はじめに
ベンチャーを目指すのならば、将来自分がベンチャーで役員になったときのことを想像してみると良いでしょう。
ベンチャーの役員はいったいどのくらいの収入なのかはとても気になる部分です。
今回はそんな疑問について紹介していきますので、ぜひ確認してみてください。
また、ベンチャーのフェーズごとにもらえる役員報酬を紹介していきますので、こちらもどんな企業を選ぶかの参考資料になってくれるはずです。
【ベンチャーの執行役員の年収】ベンチャー企業役員の年収(役員報酬)とは
ベンチャー企業役員の年収が気になるところではないでしょうか。
これからベンチャーを目指す場合、自分がベンチャーでうまくキャリアアップした場合に、どのくらいの年収が目指せるというのは大きなポイントになってくるでしょう。
また、今回紹介するのは、上場前のベンチャー企業に絞って紹介します。
なんだかんだいっても、収入というのはモチベーションの直結する部分です。
さらに、若いうちから高給を目指せるからこそ、ベンチャーを志望する人も多いかと思いますので、そんな意味でも役員の年収は重要になってきます。
執行役員の平均年収
ベンチャー企業の執行役員の平均年収は、およそ1,500万円であるといわれています。
2019年に労務行政研究所が発行した「労政時報」によると、従業員数が300人未満の企業における執行役員の平均年収は1,163万円です。
それでは、なぜベンチャー企業の執行役員の年収は、ベンチャー以外の企業よりも多い傾向が見られるのでしょうか。
その理由の1つとして、ベンチャー企業の収益が会社設立から、最盛期に至るまでの間で大きく変化することがあげられます。
事業が軌道に乗ると、会社の成長と共に執行役員の年収も大きくなり、さらに後述するようにストックオプションによる収入も見込めるのです。
このように、ベンチャー企業の執行役員の平均年収が日本人の平均年収を大幅に上回ることは、1つの目指すべき指標と言えるでしょう。
成長フェーズごとの役員報酬とは
ベンチャー企業の役員報酬を確認する場合に重要になってくるのが、成長フェーズごとの報酬です。
ベンチャーは、それぞれのフェーズによって、状態がまったく異なってきます。
そのため、役員報酬がかなり上下します。
フェーズによっては、役員報酬どころではありませんし、ある程度安定したフェーズになってくると、それなりの報酬をもらうことができるでしょう。
具体的には、シード期、アーリー期、ミドル期などの役員報酬について紹介していきます。
これらを把握することによって、自分がベンチャーではどのくらいのフェーズまで頑張れば良いのかが明確になってくるのではないでしょうか。
シード期
シードとは種のことで、シード期というのは、ベンチャーが今まさに発芽を迎えようとしている時期だと言えるでしょう。
このようにいうと聞こえは良いのですが、企業としてはまったく整っていない状態です。
これから商品を開発しなければなりませんし、試作段階で、本格的にビジネスとして展開はしていない状態でもあります。
自分たちがやろうとしていることの需要を測る時期でもあるのです。
この時期の役員報酬としては、300万円前後だと言えるでしょう。
ただし、場合によっては300万円もらえれば良いほうで、まったく役員報酬がもらえないというような状況も考えられます。
なぜならば、ベンチャー企業にとってシード期というのは危うい時期でもあるからです。
アーリー期
アーリー期というのは、ベンチャービジネスがスタートしたばかりのタイミングと言えるでしょう。
シード期を経て、発芽を迎えた状態だとも言えて、まだまだ企業としては危うさを残しています。
ビジネスとしては、最小限の状態でもあって、顧客からの要望も多いでしょう。
そういった要望に対して、スピーディーかつ柔軟に対応して、ビジネスモデルを確立することを目指します。
また、顧客開拓の段階でもあって、いかにスピーディーに購買意欲の高い客層を取り込めるかというのもアーリー期の重要課題だと言えるでしょう。
この段階で重要になってくるのは、さまざまな模索で、どんどん費用を使って、検証や改善を繰り返していきます。
ある意味ではこの時期が一番危ない時期といえて、なぜならば、可能性を模索するために、資金を使わなければならないからです。
アーリー期の方針の失敗によって、倒産に追い込まれる企業は非常に多いです。
アーリー期の役員報酬の目安としては、500万円前後になるでしょう。
しかし、それはあくまでも企業が順調に走っているタイミングで、場合によってはそれどころではないかもしれません。
ミドル期
ベンチャーのフェーズにおいて、ミドル期というのは、やっと事業が軌道に乗り始めた時期です。
初期からベンチャーに携わっている人たちは、ようやく一息つける段階だと言えるでしょう。
しかし、ここから上場を目指す場合やメガベンチャー化を目指す場合には、さらに投資が必要になってくるでしょう。
具体的には、人材を確保したり、設備投資をしたりする部分です。
この時期になってくると、売上が大幅に向上することも多く、役員にとってみれば、ようやく満足な報酬をもらえ始める時期だと言えるでしょう。
そのため、ベンチャーの役員報酬を狙うのならば、このフェーズ以降の企業で役員報酬をもらうことが重要になってきます。
または、初期フェーズから携わり、上層部としてこの時期に到達するかという選択肢もあるでしょう。
その後もレイターステージといったものがありますが、レイターステージに入ったベンチャー企業に後から入社して、役員まで上り詰めるのは、かなり大変だと言えるでしょう。
大体、ミドルステージの役員報酬としては、4桁を狙える時期になり、1,000万円前後になってくるでしょう。
【ベンチャーの執行役員の年収】ストックオプションの重要性
ここではベンチャーにも大きく関係してくる、ストックオプションについて説明します。
ストックオプションを具体的に説明すると、従業員や役員が自分の会社の株をあらかじめ定められた価格で購入することができるというものです。
どのくらいストックオプションをもらえるかで自社が業績向上・規模拡大したときにもらえる報酬・資産が変わってきます。
どのようなことかというと、ストックオプションというのは、実際に会社が成長した後に行使するものになっています。
将来会社が成長したときに、あらかじめ定められた価格で自社株を取得することができるので、株価が上昇していればしているほど、キャピタルゲインを取得することができるのです。
株式市場でいえば禁じ手のような方法で、株価が上がったタイミングで、株価を底値で取得して売り抜けるというようなイメージになります。
ベンチャーの価値が高まれば高まるほど、ストックオプションを行使したときの報酬が大きくなりますので、ストックオプションを行使した際の権利行使価格も重要になってくるでしょう。
【ベンチャーの執行役員の年収】ベンチャー企業役員に求められるもの
ここではベンチャー企業役員に求められるものを紹介します。
報酬の話ばかりしていると、役員になればただで報酬をもらえると思ってしまいますが、実際にはしっかりと責任を果たす必要があります。
そして、ベンチャー企業の役員というのは、特に成果を求められる立場になっていますので、当然大変です。
具体的に、どんなものが求められるのか、一つひとつ解説していきますので、ぜひ確認してみてください。
専門性
役員(CXO)になるには専門性が求められます。
CXOというのは、各部門の長というようなイメージで、その部門に精通したものが求められるのです。
よくCEOやCFOなどと呼ばれることがありますが、これらの役職と、業務と経営で切り分けるために、CXOが使われることがあるのです。
ただし、本当の意味での上層部に切り込みたいのならば、やはり経営に関する知識は必要になってくるでしょう。
ベンチャー企業の場合、ある程度成長が見込めるようになってくると、他の企業から経営に詳しい幹部候補をヘッドハンティングする傾向があります。
そのため、本当の上を目指すのであれば、専門性ではなく、経営能力のほうが求められる傾向にあるのです。
これはしっかりと把握しておいたほうが良いでしょう。
柔軟性
ベンチャー企業では、役員連中にも柔軟性が求められます。
ベンチャー企業の仕事の進め方は大手とは異なり、その企業に合ったやり方に柔軟に対応できないと部下との連携も取れず、部署としての成果も出せないことが多いです。
さらに、柔軟性にかけることによって、コミュニケーション不足からくる、部下の流出を招いてしまうかもしれません。
ベンチャーが成長するにあたって、人材の確保は必要不可欠なので、しっかりと柔軟性を持って、部下を確保しておけるようなコミュニケーション能力も必要になってきます。
成果へのこだわり
ベンチャー企業で働くためには、基本的には成果へのこだわりが重要になってきます。
そして、ベンチャーの役員ともなれば、よりいっそうのこだわりが求められます。
ベンチャーの上層部になってくる人というのは、常に最前線で結果を出し続けた人であることが多く、実力派揃いのベンチャーにおいても、社員のトップ集団に位置する人なのです。
また、ベンチャーというのは結果主義なので、結果が出ない場合ベンチャーではすぐに役員から降格することも有り得ます。
このように厳しい世界なので、結果にこだわり、その地位を維持できるようなモチベーションが必要になってきます。
その企業への理解
その企業の考え方、社風に合わせる努力が必要です。
郷に入れば郷に従えとも言います。
ベンチャーにおける役員というのは、そのベンチャーを体現した存在でなければならず、ベンチャーの意に沿わない主張を続けるわけにはいきません。
そして、会社に合わせることのできない人間は、まず役員にはなることができないでしょう。
そのため、自分の働いている企業について、徹底的に理解するような理解力が必要になってきます。
【ベンチャーの執行役員の年収】年収はどう決まっているのか
ベンチャー企業の執行役員の年収は、前述のように所属する企業のフェーズごとに変化します。
しかしその年収のベース自体は、執行役員に就任する際の契約形態により、大きく異なるのです。
会社が執行役員を任命する際には、任命者と契約を結ぶ必要があります。
契約形態には、雇用型と委任型の二通りがあり、一般的には雇用型として会社と雇用契約を交わすケースが多いでしょう。
また、契約条件によっては退職金や福利厚生の有無も変わってくるため、注意が必要です。
契約の違い
ベンチャー企業の執行役員の年収は社員の中でもトップクラスとされています。
なぜなら、執行役員は従業員の中でも最高役職であり、事業遂行の要となる要職だからです。
そのため、業務における重責を担うことも多く、このポストを任せられる人物は、企業にとってかけがえのない人材とも言えるでしょう。
執行役員の年収は、一般の社員と同様に雇用契約で雇われている場合と、取締役会の委任による契約かどうかにって異なります。
取締役会による委任契約を受けた場合は、一般的に雇用契約よりも待遇や給与が良く、契約内容によっては退職金が支払われることもあります。
一方、雇用契約の場合は、契約者に対し従業員として給与が支払われる形態です。
しかし、雇用契約の場合は従業員という立場であるため、委任契約とは異なり、雇用保険や労災保険の対象者になります。
企業により執行役員の決め方や報酬もさまざまであり、気になる企業にはアンテナを張り、日頃から情報収集をしておくと良いでしょう。
取締役との違い
取締役とは、会社法上で定義されている役職の1つです。
そのため、会社の運営方針やその他の重要事項への決定権を有します。
一方、執行役員には会社経営や重要事項への決定権がなく、立場は従業員です。
執行役員は取締役などの、会社法上の役員が定めた確定事項を受け、現場スタッフたちへ業務の指示出しを担います。
取締役と執行役員の役割はよく混同されがちですが、執行役員制度ができて浸透し始めたのは比較的新しいことです。
世の中で執行役員制度が導入される以前には、取締役が経営業務のかたわら現場業務も行っていたため、企業は個人にかかる負荷が大きく、非効率的であることを問題視していました。
しかし、執行役員制度の導入により、執行役員は事業の遂行に専念し、取締役は会社経営に注力できるようになりました。
そのため、円滑な組織運営が可能となったのです。
【ベンチャーの執行役員の年収】ベンチャー企業の役員になる方法とは
ベンチャーの役員に必要なものがわかったら、今度はベンチャーの役員になるための方法を紹介します。
直接ヘッドハンティングされる
企業がそのポジションに求めるスキルとあなたの専門性・実績が嚙み合った場合は可能性があります。
特に、ある程度成長したベンチャーは、経営陣をヘッドハンティングする傾向があります。
もし経営陣としてヘッドハンティングされれば、それだけで一気にベンチャー役員になることができるのです。
しかし、当然ながら、そのようにヘッドハンティングされる人材というのは優秀でなければなりませんし、ほかの大企業などで実績を積んだ人がほとんどです。
そのため、この経路でベンチャーの役員になるのは極めて難しいと言えるでしょう。
役員募集の求人に応募する
ベンチャーの役員募集の求人に応募するというものもあります。
これはかなり一般的なプロセスになるのではないでしょうか。
ただし、ヘッドハンティングよりも内情や待遇がわかりにくいので、実際に入ってみると、思っていたよりも優遇されていなかったという状況も考えられます。
求人の内容とその企業の現状などをしっかりと分析して転職のリスクを負う価値があるのか見極めることが必要になってきます。
せっかく役員で入っても、報酬などがいまいちならば、前の企業のほうが良かったということも有り得るのです。
起業する
実は、ベンチャー企業の役員になるには一番簡単な方法です。
たとえば、友人などと企業した場合は確実に役員になることができます。
その友人が非常に重要な人物であれば、自分にそれほど能力がなくとも、簡単に役員になれてしまうのです。
まさに持つべきものは友と言えるでしょう。
ビジネスが当たるまでは労働時間、年収ともに苦しい時期が続きますが、一発当たれば株やストックオプションなどで数億の資産を築くことができます。
一発狙いで起業して、成金を目指してみるのも良いでしょう。
最近世間を賑わしているスタートトゥデイの前澤さんなどは、まさにこのパターンの典型です。
【ベンチャーの執行役員の年収】転職する際の注意点
ベンチャーの役員を目指して転職する場合には、それなりのリスクもありますので、しっかりと注意点を確認しておきましょう。
今より年収が下がることもある
転職する際は今より低い年収を提示されることもあります。
また、今より高い年収を提示されても、業績次第では下がる可能性もあり不安定と言えるでしょう。
家族がいる人はその不安定さを受け入れる覚悟があるかよく考えるべきです。
また、ベンチャー企業の場合は、実力主義なので、年収を下げられることも当たり前にあります。
そのため、転職するには、自分の実力をしっかりとわきまえている必要もあるでしょう。
ベンチャーでやっていける実力もないのに、転職してしまうと手痛い洗礼を受けてしまうかもしれません。
役員としての苦悩に耐えられるか
まず、ベンチャーの役員というのは責任の塊です。
役員も限られた人材しかいない場合がありますので、一人ひとりの役員にのしかかる重圧も相当なものです。
この重圧に耐えきれずに辞めてしまう人も多いので、高待遇の役員になれるからといって、後先考えずになってしまうと辛い思いをするかもしれません。
転職前より重くなる責任や労働時間に耐えられるのか、しっかりと見定めてから転職を考えましょう。
特に、ある程度の年齢でベンチャーの役員に転職する場合には、転職はすでに最後のチャンスであることも多いです。
そして、ベンチャーで重圧に耐えきれずうつ病などの精神疾患を患ってしまったならばどうでしょうか。
ここから再起したときには、時既に遅しという状態になってしまっている可能性もありますので、慎重に転職を考えなければなりません。
そういった意味では、若いうちはそこまで考える必要がないので、年齢を重ねれば重ねるほど、ベンチャーへの転職は慎重になる必要があるでしょう。
【ベンチャーの執行役員の年収】転職を考えているなら転職エージェントを活用しよう!
仕事をしながらの転職活動となると、業務の合間を縫っていかに精度の高い情報を得られるかが要となります。
そのようなときには、転職エージェントを利用するのがおすすめです。
エージェントが自分に合った企業を探してくれるため、現役の方でも効率良く転職先を見つけられます。
さらに、エージェントには転職にまつわるプロの人材がそろっているため、求人紹介から選考対策まで、転職のすべてに対して力強いバックアップを受けられます。
また、自身が希望する企業にアピールするために必要なことを、これまでの実績をもとにアドバイスもしてくれますので安心です。
未経験可の求人も紹介してくれますので、ぜひとも利用してみてください。
まとめ
ベンチャー企業の役員がどのくらい稼いでいるか理解できたのではないでしょうか。
人によってはそんなに稼げるものなのかという人もいるでしょうし、思っているより稼げないという人もいるかもしれません。
ただし、年収だけを考えてベンチャーに行くと手痛い洗礼を受けてしまう可能性もあります。
ベンチャーの役員には、それなりの責任もつきまといますので、その責任と報酬が見合ったものでなければ、慎重に考える必要があるでしょう。
また、裏道として起業をするという選択肢も踏まえておくと良いでしょう。
これが一発あたれば、かなり大きなメリットを手に入れることができます。