する案件の成約額やマーケットでの収益が、社員の評価と報酬を決定します。

年功序列のような概念はほとんどなく、入社数年の若手でも、実績を上げれば年収数千万円を稼ぐことが可能です。

この徹底した成果主義が、高いプロ意識とパフォーマンスを社員に求めています。

野村證券

野村證券は、日本の金融機関の中でも特に実力主義の傾向が強いことで知られています。

特に営業部門では、個人の営業成績が昇進や給与に大きく影響します。

明確な目標設定と達成度が評価の基準となり、成果を上げれば若手でもチームリーダーなどの重要な役職に抜擢される機会があります。

この競争的な環境が、社員の営業スキルや顧客開拓能力を向上させ、会社の収益力に貢献しています。

ソフトバンク

ソフトバンクは、孫正義氏が掲げる「情報革命で人々を幸せに」というビジョンのもと、年次や経験よりも、挑戦心や成果を重んじる文化があります。

社員は、事業の成長に直結する成果を出すことが求められ、実績を上げれば年齢に関係なく、重要なポジションを任されます。

特に新規事業や大胆な投資判断では、個々の能力と実行力が試される場面が多く、その結果が正当に評価される仕組みが根付いています。

サイバーエージェント

サイバーエージェントは、成果を公平に評価し、若手の抜擢を積極的に行う文化を持っています。

「目標評価制度」や「スタープレイヤー制度」など、個人の能力や成果を可視化する独自の評価制度を設けています。

また、新卒社員でも新規事業の責任者を任されるなど、年齢に関係なく能力の高い人材には挑戦の機会が与えられます。

こうした実力主義の仕組みが、社員の成長を加速させ、組織のイノベーションを生み出しています。

DeNA

DeNAは、成果に対する徹底したこだわりを持つ企業です。

エンジニアやビジネス職など、職種を問わず、個人の目標達成度やプロジェクトへの貢献度が評価の重要な基準となります。

新しい技術や事業に積極的に挑戦する姿勢が求められ、その結果が評価に直結します。

成果を出した社員には、高い報酬やキャリアアップの機会が与えられます。

この制度が、社員の専門性を高め、会社の成長を支えています。

メルカリ

メルカリは、年齢や入社年次に関係なく、個人の能力や成果を最優先する文化が根付いています。

「Go Bold（大胆にやろう）」という行動指針に代表されるように、社員は失敗を恐れずに新しい挑戦をすることが奨励されます。

その挑戦の成果が正当に評価され、貢献度に応じて報酬やキャリアアップの機会が与えられます。

また、職種間の垣根が低く、誰もが発言し、意見を提案できるフラットな組織構造も、実力主義を後押ししています。

楽天

楽天は、徹底した成果主義の文化を持つことで知られています。

特にエンジニアや営業職など、数値で成果が見えやすい職種では、個人のパフォーマンスが評価に大きく影響します。

また、社内公募制度も盛んで、経験や年次に関係なく、自らのスキルを活かして新しい部署や職務に挑戦できる機会が豊富にあります。

こうした制度が、社員一人ひとりの成長を促し、組織全体の活力を生み出しています。

パーソルキャリア

パーソルキャリアは、個人の営業成績や実績が評価に直結する仕組みが特徴です。

特に人材紹介や求人広告の営業職では、担当した案件の成約数や貢献度によって、給与やボーナスが大きく変動します。

この成果主義の文化が、社員のモチベーションを高く保ち、顧客満足度や会社の収益向上につながっています。

また、明確な評価基準があるため、社員は目標達成に向けて自律的に行動することができます。

ワークスアプリケーションズ

ワークスアプリケーションズは、「能力主義」を明確に打ち出していることで知られています。

年齢や学歴、国籍に関係なく、個人の能力と貢献度に基づいて評価や報酬が決まります。

特に、独自の評価指標である「成長度評価」は、社員の能力向上を客観的に測る仕組みとして機能しています。

この制度が、社員のスキルアップを促し、高度な専門性が求められる企業向けソフトウェア開発において、高い競争力を維持しています。

ビズリーチ

ビズリーチは、成果主義と個人の主体性を重んじる文化が根付いています。

特に営業職では、成果に応じたインセンティブ制度が明確に設定されており、個人の頑張りが直接収入に反映されます。

また、新規事業の立ち上げなど、社員が自ら手を挙げて挑戦できる機会も豊富にあります。

このような環境が、社員の成長意欲を刺激し、会社の急成長を支える要因となっています。

オープンハウス

オープンハウスは、個人の営業成績が報酬や昇進に直結する、徹底した実力主義の企業です。

住宅販売という成果が数値で明確に示されるため、年齢や入社年次に関係なく、トップセールスは高収入を得ることができます。

新卒入社数年で役職に就くことも珍しくなく、個人の努力と才能が正当に評価される環境が整備されています。

この厳しい競争環境が、社員の成長を促し、会社の急拡大を支えています。

光通信

光通信は、徹底的な成果主義で知られています。

営業職では、個人の営業成績がダイレクトに給与や昇進に反映される仕組みです。

年功序列の概念はほとんどなく、成果を上げれば若手でも重要なポストを任されることが一般的です。

この文化は、社員に常に高い目標設定と達成を求めるため、非常に競争的です。

その一方で、個人の頑張りが正当に評価されるというメリットもあります。

三井物産

三井物産は、総合商社の中でも成果を重視する傾向が強く、個人のパフォーマンス評価がボーナスや昇進に大きく影響します。

特に若手のうちから海外勤務や大型プロジェクトを任される機会が多く、そこで実績を出すことがキャリアアップの鍵となります。

年功序列的な側面も残る一方で、近年はより個人の能力や挑戦を評価する仕組みが強まっています。

三菱商事

三菱商事も、伝統的な年功序列の要素を持ちつつ、個人の成果をより重視する方向にシフトしています。

特に若手社員には、積極的に挑戦的な仕事を任せ、その結果を評価に反映させる傾向が強まっています。

個人の能力や実績が、部門内の評価やキャリアパスに影響する度合いが高まっており、社員の自律的な成長を促す環境が整備されています。

伊藤忠商事

伊藤忠商事は、「朝型勤務制度」など独自の働き方改革を推進する一方で、個人の成果を重んじる文化が根付いています。

特に若手のうちから裁量権のある仕事を任せ、個人の能力や実績を評価する仕組みが強まっています。

年功序列に頼らない評価制度が導入され、個人の貢献度が給与やキャリアアップにダイレクトに反映されるようになっています。

【企業編】実力主義を​導入する​メリット

企業が実力主義を導入するメリットは多くあります。

ここでは、企業が実力主義を導入するメリットを詳しく解説します。

優秀な人材の確保

実力主義を導入することで、企業は優秀な人材を惹きつけ、引き留めることができます。

個人の能力や成果が正当に評価され、高い報酬や昇進の機会に直結するため、スキルアップやキャリアアップを目指す意欲的な人々が集まりやすくなります。

年功序列のような画一的な制度では、能力のある若手社員が正当に評価されず、モチベーションを失いかねません。

しかし、実力主義では、実績を上げれば年齢に関係なく高い評価を得られるため、社員の満足度が高まり、離職率の低下にもつながります。

生産性の向上

実力主義は、社員一人ひとりの生産性を向上させる効果があります。

評価や報酬が成果に直結するため、社員は明確な目標を持って仕事に取り組み、より高いパフォーマンスを目指すようになります。

この競争的な環境が、組織全体の活力を高め、停滞を防ぎます。

また、新しいアイデアや挑戦的なプロジェクトへの意欲が高まり、組織全体のイノベーションを促進する効果も期待できます。

結果的に、企業の競争力強化につながります。

公正で透明性の高い評価

実力主義は、社員の評価を公平で透明性の高いものにします。

年齢や入社時期といった要素ではなく、仕事の成果や能力といった客観的な基準で評価されるため、社員は評価に納得しやすくなります。

この透明性が、社員の信頼感を高め、組織へのエンゲージメントを強化します。

評価基準が明確であることは、社員が自身のキャリアパスを計画する上でも役立ち、個人の成長を促す土壌となります。

組織コストの最適化

実力主義は、組織における人件費の最適化に貢献します。

年功序列制度では、社員の勤続年数が長くなるにつれて給与が自動的に上昇するため、生産性と人件費が必ずしも一致しません。

一方、実力主義では、成果に見合った報酬を支払うため、生産性の低い社員への支払いを抑えることができます。

これにより、人件費を効率的に配分し、企業はより多くの資金を成長分野や投資に回すことが可能となります。

【企業編】​実力主義を​導入する​デメリット

反対に、企業が実力主義を導入するデメリットとして、どのようなことが挙げられるのでしょうか。

ここでは、企業が実力主義を導入するデメリットを詳しく解説します。

社員間の過度な競争

実力主義を過度に追求すると、社員間の競争が激化し、協力や協調性が失われる可能性があります。

個人の成果が直接評価に結びつくため、チーム全体で目標を達成するよりも、個人の成績を優先する意識が強まりかねません。

その結果、情報共有が滞ったり、互いに助け合う文化が薄れたりすることで、組織としての連携が弱まり、最終的にはチーム全体のパフォーマンスが低下する恐れがあります。

短期的な成果の追求

実力主義は、短期的な成果を重視する傾向があります。

評価期間ごとに明確な数字を求められるため、社員は長期的な視点での事業育成や顧客との関係構築よりも、目の前の目標達成に集中しがちです。

これにより、目先の利益を優先するあまり、将来の企業の成長に不可欠な研究開発や人材育成への投資が軽視される可能性があります。

また、持続的な成長に必要な、地道な努力やイノベーションが評価されにくくなる恐れもあります。

正当な評価が難しい場合がある

すべての職種が、実力主義の評価基準に馴染むわけではありません。

たとえば、人事や総務、研究開発といった成果が数値化しにくい職種では、個人の貢献度を客観的に評価することが困難です。

このような部署の社員は、自身の努力が正当に評価されていないと感じ、モチベーションを失いやすくなります。

結果として、組織全体の士気が低下し、部署間の協力関係も損なわれる可能性があります。

離職率の上昇

実力主義は、常に高い成果を求められるため、社員に大きなプレッシャーとストレスを与えます。

成果が出せない社員は、自己肯定感を失い、精神的な負担を感じやすくなります。

また、評価が直接的に収入に反映されるため、生活への不安も増大しかねません。

このような状況が続くと、心身の健康を損なったり、燃え尽き症候群を引き起こしたりするリスクが高まります。

結果として、離職率の上昇を招く可能性があります。

【社員編】実力主義の​企業で​働く​メリット

実力主義の企業で働くことは、社員にとって大きなメリットをもたらします。

個人の努力や能力が報われる環境で働くことは、多くの利点につながります。

キャリアアップの機会

実力主義の企業では、個人の能力や成果が評価の基準となるため、社員は自身のスキルを磨くモチベーションが高まります。

年功序列のように勤続年数を待つ必要がなく、実績を上げれば若手でも重要なプロジェクトを任されたり、責任あるポジションに就いたりすることができます。

この環境は、自律的な学習や成長を促し、短期間でのキャリアアップを可能にします。

また、自分の努力次第でキャリアを切り開けるという実感が、仕事へのやりがいをさらに高めます。

高い報酬を得る可能性

実力主義の最大のメリットは、個人の成果が報酬に直接反映される点です。

特に営業職や専門職など、成果が数値化しやすい職種では、目標を達成したり、期待を上回る結果を出したりすることで、年齢や経験に関係なく高額なボーナスやインセンティブを得ることができます。

これは、自分の努力が正当に評価され、金銭的な形で報われるという強い動機付けになります。

自分の頑張りが収入に直結する環境は、仕事への集中力を高め、パフォーマンスの向上にもつながります。

公正で透明性の高い評価

実力主義の企業では、評価の基準が明確で透明性が高いことが多いです。

個人の能力や具体的な成果に基づいて評価されるため、年功序列のような曖昧な評価に不満を感じることが少なくなります。

社員は、何を目指せば良いのか、どうすれば評価されるのかを明確に理解して仕事に取り組むことができます。

このような公正な評価システムは、会社への信頼感を高め、安心して仕事に打ち込める環境を提供します。

自身の市場価値向上

実力主義の環境で成果を出すことは、自身の市場価値を高めることにもつながります。

個人の実績や能力が会社の内外で認められるため、転職する際にも有利になります。

特に、特定の分野で高い実績を残したり、困難なプロジェクトを成功させたりした経験は、他の企業からも高く評価されます。

このような経験は、将来のキャリア選択の幅を広げ、より良い条件での転職や独立の可能性を高めます。

【社員編】実力主義の​企業で​働く​デメリット

実力主義の会社に勤務するデメリットは、どのような点にあるのでしょうか。

ここでは、実力主義の企業で働くデメリットを詳しく解説します。

精神的なプレッシャー

実力主義の企業では、常に高い成果を求められるため、社員は大きなプレッシャーにさらされます。

成果が直接評価や報酬に結びつくため、常に成績を意識しなければならず、精神的な余裕を持ちにくい環境です。

結果が出せない時期が続くと、自身の能力に自信を失い、燃え尽き症候群になるリスクもあります。

また、仕事の成果が不安定な場合、収入も不安定になるため、生活に対する不安を感じやすくなります。

過労のリスク

成果を出すために、多くの社員が長時間労働や過剰な残業を自ら選択する傾向があります。

仕事の進捗や成果が遅れていると感じると、それを挽回しようと無理をしてしまいがちです。

また、他人との競争意識が強いため、他者よりも多くの時間を費やしてでも成果を出そうとします。

これにより、ワークライフバランスが崩れ、健康を損なうリスクが高まります。

チームワークの阻害

実力主義は、個人の成果を重視するあまり、社員間の協力や情報共有が妨げられる可能性があります。

個人の評価が最優先されるため、自分の知識やノウハウを他者に教えることに躊躇したり、チーム全体の目標達成よりも個人の成績を優先する行動が生まれやすくなります。

このような環境では、互いに助け合う文化が育ちにくく、組織としての連携が弱まる恐れがあります。

公正な評価の難しさ

すべての職務が数値で明確に評価できるわけではありません。

顧客との長期的な関係構築や、チーム内の調整役といった成果が目に見えにくい仕事は、正当な評価を受けるのが難しい場合があります。

このような業務を担当する社員は、いくら努力しても報われないと感じ、モチベーションを失う可能性があります。

また、評価者が特定の社員を贔屓するといった不公平な評価が行われるリスクも排除できず、社員の不信感につながる恐れがあります。

実力主義と​相性の​良い仕事・​良くない​仕事

実力主義は、仕事の性質によって向き不向きがあります。

成果が明確に測れる仕事は実力主義と相性が良い一方、チームワークや長期的な視点が求められる仕事には馴染みにくい側面があります。

相性の良い仕事

実力主義と相性が良いのは、個人の成果が数値で明確に示せる仕事です。

例えば、営業職やコンサルタント、不動産販売などがこれにあたります。

これらの仕事では、契約件数や売上高、プロジェクトの成約率といった客観的な指標で個人のパフォーマンスを評価できます。

また、成果が直接的に報酬や昇進に結びつくため、社員の競争意識やモチベーションが高まり、より良い結果を出そうとする意欲が生まれます。

このような環境では、年齢や経験に関係なく、能力のある人材が正当に評価され、早期にキャリアを築くことが可能です。

IT業界のエンジニアやデザイナーも、開発したサービスのダウンロード数やユーザーからの評価など、成果を可視化しやすい点で実力主義に向いていると言えます。

相性の良くない仕事

実力主義と相性が良くないのは、個人の成果を数値化しにくく、チームワークや長期的な視点が不可欠な仕事です。

たとえば、人事や総務、広報といった管理部門の仕事がこれにあたります。

これらの仕事は、組織全体の円滑な運営を支える役割を担っており、その成果は直接的な売上として表れにくいものです。

また、研究開発職では、成果が出るまでに数年かかることも珍しくなく、短期的な評価基準では正当な評価が難しくなります。

さらに、チームで一つの大きなプロジェクトを進める場合、個人の貢献度を切り分けて評価することが困難であり、過度な競争意識がチームワークを阻害する恐れもあります。

このような仕事では、個人の能力だけでなく、チームへの貢献度や協調性といった側面を評価する仕組みがより重要になります。

まとめ

ここまで、実力主義の定義や実力主義が強いといわれている会社、実力主義を導入するメリット・デメリットなどをご紹介しました。

現在実力主義は、多くの会社で導入されていますが、多くのメリットがあるとともにデメリットも存在します。

企業選びの際には、経営は安定しているか、社風が自分に合っているかなどと合わせて、実力主義かも確認してみましょう。

がんばってください！