はじめに
「ビッグデータ」といわれてもピンとくる人は少ないかもしれません。
実はこれらは私たちの生活のさまざまなところで活用されています。
たとえば、自動販売機の陳列、商品の仕入れ、顧客情報の管理、交通情報などがあげられます。
特に、スマートフォンの普及やSNSの普及にともない、ありとあらゆるデジタルデータの活用が求められるようになりました。
学生の中には、これからますます発展していくであろうビッグデータに関わる仕事をしたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。
今回は、ビッグデータを取り扱っているベンチャー企業に焦点をあて、仕事内容や企業について紹介します。
【ビックデータを扱うベンチャーの実態】そもそもビックデータとは?
そもそも「ビッグデータ」とはどういったものなのでしょうか。
その名前のとおり、大きなデータを示す言葉でもありますが、それだけではありません。
ビックデータの要素は下記の3つです。
・データの量(volume)
・データの種類(variety)
・データの更新頻度(velocity)
つまり、色々な形で、色々な性格をもった色々なデータのことを指すのです。
単純に量が多いデータだけではありません。
日々リアルタイムで積み重ねられていくデータという意味をもつ場合もあります。
これらのデータを断続的に集め解析すると、ビジネスに活かしたり、新たなサービスの開発につなげたりできます。
このように、従来のデータベース管理だけでは解析できないような、膨大、かつさまざまな種類のデータをビッグデータと呼ぶのです。
【ビックデータを扱うベンチャーの実態】ビックデータを扱った事業を紹介
これらのビッグデータは、実際にどのように活用されているのでしょうか。
業界ごとに、ビッグデータを活用した事業例のご紹介をします。
製造業
製造業は、早くからビッグデータが活用されてきた業種でもあります。
コストダウンはもちろん、顧客から求めている品質や生産性向上のために活用されてきました。
また、近年ではインダストリアルIoTと呼ばれる製造工程のオート化が進んでいます。
リアルタイム制御やそれぞれのフォードバッグなどにもビッグデータが活用されているのです。
たとえば、品質低下の原因を判断したり、製造に影響が出る場合の気温や湿度の変化を知らせたり、それぞれの工程をモニタリングしたりして情報を集めています。
金融業
ビッグデータやAIを利用したテクノロジーは、デジタル化が急速に進んでいく金融業界でも活用されています。
顧客データの取得によって、マーケティングや不正行為の防止などに取り組んでいるのです。
特に、大きな金額が動いている市場において、投資についての情報管理のためにはビッグデータの活用が欠かせません。
ほかにも、クレジットカードの情報を解析し、よりよいローンプランを導きだしたり、中小企業に向けた融資の審査スピードを迅速化することに役立てたりといった活用をしている例もあります。
流通・小売業
流通・小売業では、売上拡大や在庫管理、マーケティングなどの面でビックデータを活用しています。
売上状況だけでなく、従業員や顧客の行動、商品の陳列方法に関する情報などを活用して、売り上げを大きく伸ばした企業も多く存在します。
また、顧客単価の高い場所を解析し、効果的に従業員を配置するなどの活用方法もあるでしょう。
さらに、SNSから得られるデータなどを解析し、トレンドや流行、顧客の好みなどを把握でき、競合製品との差別化や新製品の開発などにも役立てられているのです。
【ビックデータを扱うベンチャーの実態】どんな職種があるの?
ビッグデータはありとあらゆる業界で活用されています。
実際にビッグデータを取り扱う仕事としてはどのような仕事があるのでしょうか。
ここでは、ビッグデータを活用するために欠かせない、データエンジニア、データアナリスト、データサイエンティストの3種類の仕事について詳しく説明します。
データエンジニア
データエンジニアは、主にデータ収集や管理をする仕事です。
集めたデータの処理や保存も担当しています。
そのため、データベースに関する知識が必要です。
複雑なデータを管理するためのRDBや、データを出し入れするためのSQLといった知識を身につけている必要があります。
また、日々集まってくる膨大な量の新しいデータを保存するために、サーバーやストレージを構築するのも大切な役割の1つです。
さらに、大規模なデータを取り扱うので、サーバーにかかる負担を軽減したり分散させたりするために、複数のコンピュータを利用して処理を速めたり負担を軽減したりすることも求められます。
データアナリスト
データアナリストは、データエンジニアが集めたデータについて分析をする仕事です。
大きく分けて、コンサル型とエンジニア型に分けられます。
コンサル型の主な仕事内容は、データを読み取り分析し、クライアントの悩みや問題を解決に導く提案をすることです。
コンサルティングやマーケティング業界で主に活躍していて、統計学やSQLなどの知識も必要となります。
一方でエンジニア型の主な仕事内容は、分析した結果から、何が読み取れるのか解析をすることです。
大量のデータの中から規則や法則を見付け出し、プログラムの改善を試みます。 そのためには、機械学習や統計解析などの知識も求められます。
データサイエンティスト
データサイエンティストとは、解析されたビックデータをもとに課題や問題点をあぶり出し、改善案や解決法を提供するという職種です。
多くのデータを取り扱っているWeb系の企業や、ソフト解析などのサービスを提供する企業で多く活躍しています。
確率や統計学などの数学に関する知識はもちろん、ITシステムやプログラミングなどのITに関する知識も必要不可欠です。
データアナリストはデータをもとに、統計学を用いて意思決定や方向性の決定をサポートします。
さらに、データサイエンティストはより高度な分析をしたうえで、機械学習を用いて将来を予測するという違いがあるのです。
とはいえ、企業により仕事内容が異なるため、それらの違いが大きく見られないという場合もあります。
【ビックデータを扱うベンチャーの実態】ビックデータを扱うベンチャー企業の特徴
ビッグデータを扱うベンチャー企業の特徴に、大企業により柔軟に動けるという点があげられます。
なぜなら、大企業に比べてより狭い範囲を対象としてデータを取れるからです。
ほかにも、裁量権を持てる可能性が高いという特徴もあります。
ビッグデータとAIをかけ合わせたベンチャー企業は数多く存在し、AI社会の到来とともに、さらに発展が期待できるといえそうです。
【ビックデータを扱うベンチャーの実態】ビックデータを扱うベンチャー企業紹介
ここでは、実際にビッグデータを取り扱っているベンチャー企業の紹介をします。 興味のある分野や会社をピックアップし就活に活かしましょう。
bestat株式会社
bestat株式会社は、深層学習を埋め込んだシステムの開発をしているベンチャー企業です。
AIによる画像解析を利用し、小売販売を無人化するサービスの展開をしています。
これらは、販売に必要な人件費の削減だけでなく、消費者にとって新しい購入体験をもたらすという一面もあります。
さらに、監視カメラやエンジン開発、購買行動の把握・解析、小売店需要予測などにも画像AIによる技術を取り入れ、さまざまな分野での実績をもつ勢いのあるベンチャー企業です。
AIQ株式会社
AIQ株式会社は、AIによるプロファイリング技術をもとに、企業と個人の新しいつながりを創るプラットフォームの提供をしています。
プロファイリングAIが、SNS上の画像やテキストなどの情報を解析し、新しいマーケティングサービスにつなげるという事業内容です。
小学館、コーセー、オンワードなどの大企業と仕事をしてきた実績もあり、注目を集めているベンチャー企業の1つでもあります。
ニューラルポケット株式会社
ニューラルポケット株式会社では、画像や動画における物体検知、種別分類、空間認識や表情・閲覧解析などの多様なAI技術を独自に開発しビックデータを解析しています。
最先端画像解析技術を利用すると、カメラに高度な認識機能を持たせたり、画像からドローンの自己位置を推定させたりすることに取り組んでいます。
さらに、AIサイネージ広告サービスの提供や、AIを利用したファッショントレンド解析にも力を入れている会社です。
株式会社QuantumCore
株式会社QuantumCoreは、量子コンピューティング分野の技術転用によって、ディープラーニングの性能を圧倒的に超える精度、コスト、スピードを実現する多変量時系列の処理を目指している会社です。
簡単にいうと、少ないデータの量でもリアルタイム学習を高精度で実現するサービスです。
これらを利用し、ハイスピードかつ安価に情報を処理し活用できるようになりました。
たとえば、心電図での疾患判定や、音声からの話者特定、ベットでの振動からの姿勢特定などに活用されています。
株式会社グラフ
株式会社グラフは、AIや機械学習を利用して、クライアントの必要な支援やビジネス戦略コンサルに取り組んでいる企業です。
これらの技術は、自動車、小売り、製造などだけでなく、公共サービスやエネルギー、製薬などの幅広い業界で活用されています。
具体的には、データベース回収管理事業、データ分析コンサルティング事業、テータエクスチェンジ事業、アルゴリズム開発事業など幅広い面からビッグデータとAIを活用したサービスの提供をしています。
【ビックデータを扱うベンチャーの実態】まとめ
今回は、ビッグデータを取り扱うベンチャー企業についてご紹介しました。
ビッグデータはこれからAIの発達とともに、ますます活用が求められるでしょう。
近年問題とされている人手不足や環境問題への改善も期待されています。
これらを取り扱うデータエンジニア、データアナリスト、データサイエンティストなどの需要は高まっていくばかりです。
将来性のある仕事であるといえるでしょう。
さまざまな活躍を遂げているベンチャー企業も多くありますので、ぜひ自分の興味のある技術や分野のベンチャー企業を見つけてみましょう。