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はじめに
数ある業界の中で、「リフォーム業界」に興味を持っているけれど、「きつい」「大変そう」といった噂を聞いて不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなリフォーム業界の実態について、仕事内容から「きつい」と言われる理由、そして将来性や向いている人の特徴まで、就活生の皆さんが本当に知りたい情報を分かりやすく解説していきます。
業界研究の一環として、ぜひ最後まで読んでみてください。
【リフォーム業界はきついのか】リフォーム業界はきつい?
「リフォーム業界はきつい」というイメージは、確かによく耳にします。
実際、お客様の大切な住まいを扱う責任の重さ、多様な関係者との調整、時には体力的な負担や不規則な勤務時間も伴うため、決して「楽な仕事」とは言えない側面があります。
しかし、「きつい」と感じるポイントは職種や会社によって様々であり、それ以上に大きなやりがいや達成感を得られる仕事であることも事実です。
ネガティブな情報だけで判断せず、その「きつさ」の正体が何なのかを具体的に理解することが、自分に合う業界かを見極める第一歩になります。
【リフォーム業界はきついのか】リフォーム業界の仕事内容
リフォーム業界と一口に言っても、その仕事内容は非常に多岐にわたります。
お客様の「こうしたい」という夢を形にするためには、様々な専門知識と技術を持ったプロフェッショナルが連携して一つのプロジェクトを進めていく必要があるからです。
単に古いものを新しくするだけでなく、お客様のライフスタイルや将来設計まで考慮した提案が求められる、奥深い世界が広がっています。
この業界の仕事は、お客様の悩みや希望を直接聞き出すところから始まり、それを具体的なプランに落とし込み、職人さんたちと協力して現場を動かし、完成した空間を引き渡すまで、一連の流れ全てに関わっていきます。
それぞれのフェーズで専門家がバトンをつないでいくイメージです。
どの段階で自分の強みを発揮したいかを考えながら、具体的な仕事内容を見ていくと、業界理解がぐっと深まるはずですよ。
顧客ヒアリング・提案
リフォームの仕事は、お客様の話を聞くことから始まります。
「キッチンが使いにくい」「子供が独立したので部屋を改築したい」といった具体的な悩みから、「もっとおしゃれな空間にしたい」という漠然とした要望まで、お客様の言葉にじっくりと耳を傾けます。
重要なのは、お客様自身も気づいていない潜在的なニーズを引き出すことです。
例えば、「使いにくい」という言葉の裏には、動線の問題なのか、収納の問題なのか、複数の原因が隠れている場合があります。
ヒアリングで得た情報をもとに、現地調査(家の採寸や構造の確認)を行い、お客様の予算やライフスタイルに合わせた最適なリフォームプランを作成し、提案します。
単に新しい設備を売るのではなく、リフォーム後の快適な暮らしを具体的にイメージしてもらうことが重要です。
見積書やプランボード、場合によってはCGパースなどを使って、分かりやすく説明する能力が求められます。
お客様の夢を共有し、信頼関係を築く、非常にやりがいのあるスタート地点です。
設計・デザイン
お客様とのヒアリングや現地調査で得た情報をもとに、具体的なリフォームプランを図面やデザインに落とし込んでいくのが、設計・デザインの仕事です。
お客様の要望を叶えることはもちろん、建築基準法などの法律的な制約や、建物の構造的な安全性を考慮しながら、機能性とデザイン性を両立させた空間を創り上げていきます。
キッチンの配置一つとっても、家事動線や家族構成によって最適な答えは異なります。
また、床材、壁紙、照明、カーテンといった内装材(インテリア)の選定も重要な仕事です。
膨大な種類の商材の中から、お客様の好みや予算、空間全体の調和を考えて最適なものを提案します。
インテリアコーディネーターや建築士の資格が活かせる分野でもあります。
お客様の漠然としたイメージを、専門的な知識とセンスで「形」にしていく、クリエイティブな側面が強い仕事と言えるでしょう。
営業担当と同行してお客様に直接提案することもあります。
施工管理
設計・デザインが決まり、契約が成立したら、いよいよ工事が始まります。
施工管理は、その工事が計画通りに、安全かつ高品質に進むように現場全体を管理・監督する仕事です。
いわば**現場の「司令塔」**のような存在です。
具体的には、工事のスケジュール作成と進捗管理、必要な資材の発注、現場で作業する職人さんたちの手配と指示出し、安全管理、品質管理、予算管理など、その業務は多岐にわたります。
リフォーム工事は、お客様が住みながら行われることも多く、近隣への配慮も欠かせません。
また、解体してみて初めて分かる建物の問題(柱の腐食など)に直面することもあり、その都度、設計担当やお客様と協議し、臨機応応変な対応力が求められます。
天候に左右されることもあり、体力的なタフさも必要ですが、多くの職人さんたちと協力して一つの空間を創り上げ、無事に完成させた時の達成感は格別です。
アフターフォロー
リフォームは「工事が終わったら終わり」ではありません。
お客様が実際にその空間で生活を始めてからが、本当のお付き合いの始まりとも言えます。
アフターフォローは、引き渡し後のお客様の暮らしをサポートする重要な仕事です。
**定期的な点検(3ヶ月点検、1年点検など)**に伺い、不具合がないか、使い勝手に困っていることはないかを確認します。
もし、何か問題や不具合が発生した場合は、迅速に対応し、修理の手配などを行います。
こうした誠実なアフターフォローがお客様の安心と満足につながり、「次もこの会社に頼みたい」「知人にも紹介したい」という信頼関係を築いていきます。
お客様と長期的な関係性を築けるため、リピートや紹介といった形で次の仕事につながることも多い、会社の信頼を支える「縁の下の力持ち」的な役割を担っています。
【リフォーム業界はきついのか】リフォーム業界の主な職種
リフォーム業界には、お客様の夢を形にするために、様々な役割を持った職種が存在します。
先ほど紹介した「仕事内容」は、これらの職種が互いに連携し合うことで成り立っています。
例えば、お客様の窓口となる「営業」、形にする「設計」、現場を動かす「施工管理」などが代表的です。
会社によっては、一人の担当者が複数の役割を兼任する場合もあれば、完全に分業制をとっている場合もあります。
自分が将来どのような形でリフォームに関わりたいのか、どのようなスキルを身につけたいのかによって、目指すべき職種も変わってくるでしょう。
各職種がどのような役割を担っているのかを理解することは、企業研究を進める上でも非常に重要です。
ここでは、リフォーム業界の代表的な職種をいくつかご紹介します。
営業・リフォームアドバイザー
リフォーム業界における「営業」は、単に商品を売る仕事ではありません。
「リフォームアドバイザー」や「リフォームプランナー」と呼ばれることも多く、お客様の最も身近な相談相手となります。
主な仕事は、お客様の住まいに関する悩みや要望をヒアリングし、問題解決のための最適なリフォームプランを提案することです。
現地調査、プラン作成、見積もり提示、契約、そして工事中の窓口対応から引き渡しまで、一貫してプロジェクトに関わることが多いのが特徴です。
お客様の夢を形にするプロセスに最初から最後まで関わるため、完成してお客様に喜んでもらえた時のやりがいは非常に大きいでしょう。
一方で、お客様と現場の職人さんとの板挟みになることや、時にはクレーム対応が求められることもあります。
高いコミュニケーション能力と、お客様の課題を深く理解しようとする姿勢が不可欠な職種です。
設計・デザイナー(インテリアコーディネーター含む)
設計・デザイナーは、営業(アドバイザー)がヒアリングしたお客様の要望を、具体的な図面やデザインに落とし込む専門職です。
建築士の資格を持つ人が担当する大規模なリノベーションから、インテリアコーディネーターが内装や家具の選定を行う小規模なリフォームまで、その範囲は幅広いです。
**お客様の漠然としたイメージを、専門知識とデザインセンスで「見える化」**する役割を担います。
CADソフトを使って図面を作成したり、CGパースで完成イメージを分かりやすく提示したりと、専門的なスキルが求められます。
お客様の好みや予算、建物の構造的な制約など、様々な条件の中で最適な答えを導き出す、パズルのような面白さがある仕事です。
デザインやインテリアへの深い興味と、細部までこだわる探求心が求められる職種と言えます。
施工管理(現場監督)
施工管理は、リフォーム工事の現場を取り仕切る「現場監督」です。
工事が計画通りに、安全に、そして高品質に進むように、現場の全てを管理・監督します。
具体的には、工事スケジュールの調整、資材の発注、職人さんの手配と指示出し、安全管理、品質チェック、予算管理など、その業務は多岐にわたります。
リフォームは新築と違い、既存の建物を解体してみて初めて分かる問題に直面することも少なくありません。
そうした予期せぬトラブルにも、冷静に判断し、関係各所と調整しながら対応する力が求められます。
多くの職人さんをまとめるリーダーシップや、体力的なタフさも必要ですが、バラバラだったものが一つの空間として完成していく過程を間近で見られる、モノづくりの醍醐味を最も感じられる職種の一つです。
職人(大工・内装・設備など)
リフォームを実際に「形」にするのが、専門技術を持った職人さんたちです。
大工、左官、塗装、内装(クロス職人)、電気、水道設備など、様々な分野のプロフェッショナルが存在します。
リフォーム会社が自社で職人を雇用している「自社施工」の場合もあれば、外部の協力会社や一人親方に依頼する場合もあります。
高い技術力と経験が求められる、まさに「手に職」の世界です。
新卒でいきなり職人を目指す道もありますが、多くの場合は施工管理として現場を学びながら、適性や希望に応じて専門職の道に進むケースや、関連会社で技術を磨くケースがあります。
お客様の理想の空間を自らの手で創り上げることができる、非常にやりがいのある仕事です。
技術の習得には時間がかかりますが、一度身につければ長く活躍できる強みがあります。
事務・サポート(積算・CADオペレーター含む)
営業や設計、施工管理といった第一線で活躍する人たちを、バックオフィスで支えるのが事務・サポート職です。
電話対応や来客応対、書類作成といった一般的な事務作業に加え、リフォーム業界特有の業務も発生します。
例えば、**工事に必要な材料費や人件費を計算する「積算」業務や、設計士の指示のもとで図面作成ソフト(CAD)を操作する「CADオペレーター」**といった専門的な役割もあります。
これらのサポートがあるからこそ、現場の担当者はお客様対応や現場管理に集中することができます。
直接お客様と接する機会は少なくても、正確な見積もりや図面作成は、リフォームプロジェクトの成功に不可欠です。
縁の下の力持ちとして、チーム全体を支えることにやりがいを感じる人に向いている職種です。
【リフォーム業界はきついのか】リフォーム業界がきついとされる理由
リフォーム業界に「きつい」というイメージがあるのには、いくつかの具体的な理由が挙げられます。
お客様の「夢」を形にするやりがいのある仕事である反面、その実現プロセスには様々な困難が伴うことも事実です。
例えば、お客様の大切な資産である「住まい」を扱うため、失敗が許されないというプレッシャーは常にあります。
また、リフォームは「人」が関わる仕事です。
お客様、職人さん、設計担当、営業担当など、多様な立場の人々の間に立ち、調整役を担う場面が非常に多く、それが精神的な負担になることもあります。
こうした「きつさ」の正体を具体的に知っておくことは、入社後のミスマッチを防ぐために非常に重要です。
ここでは、代表的な「きつい」とされる理由を見ていきましょう。
顧客対応の難しさ・クレーム
リフォームは、お客様にとって人生で何度も経験するものではない、非常に大きな買い物です。
そのため、お客様の期待値やこだわりも当然高くなります。
営業や施工管理は、その高い期待に応えるために、お客様と密にコミュニケーションを取る必要があります。
しかし、お客様のイメージと実際の仕上がりにズレが生じてしまったり、工事中に予期せぬトラブルが発生したりすると、それがクレームにつながることがあります。
「思っていた色と違う」「工事の音がうるさい」「対応が遅い」など、クレームの内容は様々です。
こうした声に真摯に向き合い、誠実に対応する精神的なタフさが求められます。
お客様の要望が途中で変わることも多く、その都度、プランや見積もりの修正に追われることも、大変さの一因と言えるでしょう。
労働時間・休日の不規則さ
リフォーム業界、特に営業職や施工管理職は、お客様の都合に合わせて動くことが基本となります。
お客様は土日や祝日に休みを取っていることが多いため、打ち合わせや現地調査が土日に集中しがちです。
そのため、必然的に「火曜・水曜休み」など、平日に休みを設定している会社が多くなります。
友人や家族と休みを合わせにくい点は、人によっては「きつい」と感じるポイントでしょう。
また、工事が始まれば、現場の進捗確認やトラブル対応で朝早くから夜遅くまで働くことも珍しくありません。
工期が迫っている時や繁忙期は、残業時間が増える傾向にあります。
近年は働き方改革を進める企業も増えていますが、業界全体として見ると、まだ労働時間の管理が課題となっている側面もあります。
体力的な負担
特に施工管理や職人は、体力的な負担が大きくなります。
施工管理は、工事現場をいくつも掛け持ちし、車で移動しながら現場の確認や職人さんへの指示出しを行います。
一日中立ちっぱなし、あるいは歩き回ることも少なくありません。
また、現場では重い資材を運ぶのを手伝ったり、高所や狭い場所での確認作業が発生したりすることもあります。
夏は炎天下、冬は寒空の下での作業も多く、天候や季節に関わらず体調管理を徹底する必要があります。
営業職であっても、現地調査で屋根裏や床下に入ったり、一日中お客様の家を訪問して回ったりと、デスクワークだけではないフットワークの軽さが求められるため、一定の体力は必要と言えるでしょう。
覚えることの多さ(商材・法律)
リフォーム業界は、非常に幅広い知識が求められる世界です。
お客様に最適な提案をするためには、キッチン、バスルーム、トイレといった水回り設備から、床材、壁紙、塗料、サッシ、照明器具まで、膨大な数の商材知識を頭に入れなければなりません。
新商品は次々と発売されるため、常に最新情報をキャッチアップし続ける必要があります。
さらに、建築基準法や消防法、補助金制度など、関連する法律や制度の知識も不可欠です。
特に大規模なリノベーションになればなるほど、法的な制約をクリアしながらプランニングを行う必要があります。
これらの知識は一朝一夕に身につくものではなく、入社後も継続的に勉強し続ける姿勢が求められるため、学習意欲がないと「きつい」と感じるでしょう。
ノルマや数字のプレッシャー(営業職)
営業職、リフォームアドバイザーといった職種の場合、多くの企業で**売上目標(ノルマ)**が設定されています。
お客様の夢を叶えるやりがいのある仕事であると同時に、企業である以上、利益を追求し、契約件数や売上金額といった「数字」で評価される側面もあります。
目標達成へのプレッシャーは、人によっては大きなストレスになるでしょう。
リフォームは高額な契約になることが多く、お客様も慎重に検討するため、すぐに契約が決まるとは限りません。
長期的に関係性を築きながら、信頼を勝ち取っていくプロセスが必要ですが、月々の目標に追われる中で、そのバランスを取るのが難しいと感じる場面もあるかもしれません。
数字を追いかけることに抵抗がある人にとっては、「きつい」と感じやすい部分です。
関係者との調整業務の多さ
リフォームプロジェクトは、一人で完結する仕事ではありません。
お客様はもちろんのこと、設計担当、施工管理、現場の職人さん、資材メーカー、ショールームのスタッフなど、非常に多くの関係者が関わります。
それぞれの立場や専門性が異なるため、全員が同じ方向を向いてプロジェクトを進めるためには、緻密な「調整業務」が不可欠です。
例えば、お客様の要望を職人さんに正確に伝える、職人さんからの技術的な意見を設計にフィードバックする、資材の納期遅れに対してお客様と工期の調整を行うなど、常に誰かと誰かの「間」に立つことになります。
それぞれの意見が対立することもあり、板挟みになって精神的に疲弊してしまうこともあります。
物事を円滑に進めるための高い調整能力とコミュニケーション能力が常に求められる環境です。
リフォーム業界の現状・課題
リフォーム業界について深く知るためには、今この業界がどのような状況にあり、どんな課題を抱えているのかを理解しておくことが重要です。
現在、日本の住宅市場は新築から中古・リフォームへと重点が移りつつあり、リフォーム業界自体は大きな可能性を秘めた成長市場とされています。
しかし、その一方で、昔ながらの体質が残っている部分や、成長市場ならではの課題も存在します。
例えば、テレビCMなどで大手企業が参入している一方で、地域密着の小規模な工務店も多く、競争が激化しているのも現状です。
こうした業界の「今」を知ることで、企業研究の際に「この会社は課題にどう向き合おうとしているか」という視点を持つことができます。
ここでは、主な現状と課題を整理してみましょう。
現状:中古住宅市場の活性化とリフォーム需要の増加
日本では、少子高齢化や人口減少に伴い、新築住宅の着工戸数は長期的に減少傾向にあります。
その一方で、既に建てられた中古住宅(ストック)を活用しようという動きが国全体で進められています。
消費者の意識も「新築」にこだわるだけでなく、中古物件を購入して自分たちのライフスタイルに合わせてリフォーム・リノベーションすることへの関心が高まっています。
さらに、既存の住宅に長く住み続けるために、定期的なメンテナンスや、高齢化に対応したバリアフリー改修、省エネ性能を高めるための断熱リフォームなどの需要も堅調です。
このように、リフォーム市場は単なる「修繕」に留まらず、「より快適な暮らしの実現」や「住宅の資産価値向上」といった多様なニーズに支えられ、今後も拡大が見込まれる成長分野となっています。
課題:人材不足と職人の高齢化
市場が拡大している一方で、リフォーム業界は深刻な**「人材不足」**に直面しています。
「きつい」というイメージが先行していることもあり、特に若手の入職者が少ないことが大きな課題です。
営業や施工管理といった「管理する側」の人材だけでなく、実際に現場で手を動かす「職人さん」の不足と高齢化も深刻です。
高い技術を持ったベテラン職人が引退していく一方で、その技術を受け継ぐ若手が育っていないため、将来的にリフォームの品質を維持できなくなる恐れがあります。
この課題に対し、各企業は労働環境の改善、IT技術の導入による業務効率化、女性や若手が働きやすい職場づくり、技術研修の充実など、様々な取り組みを進めている最中です。
課題:小規模事業者の多さとデジタル化の遅れ
リフォーム業界は、全国展開する大手ハウスメーカー系企業から、地域の工務店、専門工事業者まで、非常に多くの事業者が存在するのが特徴です。
その中でも、従業員数が少ない小規模な事業者が全体の多くを占めています。
小規模であることのフットワークの軽さや地域密着といったメリットがある一方、大手と比べてIT化やデジタル技術の導入が遅れがちな側面があります。
例えば、図面作成や顧客管理、見積もり作成などが未だに手作業や古いシステムで行われている場合、業務効率が悪く、労働時間が長くなる原因にもなり得ます。
業界全体としてデジタル化(DX)を推進し、生産性を向上させていくことが、人材不足を補い、お客様へのサービス品質を高める上でも重要な課題となっています。
リフォーム業界の今後の動向
リフォーム業界が現在抱える課題を乗り越え、今後どのように発展していくのか、その将来性について見ていきましょう。
就職活動において、業界の将来性を考えることは非常に重要です。
先ほど述べたように、リフォーム市場自体は今後も拡大が予測される有望な市場です。
人々の「暮らし」に関わる仕事である以上、その需要がなくなることはありません。
ただし、その中で成長し続けるためには、社会の変化や新しい技術を柔軟に取り入れていく必要があります。
これからのリフォーム業界は、単に「古くなったものを直す」だけではなく、社会的な課題解決や、新しい価値を提供する役割がますます求められていきます。
ここでは、今後の業界の方向性を決めるいくつかのキーワードをご紹介します。
SDGs・環境配慮型リフォームの需要拡大
近年、世界的に関心が高まっているSDGs(持続可能な開発目標)や環境問題への意識は、リフォーム業界にも大きな影響を与えています。
例えば、**住宅の断熱性能を高めて冷暖房の使用を抑える「省エネリフォーム」**は、光熱費の削減だけでなく、CO2排出量の削減にもつながるため、国も補助金などで後押ししています。
また、解体時に発生する廃材を減らす工法や、再生可能な自然素材(無垢材や珪藻土など)を使ったリフォーム、太陽光発電システムの導入なども注目されています。
これからは、**「地球環境に配慮した住まいづくり」**という視点が、お客様への提案においてますます重要になってくるでしょう。
環境問題に関心がある人にとっては、やりがいを感じられる分野です。
IT技術の活用(VR/AR提案、業務効率化)
リフォーム業界の課題である「人材不足」や「生産性の低さ」を解決する鍵として、IT技術の活用が期待されています。
例えば、お客様への提案において、**VR(仮想現実)やAR(拡張現実)**を使って、リフォーム後の空間をリアルに体感してもらう技術が導入され始めています。
これにより、お客様とのイメージのズレを減らし、満足度を高めることができます。
また、現場調査にドローンを使ったり、スマートフォンやタブレットで現場の進捗管理や職人さんとの情報共有を行ったりすることで、業務の効率化も進んでいます。
これまでアナログな管理が多かった業界だからこそ、IT技術の導入による「伸びしろ」は非常に大きいと言えます。
こうした新しい技術に積極的に触れていきたい人には、面白いフェーズかもしれません。
空き家問題とリノベーションの活性化
日本全国で増え続けている**「空き家」の問題**も、リフォーム業界にとっては新たなビジネスチャンスとなっています。
放置された空き家は、防犯上や景観上の問題を引き起こしますが、一方で、リフォームやリノベーションを施すことで、新たな価値を持つ住宅や、地域コミュニティの拠点として再生させることが可能です。
特に、古い一軒家やマンションを大胆に改装する「リノベーション」は、新築よりも安価に、自分好みの空間を手に入れられる手法として、若い世代を中心に人気が高まっています。
既存の建物の「味」を活かしつつ、現代のライフスタイルに合わせた空間に生まれ変わらせる仕事は、非常にクリエイティブで社会的な意義も大きいと言えるでしょう。
【リフォーム業界はきついのか】リフォーム業界に向いている人
ここまでリフォーム業界の仕事内容や「きつい」とされる理由、将来性について見てきました。
これらを踏まえて、どのような人がリフォーム業界に向いているのでしょうか。
この業界は、「人」と「モノ(住まい)」の両方に深く関わる仕事です。
技術的な知識はもちろん必要ですが、それ以上に、お客様や社内外の多くの人々と円滑にコミュニケーションを取る能力が求められます。
「きつい」側面があることも事実ですが、それ以上に「お客様の夢を形にできた」「ありがとうと言ってもらえた」という大きなやりがいを感じられる瞬間が多い仕事でもあります。
自分に以下のような素質があるかどうか、自己分析と照らし合わせながら考えてみてください。
人と話すのが好き・コミュニケーション能力が高い人
リフォームの仕事は、お客様の要望を引き出すヒアリングから始まり、設計担当や職人さんへの指示・調整、そして引き渡しまで、常に「人」との対話が中心となります。
お客様の言葉の裏にある本当のニーズを汲み取ったり、立場の違う職人さんにこちらの意図を正確に伝えたりと、高いコミュニケーション能力が不可欠です。
単に話がうまいということではなく、相手の話を傾聴し、信頼関係を築ける力が重要です。
人と接することが好きで、相手の懐に飛び込んでいくのが得意な人、異なる意見を調整して物事を前に進めることにやりがいを感じる人には、非常に向いている業界と言えます。
住まいやインテリアに興味がある人
リフォーム業界で働く上で、「住まい」や「インテリア」に対する興味・関心は、強力なモチベーションになります。
お客様に提案するためには、最新のキッチンの機能や、流行の壁紙のデザイン、効率的な収納方法など、幅広い知識を常にインプットし続ける必要があります。
「好きこそものの上手なれ」という言葉があるように、もともと興味がある分野であれば、膨大な商材知識を覚えることも苦にならないでしょう。
自分が良いと思った空間デザインやインテリアを、お客様に提案して喜んでもらえた時、この仕事の面白さを実感できるはずです。
休日にインテリアショップ巡りをするのが好きな人などは、適性があるかもしれません。
相手の課題を解決することにやりがいを感じる人
リフォームは、お客様が抱える「住まいの課題」を解決する仕事です。
「収納が少なくて片付かない」「冬場、お風呂場が寒くて辛い」「子どもの成長に合わせて間取りを変えたい」など、お客様の悩みは様々です。
これらの課題に対して、専門家として解決策を提示し、リフォームによって「快適な暮らし」を実現することが最大のミッションです。
自分の提案によってお客様の悩みが解消され、「リフォームして本当に良かった」と感謝された時に、大きなやりがいを感じられる人に向いています。
**「誰かの役に立ちたい」「人を喜ばせたい」**という気持ちが強く、問題解決型の思考が得意な人にとって、リフォーム業界は自己実現の場となるでしょう。
体力に自信があり、フットワークが軽い人
先ほど「きつい理由」でも触れましたが、リフォーム業界、特に施工管理や営業職は、体力勝負な側面があります。
現場とお客様先を行き来するフットワークの軽さは必須です。
デスクに座ってじっとしているよりも、外に出て人と会ったり、現場で体を動かしたりする方が好きだという人に向いています。
また、予期せぬトラブルが発生した際に、すぐに現場に駆けつける迅速な対応力がお客様の信頼につながります。
体力的なタフさだけでなく、突発的な事態にも「まず動く」ことを厭わない、精神的なタフさも求められます。
学生時代にスポーツに打ち込んでいた人などは、その経験が活かせるかもしれません。
マルチタスクが得意で、調整能力がある人
リフォームの仕事、特に営業や施工管理は、常に複数のプロジェクト(案件)を同時進行で動かしていきます。
Aというお客様のプランを作成しながら、Bという現場の進捗を確認し、Cというお客様のアフターフォローの電話をする、といった具合です。
それぞれの案件のスケジュールや進捗状況を正確に把握し、優先順位をつけて処理していく能力が求められます。
また、お客様、職人、メーカーなど、多くの関係者の「間に立つ」調整役としての役割も大きいです。
それぞれの要望を聞きながら、落としどころを見つけてプロジェクトを円滑に進める必要があります。
スケジュール管理が得意な人や、サークルやアルバイトで調整役を担うことが多かった人に向いているでしょう。
【リフォーム業界はきついのか】リフォーム業界に向いていない人
一方で、リフォーム業界の特性を考えると、残念ながら「向いていない」可能性が高い人の特徴も存在します。
入社してから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、自分の価値観や働き方の希望と、業界の現実がマッチしているかを冷静に判断することが大切です。
もちろん、ここで挙げる特徴に当てはまったからといって、絶対に活躍できないわけではありません。
しかし、他業界と比べてストレスを感じやすい可能性が高いことは理解しておきましょう。
自分の弱点や苦手なことを認識した上で、それでも挑戦したい魅力がこの業界にあるかを、改めて考えてみてください。
土日祝日は必ず休みたい人
リフォーム業界の営業職や、ショールームスタッフなどは、お客様の休日に合わせて土日祝日に出勤することが一般的です。
その代わり、平日に休み(例:火曜・水曜定休)を取るケースが多くなります。
カレンダー通りの休みを希望する人にとっては、この勤務形態が大きなネックになるでしょう。
友人や家族と予定を合わせにくくなるため、プライベートの過ごし方を大きく変える必要があります。
平日の空いている時に出かけられるメリットもありますが、「土日は絶対に休んでリフレッシュしたい」という価値観を強く持っている人には、続けるのが「きつい」と感じられるかもしれません。
クレーム対応や板挟みにストレスを感じやすい人
リフォームの仕事には、お客様からのクレームや要望変更、職人さんとの意見の相違などがつきものです。
お客様と現場の板挟みになり、矢面に立って調整役を担わなければならない場面も多く発生します。
お客様の期待が高い分、その期待に応えられなかった時の失望も大きくなりやすいのです。
人から強く言われることや、対立する意見の調整役になることに極端なストレスを感じる人、物事を割り切って考えられずに引きずってしまうタイプの人は、精神的に消耗してしまう可能性が高いです。
誠実に対応することは大前提ですが、ある程度の「タフさ」や「切り替えの早さ」が求められます。
デスクワーク中心の仕事をしたい人
リフォーム業界は、現場主義です。
営業職も施工管理職も、一日の大半を社外(お客様先や工事現場)で過ごすことも珍しくありません。
もちろん、見積書作成や図面確認、発注業務などのデスクワークもありますが、基本的には「外回り」が中心となります。
「一日中オフィスで静かにパソコンに向かって作業したい」「電話応対や外出は最小限にしたい」といった希望を持っている人には、リフォーム業界の働き方は合わない可能性が高いです。
むしろ、色々な場所に行き、多くの人と会うことに面白みを感じられないと、続けるのが難しいでしょう。
ルーティンワークを好む人
リフォームの仕事は、毎日同じことの繰り返しではありません。
お客様が違えば、住まいの状況も、要望も、予算も全て異なります。
一つとして同じ現場はなく、マニュアル通りに進められることの方が少ない世界です。
常に新しい知識を学び、予期せぬトラブルに対応し、最適な解決策をその場で考えていく必要があります。
決められた手順通りに、ミスなくコツコツと作業を進めることにやりがいを感じる人、変化や不確実な状況を好まない人にとっては、常に臨機応変な対応を求められるリフォームの仕事はストレスに感じるかもしれません。
むしろ、その「変化」を楽しめる人の方が向いています。
数字のプレッシャーに極端に弱い人
営業職やリフォームアドバイザーを目指す場合、**売上目標(ノルマ)**は避けて通れないことが多いです。
「数字」として明確に成果が示されるため、目標を達成することにやりがいを感じる人にとっては良い刺激になりますが、逆にプレッシャーに極端に弱い人にとっては「きつい」要因になります。
お客様の夢を叶えたいという「想い」と、会社から求められる「数字」との間で葛藤することもあるかもしれません。
結果を出すために、プロセスを改善し、行動し続けることが求められます。
数字に追われることなく、自分のペースでじっくりとお客様に向き合いたいという志向が強すぎる人は、苦しさを感じる可能性があります。
リフォーム業界に行くためにすべきこと
リフォーム業界の魅力や厳しさを理解した上で、「それでもこの業界で挑戦してみたい」と決意した皆さん。
内定を勝ち取るためには、就職活動においてどのような準備をすれば良いのでしょうか。
リフォーム業界は、人々の暮らしに密着した、非常に奥深い世界です。
専門知識が求められる一方で、新卒の皆さんには、まずは「熱意」や「人柄」が重視される傾向もあります。
「なんとなく面白そう」というレベルから一歩進んで、「なぜ自分はリフォーム業界なのか」「この会社で何がしたいのか」を明確にすることが重要です。
具体的な行動を起こすことで、その熱意は企業にも必ず伝わります。
ここでは、今から始められる具体的な準備についてお話しします。
自己分析と企業研究(得意分野・企業理念)
まずは「なぜリフォーム業界なのか」を自分自身で深く掘り下げることがスタートです。
数ある業界の中で、「住まい」に関わる仕事を選んだ理由を明確にしましょう。
その上で、企業研究を行います。
リフォーム業界には、大手ハウスメーカー系、家電量販店系、ガス会社系、地域密着の工務店、デザイン特化型など、様々なタイプの企業が存在します。
それぞれの企業がどのような強み(得意分野)を持っているのか、どのようなお客様をターゲットにしているのか、そして「企業理念」として何を大切にしているのかを徹底的に比較しましょう。
自分のやりたいこと(デザイン重視か、機能性重視か、地域密着か)と、企業の方向性が一致しているかを見極めることが、入社後のミスマッチを防ぐ鍵となります。
資格取得の検討(建築士、インテリアコーディネーター等)
新卒採用において、入社時点で専門資格が必須とされることは稀です。
しかし、資格取得に向けて勉強している、あるいは既に取得していることは、業界への高い関心と熱意を示す強力なアピール材料になります。
特に「設計・デザイン職」を希望する場合は、在学中に「インテリアコーディネーター」や「建築士(二級・木造)」の勉強を始めておくと、大きなアドバンテージになるでしょう。
営業職や施工管理職を目指す場合でも、「宅地建物取引士(宅建)」や「福祉住環境コーディネーター」などの関連資格は、お客様への提案の幅を広げる上で役立ちます。
資格取得そのものが目的ではなく、その過程で得た知識が、業界理解を深め、自信にもつながるはずです。
インターンシップへの参加
業界や企業の「リアル」を知る上で、インターンシップへの参加は最も効果的な方法です。
可能であれば、営業担当に同行してお客様先や現場を訪問させてもらったり、施工管理の仕事を間近で見学させてもらったりする「現場密着型」のインターンシップがおすすめです。
社員の方々がどのような一日を過ごしているのか、どんなこと(きついこと)に悩み、どんな時(やりがい)に喜びを感じているのか、生の声を聞くことができます。
ショールームでの接客体験や、簡単なプラン作成ワークショップなども良い経験になります。
百聞は一見にしかず。
インターネットや会社説明会だけでは分からない、社風や仕事の厳しさ、そして面白さを肌で感じることで、自分の志望動機がより具体的で説得力のあるものになるでしょう。
適職診断ツールを用いる
「リフォーム業界に興味はあるけれど、本当に自分に向いているか分からない」と悩んでいるなら、一度「適職診断ツール」を使ってみるのも良い方法です。
就活市場にも様々な診断ツールがありますが、これらを活用するメリットは、自分では気づかなかった「強み」や「価値観」を客観的に知るきっかけになることです。
例えば、診断結果で「対人折衝能力が高い」「課題解決志向が強い」といった項目が高く出た場合、それはリフォーム業界の営業職や施工管理職で求められる素養と一致する可能性があります。
逆に「定型業務を好む」「変化を嫌う」といった結果が出た場合は、なぜ自分がリフォーム業界に惹かれるのかを、もう一度深く考えるきっかけにもなります。
ツールはあくまで参考ですが、自己分析を深めるための一つの材料として活用してみましょう。
【リフォーム業界はきついのか】適性がわからないときは
適職診断ツールを使ってみても、インターンシップに参加してみても、「リフォーム業界が自分に合うか、まだ確信が持てない」という方もいるでしょう。
その不安は、就職活動においてとても自然なことです。
そんな時は、自己分析の方法を少し変えてみることをお勧めします。
例えば、「やりたいこと」から考えるのではなく、「絶対にやりたくないこと」を書き出してみるのも一つの手です。
「土日休みは絶対に譲れない」「数字のプレッシャーは耐えられない」といった項目が上位に来るなら、リフォーム業界の特定の職種は避けた方が良いかもしれません。
また、就活アドバイザーや大学のキャリアセンターなど、第三者に自分の考えを話してみることで、頭の中が整理されることもあります。
焦って結論を出さずに、様々な角度から自分と業界を見つめ直す時間を取りましょう。
おわりに
皆さん、お疲れ様でした。
リフォーム業界の「きつさ」と「魅力」、その両面について、具体的なイメージを持っていただけたでしょうか。
「きつい」と言われる側面は確かにありますが、それはお客様の人生に深く関わり、大きな責任を伴う仕事であることの裏返しでもあります。
困難を乗り越えてお客様の「理想の暮らし」を実現できた時の達成感や感謝の言葉は、何物にも代えがたい喜びとなるはずです。
この記事が、皆さんの業界研究と自己分析の一助となり、自信を持って次のステップに進むきっかけになれば、アドバイザーとしてこれ以上嬉しいことはありません。
応援しています。
