はじめに
就活を控えて情報収集をしている学生の中には、ベンチャー企業に興味を抱いている学生も多いのではないでしょうか。
最近ではさまざまな革新的な技術で注目されるベンチャー企業も多く、学生からも就職先として高い人気を集めています。
特に技術系のベンチャーは最先端の技術に触れられるので、理系の大学生から注目を浴びています。
今回は技術系ベンチャーの仕事内容や事業例をご紹介していきましょう。
【技術系ベンチャーとは?】そもそも技術系って何?
そもそも技術職とは、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。
一般的には、理系・工学系の知識をもとに開発・設計に関わる仕事をしています。
一方でその設計をもとに、工場などの現場で製品の製造をするのが技能職です。
技術職はメーカーの技術職とITの技能職の2つに分けられます。
メーカーの技術職は基本的にものづくりをしています。
中電気系・機械系、ソフト系に分かれているのです。
一方でIT系技術職はITエンジニアとも呼ばれており、プログラマーやシステムエンジニア、フロントエンドエンジニアなどがあげられます。
技術職は電気工学や通信工学・情報工学のほかにも、宇宙工学や物質・材料工学など、大学で研究したことを活かせる仕事ばかりです。
【技術系ベンチャーとは?】技術職の仕事内容は?
ここでは実際に技術職の仕事内容についてご紹介します。
おおまかにいうと、開発や設計に関わる仕事といえます。
その中でも研究職、開発設計職、生産技術職の3つに分けられるでしょう。
自分の興味のある仕事や、学んでいることを活かせそうな仕事はないか、考えるための参考にしてみてください。
研究職
新しい材料や技術の研究をして、新製品を開発するのが研究職です。
研究職には新しいものをつくりだすための基礎研究と、既存のものを改良する応用研究の2種類があります。
専門性の高い仕事であるため、高度な知識を求められることが多くあり、決して誰もがつける仕事ではありません。
今世の中に出ている学説や技術をもとに、新しい角度から研究を積み重ねる必要があります。
世の中の役に立つ研究ができることから、探究心をもった人であれば大きなやりがいを感じられるはずです。
一般的には、理系・工学系の院卒の採用が中心となっています。
開発設計職
開発設計職は研究成果をもとに、製品化のために開発をします。
設計をしてテストを繰り返したのちに、実際に製品の仕様を決めていくのが主な仕事です。
中一番のメインの仕事は、図面を引いたり書いたりする設計の仕事です。
作る製品によって3Dモデルや基盤図、回路図などの作成をします。
そのほかにも部品選定・不具合の解析、測定・評価なども仕事です。
またテストを終えたあとには、それらを量産するためにはどうしたらよいかを考える必要もあります。
その際には生産技術部門や製造部門など、多部署との連携が必要不可欠になります。
コミュニケーション能力も求められるでしょう。
生産技術職
生産技術職は開発設計職が設計した製品を量産化するために、生産ラインの改善をする仕事です。
そのために必要な機械を設計したり、問題が出たラインの修正をしたりするのが主な仕事内容です。
コストを削減する工夫や、短期間で高品質な生産を維持する工夫が必要になります。
最近ではAIやビッグデータなどの最新技術を取り入れ、さらなる効率化をはかるために設備導入をすることも増えてきています。
それらの選択や決定に関わるために、高度な技術知識が必要不可欠です。
研究職や開発職に比べると、一見地味な仕事に思われることの多い仕事です。
しかし実際に製品が完成する工程に関われるため、大きなやりがいを感じられる仕事でもあるでしょう。
【技術系ベンチャーとは?】技術系ベンチャーの特徴
ここまでは一般的な技術職の仕事内容についてご紹介しました。
同じ技術職の仕事でも、ベンチャー企業には大企業と異なる特徴があります。
たとえば企業のもつ発想や、市場に対する柔軟性という点があげられます。
これからベンチャー企業への就職を視野に入れている方は、それらの特徴をしっかりと把握しておくことが大切です。
そうすることで自分の理想とする職場を選べるというだけでなく、就職後の企業とのミスマッチを防げるでしょう。
プロダクトアウト型の発想
技術系ベンチャーの特徴としてあげられるのが、プロダクトアウト型の発想を基本としていることが多いという点です。
「プロダクトアウト」とは、自分たちがもっている技術を第一に事業を考えていく方法です。
特にすぐれた特許などをもつ技術系ベンチャーでは、市場のニーズや顧客よりも自社のもつ技術力を重視する傾向にあります。
一方でそれらと反対の発想を「マーケットイン」と呼びます。
まず市場の動きや顧客の動向をリサーチしたうえで、よりニーズのある製品を作っていく手法です。
主に大企業や普通のベンチャー企業では、顧客やターゲットを定めて製品開発をする傾向にあります。
つまりこのマーケットインの発想を重視しているところが多くあるのです。
プロダクトアウト型の発想を基本とする技術系ベンチャーでは、新しいものを生み出しやすい・競合他社との差別化をはかりやすい、コストが抑えられるといったメリットがあります。
市場に対する柔軟性をもつ
ベンチャー企業は大企業に比べると、市場で求められている需要に対してスピード感をもって対応できるといった特徴があります。
大企業では1つの案を実現させるためには、いくつもの会議を経て承認を得る必要があるのです。
市場のニーズにこたえるまでには、一定の時間がかかってしまいます。
一方、ベンチャー企業では、人数が少ないうえに意思決定までのスピードが速く、市場のニーズに素早く対応できるのです。
またベンチャー企業自身の成長スピードも、大企業に比べると非常に速くなっています。
1年後には社員数が数倍になっていることも珍しくありません。
そのような目まぐるしく変わっていく環境の中で、社員がおのずと柔軟性を身につけていくという特徴もあります。
【技術系ベンチャーとは?】技術系ベンチャーの事業例
日本にはユニークな発想で新しい技術を生み出している、技術系ベンチャーが数多く存在しているのです。
大学や大企業と共同で研究を重ねている企業、地方創生をテーマに地方で頑張っている企業などがあります。
さらには国際色豊かなグローバルな視野をもった企業など、さまざまな特色があります。
今回はその中でも特に注目を集めている3社のご紹介をしていきましょう。
自分の興味のある技術や、自分が現在大学で研究している分野を取り扱っている、ベンチャー企業を探すきっかけにしてみてください。
H2L株式会社
「H2L株式会社」はBodySharingという技術で、注目を集めているベンチャー企業です。
この技術は独自の筋変位センサーを活用することで、人の動作や感覚をデータにし、ロボットやバーチャル空間で再現するという技術です。
筋肉の動きなどを鋭敏に感知して、VRゲーム内のキャラクターを自分の動きと連動させて操作できます。
さらにキャラクターが受ける刺激を、手を通じて感知できる機能を搭載した製品の開発をしています。
ほかにもこれらの技術を活用することで、遠隔地のカヤックを自分自身が漕ぐ、遠隔観光などへの利用も検討されているのです。
デジタル環境と人が接続可能な、世界の実現を目標として掲げています。
このようにユーザーがロボットやキャラクター、他者とさまざまな感覚を共有する技術の開発をしているのです。
株式会社アクセルスペース
「アクセルスペース」は重さ100kg以下の超小型人工衛星の設計開発をしているベンチャー企業です。
超小型にすることで、柔軟で低コストな人工衛星の利用の実現を可能にしました。
それらは高頻度で気軽に利用できることから、地球上のあらゆるデータを毎日取得・蓄積し続けています。
気軽に衛星を打ち上げられるようになったことで、国家規模でなくとも民間の企業が、独自に宇宙を活用するチャンスが得られるようになりました。
日本政府も「宇宙産業ビジョン2030」を発表しているとおり、国家的にも大きな期待が寄せられている分野でもあるのです。
宇宙空間での新しいインフラの発展により、農業や都市計画・気象予報など、私たちの身近にあるさまざまなものに活用されることが期待されています。
ユカイ工学 株式会社
「ユカイ工学株式会社」は一家に1台ロボットがいる社会を目指している企業です。
留守番中の子どもの見守りをサポートするロボット、音楽に合わせてダンスや挨拶・一発ギャグなどの動きを見せてくれるロボットなどを提供しています。
ロボットと人間の生活をつなぐ製品の開発・販売をしています。
ほかにも家族をつなぐコミュニケーションロボットや、しっぽのついたクッション型セラピーロボットなど、どれもユニークなロボットばかりです。
利便性や効率化が求められることの多いロボット分野ですが、この企業は可愛さや親しみやすさを兼ね備えたロボットの開発に力を注いでいます。
そのためにも自由にものづくりができる雰囲気や、フランクなコミュニケーションをとれる環境が用意されています。
まさにベンチャーならではの働きやすさが魅力です。
【技術系ベンチャーとは?】まとめ
今回は特に理系の学生から注目を集めている、技術系ベンチャーに焦点をあてて説明しました。
自動運転や電気自動車など大きな変革を迎えている自動車業界、これからさらに活用が期待されている宇宙分野などがあります。
実際にさまざまな場所で活用されているロボット業界など、まさに技術系ベンチャー企業がしのぎを削っている分野が多く存在します。
自分の知識や技術を高め、世の中に新しいものを送りだしたいと考えている学生は、技術系ベンチャーで働けば大きなやりがいを感じられるでしょう。
ぜひともこの記事を参考に、自分の興味がある分野のベンチャー企業を探してみてください。