はじめに
ひと昔前と比べると、ベンチャー企業に就職する高学歴な学生が増えました。
そろそろ就職先を考えなければと思っている方の中にも、ベンチャー企業、いわゆるスタートアップを視野に入れている方も多いのではないでしょうか。
しかし、高学歴でベンチャーに行くともったいないのではないか、大企業に比べたメリットはあるのだろうかとさまざまな疑問を抱えているかもしれません。
一般的にベンチャー企業では、大企業に比べると採用選考時に学歴は関係ないといわれています。
ある程度就活の方向性を決めたうえで、ベンチャーに就職するか、大手に就職するかを学歴に関係なく自分がやりたいことで決めるのが、就職先を絞るために大切でしょう。
今回は、高学歴の学生に向けて、ベンチャー企業に行くメリットや選択肢について詳しくご紹介します。
ベンチャー企業の特徴
ベンチャー企業には、どのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、ベンチャー企業の特徴を徹底的に紹介します。
給料が大手に比べ安定しない
ベンチャー企業の給料は、事業が成長段階にあるため、安定した収益基盤を持つ大企業に比べて変動しやすい傾向があります。
業績や資金調達の状況が直接給与に影響し、定期的な昇給が保証されない場合も少なくありません。
その一方で、ストックオプション制度を導入している企業も多く、会社の急成長が実現すれば、個人の報酬が飛躍的に増大する可能性があります。
安定性よりも、事業の成功に連動した大きなリターンを狙えるのが特徴です。
教育環境が整っていない
ベンチャー企業では、少人数で事業を推進するため、大企業のような体系的な新人研修や階層別トレーニングが整備されていないことが一般的です。
教育専門の部署がない場合も多く、実践を通じて学ぶOJTが基本となります。
入社後すぐに責任ある業務を任され、自ら課題を見つけて学ぶ姿勢が求められます。
受け身では成長が難しい反面、意欲次第で多様な業務に挑戦でき、経営層の側で働くことで、短期間に密度の濃い経験とスキルを習得できる環境です。
福利厚生が整っていない
ベンチャー企業は、事業成長への投資を最優先するため、住宅手当や退職金制度といった福利厚生が大企業ほど充実していない傾向にあります。
会社の資金が限られている中で、まずは事業の存続と拡大に必要な人材や開発にコストを集中させるためです。
その代わり、自由な服装やフレックスタイム、無料のランチやスナックといった、独自のカルチャーを反映したユニークな福利厚生で働きやすさを追求する企業もあります。
伝統的な手厚さより、柔軟性に価値を置くことが多いです。
高学歴のベンチャー就職の実態
高学歴の学生がベンチャー企業を選ぶ理由はいくつかあげられます。
たとえば、成功したときのインパクトの大きさを求めている場合です。
大企業で成功するより、ベンチャー企業で結果を出すほうが何倍も大きなインパクトを社会に与えられます。
それにともなって大きな報酬を得ることもできるでしょう。
また、自分自身がチームプレーに向いていないと感じる高学歴の学生もベンチャー企業を志望する傾向にあるといえます。
大企業に勤めるOBから、出世してもそこまで稼げるわけではない、さまざまなしがらみや人間関係の中で業務に関する調整しなければならないなどという話を聞き、より個人の力が影響するベンチャー企業を選ぶというパターンです。
このように、価値観の変化やベンチャー企業が活躍の幅を広げたことにより、ベンチャー企業への就職を考える高学歴の学生が増加傾向にあります。
しかし高学歴だからといって安易にベンチャー就職を選ぶべきではありません。
ここでは、ベンチャー企業の実態について詳しく見ていきましょう。
高学歴のベンチャー就職は増えている!
東京大学や京都大学といった大学生の中でベンチャー企業へ就職する人は1/3〜半分程度となっています。
大手企業では、就職後に研修からはじまり下積みの時間は必要ですが、ベンチャー企業では若手のうちから最前線に出て働く機会があります。
そのような責任を負う立場で仕事に取り組むと、おのずとスキルアップにつながるのです。
特に、優秀な高学歴の学生が求める環境とマッチしているといえるでしょう。
完成された組織の中で与えられた仕事をこなすよりも、自分自身で成功をつかむ方がやりやすいと感じている学生も多いからです。
さらにベンチャー企業は大企業に比べると柔軟性があり、開かれている場合が多くあります。
海外も視野に含め、国際的な活躍をしたい学生にとっては、大きな魅力的の1つであるといえるでしょう。
ベンチャーにも段階がある
ベンチャー企業と一言でいっても、立ち上げたばかりのスタートアップ企業から、世間でもよく知られているメガベンチャーまでさまざまな段階があり、4つのステージに分けられています。
・事業が軌道に乗るまでのおおよそ5年間の間を指す「アーリー」
・世間に認知し始める「ミドル」
・黒字化しさらな新規事業拡大を目指す「レイター」
レイターであれば、倒産のリスクが低く安定しているといえるでしょう。
高学歴でベンチャー企業が気になっているけれど、倒産リスクや危険はおかしたくないという学生は、サイバーエージェントやDeNAといったメガベンチャーがおすすめです。
メガベンチャー
メガベンチャーとは上記でいうレイターの段階にある成熟した企業を指します。
業績が安定し始め、これからさらに事業拡大を狙っているベンチャーで、会社の規模も大きくなります。
倒産のリスクが非常に低く、社風はベンチャー企業そのものであることが多いです。
安定は欲しいけれどベンチャー企業の社風の中でキャリアアップに挑戦したいという学生に人気を集めています。
スタートアップのベンチャー企業と比べると、福利厚生やキャリアアップ制度、教育制度が整っている場合も多く、労働環境のよさも大きな魅力であるといえるでしょう。
スタートアップ
事業を始めたばかり、もしくは事業を始めてから5年以内のアーリー段階にある企業をスタートアップと呼びます。
成長段階にあり、猛スピードで変化を遂げていく時期にあります。
顧客を増やし、世間に認知してもらうことが一番の目標です。
しかし、運転資金や設備投資のために多くの資金を必要としているため資金不足に苦しむ企業も少なくありませんが、軌道に乗るまであとひと押しという段階でもあります。
企業の急成長の中で自分自身の速い成長を期待できるでしょう。
のちに起業を考えている人にとっては、この時期のベンチャー企業と関わることは、間違いなくのちに活きる貴重な経験となるでしょう。ベンチャーに学歴は関係ない!
ベンチャー企業は、大企業に比べると、学歴重視というわけではありません。
どうしてもつけたい力がある、自分の力を試してみたい、将来起業を考えているなどのはっきりとした目的がある場合には、ベンチャー企業への就職がおすすめです。
特にやりたいことがない、なんとなくみんなが選んでいるからという理由で選んでしまうと、現実とのギャップを感じてしまうことになりかねません。
自分がどうしてベンチャー企業に行きたいのか、そこでどういった仕事に携わりたいのかを明確にしたうえで就職活動を進めるのが大切です。
【結論】ファーストキャリアは「大企業」がおすすめ!
新卒で入社するファーストキャリアとして、ベンチャー企業は良い選択肢なのでしょうか。
結論はNoです。
その理由を詳しく解説します。
理由①:仕事に集中できるから
大企業では、業務が細分化されており、担当する業務範囲が明確なことが多いです。
これにより、新入社員は自身の役割に集中しやすく、目の前の仕事の質を高めることに専念できます。
ベンチャー企業のように、一人で複数の役割をこなしたり、未経験の業務にいきなり対応したりする機会は比較的少なく、目の前の業務にじっくりと取り組める環境が整っています。
また、バックオフィス体制もしっかりしているため、経理や総務といった間接業務に時間を取られることも少なく、本来の業務に集中しやすいと言えます。
仕事の基礎を固め、専門性を深める上で、こうした集中できる環境は大きなメリットとなります。
理由②:教育環境が整っているほうが成長しやすいから
大企業は、新入社員向けの研修制度やOJT(On-the-Job Training)が体系的に整備されている傾向にあります。
入社直後のビジネスマナー研修から、専門知識やスキルを習得するためのプログラム、メンター制度など、段階的に成長をサポートする仕組みが充実しています。
これは、社員一人ひとりの成長を長期的な視点で捉え、企業全体の生産性向上につなげようとする大企業ならではの強みです。
経験豊富な先輩社員や上司から指導を受け、疑問点や課題をすぐに解消できる環境は、社会人としての基礎を築き、着実にスキルアップしていく上で非常に重要です。
手厚い教育環境は、あなたの早期成長を力強く後押ししてくれるでしょう。
理由③:ベンチャー企業では実力をつけてからのほうが活躍しやすいから
ベンチャー企業はスピード感があり、個人の裁量が大きい分、即戦力としての活躍が求められる場面が多くあります。
ファーストキャリアとして入社した場合、社会人としての基礎やビジネススキルが十分に備わっていない状態で、高いパフォーマンスを出すことは容易ではありません。
大企業で数年間経験を積み、基本的なビジネススキル、業界知識、専門性を身につけてからベンチャー企業に転職する方が、より早く、より大きな成果を上げられる可能性が高まります。
大企業で培った実力と経験は、ベンチャー企業でリーダーシップを発揮したり、新規事業を立ち上げたりする際に強力な武器となるでしょう。
理由④:多様な部署や職種を経験する機会がある
大企業では、事業規模が大きく、多岐にわたる事業を展開しているケースが多いため、社内に非常に多くの部署や職種が存在します。
入社後に部署異動やジョブローテーションの機会が設けられていることも多く、様々な業務や異なる文化を持つ部署を経験することで、幅広い知識やスキルを習得できます。
例えば、営業からマーケティング、企画、人事など、多様なキャリアパスを社内で選択できる可能性があります。
これは、自身の適性や本当にやりたいことを見つける上で非常に貴重な経験となります。
若いうちから多様な経験を積むことは、将来のキャリア選択肢を広げ、自身の市場価値を高めることにもつながります。
理由⑤:大規模プロジェクトや最先端技術に携わる機会がある
大企業は、豊富な資金力と技術力を背景に、社会に大きなインパクトを与えるような大規模なプロジェクトや、最先端の技術開発に投資する傾向があります。
新入社員であっても、そうしたプロジェクトの一員として参加する機会に恵まれることがあります。
例えば、新しい製品の開発、グローバルな市場への進出、AIやIoTといった最新技術を活用した取り組みなど、個人ではなかなか経験できないようなスケールの大きな仕事に挑戦できる可能性があります。
これは、自身の専門性を深めるだけでなく、業界の最前線で働く経験を通じて、高いレベルのスキルと知見を身につける絶好の機会となります。
まとめ
今回は、高学歴の学生がベンチャーに進むべきなのかに焦点をあてて、ベンチャー企業の実態やメリット・デメリットについてお伝えしました。
自分の人生において、一番大切にしたいことはなんなのか、どういったキャリアプランを手に入れたいのかなど、仕事の面からだけでなく、総合的に考えることが大切です。
高学歴を活かして大企業に就職するのも、やりたいことを優先してベンチャー企業に就職する道も、どちらも自分次第で活躍できる可能性が必ずあるはずです。
この記事を参考に、自分にあった就職先を見つけてみてください。